特許第6242551号(P6242551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242551樹脂成形品の機械加工装置及び樹脂成形品の機械加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6242551
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】樹脂成形品の機械加工装置及び樹脂成形品の機械加工方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/08 20060101AFI20171127BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20171127BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20171127BHJP
   B60R 21/2165 20110101ALI20171127BHJP
【FI】
   B26D3/08 Z
   B26D7/20
   B26D7/02 B
   B60R21/2165
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-538001(P2017-538001)
(86)(22)【出願日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2017010603
【審査請求日】2017年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-120031(P2016-120031)
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150512
【氏名又は名称】株式会社仲田コーティング
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(72)【発明者】
【氏名】松野 竹己
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−73794(JP,A)
【文献】 特開2008−284653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/08
B26D 3/00
B26D 7/02
B26D 7/20
B26F 1/00 − 1/44
B60R 21/2165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品である樹脂成形品に対して、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工装置であって、
前記樹脂成形品に対して、前記破断予定線を形成する機械工具と、
前記樹脂成形品を載置する支持台と、
前記支持台上で、前記樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブと、
を備えており、
前記線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、
前記幅広部が少なくとも第1の幅広部および第2の幅広部を有しており、当該第1の幅広部および第2の幅広部の間に、前記幅狭部を有するとともに、前記第1の幅広部、前記幅狭部、および前記第2の幅広部が、それぞれ直線状に配置されており、
かつ、吸引装置によって、前記樹脂成形品を、前記線状リブに押圧した場合に、少なくとも幅狭部に対応した樹脂成形品の箇所が、凸状に湾曲することを特徴とする機械加工装置。
【請求項2】
扇状またはT字状に分岐して広がった、前記第1の幅広部の端部のそれぞれに、第3の幅広部および第4の幅広部を有しており、かつ、分岐した一方の、前記第1の幅広部の端部と、前記第3の幅広部との間に、第2の幅狭部が設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、前記第1の幅広部の端部と、前記第4の幅広部との間に、第3の幅狭部が設けてあることを特徴とする請求項1に記載の機械加工装置。
【請求項3】
扇状またはT字状に分岐して広がった、前記第2の幅広部の端部のそれぞれに、第5の幅広部および第6の幅広部を有しており、かつ、分岐した一方の、前記第2の幅広部の端部と、前記第5の幅広部との間に、第4の幅狭部が設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、前記第2の幅広部の端部と、前記第6の幅広部との間に、第5の幅狭部が設けてあることを特徴とする請求項1または2に記載の機械加工装置。
【請求項4】
前記幅狭部の幅(W1)を1〜10mmの範囲内の値とし、前記幅広部の幅(W2)を20〜100mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の機械加工装置。
【請求項5】
前記支持台上に、前記吸引装置に連結する吸引口が複数設けてあり、前記幅狭部の周囲に設けてある吸引口の数を、前記幅広部の周囲に設けてある吸引口の数よりも多くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の機械加工装置。
【請求項6】
前記樹脂成形品が、自動車用内装部材であり、前記機械工具が、コールドカッターであり、かつ、前記破断予定線が、エアバッグ用破断予定線であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の機械加工装置。
【請求項7】
樹脂成形品である樹脂成形品に対して、機械工具により、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工方法であって、下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする機械加工方法。
(1)前記樹脂成形品を、当該樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブが設けてあり、かつ、当該線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、前記幅広部が少なくとも第1の幅広部および第2の幅広部を有しており、当該第1の幅広部および第2の幅広部の間に、前記幅狭部を有するとともに、前記第1の幅広部、前記幅狭部、および前記第2の幅広部が、それぞれ直線状に配置されている、支持台上に載置する工程であって、
(2)前記樹脂成形品を、吸引装置によって、前記線状リブ上に押圧させ、少なくとも幅狭部に対応した樹脂成形品の箇所を、凸状に湾曲させる工程
(3)前記機械工具により、前記線状リブ上で凸状に湾曲した、前記樹脂成形品に対して、前記破断予定線を形成する工程
【請求項8】
前記支持台上に、前記吸引装置に連結する吸引口が複数設けてあり、前記幅狭部の周囲に設けてある吸引口の数を、前記幅広部の周囲に設けてある吸引口の数よりも多くすることを特徴とする請求項7に記載の機械加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内装材である樹脂成形品等の機械加工装置及びそれを用いた樹脂成形品の機械加工方法に関する。
特に、樹脂成形品等に形成される破断予定線の深さ測定に影響を及ぼすことがなく、かつ、樹脂成形品における残留応力の発生が少なく、優れたインビジブル性が得られる樹脂成形品の機械加工装置、及びそれを用いた樹脂成形品の機械加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械加工装置の一種として、短時間で、精度良くエアバッグの展開時に破断されるエアバッグ破断予定線(エアバッグ用開裂線や、ティアラインと称する場合がある。)を形成するためのエアバッグ破断予定線形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
より具体的には、低コストで、エアバッグ破断予定線を形成すべく、エアバッグのグリッド部を構成する表皮を裏返してセット可能な薄肉加工用受台と、該薄肉加工用受台にセットされた表皮の上方に配置されるガイド体と、該ガイド体に形成された開裂線加工用ガイド溝に沿って表皮を切削可能な切削工具とを備えたことを特徴とするエアバッグ破断予定線形成装置である。
【0003】
また、表皮の真空成形時において、開裂予定部(エアバッグ破断予定線)を効率良く形成するための形成方法が提案されている(特許文献2参照)。
より具体的には、エアバッグドアを有する車室側部材のための表皮を真空成形する際、表皮用シートを加熱軟化させて真空成形型に吸引することによって賦形し、真空成形型に表皮用シートを吸引保持した状態で、当該表皮用シートのエアバッグドアに対する表皮の開裂予定部形成位置を加工刃で押圧し、溝状の開裂予定部を形成する方法である。
【0004】
一方、本発明の出願人は、表面側からは認識することができない破断予定線を形成したインビジブルタイプのエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を提案している(特許文献3参照)。
より具体的には、深さ等の測定が容易であるべく、所定リブが設けたステージ上に押圧し、表皮の裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV字状になる破断予定線を形成するとともに、破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する形成方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−351355号(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−159047号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】WO2004/045921号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたエアバッグ破断予定線形成装置にあっては、薄肉加工用受台によって、表皮の裏面が凹状になるように湾曲させる必要があった。
そのため、破断予定線(エアバッグ用開裂線)を形成した後に表皮を平坦化すると、破断予定線を含む表皮の裏面に大きな凹凸が形成されていることから、発泡層等と一緒に切断すると、均一に形成することが困難であるという問題が見られた。
また、切断後に、同様に表皮を平坦化すると、破断予定線が形成された部分が開かれた状態が一部維持されるため、表皮の表面側から眺めた場合に、形成箇所が認識できる、すなわち、インビジブル性(非視認性)に劣るという問題も見られた。
【0007】
また、特許文献2に記載されたに記載された開裂予定部の形成方法にあっては、真空成形型に吸引保持した状態で、表皮用シートのエアバッグドアに対する表皮の開裂予定部の形成位置を作成する必要があった。
したがって、切断時に、表皮用シートにおける形成位置がずれることは少ないものの、表皮用シートが加熱軟化しているため、室温に戻すと、位置ずれしており、結果として、開裂予定部の形成位置を正確に制御することは困難であった。
また、開裂予定部を形成した後に表皮を平坦化すると、開裂予定部を含む表皮の裏面に大きな凹凸が形成されていることから、表皮の表面側から眺めた場合に、形成箇所が認識できる状態、すなわち、インビジブル性に劣るという問題が見られた。
【0008】
一方、特許文献3に記載された所定リブを用いたエアバッグ形成方法によれば、特許文献1や2に比較して、格段に、インビジブル性が向上することが判明している。
しかしながら、用いるリブの線幅が、いずれの箇所においても実質的に同一であることから、樹脂成形品を、リブに対して押圧する際に、一部塑性変形し、それによって残留応力が発生する場合が見られた。
したがって、樹脂成形品の背面側、すなわち、破断予定線を形成していない側から眺めた場合に、視覚角度によって、破断予定線の形成箇所が透けて見える場合があった。すなわち、さらなるインビジブル性の改良が望まれていたと言える。
【0009】
そこで、発明者は鋭意検討し、線幅が異なる、所定形態の線状リブを用いることによって、樹脂成形品である樹脂成形品に形成される破断予定線の深さを正確に測定できるとともに、線状リブの押圧による塑性変形や、それに基づく残留応力の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さ測定に影響を及ぼすことなく、樹脂成形品における残留応力の発生が少なく、優れたインビジブル性が得られる樹脂成形品の機械加工装置、及びそれを用いた樹脂成形品の機械加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、樹脂成形品に対して、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工装置であって、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する機械工具と、樹脂成形品を載置する支持台と、支持台上で、樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブと、を備えており、当該線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、かつ、吸引装置によって、樹脂成形品を、線状リブに対して押圧した場合に、少なくとも幅狭部に対応した位置で、凸状に湾曲することを特徴とする樹脂成形品の機械加工装置が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、本発明の樹脂成形品の機械加工装置によれば、所定形態の線状リブを用いることによって、樹脂成形品を、線状リブに対して押圧した場合に、少なくとも幅狭部に対応した位置で、凸状に適度に湾曲することから、幅狭部の位置に対応した樹脂成形品における残留応力の発生が少なくすることができる。
ひいては、樹脂成形品の背面側、すなわち、破断予定線を形成していない側から眺めた場合であっても、破断予定線の形成箇所が透けて見えることがなく、優れたインビジブル性を得ることができる。
また、本発明の樹脂成形品の機械加工装置によれば、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さについても、破断予定線が、凸状に適度に湾曲することから、従来どおりの光学測定装置を用いて、迅速かつ精度良く測定することができる。
その上、所定形態の線状リブを用いていることから、樹脂成形品の湾曲の程度を容易に調整することができ、ひいては、樹脂成形品の交換作業を早めたり、破断予定線の形成速度や形成精度を高めたり、さらには、破断予定線を形成する機械工具の寿命を延ばすことも可能である。
【0011】
また、本発明の機械加工装置によれば、幅広部が、少なくとも第1の幅広部および第2の幅広部を有しており、当該第1の幅広部および第2の幅広部の間に、幅狭部として第1の幅狭部を有するとともに、第1の幅広部、第1の幅狭部、および第2の幅広部が、それぞれ直線状に配置されていることが好ましい。
このように所定形状の線状リブを設けることにより、支持台を有効利用することができ、ひいては、機械工具を直線的に移動するだけで、所定長さの破断予定線を、迅速かつ正確に形成することができる。
また、第1の幅広部および第2の幅広部の間に、幅狭部を有することから、樹脂成形品を過度に変形させない状態で、破断予定線を形成することができる。したがって、樹脂成形品の幅狭部に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができる。
【0012】
また、本発明の機械加工装置によれば、扇状またはT字状に分岐して広がった、第1の幅広部の端部のそれぞれに、第3の幅広部および第4の幅広部を有しており、かつ、分岐した一方の、第1の幅広部の端部と、第3の幅広部との間に、第2の幅狭部が設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、第1の幅広部の端部と、第4の幅広部との間に、第3の幅狭部が設けてあることが好ましい。
すなわち、第1の幅広部における、第1の幅狭部が設けてある端部とは反対側の端部が、扇状またはT字状に分岐して広がっており、かつ、分岐した第1の幅広部の複数の端部の一つに、第2の幅狭部を介して、第3の幅広部が設けてあり、さらに、分岐した第1の幅広部の複数の端部の別の一つに、第3の幅狭部を介して、第4の幅広部が設けてあることが好ましい。
このように所定形状の線状リブを設けることにより、支持台を全体的に有効利用することができ、各種形状や大きさの樹脂成形品に対応することができ、ひいては、所定長さおよび所定形状の破断予定線を、迅速かつ正確に形成することができる。
また、第1の幅広部の端部に、第3の幅広部および第4の幅広部が設けてあり、かつ、それらの間に、幅狭部を有することから、樹脂成形品を過度に変形させない状態で、破断予定線を形成することができる。したがって、樹脂成形品の幅狭部に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができる。
その上、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、複数個所において、迅速かつ精度良く測定することができる。
【0013】
また、本発明の機械加工装置によれば、扇状またはT字状に分岐して広がった、第2の幅広部の端部のそれぞれに、第5の幅広部および第6の幅広部を有しており、かつ、分岐した一方の、第2の幅広部の端部と、第5の幅広部との間に、第4の幅狭部が設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、第2の幅広部の端部と、第6の幅広部との間に、第5の幅狭部が設けてあることが好ましい。
すなわち、第2の幅広部における、第1の幅狭部が設けてある端部とは反対側の端部が、扇状またはT字状に分岐して広がっており、かつ、分岐した第2の幅広部の複数の端部の一つに、第4の幅狭部を介して、第5の幅広部が設けてあり、さらに、分岐した第2の幅広部の複数の端部の別の一つに、第5の幅狭部を介して、第6の幅広部が設けてあることが好ましい。
このように所定形状の線状リブを設けることにより、支持台を全体的に有効利用することができ、各種形状や大きさの樹脂成形品に対応することができ、ひいては、所定長さおよび所定形状の破断予定線を、迅速かつ正確に形成することができる。
また、第2の幅広部の端部に、第5の幅広部および第6の幅広部が設けてあり、かつ、それらの間に、幅狭部を有することから、樹脂成形品を過度に変形させない状態で、破断予定線を形成することができる。したがって、樹脂成形品の幅狭部に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができる。
その上、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、複数個所において、迅速かつ精度良く測定することができる。
【0014】
また、本発明の機械加工装置によれば、線状リブを構成する幅狭部の幅(W1)を1〜10mmの範囲内の値とし、幅広部の幅(W2)を20〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように寸法を制限して構成することにより、樹脂成形品に対する幅狭部の押圧力が高まって、幅狭部に対応した箇所を主として、凸状に適度に湾曲させることができ、ひいては、破断予定線を精度良く形成したり、さらには、破断予定線の深さの精度をより高めたりすることができる。
【0015】
また、本発明の機械加工装置によれば、支持台上に、吸引装置に連結する吸引口が複数設けてあり、幅狭部の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口の数を、幅広部の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口の数よりも多くすることが好ましい。
このように構成することにより、樹脂成形品に対する幅狭部の押圧力を適度の範囲に調整し、破断予定線の深さの精度や、測定精度をより高めることができる。
【0016】
また、本発明の機械加工装置によれば、樹脂成形品が、自動車用内装部材であり、機械工具が、コールドカッターであり、かつ、破断予定線が、エアバッグ用破断予定線であるこが好ましい。
このようにエアバッグ装置を収容する箇所を備えた自動車用内装部材を構成することにより、自動車用内装部材の所定場所に対して、インビジブル性に優れた、破断予定線を精度良く形成することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様は、樹脂成形品に対して、機械工具により、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工方法であって、下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする機械加工方法である。
(1)樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブが設けてある支持台上に載置する工程
(2)樹脂成形品を、吸引装置によって、線状リブ上に押圧させ、凸状に湾曲させる工程
(3)機械工具により、線状リブ上で凸状に湾曲した、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する工程
このように所定形状の線状リブを備えた機械加工装置を用いて、樹脂成形品を、線状リブに対して押圧した場合に、樹脂成形品を過度に変形させない状態で、破断予定線を形成することができる。したがって、樹脂成形品の幅狭部に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができる。
したがって、樹脂成形品に破断予定線を形成した場合であっても、優れたインビジブル性を有する樹脂成形品を効率的に得ることができ、しかも、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さ測定に対する影響も無いと言える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、線状リブを備えた支持台を説明するために供する斜視図である。
図2図2(a)〜(b)は、線状リブを備えた支持台を説明するために供する平面図および側面図である。
図3図3は、支持台にける吸引口の配置例を説明するために供する平面図および側面図である。
図4図4(a)〜(b)は、それぞれ、本発明の線状リブおよび従来の線状リブに対して、樹脂成形品を押圧させた状態を説明するために供する図である。
図5図5は、機械加工装置(エアバッグ破断予定線形成装置)を説明するために供する概略図である。
図6図6(a)〜(b)は、2種類のエアバッグ装置の態様を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、樹脂成形品に対して、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工装置であって、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する機械工具と、樹脂成形品を載置する支持台と、樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブと、を備えており、線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、かつ、吸引装置によって、樹脂成形品を、線状リブに対して押圧した場合に、少なくとも幅狭部に対応した位置で、凸状に湾曲することを特徴とする機械加工装置である。
以下、機械加工装置として、主に、樹脂成形品である自動車用内装部材に対して、エアバッグ破断予定線(ティアライン)を形成するエアバッグ破断予定線形成装置を想定し、説明する。
なお、第1の実施形態の機械加工装置100の特徴的構成である、所定形状の線状リブ13を備えた支持台10等を、適宜図面を参照しながら、中心に説明する。
【0020】
1.機械加工装置
(1)種類
図5に例示する機械加工装置(機械工具を含む)100の態様としては、所定の破断予定線形成手段131、133を備え、破断予定線を形成できる構成であれば、特に制限されるものではないが、例えば、切削装置、研磨装置、切断装置、穿孔装置等の少なくとも一種を備えることが好ましい。
また、これらの破断予定線形成手段と、他の機械加工装置としての検査装置、蒸着装置、塗装装置、加熱装置等との組み合わせであっても良い。
【0021】
ここで、切削装置としては、コールドカッター、エンドミル、振動切削装置(超音波振動切削装置、楕円振動切削装置等を含む)、回転軸切削装置等が挙げられる。
特に、樹脂成形品が、自動車用内装部材であり、破断予定線が、エアバッグ用破断予定線(エアバッグ用開裂線)である場合、すなわち、機械加工装置がエアバッグ破断予定線形成装置の場合には、機械工具としては、迅速に、かつ精度良く破断予定線が形成でき、その上、廃棄物の発生もほとんど少ないことより、コールドカッターであることが、より好ましい。
【0022】
そして、樹脂成形品の加工状態(破断予定線の深さ等)を、センサとして、レーザー変位計(例えば、キーエンス社製、LKG5000シリーズ)でオンラインモニターし、それをフィードバック制御することによって、樹脂成形品の所定場所に形成した破断予定線の深さを、所定範囲内の値に、正確に調整することができる。
よって、このようにコールドカッター等の機械工具によって、エアバッグ用破断予定線を形成する場合であっても、迅速に、かつ精度良く形成することができる。
【0023】
その結果、図5に示される機械加工装置100によれば、図6(a)に示されるように、エアバッグ15cと、複数リブ15a、15bの間に形成されるエアバッグ収容部15eと、破断予定線15dの深さとして、所定厚さ(t1)を有する樹脂成形品15と、を備えてなる、残留応力の発生が少なく、インビジブル性に優れたエアバッグドア部材40を、極めて安価かつ効率的に製造することができる。
なお、かかるエアバッグドア部材40において、破断予定線15dを形成する前の、樹脂成形品の厚さを、記号t2で表している。
【0024】
さらに、図5に示される機械加工装置100によれば、図6(b)に示される、別のエアバッグドア部材41´であっても、残留応力の発生が少なく、インビジブル性に優れたエアバッグドア部材41´として、製造することができる。
すまわち、樹脂成形品15が、硬質基材15d´と、中間層(発泡層)15e´と、表皮15f´と、から構成される三層構造であっても、二段階の機械加工によって、一次破断予定線15g´、および二次破断予定線15h´を有するエアバッグドア部材41´として、極めて安価かつ効率的に製造することができる。
なお、かかるエアバッグドア部材41´において、表皮15f´に形成した破断予定線(二次破断予定線)15h´の深さを、記号t3で表している。
【0025】
(2)エアバッグ破断予定線形成装置
(2)−1 基本的態様
また、機械加工装置が、図5に示すように、エアバッグ破断予定線形成装置100である場合、基本的態様として、樹脂成形品である自動車用内装部材が載置される支持台10を備えている。
そして、この支持台10上に載置された自動車用内装部材に対して、一次破断予定線、例えば、所定幅および所定深さを有する破断予定線を形成するための一次破断予定線形成手段131と、一次破断予定線と異なる破断予定線、すなわち、二次破断予定線として、例えば、所定深さを有するスリット線を形成するための二次破断予定線形成手段133と、が設けてあることが好ましい。
【0026】
したがって、これらに取り付けてある第1の加工刃検知手段及び第2の加工刃検知手段が、図示しないものの、載置面の裏側に、それぞれ設けてある。
そして、これらの第1の加工刃検知手段及び第2の加工刃検知手段は、通常、樹脂成形品の表側から測定する場合には、レーザー変位計等の光学式測定装置であり、樹脂成形品の裏側から測定する場合には、渦電流方式膜圧計等の電磁誘導式測定装置であることが好ましい。
さらに、エアバッグ破断予定線形成装置100は、各種一次破断予定線形成手段および二次破断予定線形成手段の位置合わせや加工処理動作、さらには、検知動作等を精度良く行うための制御部(コンピュータ制御部)116を有することが好ましい。
【0027】
(2)−2 支持台
また、図5に示すように、エアバッグ破断予定線形成装置100は、エアバッグ破断予定線を形成する際に、自動車用内装部材が載置され、固定される支持台10を備えている。
そして、図1に示すように、支持台10の載置面には、樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブ(突起物)13であって、当該線状リブ13が、相対的に幅が狭い幅狭部11、および相対的に幅が広い幅広部12をそれぞれ有していることを特徴としている。
また、図2(a)の平面図に示すように、線状リブ13は、幅広部12として、第1〜第6の幅広部12a〜12fを有しており、これら第1〜第6の幅広部12a〜12fの間に、幅狭部11として、第1〜第5の幅狭部11a〜11eを有している。
さらに、図2(b)の側面図に示すように、支持台10の基台18bおよび平滑処理面18aの上に、所定の線状リブ13が、水平方向に設けてある。
【0028】
また、図1等に示されるように、支持台10の載置面には、複数の吸引口14が設けられるとともに、載置面上に載置される、樹脂成形品15としての自動車用内装部材を、当該吸引口14を介して吸引固定するための吸引装置(図示せず)が備えられている。
なお、吸引口14の直径を、通常、0.1〜8mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3〜5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
そして、図3に示すように、かかる吸引口14に関して、幅狭部11の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口14の数を、幅広部12の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口14の数よりも多くすることが好ましい。
この理由は、このように吸引口14の数を変更することにより、樹脂成形品15の幅狭部11に対する押圧力が高まって、破断予定線の深さの精度や、測定精度をより高めることができるためである。
したがって、より具体的には、所定の吸引口14を有する支持台10を準備し、幅狭部11の周囲に設けてある吸引口14の数を、単位面積(例えば、100cm2)あたりに、10〜50個の範囲内の値とし、同様に、幅広部12の周囲に設けてある吸引口14の数を1〜8個の範囲内の値とすることが好ましい。
【0030】
また、吸引装置としては、例えば真空ポンプ等を使用することができる。このような吸引装置を備えることにより、複雑な形状の自動車用内装部材や大型の自動車用内装部材であっても支持台の上に容易に固定させることができる。
したがって、エアバッグ破断予定線を形成する際の自動車用内装部材の位置ずれやエアバッグ破断予定線の残部の厚さのばらつきを防いで、エアバッグ破断予定線を精度良く形成することができる。
さらに、真空ポンプ等であれば、機械的固定手段と異なり、吸引装置の作動のオンオフによって自動車用内装部材の固定の有無を容易に切換えることができ、迅速に作業を行うことができる。
【0031】
その他、吸引装置による吸引効果を高めるために、図1に示すように、支持台10が四角形の場合、その周辺の4辺に沿って、所定幅の環状溝17を形成し、そこに、弾性部材、例えば、Oリングを部分的に埋設することが好ましい。
すなわち、比較的大型の樹脂成形品15である自動車用内装部材を、支持台10の所定場所に載置した後、例えば、幅0.5〜10mmの環状溝17の中に、このようにOリングを部分的に埋設した状態、すなわち、Oリングの一部を、支持台10の表面から突き出た状態で配置することができる。
次いで、吸引装置によって吸引すれば、Oリングの変形によって、樹脂成形品15である自動車用内装部材と、支持台10とのシール性が格段に向上し、ひいては、吸引効果を著しく高めることができる。
なお、Oリングの構成材料としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、オレフィンゴム、天然ゴム等の少なくとも一種が挙げられる。
【0032】
(2)−3 線状リブ
(幅狭部および幅広部)
樹脂成形品15を載置する支持台10の上に、水平的に設けてなる線状リブ13は、支持台10の上で、樹脂成形品15を押し付けた場合に、それを凸状に適度に湾曲させる機能を有している。
そして、かかる線状リブ13が、図1に示すように、相対的に幅が狭い幅狭部11、および相対的に幅が広い幅広部12をそれぞれ有していることを特徴とする。
【0033】
すなわち、図1に示すような線状リブ13を用いることによって、樹脂成形品15を、主として幅狭部11に対して押圧した場合に、少なくとも幅狭部11に対応した位置で、比較的わずかに凸状に湾曲するだけであることから、幅狭部11の位置に対応した樹脂成形品15における残留応力(内部応力と称する場合もある。)の発生が少なくすることができるためである。
より具体的には、図1に示すような線状リブ13を用いて、破断予定線15dを形成した場合には、樹脂成形品15の背面側、すなわち、破断予定線15dを形成していない側から眺めた場合に、見る角度によらず、破断予定線15dの形成箇所が透けて見えないと言える。
そして、このような線状リブ13であれば、樹脂成形品15を、線状リブ13に対して押圧した場合に、少なくとも幅狭部11に対応した位置で、主として、凸状にそれなりには湾曲することから、それを利用して、従来どおりの光学測定装置を用いて、破断予定線15dの深さ(形成深さ)を迅速かつ精度良く測定することもできる。
なお、残留応力の発生が少なくなるメカニズムを、図4(a)に概略的に示してある。
【0034】
一方、従来の線状リブ13´が、全体として、1〜2mm程度の等幅の幅狭部11´のみによって構成されている場合、樹脂成形品15を、凸状に過剰に湾曲させることになる。
すなわち、図4(b)に示すように、樹脂成形品15を、線状リブ13´(幅狭部11´)に対して、押圧した場合、幅狭部11´の影響で、樹脂成形品15が、凸状に過剰に湾曲することになる。
とすると、線状リブ13´を全体的に構成する幅狭部11´に対応した位置において、樹脂成形品15における残留応力の発生が大きくなる。
すなわち、従来の線状リブ13´を用いて、樹脂成形品15に破断予定線15dを形成した場合に、発生した残留応力の関係で、見る角度によっては、背面側から、破断予定線15dが透けて見えることになる。
【0035】
なお、図1に示すような線状リブ13における幅広部12の形状は、特に制限されるものでなく、すなわち、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形、円形、楕円形、ドーナツ形、あるいは異形であっても良い。
一方、図1に示すような線状リブ13における幅狭部11の形状についても、特に制限されるものでなく、すなわち、等幅の直線、波線、ジグザグ線等の少なくとも一つであれば良く、さらには、先端や中間位置で、幅が異なる直線、波線、ジグザグ線等の少なくとも一つであっても良い。その上、幅狭部の形状として、必ずしも一本線でなくとも良く、二本線や三本線であっても良い。
【0036】
(第1〜第2の幅広部および第1の幅狭部)
また、図1等に示すように、具体的に、線状リブにおける幅広部12が、少なくとも第1の幅広部12aおよび第2の幅広部12bを有しており、当該第1の幅広部12aおよび第2の幅広部12bの間に、第1の幅狭部11aを有するとともに、第1の幅広部12a、第1の幅狭部11a、および第2の幅広部12bが、それぞれ、水平かつ直線状に配置されていることが好ましい。
この理由は、このように所定形状の線状リブ13とすることにより、加工刃を直線的に移動するだけで、所定長さの破断予定線を、迅速かつ正確に形成することができるためである。
また、第1の幅広部12aおよび第2の幅広部12bの間に、第1の幅狭部11aを有することから、樹脂成形品15の第1の幅狭部11aに対応した位置における残留応力の発生を少なくすることもできる。
その上、樹脂成形品15に形成される破断予定線の深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、迅速かつ精度良く測定することができる。
【0037】
なお、第1の幅広部12aおよび第2の幅広部12bの形状は、上述したように、それぞれ特に制限されるものではないが、樹脂成形品15と、第1の幅狭部11aとの間の過度の密着を防止し、かつ、支持台10の全体を有効活用するため、図1に例示されるように、第1の幅狭部11aを中心として、それぞれシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
一方、第1の幅狭部11aの形状についても、上述したように、特に制限されるものではないが、図1に例示されるように、一本の直線等であって良い。
【0038】
(第3〜第4の幅広部および第2〜第3の幅狭部)
また、図2等に示すように、線状リブ13における第1の幅広部12aの端部に、第3の幅広部12cおよび第4の幅広部12dを、それぞれ扇状またはT字状に有していることが好ましい。
そして、このように扇状またはT字状に分岐して広がった、第1の幅広部12aの端部のそれぞれに、第3の幅広部12cおよび第4の幅広部12dを有しており、かつ、分岐した一方の、第1の幅広部12aの端部と、第3の幅広部12cとの間に、第2の幅狭部11bが設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、第1の幅広部12aの端部と、第4の幅広部12dの間に、第3の幅狭部11cが設けてあることが好ましい。
【0039】
この理由は、このように所定形状の線状リブ13とすることにより、支持台10の全体を有効活用することができ、各種形状や大きさの樹脂成形品に対応することができるためである。
そして、扇状またはT字状に分岐して広がった、第1の幅広部12aの端部に、第3の幅広部12cおよび第4の幅広部12dが設けてあり、かつ、それらの間に、第2の幅狭部11bおよび第3の幅狭部11cを有することから、樹脂成形品15を過度に変形させない状態で、破断予定線15dを形成することができる。
したがって、樹脂成形品15の幅狭部11に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができ、ひいては、優れたインビジブル性を得ることができる。
その上、このような線状リブ13であれば、樹脂成形品15に形成される破断予定線15dの深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、複数個所において、迅速かつ精度良く測定することができる。
【0040】
なお、第3の幅広部12cおよび第4の幅広部12dの形状についても、上述したように、それぞれ特に制限されるものではないが、図1に例示されるように、第2の幅広部12bから、第1の幅広部12aに向かって、これらを水平方向に横切る仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られる二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
さらに言えば、第1の幅広部12aから、第2の幅狭部11bを通過して、第3の幅広部12cに向かってなる仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られる二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
【0041】
同様に、第1の幅広部12aから、第3の幅狭部11cを通過して、第4の幅広部12dに向かってなる仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られる二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
すなわち、このようにシンメトリーの関係にある線状リブ13であれば、支持台10の全体を有効活用することができ、また、破断予定線15dを精度良く形成することができ、さらには、より優れたインビジブル性を得ることができる。
【0042】
その他、第2の幅狭部11bおよび第3の幅狭部11cの形状についても、上述したように、特に制限されるものではないが、図1に例示されるように、シンプルに1本または2本の直線等であって良い。
【0043】
(第5〜第6の幅広部および第4〜第5の幅狭部)
また、図2等に示すように、第2の幅広部12bの端部に、第5の幅広部12eおよび第6の幅広部12fをそれぞれ扇状またはT字状に有していることが好ましい。
そして、このように扇状またはT字状に分岐して広がった、第2の幅広部12bの端部のそれぞれに、第5の幅広部12eおよび第6の幅広部12fを有しており、かつ、分岐した一方の、第2の幅広部12bの端部と、第5の幅広部12eとの間に、第4の幅狭部11dが設けてあり、さらには、分岐したもう一方の、第2の幅広部12bの端部と、第6の幅広部12fとの間に、第5の幅狭部11eが設けてあることが好ましい。
【0044】
この理由は、このように所定形状の線状リブの態様とすることにより、支持台10を全体的に有効利用することができ、各種形状や大きさの樹脂成形品15に対応することができ、ひいては、所定長さおよび所定形状の破断予定線15dを、迅速かつ正確に形成することができるためである。
また、第2の幅広部12bの端部に、第5の幅広部12eおよび第6の幅広部12fが設けてあり、かつ、それらの間に、幅狭部として、第4の幅狭部11dおよび第5の幅狭部11eを有することから、樹脂成形品15を過度に変形させない状態で、破断予定線15dを形成することができる。したがって、樹脂成形品15の幅狭部11に対応した位置における残留応力の発生や、過度の密着を少なくすることができる。
その上、樹脂成形品15に形成される破断予定線15dの深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、複数個所において、迅速かつ精度良く測定することができる。
【0045】
なお、第5の幅広部12eおよび第6の幅広部12fの形状についても、上述したように、それぞれ特に制限されるものではないが、図1に例示されるように、第1の幅広部12aから、第2の幅広部12bに向かって、これらを水平方向に横切る仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られた二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
さらに言えば、第2の幅広部12bから、第4の幅狭部11dを通過して、第5の幅広部12eに向かってなる仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られた二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
【0046】
同様に、第2の幅広部12bから、第5の幅狭部11eを通過して、第6の幅広部12fに向かってなる仮想線を想定した場合、その仮想線に沿って切断して得られた二つの形状が、相互にシンメトリーの関係にあることがより好ましい。
すなわち、このような線状リブ13であれば、支持台10の全体を有効活用することができ、また、優れたインビジブル性を得ることができる。
その上、このような形態の線状リブ13であれば、樹脂成形品15に形成される破断予定線15dの深さについても、従来どおりの光学測定装置を用いて、複数個所において、迅速かつ精度良く測定することもできる。
【0047】
その他、第4の幅狭部11dおよび第5の幅狭部11eの形状についても、上述したように、それぞれ特に制限されるものではないが、図1に例示されるように、シンプルに1本または2本の直線等であって良い。
【0048】
(幅狭部の幅および幅広部の幅)
また、図2等に示すように、線状リブ13の一部を構成する幅狭部11(11a〜11e)の幅(W1)を1〜10mmの範囲内の値とし、幅広部12(12a〜12f)の幅(W2)を20〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように寸法を制限して構成することにより、樹脂成形品15に対する幅狭部11の押圧力がより高まって、幅狭部11に対応した箇所を主として、凸状に湾曲させることができ、ひいては、破断予定線15dを精度良く形成したり、さらには、破断予定線15dの深さの精度をより高めたりすることができるためである。
その上、このような幅狭部11に対する樹脂成形品15の所定箇所において、破断予定線15dをV字状に開いて、レーザー等の測定装置を用いて、その深さを精度良く測定することができるという利点もある。
【0049】
したがって、線状リブ13を構成する幅狭部11の幅(W1)を2〜8mmの範囲内の値とすることがより好ましく、同様に、線状リブ13の一部を構成する幅広部12の幅(W2)を22〜80mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、第1〜第5の幅狭部11a〜11eの幅や、第2〜第6の幅広部12a〜12fの幅に関して、それぞれ上述した1本または2本の直線等の形状において、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
【0050】
(幅狭部の高さおよび幅広部の高さ)
また、図2等に示すように、線状リブ13の一部を構成する幅狭部11(11a〜11e)の、支持台10における表面からの高さを0.1〜5mmの範囲内の値とし、同様に、幅広部12(12a〜12f)の高さを0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように線状リブ13の高さを制限することにより、樹脂成形品15に対する幅狭部11の押圧力がより高まって、幅狭部11に対応した箇所を主として、凸状に湾曲させることができ、ひいては、破断予定線15dを精度良く形成したり、さらには、破断予定線15dの深さの精度をより高めたりすることができるためである。
その上、このような幅狭部11の高さおよび幅広部12の高さであれば、樹脂成形品15を押しつけた後でも、残留応力の発生が、より少なくなって、インビジブル性が向上するためである。
したがって、線状リブ13の一部を構成する幅狭部11の高さ、すなわち、支持台10の表面からの高さを0.5〜5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
同様に、線状リブ13の一部を構成する幅広部12の高さを0.5〜5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、線状リブ13を構成する幅狭部11の高さと、幅広部12の高さは、同一であっても良く、あるいは、異なる高さであっても良い。
その上、線状リブ13を構成する幅狭部11の高さと、幅広部12の高さは、それぞれ平均値を問題にすれば良く、樹脂成形品15の形態に合わせて、線状リブ13の長さ方向や、幅方向に沿って、高さを変えて、傾斜させることも好ましい。
【0051】
(幅狭部および幅広部の面取り)
また、図示しないものの、線状リブ13における樹脂成形品15との押圧面の面取りをすることが好ましい。
この理由は、このように線状リブ13における樹脂成形品15との押圧面の面取りをすることにより、樹脂成形品15に対する幅狭部11の押圧力がより高まって、幅狭部11に対応した箇所を主として、凸状に湾曲させることができ、ひいては、破断予定線15dを精度良く形成したり、さらには、破断予定線15dの深さの精度をより高めたりすることができるためである。
その上、このような面取りを備えることにより、樹脂成形品15を押しつけた場合において、残留応力の発生が、より少なくなって、インビジブル性が向上するためである。
したがって、線状リブ13における樹脂成形品15との押圧面の面取り幅を0.01〜1.0mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜0.5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0052】
(線状リブの断面形状)
また、図示しないものの、支持台10の上の線状リブ13を水平配置して、重力方向に切断した場合において、その断面方向を、横方向から眺めた場合の断面形状を、三角形、四角形、五角形、台形、楕円形、異形等の各種形状とすることができるが、台形あるいは楕円とすることがより好ましい。
この理由は、かかる台形あるいは楕円であれば、樹脂成形品15を押しつけた場合において、残留応力の発生が、より少なくなって、インビジブル性が向上するためである。
また、このように線状リブ13の断面形状が台形であれば、上述した面取りを省略した場合であっても、樹脂成形品15を押しつけた場合に発生する残留応力を、より少なくすることができるためである。
なお、支持台10の上で、上に凸の台形の断面形状とした場合、一例として、上辺を1.0〜1.8mmの範囲内の値とし、下辺を1.9〜3mmの範囲内の値とし、かつ、高さを0.3〜1.8mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0053】
(線状リブの周囲の吸引部)
支持台10の上であって、かつ、線状リブ13の想定位置の周囲に、吸引装置(図示せず)に連結する吸引口14が複数設けてあることが好ましい。
そして、幅狭部11の周囲に設けてある、吸引口14の単位面積あたりの数を、幅広部12の周囲に設けてある、の単位面積あたりの吸引口14の数よりも多くすることが好ましい。
この理由は、このように実施することにより、幅狭部11に対する樹脂成形品15の押圧力が高まって、破断予定線の深さの精度をより高めることができ、さらには、樹脂成形品15に形成した破断予定線をV字状に開いて、その深さを精度良く測定することができるためである。
したがって、より具体的には、幅狭部11の周囲に設けてある、吸引口14の数を、単位面積(100cm2)あたりに、10〜50個の範囲内の値とし、同様に、幅広部12の周囲に設けてある吸引口14の数を1〜8個の範囲内の値とすることが好ましい。
【0054】
(2)−4 破断予定線形成手段
また、図5に示すように、破断予定線形成手段131、133は、それぞれ少なくとも一つの機械工具(加工刃等)を設けることを特徴とする。
このような機械工具としては、例えば、エンドミル、熱溶融刃、超音波カッター、レーザーカッター等の少なくとも一つの加工刃や加工部材等を好適に使用することができる。
すなわち、これらの機械工具であれば、長時間使用等に寄って、高温になったとしても、エアー吹出装置のエアー吹出口から吹き付けられるエアー(高速エアー)によって、ジュール熱を効率的に除去することができるためである。
【0055】
また、図5に示すように、破断予定線形成手段として、一次破断予定線形成手段131及び二次破断予定線形成手段133を、それぞれ設けることも好ましい。
ここで、一次破断予定線形成手段131は、図6(a)に示すように、樹脂成形品15のみからなる車両用内装部材(エアバッグドア部)の場合には、破断予定線15dを形成するための加工手段となる。
すなわち、所定厚さ(t2)を有する樹脂成形品15の裏側から、一部を切削するものの、表面側までは至らない所定厚さ(t1)の破断予定線15dを形成するための加工手段(一次破断予定線形成手段)となる。
かかる樹脂成形品15の所定厚さ(t2)は、通常、1.0〜2.5mmの範囲であり、表面側までは至らない残った樹脂成形品の所定厚さ(t1)は、通常、0.1〜0.8mmの範囲内の値であるが、0.2〜0.7mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.6mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0056】
一方、樹脂成形品15が、図6(b)に示すように、硬質基材15d´と、中間層(発泡層)15e´と、表皮15f´と、から構成される三層構造の樹脂成形品15´の場合、硬質基材15d´の側から、当該硬質基材15d´を貫通する一方、表皮15f´までは至らない深さの一次破断予定線を形成するための加工手段である。
かかる表面側までは至らない、残った表皮15f´の所定厚さ(t3)は、通常、0.1〜0.8mmの範囲であるが、0.2〜0.7mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.6mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
そして、このような一次破断予定線形成手段としては、エンドミル、熱溶融刃、超音波カッター、レーザーカッター等を好適に使用することができる。
【0057】
一方、図5に示すエアバッグ破断予定線形成装置100は、一次破断予定線内を介して機械工具(加工刃と称する場合がある。)113を進入させて、表皮15f´に至る二次破断予定線(厚さt3)を形成するための加工手段として、二次破断予定線形成手段133を備えていることが好ましい。
したがって、二次破断予定線形成手段133に含まれる機械工具(例えば、レーザーカッターや超音波カッター等)113は、全体として細長い板状に形成されており、一次破断予定線形成手段131に含まれる機械工具(例えば、エンドミル等)によって形成された一次破断予定線の内部に進入できるようにされている。
【0058】
そして、エアバッグ破断予定線形成装置100において、一次破断予定線形成手段131及び二次破断予定線形成手段133は、ともに移動制御ロボット163における破断予定線形成手段の固定部163aに固定されている。
したがって、一次破断予定線を形成する際には、移動制御ロボット163が動作して、一次破断予定線形成手段131によって硬質基材15d´を切断できる状態に位置きめしつつ、所定の切断動作を行う。
次いで、二次破断予定線を形成する際には、二次破断予定線形成手段133によって表皮15f´を切断できる状態において、所定の切断動作を行う。
【0059】
(2)−5 加工刃検知手段
また、エアバッグ破断予定線形成装置100では、一次破断予定線形成手段131の一部を構成する機械工具131aによる刃先位置を制御して、形成する溝の深さ、すなわち、樹脂成形品(基材)における残部の厚さを調整するために、一次破断予定線の深さをオンタイムで実測するための光学測定装置(レーザー反射方式のレーザー変位計等)を設けることが好ましい。
一方、図示しないものの、支持台10の下方に、二次破断予定線形成手段133の一部を構成する機械工具の刃先位置を検知するための第1の加工刃検知手段及び第2の加工刃検知手段をそれぞれ備えることが好ましい。
かかる第1の加工刃検知手段及び第2の加工刃検知手段は、支持台10の内部に配置され、あらかじめ設定された特定の検出位置において機械工具の存在の有無が検知されるように構成されている。
そして、このような第1の加工刃検知手段167及び第2の加工刃検知手段169としては、例えば、金属探知機が好適であって、それにより、金属製の機械工具が検出位置を通過したときに、機械工具の存在の有無を検知することができる。
【0060】
(2)−6 刃先状態検知手段
また、刃先状態検知手段129は、機械工具(加工刃等)の刃先や切削部の磨耗や損傷等の状態を検知するための手段である。
したがって、加工刃の刃先等の状態を測定し、磨耗等により損傷している状態が検知された場合には、装置の稼動を停止するとともに、加工刃等を交換することもできる。
すなわち、刃先状態検知手段を用いることにより、機械工具を所定状態を維持し、形成するエアバッグ破断予定線の残部の厚さを、さらに精度よく調節することができる。
【0061】
具体的には、刃先状態検知手段は、レーザー変位計や赤外線測定装置等を用いて構成され、移動制御ロボット163の先端をあらかじめ規定した所定の高さに維持したまま、加工刃を刃先状態検知手段129の検知位置に配置し、エアバッグ破断予定線の形成前と形成後との刃先の高さ位置の差異や、陰影の形状差を測定することにより、磨耗等による損傷度合いを検知することができる。
このような刃先状態検知手段129を備えることにより、加工刃の刃面状態を考慮して、加工刃の刃先と支持台10の載置面との距離を一定状態に保持することができ、表皮の種類や厚さ等が変化した場合であっても、残部の厚さが全体的に均一であるエアバッグ破断予定線を、精度良くかつ迅速に形成することができる。
【0062】
(3)樹脂成形品
また、樹脂成形品15の構成種類についても特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスルホン樹脂等の合成樹脂、金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、鉄、鉛、カドミウム、タングステン、インジウム、モリブテン等の金属(合金を含む)、酸化銀、酸化銅、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化モリブテン、ガラス、セラミック等の酸化物、水酸化アルミニウム等の水酸化物、セラミック材料、およびこれらの複合物や混合物からなる立体的成形品やフィルム等が挙げられる。
【0063】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、樹脂成形品としての樹脂成形品に対して、機械工具により、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工方法であって、下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする機械加工方法である。
(1)樹脂成形品を、当該樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブが設けてある支持台上に載置する工程
(2)樹脂成形品を、吸引装置によって、線状リブ上に押圧させ、凸状に湾曲させる工程
(3)機械工具により、線状リブ上で凸状に湾曲した、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する工程
以下、エアバッグ破断予定線形成方法を例にとって、第2の実施形態の樹脂成形品の機械加工方法について説明する。
【0064】
1.工程(1)
工程(1)は、樹脂成形品を、所定の線状リブが設けてある支持台上に実質的に水平状態に載置する工程である。
但し、線状リブが、支持台に対して、あらかじめ固定してある場合には、所定高さの線状リブの影響で、当該樹脂成形品が凸状に一部湾曲する場合がある。
一方、線状リブが上下方向に可動する構成の場合、線状リブが支持台の内部に位置することから、当該樹脂成形品は、実質的に水平状態を保持することができる。
【0065】
2.工程(2)
次いで、工程(2)は、樹脂成形品15を、吸引装置によって、支持台10の上に、固定された状態で突出した線状リブ13に対して押圧させ、所定形状としての凸状に湾曲させる工程である。
すなわち、支持台10の上の所定位置に設けてある吸引口14、あるいはそれに連なる吸引装置によって、吸引動作を行い、それにより、樹脂成形品15を、支持台10の上に固定された状態で突出してなる線状リブ13上に、押圧させることができ、ひいては、凸状に湾曲させる工程である。
【0066】
なお、線状リブ13が、支持台10の内部を上下方向に可動する構成の場合、まずは、線状リブ13が支持台10の内部から、支持台10の表面よりも突き出た所定位置に上昇する動作を行う。
次いで、その動作が終了したのち、あるいは、その動作の途中で、吸引装置によって、樹脂成形品15を下方に押し下げて、線状リブ13に対して押圧し、所定形状としての凸状に湾曲させることになる。
【0067】
3.工程(3)
次いで、工程(3)は、線状リブ13上で、凸状に湾曲した、樹脂成形品15に対して、コールドカッター等を用いて、所定の破断予定線15dを形成する工程である。
その際、一部上述したように、支持台10の上に、吸引装置に連結する吸引口14が複数設けてあり、幅狭部11の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口14の数を、幅広部12の周囲に設けてある、単位面積あたりの吸引口14の数よりも多くすることが好ましい。
この理由は、このように実施することにより、幅狭部11に対する樹脂成形品15の押圧力が高まって、破断予定線15dの深さの精度をより高めることができ、さらには、幅狭部11に対する樹脂成形品15に形成した破断予定線15dをV字状に開いて、その深さを精度良く測定することができるためである。
【0068】
そして、工程(3)の実施にあたり、線状リブ13を有する支持台10を用い、幅狭部11において形成の幅(W1)を1〜10mmの範囲内の値とし、幅広部の幅(W2)を20〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このように線状リブ13の幅を構成することにより、幅狭部11に対する樹脂成形品15の押圧力が高まって、破断予定線15dの深さの精度をより高めることができ、さらには、幅狭部11に対する樹脂成形品15に形成した破断予定線15dをV字状に開いて、その深さを精度良く測定することができる。
【0069】
なお、線状リブ13を有する支持台10を用いるに際して、当該線状リブ13(幅狭部11および幅広部12)の高さを、それぞれ第1の実施形態で述べたように、支持台表面から、0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0070】
4.工程(4)
最後に、工程(4)として、所定のセンサによって、加工刃による樹脂成形品15における、破断予定線15dの深さを測定する工程を設けることが好ましい。
すなわち、樹脂成形品15の裏面における破断予定線15dの深さまたは残部の厚さを測定する工程である。
ここで、破断予定線15dの残部の厚さ、すなわち、深さの測定方法については特に制限されるものではないが、例えば、レーザー光測定システム、赤外線測定システム、あるいは渦電流方式を採用することが好ましい。
【0071】
より具体的には、レーザー光等の反射や渦電流を用いて、破断予定線15dの深さ(または残部の厚さ)を、少なくとも2箇所以上で測定することが好ましく、3箇所以上で測定することがより好ましい。
この理由は、このように複数箇所で膜厚を測定することにより、成形加工された表皮の厚さが多少不均一な場合であっても、平均化した数値が得られるためである。
したがって、全体的に均一な膜厚の破断予定線を形成することができ、そのため、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアを確実に開くことができる。
なお、樹脂成形品としての表皮に破断予定線を形成する前に、成形加工された表皮の厚さを測定する、すなわち、破断予定線を形成する前後の膜厚を測定することが好ましい。
この理由は、このように破断予定線を形成する前後の膜厚を測定しておくことにより、全体的にさらに均一な膜厚の破断予定線を形成することができ、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアをさらに確実に開くことができるためである。
【0072】
5.他の工程
形成した破断予定線(溝)15bが瞬時に融着する場合があるため、樹脂成形品15を所定形態の線状リブ13に押圧し、V字状に開閉した状態で、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはオレフィン樹脂等を吹き付け処理することが好ましい。
そうすると、形成した破断予定線(溝)15bの融着を防止でき、ひいては、破断予定線(溝)15b等を精度良く測定することができる。
【実施例】
【0073】
[実施例1]
1.エアバッグ用破断予定線の形成
図1図2に示す線状リブ13を備えた支持台10を有する機械加工装置(機械工具:コールドカッター)である、図5に示すような、エアバッグ破断予定線形成装置100を準備した。
次いで、1〜300時間の連続運転を行い、図6(a)に示すような、エアバッグ装置を構成する熱可塑エラストマー樹脂成形品(横幅:1.2mm、縦幅:40cm、厚さ:2.0mm)15の背面側に、所定深さ(のエアバッグ破断予定線15dを形成し、下記評価を実施した。
【0074】
2.評価
(1)インビジブル性
得られたエアバッグ装置の樹脂成形品を目視観察し、下記基準にて、インビジブル性を評価した。
◎:樹脂成形品の表面側から、その法線方向に対して、−80〜80°の範囲で、エアバッグ破断予定線を認識することができない。
○:樹脂成形品の表面側から、その法線方向に対して、−60〜60°の範囲で、エアバッグ破断予定線を認識することができない。
△:樹脂成形品の表面側から、その法線方向に対して、−40〜40°の範囲で、エアバッグ破断予定線を認識することができない。
×:樹脂成形品の表面側から、その法線方向に対して、−40〜40°の範囲で、エアバッグ破断予定線を認識することができる。
【0075】
(2)加工精度
エアバッグ破断予定線の形成につき、12時間の連続運転後に、樹脂成形品の背面側に形成したエアバッグ破断予定線の深さ(残膜の厚さ)を、レーザー変位計を用いて測定し、下記基準にて、加工精度を評価した。
なお、エアバッグ破断予定線の外観につき、光学式顕微鏡を用いて観察したところ(12時間運転後)、◎評価の場合、樹脂成形品の背面に、シャープな切削形状が、精度良く形成されていることも確認した。
◎:12時間連続運転後に形成したエアバッグ破断予定線の深さが1.2mm±0.2mmの範囲内の値である。
○:12時間連続運転後に形成したエアバッグ破断予定線の深さが1.5mm±0.2mmの範囲内の値である。
△:12時間連続運転後に形成したエアバッグ破断予定線の深さが1.5mm±0.5mmの範囲内の値である。
×:12時間連続運転後に形成したエアバッグ破断予定線の深さが1.5mm±0.5mmを超えた値である。
【0076】
(3)樹脂成形品の取り換え性
エアバッグ破断予定線の形成につき、1〜12時間の連続運転を行い、1時間ごとに、樹脂成形品を新規の樹脂成形品に交換し、下記基準に沿って、樹脂成形品の取り換え性を評価した。
◎:樹脂成形品が、支持台から容易に離脱でき、15秒以内で、取り替えることができる。
○:樹脂成形品が、支持台に若干張り付いているが、20秒以内で、取り替えることができる。
△:樹脂成形品が、支持台に比較的強く張り付いており、30秒以内で、取り替えることができない。
×:樹脂成形品が、支持台に強く張り付いており、1分以内で、取り替えることができない。
【0077】
(4)コールドカッターの耐久性
エアバッグ破断予定線の形成につき、1〜300時間の連続運転を行い、所定時間後に、樹脂成形品の背面側に形成した破断予定線の深さ(残膜の厚さ)を、レーザー変位計を用いて測定し、下記基準に沿って、コールドカッターの耐久性を評価した。
◎:300時間連続運転後であっても、破断予定線の深さが1.2mm±0.2mmの範囲内の値である。
○:100時間連続運転後であっても、破断予定線の深さが1.2mm±0.2mmの範囲内の値である。
△:12時間連続運転後であれば、破断予定線の深さが1.2mm±0.2mmの範囲内の値である。
×:1時間連続運転後に、破断予定線の深さが1.2mm±0.2mmを超えた値である。
【0078】
[比較例1]
比較例1では、幅2mmの直線状の線状リブであって、両端にYの字の分岐を有する線状リブを有する支持台を備えた、従来のエアバッグ破断予定線形成装置(機械工具:コールドカッター)を準備した。
それにより、エアバッグ用破断予定線を形成したほかは、実施例1と同様に、インビジブル性、加工精度、交換性、およびコールドカッターの耐久性の評価をそれぞれ行った。
【0079】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の機械加工装置によれば、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する機械工具と、樹脂成形品を載置する支持台と、支持台上で、樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブと、を備えており、かつ、線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、かつ、吸引装置によって、樹脂成形品を、線状リブに対して押圧した場合に、主として幅狭部に対応した場所で、凸状に湾曲することから、樹脂成形品の幅狭部における残留応力の発生を抑制し、ひいては、優れたインビジブル性を得ることができる。
【0081】
また、樹脂成形品に形成される破断予定線の深さについても、幅狭部に対応した場所で、従来どおりの光学測定装置を用いて、迅速かつ精度良く測定することができる。
すなわち、所的形状の線状リブを用いて、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成することにより、測定上は、破断予定線が十分にV字状に開いていることから、かかる破断予定線の深さ測定に影響を及ぼすこともない。
【0082】
その上、線状リブの形態に起因すると思われるが、その幅狭部が、樹脂成形品と適度に密着することから、破断予定線を形成した後の樹脂成形品の交換も短時間で可能になった。
さらには、所的形状の線状リブを備えた機械加工装置を用いた場合、凸状に適度に湾曲し、比較的平坦な箇所を加工刃(コールドカッター)が、迅速に切断して、破断予定線を形成するためと思われるが、加工刃の耐久性まで、著しく向上するようになった。
【符号の説明】
【0083】
10:支持台
11(11a〜11e):幅狭部
11´:従来の線状リブの幅狭部
12(12a〜12f):幅広部
13:線状リブ
13´:従来の線状リブ
14:吸引口
15、15´:樹脂成形品(基材)
15a、15a´:
15b、15b´:
15c、15c´:
15d:破断予定線(エアバッグ破断予定線)
15d´:硬質基材
15e´:中間層
15f´:表皮
16:固定孔
17:環状溝
40:エアバッグドア部材
41´:別のエアバッグドア部材
100:機械加工装置(エアバッグ破断予定線形成装置)
113:機械工具(加工刃)
116:移動制御部
129:状態検知手段
131:一次破断予定線形成手段
133:二次破断予定線形成手段
163:移動制御ロボット
【要約】
インビジブル性等に優れた破断予定線を形成した樹脂成形品が得られる機械加工装置およびそれを用いた機械加工方法を提供する。
樹脂成形品に対して、表面まで至らない破断予定線を形成する機械加工装置等であって、樹脂成形品に対して、破断予定線を形成する機械工具と、樹脂成形品を載置する支持台と、支持台上で、樹脂成形品を凸状に湾曲させる線状リブと、を備えており、線状リブが、相対的に幅が狭い幅狭部および相対的に幅が広い幅広部をそれぞれ有しており、かつ、吸引装置によって、樹脂成形品を、線状リブに押圧した場合に、少なくとも幅狭部に対応した樹脂成形品の箇所が、凸状に湾曲する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6