(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記減酸素ユニットは、前記給水体、前記プラス側の集電体、前記アノード層、前記高分子電解質膜、前記カソード層、前記マイナス側の集電体とを一体に挟持する固定部材を有し、
前記固定部材の前記カソード面側には、気体が通過するための開口部が開口し、
前記通気孔の断面積が前記開口部より小さい、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の減酸素装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の冷蔵庫の減酸素装置について図面に基づいて説明する。
【0013】
実施形態1の冷蔵庫10の減酸素装置102について
図1〜
図11に基づいて説明する。本実施形態の冷蔵庫10は減酸素室100を有し、減酸素室100は減酸素装置102を有している。
【0014】
(1)冷蔵庫10の構造
冷蔵庫10の構造について
図1に基づいて説明する。
図1は、冷蔵庫10の全体の縦断面図である。
【0015】
冷蔵庫10のキャビネット12は断熱箱体であって、内箱と外箱とより形成され、その間に断熱材が充填されている。このキャビネット12内部は、上から順番に冷蔵室14、野菜室16、小型冷凍室18及び冷凍室20を有し、小型冷凍室18の横には不図示の製氷室が設けられている。野菜室16と小型冷凍室18及び製氷室の間には断熱仕切体36が設けられている。冷蔵室14と野菜室16とは水平な仕切体38によって仕切られている。冷蔵室14の前面には、観音開き式の扉扉14aが設けられ、野菜室16、小型冷凍室18、冷凍室20及び製氷室にはそれぞれ引出し式の扉16a,18a,20aが設けられている。
【0016】
キャビネット12の背面底部には、機械室22が設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機24などが載置されている。この機械室22背面上部には、制御板26が設けられている。
【0017】
冷蔵室14の背面下部から野菜室16の背面において、冷蔵用蒸発器(以下、「Rエバ」という)28が設けられ、その下方には冷蔵用送風機(以下、「Rファン」という)30が設けられている。小型冷凍室18の背面から冷凍室20の背面にかけて冷凍用蒸発器(以下、「Fエバ」という)32が設けられ、その上方には冷凍用送風機(以下、「Fファン」という)34が設けられている。Rエバ28で冷却された冷気は、Rファン30によって冷蔵室14及び野菜室16に送風される。Fエバ32で冷却された冷気は、Fファン34によって小型冷凍室18、製氷室、冷凍室20に送風される。
【0018】
冷蔵室14の背面には、冷蔵室14の庫内温度を検出する冷蔵室用センサ(以下、「Rセンサ」という)が設けられ、冷凍室20の背面には、冷凍室20の庫内温度を検出する冷凍用センサ(以下、「Fセンサ」という)35が設けられている。
【0019】
(2)冷蔵室14と野菜室16
次に、冷蔵室14と野菜室16の構造について説明する。
【0020】
図1に示すように、冷蔵室14には、複数の棚40が設けられ、下部には引出し式のチルド容器42を有するチルド室44が設けられている。このチルド室44は低温室であって、肉や魚を収納する。冷蔵室14の扉14aの背面には複数のドアポケット46が設けられている。
【0021】
図7〜
図9に示すように、野菜室16には、引出し式の野菜容器48が設けられ、野菜室16の扉16aの背面から後方に突出した左右一対の移動レール50,50に支持され、左右一対の移動レール50,50は、野菜室16の右内壁と左内壁にそれぞれ設けられた固定レール52,52上を水平方向に移動する。
【0022】
野菜室16の天井部に当たる仕切体38の後部には、減酸素室100が設けられている。この減酸素室100の後部には、減酸素装置102が設けられている。この減酸素室100と減酸素装置102については後から詳しく説明する。
【0023】
(3)減酸素室100
次に、減酸素室100の構造について
図1、
図7〜
図9に基づいて説明する。
【0024】
図1に示すように、減酸素室100は、仕切体38に吊り下げられた状態の容器収納部104、この容器収納部104から前方に引出し可能な減酸素容器106、減酸素装置100を有する。
【0025】
図7〜
図9に示すように、容器収納部104は仕切体36に吊り下げられ、容器収納部104の天井面は仕切体36によって構成され、前面は開口し、背面、両側面、底面を有してる。
【0026】
図7〜
図9に示すように、減酸素容器106は、開口した容器収納部104の前面から引出し可能であり、減酸素容器106の前面が扉108を兼ねている。この扉108の背面の四周には、額縁状のガスケット110が設けられ、減酸素容器106を容器収納部104に収納したときに減酸素室100を密閉状態にする。
【0027】
図7〜
図9に示すように、CO
2センサ72が、容器収納部104の背面前側に設けられている。このCO
2センサ72は、減酸素室100に野菜などの食品58が収納され、その野菜が呼吸を行なってCO
2を排出すると、その排出したCO
2を検出して信号を出力する。これにより、減酸素室100内部に食品58が収納されたことを検出できる。
【0028】
図7〜
図9に示すように、容器収納部104の背面後側には、通気孔112が開口し、この通気孔112の位置に減酸素装置102が取り付けられている。
【0029】
(4)減酸素装置102
次に、減酸素装置102の構造について
図2〜
図6に基づいて説明する。
【0030】
高分子電解質膜方法を利用した減酸素装置102は、断熱性を有する箱型のケース114の内部に、減酸素ユニット115が設けられている。
【0031】
(4−1)減酸素ユニット115
まず、減酸素ユニット115について、
図2及び
図3に基づいて説明する。
図2は、減酸素装置102の縦断面図であり、
図3は減酸素ユニット115の分解斜視図である。なお、
図2及び
図3において、各部材の厚みは薄いものであるが、説明を判り易くするために、その厚みを拡大して記載している。
【0032】
高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」という)116が縦方向に設けられ、電解質膜116の後部にはアノード層118が設けられ、電解質膜116の前部にはカソード層120が設けられている。カソード層120は、カーボン触媒とカーボンペーパーを積層したものである。また、アノード層118とカソード層120には白金の触媒がそれぞれ担持されている。電解質膜116、アノード層118及びカソード層120がホットプレスなどを用いて一体に接合されている。アノード層118の後方には
プラス側の集電体122が設けられ、カソード層120の前方にはマイナス側の集電体124が設けられている。両集電体122,124は、表面に白金メッキを行なったメッシュ状のチタン膜であり、集電体122はアノード層118に
プラス通電を行い、集電体124はカソード層120にマイナス通電を行う。両集電体122,124は電線158,160から通電される。また、両集電体122,124が接触しないようにするために、絶縁体125が両集電体122,124の間に設けられている。この絶縁体125は額縁状であって、電解質膜116とアノード層118とカソード層120がその内部に収納されている。
【0033】
プラス側の集電体122の後方には、撥水層126が設けられている。この撥水層126は、額縁状のガスケット126内部に設けられている。また、マイナス側の集電体124の前方にも撥水層130が設けられ、この撥水層130も額縁状のガスケット131内部に設けられている。撥水層126,130としては、高分子フィルムを用いる。多くの高分子フィルムは撥水性であるが、水蒸気を透過させる必要があるため、材料によっては厚さの調整が必要であり、水を透過せずに水蒸気を透過させる性質としては、PTEフィルムや撥水性の樹脂を用いた不織布などが好ましい。
【0034】
撥水層126の後方には、シート状の給水体128が配されている。この給水体128としては例えば、不織布などである。
【0035】
上記のようにして順番に積層した部材を、前後一対の固定部材132と固定部材134によって挟持して固定する。アノード側に配される後方の固定部材132は直方体形状を成し、下部に断面長方形の排気口136を有する。この排気口136は、
図2に示すように、前後方向に貫通している。一方、カソード層側に取り付ける前方の固定部材134も直方体形状を成し、中央部に開口部138を有する。この開口部138は、縦方向の貫通したスリット状の孔が複数並んだ短冊状を成している。この開口部138が、容器収納部104の通気孔112の位置に対応する。
【0036】
以上の部材により、減酸素ユニット115が構成されている。固定部材132と固定部材134とは、不図示の数本のネジによって固定されている。そして、固定部材132と固定部材134は、挟んだ各部材の反りかえりを防止するため、剛性が必要な例えばABS樹脂によって形成されている。
【0037】
また、減酸素ユニット115において、
図2に示すように、撥水層130を有したガスケット131とマイナス側の集電体124とカソード層120の側面が、樹脂によってシールされパッキングされている。
【0038】
固定部材132と固定部材134の前後方向の厚さは例えば10mmであり、給水体128の厚みは例えば0.2mm、撥水層126と撥水層130の厚みは例えば0.2mm、ガスケット127とガスケット131の厚みはそれぞれ例えば0.2mm、アノード層118の厚みは例えば0.25mm、電解質膜116の厚みが例えば0.2mm、カソード層120の厚みが例えば0.25mm、絶縁体126の厚みが例えば0.7mm、集電体122と集電体124の厚みはそれぞれ例えば0.5mmである。
【0039】
(4−2)ケース114
上記で説明した減酸素ユニット115が、箱型のケース114内部に収納されている。このケース114について
図4〜
図6に基づいて説明する。
図4は、ケース114の正面図、
図5は背面図、
図6は縦断面図である。
【0040】
ケース114は、断熱性部材によって形成され。例えば厚さとしては5mmである。ケース114は、減酸素ユニット115を収納するためのユニット収納部140と、ユニット収納部140の側方に設けられた水通過部142とより構成されている。筒型の水通過部142は、その内部にイオン交換樹脂よりなる浄水部144が設けられている。Rエバ28で発生した結露水が、ホース56を経て、ポンプ146によって給水パイプ152から水通過部142の上面に供給される。イオン交換樹脂の浄水部144で浄水された水は、水通過部142の底面からユニット収納部140の下部に流れ込む。ユニット収納部140の下部は、
図6に示すように、中央部ほど下方に傾斜した水保持部148を有し、この水保持部148に浄水部144から流れ出た水が溜まる。
【0041】
ケース114の背面には、
図5に示すように、減酸素ユニット115によって発生した酸素を拡散させる拡散口150と、水保持部148から溢れ出た水を外に流すための排水パイプ154が接続されている。この排水パイプ154からの水は、例えば蒸発皿などに排水される。
【0042】
水保持部148に溜まった水には、減酸素ユニット115から垂れ下がった給水体128が浸されている。
【0043】
減酸素ユニット115の固定部材134は容器収納部104の背面に固定され、ケース114も容器収納部104に固定されている。
【0044】
(5)冷凍サイクル
次に、冷凍サイクルの構造について、
図10に基づいて説明する。
【0045】
冷凍サイクルは、圧縮機24の吐出側から順番に凝縮器60、三方弁62が接続されている。三方弁62の一方の出口には冷蔵用キャピラリーチューブ64とRエバ28が接続されている。三方弁62の他方の出口には冷凍用キャピラリーチューブ66とFエバ32が接続されている。その後に冷媒流路は一つになりサクションパイプ68を経て圧縮機24の吸入側に至る。冷媒は圧縮機24で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器60で放熱しながら液体状となる。液体状の冷媒は、三方弁62によって冷蔵用キャピラリーチューブ64又は冷凍用キャピラリーチューブ66に送られ、ここで気化し易いように減圧され、その後にRエバ28又はFエバ32で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。
【0046】
(6)冷蔵庫10の電気的構成
次に、冷蔵庫10の電気的構成について、
図11のブロック図に基づいて説明する。
【0047】
制御板26には、マイクロコンピュータよりなる制御部70が設けられている。この制御部70には、圧縮機24、三方弁62、Rファン30、Fファン34、減酸素装置102、ポンプ103、Rセンサ31、Fセンサ35及びCO
2センサ72が接続されている。
【0048】
この制御部70は、圧縮機24のインバータモータと三方弁62を用いて上記で説明した冷凍サイクルを制御し、冷蔵室14を2℃〜4℃、野菜室を5℃〜7℃及びチルド室44を0℃〜1℃に制御し、小型冷凍室18、製氷室、冷凍室20を−20℃〜−25℃に制御する。
【0049】
(7)減酸素装置102の動作状態
減酸素装置102の動作状態について
図2〜
図9に基づいて説明する。
【0050】
まず、
図7に示すように、野菜室16を冷却する場合には、野菜室16の扉16aが閉じられ、減酸素室100に関しては、減酸素容器106が容器収納部104に収納されている。減酸素容器106が容器収納部104に収納されていると、ガスケット110によって減酸素室100内部は密閉空間となる。
【0051】
次に、
図6に示すように、ポンプ146が、Rエバ28で発生した除霜水をホース56、給水パイプ152を介して水通過部142の上部に供給する。供給された水は、水通過部142内部の浄水部144を通って水通過部142の底部から流れ出て水保持部148に溜まる。水保持部148の水に浸けられている給水体128が、溜まった水を吸い上げる。
【0052】
次に、
図7に示すように、減酸素室100に食品58を収納すると、食品58が呼吸を行なってCO
2を排出する。すると、CO
2センサ72がそのCO
2を検出し、制御部70が、集電体122,124に対し通電を開始するか、又は、通電している電流値を大きくする。さらに、この減酸素室100の庫内温度が、チルド室44の庫内温度1℃より高くなっている。すなわち、減酸素室100は、野菜室16内部に設けられているため、野菜室16の庫内温度と同じになり、例えば5℃〜7℃になる。これにより収納した野菜などの食品58は、庫内温度が低過ぎることによる低温障害を防止できる。
【0053】
次に、
図2、
図3に示すように、減酸素容器106の空気が、減酸素室100の通気孔112、固定部材134の開口部138を経て供給され、集電体122,124が通電されているので、流入した空気から減酸素が行われ、減酸素室100がCA貯蔵室となる。アノード層118とカソード層120では次の式(1)と式(2)のような減酸素反応が行なわれる。
【0054】
アノード層・・・2H
2O→O
2+4H
++4e
− ・・・(1)
カソード層・・・O
2+4H
++4e
−→2H
2O ・・・(2)
この減酸素反応式を説明すると、給水体128から撥水層126を通過した水蒸気をアノード層118で電気分解して水素イオンを作り、その水素イオンが電解質膜116内を移動してカソード層120に到達し、減酸素室100内部の酸素と反応して水を生成し、酸素を消費する。これにより、減酸素容器106内部において減酸素が行われ、食品58をCA貯蔵できる。
【0055】
次に、
図2、
図5、
図6に示すように、減酸素ユニット115のアノード層118で発生した酸素が、まず固定部材132の排気口136を通過し、その後に拡散口150から拡散される。
【0056】
ここで、撥水層126は、給水体128からアノード層118に移動する水の移動量を抑制して移動させず、気体状の水蒸気のみ透過させる。これにより、アノード層118への液体の水の浸入を防ぎ、フラッディング現象を防止できる。
【0057】
また、カソード層120の前方にも撥水層130を設けることにより、減酸素室100を減酸素した場合にカソード層120に水が発生するが、この水は化学反応によって作られた純水である。この生成された水はカソード層120に溜まり、アノード層118よりも水が多くなるので、この水は電解質膜116を通ってアノード層118へ戻る現象が起こる。そのため、純水をアノード層118側へ供給でき、給水体128への供給量を減少させることができる。
【0058】
なお、制御部70は、減酸素装置102による酸素濃度を下げる場合に10%以下にしないように制御している。これは、野菜などの食品58の保存には10%の酸素濃度でも充分な効果があり、10%以下にするには大きな電力消費が必要であり、また、減酸素された空気をユーザが万が一呼吸してしまった場合に人体への影響が好ましくないからである。
【0059】
次に、
図8に示すように、野菜室16の扉16aを前方に引き出すと、野菜容器48も前方に移動する。しかし、減酸素室100の減酸素容器106は、容器収納部104に収納された状態であるため、減酸素状態を維持する。
【0060】
次に、
図9に示すように、減酸素室100の減酸素容器106を前方に引き出すと、減酸素状態が解除され、減酸素容器106に収納されている食品58を取り出すことができる。
【0061】
(8)効果
本実施形態によれば、減酸素装置102のケース114が断熱性を有するため、減酸素ユニット115で電気分解が行なわれ、それによって発生した熱が、野菜室16に伝わることがない。そのため、野菜室16の庫内温度を上げることがない。
【0062】
また、拡散口150はケース114の背面下部に設けられているため、電気反応により発生した熱はユニット収納部140の上部に溜まり、下部にある拡散口150から熱が外に伝わることがない。また、酸素は分子量32の分子であり、空気よりも重く下方向に拡散することが予測されるため、排気口136と拡散口150を減酸素装置102の下部に設けることが効率的となる。
【0063】
また、断熱性を有するケース114に減酸素ユニット115が囲まれているため、ケース114内部は電気分解の熱によって暖かく、給水体128で吸い上げられた水が蒸発し易く、安定的な水素イオンの供給が可能となる。
【0064】
また、ケース114内部に水保持部148を有しているため、水を溜めるための特別な部品やスペースが不要である。
【0065】
また、カソード層120の側面が樹脂156によって密閉されているため、減酸素容器106における空気を通気孔112、開口部138を経て供給され、その空気の中から酸素のみを水に変換できる。
【0066】
また、固定部材132と固定部材134によって電解質膜116、アノード層118、カソード層120、集電体122,124、撥水層126,130を挟持しているため、これら部材を一体に固定できる。各部材は薄い層であるが、両側から固定部材132,134によって挟持しているため、反りかえりが起こることがなく各部材の均一な接触を確保できる。特に、固定部材132と固定部材134とは、各部材に当たる部分の剛性が強く、各部材の反りかえりの防止ができる。そのため、接触面積を均一に確保できる。
【0067】
また、カソード層120側の固定部材134の開口部138は短冊状であるため、カソード層124を押圧する強度はそのまま保持でき、かつ、酸素が通過する開口面積を確保できる。
【0068】
また、水通過部142内部にイオン交換樹脂の浄水部144を設けているので、給水体128に供給する水は、除霜水の水質による影響を取り除くことができ、減酸素装置102の劣化を防止できる。
【0069】
また、減酸素室100の庫内温度が、チルド室44の庫内温度以上になるように、減酸素室100は野菜室16内部に設けられている。そのため、その庫内温度は5℃〜7℃になり、減酸素室100に収納された野菜などの食品58が低温障害をを起こすことがない。一方、チルド室44は、通常1℃程度に庫内温度が制御され、肉や魚を冷凍せずに長期保存できる。
【0070】
また、減酸素室100に食品58を収納すると、食品58が呼吸を行なってCO
2を排出ので、CO
2センサ72がそのCO
2を検出し、制御部70が、集電体122,124に対し通電を開始するか、又は、通電している電流値を大きくする。これにより食品58を収納するまでは節電できる。
【0071】
また、撥水層126を設けることにより、給水体128からアノード層118への水の浸入を防ぎ、水蒸気のみ透過させることができるため、フラッディング現象を防止できる。
【0072】
また、撥水層126として高分子フィルムを用いているため、供給する水にミネラルなどの不純物が有ったとしても遮断し、電解質膜116を劣化させる現象も防止できる。さらに、高分子フィルムであると、撥水性能に劣化が無く長寿命を得ることができる。
【0073】
また、撥水層130を設けることにより、カソード層120で発生した水がアノード層118に流れることにより、純水をアノード層118へ供給することができ、給水体128からの供給量を減少させることができる。さらに、カソード層120で発生した水が減酸素室100内に戻ることがないため、減酸素室100内部で冷却されて結露して、食品58の腐食を促進することを防止できる。
【0074】
また、Rエバ28から発生した除霜水を用いているため、ユーザが一定の周期で給水体128に水を入れることが不要であり、ユーザが水を入れ忘れたりして、減酸素装置102の劣化を促進させることがない。すなわち、減酸素装置102の劣化を考えると、供給する液体は純水に近い方が良く、どの家庭でも入手できる水道水では塩素やミネラルが劣化を促進させる。これに対し、除霜水は水蒸気が冷却されてできた水であり、Rエバ28上で若干の金属成分の溶解があるものの、水道水に比べて不純物がかなり低減されているので、減酸素装置102の劣化を防止できる。また、除霜水を減酸素装置102に供給することで、機械室22に設けられている蒸発皿に導かれて熱で水蒸気になり、放出される量を低減できる。
【0075】
また、減酸素室100が野菜室16内部に固定され、この固定された減酸素室100の背面に減酸素装置102が固定されている。そのため、野菜室16の扉16aが開いても減酸素室100は固定されたままである。そして、減酸素保存された食品58を取り出すときには扉108を開放することによって減酸素容器106内の食品58を取り出すことができる。このような構造にすることによって、減酸素装置102の集電体122,124に接続する電気配線、給水パイプ152、排水パイプ154を移動させる必要がなく、また、減酸素装置102と減酸素室100の気密シール構造を簡素化でき、設計の自由度が増す。
【0076】
(9)変更例1
実施形態1の変更例1について
図12に基づいて説明する。
【0077】
実施形態1では、カソード層120側のみ樹脂156によって覆っていたが、本変更例では、固定部材132と固定部材134との間の部品と側面を全て樹脂156によって密閉する。
【0078】
これによって、他の部分からの酸素の流入がなく、より確実に減酸素ユニット115によって、減酸素容器106内部の酸素を減らすことができる。
【0079】
(10)変更例2
次に、実施形態1の変更例2について
図13に基づいて説明する。
【0080】
上記実施形態では、集電体122と集電体124に接続した電線158,160は、ケース114を貫通していたが、この部分からは気体の出入りをできないようになっていた。
【0081】
しかし、本変更例では集電体122に接続された電線158と集電体124に接続された電線160が貫通する部分に通気口162,164を設け、この通気口162,164を電線158,160の外径よりも大きくして、この通気口162,164からも酸素が拡散できるようにしてもよい。
【0082】
次に、実施形態2の冷蔵庫10の減酸素装置200について、
図14〜
図20に基づいて説明する。本実施形態と実施形態1の異なる点は、減酸素装置200と、その減酸素装置200に水を供給する給水装置300にある。以下、順番に説明する。
【0083】
(1)減酸素装置200
減酸素装置200には、断熱性を有するケース204の内部に、減酸素ユニット202が収納されている。この減酸素ユニット202について、
図14〜
図16に基づいて説明する。
図14は減酸素装置200の縦断面図、
図15は減酸素ユニット202の分解斜視図、
図16は減酸素装置200の分解斜視図である。なお、
図14〜
図16において、各部材の厚みは薄いものであるが、説明を判り易くするために、その厚みは拡大して記載している。また、実施形態1と同様の部材については説明を省略している。
【0084】
電解質膜206が縦方向に設けられ、電解質膜206の後部にはアノード層208が設けられ、電解質膜206の前部にはカソード層210が設けられている。カソード層210は、カーボン触媒とカーボンペーパーを積層したものである。また、アノード層208とカソード層210には白金の触媒がそれぞれ担持されている。電解質膜206、アノード層208及びカソード層210がホットプレスなどを用いて一体に接合されている。アノード層208の後方には。プラス側の集電体212が設けられ、カソード層210の前方にはマイナス側の集電体214が設けられている。両集電体212、214は、それぞれ気体が通過するためのスリット状の開口部216,218を有している。そして、集電体212はアノード層208にプラス通電を行い、集電体214はカソード層210にマイナス通電を行う。両集電体212,214は、不図示の電線からそれぞれ通電される。また、両集電体212,214が接触しないようにするために、絶縁体220が両集電体212,214の間に設けられている。この絶縁体220は額縁状であって、電解質膜206とアノード層208とカソード層210がその内部に収納されている。
【0085】
アノード層208側の集電体212の後方には、シート状の給水体222が配されている。この給水体222としては、例えば不織布などである。
【0086】
上記のようにして順番に積層した部材を、前後一対の後固定部材224と前固定部材226によって挟持して固定する。アノード側に配される後固定部材224は積層した部材を収納するための収納凹部228を有し、上部には2個の集電体212,214が突出する溝230が設けられている。また、後固定部材224の中央には、気体が通過するためのスリット状の開口部232が開口している。
【0087】
カソード側に取り付けられる前固定部材226は板状を成し、中央部に気体が通過するためのスリット状の開口部234を有している。
図14に示すように、スリット状の開口部234に関して、前側の断面積と後側の断面積とは異なり、後にいくほど狭くなるように傾斜している。これは、集電体214に空気を送り易くするためである。
【0088】
後固定部材224と前固定部材226とは、不図示のネジによってネジ止めされる。これら部材が一体となったものを、実施形態2では「減酸素ユニット202」と呼ぶ。なお、減酸素ユニット202の上部からは2つの集電体212、214が突出し、下部からは給水体222が垂れ下がっている。
【0089】
(2)ケース204
上記で説明した減酸素ユニット202が、箱型の断熱性を有するケース204内部に収納される。このケース204について
図14と
図16に基づいて説明する。
【0090】
ケース204は、直方体状の前ケース236、後ケース238、前ケース236及び後ケース238の間に挟まれた額縁状の中ケース240とより構成されている。減酸素ユニット202のカソード側に前ケース236が配され、アノード側に後ケース238が配され、減酸素ユニット202を収納した状態で前ケース236、後ケース238、中ケース240が不図示のネジによってネジ止めされる。
【0091】
前ケース236について
図16と
図17に基づいて説明する。断熱性を有する前ケース236の後面の中央部には、正方形状の反応凹部244が設けられている。また、この反応凹部244の上面から前ケース236の上面に向かって溝状の上流路246が設けられ、前ケース236の上面に上通気孔248が開口している。また、反応凹部244の下面から下方に向かって溝状の下流路250が設けられ、前ケース236の下面に下通気孔252が開口している。そして、
図14に示すように、反応凹部244によってカソード側の集電体214と前ケース236の前壁との間に直方体状の空間が生じる。以下、この空間を「反応空間」と呼ぶ。
【0092】
次に、
図14と
図16に基づいて中ケース240について説明する。額縁状の中ケース240の中央部242には、減酸素ユニット202の前固定部材226が収納される。
【0093】
次に、
図16と
図18に基づいて後ケース238について説明する。後ケース238の前面中央部には、減酸素ユニット202の後固定部材224が収納できる収納凹部254が設けられ、この収納凹部254から後ケース238の上面に向かって2つの集電体212,214が突出する溝256,258が設けられている。収納凹部254の後面には、さらに排気凹部260が設けられ、この排気凹部260の下面は互いに近づくように傾斜面を有し、排気口262に通じている。排気口262は、後ケース238の下面に開口している。
【0094】
減酸素ユニット202を収納したケース204は、減酸素室100の容器収納部104の後面に取り付けられる。この取り付け方法について
図14に基づいて説明する。
【0095】
容器収納部104の後面中央部には、収納側に向かって立方体状の収納保持部264が突出している。この収納保持部264は、後方からケース204の前ケース236が収納される。そのため、前ケース236の上面及び下面に開口している上通気孔248と下通気孔252に対応する位置に上孔266と下孔268が開口している。
【0096】
ケース204が、容器収納部104の後面から突出した状態となっているため、この突出部分を覆うようにカバー270を被せる。このカバー270は、合成樹脂製であって、ケース204の後ケース238を全て覆う形状に形成されている。なお、このカバー270には、2つの集電体212,214が突出するための集電体開口部278,278が設けられている。また、後ケース238の排気口262と通じた排気口280が開口している。
【0097】
(3)給水装置300
次に、給水装置300について、
図14と
図18に基づいて説明する。
【0098】
給水装置300は、給水本体302を有し、この給水本体302は、横長の直方体の箱体である。給水本体302は、その内部において区画壁304によって上下に区画され、上部が浄水区画306、下部が吸い上げ区画308を構成している。給水本体302の左端部上面、すなわち浄水区画306の上面には、給水パイプ152が接続されている。この給水パイプ152は、ポンプ146によって冷蔵庫10のRエバ28から発生した除霜水が送り込まれる。
【0099】
区画壁304は、
図18に示すように給水パイプ152が接続されている部分から下方に向かって傾斜し、右端部において吸い上げ区画308に通じる給水孔310が形成されている。浄水区画306内部には、イオン交換樹脂よりなる浄水部312が設けられている。この浄水部312を設けることにより、Rエバ28から供給された除霜水の水質による影響を取り除くことができ、減酸素ユニット115の劣化を防止できる。すなわち、除霜水は、Rエバ28に付着した霜であり、またドレンパンに集められているため、金属イオンが含まれている。そのため、給水体222を構成する合成樹脂繊維の加水分解を助長する可能性があるため、この浄水部312を設けることにより、除霜水の水質による影響を取り除くことができる。
【0100】
吸い上げ区画308は、給水孔310から供給された水を溜めるための貯水部314を有している。また、吸い上げ区画308の左端部には排水パイプ154が設けられている。この排水パイプ154と貯水部314との間には、仕切り壁316が設けられている。給水孔310から給水された除霜水は、貯水部314に溜まる。この貯水部314は中央が凹み、上記で説明した減酸素ユニット202の給水体222の下部が浸され、給水体222はこの溜まった水を吸い上げる。貯水部314の水の量が多くなり仕切り壁316を超えると、排水パイプ154から不図示の蒸発皿に水が排水される。なお、横長の直方体である給水本体302において、吸い上げ区画308は、浄水区画306よりも前方に突出し、この吸い上げ区画308の前方に突出した天井面から給水体222が突出している。
【0101】
(4)減酸素装置200の動作状態
減酸素装置200の動作状態について、
図14〜
図20に基づいて説明する。
【0102】
減酸素装置200は、実施形態1の減酸素装置102と同様に給水装置300から給水体222に供給され、この給水体222に供給された水によって、式(1)と式(2)で表された減酸素反応によって減酸素室100内部が減酸素状態となる。
【0103】
ところで減酸素反応は、発熱があり、温度が高いほうが触媒の効率が向上し、より低い電圧で反応する。一方、減酸素装置を全て断熱材で覆ってしまうと、空気との接触がなくなり、減酸素反応が停止する。また、空気が移動しない構造ではカソード層で発生する水がその近辺に溜まり、空気との接触を妨害するフラディング現象を起こしてしまう。
【0104】
そこで第1に、本実施形態では、減酸素ユニット202を断熱性のケース204で覆い、減酸素反応によって発熱した温度を保持して触媒の効率を向上させ、より低い電圧で反応する。特に、カソード層210の部分は前ケース236の前壁によって全て覆われるため、より断熱を保持できる。
【0105】
第2に、本実施形態では、上記のような断熱を保持していても、カソード層210側は反応凹部244による反応空間が形成され、この反応空間には前ケース236の上通気孔248と下通気孔252から空気が供給される。すなわち、酸素を含んだ空気が下孔268から下通気孔252、下流路250を通って反応凹部244によって形成される反応空間に供給され、式(1)と式(2)で表した減酸素反応を促進できる。
【0106】
第3に、本実施形態では、この減酸素反応によって発生した水は、その発熱によって水蒸気となり反応空間から上流路246、上通気孔248、上孔266を通って減酸素容器106内部に排出される。したがって、フラディング現象も発生しない。特に、減酸素ユニット202の発熱によって周辺の空気が温められるため、上通気孔248に空気が上から抜け易く、減酸素反応で発生した水蒸気も抜け易い。
【0107】
第4に、本実施形態では、反応空間の上下に通気孔248,252を設けることにより、下から上への空気の流れがスムーズになり、下から空気が入って減酸素ユニット202が温められ、ここで生成された水蒸気を含んだ空気が上に排出されるという上昇気流を作り出すことができる。
【0108】
以上の内容を証明するために、断熱性のないケースに収納した減酸素ユニット、実施形態1の減酸素ユニット115、本実施形態の減酸素ユニット202におけるカソード中央温度、アノード中央温度、両集電体にかける入力電圧とをそれぞれ実験して測定を行った。その結果を
図20の表で示した。
【0109】
この実験によると、断熱性の有るケースに収納した実施形態1と実施形態2の減酸素ユニット115,202は、断熱性のないケースに収納した従来例よりも高い温度を維持できる。
【0110】
また、実施形態2では、入力電圧を実施形態1よりもさらに低くでき省エネルギーとなる。
【0111】
(5)効果
本実施形態によれば、減酸素ユニット202が断熱性のケース204によって覆われているため、減酸素ユニット202の減酸素反応による発熱によって温度を上げることができ、より触媒の働きを上げることができる。また、カソード層210の前方が前ケース236によって覆われ、かつ、反応凹部244によって反応空間が形成されるため、カソード層210は空気と接触できると共に、覆われていることによる断熱によって触媒の効率を上げることができる。
【0112】
また、前ケース236には上通気孔248と下通気孔252が開口し、反応空間と連通していることにより、空気の流れがスムーズとなり、酸素を有する空気がカソード層210に供給され易い。特に、通気孔236,238が複数設けられているため、空気の流通を確実にできる。
【0113】
また、上通気孔248と下通気孔252は減酸素室100内部に通じているため、確実に減酸素室100内部の空気を供給できる。
【0114】
また、上通気孔248、下通気孔252の断面積が、前固定部材226に開口した複数開口部234の面積よりも小さいため、空気の流通を確実に行なうことができ、カソード層210に空気を供給できる。
【0115】
また、減酸素ユニット202の前固定部材226の左右方向の幅が、反応凹部244よりも広いため、空気を供給し易い。さらに、反応凹部244の幅が、上流路246と下流路250の幅よりも広いため、反応凹部244内部で空気が拡散し易い。
【0116】
また、前固定部材226の短冊状の開口部234に関して、前側の断面積と後側の断面積とは異なり、後にいくほど狭くなるように傾斜しているので、集電体214に空気を送り易い。
【0117】
また、前ケース236内部にある上流路246では、上昇気流によって上に排出される水蒸気は減酸素ユニット202から離れるにしたがい、温度が低下するために、前ケース236内部で水滴となり結露してしまうことがある。しかし、このような結露があっても上流路246と下流路250とが、一直線状に形成されているため、減酸素ユニット202の反応凹部244に溜まることなく、下通気孔252から流れて排出される。
【0118】
(6)変更例1
変更例1では、
図21に示すように収納凹部254から下流路250に続く下面を傾斜面としている。これによって、上流路246や反応凹部244に発生した結露による水滴が、より確実に下流路250に流れ出る。
【0119】
(7)変更例2
変更例2では、
図22に示すように、減酸素ユニット202と接触している前ケース236とは少し離れた位置に上流路246と下流路250を設ける。これにより、より確実に減酸素ユニット202を断熱性のある前ケース236で覆うことができ、断熱効果を高めることができる。そのため、さらに触媒の効率を上げることができる。
【0120】
(8)変更例3
変更例3では、
図23に示すように、前ケース236に設けた下流路250に複数のリブ282を設ける。これらリブ282は、段違いになって傾斜して設けられ、下通気孔252から入った空気が、これらリブ282によって気流の乱れが生じ、反応凹部244の位置で全体に広がることができ、空気によってより効率よく触媒の反応を行なうことができる。
【0121】
(9)変更例4
変更例4では、
図24に示すように、上流路246と下流路250を一直線状にならないような位置にずらして配置している。このような配置であると、気流の乱れが生じ、減酸素ユニット202全体に空気を行き渡らせることができる。
【0122】
(10)変更例5
実施形態2では、反応空間に連通する通気孔を上下に設けたが、これに限らず、左右、又は、上下左右に設けてもよい。
【0123】
上記各実施形態では、減酸素ユニットを冷蔵庫10内部に設けたが、これ以外の装置内部に設けてもよい。すなわち、野菜、食品等を高品位な状態を保って長期保存することが可能な業務用及び家庭用の冷蔵庫に適用できると共に、酸素濃度に敏感な薬品、医療用材料、化学物質等の保存を行う冷蔵庫等に適用できる。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。