(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6242526
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 7/00 20060101AFI20171127BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
F24F7/00 A
F24F13/28
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-99373(P2017-99373)
(22)【出願日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年5月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517176205
【氏名又は名称】渡邊 久晃
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 久晃
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−321935(JP,A)
【文献】
実開平07−014076(JP,U)
【文献】
実公昭50−026590(JP,Y1)
【文献】
実開昭52−048022(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3200329(JP,U)
【文献】
特開平06−091121(JP,A)
【文献】
特開2001−149449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
F24F 13/28
F25D 23/12
E05G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換フィルタを収納するためのスペースに替えて設けられた収納部と、
前記収納部を閉じる施錠可能な扉と、
前記扉の前側から前記収納部、並びに、清浄フィルタ及び内部機器を収納する別の収納部を、共に塞ぐ取り外し可能なカバーと、
を備え、
前記カバーは、空気を通過させる開口及び前記空気清浄機を操作するための操作パネルの少なくとも一方を備えることを特徴とする、空気清浄機。
【請求項2】
前記扉は、第1の錠を有することを特徴とする、請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記扉の前側に交換フィルタの少なくとも一部を配することを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記扉は、空気清浄機の状態に応じて施錠及び解錠される第2の錠を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第2の錠は、空気清浄機が稼働中に解錠し、停止中に施錠することを特徴とする、請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記カバーの後側で、送風ファンに近接して取り付けられるフィルタをさらに備え、
前記第2の錠は、前記フィルタが取り外されると解錠し、取り付けられると施錠されることを特徴とする、請求項4に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記第2の錠は、移動可能であり、前記フィルタにより押されて前記扉を施錠する錠部材を有することを特徴とする、請求項6に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記第2の錠は、空気清浄機の状態を電気的に検出し、該検出の結果に応じて前記扉を施錠及び解錠することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
現金等の貴重品を盗難から守るために、金庫に収納し扉を施錠して保管するが、金庫には、持ち運びのできる手提げ型のものと、持ち運びのできない据付け型のものがある。家庭においては、据付け型の金庫は、設置することに面積、据付作業等の困難があり、手提げ型の金庫が広く用いられている。
【0003】
手提げ型の金庫については、盗難を防止する上で、金庫ごと持ち運ばれてしまうおそれがある点が問題である。すなわち、泥棒は、手間のかかる解錠作業を行わずに金庫ごと持ち運び、後に解錠するあるいは破壊することで金庫内の貴重品を取得することができる。逆に、地震、火事等で避難する際に貴重品を容易に持ち出せるという利点を有することとなる。
【0004】
特許文献1及び2には、冷蔵庫と一体化した金庫が開示されている。斯かる金庫は、冷蔵庫の重量により、持ち運ぶことによる盗難を防止することができる。しかし、外観上、冷蔵庫に金庫が備えられていることがわかるため、解錠することによる盗難を防止するには十分ではない。また、金庫の体積の分だけ冷蔵庫の容積が減少し、冷蔵庫と金庫を合わせた効用を増しておらず、据付け型の金庫と冷蔵庫を一体化しただけにすぎない。そして、地震、火事等で避難する際に貴重品を容易に持ち出せるという利点がなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−121067号公報
【特許文献2】実用新案登録3062025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、持ち運び可能な金庫であって、外観上金庫であるとわからないものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1及び2には、冷蔵庫と一体化した金庫が開示されているが、冷蔵庫には、その本来機能と干渉せずに物品を収納するスペースであって、外観上視認できないものはない。この点、空気清浄機には、交換用の清浄フィルタを保管するスペースを有するものがあり、しかも、そのスペースが前カバーの裏側にあって外観上視認できない。空気清浄機の交換用の清浄フィルタを保管するスペースを金庫として用いれば、外観上金庫であるとわからないものとできる。すなわち、通常の空気清浄機に見せかけた施錠可能な収納庫を有する空気清浄機を提供することができる。
【0008】
本発明の空気清浄機は、
交換フィルタを収納するためのスペースに替えて設けられた収納部と、
前記収納部を閉じる施錠可能な扉と、
前記扉の前側から前記収納部を塞ぐ取り外し可能なカバーと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、収納部に施錠可能な扉を設けて収納部を閉じることで、交換フィルタを収納するためのスペースを収納部(金庫であるが、必ずしも貴重品を収納せずともよいので「収納部」と呼ぶ。)として利用し、その扉の前側から取り外し可能なカバーを用いて収納部を塞いで隠すことで、外観上は収納庫のない通常の空気清浄機に見せかけることができる。
【0010】
本発明の空気清浄機は、
前記扉は、第1の錠を有することを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、第1の錠により扉を施錠し、収納部に収納される収納物を守ることができる。
【0012】
本発明の空気清浄機は、
前記扉の前側に交換フィルタの少なくとも一部を配することを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、交換フィルタが収納されていると見せかけて収納部を偽装することができる。
【0014】
本発明の空気清浄機は、
前記扉は、空気清浄機の状態に応じて施錠及び解錠される第2の錠を有することを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、泥棒が第1の錠に気付いて解錠した場合にも、第2の錠によって扉が開かない状態とすることができる。ここで「状態」とは、電気的な動作の状態、各々の部材の装着状態を含む。
【0016】
本発明の空気清浄機は、
前記第2の錠は、空気清浄機が稼働中に解錠し、停止中に施錠することを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、通常、空気清浄機の使用中にカバーを取り外すことはないから、第2の錠が解錠されてしまう可能性を小さくすることができる。また、カバーを取り外すことによって非稼働となる空気清浄機については、カバー差し込み箇所に棒等を差し込むことが必要となり、第2の錠が解錠されてしまう可能性をさらに小さくすることができる。
【0018】
本発明の空気清浄機は、
前記カバーの後側で、送風ファンに近接して取り付けられるフィルタをさらに備え、
前記第2の錠は、前記フィルタが取り外されると解錠し、取り付けられると施錠されることを特徴とする。
【0019】
この特徴によっても、第2の錠が解錠されてしまう可能性を小さくすることができる。
【0020】
本発明の空気清浄機は、
前記第2の錠は、移動可能であり、前記フィルタにより押されて前記扉を施錠する錠部材を有することを特徴とする。
【0021】
この特徴によっても、第2の錠が解錠されてしまう可能性を小さくすることができる。
【0022】
本発明の空気清浄機は、
前記第2の錠は、空気清浄機の状態を電気的に検出し、該検出の結果に応じて前記扉を施錠及び解錠することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【0023】
この特徴によれば、第2の錠を、空気清浄機の状態に応じて自動で施錠及び解錠することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、持ち運び可能な金庫であって、外観上金庫であるとわからないものを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、従来の空気清浄機の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の空気清浄機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0027】
(従来の空気清浄機)
図1に、従来の空気清浄機1の構成を示す。ここで、
図1(A)は正面図、
図1(B)は
図1(A)における基準線BBに関する断面図、
図1(C)は
図1(B)における基準線CCに関する断面図である。
図1(A)及び(C)における左右方向を横方向、
図1(B)における左右方向を奥行き方向、
図1(A)〜(C)における上下方向を高さ方向と呼ぶ。空気清浄機1は、本体2、カバー3、清浄フィルタ4及び内部機器5(送風ファン5a及び脱臭触媒5b)を備える。
【0028】
本体2は、清浄フィルタ4、内部機器5等を内部に保持する箱体である。本体2には、下側及び上側にそれぞれ収納部2a,2bが設けられている。収納部2aは、正面視において略正方形状に開口し、奥行き方向に拡がる空間を有し、その内部に清浄フィルタ4及び内部機器5が収納される。収納部2bは、正面視において横方向を長手とする矩形状に開口し、奥行き方向に拡がる空間を有し、交換用の清浄フィルタ4(交換フィルタと呼ぶ)を1又は複数収納するために設けられている。なお、清浄フィルタ4と内部機器5との配置は、図示したものに限定されず、任意でよい。また、2枚以上の清浄フィルタ4を有してもよい。
【0029】
カバー3は、後述する扉6の前側から収納部2bとともに収納部2aを塞ぐ蓋体であり、本体2の前面に取り外し可能に固定することができる。カバー3は、上側中央に空気清浄機1を操作するための操作パネル3a、下側に横方向に延びる開口3bが設けられている。操作パネル3aより、電源のオンオフ、送風の強度等を操作することができる。内部機器5が稼働することにより、開口3bを介して空気が本体2内に取り込まれる。
【0030】
清浄フィルタ4は、これに空気を通すことで、空気内に含まれる粉塵等を取り除いて空気を清浄するフィルタである。清浄フィルタ4は、本体2の収納部2a内で内部機器5に近接して配される。なお、清浄フィルタ4は、集塵だけでなく、脱臭の機能を果たす素材より構成してよい。清浄フィルタ4は、使用時の幅よりも小さな奥行の収納部2bに収納するため、伸縮可能な蛇腹形状に形成されている。
【0031】
内部機器5は、外部電源(不図示)から供給される電力により稼働して送風するファン5a、脱臭触媒5bを含み、本体2の収納部2aの内側に配される。内部機器5は、カバー3の開口3bを介して空気を本体2内に取り込み、本体2の背面から排気する。なお、内部機器5は、脱臭触媒5bを有さない、あるいは脱臭触媒5bに替えて(又は加えて)他の部材(例えば除湿装置、加湿装置)を有することも可能である。
【0032】
(本発明の空気清浄機)
図2に、本発明の空気清浄機1の構成を示す。
図1と同様に描いた図である。
図1に示された従来の空気清浄機1と比較すると、扉6が付されている。
【0033】
扉6は、収納部2bを閉じる開き戸である。ここでは、一例として片開き戸を採用しているが、両開き戸、観音開き戸等であってもよい。扉6は、例えば鍵を用いる錠6aを有する。それにより、交換フィルタを収納するために設けられている収納部2bを貴重品等を収納する収納庫として利用することができる。また、鍵を空気清浄機1から離して管理することで、収納部2bに収納される収納物を守ることができる。なお、錠6aは、解錠番号入力式のもの、ダイヤル式のもの、その他任意のものを用いることができる。
【0034】
図2(A)に示されるように、通常の状態では、カバー3が扉6を被覆しており、扉6を視認することができない。
図2(A)が
図1(A)と同一であるように、本発明の空気清浄機1は、通常の状態では従来の空気清浄機1と見分けることができない。
【0035】
カバー3を外すと、
図2(B)に示すように見え、扉6が視認される。ここで、扉6の前側にダミーフィルタ6bを配しておくとよい。
【0036】
ダミーフィルタ6bは、清浄フィルタ4と同一の1つのフィルタ又はその一部であり、収納部2b内で扉6の前側に配される。すなわち、扉6がない場合に清浄フィルタ4を収納部2bに収納した状態における、清浄フィルタ4の扉6よりも前方の部分が、ダミーフィルタ6bとなる。交換フィルタが収納されていると見せかけて収納部2bを隠すことができる。
【0037】
以上詳細に説明したように、本実施例の空気清浄機1は、交換フィルタを収納するための収納部2b、収納部2bを閉じる施錠可能な扉6、及び扉6の前側から収納部2bを塞ぐ取り外し可能なカバー3を備える。空気清浄機1用の交換フィルタが収納される収納部2bに施錠可能な扉6を設けて収納部2bを閉じることで、交換フィルタが収納される収納部2bを収納物を収納する収納庫として利用し、その扉6の前側から取り外し可能なカバー3を用いて収納部2bを塞いで隠すことで、外観からは収納庫のない通常の空気清浄機に見せかけることができる。持ち運び可能な金庫であって、外観上金庫であるとわからないものを提供することができる。
【実施例2】
【0038】
本実施例は、第二の錠7(8)を活用するものである。他の部分は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0039】
第2の錠は、電気信号によって解施錠される電子錠7であっても、部材の噛み合わせにより解施錠される構造錠8であってもよい。
【0040】
電子錠7は、空気清浄機1の状態を電気的に検出し、その検出結果に応じて扉6を施錠及び解錠する。空気清浄機の運転に用いる電源(例えば家庭用のAC電源)を用いて電子錠7を動作させることができる。
【0041】
電子錠7は、例えば、空気清浄機1の運転を検出すると扉6を解錠し、停止を検出すると扉6を施錠するようにすることができる。通常、カバー3を取り外して空気清浄機1を使用中することはないから、扉6を解錠する目的で空気清浄機1を運転することに気づくことは困難である。収納部2bに収納された収納物を守ることができる。なお、例えば運転強度が「強」の場合にのみ解錠し、「弱」の場合には解錠しないようにしてもよい。
【0042】
また、電子錠7は、検出器7bを用いて清浄フィルタ4が収納部2aから取り外されたことを検出すると扉6を解錠し、収納部2a内に取り付けられたことを検出すると扉6を施錠する。カバー3を取り外した直後には清浄フィルタ4が装着されているから、扉6を解錠する目的で清浄フィルタ4を取り外すことに気づくことは困難である。
【0043】
図3に、第2の錠の構成例を示す。
図3(A)は清浄フィルタ4を装着した状態、
図3(B)は清浄フィルタ4を取り外した状態を示す。図は、
図2(B)における基準線DDに関する断面の右上部である。電子錠7は、電極7a1及び電極7a2を有する。清浄フィルタ4は互いに導通した電極7b1及び電極7b2を有する。清浄フィルタ4を装着すると電極7a1と電極7a2とが導通し、清浄フィルタ4を取り外すと電極7a1と電極7a2とが絶縁される。これにより、清浄フィルタ4の装着/取り外しを電気的に検出することができる。
【0044】
以上、電子錠の解錠について、空気清浄機1の運転/停止及び清浄フィルタ4の装着/取り外しによるものを説明した。清浄フィルタ4以外の部品の装着/取り外しを電気的に検出してもよい、また、これらを組み合わせて解錠の条件としてもよい。解錠の条件を察知されてしまうリスクが小さくなる。
【0045】
電子錠7に代えて、構造錠8を用いてもよい。
図3に示すように、清浄フィルタ4を装着すると移動片8aが清浄フィルタ4によって上方に押し上げられ、清浄フィルタ4を取り外すと重力によって下方に落下するようにすることができる。移動片8aに部材を接続して、構造錠8の施解錠を移動片8aの位置によって行うことができる。構造錠であっても電子錠と同様の効果を得ることができる。なお、上下の移動でなく、前後、左右、斜めに移動させても、回転させてもよい。
【0046】
以上詳細に説明したように、本実施例に係る空気清浄機1は、電子錠7又は構造錠8によって扉6の解錠を困難としている。扉6に気づかれた場合における安全性が、実施例1の空気清浄機1よりも高まっている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
外観上通常の空気清浄機に見せかけた施錠可能な収納庫を有する空気清浄機であり、持ち運び可能な金庫であって外観上金庫であるとわからないものである。多くの企業又は個人による利用が期待される。
【符号の説明】
【0048】
1 空気清浄機
2 本体
2a 収納部
2b 収納部
3 カバー
3a 操作パネル
3b 開口
4 清浄フィルタ
5 内部機器
5a 送風ファン
5b 脱臭触媒
6 扉
6a 錠
6b ダミーフィルタ
7 電子錠
7a 端子
7b 端子
8 構造錠
8a 移動片
【要約】
【課題】持ち運び可能な金庫であって、外観上金庫であるとわからないものを提供すること。
【解決手段】空気清浄機1の交換フィルタを収納するためのスペースに替えて設けられた収納部を金庫とする。空気清浄機1は、交換フィルタを収納するための収納部2b、収納部2bを閉じる施錠可能な扉6、及び扉6の前側から収納部2bを塞ぐ取り外し可能なカバー3を備える。空気清浄機1用の交換フィルタが収納される収納部2bに施錠可能な扉6を設けて収納部2bを閉じることで、交換フィルタが収納される収納部2bを収納物を収納する収納庫として利用し、その扉6の前側から取り外し可能なカバー3を用いて収納部2bを塞いで隠すことで、外観からは収納庫のない通常の空気清浄機に見せかけることができる。
【選択図】
図2