特許第6242522号(P6242522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6242522
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】バーナ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/78 20060101AFI20171127BHJP
   F23D 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F23D14/78 A
   F23D1/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-59194(P2017-59194)
(22)【出願日】2017年3月24日
【審査請求日】2017年3月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】小池 純
(72)【発明者】
【氏名】小菅 克志
(72)【発明者】
【氏名】川成 将人
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−081437(JP,U)
【文献】 特開平11−051334(JP,A)
【文献】 特開2002−048315(JP,A)
【文献】 特開2002−267117(JP,A)
【文献】 特開平09−243028(JP,A)
【文献】 特表2011−513682(JP,A)
【文献】 特開2007−278581(JP,A)
【文献】 特開2001−065823(JP,A)
【文献】 特開2000−258071(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/068231(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/78
F23D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉燃料が流通するように構成された燃料管と、
冷却液が内部を循環するように構成された筒状の冷却部材と、
前記燃料管の先端近傍が内部に挿通され且つ自身が前記冷却部材の先端近傍に挿通された筒状のノズルチップとを備え、
前記ノズルチップの筒壁内には、前記ノズルチップの軸方向に沿って延びるように前記ノズルチップを貫通する酸化剤の流路が設けられており、
前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうち少なくとも一方は、ネジによって螺合されており、
前記燃料管の先端は、前記ノズルチップの先端面に到達し且つ露出している、バーナ。
【請求項2】
前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうち一方は、ネジによって螺合されており、
前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうち他方は、嵌合されている、請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうち他方は、JIS B 0401−1:2016(ISO286−1:2010)にて定められる穴の公差域がD〜Hのいずれかで且つ軸の公差域がd〜hのいずれかとなるように、隙間嵌めにより嵌合されている、請求項2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうちの他方の隙間嵌めの長さは、1cm以上である、請求項3に記載のバーナ。
【請求項5】
前記冷却部材の先端部は、当該先端部の全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項6】
前記冷却部材の先端部は、溶接によって基端部と接続されており、
前記基端部のうち前記先端部寄りの部分は少なくとも、固溶化処理されたステンレス鋼である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項7】
前記冷却部材の先端部は、溶接によって基端部と接続されており、
前記先端部と前記基端部との溶接箇所を含む領域を覆うように、前記先端部の表面に被覆層が配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項8】
前記被覆層は、当該先端部の全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されている、請求項7に記載のバーナ。
【請求項9】
前記先端部は銅によって構成されており、前記基端部はステンレス鋼によって構成されている、請求項8に記載のバーナ。
【請求項10】
前記冷却部材は、
筒状の外周壁と、
前記外周壁の内側に位置する筒状の内周壁と、
前記外周壁及び前記内周壁の先端を接続する先端壁と、
前記外周壁及び前記内周壁から離間するようにこれらの間に位置する筒状の内部壁とを含み、
前記内部壁と、前記先端壁、前記外周壁又は前記内周壁との間には、スペーサが設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項11】
前記燃料管の熱膨張率は前記ノズルチップの熱膨張率よりも高い、請求項1〜10のいずれか一項に記載のバーナ。
【請求項12】
微粉燃料が流通するように構成された燃料管を用意する第1の工程と、
冷却液が内部を循環するように構成された筒状の冷却部材を用意する第2の工程と、
軸方向に沿って延びるように貫通する酸化剤の流路が筒壁内に設けられた筒状のノズルチップを用意する第3の工程と、
前記燃料管の先端が前記ノズルチップの先端面に到達し且つ露出するように前記燃料管の先端を前記ノズルチップ内に挿通すると共に、前記ノズルチップを前記冷却部材の先端近傍内に挿通する第4の工程とを含み、
前記第4の工程では、前記ノズルチップと前記燃料管との間、及び、前記ノズルチップと前記冷却部材との間のうち少なくとも一方をネジによって螺合する、バーナの製造方法。
【請求項13】
前記冷却部材は、
二重管の一端が先端壁で閉塞されると共に他端側において内側管が外側管よりも長くなるように構成された前記冷却部材の先端部と、前記冷却部材の内周壁に対応すると共にステンレス鋼によって構成された内側筒状部と、前記冷却部材の外周壁に対応すると共にステンレス鋼によって構成された外側筒状部とを用意する第1のサブステップと、
前記第1のサブステップの後に、前記内側管の他端と前記内側筒状部の一端とを溶接する第2のサブステップと、
前記第2のサブステップの後に、前記外側管の他端と前記外側筒状部の一端とを溶接して一体化部品を形成する第3のサブステップと、
前記第3のサブステップの後に、(A)前記一体化部品を加熱して、前記内側筒状部及び前記外側筒状部を構成するステンレス鋼を固溶化処理するか、又は、(B)前記先端部と前記外側筒状部との溶接箇所を含む領域を覆うように、前記一体化部品の先端近傍に被覆層を形成する第4のサブステップとを経て得られる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭等の固体燃料が微粉末状となった微粉燃料をガス化して可燃性ガス等を生成するガス化炉が知られている。ガス化炉は、微粉燃料のガス化反応が行われる反応炉と、反応炉に設けられたガス化バーナとを備える。ガス化バーナの構成の一例は、例えば特許文献1に開示されている。当該ガス化バーナは、微粉燃料が流通する一つの燃料用流路と、酸化剤が流通する複数の酸化剤用流路と、冷却水が流通する冷却水用流路とが設けられた円柱状のノズルチップを有する。ノズルチップの先端面(以下、単に「先端面」という。)は反応炉内に露出している。
【0003】
燃料用流路は、ノズルチップ内において、ノズルチップの中心線(以下、単に「中心線」という。)に沿って延びるように中心線上に配置されている。燃料用流路の吐出口は、先端面に開口している。複数の酸化剤用流路は、中心線に沿って延びると共に、燃料用流路を取り囲むように位置している。複数の酸化剤用流路の吐出口は、先端面に開口していると共に、中心線側に向かうように先端面に対して傾斜している。そのため、燃料用流路の吐出口から吐出された微粉燃料は、中心線上で且つ先端面から所定の大きさ離間した位置において、複数の酸化剤用流路の吐出口から吐出された酸化剤と混合され、反応炉内で燃焼する。
【0004】
冷却水用流路は、中心線に沿って延びると共に、複数の酸化剤用流路を取り囲むように、ノズルチップ内に配置されている。冷却水用流路は、ガス化バーナの基端部側から先端面に向けて延び、先端面近傍において折り返した後、再び当該基端部側に向かって延びている。すなわち、冷却水用流路は先端面に開口していない。冷却水用流路は、内部を循環する冷却水によってガス化バーナ(ノズルチップ)を冷却する機能を有する。特許文献1に記載のガス化バーナにおいては、燃料用流路、複数の酸化剤用流路及び冷却水用流路は、一つのノズルチップに一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−140436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、これまでのガス化炉は例えば石炭発電所等の設備に併設されており、当該設備では当然に同じ燃料種(石炭発電所では石炭)が利用され続けられていた。そのため、ガス化炉においても、用いられる燃料種が変更されることは想定されていなかった。その理由は、次のとおりである。すなわち、仮に燃料種が変更されると、微粉燃料と酸化剤との混合状態も変化するので、ガス化バーナにおいて生ずる火炎の火炎長も変化してしまう。そのため、変化した後の火炎長に対して適切な大きさの反応炉とすべく、ガス化炉の大規模な改造が必要となってしまう。
【0007】
近年、環境負荷の低減を目的として、石炭とバイオマス燃料(例えば、木質ペレット、木質チップ等)との混合燃料を用いたバイオマス混焼発電技術が注目されている。現在も、より優れた発電効率を達成するために、当該技術の研究開発が日々進められているところである。すなわち、石炭とバイオマス燃料との混合割合は、研究開発の動向によって将来的に変化しうる。ところが、当該混合割合の変化は、燃料種の変更に相当し、ガス化バーナにおける火炎長の変化に繋がる。そのため、研究開発が進むごとにガス化炉の大規模な改造を行うのは困難である。従って、ガス化炉を改造することなしに種々の燃料種に対応しうるガス化バーナの需要が、今後予測される。
【0008】
そこで、本開示は、簡易な構成で種々の燃料種に対応することが可能なバーナ及びその製造方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本開示の一つの観点に係るバーナは、燃料が流通するように構成された燃料管と、冷却液が内部を循環するように構成された筒状の冷却部材と、燃料管の先端近傍が内部に挿通され且つ自身が冷却部材の先端近傍に挿通された筒状のノズルチップとを備える。ノズルチップの筒壁内には、ノズルチップの軸方向に沿って延びるようにノズルチップを貫通する酸化剤の流路が設けられている。ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち少なくとも一方は、ネジによって螺合されている。
【0010】
本開示の一つの観点に係るバーナでは、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち少なくとも一方が、ネジによって螺合されている。そのため、燃料管及び冷却部材に対するノズルチップの取り付け及び取り外しが極めて容易である。従って、流路の向きが異なる複数種類のノズルチップを準備しておくことにより、ガス化炉の改造をすることなくノズルチップを交換するだけで、燃料種の変更に対応することができる。その結果、簡易な構成で種々の燃料種に対応することが可能となる。
【0011】
[2]上記第1項に記載のバーナにおいて、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち一方は、ネジによって螺合されており、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち他方は、嵌合されていてもよい。
【0012】
[3]上記第2項に記載のバーナにおいて、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち他方は、JIS B 0401−1:2016(ISO286−1:2010)にて定められる穴の公差域がD〜Hのいずれかで且つ軸の公差域がd〜hのいずれかとなるように、隙間嵌めにより嵌合されていてもよい。バーナは高温の反応炉内において使用されるので、ノズルチップ及び燃料管は使用時において熱膨張する。そのため、上記の条件で2つの部材が隙間嵌めされていると、冷却部材の製造時には、当該2つの部材の間に隙間が存することから両者を簡便に組み付けることができると共に、バーナの使用時においては、熱膨張の作用により当該隙間が減少するので、当該隙間からの酸化剤の流出を抑制することが可能となる。
【0013】
[4]上記第3項に記載のバーナにおいて、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうちの他方の隙間嵌めの長さは、1cm以上であってもよい。隙間嵌めの長さが1cm以上であると、ノズルチップの流路からではなく、隙間嵌めされた2つの部材間の隙間から酸化剤が流出したとしても、その流出量がごく僅かとなる傾向にある。そのため、バーナにおいて生ずる火炎の火炎長に影響が生じ難くなる。
【0014】
[5]上記第1項〜第4項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、冷却部材の先端部は、当該先端部の全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されていてもよい。ところで、反応炉内における燃料の燃焼により、反応炉内に酸性ガス(例えば、硫化水素、塩化水素など)が生ずる場合がある。このような酸性ガスは、反応炉の運転開始時及び運転停止時において反応炉内の温度が下がると酸性液となり、バーナの先端近傍に付着して、当該先端近傍を腐食させてしまう。このような現象は、「露点腐食」ともいわれる。加えて、冷却部材は、使用時において、反応炉からの熱で外表面が高温に加熱され且つ冷却液によって内部が冷却されるので、応力腐食割れが生じやすい。しかしながら、第5項に記載のバーナにおいては、冷却部材の先端部が耐食性の高い上記の材料によって構成されているので、冷却部材が露点腐食し難く、冷却部材の応力腐食割れも抑制することが可能となる。
【0015】
[6]上記第1項〜第5項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、冷却部材の先端部は、溶接によって基端部と接続されており、基端部のうち先端部寄りの部分は少なくとも、固溶化処理されたステンレス鋼であってもよい。この場合、溶接によって劣化したステンレス鋼の耐腐食性が、固溶化処理により回復する。そのため、冷却部材の応力腐食割れをより抑制することが可能となる。
【0016】
[7]上記第1項〜第4項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、冷却部材の先端部は、溶接によって基端部と接続されており、先端部と基端部との溶接箇所を含む領域を覆うように、先端部の表面に被覆層が配置されていてもよい。この場合、溶接によって耐腐食性が劣化した領域が被覆層で覆われる。そのため、冷却部材の応力腐食割れをより抑制することが可能となる。
【0017】
[8]上記第7項に記載のバーナにおいて、被覆層は、当該先端部の全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されていてもよい。この場合、耐食性の高い上記の材料によって被覆層が構成されるので、被覆層が露点腐食し難い。そのため、冷却部材の応力腐食割れをいっそう抑制することが可能となる。
【0018】
[9]上記第8項に記載のバーナにおいて、先端部は銅によって構成されており、基端部はステンレス鋼によって構成されていてもよい。この場合、熱伝導率が高いものの耐腐食性が低い銅が被覆層で覆われる。そのため、反応炉から最も熱を受けやすい先端部における熱交換を促進しつつ、先端部の応力腐食割れを被覆層によって抑制することが可能となる。また、銅はステンレス鋼と比較して安価であるため、冷却部材のコストを低減することが可能となる。
【0019】
[10]上記第1項〜第9項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、冷却部材は、筒状の外周壁と、外周壁の内側に位置する筒状の内周壁と、外周壁及び内周壁の先端を接続する先端壁と、外周壁及び内周壁から離間するようにこれらの間に位置する筒状の内部壁とを含み、内部壁と、先端壁、外周壁又は内周壁との間には、スペーサが設けられていてもよい。この場合、スペーサによって、内部壁と先端壁、外周壁又は内周壁との間に空間が確保される。そのため、冷却液が当該空間内をスムーズに流れやすくなる。
【0020】
[11]上記第1項〜第10項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、燃料管の先端はノズルチップの先端面に露出していてもよい。この場合、使用時に反応炉から受ける熱により燃料管が熱膨張して、ノズルチップに対して伸びたとしても、その伸びがノズルチップによって規制されない。そのため、ノズルチップと燃料管との間に不要な応力が生じてしまうことを抑制できる。また、この場合、燃料管の先端がノズルチップ内に留まった状態で燃料管がノズルチップに取り付けられている場合とは異なり、燃料がノズルチップに接触することなく燃料管を流通して反応炉内に吐出される。そのため、燃料との接触によりノズルチップが摩耗してしまう虞を抑制することが可能となる。
【0021】
[12]上記第1項〜第11項のいずれか一項に記載のバーナにおいて、燃料管の熱膨張率はノズルチップの熱膨張率よりも高くてもよい。この場合、使用時に反応炉から受ける熱により燃料管及びノズルチップが熱膨張すると、燃料管の熱膨張率の方が大きいので、燃料管がノズルチップに対してしっかりと締まり合う。従って、両者の隙間からの酸化剤の流出を抑制することが可能となる。
【0022】
[13]本開示の他の観点に係るバーナの製造方法は、燃料が流通するように構成された燃料管を用意する第1の工程と、冷却液が内部を循環するように構成された筒状の冷却部材を用意する第2の工程と、軸方向に沿って延びるように貫通する酸化剤の流路が筒壁内に設けられた筒状のノズルチップを用意する第3の工程と、燃料管の先端近傍をノズルチップ内に挿通すると共に、ノズルチップを冷却部材の先端近傍内に挿通する第4の工程とを含む。第4の工程では、ノズルチップと燃料管との間、及び、ノズルチップと冷却部材との間のうち少なくとも一方をネジによって螺合する。本開示の他の観点に係るバーナの製造方法は、上記第1項に係るバーナと同様の作用効果を奏する。
【0023】
[14]上記第13項に記載の方法において、冷却部材は、二重管の一端が先端壁で閉塞されると共に他端側において内側管が外側管よりも長くなるように構成された冷却部材の先端部と、冷却部材の内周壁に対応すると共にステンレス鋼によって構成された内側筒状部と、冷却部材の外周壁に対応すると共にステンレス鋼によって構成された外側筒状部とを用意する第1のサブステップと、第1のサブステップの後に、内側管の他端と内側筒状部の一端とを溶接する第2のサブステップと、第2のサブステップの後に、外側管の他端と外側筒状部の一端とを溶接して一体化部品を形成する第3のサブステップと、第3のサブステップの後に、(A)一体化部品を加熱して、内側筒状部及び外側筒状部を構成するステンレス鋼を固溶化処理するか、又は、(B)先端部と外側筒状部との溶接箇所を含む領域を覆うように、一体化部品の先端近傍に被覆層を形成する第4のサブステップとを経て得られてもよい。この場合、上記第6項又は第7項に係るバーナと同様の作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0024】
本開示に係るバーナ及びその製造方法によれば、簡易な構成で種々の燃料種に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本実施形態に係るガス化炉の一例を示す概略図である。
図2図2は、ガス化バーナの一例を示す断面図である。
図3図3は、ガス化バーナの先端部を拡大して示す断面図である。
図4図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図5図5は、ガス化バーナの製造工程を説明するための図である。
図6図6は、ガス化バーナの製造工程を説明するための図である。
図7図7は、ガス化バーナの他の例を示す断面図である。
図8図8は、ガス化バーナの他の例を示す断面図である。
図9図9は、ガス化バーナの他の例を示す断面図である。
図10図10は、ガス化バーナの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0027】
[石炭ガス化炉]
まず、本実施形態に係るガス化バーナ1(バーナ)が用いられる設備の一例として、石炭ガス化炉100について、図1を参照して説明する。石炭ガス化炉100は、炉底部101と、部分酸化部102(反応炉)と、熱分解部103(反応炉)とを備える。炉底部101、部分酸化部102及び熱分解部103は、いずれも筒状を呈しており、下方から上方に向かうにつれてこの順に接続されている。
【0028】
炉底部101は、部分酸化部102において発生した溶融状態のスラグSを受ける機能を有する。炉底部101内には、例えば水が貯留されている。部分酸化部102から落下したスラグSは、炉底部101において冷却された後、炉底部101の底壁から外部に排出される。
【0029】
部分酸化部102は、高温(例えば、1550℃〜1650℃程度)の雰囲気下で微粉燃料である微粉炭を部分燃焼させる機能を有する。部分酸化部102の周壁には、微粉炭及び酸化剤を部分酸化部102内に供給するための少なくとも一つのガス化バーナ1が設けられている。
【0030】
部分酸化部102において部分燃焼された微粉炭は、可燃性の高温ガスG1(例えば、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素ガス、水蒸気ガス等)に変化し、上方に位置する熱分解部103に供給される。微粉炭中の灰分は、ガス化の際に溶融し、スラグSとして炉底部101に落下する。
【0031】
熱分解部103は、部分酸化部102から供給された高温ガスG1によって微粉炭を熱分解し、熱分解ガスG2(例えば、一酸化炭素ガス、水素ガス、メタンガス等)を得る機能を有する。熱分解部103の周壁には、微粉炭を熱分解部103に供給するための少なくとも一つの供給ノズル104が設けられている。熱分解部103において生じた熱分解ガスG2は、石炭ガス化炉100の炉頂部から炉外に排出される。
【0032】
[ガス化バーナの詳細]
続いて、図2図4を参照して、ガス化バーナ1の詳細について説明する。ガス化バーナ1は、図2に示されるように、断熱材105を介して部分酸化部102の周壁に取り付けられている。ガス化バーナ1は、図2図4に示されるように、燃料管10と、ノズルチップ20と、冷却部材30とを備える。
【0033】
燃料管10は、燃料である微粉炭の流路として機能する。燃料管10は、本実施形態において、一方向に延びる直管である。具体的には、微粉炭は、不活性ガス(例えば、窒素ガス)をキャリアガスとして、燃料管10内を搬送される。燃料管10は、耐熱性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)で構成されていればよい。ステンレス鋼としては、例えば、SUS310S等であってもよい。
【0034】
ノズルチップ20は、図2図4に示されるように、燃料管10と冷却部材30との間で且つこれらの先端近傍に配置されている。ノズルチップ20は、耐熱性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)で構成されていればよい。ステンレス鋼としては、例えば、SUS310Sであってもよい。
【0035】
ノズルチップ20は、図3及び図4に示されるように、円板状を呈する本体部21と、本体部21に一体的に設けられた延長部22とを含む。本体部21には、一つの貫通孔21aと、複数の貫通孔21b(流路)とが設けられている。一つの貫通孔21aは、本体部21の中心軸上を延びており、本体部21を厚さ方向において貫通している。そのため、本体部21は、円筒状を呈している。本体部21の外周面には、雄ネジMs(ネジ)が設けられている。
【0036】
複数の貫通孔21b(本実施形態では、図4に示されるように8つの貫通孔21b)は、本体部21の中心軸方向から見て、貫通孔21aを囲むように円形状に並んでいる。そのため、複数の貫通孔21bは、筒状を呈する本体部21の周壁(筒壁)内に設けられているともいえる。各貫通孔21bは、本体部21の中心軸方向に沿って貫通している。各貫通孔21bは、本体部21の後端面S1側から先端面S2側に向かうにつれて本体部21の中心軸に近づくように傾斜している。中心軸に対する貫通孔21bの傾斜角は、燃料管10から供給される燃料種、部分酸化部102のサイズ等によって種々の大きさに設定しうるが、例えば10°〜50°程度であってもよい。各貫通孔21bは、酸化剤(例えば、酸素と水蒸気との混合ガス)の流路として機能する。
【0037】
延長部22は、円筒状を呈しており、後端面S1から本体部21の中心軸に沿って延びている。延長部22の筒孔22aは、本体部21の貫通孔21aと連通している。貫通孔21a及び筒孔22a内には、燃料管10の先端部が挿通されている。本実施形態では、図2図4に示されるように、燃料管10の先端は、ノズルチップ20の先端面S2と略同一面上に位置しており、先端面S2から露出している。
【0038】
本実施形態では、ノズルチップ20の貫通孔21a内に燃料管10の先端近傍が挿通されている。具体的には、ノズルチップ20と燃料管10とは嵌合している。ノズルチップ20と燃料管10とは、締まり嵌めにより嵌合されていてもよいし、隙間嵌めにより嵌合されていてもよいし、中間嵌めにより嵌合されていてもよい。隙間嵌め又は中間嵌めの場合、JIS B 0401−1:2016(ISO286−1:2010)にて定められる穴(貫通孔21a及び筒孔22aの内周面)の公差域がD〜Hのいずれかで且つ軸(燃料管10の外周面)の公差域がd〜hのいずれかであってもよい。
【0039】
より詳しくは、穴(貫通孔21a及び筒孔22aの内周面)の公差域クラスXと、軸(燃料管10の外周面)の公差域クラスyとの組み合わせを「X/y」と表した場合に、当該組み合わせが「H8/d9」、「H9/d9」、「H7/e7」、「H8/e8」又は「H9/e9」である、いわゆる「軽転合」(隙間嵌めの一種)であってもよい。当該組み合わせが「H6/f6」、「H7/f7」、「H8/f7」又は「H8/f8」である、いわゆる「転合」(隙間嵌めの一種)であってもよい。当該組み合わせが「H6/g5」又は「H7/g6」である、いわゆる「精転合」(隙間嵌めの一種)であってもよい。当該組み合わせが「H6/h5」、「H7/h6」、「H8/h7」、「H8/h8」又は「H9/h9」である、いわゆる「滑合」(中間嵌めの一種)であってもよい。当該組み合わせが「H6/h5」又は「H6/h6」である、いわゆる「押込」(中間嵌めの一種)であってもよい。
【0040】
隙間嵌めの場合、その隙間嵌めの長さ(貫通孔21a及び筒孔22aと燃料管10との嵌合長)は、1cm以上であってもよいし、3cm以上であってもよいし、3.5cm以上であってもよいし、5cm以上であってもよい。隙間嵌めの長さが、1cm以上であると、燃料管10、ノズルチップ20及び冷却部材30が同心円状に配置されたガス化バーナ1の計算モデルでリーク量の理論値を計算したときに、ノズルチップ20と燃料管10との間の隙間から漏れうる酸化剤の流量が、貫通孔21bから吐出される酸化剤の流量に対して1%以下となる。そのため、ガス化バーナ1において生ずる火炎の火炎長に影響が生じ難くなる。
【0041】
冷却部材30は、全体として筒状を呈しており、冷却液がその内部(筒壁内)を循環するように構成されている。ガス化バーナ1は高温の部分酸化部102内において使用されるので、冷却液は、熱交換により冷却部材30を冷却して、冷却部材30の破損等を防止する機能を有する。冷却部材30は、図3及び図4に示されるように、先端部31と、中間部32,33と、基端部34,35と、内部壁36とを含む。
【0042】
先端部31は、耐熱性を有する材料で構成されていればよい。ところで、部分酸化部102内における燃料の燃焼により、部分酸化部102内に酸性ガス(例えば、硫化水素、塩化水素など)が生ずる場合がある。このような酸性ガスは、石炭ガス化炉100の運転開始時及び運転停止時において部分酸化部102内の温度が下がると酸性液となり、ガス化バーナ1の先端近傍に付着して、当該先端近傍を腐食させてしまう(露点腐食)。加えて、冷却部材30は、使用時において、部分酸化部102からの熱で外表面が高温に加熱され且つ冷却液によって内部が冷却されるので、応力腐食割れが生じやすい。そこで、先端部31は、例えば、その全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されていてもよい。このようなニッケル合金は耐食性が高いので、冷却部材30(先端部31)が露点腐食し難く、冷却部材30(先端部31)の応力腐食割れも抑制することが可能となる。このようなニッケル合金としては、例えば、インコネル718、Alloy718等が挙げられる。
【0043】
先端部31は、図3に示されるように、先端壁31aと、内側管31bと、外側管31cとで構成されている。先端壁31aは、円環状を呈する平板である。先端壁31aは、ノズルチップ20の先端面S2と略同一面上に位置している。内側管31b及び外側管31cは共に、円筒状を呈している。内側管31bの一端は、先端壁31aの内周縁に一体的に設けられている。外側管31cの一端は、先端壁31aの外周縁に一体的に設けられている。換言すれば、内側管31b及び外側管31cは二重管を構成しており、内側管31bは外側管31c内に位置している。先端壁31aは、内側管31b及び外側管31cの一端を閉塞している。
【0044】
内側管31b及び外側管31cは共に、先端壁31aから同じ側(冷却部材30の基端側)に向けて延びている。本実施形態において、内側管31bの長さは、外側管31cの長さよりも長い。すなわち、内側管31bの他端は、外側管31cの他端よりも冷却部材30の基端側に位置している。そのため、内側管31b及び外側管31cの径方向において外側から見て、内側管31bの他端は、外側管31cによって覆われていない。
【0045】
内側管31bの内周面のうち先端部には、雌ネジFs(ネジ)が設けられている。当該雌ネジFsは、ノズルチップ20の外周面に設けられた雄ネジMsと螺合可能に構成されている。本実施形態では、内側管31bの雌ネジFsにノズルチップ20の雄ネジMsが螺合することにより、ノズルチップ20が冷却部材30の先端近傍に挿通された状態となる。
【0046】
中間部32,33は共に、図2図4に示されるように、円筒状を呈している。図3に示されるように、中間部32(内側筒状部)の一端は、溶接部W1を介して、内側管31bの他端に接合されている。中間部33(外側筒状部)の一端は、溶接部W2を介して、外側管31cの他端に接合されている。換言すれば、中間部32,33は二重管を構成しており、中間部32は中間部33内に位置している。中間部32,33は、冷却部材30の基端部の一部として機能する。
【0047】
本実施形態において、中間部32,33の長さは同程度である。そのため、内側管31bに接続された中間部32の他端は、外側管31cに接続された中間部33の他端よりも冷却部材30の基端側に位置している。すなわち、中間部32,33の径方向において外側から見て、中間部32の他端は、中間部33によって覆われていない。
【0048】
中間部32,33は、耐熱性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)で構成されていればよい。中間部32に用いられるステンレス鋼としては、例えば、SUS310S等であってもよい。中間部33に用いられるステンレス鋼としては、例えば、SUS310S等であってもよい。中間部32,33がステンレス鋼で構成されている場合には、ステンレス鋼が固溶化処理されていてもよい。
【0049】
基端部34,35は共に、図2図4に示されるように、円筒状を呈している。基端部34,35は、耐熱性を有する材料(例えば、ステンレス鋼)で構成されていればよい。基端部34に用いられるステンレス鋼としては、例えば、SUS304等であってもよい。基端部35に用いられるステンレス鋼としては、例えば、SUS310S等であってもよい。基端部34の一端は、溶接部W3を介して、中間部32の他端に接合されている。基端部35の一端は、溶接部W2を介して、中間部33の他端に接合されている。換言すれば、基端部34,35は二重管を構成しており、基端部34は基端部35内に位置している。
【0050】
溶接によって接合された内側管31b、中間部32及び基端部34は、全体として、冷却部材30の内周壁を構成している。溶接によって接合された外側管31c,中間部33及び基端部35は、全体として、冷却部材30の外周壁を構成している。
【0051】
内部壁36は、図2図4に示されるように、円筒状を呈している。内部壁36は、冷却部材30の内周壁(内側管31b、中間部32及び基端部34)と、冷却部材30の外周壁(外側管31c,中間部33及び基端部35)との間に位置している。内部壁36には、複数のスペーサ36aと、複数のスペーサ36bとが設けられている。
【0052】
複数のスペーサ36aは、図3及び図4に示されるように、円柱状を呈しており、内部壁36の先端面に設けられている。本実施形態では、3つのスペーサ36aが、内部壁36の周方向において略等間隔に並んでいる。複数のスペーサ36aは、内部壁36の延在方向において、内部壁36の先端面から外方に向けて突出している。そのため、複数のスペーサ36aは、先端壁31aと内部壁36との間に位置している。これにより、内部壁36は、冷却部材30の先端壁31aと離間した状態が保たれる。
【0053】
複数のスペーサ36bは、図3及び図4に示されるように、四角柱状を呈しており、内部壁36の先端近傍において内部壁36の外周面に設けられている。本実施形態では、3つのスペーサ36bが内部壁36の周方向において略等間隔に並んでいる。複数のスペーサ36bは、内部壁36の径方向において、内部壁36の外周面から外方に向けて突出している。そのため、複数のスペーサ36bは、冷却部材30の外周壁(基端部35)と内部壁36との間に位置している。これにより、内部壁36は、冷却部材30の外周壁(基端部35)と離間した状態が保たれる。また、内部壁36の外周面にスペーサ36bが設けられることにより剛性が高まり、内部壁36の先端近傍が変形し難くなるので、内部壁36は、冷却部材30の内周壁(基端部34)と離間した状態も保たれる。
【0054】
基端部34の他端は、図2に示されるように、基端壁34aを介して、溶接によって燃料管10の外周面に接続されている。基端壁34aは円環状を呈する平板であり、基端壁34aの貫通孔内には燃料管10が挿通されている。そのため、燃料管10と、冷却部材30の外周壁と、基端壁34aと、ノズルチップ20とで囲まれた空間V1が形成されている。基端部34の他端近傍には、空間V1に連通する配管34bが設けられている。配管34bは、酸化剤の供給源(図示せず)に接続されている。酸化剤は、配管34bを通じて空間V1内に供給され、ノズルチップ20に向けて空間V1内を流通した後、貫通孔21bから吐出される。
【0055】
内部壁36の他端は、図2に示されるように、溶接によって基端部34の外周面に接続されている。すなわち、内部壁36の他端は、基端部34の他端よりもノズルチップ20寄りに位置している。そのため、冷却部材30の内周壁と、内部壁36と、先端壁31aとで囲まれた空間V2が形成されている。内部壁36の他端近傍には、空間V2に連通する配管36cが設けられている。配管36cは、熱交換器(図示せず)に接続されている。
【0056】
基端部35の他端は、図2に示されるように、溶接によって内部壁36の外周面に接続されている。すなわち、基端部35の他端は、内部壁36の他端よりもノズルチップ20寄りに位置している。そのため、冷却部材30の外周壁と、内部壁36と、先端壁31aとで囲まれた空間V3が形成されている。基端部35の他端近傍には、空間V3に連通する配管36dが設けられている。配管36dは、熱交換器(図示せず)に接続されている。
【0057】
配管36cから空間V2内に供給された冷却液は、ノズルチップ20に向けて空間V2内を流通した後、先端壁31aと内部壁36の先端との間を折り返して、配管36dに向けて空間V3を流通する。冷却液は、配管36dから冷却部材30の外部に排出された後、熱交換器により冷却され、熱交換器から再び配管36cに導入される。
【0058】
[ガス化バーナの製造方法]
続いて、図5及び図6を参照して、ガス化バーナ1の製造方法について説明する。まず、冷却部材30を用意する。具体的には、図5(a)に示されるように、先端部31の内側管31bの他端と、中間部32の一端とを対向させる。この状態で、内側管31bの他端と中間部32の一端とを溶接する。これにより、図5(b)に示されるように、内側管31bと中間部32とが溶接部W1によって接合される。このとき、内側管31bの他端が外側管31cの他端よりも冷却部材30の基端側に位置しているので、内側管31bの他端と中間部32の一端との間に溶接トーチが向かうことが外側管31cによって妨げられ難い。
【0059】
次に、図5(b)に示されるように、先端部31の外側管31cの他端と、中間部33の一端とを対向させる。この状態で、外側管31cの他端と中間部33の一端とを溶接する。これにより、図6(a)に示されるように、外側管31cと中間部33とが溶接部W2によって接合される。こうして、先端部31及び中間部32,33が一体化された一体化部品が形成される。次に、中間部32,33がステンレス鋼で構成されている場合には、得られた一体化部品を加熱炉で所定温度(例えば、1000℃以上)まで加熱した後に急冷し、当該ステンレス鋼を固溶化処理する。
【0060】
次に、図6(a)に示されるように、中間部32の他端と、基端部34の一端とを対向させる。この状態で、中間部32の他端と基端部34の一端とを溶接する。これにより、図6(b)に示されるように、中間部32と基端部34とが溶接部W3によって接合される。このとき、中間部32の他端が中間部33の他端よりも冷却部材30の基端側に位置しているので、中間部32の他端と基端部34の一端との間に溶接トーチが向かうことが中間部33によって妨げられ難い。次に、基端部34の他端に基端壁34aの外周縁を溶接する。
【0061】
次に、図6(b)に示されるように、中間部33の他端と、基端部35の一端とを対向させる。この状態で、中間部33の他端と基端部35の一端とを溶接する。これにより、図3に示されるように、中間部33と基端部35とが溶接部W4によって接合される。
【0062】
次に、冷却部材30の内周壁(内側管31b、中間部32及び基端部34)と、冷却部材30の外周壁(外側管31c,中間部33及び基端部35)との間に、内部壁36を挿入する。次に、内部壁36の他端を基端部34の外周面に溶接する。次に、基端部35の他端を内部壁36の外周面に溶接する。以上により、冷却部材30が完成する。
【0063】
続いて、内側管31bの内周面のうち先端部に設けられた雌ネジFsに対して、本体部21の外周面に設けられた雄ネジMsを螺合する。これにより、冷却部材30にノズルチップ20が取り付けられる。
【0064】
続いて、基端壁34aの貫通孔と、ノズルチップ20の貫通孔21a及び筒孔22aとに、燃料管10を挿通する。これにより、燃料管10の先端部が、ノズルチップ20に対して隙間嵌めにより嵌合される。こうして、燃料管10がノズルチップ20に取り付けられる。次に、基端壁34aの貫通孔の内周面を、燃料管10の外周面に溶接する。以上により、ガス化バーナ1が完成する。
【0065】
[作用]
以上のような本実施形態では、ノズルチップ20と冷却部材30との間がネジ(雄ネジMs及び雌ネジFs)によって螺合されている。そのため、冷却部材30に対するノズルチップ20の取り付け及び取り外しが極めて容易である。従って、酸化剤が流通する貫通孔21bの向きが異なる複数種類のノズルチップ20を準備しておくことにより、石炭ガス化炉100の改造をすることなくノズルチップ20を交換するだけで、燃料種の変更に対応することができる。その結果、簡易な構成で種々の燃料種に対応することが可能となる。
【0066】
本実施形態では、内部壁36と先端壁31aとの間にスペーサ36aが設けられており、内部壁36と基端部35との間にスペーサ36bが設けられている。そのため、スペーサ36a,36bによって、内部壁36と先端壁31a及び基端部35との間に空間V2,V3が確保される。従って、冷却液が当該空間V2,V3内をスムーズに流れやすくなる。
【0067】
本実施形態では、燃料管10の先端がノズルチップ20の先端面S2に露出している。そのため、使用時に部分酸化部102から受ける熱により燃料管10が熱膨張して、ノズルチップ20に対して伸びたとしても、その伸びがノズルチップ20によって規制されない。そのため、ノズルチップ20と燃料管10との間に不要な応力が生じてしまうことを抑制できる。また、燃料管10の先端がノズルチップ20内に留まった状態で燃料管10がノズルチップ20に取り付けられている場合とは異なり、燃料がノズルチップ20に接触することなく燃料管10内を流通して部分酸化部102内に吐出される。そのため、燃料との接触によりノズルチップ20が摩耗してしまう虞を抑制することが可能となる。
【0068】
本実施形態において、中間部32,33が固溶化処理されたステンレス鋼である場合には、中間部32,33と先端部31との溶接によって劣化したステンレス鋼の耐腐食性が、固溶化処理により回復する。そのため、冷却部材30の応力腐食割れをより抑制することが可能となる。なお、中間部32,33と基端部34,35との間も溶接によって接合されているので、基端部34,35がステンレス鋼によって構成されていると、基端部34,35も劣化する。しかしながら、図2に示されるように、ガス化バーナ1は断熱材105を介して部分酸化部102に取り付けられおり、断熱材105は冷却部材30の外周面の大部分を覆っている。そのため、部分酸化部102において生ずる高温ガスG1は、中間部32,33と基端部34,35との接合部近傍には殆ど入り込まない。
【0069】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、図7に示されるように、燃料管10とノズルチップ20とがネジ(雄ネジMs及び雌ネジFs)によって螺合しており、ノズルチップ20と冷却部材30とが嵌合(例えば、隙間嵌め)されていてもよい。また、図8に示されるように、ノズルチップ20と燃料管10とがネジ(雄ネジMs及び雌ネジFs)によって螺合しており、ノズルチップ20と冷却部材30とがネジ(雄ネジMs及び雌ネジFs)によって螺合していてもよい。すなわち、ノズルチップ20と燃料管10との間、及び、ノズルチップ20と冷却部材30との間の少なくとも一方が、ネジによって螺合されていてもよい。
【0070】
図9に示されるように、燃料管10の先端がノズルチップ20の先端面S2に露出していなくてもよい。具体的には、燃料管10の先端がノズルチップ20内に留まった状態で、燃料管10がノズルチップ20に取り付けられていてもよい。
【0071】
図10に示されるように、冷却部材30の先端部31の表面に被覆層37が配置されていてもよい。この場合、冷却部材30は、中間部32,33を有しておらず、内側管31bと基端部34とが溶接部W1によって直接接合されており、外側管31cと基端部35とが溶接部W2によって直接接合されている。被覆層37は、先端部31の表面のうち外部に露出している領域と、溶接部W2の外表面と、基端部35の外周面のうち先端部31近傍の領域とを覆っている。被覆層37は、例えば、肉盛りによって形成されていてもよい。被覆層37が溶接部W2の外表面及びその近傍を覆っているので、溶接によって耐腐食性が劣化した領域が被覆層37によって保護される。そのため、冷却部材30の応力腐食割れをより抑制することが可能となる。
【0072】
図10の形態において、被覆層37は、先端部31の全質量に対するNiの含有量が40質量%以上のニッケル合金で構成されていてもよい。このようなニッケル合金は耐食性が高いので、被覆層37が露点腐食し難い。そのため、冷却部材30の応力腐食割れをいっそう抑制することが可能となる。このようなニッケル合金としては、例えば、インコネル718、Alloy718等が挙げられる。
【0073】
図10の形態において、先端部31は銅によって構成されており、基端部34,35はステンレス鋼によって構成されていてもよい。この場合、熱伝導率が高いものの耐腐食性が低い銅が被覆層37で覆われる。そのため、部分酸化部102から最も熱を受けやすい先端部31における熱交換を促進しつつ、先端部31の応力腐食割れを被覆層37によって抑制することが可能となる。また、銅はステンレス鋼と比較して安価であるため、冷却部材30のコストを低減することが可能となる。
【0074】
燃料管10を構成する材料の熱膨張率(線膨張係数)は、ノズルチップ20を構成する材料の熱膨張率(線膨張係数)よりも大きくてもよい。例えば、燃料管10がSUS310S(0℃〜650℃の平均線膨張係数が17.5×10−6/℃)で構成されており、ノズルチップ20がSUS430(0℃〜650℃の平均線膨張係数が12.8×10−6/℃)で構成されていてもよい。この場合、使用時に部分酸化部102から受ける熱により燃料管10及びノズルチップ20が熱膨張すると、燃料管10の熱膨張率の方が大きいので、燃料管10がノズルチップ20に対してしっかりと締まり合う。従って、両者の隙間からの酸化剤の流出を抑制することが可能となる。
【0075】
上記の実施形態では、燃料として微粉炭を用いる石炭ガス化炉100を例にとって説明したが、微粉炭以外の他の燃料を用いるプラントのガス化バーナ1に対しても、本発明を適用しうる。さらに、微粉燃料(固体燃料)、液体燃料又は気体燃料を燃焼させる燃焼炉に用いられる燃焼バーナに対しても、本発明を適用しうる。
【符号の説明】
【0076】
1…ガス化バーナ(バーナ)、10…燃料管、20…ノズルチップ、21b…貫通孔(流路)、30…冷却部材、31…先端部、31a…先端壁、31b…内側管(内周壁)、31c…外側管(外周壁)、32…中間部(内側筒状部;内周壁;基端部)、33…中間部(外側筒状部;外周壁;基端部)、34…基端部(内周壁)、35…基端部(外周壁)、36…内部壁、36a,36b…スペーサ、37…被覆層、100…石炭ガス化炉、Fs…雌ネジ(ネジ)、Ms…雄ネジ(ネジ)、S2…先端面、W1〜W4…溶接部。
【要約】
【課題】簡易な構成で種々の燃料種に対応する。
【解決手段】ガス化バーナ1は、燃料が流通するように構成された燃料管10と、冷却液が内部を循環するように構成された筒状の冷却部材30と、燃料管10と冷却部材30との間で且つこれらの先端近傍に配置された筒状のノズルチップ20とを備える。ノズルチップ20の筒壁内には、ノズルチップ20の軸方向に沿って延びるようにノズルチップ20を貫通する酸化剤の貫通孔21bが設けられている。ノズルチップ20と燃料管10との間、及び、ノズルチップ20と冷却部材30との間のうち少なくとも一方は、ネジによって螺合されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10