特許第6242462号(P6242462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6242462
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】パンチ
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/32 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B26F1/32 U
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-219572(P2016-219572)
(22)【出願日】2016年11月10日
【審査請求日】2016年11月10日
(31)【優先権主張番号】105123559
(32)【優先日】2016年7月26日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】513007295
【氏名又は名称】堡勝企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許素▲ユイ▼
(72)【発明者】
【氏名】朱恩良
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−032849(JP,A)
【文献】 特開2010−017784(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3126551(JP,U)
【文献】 実開平02−031695(JP,U)
【文献】 実開昭57−034398(JP,U)
【文献】 実公昭35−014923(JP,Y1)
【文献】 実公昭11−005696(JP,Y1)
【文献】 特開2014−012329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0144304(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2716423(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/32
B26D 7/01
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を綴じるための綴じ孔を開けるためのパンチであって、
前記用紙を載置するベースと、前記ベースに載置された前記用紙に綴じ孔を形成するように穿孔するパンチ手段と、前記用紙を穿孔するための穿孔位置合わせを行うゲージ手段とを備え、
前記ベースは、前記用紙を穿孔する前に前記用紙の位置を合わせるための境界線が定義され、
前記ベースと前記パンチ手段とにより前記用紙が前記境界線に向かって差し込まれて収容される収容スペースを画成するように設けられており、
前記ベースは、前記境界線に対して前記収容スペースに差し込まれた前記用紙が突き当たって留められるブロック面が、前記ベースにおける前記境界線に対しての差込側と反対側の当接側にて前記境界線と平行に延伸されると共に、前記用紙を差し込む方向である差込方向に対して垂直に立ち上がって設けられ、
前記ゲージ手段は、前記用紙の穿孔位置合わせをするために用いられるものであって、前記境界線に沿う延伸方向に沿って前記ベースの側面から離れる定位位置と、該側面に近づいて前記ベースに収容される収納位置との間で移動可能に設けられているゲージを有し、
前記ゲージは、常に前記ベースの前記側面の外に突き出されている一端部を有し、
前記ゲージの前記一端部は、常に前記ベースの前記側面の外に突き出されて前記ベースに収納されないように、前記ベースに載置された前記用紙の前記ブロック面側に差し込まれる差込辺と直角の側辺が当接される、突き当て部が前記ベースに前記用紙を載置する表側に向かって立ち上がって設けられ、
前記突き当て部は、前記ゲージが前記定位位置から前記収納位置側に移動された場合、前記境界線に対しての前記当接側に移動されると共に前記ベースの側面に近づいて対向して定位され、また、前記ゲージが前記収納位置から前記定位位置側に移動された場合、前記ベースの側面から離れると共に前記境界線に対しての前記差込側に移動されて定位されるように設けられている、
ことを特徴とするパンチ。
【請求項2】
前記ゲージは、前記境界線を含むと共に前記ブロック面に平行に延伸される垂直面に対して交点Pで交わるように定義された長手軸線をもって長く延伸されるように、前記ベースに貫通して設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のパンチ。
【請求項3】
前記ゲージは、前記用紙の異なるサイズに合わせて位置決めされる複数の前記定位位置に移動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のパンチ。
【請求項4】
前記ベースと前記ゲージとは、その一方に第1の係合部が、その他方に前記ゲージが複数の前記定位位置に位置決めされるように互いに所定の間隔を介して並ぶと共に前記第1の係合部と係合可能な複数の第2の係合部がそれぞれ設けている、ことを特徴とする請求項3に記載のパンチ。
【請求項5】
前記第1の係合部と前記第2の係合部とは、凹凸係合するように、一方が凹部か穴部であり、他方が凸部である、ことを特徴とする請求項4に記載のパンチ。
【請求項6】
更に前記収納位置に位置決められた前記ゲージが前記ベースから突き出されて前記定位位置に移動される第1の弾性力を付与するように前記ベースに設けられたラッチ手段を備えている、ことを特徴とする請求項2に記載のパンチ。
【請求項7】
前記ゲージは、前記長手軸線沿いの一端部に、前記ゲージが前記収納位置に移動された時前記ラッチ手段によって係止・定位されるための第1の位置決め部が設けられ、また、前記長手軸線沿いの一端部と反対側の他端部に、前記突き当て部が前記ベースに対して最大に離れるように突き出されても前記ベースから脱離することがないように前記ラッチ手段によって係止・定位されるための第2の位置決め部が設けられ、
前記ラッチ手段は、回転軸と押し部材と係止部材と第1の弾性部材とを有し、
前記回転軸はその両端が前記ベースに回転可能に軸支されるように設けられ、
前記押し部材は、一端が前記回転軸の一端に互いに回転不能に連結されている共に、他端が外部からの押圧操作をするものであって該押圧操作を経て前記回転軸が連動して回転可能に設けられ、
前記係止部材は、前記回転軸の他端に連結されて前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部における一方に係脱可能に設けられ、
前記第1の弾性部材は、前記収納位置に移動された前記ゲージによって圧縮されて前記第1の弾性力を蓄積するように、前記ゲージと前記ベースとの間に設けられている、ことを特徴とする請求項6に記載のパンチ。
【請求項8】
前記ラッチ手段は、前記押し部材の押圧によって圧縮されて、前記押し部材を押し上げて押圧前の姿勢に戻す第2の弾性力を蓄積するように、前記押し部材と前記ベースとの間に設けられている、第2の弾性部材を更に有する、ことを特徴とする請求項7に記載のパンチ。
【請求項9】
前記突き当て部は、前記ゲージ側から立ち上がると共に立ち上がった先端に向かって幅狭になるように突き出されている、ことを特徴とする請求項1〜8の何れかの一項に記載のパンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を綴じるための綴じ孔を開けるためのパンチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、てこの原理を応用してハンドルを上下動させてベースに載置された用紙の縁部に綴じ孔を開ける事務用パンチは周知である。用紙に綴じ孔を穿孔する際に、位置合わせのために例えば用紙の真ん中に折り目をつけると共にその折り目をパンチに付けられたセンターマークに合わせて穿孔するが、折り目が見えなかったり、また用紙が二つ折りにすることができなかったりして位置合わせの操作が面倒であった。そこで、用紙における穿孔位置の設定を容易にするために、ベースの側面に用紙の中央に穿孔位置を合わせるためのゲージが出没可能に設けられており、ゲージに用紙の規格に合わせて例えばA4やB5といった目盛りが設けられたパンチが用いられている(例えば特許文献1参照)。このパンチは、図13に示されたように、用紙を載置する載置面111を有し、載置面111にパンチ孔(図示せず)が形成されたベース11と、ベース11の載置面111とによりベース11に載置された用紙が差し込まれて収容される収容スペース110を画成しており収容スペース110に差し込まれた用紙に穿孔するパンチ手段12と、用紙のセンターに対して穿孔位置を合わせるようにベース11の側面に出没可能に設けられたゲージ13とを備えている。パンチ手段12は収容スペース110に差し込まれた用紙に対して上下動するように操作されるハンドル121を有し、ハンドル121内には用紙に穿孔するためのパンチ刃(図示せず)が取り付けられている。ゲージ13は、ベース11から突き出された一端が上向きに折り曲げられるように立ち上がって突き当て部131が設けられている。用紙をベース11の収容スペース110に向けて差し込むと共に用紙の一端をゲージ13の突き当て部131に当接させてから、ハンドル121を押し下げることにより、ハンドル121内に設けられたパンチ刃によって用紙に綴じ孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M481117号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるパンチは穿孔する用紙の所定サイズに合せてゲージ13に付けられたA4又はB5といった目盛りに合わせてその引き出し位置を調節して用紙に綴じ孔を形成することができるが、突き当て部131は収容スペース110に入れた用紙の一端が突き当てられるように、ベース11における用紙を載せる載置面111よりも上方に突出された高さを有するようになっているため、ゲージ13を使わない時に用紙が突き当て部131によって平らにベース11に載せることができなかったり、引っ掛かったりして、用紙の穿孔作業の邪魔になる問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ゲージを使用しない時に、ゲージが用紙の穿孔作業の邪魔にならないパンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るパンチは、用紙を綴じるための綴じ孔を開けるためのものであって、
前記用紙を載置するベースと、前記ベースに載置された前記用紙に綴じ孔を形成するように穿孔するパンチ手段と、前記用紙を穿孔するための穿孔位置合わせを行うゲージ手段とを備え、
前記ベースは、前記用紙を穿孔する前に前記用紙の位置を合わせるための境界線が定義され、
前記ベースと前記パンチ手段とにより前記用紙が前記境界線に向かって差し込まれて収容される収容スペースを画成するように設けられており、
前記ベースは、前記境界線に対して前記収容スペースに差し込まれた前記用紙が突き当たって留められるブロック面が、前記ベースにおける前記境界線に対しての差込側と反対側の当接側にて前記境界線と平行に延伸されると共に、前記用紙を差し込む方向である差込方向に対して垂直に立ち上がって設けられ、
前記ゲージ手段は、前記用紙の穿孔位置合わせをするために用いられるものであって、前記境界線に沿う延伸方向に沿って前記ベースの側面から離れる定位位置と、該側面に近づいて前記ベースに収容される収納位置との間で移動可能に設けられているゲージを有し、
前記ゲージは、常に前記ベースの前記側面の外に突き出されている一端部を有し、
前記ゲージの前記一端部は、常に前記ベースの前記側面の外に突き出されて前記ベースに収納されないように、前記ベースに載置された前記用紙の前記ブロック面側に差し込まれる差込辺と直角の側辺が当接される、突き当て部が前記ベースに前記用紙を載置する表側に向かって立ち上がって設けられ、
前記突き当て部は、前記ゲージが前記定位位置から前記収納位置側に移動された場合、前記境界線に対しての前記当接側に移動されると共に前記ベースの側面に近づいて対向して定位され、また、前記ゲージが前記収納位置から前記定位位置側に移動された場合、前記ベースの側面から離れると共に前記境界線に対しての前記差込側に移動されて定位されるように設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るパンチによれば、ゲージがベースの側面に近づいた収納位置に定位された場合、突き当て部が境界線に対しての当接側に定位され、また、ゲージがベースから遠ざかった定位位置に移動された場合、突き当て部が境界線に対しての差込側に移動されて定位されるように構成されていることにより、ゲージを使用しない時には、ゲージがベースに収納されても用紙が突き当て部に引っ掛からずに済み、また、ゲージを使用する時には、用紙の側辺が突き当て部に当接されて位置が揃って用紙の穿孔位置合わせを行うことができるので、用紙のサイズを選ばず、また、ゲージの突き当て部が用紙の穿孔位置合わせの邪魔にならずに使用することができ、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施例に係るパンチを示す斜視図である。
図2図1の上面図である。
図3図1の底面図である。
図4図1においてゲージが最大に引き出された時の上面図である。
図5図4の底面図である。
図6図1においてゲージが最大に引き出される前の上面図である。
図7図6の底面図である。
図8】本発明の第2の実施例に係るパンチを示す上面図である。
図9図8の底面図である。
図10図9において第2の実施例の一部を示す斜視図である。
図11図8においてゲージが最大に引き出された時の上面図である。
図12図11の底面図である。
図13】従来のパンチの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るパンチにおけるいくつかの実施例について図面を参照して説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0010】
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係るパンチを示す斜視図、図2は、図1の上面図、図3は、図1の底面図である。図1図3に示されているように、第1の実施例に係るパンチ1は、例えば2穴開け用パンチであり、用紙9を載置するベース2と、ベース2に載置された用紙9に綴じ孔を形成するように穿孔するパンチ手段3と、用紙9を穿孔するための位置合わせ例えば用紙9のセンターの位置合わせを行うゲージ手段4とを備えている。なお、用紙9は、一枚でもよく数枚重ねてもよく、パンチ手段3によって穿孔可能な硬さと厚さを有する枚葉状のものである。
【0011】
ベース2は、例えば従来の構造を有し、例えば平面視で略長方形になっており、用紙9を載置するように実質的に一面状に形成された載置面21を有し、載置面21を横切るように載置面21に載置された用紙9を穿孔する前に用紙9の位置を揃えるための境界線L1が定義されている。
【0012】
載置面21には、複数のパンチ穴210が、境界線L1に対しての用紙9がベース2に差し込まれる側である差込側に境界線L1から余白(綴じ代)としての間隔だけ離れると共に互いに境界線L1と平行の間隔をあけて、例えば用紙9を差し込む方向である差込方向と直角の方向に並ぶように設けられている。なお、パンチ1が2穴開けパンチの場合、ベース2には左右一対の例えば丸形のパンチ穴210が載置面21を貫通するよう設けられている。なお、パンチ穴210の形状や数は必要に応じて設けられてもよく、この例に制限されない。
【0013】
パンチ手段3は、例えば従来の構造を有し、ベース2とによりベース2に載置された用紙9が差し込まれて収容される収容スペース20を画成するように設けられており、境界線L1から余白(綴じ代)としての所定の間隔をおいて離れるように収容スペース20に差し込まれた用紙9に穿孔するパンチ刃(図示せず)がパンチ穴210に対応して境界線L1に対しての差込側に取り付けられている。パンチ手段3は、載置面21に固定された支持フレーム32を介して収容スペース20に差し込まれた用紙9に対して上下動するように操作されるハンドル31が設けられている。パンチ刃はハンドル31内にハンドル31の上下動に従ってパンチ穴210を通るように取り付けられている。
【0014】
また、ベース2は、収容スペース20に差し込まれた用紙9の差込辺91が突き当たって留められるブロック面22が、ベース2における境界線L1の差込側(図1の手前側)と反対側の当接側(図1の奥側)にて境界線L1と平行に延伸されると共に、差込方向に対して垂直に載置面21から立ち上がって設けられている。収容スペース20に差し込まれて収容された用紙9の差込辺91がブロック面22に当接することで用紙9のパンチ刃に対する差込方向における位置が決められる。
【0015】
ゲージ手段4は、ユーザーが視認して用紙の規格に合わせて用紙のセンターの位置合わせを操作するものであり、例えば引き・押し操作により、ベース2の側面23に対して出没可能に境界線L1に沿う延伸方向に沿って移動するように設けられたゲージ41を有する。ゲージ41は、例えばA4やB5といった目盛りが付けられている長尺状の定規部材であり、引き操作でベース2の側面23から離れるように引き出されて位置決めされた定位位置と、押し操作でベース2の側面23に近づいてベース2に収容されるように押し込まれて位置決めされた収納位置との間で移動可能に設けられている。
【0016】
ゲージ41は、常にベース2の側面23の外に突き出されている一端部41aと、該一端部41aの反対側の常にベース2の裏側に引き込められて収納されている他端部41bとを有する。ゲージ41の一端部41aは、常にベース2の側面23の外に突き出されてベース2に収納されないように、ベース2に用紙を載置する表側(例えば図1における上側)に向かって立ち上がった突き当て部42が、ベース2に載置された用紙9の差込辺91と直角の側辺92が突き当たって当接されるように設けられている。
【0017】
突き当て部42は、ゲージ41が定位位置から収容位置側に移動された場合、ベース2に収容されずにベース2の外部に残るように境界線L1のブロック面22寄りの当接側に移動されると共にベース2の側面に近づいて対向して定位され、また、ゲージ41が収納位置から定位位置側に移動された場合、境界線L1に対しての用紙9を差し込む差込側に移動されると共にベース2の側面23から離れて定位されるように設けられている。
【0018】
このように、ゲージ41が押し操作を経てベース2に押し込まれて収容された時、突き当て部42はベース2に収容されずにベース2の外部に残るように境界線L1のブロック面22寄りの当接側に移動されながらベース2の側面に近づいて対向して定位される。こうなると、ゲージ41がコンパクトに収容されることができると共に、収容スペース20に差し込まれた用紙9が突き当て部42に引っ掛からずに、ブロック面22に当接されることができる。また、ゲージ41が引き操作を経てベース2から引き出されると、突き当て部42は、ベース2の側面23から離れて境界線L1に対しての用紙9を差し込む差込側に移動されて定位される。こうなると、収容スペース20に差し込まれた用紙9が突き当て部42に引っ掛からずに、ブロック面22に当接されることができると共に、用紙9の側辺92が境界線L1に対しての差込側に移された突き当て部42に当接されて用紙9が位置決めされることができる。
【0019】
また、ゲージ41は、境界線L1を含むと共にブロック面22に平行且つ載置面21に対して垂直に延伸される垂直面に対して交点Pで交わる長手軸線L2を定義しており、該垂直面に対して鋭角θだけ傾斜するように該長手軸線L2に沿って長尺状に延伸されている。
【0020】
このように、ゲージ41は垂直面に対して所定の角度、好ましくは鋭角をもって斜めに移動されるように設けられているので、押し操作でゲージ41がベース2の側面23に対して近づくようにベース2側に押されると、突き当て部42は、境界線L1に対して収容スペース20に差し込まれた用紙9がブロック面22への当接側に移動されて定位される。従って、収容スペース20に差し込まれた用紙9が突き当て部42に引っ掛からずに、ブロック面22に当接されることができる。また、引き操作でゲージ41がベース2から遠ざかるように引き出されると、突き当て部42は、境界線L1に対しての差込側に移動されて定位される。従って、収容スペース20に差し込まれた用紙9の側辺92が突き当て部42に当接されて位置決めされることができる。
【0021】
また、突き当て部42は、図1に示されているように、ベース2に載置された用紙9の側辺92が突き当たって位置決めされるためのものであって、ゲージ41側から垂直に立ち上がって上向きに即ち立ち上がった先端側が幅狭になるように突き出されて側面視略台形状か階段形状に構成されており、ベース2に載置された用紙9よりも高い高さを有する。突き当て部42は、略台形状か階段形状に形成されていることにより、その構造強度を保持することができる。また、突き当て部42が略台形状か階段形状に形成されていることにより、境界線L1を含むと共にブロック面22に平行且つ載置面21に対して垂直に延伸される垂直面に対してのゲージ41の取り付け角度が大きくならずに済む。また、突き当て部42が略台形状か階段形状に形成されていることにより、ゲージ41が完全にベース2に収容されていなくても収容スペース20に差し込まれた用紙9が引っ掛かることがない。
【0022】
この例では、ゲージ41は、従来と同様に、ベース2の載置面21と背中合わせの裏面24に貫通して設けられている。ベース2の裏面24側にはパンチ手段3によって打ち抜かれた紙くずを受けるための内部空間が画成されるように、ベース2の載置面21側に対向する底壁24bと、底壁24bの周縁から立ち上がって突き出る周壁とを有する。内部空間に溜まった紙くずはベース2の裏面24側から排出することができる。なお、ベース2は裏面24側から見て平面視で略長方形になっている。
【0023】
裏面24側の周壁におけるベース2の側面23に対向する側壁部24aには、ゲージ41が挿入されるスリット状のゲージ挿入口241が設けられ、底壁24bには、ゲージ挿入口241を介して差し込まれたゲージ41がスライドするように案内する案内溝240が自身のゲージ41の長手軸線L2と重なる軸線である延伸軸線に沿って延伸されて設けられている。つまり、案内溝240は、例えば図2図3又は図5等に示されているように、ゲージ挿入口241に近い一端240aがゲージ挿入口241に連通されると共に境界線L1に近づくと共に、該一端240aの反対側の他端240bが境界線L1から離れるように、境界線L1に対して夾角θだけを傾斜して延伸されるように設けられている。
【0024】
ベース2の裏の底壁24bにおける案内溝240の溝底面には、例えば図3のように、用紙9の異なるサイズに合せてゲージ41が位置決めされて定位される複数の第1の係合部23a〜23eが所定の間隔をおいて設けられている。ゲージ41の他端部41bにおけるベース2側の内面には第1の係合部23a〜23eに対して係合可能な第2の係合部411が設けられている。なお、第1の係合部23a〜23eと第2の係合部411とは例えば凹凸係合するようにその一方が凹部か孔部であり、その他方が凸部である。なお、この例では、第2の係合部411は凸部であり、第1の係合部23a〜23eは凹部か孔部である。また、第1の係合部と第2の係合部の設置位置はこの例に制限されず、第2の係合部はベース2の裏面24側に、第1の係合部は、ゲージ41にそれぞれ設けられてもよい。また、底壁24bの案内溝240の両側の溝壁は、ゲージ41が案内溝240から脱離せずにスライドするようにゲージ41が係留される複数の突片242がつば状に突き出されて設けられている。これによってゲージ41が安定して案内溝240に保持される。
【0025】
次に、上記のように構成されたパンチ1の動作や作用を図1図7を参照して説明する。
【0026】
例えばA4サイズの用紙9に綴じ孔を形成する時、引き操作を経て、用紙9のA4サイズに合せて、図2図3)に示された、案内溝240に収容されたゲージ41をA4―E(図6)の目盛りが出るまでスライドさせると、図7に示されたように第2の係合部411が第1の係合部23cに対して係合される。この時、ゲージ41がベース2の側辺23に近づいた収納位置からベース2の側辺23から離れた定位位置に動かされて定位されると、突き当て部42は境界線L1に対しての差込側に定位される。用紙9の差込辺(長辺)91がブロック面22に当接するまで用紙9を収容スペース20に差し込むと共に、用紙9の側辺(短辺)92が揃うように突き当て部42に突き当てる。こうして、用紙9のセンターの位置合わせ作業が終了する。次にパンチ手段3のハンドル31を押し下げてパンチ刃を下ろし用紙9に綴じ孔を形成するようにパンチ手段3の穿孔作業を行う。また、この時に第2の係合部411と第1の係合部23cとが係合されているので、用紙9の穿孔位置が変わることなく位置決めされる。
【0027】
これによって、穿孔された用紙9と同様に次に収容スペース20に差し込まれた用紙9に同じ位置の綴じ孔を開けるように穿孔することができる。
【0028】
その一方、押し操作を経て、ゲージ41が引っ込められて案内溝240に収容されると、突き当て部42が境界線L1のブロック面22寄りの当接側に移動されて定位される。このように、突き当て部42が境界線L1のブロック面22寄りの当接側に移動されて定位されると、スペースを取らずに済むと共に、ゲージ41に付いている目盛りに示されていない大型サイズの用紙も引っ掛からず、穿孔作業を行うことができる。
【0029】
以上のように、ゲージ41が案内溝240からベース2の横側に引き出された場合、収容スペース20に差し込まれて収容された用紙9のセンター位置合わせ作業を行うことができると共に、ゲージ手段4を使用しない時は用紙9の差込・穿孔作業の邪魔にならずに済み、使用勝手がよい。また、突き当て部42は、階段状や台形になっているので、ゲージ41を使用しない時にゲージ41を収納する時でもゲージ41を完全に案内溝240に収納する必要がなくなり、ゲージ41の引き出された一端部41aの一部をそのまま外側に残してもよい。
【0030】
本実施例に係るパンチ1は、ゲージ41が境界線L1を含む垂直面に対して斜めに設けられているという簡単な構造によって、ゲージ41を使用しないときには、ゲージ41のスライドで、突き当て部42が境界線L1に対しての当接側に位置され定位されれば、コンパクトに収納することができると共に、ゲージ41が適用できない大きなサイズの用紙9を穿孔する時にも用紙9が突き当て部42に引っ掛からずに済む。また、ゲージ41を使用するときには、ゲージ41がベース2の側面23から離れるように引き出され、突き当て部42が境界線L1に対しての差込側に位置され定位されれば、収容スペース20に差し込まれた用紙9の側辺92が突き当て部42に当接されて位置を揃えることができる。これによって、用紙9への穿孔作業を従来通りにスムーズに行うことができる。
【0031】
(第2の実施例)
図8は、本発明の第2の実施例に係るパンチを示す上面図、図9図8の底面図、図10は、図9において第2の実施例の一部を示す斜視図である。図示の如く、第2の実施例に係るパンチ1Aは、第1の実施例の構成とほぼ同様であるが、更にラッチ手段5が設けられている。
【0032】
ラッチ手段5は、ベース2の載置面21と逆向きの裏側に収納位置に位置決めされたゲージ41がベース2から突き出されて定位位置に移動される第1の弾性力を付与するようにゲージ手段4に対応して設けられ、回転軸51と押し部材52と係止部材53と第1の弾性部材54と第2の弾性部材55とを備えている。
【0033】
回転軸51は、案内溝240を横切るように延伸された軸体を有し、該軸体の延伸された両端がベース2の裏側の案内溝240の両側の溝壁に回転可能に軸支されるように設けられている。
【0034】
押し部材52は、押圧操作をするものであって該押圧操作を経て回転軸51が連動して回転可能に連結されるように設けられており、例えば底面視で略方形の板体になっていて、回転軸51の例えば裏面24の周壁側の一端に対して直角に突き出るように設けられ、回転軸51の一端に回転軸51と互いに回転不能になるよう回転軸51とクロスして連結された一端部521と、外部からの押圧操作に供するよう該一端部521より続いて幅広に形成された他端部522とを有する。
【0035】
係止部材53は、ゲージ41に係脱可能に回転軸51の他端に回転軸51の回転に連動するように連結されており、ゲージ41側に向かって下向きに突き出てフック状の係止部531がゲージ41と係脱可能に設けられている。
【0036】
ゲージ41は、その一端部にゲージ41が収納位置に移動された時に係止部531が係止・定位される第1の位置決め部412が、また、ゲージ41がベース2に対して最大に突き出されるよう移動されてもベース2から脱離することがないように係止部531が係止・定位される第2の位置決め部413がそれぞれ設けられている。
【0037】
なお、第1の位置決め部412及び第2の位置決め部413のいずれかと係止部531とは互いに係脱可能に凹凸係合するように、第1の位置決め部412及び第2の位置決め部413は凹部(孔部)が窪んで形成され、係止部531は、第1の位置決め部412及び第2の位置決め部413に引っ掛かって係止されるつば状の凸部が設けられている。
【0038】
第1の弾性部材54は、ベース2に収納されたゲージ41によって圧縮されて第1の弾性力が蓄積され、該第1の弾性力でゲージ41が常にベース2から突き出されるよう付勢されるように、ゲージ41とベース2との間に設けられている。
【0039】
第2の弾性部材55は、押し部材52の押圧によって圧縮されて、押し部材52を押し上げて押圧前の姿勢に戻す第2の弾性力を蓄積するように、押し部材52とベース2との間に設けられている。
【0040】
以上のように構成されたパンチの操作及び作用について図8〜12を参照しながら説明する。
【0041】
ゲージ41を使用しない場合、図8〜10に示されているように、ゲージ41がベース2に引っ込められて収容された収納位置に移動されると、ゲージ41のスライドによって係止部材53は第1の位置決め部412に係着されて定位される。この時、第2の弾性部材55は係止部材53と第1の位置決め部412との係合状態を安定して保持するように押し部材52の他端部522を押し上げていると共に、第1の弾性部材54がゲージ41によって押されて圧縮される(図9)。
【0042】
ゲージ41を使用する場合、図11、12に示されているように、押し部材52を押圧し、第2の弾性部材55が圧縮されると共に、押し部材52の動きにより回転軸51が連動して係止部材53の係止部531と第1の位置決め部412との係合が解除されると、第2の弾性部材55がその圧縮状態による第2の弾性力によってゲージ41がベース2から突き出される。この時、ゲージ41がスライドでベース2の側面23側に移動されると、第2の弾性部材55によって随時押し上げられている係止部材53の係止部531が第2の位置決め部413に引っ掛かって係着される。このように、ゲージ41がベース2から脱離することなくベース2に対して所定の定位位置に定位されることができる。
【0043】
以上により、該第2の実施例に係るパンチ1Aは、第1の実施例に係るパンチ1と同様な効果が得られると共に、ゲージ41を使用者が自力で引き出すことなく、押し部材52を押すだけで第1の弾性部材54(第1の弾性力)によってゲージ41が所定の定位位置にはじき出されることができる。また、第2の弾性部材55(第2の弾性力)で係止部材53が第1の位置決め部412に係止されることによって、ゲージ41のベース2内の収納状態を安定して保持することができ、また、第2の位置決め部413に係止されることによってゲージ41がベース2から容易に脱離してしまうことがなくなる。
【0044】
以上のように、本発明に係るパンチ1又は1Aによれば、ゲージ41がベース2の側面23に対して近づくと、突き当て部42が境界線L1に対しての当接側に移動されて定位され、また、ゲージ41がベース2から遠ざかると、突き当て部42が境界線L1に対しての差込側に移動されて定位されることにより、ゲージ41を使用しない時には、用紙9が突き当て部42に引っ掛からずに済み、また、ゲージ41を使用する時には、用紙9の側辺92が突き当て部42に当接されて用紙9の穿孔位置合わせを行うことができるので、使用勝手がよい。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るパンチは、用紙を綴じるための綴じ孔を開けるための文具として有用である。
【符号の説明】
【0047】
1、1A パンチ
2 ベース
20 収容スペース
21 載置面
210 パンチ穴
22 ブロック面
23 側面
23a〜23e 第1の係合部
24 裏面
240 案内溝
240a 一端
240b 他端
241 ゲージ挿入口
242 突片
24a 側壁部
24b 底壁
3 パンチ手段
31 ハンドル
32 支持フレーム
4 ゲージ手段
41 ゲージ
411 第2の係合部
412 第1の位置決め部
413 第2の位置決め部
41a 一端部
41b 他端部
42 突き当て部
5 ラッチ手段
51 回転軸
52 押し部材
521 一端部
522 他端部
53 係止部材
531 係止部
54 第1の弾性部材
55 第2の弾性部材
9 用紙
91 差込辺
92 側辺
L1 境界線
L2 長手軸線
P 交点
θ 角
【要約】
【課題】ゲージを使用しない時は、ゲージが用紙の穿孔作業の邪魔にならないパンチを提供する。
【解決手段】
突き当て部42は、ゲージがベース2に遠ざかった定位位置からベース2に近づいた収納位置側に移動された場合、境界線L1に対しての当接側に移動されると共にベース2の側面23に近づいて対向して定位され、ゲージが収納位置から定位位置側に移動された場合、ベース2の側面23から離れると共に境界線L1に対しての差込側に移動されて定位されるように設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13