特許第6242558号(P6242558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242558
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】撮像システム及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20171127BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61B1/00 513
   A61B1/045 631
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-548315(P2017-548315)
(86)(22)【出願日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】JP2016086514
(87)【国際公開番号】WO2017110492
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-252028(P2015-252028)
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆一
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5326065(JP,B1)
【文献】 特開2013−248319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 − 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の照明光を順次照射して被写体を撮像する撮像システムであって、
所定の時間内に、第1の色の波長帯域の第1の照明光による照明を行うと共に、前記第1の色の波長帯域とは異なる第2の色の波長帯域の第2の照明光及び前記第2の照明光より時間的に後に出射される前記第2の色の波長帯域の第3の照明光による照明を行う光源部と、
前記光源部から出射される照明光により照明された被写体像からの戻り光を所定の期間毎に撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、
前記撮像部から出力される撮像信号に基づき、前記第1の照明光の戻り光に応じた第1の画像信号と、前記第2の照明光の戻り光に応じた第2の画像信号と、前記第3の照明光の戻り光に応じた第3の画像信号とを1フィールド分ずつ生成して順次出力するように構成された画像生成部と、
前記画像生成部から順次出力される画像信号を、第1の色チャンネル、第2の色チャンネル、及び、第3の色チャンネルに選択的に割り当てるように構成された割り当て部と、を有し、
前記割り当て部は、1フレームを構成する各フィールド期間において、
前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第2の画像信号を用いて割り当てる第1の割り当て処理と、
前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第3の画像信号を用いて割り当てる第2の割り当て処理と、
を切り替えることを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記第1の色チャンネルは、赤色に対応し、
前記第2の色チャンネルは、緑色に対応し、
前記第3の色チャンネルは、青色に対応することを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記割り当て部は、前記第2の割り当て処理として、前記第1の色チャンネルに前記第1の画像信号を割り当てたタイミングである第1のフィールド期間において、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第3の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記割り当て部は、前記第1の割り当て処理として、前記所定の時間内に設定される前記第1のフィールド期間以外のフィールド期間において、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第2の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記第2の画像信号と前記第3の画像信号の輝度値を加算して得られる第4の画像信号を生成する画像合成部をさらに備え、
前記割り当て部は、前記画像生成部により生成される画像信号の輝度値が所定の閾値未満である場合、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第4の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
所定の時間内に、第1の色の波長帯域の第1の照明光による照明を行うと共に、前記第1の色の波長帯域とは異なる第2の色の波長帯域の第2の照明光及び前記第2の照明光より時間的に後に出射される前記第2の色の波長帯域の第3の照明光による照明を行う光源部から出射される照明光により照明された被写体像からの戻り光を所定の期間毎に撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部から出力される撮像信号に基づき、前記第1の照明光の戻り光に応じた第1の画像信号と、前記第2の照明光の戻り光に応じた第2の画像信号と、前記第3の照明光の戻り光に応じた第3の画像信号とを1フィールド分ずつ生成して順次出力するように構成された画像生成部と、
前記画像生成部から順次出力される画像信号を、第1の色チャンネル、第2の色チャンネル、及び、第3の色チャンネルに選択的に割り当てるように構成された割り当て部と、を有し、
前記割り当て部は、1フレームを構成する各フィールド期間において、
前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第2の画像信号を用いて割り当てる第1の割り当て処理と、
前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第3の画像信号を用いて割り当てる第2の割り当て処理と、
を切り替えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の色チャンネルは、赤色に対応し、
前記第2の色チャンネルは、緑色に対応し、
前記第3の色チャンネルは、青色に対応することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記割り当て部は、前記第2の割り当て処理として、前記第1の色チャンネルに前記第1の画像信号を割り当てたタイミングである第1のフィールド期間において、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第3の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記割り当て部は、前記第1の割り当て処理として、前記所定の時間内に設定される前記第1のフィールド期間以外のフィールド期間において、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第2の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の画像信号と前記第3の画像信号の輝度値を加算して得られる第4の画像信号を生成する画像合成部をさらに備え、
前記割り当て部は、前記画像生成部により生成される画像信号の輝度値が所定の閾値未満である場合、前記第2及び前記第3の色チャンネルに前記第4の画像信号を割り当てることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム及び画像処理装置に関し、特に、相互に異なる複数の波長帯域の照明光を順次照射して被写体を撮像する撮像システム及び画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、例えば、内視鏡等のような、生体に対して低侵襲な装置を用いた手術が従来行われている。
【0003】
内視鏡を用いた観察方法としては、例えば、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色の光を生体内の被写体に照射することにより、肉眼による観察と略同様の色合いの画像を得る通常光観察、及び、通常光観察の照明光に比べて狭い帯域の光を生体内の被写体に照射することにより、生体の粘膜表層に存在する血管等が強調された画像を得る狭帯域光観察等の観察方法が従来知られている。
【0004】
そして、例えば、日本国特許第5326065号公報には、G(緑)の波長帯域を透過帯域としたフィルタ及びB(青)の波長帯域を透過帯域とした2つのフィルタを周方向に等しい角度で設けた回転フィルタと、光源から発光される光の帯域を狭帯域にして回転フィルタに出射する狭帯域フィルタとを用いて狭帯域光観察を行う内視鏡装置が開示されている。
【0005】
この日本国特許第5326065号公報に開示された内視鏡装置は、Gの波長帯域の照明光と、Bの波長帯域の照明光とを順次照射して被写体を撮像し、被写体像を撮像して得られた複数フィールド分の画像を用いて1フレーム分の表示用画像を生成するような、面順次方式の動作を行う装置として構成されている。
【0006】
具体的には、日本国特許第5326065号公報には、例えば、G照明光による撮像と、B1及びB2照明光による撮像とを行い、G照明光の戻り光に基づくG撮像画像と、B1及びB2照明光の戻り光に基づくB1及びB2撮像画像と取得して、これらの撮像画像を所定の演算により合成信号を求め、狭帯域光観察用の撮像画像をモニタに表示するための構成が開示されている。
【0007】
ところで、面順次方式の狭帯域光観察においては、例えば、狭帯域光観察の1重露光において、G画像の更新のタイミングのカラー画像合成時に、更新されたG画像に2フィールド前のB画像を合成していたため、色ずれが大きくなるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、面順次方式の狭帯域光観察において表示される映像の色ずれを小さくすることができる撮像システム及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の撮像システムは、複数色の照明光を順次照射して被写体を撮像する撮像システムであって、所定の時間内に、第1の色の波長帯域の第1の照明光による照明を行うと共に、前記第1の色の波長帯域とは異なる第2の色の波長帯域の第2の照明光及び前記第2の照明光より時間的に後に出射される前記第2の色の波長帯域の第3の照明光による照明を行う光源部と、前記光源部から出射される照明光により照明された被写体像からの戻り光を所定の期間毎に撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部と、前記撮像部から出力される撮像信号に基づき、前記第1の照明光の戻り光に応じた第1の画像信号と、前記第2の照明光の戻り光に応じた第2の画像信号と、前記第3の照明光の戻り光に応じた第3の画像信号とを1フィールド分ずつ生成して順次出力するように構成された画像生成部と、前記画像生成部から順次出力される画像信号を、第1の色チャンネル、第2の色チャンネル、及び、第3の色チャンネルに選択的に割り当てるように構成された割り当て部と、を有し、前記割り当て部は、1フレームを構成する各フィールド期間において、前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第2の画像信号を用いて割り当てる第1の割り当て処理と、前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第3の画像信号を用いて割り当てる第2の割り当て処理と、を切り替える。
【0010】
また、本発明の一態様の画像処理装置は、所定の時間内に、第1の色の波長帯域の第1の照明光による照明を行うと共に、前記第1の色の波長帯域とは異なる第2の色の波長帯域の第2の照明光及び前記第2の照明光より時間的に後に出射される前記第2の色の波長帯域の第3の照明光による照明を行う光源部から出射される照明光により照明された被写体像からの戻り光を所定の期間毎に撮像して撮像信号を出力するように構成された撮像部から出力される撮像信号に基づき、前記第1の照明光の戻り光に応じた第1の画像信号と、前記第2の照明光の戻り光に応じた第2の画像信号と、前記第3の照明光の戻り光に応じた第3の画像信号とを1フィールド分ずつ生成して順次出力するように構成された画像生成部と、前記画像生成部から順次出力される画像信号を、第1の色チャンネル、第2の色チャンネル、及び、第3の色チャンネルに選択的に割り当てるように構成された割り当て部と、を有し、前記割り当て部は、1フレームを構成する各フィールド期間において、前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第2の画像信号を用いて割り当てる第1の割り当て処理と、前記第1の色チャンネルに対して前記第1の画像信号を割り当て、更に、前記第2及び前記第3の色チャンネルに対して前記第3の画像信号を用いて割り当てる第2の割り当て処理と、を切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る撮像システムの構成を示す図である。
図2】狭帯域光観察モード時の動作の一例を説明するための図である。
図3A】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの一例を説明するための図である。
図3B】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの一例を説明するための図である。
図3C】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの一例を説明するための図である。
図4A】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの他の例を説明するための図である。
図4B】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの他の例を説明するための図である。
図4C】狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像システムの構成を示す図である。
【0014】
撮像システム101は、図1に示すように、生体である被検体内に挿入可能な細長形状の挿入部を具備するとともに、被検体内の生体組織等の被写体を撮像して撮像信号を出力する内視鏡1と、内視鏡1の内部に挿通配置されたライトガイド6を介して被写体の観察に用いられる照明光を供給する光源装置2と、内視鏡1から出力される撮像信号に応じた映像信号を生成して出力する画像処理装置としてのプロセッサ3と、プロセッサ3から出力される映像信号に応じた画像等を表示する表示装置4と、術者等のユーザの入力操作に応じた指示等をプロセッサ3に対して行うことが可能なスイッチ及び/またはボタン等を備えた入力装置5、とを有して構成されている。
【0015】
内視鏡1は、ライトガイド6により伝送された光を被写体へ照射する照明光学系11と、照明光学系11から照射された光に応じて被写体から発せられる戻り光を撮像して得られた撮像信号を出力する撮像部12と、を挿入部の先端部に設けて構成されている。また、内視鏡1は、ユーザの操作に応じた種々の指示をプロセッサ3に対して行うことができるスコープスイッチ13を有して構成されている。
【0016】
撮像部12は、光源装置2から出射される照明光により照明された被写体からの戻り光を所定の期間毎に撮像して撮像信号を出力するように構成されている。具体的には、撮像部12は、被写体から発せられる戻り光を結像する対物光学系12aと、戻り光を受光するための撮像面が対物光学系12aの結像位置に合わせて配置された撮像素子12bと、を有して構成されている。
【0017】
撮像素子12bは、例えば、CCDまたはCMOS等により構成され、プロセッサ3から出力される撮像素子駆動信号に応じて駆動するとともに、撮像面に結像された被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号を順次出力するように構成されている。
【0018】
スコープスイッチ13には、例えば、ユーザの操作に応じ、撮像システム101の観察モードを白色光(通常光)観察モードまたは狭帯域光観察モードのいずれかに設定するための指示をプロセッサ3に対して行うことが可能な観察モード設定スイッチ(不図示)が設けられている。
【0019】
光源装置2は、白色光を発光するキセノンランプ等により構成される光源21と、回転フィルタ22とを有して構成されている。この回転フィルタ22は、白色光観察用の回転フィルタ及び狭帯域光観察用の回転フィルタを備えて構成されている。回転フィルタ22は、制御部34からの切替信号に基づいて、白色光観察用の回転フィルタまたは狭帯域光観察用の回転フィルタが光源21からの照明光の光路に挿入されるように構成されている。
【0020】
なお、回転フィルタ22の構成は、白色光観察用及び狭帯域光観察用の回転フィルタを備えた構成に限定されることなく、他の構成であってもよい。また、光源21は、キセノンランプ等に限定されることなく、例えば、LEDやレーザーダイオード等であってもよい。また、光源21は、回転フィルタを備えずにLEDやレーザーダイオード等を例えばPWM制御等によりR(赤)光、G(緑)光、及び、B(青)光を時分割に照射するような構成であってもよい。
【0021】
回転フィルタ22は、円板形状で、周方向には、3つの開口が等しい角度で設けられており、3つの開口には、それぞれフィルタが取り付けられている。例えば、白色光観察用の回転フィルタには、R(赤)、G(緑)、及び、B(青)のフィルタが設けられ、R光、G光、及び、B光が順次出射されるように構成されている。また、狭帯域光観察用の回転フィルタには、G(緑)、B(青)、及び、B’(青)のフィルタが設けられ、G光、B光、及び、B’光が順次出射されるように構成されている。なお、B光及びB’光は、同じ波長帯域の照明光である。
【0022】
すなわち、光源部を構成する光源21及び回転フィルタ22は、狭帯域光観察モード時には、第1の帯域の第1の照明光(G光)による照明を行うと共に、第2の帯域の第2の照明光(B光)及び第2の照明光より時間的に後に出射される第2の帯域の第3の照明光(B’)による照明を行う。なお、本実施形態では、面順次方式の撮像システムについて説明するが、これに限定されることなく、同時方式の撮像システムに適用してもよい。
【0023】
回転フィルタ22は、中心が図示しない回転用モータの回転軸に取り付けられており、回転駆動されるように構成されている。そして、回転フィルタ22は、制御部34からの制御信号に基づいて、所定の速度で回転するように構成されている。
【0024】
回転フィルタ22から出射された照明光は、ライトガイド6の入射端に入射され、内視鏡1の挿入部の先端部から被写体に向けて照射される。被写体からの戻り光は、上述したように、撮像素子12bにより撮像され、撮像信号としてプロセッサ3に供給される。
【0025】
プロセッサ3は、前処理部31と、同時化処理部32と、画像処理部33と、制御部34と、を有して構成されている。
【0026】
画像生成部を構成する前処理部31は、例えば、ノイズ低減回路及びA/D変換回路等の信号処理回路を具備し、内視鏡1から順次出力される撮像信号に対してノイズ除去及びA/D変換等の処理を施すことにより1フィールド分の画像データを生成する。そして、前処理部31は、生成した1フィールド分の画像データを同時化処理部32及び制御部34へ順次出力するように構成されている。
【0027】
同時化処理部32は、例えば、後述の同時化処理制御信号に応じて動作するセレクタと、そのセレクタの後段に接続された複数のメモリと、を具備する同時化回路として構成されている。また、同時化処理部32は、制御部34から出力される同時化処理制御信号に基づき、前処理部31から順次出力される画像データを複数フィールド分蓄積する。
【0028】
そして、割り当て部を構成する同時化処理部32は、蓄積した複数フィールド分の画像データを、表示装置4の赤色に対応するRチャンネル、表示装置4の緑色に対応するGチャンネル、及び、表示装置4の青色に対応するBチャンネルに選択的に割り当てて画像処理部33に同時に出力するように構成されている。
【0029】
画像処理部33は、例えば、合成回路等の画像処理回路を具備して構成されている。また、画像処理部33は、Rチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルに割り当てられた状態で出力される各画像データを合成することにより1フレーム分の画像データを生成する。そして、画像処理部33は、生成した1フレーム分の画像データに対してガンマ補正等の所定の画像処理を施すことにより映像信号を生成し、生成した映像信号を表示装置4へ順次出力するように構成されている。
【0030】
制御部34は、例えば、CPUまたは制御回路等を具備して構成されている。また、制御部34は、スコープスイッチ13の観察モード設定スイッチにおいて設定された観察モードを検出し、検出した観察モードに応じた照明光を出射させるための照明制御信号を生成して回転フィルタ22へ出力するように構成されている。また、制御部34は、狭帯域光観察モードに設定されたことを検出した際に、前処理部31から出力される画像データBD(後述)の輝度値、すなわち、画像データBDから取得した評価値に基づき、Rチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルにおける画像データの割り当て及び画像データの更新頻度をそれぞれ設定するための同時化処理制御信号を生成して同時化処理部32へ出力するように構成されている。
【0031】
次に、このように構成された撮像システムの動作について説明する。
【0032】
まず、ユーザは、撮像システム101の各部を接続して電源を投入した後、スコープスイッチ13の観察モード設定スイッチを操作することにより、撮像システム101の観察モードを白色光観察モードに設定する。
【0033】
制御部34は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、白色光観察用の回転フィルタを所定の速度で回転させるための制御信号を生成して回転フィルタ22に出力する。また、制御部34は、被写体からの戻り光を所定期間毎に撮像させるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子12bに出力する。また、制御部34は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、Rチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルにおける画像データの割り当て及び画像データの更新頻度をそれぞれ設定するための同時化処理制御信号を生成して同時化処理部32に出力する。
【0034】
白色光観察用の回転フィルタは、Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタが設けられており、白色光観察用の回転フィルタが所定の速度で回転することにより、光源装置2から出射されるとともに照明光学系11を経て被写体に照射される照明光が、R光→G光→B光→R光…の順にかつ所定期間毎に切り替わる。
【0035】
撮像素子12bは、制御部34から出力される撮像素子駆動信号に基づき、光源装置2から出射される照明光により照明された被写体からの戻り光を所定期間毎に撮像して撮像信号を出力する。すなわち、このような撮像素子12bの動作によれば、R光が照明されている期間中に受光した戻り光、G光が照射されている期間中に受光した戻り光、及び、B光が照射されている期間中に受光した戻り光がそれぞれ1回ずつ撮像される。
【0036】
前処理部31は、撮像素子12bから出力される撮像信号に基づき、R光の戻り光に応じた画像データRDと、G光の戻り光に応じた画像データGDと、B光の戻り光に応じた画像データBDと、を1フィールド分ずつ生成して同時化処理部32及び制御部34へ順次出力する。
【0037】
同時化処理部32は、制御部34から出力される同時化処理制御信号に基づき、前処理部31から順次出力される画像データRD、GD及びBDを1フィールド分ずつ蓄積する。そして、同時化処理部32は、蓄積した1フィールド分の画像データRDをRチャンネルに割り当て、蓄積した1フィールド分の画像データGDをGチャンネルに割り当て、蓄積した1フィールド分の画像データBDをBチャンネルに割り当てて、画像処理部33に同時に出力する。また、同時化処理部32は、制御部34から出力される同時化処理制御信号に基づき、Rチャンネルに割り当てる画像データRDを1回更新する動作と、Gチャンネルに割り当てる画像データGDを1回更新する動作と、Bチャンネルに割り当てる画像データBDを1回更新する動作と、を順次行う。
【0038】
画像処理部33は、Rチャンネルに割り当てられた画像データRDと、Gチャンネルに割り当てられた画像データGDと、Bチャンネルに割り当てられた画像データBDと、を合成することにより1フレーム分のRGBカラー画像データを生成する。そして、画像処理部33は、生成した1フレーム分のRGBカラー画像データに対してガンマ補正等の所定の画像処理を施すことにより映像信号を生成し、生成した映像信号を表示装置4に順次出力する。
【0039】
一方、ユーザは、撮像システム101の観察モードを白色光観察モードに設定した状態において、表示装置4に表示される画像を確認しながら内視鏡1の挿入部を被検体の内部に挿入してゆくことにより、挿入部の先端部を所望の被写体の近傍に配置する。その後、ユーザは、内視鏡1の挿入部の先端部を所望の被写体の近傍に配置した状態において、スコープスイッチ13の観察モード設定スイッチを操作することにより、撮像システム101の観察モードを狭帯域光観察モードに設定する。
【0040】
図2は、狭帯域光観察モード時の動作の一例を説明するための図である。制御部34は、狭帯域光観察モードに設定されたことを検出すると、狭帯域光観察用の回転フィルタを所定の速度で回転させるための制御信号を生成して回転フィルタ22に出力する。また、制御部34は、被写体からの戻り光を所定期間FP1毎に撮像させるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子12bに出力する。また、制御部34は、狭帯域光観察モードに設定されたことを検出すると、Rチャンネル、Gチャンネル及びBチャンネルにおける画像データの割り当て及び画像データの更新頻度をそれぞれ設定するための同時化処理制御信号を生成して同時化処理部32に出力する。
【0041】
狭帯域光観察用の回転フィルタは、Gフィルタ、Bフィルタ、B’フィルタが設けられており、狭帯域光観察用の回転フィルタが所定の速度で回転することにより、光源装置2から出射されるとともに照明光学系11を経て被写体に照射される照明光が、図2に示すように、G0光→B0光→B0’光→G1光…の順にかつ所定期間FP1毎に切り替わる。
【0042】
撮像素子12bは、制御部34から出力される撮像素子駆動信号に基づき、光源装置2から出射される照明光により照明された被写体からの戻り光を所定期間FP1毎に撮像して撮像信号を出力する。すなわち、このような撮像素子12bの動作によれば、G光が照射されている期間中に受光した戻り光、B光が照射されている期間中に受光した戻り光、及び、B’光が照射されている期間中に受光した戻り光がそれぞれ1回ずつ撮像される。
【0043】
前処理部31は、撮像素子12bから出力される撮像信号に基づき、G光の戻り光に応じた画像データ(第1の画像信号)GDと、B光の戻り光に応じた画像データ(第2の画像信号)BDと、B’光の戻り光に応じた画像データ(第3の画像信号)BD’と、を1フィールド分ずつ生成して同時化処理部32及び制御部34へ順次出力する。
【0044】
同時化処理部32は、制御部34から出力される同時化処理制御信号に基づき、前処理部31から順次出力される画像データGD、BD及びBD’を1フィールド分ずつ蓄積する。そして、同時化処理部32は、所定のタイミングで下記の式(1)または式(2)を切り替えて、蓄積した複数フィールド分の画像データを各色チャンネルに割り当てる処理を行う。
【式1】
【0045】
【式2】
【0046】
具体的には、同時化処理部32は、Rチャンネル(第1のチャンネル)に画像データGDを割り当てたタイミング(画像データGDを更新するタイミング:図2の所定期間FP1a及びFP1bのタイミング)である第1のフィールド期間において、式(2)を用いた割り当て処理(第2の割り当て処理)を行い、Gチャンネル(第2のチャンネル)及びBチャンネル(第3のチャンネル)に画像データBD’を割り当てる。
【0047】
一方、同時化処理部32は、Rチャンネルに画像データGDを割り当てたタイミングである第1のフィールド期間以外のフィールド期間において、式(1)を用いた割り当て処理(第1の割り当て処理)を行い、Gチャンネル及びBチャンネルに画像データBDを割り当てる。
【0048】
すなわち、同時化処理部32は、第1のフィールド期間では、蓄積した1フィールド分の画像データGDをRチャンネルに割り当て、蓄積した1フィールド分の画像データBD’をGチャンネル及びBチャンネルに割り当てる。一方、同時化処理部32は、第1のフィールド期間以外のフィールド期間では、蓄積した1フィールド分の画像データGDをRチャンネルに割り当て、蓄積した1フィールド分の画像データBDをGチャンネル及びBチャンネルに割り当てる。同時化処理部32は、このように画像データを各色チャンネルに割り当てて、画像処理部33に同時に出力する。
【0049】
なお、上記式(1)及び式(2)において、Wは、画像データBD+画像データBD’の輝度値に応じて変更される変数であり、0≦W≦1である。W=0の場合、1フィールド分の画像データGDと、1フィールド分の画像データBDまたはBD’とを同時化(合成)する一重露光となる。一方、0<W≦1の場合、一重露光で使用している画像データに加え、一重露光で使用していない画像データBDまたはBD’を所定の割合で同時化する二重露光となる。
【0050】
具体的には、画像データBDの輝度値が所定の閾値未満の場合、BD+BD’*Wが所定の閾値となるようにW(0<W≦1)を決定する。
【0051】
また、画像データBDの輝度値が所定の閾値以上の場合、W=0となり、一重露光となる。
【0052】
本説明は、実施例に従いフレームに応じてBDとBD’が逆転する。また、ユーザによって一重露光と二重露光とを切り替えるように構成してもよい。
【0053】
画像処理部33は、第1のフィールド期間では、Rチャンネルに割り当てられた画像データGDと、Gチャンネル及びBチャンネルに割り当てられた画像データBD’と、を合成することにより1フレーム分の狭帯域光画像データを生成する。一方、画像処理部33は、第1のフィールド期間以外のフィールド期間では、Rチャンネルに割り当てられた画像データGDと、Gチャンネル及びBチャンネルに割り当てられた画像データBDと、を合成することにより1フレーム分の狭帯域光画像データを生成する。そして、画像処理部33は、生成した1フレーム分の狭帯域光画像データに対してガンマ補正等の所定の画像処理を施すことにより映像信号を生成し、生成した映像信号を表示装置4に順次出力する。
【0054】
図3は、狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの一例を説明するための図である。なお、図3は、式(1)及び式(2)のWがW=0の一重露光の場合に同時化される画像データの一例である。
【0055】
図3Aは、順次撮像された画像データGD0、BD0、BD0’がメモリに格納された状態を示している。この場合、従来及び本実施形態では、式(1)を用いて割り当て処理を行い、画像データGD0と、画像データBD0とが同時化されることになる。
【0056】
図3Bは、さらに、画像データGD1がメモリに格納された状態を示している。すなわち、図3Bは、画像データGD1の更新のタイミングを示している。従来では、画像データGD1の更新のタイミングでも、式(1)を用いて割り当て処理を行っていた。そのため、図3Bに示すように、従来では、画像データGD1と、2フィールド前の画像データBD0とが同時化されていた。
【0057】
これに対し、本実施形態では、画像データGD1の更新のタイミングにおいて、式(1)から式(2)に切り替えて、切り替えた式(2)を用いて割り当て処理を行っている。そのため、図3Bに示すように、本実施形態では、画像データGD1と、1フィールド前の画像データBD0’とが同時化されることになる。
【0058】
図3Cは、さらに、画像データBD1がメモリに格納された状態を示している。この場合、従来及び本実施形態では、式(1)を用いて割り当て処理を行い、画像データGD1と、画像データBD1とが同時されることになる。従来では、図3Bから図3Cに変更した際、同時化する画像データが、画像データBD0から画像データBD1に変更される。そのため、同時化されるBの画像データが一気に移動することになり、動画観察時にガタついて見える。
【0059】
このように、従来では、画像データGD1を更新するタイミングで、更新された画像データGD1と2フィールド前の画像データBD0とを用いて同時化していたため、色ずれが大きく、動画観察時にガタついて見えていた。
【0060】
これに対し、本実施形態では、画像データGDを更新するタイミングにおいて、割り当て処理を式(1)から式(2)に切り替えることで、更新された画像データGD1と、1フィールド前の画像データBD0’とを用いて同時化するようにしている。より具体的には、撮像システム101は、狭帯域光観察モードにおいて、Rチャンネルに画像データGDを割り当てるタイミングである第1のフィールド期間に、式(2)を用いた第2の割り当て処理を行い、第1のフィールド期間以外の期間に、式(1)を用いた第1の割り当て処理を行うようにしている。
【0061】
この結果、本実施形態の撮像システム101は、狭帯域光観察モード時の一重露光において、2フィールド前の画像データBDを用いて同時化されることがないため、色ずれが軽減され、動画観察時にガタつきが解消されることになる。
【0062】
次に、二重露光について説明する。制御部34は、画像データBDと画像データBD’とを加算して得られる画像データ(第4の画像信号)の輝度値が所定の閾値未満か否かを判定する。加算して得られた画像データの輝度値が所定の閾値未満である場合、画像データBDと画像データBD’とを加算して得られる画像データをGチャンネル及びBチャンネルに割り当てるための同時化処理制御信号を生成して同時化処理部32に出力する。なお、加算して得られた画像データの輝度値が所定の閾値以上の場合、上述した一重露光の制御が行われる。
【0063】
同時化処理部32は、Rチャンネルに画像データGDを割り当てたタイミングである第1のフィールド期間において、上述した式(2)を用いた割り当て処理を行い、Gチャンネル及びBチャンネルに所定の割合の画像データBDと1フィールド分の画像データBD’とを加算した画像データを割り当てる。なお、所定の割合は、画像データBDと画像データBD’とを加算して得られる画像データの輝度値に応じて変更されるものである。
【0064】
一方、同時化処理部32は、Rチャンネルに画像データGDを割り当てたタイミングである第1のフィールド期間以外のフィールド期間において、上述した式(1)を用いた割り当て処理を行い、Gチャンネル及びBチャンネルに1フィールド分の画像データBDと所定の割合の画像データBD’とを加算した画像データを割り当てる。
【0065】
図4は、狭帯域光観察モード時に同時化される画像データの他の例を説明するための図である。なお、図4は、式(1)及び式(2)のWが0<W≦1の二重露光の場合に同時化される画像データの一例である。
【0066】
図4Aは、順次撮像された画像データGD0、BD0、BD0’がメモリに格納された状態を示している。この場合、従来及び本実施形態では、式(1)を用いて割り当て処理を行い、画像データGD0と、画像データBD0と、所定の割合(例えば、0より大きく1以下)の画像データBD0’と、が同時化されることになる。
【0067】
図4Bは、さらに、画像データGD1がメモリに格納された状態を示している。すなわち、図4Bは、画像データGD1の更新のタイミングを示している。従来では、画像データGD1の更新のタイミングでも、式(1)を用いて割り当て処理を行っていた。そのため、図4Bに示すように、従来では、画像データGD1と、2フィールド前の画像データBD0と、1フィールド前の所定の割合の画像データBD0’と、が同時化されていた。
【0068】
これに対し、本実施形態では、画像データGD1の更新のタイミングにおいて、式(1)から式(2)に切り替えて、切り替えた式(2)を用いて割り当て処理を行っている。そのため、図4Bに示すように、本実施形態では、画像データGD1と、1フィールド前の画像データBD0’と、2フィールド前の所定の割合の画像データBD0と、が同時化されることになる。
【0069】
図4Cは、さらに、画像データBD1がメモリに格納された状態を示している。この場合、従来及び本実施形態では、式(1)を用いて割り当て処理を行い、画像データGD1と、1フィール後の画像データBD1と、1フィールド前の所定の割合の画像データBD0’と、が同時されることになる。
【0070】
このように、従来では、画像データGD1を更新するタイミングで、更新された画像データGD1と、2フィールド前の画像データBD0と、1フィールド前の所定の割合の画像データBD0’とを用いて同時化していた。すなわち、画像データGD1と2フィールド前の画像データBD0とをメインにし、さらに1フィールド前の所定の割合の画像データBD0’を用いて同時化していたため、色ずれが若干大きくなっていた。
【0071】
これに対し、本実施形態では、画像データGDを更新するタイミングにおいて、割り当て処理を式(1)から式(2)に切り替えることで、更新された画像データGD1と、1フィールド前の画像データBD0’とをメインにし、さらに2フィールド前の所定の割合の画像データBD0を用いて同時化するようにしている。
【0072】
この結果、本実施形態の撮像システム101は、狭帯域光観察モード時の二重露光において、2フィールド前の画像データBDをメインとして同時化されることがないため、色ずれが軽減されることになる。
【0073】
よって、本実施形態の撮像システムによれば、面順次方式の狭帯域光観察において表示される映像の色ずれを小さくすることができる。
【0074】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0075】
本出願は、2015年12月24日に日本国に出願された特願2015−252028号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C