特許第6242493号(P6242493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242493海上プラントのハイブリッド電力供給装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242493
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】海上プラントのハイブリッド電力供給装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20171127BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H02J1/00 306L
   H02J1/00 306B
   H02J7/34 D
   H02J1/00 304G
   H02J1/00 304H
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-540589(P2016-540589)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-503460(P2017-503460A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】KR2014012536
(87)【国際公開番号】WO2015093871
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0158009
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0075135
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513049387
【氏名又は名称】デウ シップビルディング アンド マリン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ホ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヨン ホ
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02503666(EP,A2)
【文献】 特表2016−541227(JP,A)
【文献】 特表2017−504294(JP,A)
【文献】 特開2009−27774(JP,A)
【文献】 特開2009−33936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00−7/12,7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上プラントのハイブリッド電力供給装置において、
発電機;
前記発電機で生産した交流を直流に変換してDCバスに供給するAC/DC変換器;
前記DCバスに連結して回生電力を発生する電力負荷;
前記DCバスの電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したら電力を貯蔵し、第2臨界値以下を第2時間維持したら貯蔵した電力を前記DCバスに供給する第1電力貯蔵部;及び
前記DCバスの電圧が前記第1臨界値以上を第3時間維持したら電力を消耗する第1抵抗部を備え、前記第3時間は前記第1時間より長いことを特徴とする海上プラントのハイブリッド電力供給装置。
【請求項2】
前記DCバスに連結した第1DC/DC変換器;
前記DCバスに連結した第2DC/DC変換器を更に備え、
前記第1電力貯蔵部は前記第1DC/DC変換器に連結され、前記第1抵抗部は前記第2DC/DC変換器に連結されることを特徴とする請求項1に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給装置。
【請求項3】
前記第1電力貯蔵部はウルトラキャパシタであることを特徴とする請求項1に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給装置。
【請求項4】
前記電力負荷はドローワークスであることを特徴とする請求項1に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給装置。
【請求項5】
前記電力負荷はトップドライブであることを特徴とする請求項1に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給装置。
【請求項6】
海上プラントのハイブリッド電力供給方法において、
DCバスの電圧を測定する段階;
前記DCバスの電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したら電力貯蔵部が電力を貯蔵する段階;
前記DCバスの電圧が第2臨界値以下を第2時間維持したら前記電力貯蔵部が前記DCバスに電力を供給する段階;及び
前記DCバスの電圧が前記第1臨界値以上を第3時間維持したら抵抗部が電力を消耗する段階を含み、
前記DCバスには回生電力を発生する電力負荷が連結され
前記第3時間は前記第1時間より長いことを特徴とする海上プラントのハイブリッド電力供給方法。
【請求項7】
前記DCバスには第1DC/DC変換器及び第2DC/DC変換器が連結され、
前記電力貯蔵部は前記第1DC/DC変換器に連結し前記抵抗部は前記第2DC/DC変換器に連結されることを特徴とする請求項記載の海上プラントのハイブリッド電力供給方法。
【請求項8】
前記電力貯蔵部はウルトラキャパシタであることを特徴とする請求項に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給方法。
【請求項9】
前記電力負荷はドローワークスであることを特徴とする請求項に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給方法。
【請求項10】
前記電力負荷はトップドライブであることを特徴とする請求項に記載の海上プラントのハイブリッド電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上プラントのハイブリッド電力供給に関するものであり、より詳しくは、海上プラントで発生する回生電力を利用したハイブリッド電力供給装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際的に急激な産業化現象と工業の発展に従って石油などの資源の使用量は増えつつあり、これに従ってオイルの安定的な生産と供給が世界的に重要な問題として浮上している。
【0003】
それ故、今までは経済性がなかったために無視された群小の限界油田(marginal field)や深海油田の開発が、最近経済性を有するようになった。そして、海底採掘技術の発達とともにこれらの油田開発に適した試錐設備を備えた海上プラントの開発が盛んに行われている。
【0004】
海上プラントには、海底の地下に存在する石油やガスなどの試錐を可能にするため、デリックシステム、ドローワークス(draw works)、トップドライブ、マッドポンプ、セメントポンプ、ライザー、ドリルパイプ等各種の試錐関連装備が備えられている。
【0005】
ドローワークスは、ドリルパイプの昇降、ケーシングの挿入などを行う装備であり、ドラム及びモーターが備えられる。ドラムはモーターからの動力を受けワイヤロープを巻き込むか、巻き戻すことでドリルパイプの昇降を調節する。モーターは速度の調節が可能であるためドラムの速度を調節することができ、これによってドリルパイプの速度を調節する。
【0006】
トップドライブは、試錐作業において試錐及びパイプの締結のための動力を提供する装備である。
【0007】
海上プラントには、近海の一か所に停泊し試錐作業を行う固定式プラットフォームと、3,000m以上の深海で試錐作業が可能な浮遊式の海上プラントがある。
【0008】
浮遊式の海上プラントには、主推進装置またはコンピューターによる動的位置制御(Dynamic Positioning)を行うための推進装置であり、複数のスラスター(thruster)が設置される。スラスターは船底に設置されプロペラの作用方向を変える推進器であり、通常は航海またはタグボートがなくても自力で運河を運航、入出港するために利用される。スラスターは、スラスターに連結したスラスターモーターから動力を供給される。
【0009】
図1は、従来技術による電力の供給システムを表した図面である。
【0010】
図1に示したように、発電機(110)で発生した交流電力はACバスに供給され、ACバスには第1AC/DC変換器(121)、第2AC/DC変換器(122)及び第3AC/DC変換器(123)が連結されている。
【0011】
第1AC/DC変換器(121)はACバスから供給された交流を直流に変換して第1DCバス(131)に供給し、DC/AC変換器(141)は第1DCバス(131)から供給された直流を交流に変換して第1スラスターモーター(151)に供給する。
【0012】
第2AC/DC変換器(122)はACバスから供給された交流を直流に変換して第2DCバス(132)に供給し、DC/AC変換器(142)は第2DCバス(132)から供給された直流を交流に変換して第2スラスターモーター(152)に供給する。
【0013】
また、第3AC/DC変換器(123)はACバスから供給された交流を直流に変換して第3DCバス(133)に供給し、第3DCバス(133)には複数のDC/AC変換器(143〜148)が連結されている。複数のDC/AC変換器(143〜148)の各々は第3DCバス(133)から供給された直流を交流に変換して複数のドローワークスモーター(153、154、155、158、159)及び複数のトップドライブ(156、157)の中で各々に連結されたモーターに供給する。
【0014】
ドローワークスのモーター(153、154、155、158、159)及びトップドライブのモーター(156、157)は、ドリルパイプなどの試錐装備の昇降動作を繰り返すため、定格回転しながら急に回転を止めたり反対方向に回転したりするなど制動が頻繁に発生する運転特徴がある。スラスターモーター(151、152)も動的位置制御のため定格回転しながら急に回転を止めたり反対方向に回転したりするなど制動が頻繁に発生する運転特徴がある。そして、モーターにおいて制動が発生した時には回生電力が発生する。また、スラスターが外乱によって回転した時にもスラスターモーターで回生電力が発生する。
【0015】
ドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、またはスラスターモーターで回生電力が発生すると、ドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、またはスラスターモーターに連結したDCバスの電圧が上昇し、DCバスの収容能力の限界を超えて電圧の上昇が生じたら、DCバスがトリップ(trip)する。
【0016】
このように、従来技術では、抵抗(resistor)(161〜166)を設置し、回生電力を熱として消耗させて、DCバスのトリップ現象を防止する。
【0017】
図2は、従来技術による電力供給システムにおいて、各々の構成要素で消費される電力を表したグラフである。
【0018】
図2において、発電機で生産した電力は、配電盤を介して第1負荷(220)及びAC/DC変換器(260)に供給される。AC/DC変換器(260)は交流を直流に変換して第2負荷(240)に供給し、DC/AC変換器を介してドローワークス(230)に供給する。第1負荷(220)と第2負荷(240)は一定の電力を消費する負荷である。一方、ドローワークス(230)は消費電力が継続的に変化し、図2において電力がマイナスの場合は回生電力が発生したことを表す。ドローワークス(230)で発生した回生電力は第2負荷(240)または抵抗(250)で消費される。
【0019】
ドローワークス(230)の消費電力が急激に変化することで発電機(210)の電力の出力が急激に変化することがわかる。しかし、ディーゼル発電機は電力の出力が一定である場合より電力の出力が急変する場合にもっと多くの燃料が使用され、多くの燃料を使用することでより多くの排気ガスが排出される。
【0020】
また、ドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターの急変する電力消費に応じて適切な電力を供給するためには、発電機が出力電力を迅速に変更できなければならない。しかし、発電機は反応速度が遅く、ドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターの急変する電力消費に応じて適切な電力を供給することができないという問題点がある。ドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターへの適切な電力供給が行われなかった場合、試錐作業の特性上、危険な状況をもたらす問題点がある。また、停電が発生した場合、ドローワークスのモーターまたはトップドライブのモーターへの電力供給が急に切れた場合にも危険な状況をもたらし得る。
【0021】
すなわち、従来技術においては、回生電力を抵抗に消耗させるためエネルギーを浪費する問題点、発電機の電力出力が急変することによる燃料消費及び排気ガスの増加、発電機がドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターに適切な電力を供給することができないこと、及び急に停電した時に危険な状況が発生し得るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、回生電力を効率的に使用することができ、発電機の電力出力を一定に維持することができ、消費電力が急変する電力負荷に適切な電力の供給ができ、急な停電時の電力供給ができる海上プラントのハイブリッド電力供給装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するため、本発明の一実施例には、海上プラントのハイブリッド電力供給装置において、発電機;前記発電機で生産した交流を直流に変換してDCバスに供給するAC/DC変換器;前記DCバスに連結されて回生電力を発生する電力負荷;前記DCバスの電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したら電力を貯蔵し、第2臨界値以下を第2時間維持したら貯蔵した電力を前記DCバスに供給する第1電力貯蔵部;及び前記DCバスの電圧が前記第1臨界値以上を第3時間維持したら電力を消耗する第1抵抗部を備え、前記第3時間は前記第1時間より長いことを特徴とする海上プラントのハイブリッド電力供給装置が提供される。
【0024】
特に、前記海上プラントのハイブリッド電力供給装置は、前記DCバスに連結された第1DC/DC変換器を更に備え、前記第1電力貯蔵部及び前記第1抵抗部は前記第1DC/DC変換器に連結され得る。
【0025】
また、前記DCバスに連結された第1DC/DC変換器;前記DCバスに連結された第2DC/DC変換器を更に備え、前記第1電力貯蔵部は前記第1DC/DC変換器に、前記第1抵抗部は前記第2DC/DC変換器に、連結され得る。
【0026】
また、前記第1電力貯蔵部は、ウルトラキャパシタであり得る。
【0027】
また、前記電力負荷はドローワークスであり得る。
【0028】
また、前記電力負荷はトップドライブであり得る。
【0029】
前述の目的を達成するため本発明の他の実施例には、海上プラントのハイブリッド電力供給方法において、DCバスの電圧を測定する段階;前記DCバスの電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したら電力貯蔵部が電力を貯蔵する段階;前記DCバスの電圧が第2臨界値以下を第2時間維持したら前記電力貯蔵部が前記DCバスに電力を供給する段階を含み、前記DCバスには回生電力を発生する電力負荷が連結していることを特徴とする海上プラントのハイブリッド電力供給方法が提供される。
【0030】
特に、前記海上プラントのハイブリッド電力供給方法は、前記DCバスの電圧が前記第1臨界値以上を第3時間維持したら抵抗部が電力を消耗する段階を含み、前記第3時間は前記第1時間より長くできる。
【0031】
また、前記DCバスには第1DC/DC変換器が連結され、前記電力貯蔵部及び抵抗部は前記第1DC/DC変換器に連結され得る。
【0032】
また、前記DCバスには第1DC/DC変換器及び第2DC/DC変換器が連結され、前記電力貯蔵部は前記第1DC/DC変換器に連結し、前記抵抗部は前記第2DC/DC変換器に連結され得る。
【0033】
また、前記電力貯蔵部はウルトラキャパシタであり得る。
【0034】
また、前記電力負荷はドローワークスであり得る。
【0035】
また、前記電力負荷はトップドライブであり得る。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施例において、電力貯蔵部を用いてドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターで発生した回生電力を貯蔵してドローワークスのモーター、トップドライブのモーター、スラスターモーターの電力消費が急激に増加した場合には電力貯蔵部に貯蔵した電力を供給することで、回生電力の効率的な使用と、発電機の電力出力を一定に維持することができ、排気ガスを減らすことができる。
【0037】
また、電力貯蔵部として反応速度が速いウルトラキャパシタを利用し、消費電力が急激に変わる負荷への適切な電力の供給ができる。
【0038】
また、過度状態または停電が発生した時、電力貯蔵部に貯蔵した電力を利用することで、ドローワークスまたはトップドライブなどのドリルリング装備の安全なシャットダウン(shutdown)ができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】従来技術による電力供給システムを表した図面である。
図2】従来技術による電力供給システムにおいて各々の構成要素で消費される電力を示すグラフである。
図3】本発明の第1実施例における海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面である。
図4】本発明の第2実施例における海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面である。
図5】本発明の第3実施例における海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面である。
図6】本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において、電力貯蔵部に電力を貯蔵する過程を表した図面である。
図7】本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において、電力不足の時に電力貯蔵部からDCバスで電力を供給する過程を表した図面である。
図8】本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において、停電時に電力貯蔵部からDCバスで電力を供給する過程を表した図面である。
図9】本発明の実施例による電力供給装置において、各々の構成要素で消費される電力を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の好ましい実施例について添付図面を参照しながら詳しく説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号をつけることにおいて、同一の構成要素に対しては、例え他の図面上に表示されても、できるだけ同じ符号を付けたことに留意すべきである。また、本発明の説明において、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨と関係が薄いと判断した場合にはその詳細な説明は省略した。
【0041】
まず、図3図5を参照し、本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給装置を説明する。図3は本発明の第1実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面、図4は本発明の第2実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面、図5は本発明の第3実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給装置を表した図面である。
【0042】
図3図5に示したように、本発明の第1実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給装置には、発電機(310)、AC/DC変換器(320)、DCバス(bus)(321)、VFD(variable frequency drive)制御部(330)、DC/DC変換器(351〜353)、電力負荷(361〜363)、電力貯蔵部(371〜373)、抵抗部(381〜383)及びセンサー(391)が備えられる。
【0043】
発電機(310)は、海上プラントにおける必要な電力を生産する装置であり、ACバスによってAC/DC変換器(320)に連結される。または、発電機(310)で生産した電力は、電力負荷での使用に適切な電圧として変圧器で変更された後、AC/DC変換器(320)に供給され得る。発電機(310)は交流発電機として交流電力を生産することができる。
【0044】
AC/DC変換器(320)は発電機(310)で生産した交流電力を直流に変換してDCバス(321)に供給する。
【0045】
DCバス(321)はDCバス(321)に連結している電力負荷に電力を供給する。直流電力を利用する電力負荷はDCバス(321)と直ちに連結され、交流電力を利用する電力負荷はDC/AC変換器(341〜343)を介してDCバス(321)と連結され得る。
【0046】
図3に図示した電力負荷(361〜363)は交流電力を利用する電力負荷であって、DC/AC変換器(341〜343)を介してDCバス(321)に連結されている。DC/AC変換器(341〜343)はDCバス(321)から供給を受けた直流を交流に変換し電力負荷(361〜363)に供給する。
【0047】
電力負荷(361〜363)は、ドローワークスモーターまたはトップドライブモーターであり得る。
【0048】
図3には、DCバス(321)に電力負荷として三つのドローワークスモーター(361〜363)が連結されるが、本発明はこれに限られず、多様な数のドローワークスモーター及びトップドライブモーターがDCバス(321)に連結され得る。
【0049】
ドローワークスのモーター(361〜363)はドリルパイプなどの試錐装備の昇降動作を繰り返すため、定格に回転して回転を急に止めたり反対方向に回転したりするなど、制動がよく発生する運転の特性上、ドローワークスのモーターには回生電力が発生する。
【0050】
電力貯蔵部(371〜373)はDCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したらDCバス(321)から電力の供給を受けて電力を貯蔵し、DCバス(321)の電圧が第2臨界値以下を第2時間維持したらDCバス(321)に電力を供給する。例えば、DCバス(321)が720V用であって750V以上になったらトリップすると仮定したら、第1臨界値は740Vに設定され得る。
【0051】
DC/DC変換器(351〜353)はDCバス(321)の電圧を測定し、第1臨界値以上を第1時間維持したらDCバス(321)から電力貯蔵部(371〜373)に電力を供給して電力貯蔵部(371〜373)に電力を貯蔵し、DCバス(321)の電圧が第2臨界値以下を第2時間維持したら電力貯蔵部(371〜373)からDCバス(321)に電力を流し電力貯蔵部(371〜373)からDCバス(321)に電力を供給させる。
【0052】
電力負荷(361〜363)において回生電力が発生すると、DCバス(321)の電圧が上昇し、電力負荷(361〜363)の消費電力が急増するとDCバス(321)の電圧が下降する。
【0053】
すなわち、電力負荷(361〜363)で回生電力が発生するとDCバス(321)の電圧が上昇し、DCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したらDC/DC変換器(351〜353)が電力貯蔵部(371〜373)に電力を供給して電力貯蔵部(371〜373)に電力を貯蔵することで、電力負荷(361〜363)で発生した回生電力が電力貯蔵部(371〜373)に貯蔵される。
【0054】
また、電力負荷(361〜363)の消費電力が急増したら、DCバス(321)の電圧が下降し、DCバス(321)の電圧が第2臨界値以下を第2時間維持したらDC/DC変換器(351〜353)が電力貯蔵部(371〜373)からDCバス(321)に電力を流し電力貯蔵部(371〜373)からDCバス(321)に電力を供給させる。電力貯蔵部(371〜373)は、ウルトラキャパシタ、キャパシタ、バッテリー及びフライホイール(fly wheel)の少なくとも一つであり得る。特に、電力貯蔵部(371〜373)がウルトラキャパシタであった場合、ウルトラキャパシタは反応速度が発電機(310)より速いため電力負荷(361〜363)の消費電力が急増したとき、電力負荷(361〜363)に迅速な電力の供給ができる。
【0055】
また、電力貯蔵部(371〜373)は過度状態または停電発生の時にも、DCバス(321)に電力を供給する。過度状態または停電の発生を感知するセンサー(391)が過度状態または停電を感知したら感知信号をDC/DC変換器(351〜353)に伝送し、DC/DC変換器(351〜353)は電力貯蔵部(371〜373)からDCバス(321)に電力を供給させる。
【0056】
センサー(391)はスイッチボード及びDCバス(321)のうち少なくとも一か所に設置され得る。
【0057】
ドローワークス及びトップドライブなどのドリルリング装備は、急に電力供給が切れた場合危険な状況になる恐れがある。したがって、過度状態または停電発生時に電力貯蔵部(371〜373)がDCバス(321)に電力を供給することでドリルリング装備の安全なシャットダウン(shutdown)が可能である。
【0058】
抵抗部(381〜383)はDCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第3時間維持したら電力を消耗する。ここで、第3時間は第1時間より長い。
【0059】
電力負荷(361〜363)で回生電力が発生すると、DCバス(321)の電圧が上昇し第1臨界値以上を第1時間維持したら電力貯蔵部(371〜373)が電力を貯蔵する。また、電力貯蔵部(371〜373)の容量が満たされた時にはDCバス(321)の電圧が下降せず続けて第1臨界値以上を維持するようになる。したがって、DCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第3時間維持するということは電力貯蔵部(371〜373)の容量が満たされたとみなすことができる。しかし、電力貯蔵部(371〜373)の容量が満たされた状態で回生電力が続いて発生するとDCバス(321)の電圧が続いて上昇しDCバス(321)がトリップし得る。したがって、DCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第3時間維持したらDC/DC変換器(351〜353)は抵抗部(381〜383)に電力を消耗させる。
【0060】
図3図5には三つの電力貯蔵部(371〜373)及び三つの抵抗部(381〜383)が図示されているが、本発明はこれに限定されなく、多様な数の電力貯蔵部と抵抗部が備えられ得る。
【0061】
図3に示したように、複数の電力貯蔵部(371〜373)各々は複数の抵抗部(381〜383)のある一つと対をなしてDCバス(321)に連結され得る。即ち、第1電力貯蔵部(371)と第1抵抗部(381)は第1DC/DC変換器(351)を介してDCバス(321)に連結し、第2電力貯蔵部(372)と第2抵抗部(382)は第2DC/DC変換器(352)を介してDCバス(321)に連結し、第3電力貯蔵部(373)と第3抵抗部(383)は第3DC/DC変換器(353)を介してDCバス(321)に連結する。図3のように、一つのDC/DC変換器に電力貯蔵部及び抵抗部を連結すると、必要なDC/DC変換器の数を減らすことができ、これによって装備のサイズが小さくなる長所がある。
【0062】
または、図4に図示したように、複数の電力貯蔵部(371〜373)及び複数の抵抗部(381〜383)各々は、別々のDC/DC変換器(451〜456)を介してDCバス(321)に連結され得る。即ち、第1電力貯蔵部(371)は第1DC/DC変換器(451)を介してDCバス(321)に連結し、第2電力貯蔵部(372)は第2DC/DC変換器(452)を介してDCバス(321)に連結し、第3電力貯蔵部(373)は第3DC/DC変換器(453)を介してDCバス(321)に連結し、第1抵抗部(381)は第4DC/DC変換器(454)を介してDCバス(321)に連結し、第2抵抗部(382)は第5DC/DC変換器(455)を介してDCバス(321)に連結し、第3抵抗部(383)は第6DC/DC変換器(456)を介してDCバス(321)に連結する。図4のように、複数の電力貯蔵部(371〜373)及び複数の抵抗部(381〜383)の各々を別々のDC/DC変換器(451〜456)に連結すると、複数の電力貯蔵部(371〜373)及び複数の抵抗部(381〜383)各々が独立的に運営できる長所がある。
【0063】
または、図5に示したように、一つの電力負荷(361〜363)に一つの電力貯蔵部(371〜373)及び一つの抵抗部(381〜383)が従属し得る。即ち、第1電力負荷(361)で回生電力が発生したら、第1電力貯蔵部(371)で貯蔵し、第1電力貯蔵部(371)の容量が満たされたら第1抵抗部(381)で消耗する。また、第2電力負荷(362)で回生電力が発生したら、第2電力貯蔵部(372)で貯蔵し、第2電力貯蔵部(372)の容量が満たされたら第2抵抗部(382)で消耗する。また、第3電力負荷(363)で回生電力が発生したら、第3電力貯蔵部(373)で貯蔵し、第3電力貯蔵部(373)の容量が満たされたら第3抵抗部(383)で消耗する。
【0064】
第1電力負荷(361)で回生電力が発生したら第1DC/AC変換器(341)が第1電力負荷(361)における回生電力の発生を感知し第1DC/DC変換器(351)に制御信号を伝送する。第1DC/DC変換器(351)は制御信号を受信したら、第1電力貯蔵部(371)の電力貯蔵ができるようにDCバス(321)から第1電力貯蔵部(371)に電力を供給させる。また、第1DC/DC変換器(351)は第1電力貯蔵部(371)の容量が満たされたか否かを感知し第1電力貯蔵部(371)の容量が満たされたら第1抵抗部(381)に電力を消耗させる。図3には第1電力貯蔵部(371)と第1抵抗部(381)が一つのDC/DC変換器(351)に連結したものが図示されているが、第1電力貯蔵部(371)と第1抵抗部(381)が各々異なったDC/DC変換器に連結する構成もできる。
【0065】
次に、図6図8を参照しながら、本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法を説明する。図6は、本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において電力貯蔵部に電力を貯蔵する過程を表した図面である。図7は、本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において電力不足時に電力貯蔵部からDCバスに電力を供給する過程を表した図面である。図8は、本発明の実施例による海上プラントのハイブリッド電力供給方法において停電時に電力貯蔵部からDCバスに電力を供給する過程を表した図面である。
【0066】
図6に示したように、DCバス電圧を測定し(S610)、DCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第1時間維持したら電力貯蔵部に電力を貯蔵し(S620)、DCバス(321)の電圧が第1臨界値以上を第2時間維持したら抵抗部で電力を消耗させる(S630)。
【0067】
また、図7に示したように、DCバス(321)の電圧を測定し(S710)、DCバス電圧が第2臨界値以下を第3時間維持したら電力貯蔵部に貯蔵した電力をDCバスに供給する(S720)。
【0068】
また、センサー(391)が停電を感知したら(S810)、センサー(391)がDC/DC変換器に制御信号を伝送し(S820)、DC/DC変換器はセンサー(391)から制御信号を受信し電力貯蔵部に貯蔵した電力をDCバスに供給させる(S830)。
【0069】
次に、本発明の実施例による電力供給装置において各々の構成要素で消費される電力を図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の実施例による電力供給装置において各々の構成要素で消費される電力を表したグラフである。
【0070】
図9に示したように、電力負荷で回生電力が発生したら電力貯蔵部が発生した回生電力を貯蔵し、電力負荷の消費電力が急増したら電力貯蔵部は貯蔵された電力を電力負荷に供給することで発電機の電力出力が一定に維持されることがわかる。
【0071】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明に属する技術分野における通常の知識を有する者なら本発明の本質的な特性を超えない範囲で多様な修正及び変更ができる。したがって、本発明で開示した実施例は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、単に説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲は限定されない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、これと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれることと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9