(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料用の容器についてみると、容器の内容量が同じであっても、キャップの寸法が異なる場合があり、また、スポーツキャップと称されるキャップのように通常のものとは形状が異なるキャップがある。このように種類の異なるキャップを殺菌する場合には、キャップの種類に適合する搬送装置を用いることが必要である。具体的には、キャップの種類に適合する専用のキャップ搬送装置を備える殺菌機をキャップの種類に対応する台数だけ用意するか、又は、搬送部分だけをキャップの種類に適合するものに取り換える型替えで対応する。しかし、殺菌機を複数台用意するのは、飲料の生産コストを押し上げるのに加えて、殺菌機が占有するスペースが広くなるという問題がある。型替えはこの問題を有しないが、型替えの作業に要する時間が飲料の生産性を阻害する。
【0005】
以上より、本発明は、搬送装置として一体の形態を有しているにも関わらず、型替えを要することなく、複数種類のキャップを搬送できる搬送装置を提供することを目的とする。また、本発明は、この搬送装置を備えることで、型替えを要することなく、複数種類のキャップを殺菌できるキャップ殺菌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、連続的に搬入される容器のキャップを受け取り、所定の処理が施されるキャップを搬送する搬送装置であって、キャップを保持する複数の第一ポケットが円周方向に沿って形成され、回転軸線の周りに回転する第一搬送体と、キャップを保持する複数の第二ポケットが円周方向に沿って形成され、回転軸線の周りに回転する第二搬送体と、を備え、第一ポケットと第二ポケットが、それぞれ異なる種類のキャップを保持する、ことを特徴とする。
本発明のキャップ搬送装置は、キャップの搬送を担い、同じ回転軸線の周りに回転する第一搬送体と第二搬送体が、異なる種類のキャップを保持する第一ポケットと第二ポケットを備えている。したがって、それぞれの搬送体は回転型の搬送装置として一体の形態を有しているにも関わらず、型替えを要することなく、複数種類のキャップを搬送できる。
【0007】
本発明のキャップ搬送装置において、第一搬送体の第一ポケットと第二搬送体の第二ポケットが、径方向の位置が一致している、ことが好ましい。そうすれば、それぞれの搬送体のポケットに保持されるキャップには、他の搬送体に遮られることなく殺菌媒体、例えば殺菌剤をキャップに吹き付けることができる。
また、本発明のキャップ搬送装置において、第一搬送体の第一ポケットと第二搬送体の第二ポケットが、周方向の位置が一致していれば、より確実にキャップに殺菌媒体を吹き付けることができる。
【0008】
本発明のキャップ搬送装置において、駆動源により回転軸線の周りに回転される基礎回転体を備え、基礎回転体と同軸上に、第一搬送体と第二搬送体が、直接的にまたは間接的に固定される、ことが好ましい。
第一搬送体と第二搬送体を基礎回転体に取り付ける構成にすれば、基礎回転体に相当する部分を複数設けるのに比べて、基礎回転体が重複するのを避けることができるので、装置の重量が嵩むのを避けることができる。また、対応するキャップの種類を事後的に増やす場合には、新たに第三搬送体を増設すれば足りるので、対応するキャップの種類の増加に容易に対応できる。
【0009】
本発明のキャップ搬送装置は、キャップ殺菌機に適用することができる。つまり本発明の殺菌機は、連続的に搬入される容器のキャップを受け取って搬送する、単数又は複数の搬送部と、搬送部で搬送されるキャップの搬送経路に向けて殺菌媒体を供給する殺菌媒体供給部と、を備え、上述した本発明の搬送装置を搬送部に適用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれの搬送体は回転型の搬送装置として一体の形態を有しているにも関わらず、型替えを要することなく、複数種類のキャップを搬送できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のキャップ搬送装置が適用された実施形態に係るキャップの殺菌機1ついて説明する。
図1に示すように、殺菌機1は、無菌状態でキャップ100を殺菌するものであり、キャップ100を連続的に殺菌機1の内部に連続的に搬入する搬入部10と、キャップ100を殺菌する殺菌部20と、殺菌を終えたキャップ100を次工程に向けて搬出する搬出部60と、を備えている。殺菌機1は、複数種類のキャップ100を選択的に殺菌できるように、殺菌部20が構成されている。
【0013】
[殺菌部20]
殺菌部20は、
図1に示すように、チャンバ29の内部に配置される。なお、
図1には、殺菌剤を供給する殺菌供給装置の記載を省略している。
殺菌部20は、キャップ100を搬送する回転体である第一スターホイール21、第二スターホイール22、第三スターホイール23、第四スターホイール24、第五スターホイール25及び第六スターホイール26を備えている。
【0014】
[殺菌部20の構成]
殺菌部20は、第一スターホイール21、第二スターホイール22、第三スターホイール23、及び第四スターホイール24が、キャップ100に殺菌剤を吹き付ける殺菌ゾーンZ1を構成する。第四スターホイール24の下流側に位置する第五スターホイール25は、殺菌ゾーンZ1で殺菌剤が吹き付けられたキャップ100を第六スターホイール26に受け渡す転送ゾーンZ2を構成する。第六スターホイール26は、第五スターホイール25から受け渡されたキャップ100に付着する洗浄剤を洗い流す濯ぎゾーンZ3を構成する。このように、殺菌部20は、殺菌ゾーンZ1で殺菌剤が吹き付けられたキャップ100が、転送ゾーンZ2を介して濯ぎゾーンZ3に転送され、濯ぎゾーンZ3で殺菌剤を洗い流すという、一連の殺菌処理が行われる。濯ぎゾーンZ3では、例えば温水をキャップ100に吹き付けることで、殺菌剤を洗い流すことができる。なお、スターホイールの段数、及び、殺菌ゾーンZ1、転送ゾーンZ2及び濯ぎゾーンZ3の構成は、あくまで一例である。
【0015】
[第一スターホイール21の構成]
次に、
図2及び
図3を参照して、殺菌ゾーンZ1を構成する第一スターホイール21の構成について説明する。なお、
図3には、第一スターホイール21と、第一スターホイール21の下流側に位置する第二スターホイール22を示しているが、殺菌ゾーンZ1を構成する第三スターホイール23及び第四スターホイール24も第一スターホイール21と同様の構成を備えている。
【0016】
第一スターホイール21は、図示を省略する駆動源などの駆動源により回転される。なお、第二スターホイール22以降のスターホイールは、それぞれが個別に設けられた駆動源により同期を保って回転することができる。また、第二スターホイール22以降のスターホイールは、第一スターホイール21を回転させる駆動源の動力を、それぞれのスターホイールの間に設けられる歯車を介して伝達することにより、同期を保って回転できる。
【0017】
第一スターホイール21は、駆動源の動力により回転する回転軸27と、回転軸27と一体になって回転する、回転軸27から径方向の外側に突き出る基礎ホイール28と、基礎ホイール28に着脱可能に取り付けられるポケットホイール30と、を備えている。第一スターホイール21は、回転軸27が回転するのに従って、ポケットホイール30が回転しながらキャップ100を搬送する搬送装置である。基礎ホイール28は、本発明の基礎回転体に対応する。
なお、殺菌機1において、回転軸27の回転中心を通る線を回転軸線Cとし、回転軸線Cの向きを軸線方向と定義する。なお、回転軸線Cは、水平と平行をなしている。
【0018】
ポケットホイール30は、第一ポケットホイール31と、第二ポケットホイール32と、第三ポケットホイール33と、基礎ホイール28と同軸上に固定される三つの円環状の回転体を備えている。三つの第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33は、それぞれが種類の異なるキャップ100を保持しながら、第二スターホイール22に向けて搬送する。なお、三つの円環状の回転体の中で二つが、本発明の第一搬送体及び第二搬送体に対応する。
【0019】
この実施形態では、第一ポケットホイール31がスポーツキャップ100Aを保持し、第二ポケットホイール32が最も普及しているタイプの標準キャップ100Bを保持し、第三ポケットホイール33が標準キャップ100Bよりも寸法の大きい大径キャップ100Cを保持する。なお、スポーツキャップ100A、標準キャップ100B及び大径キャップ100Cを総称するときにはキャップ100と称し、それぞれを区別するときにはスポーツキャップ100A、標準キャップ100B又は大径キャップ100Cと称する。
【0020】
図2に示すように、第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33は、互いに所定の間隔を空けて平行に配置されており、その中で、第一ポケットホイール31が基礎ホイール28に直接的に固定されている。そして、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33は、第一ポケットホイール31から軸線方向に延びる連結具37を介して、間接的に基礎ホイール28に固定される。このように、ポケットホイール30は、基礎ホイール28から三つの第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33に分岐している。
【0021】
第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33は、キャップ100を保持するそれぞれの第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36が異なること、並びに、基礎ホイール28に対する位置関係が異なることを除けば、同じ構成を備えている。したがって、以下では正面を向いている第三ポケットホイール33を例にして説明する。
【0022】
図2及び
図3に示すように、第三ポケットホイール33は、内周側33Aと外周側33Bを有している。
第三ポケットホイール33は、内周側33Aが連結具37を介して基礎ホイール28にボルトにより締結されることで、基礎ホイール28と一体となって回転する。ボルトによる締結は、周方向の複数個所でなされる。
第三ポケットホイール33は、外周側33Bに大径キャップ100Cを保持する第三ポケット36を備えている。第三ポケット36は、第三ポケットホイール33の径方向の外側に向けて開口するとともに、径方向の内側に向けて窪む半円形状の溝である。第三ポケット36は、大径キャップ100Cを、その中心軸が回転軸線Cに平行になるように横置きにして保持する。大径キャップ100Cは、その周方向のおよそ半分程度が第三ポケット36に収容され、かつ保持される。
【0023】
ここで、第一ポケットホイール31の第一ポケット34と、第二ポケットホイール32の第二ポケット35と、第三ポケットホイール33の第三ポケット36とは、
図2に示すように、回転軸27の回転軸線Cからの距離が近似している。つまり、第一ポケット34と、第二ポケット35と、第三ポケット36とは、径方向の位置が一致している。
また、複数の第一ポケット34がなす位相と、複数の第二ポケット35がなす位相と、複数の第三ポケット36がなす位相と、が一致している。このことを、第一ポケット34と、第二ポケット35と、第三ポケット36とが、円周方向における位置が一致する、という。
第一ポケット34と、第二ポケット35と、第三ポケット36とが、径方向の位置及び円周方向の位置が一致することは、本発明において、キャップ100を効果的に殺菌するのに好ましい形態である。
なお、本発明における径方向の一致とは、完全一致に限らず、第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36のそれぞれの投影面が重複していることを言う。この投影面は、第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33を平面視したときのものである。また、円周方向の位置が一致することについても同様である。
【0024】
[外側ガイド43]
確実に大径キャップを保持するために、
図2及び
図3に示すように、第三ポケットホイール33の外周側33Bに対向するように、外側ガイド43を設けることができる。
外側ガイド43は、円弧状の形態を有しており、第三ポケットホイール33の外周側33Bのおよそ3/4程度にわたって設けられている。外側ガイド43は、内周側に円弧状のガイド面43Aを有する。外側ガイド43は、複数の第一ポケット34に保持されるそれぞれの大径キャップ100Cにガイド面43Aが接することで、第三ポケットホイール33と一緒になって大径キャップ100Cを保持する。第三ポケットホイール33が所定の向きに回転しながら大径キャップ100Cを搬送するので、大径キャップ100Cはガイド面43Aに摺動又は転動しながら、搬送される。
以上の外側ガイド43と同様のガイドは、第一ポケットホイール31及び第二ポケットホイール32にも設けられている。
【0025】
[線状ガイド45]
以上のように、第三ポケットホイール33の径方向の外側に向けた大径キャップ100Cのガイドは外側ガイド43で行うが、軸線方向については、
図2に示すように、第三ポケット36を挟んだ両側のそれぞれに鋼線からなる一対の線状ガイド45,45が設けられている。一対の線状ガイド45,45は、図示を省略するが、外側ガイド43が設けられる範囲にわたって設けられている。第三ポケットホイール33が所定の向きに回転しながら大径キャップ100Cを搬送する際に、線状ガイド45,45は、軸線方向から大径キャップ100Cをガイドする。この線状ガイド45,45は、第一ポケットホイール31及び第二ポケットホイール32にも設けられている。なお、
図3には、線状ガイド45の記載を省いている。
【0026】
以上では、第三ポケットホイール33を例にしてポケットホイール30を説明したが、第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32も基本的には第三ポケットホイール33と同様の構成を備える。ただし、それぞれが扱うキャップ100が相違しており、それに応じて第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36は、それぞれが扱うスポーツキャップ100A、標準キャップ100B及び大径キャップ100Cに適合した寸法及び形状を有している。
【0027】
また、以上は第一スターホイール21についての説明であるが、第二スターホイール22〜第六スターホイール26も第一スターホイール21と同様の構成を備えている。
【0028】
[殺菌剤供給部50]
殺菌部20は、殺菌ゾーンZ1に属する第一スターホイール21〜第四スターホイール24のそれぞれに、殺菌剤供給部50を備える。殺菌剤供給部50は、第一スターホイール21〜第四スターホイール24の搬送経路を順番に搬送されるキャップ100に殺菌剤を吹き付ける。
殺菌剤供給部50は、
図4に示すように、図示を省略する殺菌剤の供給源に連なる供給管路51A〜51Gを備えている。ここでは、一本の供給配管51Aから他の供給配管51B〜51Gに分岐する形態を示しているが、これは一例である。
それぞれの供給管路51C〜51Gには、吐出ノズル53A〜53Gが設けられており、供給管路51A〜51Gを流れてきた殺菌剤200は、吐出ノズル53A〜53Gから吐出され、キャップ100に吹き付けられる。
【0029】
本実施形態は、第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33のいずれかで搬送されるスポーツキャップ100A〜大径キャップ100Cに、必要な量の殺菌剤200を供給する。そのために、吐出ノズル53A〜53Cを径方向の外側に離れた位置に配置し、また、軸線方向Cの一方の側に吐出ノズル53D,53Eを配置し、さらに、他方の側に吐出ノズル53F,53Gを配置する。そして、例えば、第一ポケットホイール31で搬送されるスポーツキャップ100Aを殺菌する際には、吐出ノズル53A〜53Gの全てから殺菌剤200を供給できるし、選択された吐出ノズル53C,53D,53Eだけから殺菌剤200を供給できる。前者の場合には、吐出ノズル53F,53Gからの殺菌剤200が、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33が妨げとなることなく、これらを通過してスポーツキャップ100Aに吹き付けられる。
【0030】
ここでは、第一スターホイール21の円周方向の特定の位置における殺菌剤供給部50を示しているが、第一スターホイール21の円周方向の複数個所に間欠的に設ける。また、第二スターホイール22〜第四スターホイール24についても、同様に殺菌剤供給部50を設ける。そうすることにより、殺菌機1はキャップ100を必要なレベルまで殺菌できる。
【0031】
[搬入部10]
さて、キャップ100は、搬入部10から殺菌部20に供給される。
搬入部10は、
図5(a)に示すように、キャップセレクタ11と搬入シュート13を備えている。
キャップセレクタ11は、その内部に投入されたキャップ100を1つずつ、キャップ100の開口が同じ向きとなるように整えて、搬入シュート13に送り出すものである。本実施形態は、キャップ100は、キャップセレクタ11によりその開口が水平方向を向くように整えられる。
【0032】
搬入シュート13は、キャップセレクタ11及び殺菌部20の第一スターホイール21に対して、図示しないブラケットを介して所定の傾斜角をもって支持される。搬入シュート13は、その上端部がキャップセレクタ11に、その下端部が第一スターホイール21に接続され、キャップセレクタ11から送り出されるキャップ100を殺菌部20に搬入する。
【0033】
搬入シュート13は、例えば、上下それぞれ1本および左右それぞれ1本の合計4本の鋼線からなる線状ガイド45により構成される。これらの線状ガイド45は、キャップセレクタ11から第一スターホイール21まで延設される。そして、これら延設された線状ガイド45により囲まれた空間により、キャップ100の通路が形成される。
【0034】
キャップ100の通路の断面は、キャップ100が同じ姿勢を維持するとともに、キャップセレクタ11から第一スターホイール21に向けてスムーズに通過するように、キャップ100の側面視外形とほぼ同じ大きさまたは側面視外形よりも僅かに大きい程度に設定されている。
【0035】
本実施形態は、第一スターホイール21〜第六スターホイール26が、異なる三種類のキャップ100を受け入れる。したがって、
図5に示すように、三種類のキャップ100に対応して、第一搬入シュート14、第二搬入シュート15及び第三搬入シュート16と、三系統の搬入シュート13が設けられている。例えば、第一搬入シュート14が第一ポケットホイール31に対応してスポーツキャップ100Aを搬送し、第二搬入シュート15が第二ポケットホイール32に対応して標準キャップ100Bを搬送し、第三搬入シュート16が第三ポケットホイール33に対応して大径キャップ100Cを搬送する。
【0036】
搬入部10は、一つのキャップセレクタ11から三系統の搬入シュート13にキャップ100を供給する。そこで、キャップセレクタ11と搬入シュート13の間には切替路18が設けられており、この切替路18は、
図5に示すように、キャップセレクタ11と第一搬入シュート14の間、キャップセレクタ11と第二搬入シュート15の間及びキャップセレクタ11と第三搬入シュート16の間を選択的に結ぶ。例えば、標準キャップ100Bの殺菌を行うときには、キャップセレクタ11に標準キャップ100Bを投入するとともに、キャップセレクタ11と第一搬入シュート14を結ぶように切替路18のルートが選択される。そうすると、標準キャップ100Bは、キャップセレクタ11により開口部が水平方向を向くようにその姿勢が整えられ、切替路18を介して第二搬入シュート15に供給され、さらに、第一スターホイール21の第二ポケットホイール32に向けて搬送される。
【0037】
[搬出部60]
搬出部60は、殺菌を終えたキャップ100を次の工程に向けて搬送するか、又は、殺菌を終えたキャップ100を所定の容器に回収する。その構成は任意であるが、第六スターホイール26の第一ポケットホイール31、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33のそれぞれに対応する三系統の搬出シュートを備えることができる。この場合、それぞれのポケットホイールで搬送されたキャップ100を三系統のいずれかの搬出シュートで受け入れ、下流側に搬送する。
【0038】
[殺菌機1の動作]
次に、殺菌機1によりキャップ100を殺菌する動作を説明する。
搬入部10のキャップセレクタ11から送り出されたキャップ100は、搬入シュート13を通って殺菌部20に供給される。実際には、殺菌の対象となるキャップ100の種類に応じて、第一搬入シュート14〜第三搬入シュート16のいずれかの経路が選択される。
【0039】
殺菌部20は、第一スターホイール21〜第六スターホイール26の動作がすでに行われており、また、殺菌剤供給部50は殺菌剤200を吐出する体勢ができている。
供給されたキャップ100は、はじめに第一スターホイール21で受け取られ、第一スターホイール21で第二スターホイール22まで搬送される、という搬送動作が第四スターホイール24まで繰り返される過程で、殺菌剤供給部50から殺菌剤200が吹き付けられる。
【0040】
第四スターホイール24から第五スターホイール25に受け渡されるまで、キャップ100は殺菌剤200が吹き付けられることで、殺菌処理がなされる。第五スターホイール25に受け渡されたキャップ100は、第五スターホイール25から第六スターホイール26に受け渡されるまで、付着する殺菌剤200が落下してその一部が取り除かれる。
【0041】
第六スターホイール26に受け渡されたキャップ100は、温水、その他の濯ぎ剤が吹き付けられながら、第六スターホイール26を搬送され、搬出部60に受け渡され、さらに下流の工程へと搬送される。
【0042】
[殺菌機1の効果]
殺菌機1は、キャップ100の搬送を担う第一スターホイール21〜第六スターホイール26が、三種類のキャップ100をそれぞれが保持する第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33を備えている。したがって、それぞれのスターホイールは回転型の搬送装置として一体の形態を有しているにも関わらず、型替えを要することなく、複数種類のキャップ100を搬送できる。なお、本実施形態が扱うことのできる三種類は一例に過ぎず、前述したように、ポケットホイールを増設することにより四種類以上のキャップ100を取り扱うことができる。
【0043】
次に、殺菌機1は、第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33が、回転軸線Cの方向に所定の間隔を空けて並んでおり、それぞれの第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36が並び、かつ、径方向の外側に向けて開放されている。したがって、第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33のそれぞれに対応する第一搬入シュート14、第二搬入シュート15及び第三搬入シュート16を並列に設けるだけで、第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36のいずれかにキャップ100をスムーズに挿入できる。
【0044】
次に、
図2に示すように、第一ポケット34、第二ポケット35及び第三ポケット36は、径方向の位置が一致している。換言すれば、第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33の径が同等である。したがって、それぞれのポケットに保持されたキャップ100には、他のポケットホイールに遮られることなく殺菌剤200が吹き付けられる。例えば、
図2、
図3及び
図4において、第一ポケットホイール31の第一ポケット34にスポーツキャップ100Aが保持されているとすると、スポーツキャップ100Aにはすぐ近くに設けられている吐出ノズル53D,53Eから殺菌剤200が吹き付けられる。加えて、吐出ノズル53F,53Gからの殺菌剤200が、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33に遮られることなく、スポーツキャップ100Aに吹き付けられる。
ここで、本実施形態は、前述したように、第一ポケット34と、第二ポケット35と、第三ポケット36とが、径方向の位置が一致している。したがって、吐出ノズル53F,53Gからの殺菌剤200を、第二ポケットホイール32及び第三ポケットホイール33を通過して、スポーツキャップ100Aに吹き付けることができる。しかも、本実施形態は、第一ポケット34と、第二ポケット35と、第三ポケット36とが、周方向の位置が一致しているので、吐出ノズル53F,53Gからの殺菌剤200を、より確実にスポーツキャップ100Aに吹き付けることができる。
【0045】
以上の通りであり、それぞれのポケットホイールに保持されるキャップ100は、他のポケットホイールに遮られることなく、軸線方向の両側から殺菌剤200が吹き付けられる。したがって、殺菌機1によれば、複数種類のキャップ100を選択的に殺菌できるのに加えて、複数の方向から殺菌剤200を吹き付けることができるので、効率よく高い殺菌性能を確保できる。
【0046】
さらに、ポケットホイール30は、共通の基礎ホイール28に第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33を取り付ける構造としている。
ここで、本発明は、第一ポケットホイール31〜第三ポケットホイール33のそれぞれが基礎ホイール28を含む形態とすることを許容する。ところが、この形態だと基礎ホイール28が重複する分だけ重量が嵩むのに加えて、製造コストも高くなる。これに対して、本実施形態のように取付構造にすることにより、軽量化を図ることができるとともに、製造コストを低減できる。しかも、対応するキャップ100の種類を事後的に増やす場合には、新たなポケットホイールを増設すれば足りるので、対応するキャップ100の種類の増加に容易に対応できる。
【0047】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、本実施形態は、本発明に係る搬送装置を殺菌機1に適用した例を示したが、本発明に係る搬送装置の用途は殺菌機に限るものでなく、複数種類のキャップ100を処理する用途に適用することができる。
また、本発明は、殺菌剤による殺菌機に限るものでなく、例えば、殺菌媒体として、熱水を吹き付ける、オゾン(O
3)を用いて殺菌する、紫外線を照射して殺菌するなどの他の殺菌手法を用いる場合にも、複数種類のキャップ100を搬送するのに有効である。