特許第6242560号(P6242560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242560硬性内視鏡のカバーおよび内視鏡ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6242560
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】硬性内視鏡のカバーおよび内視鏡ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20171127BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61B1/00 650
   A61B1/12 530
   A61B1/00 R
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-550651(P2017-550651)
(86)(22)【出願日】2017年8月2日
(86)【国際出願番号】JP2017028076
【審査請求日】2017年9月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507096124
【氏名又は名称】株式会社トライテック
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】松本 桂太郎
(72)【発明者】
【氏名】永安 武
(72)【発明者】
【氏名】高木 克典
(72)【発明者】
【氏名】原島 伸恭
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 博
(72)【発明者】
【氏名】森 順二
【審査官】 森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3186191(JP,U)
【文献】 特開2015−177914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に観察窓部が設けられた硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うためのカバーであって、
前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆う、可撓性を有する外側カバー部分と、
前記外側カバー部分の内面に設けられ、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路を区画する内側カバー部分と、
を備え、
前記外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が前記硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっている、硬性内視鏡のカバー。
【請求項2】
前記外側カバー部分の材料はプラスチックである、請求項1記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項3】
前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路は、前記硬性内視鏡の外周面と前記内側カバー部分との間に区画されるようになっている、請求項1または2記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項4】
前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路は、前記外側カバー部分の内面と前記内側カバー部分との間に区画されるようになっている、請求項1または2記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項5】
前記外側カバー部分の内面には凹部が形成されており、前記内側カバー部分は前記外側カバー部分の前記凹部に着脱自在に取り付けられるようになっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項6】
前記内側カバー部分は弾性変形可能な材料から形成されており、当該内側カバー部分は、弾性変形することにより前記外側カバー部分の前記凹部に取り付けられるような形状となっている、請求項5記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項7】
前記内側カバー部分の材料はゴムである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項8】
前記溝に沿って流れる洗浄用流体の向きを前記カバーの中空部分に向かう方向に変える流体向き変更部が設けられている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬性内視鏡のカバー。
【請求項9】
先端に観察窓部が設けられた硬性内視鏡と、
前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆う、可撓性を有する外側カバー部分、および前記外側カバー部分の内面に設けられ、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路を区画する内側カバー部分を有しており、前記外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が前記硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっている、内視鏡ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患部を撮像するための対物レンズを保護する観察窓部が先端に設けられた硬性内視鏡の外周面を覆うための中空のカバー、ならびに硬性内視鏡およびカバーからなる内視鏡ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野では、胃の検査や、その手術において胃カメラに代表される内視鏡(軟性内視鏡)が使用されるようになっている。また、胸部を開口して行う手術で胸腔鏡が使用され、腹部を開口して行う手術で腹腔鏡が使用される場合が多い(以下、腹腔鏡下手術という)。腹腔鏡下手術は、その低侵襲性、良好な整容性により急速に普及しており、胃癌、大腸癌手術を主な対象として外科手術全体に占める割合が年々増加している。ところで、上述した胸腔鏡や腹腔鏡等は硬性内視鏡と呼ばれ、硬性内視鏡や軟性内視鏡等の先端には、患部を撮像するための対物レンズが設けられるとともに、対物レンズを保護する観察窓部が設けられている。
【0003】
上述した胸腔鏡や腹腔鏡等の硬性内視鏡を用いた手術が行われる間に、硬性内視鏡の先端に設けられた観察窓部が血液や脂肪等により汚れ、また曇りを生じることが頻繁にある。このため、観察窓部の洗浄または清浄化のために手術を一時中断せざるを得ず、手術効率が著しく低下するという問題がある。より詳細に説明すると、硬性内視鏡を用いた手術に必要な情報は、当該硬性内視鏡により得られる画像(視覚)情報のみであり、手術中の曇りや血液、脂肪等による観察窓部の汚れは、安全な手術の施行の妨げとなる。そのために手術中は硬性内視鏡を体外に一旦取り出して洗浄する必要があるが、それに要する時間は手術時間の延長につながり、患者に大きな負担となったり予期せぬ合併症が発症したりするおそれがある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、患者の体内で硬性内視鏡の観察窓部に生理食塩水等の洗浄水や当該洗浄水を吹き飛ばすための気体を供給するような洗浄装置(具体的には、長尺状のチューブ)を硬性内視鏡の外周面に取り付けるような技術が開示されている。また、特許文献2乃至5には、洗浄水や気体の供給通路を内部に設けた洗浄用シースを硬性内視鏡に被せることにより患者の体内で観察窓部の洗浄を行うような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3186191号
【特許文献2】特開2012−254188号公報
【特許文献3】特開2015−177914号公報
【特許文献4】特許第2539980号
【特許文献5】特開平5−207962号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、硬性内視鏡の観察窓部に洗浄水や気体を供給するような洗浄装置としての長尺状のチューブを硬性内視鏡の外周面に取り付けた場合には、患者の体内に硬性内視鏡を挿入したときに長尺状のチューブが患者の体内で硬性内視鏡から外れてしまうおそれがあり、この外れた長尺状のチューブにより患者の体内が傷つけられてしまうおそれがある。また、硬性内視鏡を用いた手術が行われる前に長尺状のチューブを毎回洗浄する必要があり、手間がかかるという問題がある。また、特許文献1に開示される洗浄装置では、チューブ取付け部の段差が患者の体内への挿入時に妨げになったり、先端のチューブ曲げ部が鋭角で剛性が高いため患者の体内の臓器を損傷するおそれがあったりするという問題がある。
【0007】
また、特許文献2乃至5に開示されるように、洗浄水や気体の供給通路を内部に設けた洗浄用シースを硬性内視鏡の外周面の周方向における全周に被せた場合には、硬性内視鏡の外周面に洗浄用シースを被せるのに手間がかかるという問題がある。また、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させる場合には、当該洗浄用シースの製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、患者の体内で観察窓部の洗浄を行うことができ、しかも硬性内視鏡の外周面に対して容易に着脱することができるとともに製造コストを低減することができる硬性内視鏡のカバーおよび内視鏡ユニットを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の硬性内視鏡のカバーは、先端に観察窓部が設けられた硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うためのカバーであって、前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆う、可撓性を有する外側カバー部分と、前記外側カバー部分の内面に設けられ、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路を区画する内側カバー部分と、を備え、前記外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が前記硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっていることを特徴とする。
【0010】
このような硬性内視鏡のカバーによれば、硬性内視鏡の観察窓部に供給される洗浄用流体の流路がカバーの内側カバー部分により区画されるため、患者の体内で観察窓部の洗浄を行うことができる。また、硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆う外側カバー部分は可撓性を有しており、外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっているため、硬性内視鏡の外周面に対してカバーを容易に着脱することができる。また、硬性内視鏡の観察窓部に供給される洗浄用流体の流路がカバーの内側カバー部分により区画されるため、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させる場合と比較して製造コストを低減することができる。
【0011】
本発明の硬性内視鏡のカバーにおいては、前記外側カバー部分の材料はプラスチックであってもよい。
【0012】
本発明の硬性内視鏡のカバーにおいては、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路は、前記硬性内視鏡の外周面と前記内側カバー部分との間に区画されるようになっていてもよい。
【0013】
あるいは、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路は、前記外側カバー部分の内面と前記内側カバー部分との間に区画されるようになっていてもよい。
【0014】
本発明の硬性内視鏡のカバーにおいては、前記外側カバー部分の内面には凹部が形成されており、前記内側カバー部分は前記外側カバー部分の前記凹部に着脱自在に取り付けられるようになっていてもよい。
【0015】
この場合、前記内側カバー部分は弾性変形可能な材料から形成されており、当該内側カバー部分は、弾性変形することにより前記外側カバー部分の前記凹部に取り付けられるような形状となっていてもよい。
【0016】
本発明の硬性内視鏡のカバーにおいては、前記内側カバー部分の材料はゴムであってもよい。
【0017】
本発明の硬性内視鏡のカバーにおいては、前記溝に沿って流れる洗浄用流体の向きを前記カバーの中空部分に向かう方向に変える流体向き変更部が設けられていてもよい。
【0018】
本発明の内視鏡ユニットは、先端に観察窓部が設けられた硬性内視鏡と、前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆う、可撓性を有する外側カバー部分、および前記外側カバー部分の内面に設けられ、前記硬性内視鏡の前記観察窓部に供給される洗浄用流体の流路を区画する内側カバー部分を有しており、前記外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が前記硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっていてもよい。
【0019】
このような内視鏡ユニットによれば、硬性内視鏡の観察窓部に供給される洗浄用流体の流路がカバーの内側カバー部分により区画されるため、患者の体内で観察窓部の洗浄を行うことができる。また、硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うカバーの外側カバー部分は可撓性を有しており、外側カバー部分が撓むことにより当該外側カバー部分が硬性内視鏡の外周面に取り付けられるようになっているため、硬性内視鏡の外周面に対してカバーを容易に着脱することができる。また、硬性内視鏡の観察窓部に供給される洗浄用流体の流路がカバーの内側カバー部分により区画されるため、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させる場合と比較してカバーの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態において図1に示す硬性内視鏡に図2に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。
図4図3に示す内視鏡ユニットを仮想平面Aで切断したときの断面図である。
図5図3に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態において変形例に係る硬性内視鏡にカバーを被せたときの状態を示す断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態において別の変形例に係る硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。
図8図1に示す硬性内視鏡に図7に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係る硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。
図10図9に示すカバーにおける内側カバー部分の構成の詳細を示す斜視図である。
図11図1に示す硬性内視鏡に図9に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。
図12】本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係る内視鏡ユニットの構成を示す斜視図である。
図13図12に示す内視鏡ユニットを仮想平面Bで切断したときの断面図である。
図14図12に示す内視鏡ユニットのカバーにおける内側カバー部分の構成の詳細を示す斜視図である。
図15図12に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
図16】本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバーの構成を示す側面図である。
図17図16に示すカバーを下方から見たときの構成を示す下面図である。
図18図16に示すカバーのP−Pライン矢視による断面図である。
図19】本発明の第2の実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡の構成を概略的に示す斜視図である。
図20】本発明の第2の実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。
図21】本発明の第2の実施の形態において図19に示す硬性内視鏡に図20に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。
図22図21に示す内視鏡ユニットを仮想平面Cで切断したときの断面図である。
図23図21に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
図24】本発明の第2の実施の形態において変形例に係る硬性内視鏡にカバーを被せたときの状態を示す断面図である。
図25】本発明の第2の実施の形態において別の変形例に係る硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。
図26図19に示す硬性内視鏡に図25に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。
図27図19に示す硬性内視鏡に図2に示すカバーを被せた内視鏡ユニットの断面図である。
図28図27に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
図29】更に別の例に係る内視鏡ユニットの断面図である。
図30図29に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態に係る内視鏡ユニットを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡の構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。また、図3は、本実施の形態において図1に示す硬性内視鏡に図2に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。また、図4は、図3に示す内視鏡ユニットを仮想平面Aで切断したときの断面図であり、図5は、図3に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
【0022】
まず、本実施の形態に係る硬性内視鏡10について図1を用いて説明する。図1に示すように、硬性内視鏡10は細長い略円柱形状の本体部分12を有しており、この本体部分12の先端には患部を撮像するための対物レンズ(図示せず)および当該対物レンズを保護するガラス板等の観察窓部14が設けられている。
【0023】
次に、本実施の形態に係る硬性内視鏡10の外周面の周方向における全部を覆うための中空のカバー20について図2乃至図5を用いて説明する。本実施の形態によるカバー20の材料は天然ゴムや合成ゴム等のゴムであり、図1に示す硬性内視鏡10の外周面に当該カバー20が被せられるようになっている。より詳細には、カバー20は細長い略円筒形状の本体部分22を有しており、この本体部分22の根元側(すなわち、図2における奥側)の中空部分に硬性内視鏡10の先端が入れられることによって当該硬性内視鏡10の外周面にカバー20が被せられるようになっている。なお、このような硬性内視鏡10およびカバー20を組み合わせることにより本発明に係る内視鏡ユニットが構成されている。また、カバー20の本体部分22の内周面には2本の溝24、26が当該本体部分22の長手方向に沿って延びるよう形成されており、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面および各溝24、26の内面によって硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝24、26のうち一方の溝24は、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝26は、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。
【0024】
また、図2に示すように、カバー20の先端には開口32が設けられており、硬性内視鏡10の外周面にカバー20が被せられたときに、観察窓部14はこの開口32によりカバー20の外部に露出するようになっている。また、カバー20の先端における開口32の近傍には、各溝24、26に沿って(すなわち、カバー20の本体部分22の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向(すなわち、カバー20の中空部分に向かう方向)に変える流体向き変更部34が設けられている。具体的には、流体向き変更部34には、洗浄用流体の流路を区画する湾曲部分36が設けられており、当該湾曲部分36によって洗浄用流体の向きが図5における左方向から右下方向に変えられるようになっている。このような流体向き変更部34によって、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面に沿って図5における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡10の観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。また、このような流体向き変更部34は、カバー20の本体部分22から中空部分に向かって内側に突出するようになっており、硬性内視鏡10にカバー20を被せたときに当該硬性内視鏡10の先端がこの流体向き変更部34に引っ掛かるようになっている。このことにより、硬性内視鏡10の先端がカバー20の先端から飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0025】
また、図3および図5に示すように、カバー20の本体部分22において各溝24、26の基端側(すなわち、図3における奥側)には流体供給管28、30がそれぞれ接続されており、これらの流体供給管28、30から各溝24、26の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、図2に示すように、流体供給管28には洗浄水供給路44を介して洗浄水供給源40が接続されており、洗浄水供給源40から洗浄水供給路44に供給された洗浄水が流体供給管28に送られるようになっている。このことにより、硬性内視鏡10にカバー20が被せられたときに、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝24の内面との間に区画される流路に流体供給管28から洗浄水を供給することができるようになる。また、図2に示すように、流体供給管30には気体供給路46を介して気体供給源42が接続されており、気体供給源42から気体供給路46に供給された気体が流体供給管30に送られるようになっている。このことにより、硬性内視鏡10にカバー20が被せられたときに、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝26の内面との間に区画される流路に流体供給管30から気体を供給することができるようになる。
【0026】
次に、このような構成からなる内視鏡ユニットの使用方法について説明する。まず、患者の体内に内視鏡ユニットを差し込むような手術を行う際に、図1に示す硬性内視鏡10の外周面に図2に示すカバー20を被せる。具体的には、カバー20の本体部分22の根元側(すなわち、図2における奥側)の中空部分に硬性内視鏡10の先端を入れ、この硬性内視鏡10の先端がカバー20の先端側の流体向き変更部34に引っ掛かるまで当該硬性内視鏡10をカバー20の中空部分に差し込む。このことにより、図3に示すような、硬性内視鏡10にカバー20が被せられた内視鏡ユニットが形成されるようになる。そして、図3に示すような内視鏡ユニットを患者の体内に挿入することにより手術を行う。
【0027】
手術中に硬性内視鏡10の観察窓部14が血液や脂肪等により汚れたり、曇りが生じたりした場合には、患者の体内に内視鏡ユニットを差し込んだ状態で当該観察窓部14の洗浄を行う。より詳細には、洗浄水供給源40から洗浄水供給路44を介して流体供給管28に洗浄水を供給することにより、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝24の内面との間に区画される流路において図5における左方向に洗浄水が流れるようにする。そして、このような図5における左方向に流れる洗浄水はカバー20の先端において流体向き変更部34によりその向きが観察窓部14に向かう方向に変えられる。より詳細には、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝24の内面との間に区画される流路に沿って図5における左方向に流れる洗浄水の向きは、流体向き変更部34の湾曲部分36によって図5における左方向から右下方向に変えられる。このことにより観察窓部14を洗浄水により洗浄することができるようになる。その後、気体供給源42から気体供給路46を介して流体供給管30に気体を供給することにより、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝26の内面との間に区画される流路において図5における左方向に気体が流れるようになる。そして、このような図5における左方向に流れる気体はカバー20の先端において流体向き変更部34によりその向きが観察窓部14に向かう方向に変えられる。より詳細には、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面とカバー20の溝26の内面との間に区画される流路に沿って図5における左方向に流れる気体の向きは、流体向き変更部34の湾曲部分36によって図5における左方向から右下方向に変えられる。このことにより観察窓部14に付着した洗浄水を気体により吹き飛ばすことができるようになる。
【0028】
以上のような構成からなる本実施の形態のカバー20やこのようなカバー20と硬性内視鏡10とから構成される内視鏡ユニットによれば、カバー20の内周面に各溝24、26が設けられており、硬性内視鏡10の外周面および各溝24、26の内面によって硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄水や気体等の洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。このように、硬性内視鏡10の外周面を覆うカバー20の内周面に洗浄用流体の流路としての溝24、26を設けることにより、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。しかも、カバー20の内周面に溝24、26を設けているため、カバー20が被せられた硬性内視鏡10(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0029】
また、このようなカバー20は硬性内視鏡10に被せるだけなので、毎回の手術において使い捨てのものとすることができる。このため、観察窓部14に洗浄用流体を供給する洗浄装置を硬性内視鏡10に装着している場合と比較して、毎回の手術の前に洗浄装置自体を洗浄する手間を省くことができるようになる。また、硬性内視鏡10の外周面にカバー20を被せることにより内視鏡ユニットを構成する場合には、より細い硬性内視鏡10にも適用することができるようになる。
【0030】
また、カバー20の材料がゴムであることにより、当該カバー20に伸縮性を持たせることができるようになり、よって硬性内視鏡10にカバー20を被せたときに当該硬性内視鏡10の外周面にカバー20を密着させることができるようになる。このことにより、硬性内視鏡10の外周面および各溝24、26の内面によって区画される流路から洗浄用流体が漏れ出てしまうことを抑制することができるようになる。とりわけ、カバー20の材料としてシリコーンゴム(とりわけ、医療用シリコーンゴム)を用いることが好ましい。シリコーンゴムは様々な医療の分野で用いられており、安価であるとともに安全性をより確実に担保することができるからである。また、カバー20の材料としてテフロンゴムを用いてもよい。また、硬性内視鏡10の外周面にカバー20を密着させることによって、内視鏡ユニットを患者の体内に挿入している間に硬性内視鏡10からカバー20が外れてしまうことを防止することができるようになる。また、カバー20の材料がゴムである場合には、硬性内視鏡10にカバー20を被せる動作や硬性内視鏡10からカバー20を取り外す動作を容易に行うことができるようになる。また、カバー20の材料がゴムである場合には、硬性内視鏡10の先端部分をゴム製のカバー20により覆うことができるため、患者の体内で内視鏡ユニットが患者の体内の臓器等の部位等に接触した場合でも当該部位が内視鏡ユニットにより傷つけられてしまうことが極力抑制されるようになる。
【0031】
また、硬性内視鏡10の外周面の周方向における全部を覆うカバー20の材料はゴムに限定されることはない。カバー20の材料として軟質プラスチック等のプラスチックを用いてもよい。この場合でも、カバー20の本体部分22の根元側(すなわち、図2における奥側)の中空部分に硬性内視鏡10の先端を入れ、この硬性内視鏡10の先端がカバー20の先端側の流体向き変更部34に引っ掛かるまで当該硬性内視鏡10をカバー20の中空部分に差し込むことにより、図3に示すような、硬性内視鏡10にカバー20が被せられた内視鏡ユニットが形成されるようになる。
【0032】
なお、本発明の第1の実施の形態において、上記の説明では、細長い略円柱形状の本体部分12の長手方向に直交する面に沿って観察窓部14が延びるような硬性内視鏡10にカバー20を被せるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る硬性内視鏡として、細長い略円柱形状の本体部分の長手方向に直交する面に対して観察窓部が傾斜しているようなものが用いられてもよい。このような態様について図6を用いて説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態において変形例に係る硬性内視鏡10aにカバー20aを被せたときの状態を示す断面図である。
【0033】
図6に示すように、変形例に係る硬性内視鏡10aは細長い略円柱形状の本体部分12aを有しており、この本体部分12aの先端には患部を撮像するための対物レンズ(図示せず)および当該対物レンズを保護するガラス板等の観察窓部14aが設けられている。また、上述したように、変形例に係る硬性内視鏡10aでは、細長い略円柱形状の本体部分12aの長手方向に直交する面(すなわち、図6において上下方向に延びる面)に対して観察窓部14aが傾斜している。
【0034】
また、カバー20aは細長い略円筒形状の本体部分22aを有しており、この本体部分22aの根元側(すなわち、図6における右側)の中空部分に硬性内視鏡10aの先端が入れられることによって当該硬性内視鏡10aの外周面にカバー20aが被せられるようになっている。なお、カバー20aの先端部分も、硬性内視鏡10aの形状に合うよう、本体部分22aの長手方向に直交する面に対して傾斜している。また、カバー20aの本体部分22aの内周面には2本の溝24a、26aが当該本体部分22aの長手方向に沿って延びるよう形成されており、硬性内視鏡10aの本体部分12aの外周面および各溝24a、26aの内面によって硬性内視鏡10aの観察窓部14aに供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝24a、26aのうち一方の溝24aは、硬性内視鏡10aの観察窓部14aに供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝26aは、観察窓部14aに付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。
【0035】
また、図6に示すように、カバー20aの先端には開口32aが設けられており、硬性内視鏡10aの外周面にカバー20aが被せられたときに、観察窓部14aはこの開口32aによりカバー20aの外部に露出するようになっている。また、カバー20aの先端における開口32aの近傍には、各溝24a、26aに沿って(すなわち、カバー20aの本体部分22aの長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14aに向かう方向に変える流体向き変更部34aが設けられている。具体的には、流体向き変更部34aには、洗浄用流体の流路を区画する湾曲部分36aが設けられており、当該湾曲部分36aによって洗浄用流体の向きが図6における左方向から上方向に変えられるようになっている。このような流体向き変更部34aによって、硬性内視鏡10aの本体部分12aの外周面に沿って図6における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡10aの観察窓部14aに向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14aを確実に洗浄することができるようになる。
【0036】
また、図6に示すように、このような流体向き変更部34aは、傾斜している観察窓部14aにおける本体部分12aの根元側に近い端縁(すなわち、図6において最も右側に位置する観察窓部14aの端縁)の近傍に位置するようになっている。言い換えると、流体向き変更部34aは、傾斜しているカバー20aの先端部分における本体部分22aの根元側に近い箇所に設けられるようになっている。このことにより、硬性内視鏡10aの本体部分12aの外周面に沿って図6における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、より確実に観察窓部14aに向かう方向に変えることができるようになる。なお、流体向き変更部34aの位置は図6に示す位置に限定されることはない。流体向き変更部34aは、傾斜しているカバー20aの先端部分における本体部分22aの根元側に遠い箇所に設けられるようになっていてもよく、あるいはカバー20aの先端部分における本体部分22aの根元側に近い箇所と遠い箇所との中間に設けられていてもよい。また、カバー20aの本体部分22aにおいて各溝24a、26aの基端側には流体供給管28、30がそれぞれ接続されており、これらの流体供給管28、30から各溝24a、26aの内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。
【0037】
図6に示すような変形例に係る硬性内視鏡10aやカバー20aでも、硬性内視鏡10aの外周面を覆うカバー20aの内周面に洗浄用流体の流路としての溝24a、26aを設けることにより、患者の体内で観察窓部14aの洗浄を行うことができる。しかも、カバー20aの内周面に溝24a、26aを設けているため、カバー20aが被せられた硬性内視鏡10a(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0038】
また、別の変形例に係る内視鏡ユニットとして、硬性内視鏡の外周面の周方向における全部ではなく一部を覆うようなカバーが用いられるようになっていてもよい。このような態様について図7および図8を用いて説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態において別の変形例に係るカバー120の構成を示す斜視図であり、図8は、図1に示す硬性内視鏡10に図7に示すカバー120を被せたときの状態を示す斜視図である。
【0039】
図7および図8に示すように、別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバー120は、当該カバー120を長手方向に沿って見たときに略C字形状となっており、当該C字形状部分の間の空間に硬性内視鏡10が嵌められるようになっている。このようなカバー120は軟質プラスチック等のプラスチックから構成されており、当該カバー120は可塑性を有するものとなっている。このため、硬性内視鏡10にカバー120を取り付ける際に、当該硬性内視鏡10の外周面にカバー120のC字形状部分の隙間を押し当て、このカバー120を硬性内視鏡10に向かって押し付ける。このことによりカバー120のC字形状部分の隙間が広がるように変形するため、硬性内視鏡10にカバー120が取り付けられるようになる。
【0040】
図7および図8に示すように、カバー120は細長い本体部分122を有しており、この本体部分122の内周面には2本の溝124、126が当該本体部分122の長手方向に沿って延びるよう形成されている。そして、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面および各溝124、126の内面によって硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝124、126のうち一方の溝124は、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝126は、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。また、カバー120の本体部分122において各溝124、126の基端側(すなわち、図7における奥側)には流体供給管128、130がそれぞれ接続されており、これらの流体供給管128、130から各溝124、126の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、カバー120の先端の近傍には、各溝124、126に沿って(すなわち、カバー120の本体部分122の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向に変える流体向き変更部134が設けられている。このような流体向き変更部134によって、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面に沿って流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡10の観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。
【0041】
図7および図8に示すような別の変形例に係るカバー120を用いた場合でも、硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うカバー120の内周面に洗浄用流体の流路としての溝124、126を設けることにより、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。しかも、カバー120の内周面に溝124、126を設けているため、カバー120が被せられた硬性内視鏡10(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0042】
また、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットとして、カバーが硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うようになっており、しかもこのカバーが外側カバー部分および内側カバー部分から構成されるものが用いられるようになっていてもよい。このような態様について図9乃至図11を用いて説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係るカバー220の構成を示す斜視図であり、図10は、図9に示すカバー220における内側カバー部分223の構成の詳細を示す斜視図であり、図11は、図1に示す硬性内視鏡10に図9に示すカバー220を被せたときの状態を示す斜視図である。
【0043】
図9および図11に示すように、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバー220は、当該カバー220を長手方向に沿って見たときに略C字形状となっており、当該C字形状部分の間の空間に硬性内視鏡10が嵌められるようになっている。このようなカバー220は外側カバー部分222および内側カバー部分223を有しており、外側カバー部分222は硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うようになっている。また、外側カバー部分222は可撓性を有する材料(具体的には、例えば軟質プラスチック等のプラスチック)から形成されており、硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分222を取り付ける際に当該外側カバー部分222が撓むようになっている。また、内側カバー部分223は外側カバー部分222の内面に着脱自在に取り付けられるようになっており、この内側カバー部分223の内周面に2本の溝224、226が形成されている。このようなカバー220の構成の詳細について以下に説明する。
【0044】
上述したように、外側カバー部分222は軟質プラスチック等のプラスチックから構成されており、当該外側カバー部分222は可塑性を有するものとなっている。このため、硬性内視鏡10にカバー220を取り付ける際に、当該硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分222のC字形状部分の隙間を押し当て、この外側カバー部分222を硬性内視鏡10に向かって押し付ける。このことにより外側カバー部分222のC字形状部分の隙間が広がるように変形するため、硬性内視鏡10にカバー220が取り付けられるようになる。
【0045】
また、外側カバー部分222の内面には内側カバー部分223が着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、外側カバー部分222の内面に内側カバー部分223が着脱自在に取り付けられる代わりに、外側カバー部分222の内面に内側カバー部分223が取り外し不可となるよう固定されるようになっていてもよい。内側カバー部分223はシリコーンゴム(とりわけ、医療用シリコーンゴム)やテフロンゴム等のゴムから構成されている。また、内側カバー部分223の内周面には2本の溝224、226が当該内側カバー部分223の長手方向に沿って延びるよう形成されている。そして、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面および各溝224、226の内面によって硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝224、226のうち一方の溝224は、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝226は、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。また、内側カバー部分223において各溝224、226の基端側(すなわち、図9図10における奥側)には流体供給管(図示せず)がそれぞれ接続されており、これらの流体供給管から各溝224、226の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、内側カバー部分223の先端の近傍には、各溝224、226に沿って(すなわち、内側カバー部分223の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向に変える流体向き変更部234が設けられている。このような流体向き変更部234によって、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面に沿って流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡10の観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。
【0046】
図9乃至図11に示すような更に別の変形例に係るカバー220を用いた場合でも、硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うカバー220の内側カバー部分223の内周面に洗浄用流体の流路としての溝224、226を設けることにより、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。しかも、カバー220の内側カバー部分223の内周面に溝224、226を設けているため、カバー220が被せられた硬性内視鏡10(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。また、外側カバー部分222は可撓性を有しており、当該外側カバー部分222が撓むことにより硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分222が取り付けられるようになっているため、硬性内視鏡10の外周面に対してカバー220を容易に着脱することができるようになる。また、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路を、硬性内視鏡10の外周面および内側カバー部分223に形成される溝224、226の間に区画するようにしたため、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させると比較して洗浄用流体の流路を容易に形成することができるようになり、よってカバー220の製造コストを低減することができる。
【0047】
また、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットとして、図12乃至図15に示すものが用いられてもよい。図12乃至図15に示す内視鏡ユニットでも、図9乃至図11に示す内視鏡ユニットと同様に、カバーが硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うようになっており、しかもこのカバーが外側カバー部分および内側カバー部分から構成されるようになっている。また、図12乃至図15に示す内視鏡ユニットは、このような外側カバー部分および内側カバー部分から構成されるカバーが、図1に示す硬性内視鏡10に被せられるようになっている。ここで、図12は、本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係る内視鏡ユニットの構成を示す斜視図であり、図13は、図12に示す内視鏡ユニットを仮想平面Bで切断したときの断面図である。また、図14は、図12に示す内視鏡ユニットのカバー320における内側カバー部分323の構成の詳細を示す斜視図である。また、図15は、図12に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡10の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
【0048】
図12および図13に示すように、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバー320は、当該カバー320を長手方向に沿って見たときに略C字形状となっており、当該C字形状部分の間の空間に硬性内視鏡10が嵌められるようになっている。このようなカバー320は外側カバー部分322および内側カバー部分323を有しており、外側カバー部分322は硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うようになっている。また、外側カバー部分322は可撓性を有する材料(具体的には、例えば軟質プラスチック等のプラスチック)から形成されており、硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分322を取り付ける際に当該外側カバー部分322が撓むようになっている。また、内側カバー部分323は外側カバー部分322の内面に着脱自在に取り付けられるようになっており、この内側カバー部分323に2本の溝324、326が形成されている。このようなカバー320の構成の詳細について以下に説明する。
【0049】
上述したように、外側カバー部分322は軟質プラスチック等のプラスチックから構成されており、当該外側カバー部分322は可塑性を有するものとなっている。このため、硬性内視鏡10にカバー320を取り付ける際に、当該硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分322のC字形状部分の隙間を押し当て、この外側カバー部分322を硬性内視鏡10に向かって押し付ける。このことにより外側カバー部分322のC字形状部分の隙間が広がるように変形するため、硬性内視鏡10にカバー320が取り付けられるようになる。
【0050】
また、外側カバー部分322の内面には内側カバー部分323が着脱自在に取り付けられるようになっている。具体的には、図13に示すように、外側カバー部分322の内面には凹部322aが形成されている。また、内側カバー部分323は外側カバー部分322の凹部322aに着脱自在に取り付けられるようになっている。ここで、内側カバー部分323は弾性変形可能な材料から形成されている。より詳細には、内側カバー部分323はシリコーンゴム(とりわけ、医療用シリコーンゴム)やテフロンゴム等のゴムから構成されている。そして、内側カバー部分323は、弾性変形することにより外側カバー部分322の凹部322aに取り付けられるような形状となっている。より詳細には、内側カバー部分323は、硬性内視鏡10の外周面に沿って湾曲する底部323aと、左右一対の側部323b、323cと、外側カバー部分322の凹部322aの底面に沿った形状の上部323dとを有しており、上部323dに2本の溝324、326が形成されるようになっている。また、各側部323b、323cはそれぞれ凹形状となっており、外側カバー部分322の凹部322aの側部には、各側部323b、323cの凹形状部分に嵌まるような凸部分が形成されている。このことにより、外側カバー部分322の凹部322aに内側カバー部分323を取り付ける際に、当該内側カバー部分323は弾性変形するようになる。また、外側カバー部分322の凹部322aに内側カバー部分323が取り付けられると、外側カバー部分322の凹部322aの側部に形成される凸部分が、各側部323b、323cの凹形状部分に嵌まることにより、当該内側カバー部分323は外側カバー部分322の凹部322aから抜けなくなる。なお、本実施の形態では、外側カバー部分322の内面に内側カバー部分323が着脱自在に取り付けられる代わりに、外側カバー部分322の内面に内側カバー部分323が取り外し不可となるよう固定されるようになっていてもよい。
【0051】
上述したように、内側カバー部分323の上部323dには2本の溝324、326が当該内側カバー部分323の長手方向に沿って延びるよう形成されている。そして、外側カバー部分322の凹部322aと各溝324、326の内面との間に、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝324、326のうち一方の溝324は、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝326は、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。また、内側カバー部分323において各溝324、326の基端側(すなわち、図12図14における奥側)には流体供給管(図示せず)がそれぞれ接続されており、これらの流体供給管から各溝324、326の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、図15に示すように、外側カバー部分322の先端部分には、各溝324、326に沿って(すなわち、内側カバー部分323の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向に変える流体向き変更部334が設けられている。このような流体向き変更部334によって、硬性内視鏡10の先端に向かって当該硬性内視鏡10の長手方向に流れる洗浄用流体の向きを、観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。
【0052】
図12乃至図15に示すような更に別の変形例に係るカバー320を用いた場合でも、硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うカバー320の内側カバー部分323に洗浄用流体の流路としての溝324、326を設けることにより、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。しかも、外側カバー部分322は可撓性を有しており、当該外側カバー部分322が撓むことにより硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分322が取り付けられるようになっているため、硬性内視鏡10の外周面に対してカバー320を容易に着脱することができるようになる。また、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路を、外側カバー部分322の内面(具体的には、凹部322aの底面)および内側カバー部分323に形成される溝324、326の間に区画するようにしたため、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させると比較して洗浄用流体の流路を容易に形成することができるようになり、よってカバー320の製造コストを低減することができる。
【0053】
また、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットとして、図16乃至図18に示すものが用いられてもよい。図16乃至図18に示す内視鏡ユニットでも、図9乃至図11に示す内視鏡ユニットや図12乃至図15に示す内視鏡ユニットと同様に、カバーが硬性内視鏡の外周面の周方向における一部を覆うようになっており、しかもこのカバーが外側カバー部分および内側カバー部分から構成されるようになっている。また、図16乃至図18に示す内視鏡ユニットは、このような外側カバー部分および内側カバー部分から構成されるカバーが、図1に示す硬性内視鏡10に被せられるようになっている。ここで、図16は、本発明の第1の実施の形態において更に別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバーの構成を示す側面図であり、図17は、図16に示すカバーを下方から見たときの構成を示す下面図である。また、図18は、図16に示すカバーのP−Pライン矢視による断面図である。
【0054】
図18に示すように、更に別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバー420は、当該カバー420を長手方向に沿って見たときに略C字形状となっており、当該C字形状部分の間の空間に硬性内視鏡10が嵌められるようになっている。このようなカバー420は外側カバー部分422および内側カバー部分423を有しており、外側カバー部分422は硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うようになっている。また、外側カバー部分422は可撓性を有する材料(具体的には、例えば軟質プラスチック等のプラスチック)から形成されており、硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分422を取り付ける際に当該外側カバー部分422が撓むようになっている。また、内側カバー部分423は外側カバー部分422の内面に着脱自在に取り付けられるようになっている。また、図16乃至図18に示すカバー420では、外側カバー部分422と内側カバー部分423との間に、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体(具体的には、生理食塩水等の洗浄水や、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体)の流路424が区画されるようになっている。このようなカバー420の構成の詳細について以下に説明する。
【0055】
上述したように、外側カバー部分422は軟質プラスチック等のプラスチックから構成されており、当該外側カバー部分422は可塑性を有するものとなっている。このため、硬性内視鏡10にカバー420を取り付ける際に、当該硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分422のC字形状部分の隙間を押し当て、この外側カバー部分422を硬性内視鏡10に向かって押し付ける。このことにより外側カバー部分422のC字形状部分の隙間が広がるように変形するため、硬性内視鏡10にカバー420が取り付けられるようになる。
【0056】
また、外側カバー部分422の内面には内側カバー部分423が着脱自在に取り付けられるようになっている。具体的には、図18に示すように、外側カバー部分422の内面には凹部が形成されている。また、内側カバー部分423は外側カバー部分422の凹部に着脱自在に取り付けられるようになっている。ここで、内側カバー部分423は弾性変形可能な材料から形成されている。より詳細には、内側カバー部分423はシリコーンゴム(とりわけ、医療用シリコーンゴム)やテフロンゴム等のゴムから構成されている。そして、内側カバー部分423は、弾性変形することにより外側カバー部分422の凹部に取り付けられるような形状となっている。具体的には、図16乃至図18に示すカバー420では、内側カバー部分423は細長い板状のものとなっている。また、内側カバー部分423が外側カバー部分422の凹部に取り付けられたときに、外側カバー部分422と内側カバー部分423との間に、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路424が区画されるようになる。なお、本実施の形態では、外側カバー部分422の内面に内側カバー部分423が着脱自在に取り付けられる代わりに、外側カバー部分422の内面に内側カバー部分423が取り外し不可となるよう固定されるようになっていてもよい。
【0057】
上述したように、内側カバー部分423が外側カバー部分422の凹部に取り付けられたときに、外側カバー部分422と内側カバー部分423との間に、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路424が区画されるが、この流路424は内側カバー部分423の長手方向に沿って延びるよう形成されている。また、流路424の基端側(すなわち、図16図17における右側)には流体供給管(図示せず)が接続されており、この流体供給管からカバー420の流路424に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、図16に示すように、外側カバー部分422の先端部分には、流路424に沿って(すなわち、内側カバー部分423の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向に変える流体向き変更部434が設けられている。このような流体向き変更部434は、上述した流体向き変更部334と略同一の構成となっている。このような流体向き変更部434によって、硬性内視鏡10の先端に向かって当該硬性内視鏡10の長手方向に流れる洗浄用流体の向きを、観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。
【0058】
図16乃至図18に示すような更に別の変形例に係るカバー320を用いた場合でも、硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うカバー420の内側カバー部分423により洗浄用流体の流路424が区画されるようになっているため、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。しかも、外側カバー部分422は可撓性を有しており、当該外側カバー部分422が撓むことにより硬性内視鏡10の外周面に外側カバー部分422が取り付けられるようになっているため、硬性内視鏡10の外周面に対してカバー420を容易に着脱することができるようになる。また、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路424を、外側カバー部分422の内面(具体的には、凹部の底面)および内側カバー部分423の間に区画するようにしたため、洗浄水や気体の供給通路を洗浄用シースの内部で貫通させると比較して洗浄用流体の流路を容易に形成することができるようになり、よってカバー420の製造コストを低減することができる。しかも、図16乃至図18に示すカバー420では、内側カバー部分423は細長い板状のものとなっており、この板状の内側カバー部分423が外側カバー部分422の凹部に嵌め込まれることによりカバー420が形成されるようになっているため、このような細長い板状の内側カバー部分423の作製が容易となる。
【0059】
なお、図9乃至図11に示す内視鏡ユニット、図12乃至図15に示す内視鏡ユニットまたは図16乃至図18に示す内視鏡ユニットにおいて、カバー220、320、420が、可撓性を有する外側カバー部分222、322、422のみから構成されるようにする方法も考えられる。すなわち、カバー220、320、420に、内側カバー部分223、323、423を設けないようにする方法も考えられる。しかしながら、この場合には、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路(具体的には、例えば溝)を外側カバー部分222、322、422に形成しなければならない。ここで、外側カバー部分222、322、422は概ね成形加工により作製されるが、このような成形加工において、カバー220、320、420の長手方向全域に亘って延びる洗浄用流体の流路(具体的には、例えば溝)を、断面が略C字形状の外側カバー部分222、322、422に形成するのは困難である。これに対し、外側カバー部分222、322、422の内面に内側カバー部分223、323、423を設けるようにした場合には、外側カバー部分222、322、422の成形加工を容易に行うことができるようになる。
【0060】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図19乃至図23は、本実施の形態に係る内視鏡ユニットを示す図である。このうち、図19は、本実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡の構成を概略的に示す斜視図であり、図20は、本実施の形態による内視鏡ユニットにおける硬性内視鏡のカバーの構成を示す斜視図である。また、図21は、本実施の形態において図19に示す硬性内視鏡に図20に示すカバーを被せたときの状態を示す斜視図である。また、図22は、図21に示す内視鏡ユニットを仮想平面Cで切断したときの断面図であり、図23は、図21に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡の中心線を通る仮想平面で切断したときの断面図である。
【0061】
まず、本実施の形態に係る硬性内視鏡50について図19を用いて説明する。図19に示すように、硬性内視鏡50は細長い略円柱形状の本体部分52を有しており、この本体部分52の先端には患部を撮像するための対物レンズ(図示せず)および当該対物レンズを保護するガラス板等の観察窓部54が設けられている。また、本体部分52の外周面には2本の溝56、58が当該本体部分52の長手方向に沿って略平行に延びるよう形成されている。
【0062】
次に、本実施の形態に係る硬性内視鏡50の外周面を覆うための中空のカバー60について図20乃至図23を用いて説明する。本実施の形態によるカバー60の材料は天然ゴムや合成ゴム等のゴムであり、図19に示す硬性内視鏡50の外周面に当該カバー60が被せられるようになっている。より詳細には、カバー60は細長い略円筒形状の本体部分62を有しており、この本体部分62の根元側(すなわち、図20における奥側)の中空部分に硬性内視鏡50の先端が入れられることによって当該硬性内視鏡50の外周面にカバー60が被せられるようになっている。なお、図2等に示すような第1の実施の形態におけるカバー20と異なり、カバー60の内周面には溝は設けられていない。このような硬性内視鏡50およびカバー60を組み合わせることにより本発明に係る内視鏡ユニットが構成されている。また、硬性内視鏡50の外周面にカバー60が被せられたときに、カバー60の内周面および硬性内視鏡50の各溝56、58の内面によって硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝56、58のうち一方の溝56は、硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝58は、観察窓部54に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。
【0063】
なお、上述したように、図2等に示すような第1の実施の形態におけるカバー20と異なり、カバー60の内周面には溝は設けられていない。このため、カバー60の厚さを、第1の実施の形態におけるカバー20の厚さよりも小さくすることができる。このことにより、第1の実施の形態における硬性内視鏡10の直径の大きさと第2の実施の形態における硬性内視鏡50の直径の大きさとが略同一である場合には、第2の実施の形態における内視鏡ユニットの直径の大きさを第1の実施の形態における内視鏡ユニットの直径よりも小さくすることができるようになる。
【0064】
また、図20に示すように、カバー60の先端には開口72が設けられており、硬性内視鏡50の外周面にカバー60が被せられたときに、観察窓部54はこの開口72によりカバー60の外部に露出するようになっている。また、図23に示すように、カバー60の先端には、各溝56、58に沿って(すなわち、硬性内視鏡50の本体部分52の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部54に向かう方向(すなわち、カバー60の中空部分に向かう方向)に変える流体向き変更部74が設けられている。具体的には、流体向き変更部74には、洗浄用流体の流路を区画する湾曲部分76が設けられており、当該湾曲部分76によって洗浄用流体の向きが図23における左方向から右下方向に変えられるようになっている。このような流体向き変更部74はカバー60の先端の全周に亘って設けられている。このような流体向き変更部74によって、硬性内視鏡50の本体部分52に形成された各溝56、58に沿って図23における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡50の観察窓部54に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部54を確実に洗浄することができるようになる。また、このような流体向き変更部74は、カバー60の本体部分62から中空部分に向かって内側に突出するようになっており、硬性内視鏡50にカバー60を被せたときに当該硬性内視鏡50の先端がこの流体向き変更部74に引っ掛かるようになっている。このことにより、硬性内視鏡50の先端がカバー60の先端から飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0065】
また、図21および図23に示すように、カバー60の本体部分62の基端側(すなわち、図21における奥側)には流体供給管68、70がそれぞれ接続されており、カバー60の本体部分62における各流体供給管68、70の取り付け箇所には貫通穴63(図23参照)が形成されている。このことにより、硬性内視鏡50にカバー60が被せられたときに、これらの流体供給管68、70から貫通穴63を介して硬性内視鏡50の各溝56、58の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、図20に示すように、流体供給管68には洗浄水供給路44を介して洗浄水供給源40が接続されており、洗浄水供給源40から洗浄水供給路44に供給された洗浄水が流体供給管68に送られるようになっている。このことにより、硬性内視鏡50にカバー60が被せられたときに、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝56の内面との間に区画される流路に流体供給管68から洗浄水を供給することができるようになる。また、図20に示すように、流体供給管70には気体供給路46を介して気体供給源42が接続されており、気体供給源42から気体供給路46に供給された気体が流体供給管70に送られるようになっている。このことにより、硬性内視鏡50にカバー60が被せられたときに、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝58の内面との間に区画される流路に流体供給管70から気体を供給することができるようになる。
【0066】
次に、このような構成からなる内視鏡ユニットの使用方法について説明する。まず、患者の体内に内視鏡ユニットを差し込むような手術を行う際に、図19に示す硬性内視鏡50の外周面に図19に示すカバー60を被せる。具体的には、カバー60の本体部分62の根元側(すなわち、図20における奥側)の中空部分に硬性内視鏡50の先端を入れ、この硬性内視鏡50の先端がカバー60の先端側の流体向き変更部74に引っ掛かるまで当該硬性内視鏡50をカバー60の中空部分に差し込む。なお、この際に、カバー60の本体部分62における各流体供給管68、70の取り付け箇所に設けられた各貫通穴63の位置と、硬性内視鏡50の本体部分52の外周面に設けられた各溝56、58の位置とが略一致するようにする。このことにより、図21に示すような、硬性内視鏡50にカバー60が被せられた内視鏡ユニットが形成されるようになる。そして、図21に示すような内視鏡ユニットを患者の体内に挿入することにより手術を行う。
【0067】
手術中に硬性内視鏡50の観察窓部54が血液や脂肪等により汚れたり、曇りが生じたりした場合には、患者の体内に内視鏡ユニットを差し込んだ状態で当該観察窓部54の洗浄を行う。より詳細には、洗浄水供給源40から洗浄水供給路44を介して流体供給管68に洗浄水を供給することにより、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝56の内面との間に区画される流路において図23における左方向に洗浄水が流れるようにする。そして、このような図23における左方向に流れる洗浄水はカバー60の先端において流体向き変更部74によりその向きが観察窓部54に向かう方向に変えられる。より詳細には、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝56の内面との間に区画される流路に沿って図23における左方向に流れる洗浄水の向きは、流体向き変更部74の湾曲部分76によって図23における左方向から右下方向に変えられる。このことにより観察窓部54を洗浄水により洗浄することができるようになる。その後、気体供給源42から気体供給路46を介して流体供給管70に気体を供給することにより、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝58の内面との間に区画される流路において図23における左方向に気体が流れるようになる。そして、このような図23における左方向に流れる気体はカバー60の先端において流体向き変更部74によりその向きが観察窓部54に向かう方向に変えられる。より詳細には、カバー60の本体部分62の内周面と硬性内視鏡50の溝56の内面との間に区画される流路に沿って図23における左方向に流れる気体の向きは、流体向き変更部74の湾曲部分76によって図23における左方向から右下方向に変えられる。このことにより観察窓部54に付着した洗浄水を気体により吹き飛ばすことができるようになる。
【0068】
以上のような構成からなる本実施の形態の内視鏡ユニットによれば、硬性内視鏡50の外周面に各溝56、58が設けられており、カバー60の内周面および各溝56、58の内面によって硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される洗浄水や気体等の洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。このように、硬性内視鏡50の外周面に洗浄用流体の流路としての溝56、58を設けることにより、患者の体内で観察窓部54の洗浄を行うことができる。しかも、硬性内視鏡50の外周面に溝56、58を設けているため、カバー60が被せられた硬性内視鏡50(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、このようなカバー60は硬性内視鏡50に被せるだけなので、毎回の手術において使い捨てのものとすることができる。このため、観察窓部54に洗浄用流体を供給する洗浄装置を硬性内視鏡50に装着している場合と比較して、毎回の手術の前に洗浄装置自体を洗浄する手間を省くことができるようになる。また、硬性内視鏡50の外周面にカバー60を被せることにより内視鏡ユニットを構成する場合には、より細い硬性内視鏡50にも適用することができるようになる。
【0070】
また、カバー60の材料がゴムであることにより、当該カバー60に伸縮性を持たせることができるようになり、よって硬性内視鏡50にカバー60を被せたときに当該硬性内視鏡50の外周面にカバー60を密着させることができるようになる。このことにより、カバー60の内周面および各溝56、58の内面によって区画される流路から洗浄用流体が漏れ出てしまうことを抑制することができるようになる。とりわけ、カバー60の材料としてシリコーンゴム(とりわけ、医療用シリコーンゴム)を用いることが好ましい。シリコーンゴムは様々な医療の分野で用いられており、安価であるとともに安全性をより確実に担保することができるからである。また、カバー60の材料としてテフロンゴムを用いてもよい。また、硬性内視鏡50の外周面にカバー60を密着させることによって、内視鏡ユニットを患者の体内に挿入している間に硬性内視鏡50からカバー60が外れてしまうことを防止することができるようになる。また、カバー60の材料がゴムである場合には、硬性内視鏡50にカバー60を被せる動作や硬性内視鏡50からカバー60を取り外す動作を容易に行うことができるようになる。また、カバー60の材料がゴムである場合には、硬性内視鏡50の先端部分をゴム製のカバー60により覆うことができるため、患者の体内で内視鏡ユニットが患者の体内の臓器等の部位等に接触した場合でも当該部位が内視鏡ユニットにより傷つけられてしまうことが極力抑制されるようになる。
【0071】
また、硬性内視鏡50の外周面の周方向における全部を覆うカバー60の材料はゴムに限定されることはない。カバー60の材料として軟質プラスチック等のプラスチックを用いてもよい。この場合でも、カバー60の本体部分62の根元側(すなわち、図20における奥側)の中空部分に硬性内視鏡50の先端を入れ、この硬性内視鏡50の先端がカバー60の先端側の流体向き変更部74に引っ掛かるまで当該硬性内視鏡50をカバー60の中空部分に差し込むことにより、図21に示すような、硬性内視鏡50にカバー60が被せられた内視鏡ユニットが形成されるようになる。
【0072】
なお、本発明の第2の実施の形態において、上記の説明では、細長い略円柱形状の本体部分52の長手方向に直交する面に沿って観察窓部54が延びるような硬性内視鏡50にカバー60を被せるような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る硬性内視鏡として、細長い略円柱形状の本体部分の長手方向に直交する面に対して観察窓部が傾斜しているようなものが用いられてもよい。このような態様について図24を用いて説明する。図24は、本発明の第2の実施の形態において変形例に係る硬性内視鏡50aにカバー60aを被せたときの状態を示す断面図である。
【0073】
図24に示すように、変形例に係る硬性内視鏡50aは細長い略円柱形状の本体部分52aを有しており、この本体部分52aの先端には患部を撮像するための対物レンズ(図示せず)および当該対物レンズを保護するガラス板等の観察窓部54aが設けられている。また、本体部分52aの外周面には2本の溝56a、58aが当該本体部分52aの長手方向に沿って略平行に延びるよう形成されている。ここで、各溝56a、58aは、傾斜している硬性内視鏡50aの先端部分における本体部分52aの根元側に近い箇所(すなわち、図24における下端)から当該本体部分52aの根元側に向かって延びるようになっている。
【0074】
また、カバー60aは細長い略円筒形状の本体部分62aを有しており、この本体部分62aの根元側(すなわち、図24における右側)の中空部分に硬性内視鏡50aの先端が入れられることによって当該硬性内視鏡50aの外周面にカバー60aが被せられるようになっている。なお、カバー60aの内周面には溝は設けられていない。また、硬性内視鏡50aの外周面にカバー60aが被せられたときに、カバー60aの内周面および硬性内視鏡50aの各溝56a、58aの内面によって硬性内視鏡50aの観察窓部54aに供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝56a、58aのうち一方の溝56aは、硬性内視鏡50aの観察窓部54aに供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝58aは、観察窓部54aに付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。
【0075】
また、図24に示すように、カバー60aの先端には開口72aが設けられており、硬性内視鏡50aの外周面にカバー60aが被せられたときに、観察窓部54aはこの開口72aによりカバー60aの外部に露出するようになっている。また、図24に示すように、カバー60aの先端には、各溝56a、58aに沿って(すなわち、硬性内視鏡50aの本体部分52aの長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部54aに向かう方向(すなわち、カバー60aの中空部分に向かう方向)に変える流体向き変更部74aが設けられている。具体的には、流体向き変更部74aには、洗浄用流体の流路を区画する湾曲部分76aが設けられており、当該湾曲部分76aによって洗浄用流体の向きが図24における左方向から上方向に変えられるようになっている。このような流体向き変更部74aによって、硬性内視鏡50aの本体部分52aに形成された各溝56a、58aに沿って図24における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡50aの観察窓部54aに向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部54aを確実に洗浄することができるようになる。
【0076】
また、図24に示すように、このような流体向き変更部74aは、傾斜している観察窓部54aにおける本体部分52aの根元側に近い端縁(すなわち、図24において最も右側に位置する端縁)の近傍に位置するようになっている。言い換えると、流体向き変更部74aは、傾斜しているカバー60aの先端部分における本体部分62aの根元側に近い箇所に設けられるようになっている。このことにより、硬性内視鏡50aの本体部分52aに形成された各溝56a、58aに沿って図24における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、より確実に観察窓部54aに向かう方向に変えることができるようになる。カバー60aの本体部分62aの基端側には流体供給管68、70がそれぞれ接続されており、カバー60aの本体部分62aにおける各流体供給管68、70の取り付け箇所には貫通穴63aが形成されている。このことにより、硬性内視鏡50aにカバー60aが被せられたときに、これらの流体供給管68、70から貫通穴63aを介して硬性内視鏡50aの各溝56a、58aの内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。
【0077】
なお、各溝56a、58aは、傾斜している硬性内視鏡50aの先端部分における本体部分52aの根元側に近い箇所(すなわち、図24における下端)から当該本体部分52aの根元側に向かって延びることに限定されることはない。他の例として、各溝56a、58aは、傾斜している硬性内視鏡50aの先端部分における本体部分52aの根元側から遠い箇所(すなわち、図24における上端)から当該本体部分52aの根元側に向かって延びるようになっていてもよい。更に別の例では、各溝56a、58aは、傾斜している硬性内視鏡50aの先端部分における本体部分52aの根元側に遠い箇所と根元側から遠い箇所との間の箇所から当該本体部分52aの根元側に向かって延びるようになっていてもよい。
【0078】
図24に示すような変形例に係る硬性内視鏡50aやカバー60aでも、硬性内視鏡50aの外周面に洗浄用流体の流路としての溝56a、58aを設けることにより、患者の体内で観察窓部54aの洗浄を行うことができる。しかも、硬性内視鏡50aの外周面に溝56a、58aを設けているため、カバー60aが被せられた硬性内視鏡50a(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0079】
また、別の変形例に係る内視鏡ユニットとして、硬性内視鏡の外周面の周方向における全部ではなく一部を覆うようなカバーが用いられるようになっていてもよい。このような態様について図25および図26を用いて説明する。図25は、本発明の第2の実施の形態において別の変形例に係るカバー160の構成を示す斜視図であり、図26は、図19に示す硬性内視鏡50に図25に示すカバー160を被せたときの状態を示す斜視図である。
【0080】
図25および図26に示すように、別の変形例に係る内視鏡ユニットのカバー160は、当該カバー160を長手方向に沿って見たときに略C字形状となっており、当該C字形状部分の間の空間に硬性内視鏡50が嵌められるようになっている。このようなカバー160は軟質プラスチック等のプラスチックから構成されており、当該カバー160は可塑性を有するものとなっている。このため、硬性内視鏡50にカバー160を取り付ける際に、当該硬性内視鏡50の外周面にカバー160のC字形状部分の隙間を押し当て、このカバー160を硬性内視鏡50に向かって押し付ける。このことによりカバー160のC字形状部分の隙間が広がるように変形するため、硬性内視鏡50にカバー160が取り付けられるようになる。
【0081】
図25および図26に示すように、カバー160は細長い本体部分162を有しているが、このカバー160の内周面には溝は設けられていない。また、硬性内視鏡50の外周面にカバー160が被せられたときに、カバー160の内周面および硬性内視鏡50の各溝56、58の内面によって硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。ここで、2本の溝56、58のうち一方の溝56は、硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の溝58は、観察窓部54に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。また、カバー160の本体部分162の基端側(すなわち、図25における奥側)には流体供給管168、170がそれぞれ接続されており、カバー160の本体部分162における各流体供給管168、170の取り付け箇所には貫通穴163が形成されている。このことにより、硬性内視鏡50にカバー160が被せられたときに、これらの流体供給管168、170から貫通穴163を介して硬性内視鏡50の各溝56、58の内部に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、カバー160の先端の近傍には、各溝56、58に沿って(すなわち、硬性内視鏡50の本体部分52の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部54に向かう方向に変える流体向き変更部174が設けられている。このような流体向き変更部174によって、硬性内視鏡50の本体部分52の外周面に沿って流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡50の観察窓部54に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部54を確実に洗浄することができるようになる。
【0082】
図25および図26に示すような別の変形例に係るカバー160を用いた場合でも、患者の体内で観察窓部54の洗浄を行うことができる。しかも、硬性内視鏡50の外周面に溝56、58を設けているため、カバー160が被せられた硬性内視鏡50(すなわち、内視鏡ユニット)の外径を比較的小さなものとすることができ、よって手術効率を向上させるとともに患者の体内が傷つけられてしまうことを抑制することができる。
【0083】
なお、本発明による内視鏡ユニットは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0084】
例えば、図19に示す硬性内視鏡50に図2に示すカバー20を被せることにより内視鏡ユニットを形成してもよい。このような内視鏡ユニットについて図27および図28を用いて説明する。図27は、図19に示す硬性内視鏡50に図2に示すカバー20を被せた内視鏡ユニットの断面図であり、図28は、図27に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡50の中心線を通る仮想平面Dや仮想平面Eで切断したときの断面図である。
【0085】
図27に示すように、図19に示す硬性内視鏡50に図2に示すカバー20を被せることにより内視鏡ユニットを形成する場合には、硬性内視鏡50の外周面にカバー20を被せる際に、硬性内視鏡50の本体部分52の外周面に設けられた各溝56、58の位置と、カバー20の本体部分22の内周面に設けられた各溝24、26の位置とが略一致するよう硬性内視鏡50に対するカバー20の位置合わせを行う。このような内視鏡ユニットでは、図28に示すように、硬性内視鏡50の本体部分52の外周面に設けられた各溝56、58の内面およびカバー20の本体部分22の内周面に設けられた各溝24、26の内面によって硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される洗浄水や気体等の洗浄用流体の流路が区画される。このため、図1乃至図5に示す第1の実施の形態における内視鏡ユニットや図19乃至図23に示す第2の実施の形態における内視鏡ユニットと比較して洗浄用流体の流路の断面積を大きくすることができ、よって硬性内視鏡50の観察窓部54に供給される単位時間あたりの洗浄用流体の量を増やすことができるようになる。
【0086】
また、内視鏡ユニットの更に別の例として、硬性内視鏡の外周面を覆うカバーにおいて洗浄用流体の流路として内周面に溝が設けられるのではなく貫通穴が本体部分の内部に設けられるようなものが用いられてもよい。このような内視鏡ユニットについて図29および図30を用いて説明する。図29は、貫通穴84、86が本体部分82の内部に設けられたカバー80を図1に示す硬性内視鏡10に被せた内視鏡ユニットの断面図であり、図30は、図29に示す内視鏡ユニットを、硬性内視鏡10の中心線を通る仮想平面F、Gで切断したときの断面図である。
【0087】
図29および図30に示す内視鏡ユニットでは、硬性内視鏡10の外周面を覆うための中空のカバー80の材料は天然ゴムや合成ゴム等のゴムであり、図1に示す硬性内視鏡10の外周面に当該カバー80が被せられるようになっている。より詳細には、カバー80は細長い略円筒形状の本体部分82を有しており、この本体部分82の根元側の中空部分に硬性内視鏡10の先端が入れられることによって当該硬性内視鏡10の外周面にカバー80が被せられるようになっている。また、カバー80の本体部分82の内部には2つの貫通穴84、86が当該本体部分82の長手方向に沿って延びるよう形成されている。ここで、2本の貫通穴84、86のうち一方の貫通穴84は、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される生理食塩水等の洗浄水の流路として用いられるようになっており、他方の貫通穴86は、観察窓部14に付着した洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路として用いられるようになっている。なお、図29および図30に示す内視鏡ユニットでは、洗浄用流体の流路は硬性内視鏡10とカバー80との間の隙間に形成されるのではなく、カバー80の本体部分82の内部に設けられた貫通穴84、86自体が洗浄用流体の流路として機能するようになる。
【0088】
また、図30に示すように、カバー80の先端には開口92が設けられており、硬性内視鏡10の外周面にカバー80が被せられたときに、観察窓部14はこの開口92によりカバー80の外部に露出するようになっている。また、カバー80の先端における開口92の近傍には、各貫通穴84、86の内部で(すなわち、カバー80の本体部分82の長手方向に沿って)流れる洗浄用流体の向きを観察窓部14に向かう方向(すなわち、カバー80の中空部分に向かう方向)に変える流体向き変更部94が設けられている。具体的には、流体向き変更部94には、洗浄用流体の流路を区画する湾曲部分96が設けられており、当該湾曲部分96によって洗浄用流体の向きが図30における左方向から右下方向に変えられるようになっている。このような流体向き変更部94によって、硬性内視鏡10の本体部分12の外周面に沿って図30における左方向に流れる洗浄用流体の向きを、当該硬性内視鏡10の観察窓部14に向かう方向に変えることができるため、洗浄用流体によって観察窓部14を確実に洗浄することができるようになる。また、このような流体向き変更部94は、カバー80の本体部分82から中空部分に向かって内側に突出するようになっており、硬性内視鏡10にカバー80を被せたときに当該硬性内視鏡10の先端がこの流体向き変更部94に引っ掛かるようになっている。このことにより、硬性内視鏡10の先端がカバー80の先端から飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0089】
また、図30に示すように、カバー80の本体部分82の基端側には流体供給管88、90がそれぞれ接続されており、カバー80の本体部分82における各流体供給管88、90の取り付け箇所には貫通穴93が形成されている。このことにより、硬性内視鏡10にカバー80が被せられたときに、これらの流体供給管88、90から貫通穴93を介して各貫通穴84、86に洗浄水や気体を供給することができるようになっている。また、流体供給管88には洗浄水供給路(図示せず)を介して洗浄水供給源(図示せず)が接続されており、洗浄水供給源から洗浄水供給路に供給された洗浄水が流体供給管88に送られるようになっている。このことにより、流体供給管88から貫通穴84に洗浄水を供給することができるようになる。また、流体供給管90には気体供給路(図示せず)を介して気体供給源(図示せず)が接続されており、気体供給源から気体供給路に供給された気体が流体供給管90に送られるようになっている。このことにより、流体供給管90から貫通穴86に気体を供給することができるようになる。
【0090】
図29および図30に示すような内視鏡ユニットでも、カバー80の本体部分82の内部に貫通穴84、86が設けられており、これらの貫通穴84、86によって硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄水や気体等の洗浄用流体の流路が区画されるようになっている。このように、カバー80の本体部分82の内部に洗浄用流体の流路としての貫通穴84、86を設けることにより、患者の体内で観察窓部14の洗浄を行うことができる。また、このようなカバー80は硬性内視鏡10に被せるだけなので、毎回の手術において使い捨てのものとすることができる。このため、観察窓部14に洗浄用流体を供給する洗浄装置を硬性内視鏡10に装着している場合と比較して、毎回の手術の前に洗浄装置自体を洗浄する手間を省くことができるようになる。また、カバー80の材料がゴムであることにより、当該カバー80に伸縮性を持たせることができるようになり、よって硬性内視鏡10にカバー80を被せたときに当該硬性内視鏡10の外周面にカバー80を密着させることができるようになる。また、硬性内視鏡10の外周面にカバー80を密着させることによって、内視鏡ユニットを患者の体内に挿入している間に硬性内視鏡10からカバー80が外れてしまうことを防止することができるようになる。また、カバー80の材料がゴムである場合には、硬性内視鏡10にカバー80を被せる動作や硬性内視鏡10からカバー80を取り外す動作を容易に行うことができるようになる。また、カバー80の材料がゴムである場合には、患者の体内で内視鏡ユニットが患者の体内の部位等に接触した場合でも当該部位が内視鏡ユニットにより傷つけられてしまうことが極力抑制されるようになる。
【0091】
なお、図29および図30に示すような内視鏡ユニットで用いられるカバー80は、本体部分82の内部に各貫通穴84、86が設けられるため、当該カバー80の厚さは、図2乃至図5に示すような本体部分22の内周面に各溝24、26が設けられるカバー20の厚さや、図20乃至図23に示すような本体部分62の内周面に溝が設けられないようなカバー60の厚さよりも大きくなる。また、図29および図30に示すような内視鏡ユニットで用いられるカバー80は、本体部分82の内部に各貫通穴84、86を形成しなければならないため、本体部分22の内周面に各溝24、26が設けられるカバー20や、本体部分62の内周面に溝が設けられないようなカバー60よりも製造が難しくなる。
【0092】
なお、上述した各内視鏡ユニットでは、洗浄用流体の流路として生理食塩水等の洗浄水の流路および洗浄水を吹き飛ばすための気体の流路からなる2つの流路を設けたものを例示したが、このような例に限定されることはない。本発明に係る硬性内視鏡のカバーや内視鏡ユニットとして、洗浄用流体の流路が1つのみ設けられるものが用いられてもよく、あるいは洗浄用流体の流路が3つ以上設けられるものが用いられてもよい。
【要約】
硬性内視鏡10の外周面の周方向における一部を覆うためのカバー(220、320、420)は、可撓性を有する外側カバー部分(222、322、422)と、外側カバー部分(222、322、422)の内面に設けられ、硬性内視鏡10の観察窓部14に供給される洗浄用流体の流路を区画する内側カバー部分(223、323、423)とを備えており、外側カバー部分(222、322、422)が撓むことにより当該外側カバー部分(222、322、422)が硬性内視鏡10の外周面に取り付けられるようになっている。
図1
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