特許第6242594号(P6242594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許6242594-脱ガス処理装置 図000002
  • 特許6242594-脱ガス処理装置 図000003
  • 特許6242594-脱ガス処理装置 図000004
  • 特許6242594-脱ガス処理装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242594
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】脱ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/02 20060101AFI20171127BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20171127BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C23C14/02 A
   C23C14/56 D
   C23C16/02
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-115014(P2013-115014)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-234522(P2014-234522A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年9月1日
【審判番号】不服2016-16952(P2016-16952/J1)
【審判請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 利規
(72)【発明者】
【氏名】大庭 尚樹
【合議体】
【審判長】 豊永 茂弘
【審判官】 瀧口 博史
【審判官】 宮澤 尚之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−53382(JP,A)
【文献】 特開2012−136724(JP,A)
【文献】 特開2007−211295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 - 14/58
C23C 16/00 - 16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に延びる帯状の被成膜材をその長手方向に搬送しながら加熱することにより当該被成膜材の脱ガス処理を行う装置であって、
前記被成膜材を上下方向に搬送しながらこれと直交する特定の進行方向に進行させるように当該被成膜材を案内する複数の案内ローラであって、前記進行方向に間隔をおいて配列される複数の上側ローラ及び前記上側ローラよりも下側の位置で前記進行方向に間隔をおいて配列される複数の下側ローラを含むものと、
上下方向に搬送される被成膜材のうち前記進行方向に互いに隣接する部分同士の間に立直姿勢で配設され、当該部分を加熱するように発熱する少なくとも一つのプレートヒータと、
前記案内ローラ及び前記プレートヒータを収容するチャンバと、を備え、このチャンバは、前記案内ローラ及び前記プレートヒータを囲む外壁であって当該外壁の内外を連通する開口が形成されたものを含み、
当該外壁は、前記各案内ローラの回転中心軸と平行な方向を前後方向としたとき前記案内ローラ及び前記プレートヒータの当該前後方向の両側にそれぞれ位置する前側壁及び後側壁を含み、これら前側壁及び後側壁はそれぞれ、前記各上側ローラの軸方向の端部を回転可能に支持する上側ローラ支持部と、この上側ローラ支持部よりも下側の位置で前記各下側ローラの軸方向の端部を回転可能に支持する下側ローラ支持部と、を含み、
前記開口には、前記前側壁及び後側壁のうちの少なくとも一方の側壁の内外を当該側壁の上側ローラ支持部と下側ローラ支持部との間の領域において連通するように形成されたローラ間開口が含まれ、当該ローラ間開口は上下方向に搬送される前記被成膜材及び前記各プレートヒータを前記進行方向に横切る形状を有する、脱ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の脱ガス処理装置であって、前記ローラ間開口は、前記前側壁及び前記後側壁の双方に形成されている、脱ガス処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の脱ガス処理装置であって、前記外壁は前記案内ローラ及び前記プレートヒータの上下方向の両側にそれぞれ位置する天壁及び底壁を含み、前記開口として、前記天壁及び前記底壁にそれぞれ上側開口及び下側開口が形成され、前記脱ガス処理装置は、前記チャンバを下から支持して前記下側開口の下方に作業用の空間を形成する支持部材をさらに備える、脱ガス処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の脱ガス処理装置であって、前記上側開口を通じての作業を行うための足場をさらに備え、この足場は、前記チャンバの前後方向の少なくとも一方の側で前記ローラ間開口から上下方向に外れた位置に配置される、脱ガス処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の脱ガス処理装置であって、前後方向に延びる軸回りに回転しながら被成膜材を前記各案内ローラへ巻出す巻出しロールと、前後方向に延びる軸回りに回転しながら被成膜材を前記各案内ローラから巻き取る巻取りロールと、をさらに備え、これら巻出しロール及び巻取りロールが前記案内ローラとともに前記チャンバ内に収容される、脱ガス処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の脱ガス処理装置であって、前記巻出しロール及び巻取りロールは前記各案内ローラから上下方向に外れた位置で、前記各案内ローラの回転中心軸と直交する左右方向について互いに並ぶように設けられ、前記チャンバの外壁に、前記開口として、当該外壁の左右両側にそれぞれ位置する左右開口が形成されていてこれら左右開口がそれぞれ当該左右開口を通じて前記巻出しロール及び前記巻取りロールの出し入れを可能にする大きさを有する、脱ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の被成膜材を加熱することによりその脱ガス処理を行うための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺のフィルムやシートからなる薄肉の被成膜材に対してスパッタリングやプラズマCVDによって成膜を行うに先立ち、その前処理として脱ガス処理が行われる場合がある。この脱ガス処理は、前記被成膜材を加熱してこれに残留するオリゴマーや水分をガスとして当該被成膜材から除去するものであり、当該被成膜材の加熱は、例えば、プレートヒータから当該被成膜材への輻射や、加熱ローラと被成膜材との直接的な接触によって行われる。
【0003】
従来、前記プレートヒータを用いた脱ガス処理装置として、特許文献1に記載されるものが知られている。この装置は、上側及び下側にそれぞれ配列される複数のローラと、複数枚のプレートヒータと、これらを収容するチャンバと、を備える。上側のローラ及び下側のローラは、それぞれ、被成膜材を上下方向に搬送しながら水平方向に進行させるように前記進行方向に相互位置をずらして配置される。前記プレートヒータは、その搬送される被成膜材のうち前記進行方向に互いに隣接する垂直部分同士の間に立直姿勢で設けられ、当該プレートヒータの両側に位置する被成膜材の部分を輻射により加熱する。前記チャンバは、前記各フリーローラの両端を回転可能に支持する側壁を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−053382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような複数のフリーローラとプレートヒータとの組合せに基づく脱ガス処理装置では、構成要素の空間充填率が高いため、装置のコンパクト化が可能である反面、メンテナンス作業、例えば各フリーローラ及びプレートヒータの清掃や被成膜材のいわゆる通紙の作業が容易でないという課題がある。すなわち、前記チャンバ内では、複数のローラ、搬送される被成膜材において互いに進行方向に隣接する複数の部分、及びこれらの部分の間に配置されるプレートヒータが進行方向に密集しているので、これらのメンテナンス等を行うことは容易でない。
【0006】
当該メンテナンスを可能にするための一般的な手法として、前記チャンバを構成する壁のうち前記各フリーローラに支持に寄与しない天壁に大きな作業用の開口を設けることが考えられるが、当該開口によっては有効かつ効率の高いメンテナンス作業は期待しがたい。具体的に、当該開口を通じて前記フリーローラ及びプレートヒータが組み合わされた集合体を上側から見た場合、被成膜材の進行方向(フリーローラ及びプレートヒータが配列される方向)におけるフリーローラやプレートヒータ、被成膜材の間隙の寸法が小さいのに対して当該集合体の奥行きの寸法(つまり上下方向の寸法)が大きいため、当該開口から作業員が手を挿入して作業をするにしても当該作業が可能である範囲には著しい限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被成膜材を上下方向に搬送しながら左右方向に進行させるための複数のローラ及び複数のプレートヒータを備えた脱ガス処理装置であって、そのメンテナンスを効率よく行うことが可能なものを提供することを目的とする。
【0008】
本発明が提供するのは、特定方向に延びる帯状の被成膜材をその長手方向に搬送しながら加熱することにより当該被成膜材の脱ガス処理を行う装置であって、前記被成膜材を上下に搬送しながらこれと直交する特定の進行方向に進行させるように当該被成膜材を案内する複数の案内ローラであって、前記進行方向に間隔をおいて配列される複数の上側ローラ及び前記上側ローラよりも下側の位置で前記進行方向に間隔をおいて配列される複数の下側ローラを含むものと、上下方向に搬送される被成膜材のうち前記進行方向に互いに隣接する部分同士の間に立直姿勢で配設され、当該部分を加熱するように発熱する少なくとも一つのプレートヒータと、前記案内ローラ及び前記プレートヒータを収容するチャンバと、を備える。チャンバは、前記案内ローラ及び前記プレートヒータを囲む外壁であって当該外壁の内外を連通する開口が形成されたものを含む。当該外壁は、前記各案内ローラの回転中心軸と平行な方向を前後方向としたとき前記案内ローラ及び前記プレートヒータの当該前後方向の両側にそれぞれ位置する前側壁及び後側壁を含み、これら前側壁及び後側壁はそれぞれ、前記各上側ローラの軸方向の端部を回転可能に支持する上側ローラ支持部と、この上側ローラ支持部よりも下側の位置で前記各下側ローラの軸方向の端部を回転可能に支持する下側ローラ支持部と、を含む。前記開口には、前記前側壁及び後側壁のうちの少なくとも一方の側壁の内外を当該側壁の上側ローラ支持部と下側ローラ支持部との間の領域において連通するように形成されたローラ間開口が含まれ、当該ローラ間開口は上下方向に搬送される前記被成膜材及び前記各プレートヒータを前記進行方向に横切る形状を有する。
【0009】
この装置の前記ローラ間開口は、前側壁及び後側壁の少なくとも一方において上側ローラ支持部と下側ローラ支持部との間に形成され、かつ、上側ローラと下側ローラとの間で進行方向に密集する複数の被成膜材の部分とプレートヒータをその前側または後側で横切るものであるから、前記前側壁及び前記後側壁による各案内ローラの支持を可能としながら、前記ローラ間開口を通じて広い範囲にわたり各案内ローラ及びプレートヒータのメンテナンス作業や被成膜材のいわゆる通紙作業(前記各案内ローラに被成膜材を掛け渡す作業)を効果的にかつ効率よく行うことが可能である。
【0010】
前記ローラ間開口は、前記前側壁及び前記後側壁の双方に形成されていることが、好ましい。このことは、メンテナンス作業をさらに容易にするだけでなく、前側壁と後側壁の剛性の差を減らすことにより、前記各案内ローラから受ける荷重による前側壁及び後側壁の変形の度合いを均等化し、これにより、各案内ローラの水平度を高く保つことを可能にする。
【0011】
前記外壁には、前記開口として、前記ローラ間開口に加えてさらにそれ以外の開口が形成されることが、より好ましい。例えば、当該外壁が前記案内ローラ及び前記プレートヒータの上側及び下側に位置する天壁及び底壁を含む場合、前記開口として、前記天壁及び前記底壁にそれぞれ上側開口及び下側開口が形成されてもよい。この場合、脱ガス処理装置は、前記チャンバを下から支持して前記下側開口の下方に作業用の空間を形成する支持部材をさらに備えることが好ましい。この支持部材と前記下側開口との組合せは、前記チャンバの上側だけでなく下側からも各案内ローラやプレートヒータのメンテナンスを行うことを可能にする。
【0012】
この場合において、当該脱ガス処理装置は、前記上側開口を通じての作業を行うための足場を備えるのが好ましく、この足場は、前記チャンバの前後方向の少なくとも一方の側で前記ローラ間開口から上下方向に外れた位置に配置されるのが、よい。かかる位置に設けられた足場は、前記ローラ間開口を通じてのメンテナンス作業の障害となることがなく、また前記進行方向について前記チャンバの少なくとも一方の側に他のプロセスユニットが配置されることを許容しながら、前記上側開口を通じての作業を容易にすることができる。
【0013】
本発明に係る脱ガス処理装置は、成膜装置の一部としてこれに一体に組み込まれてもよいし、成膜装置とは独立した専用装置として構成されてもよい。例えば、本発明に係る脱ガス処理装置は、前記各案内ローラに加え、前後方向に延びる軸回りに回転しながら被成膜材を前記各案内ローラへ巻出す巻出しロールと、前後方向に延びる軸回りに回転しながら被成膜材を前記各案内ローラから巻き取る巻取りロールと、をさらに備え、これら巻出しロール及び巻取りロールが前記案内ローラとともに前記チャンバ内に収容されるものであってもよい。
【0014】
この場合、前記巻出しロール及び巻取りロールは前記各案内ローラから上下方向に外れた位置で、前記各案内ローラの回転中心軸と直交する左右方向について互いに並ぶように設けられ、前記チャンバの外壁に、前記開口として、当該外壁の左右両側にそれぞれ位置する左右開口が形成されていてこれら左右開口がそれぞれ当該左右開口を通じて前記巻出しロール及び前記巻取りロールの出し入れを可能にする大きさを有するのが、好ましい。この構成に基づくことにより、単一のチャンバ内で脱ガス処理を完結できるコンパクトな脱ガス処理専用の装置であって、原反ロールとしての巻出しロールの搬入や製品ロールとしての巻取りロールの取り出しを容易に行うことが可能なものを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、被成膜材を上下方向に搬送しながら左右方向に進行させるための複数のローラ及び複数のプレートヒータを備えた脱ガス処理装置であって、そのメンテナンスを効率よく行うことが可能なものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる成膜装置の断面正面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態にかかる成膜装置の断面正面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態にかかる成膜装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態に係る脱ガス処理装置を示す。この実施の形態に係る脱ガス処理装置は、例えば成膜システムを構成するユニットの一つとして構成されている。具体的に、この脱ガス処理装置は、図1に示すように、その上流側のプロセスを実行する上流側ユニットU1と、その下流側のプロセスを実行する下流側ユニットU2と、の間に配置され、前記上流側ユニットU1から排出される帯状の被成膜材10をその長手方向に搬送しながら加熱することにより脱ガス処理を行い、その処理後の被成膜材10を前記下流側ユニットU2に送る。前記被成膜材10は、例えばプラスチック製のフィルムのように長尺で可撓性を有するものであり、その脱ガス処理は、前記被成膜材10を加熱して当該被成膜材10に含まれる残留するオリゴマーや水分をガスとして当該被成膜材から分離することにより、行われる。この脱ガス処理装置が例えば被成膜材10の表面に成膜を施すための成膜システムに組み込まれる場合、前記上流側ユニットU1には例えば巻出しロールを備えた巻出しユニットが該当し、前記下流側ユニットU2には例えば成膜ローラを備えた成膜ユニットが該当する。
【0019】
この実施の形態に係る脱ガス処理装置は、複数の案内ローラと、複数のプレートヒータ12と、これらの案内ローラ及びプレートヒータ12を収容するチャンバ14と、このチャンバ14を下から支持する支持フレーム16と、を備える。
【0020】
前記複数の案内ローラは、図1に示すように前記被成膜材10を上下方向に搬送しながらこれと直交する特定の進行方向である左右方向に進行するように当該被成膜材10を案内すべく配置されたもので、それぞれが装置の前後方向(図1の奥行き方向)に延びる軸回りに回転可能となるようにチャンバ14に支持される。
【0021】
具体的に、前記複数の案内ローラは、複数の上側ローラ18Aと複数の下側ローラ18Bとを含む。各上側ローラ18Aは、特定の高さ位置(この実施の形態ではチャンバ14の上端近傍の高さ位置)で前記進行方向(左右方向)に下側ローラ18Bの直径と略同等の間隔をおいて配列される。各下側ローラ18Bは、前記上側ローラ18Aよりも下側の高さ位置(この実施の形態ではチャンバ14の下端近傍の高さ位置)で、前記進行方向について互いに隣接する上側ローラ18A同士の間に位置するように、互いに間隔をおいて配列される。本発明において、案内ローラの個数は限定されないが、この実施の形態では、4個の上側ローラ18Aと3個の下側ローラ18Bが上下にそれぞれ配列され、従ってこれらのローラ18A,18Bの群に対して被成膜材10は上側ローラ18Aの高さ位置から導入され、また同じ高さ位置から導出される。
【0022】
これらの上側ローラ18A及び下側ローラ18Bに対し、前記被成膜材10は、各上側ローラ18Aの上側及び各下側ローラ18Bの下側を交互に通るようにしてこれらのローラ18A,18Bにジグザグ状に掛け渡される。従って、当該被成膜材10に対してその長手方向に沿う搬送力が与えられることにより、当該被成膜材10は上下方向に搬送されながら左右方向に進行することができる。
【0023】
前記各プレートヒータ12は、平板状をなし、それ自身の発熱によって前記被成膜材10を効率よく加熱する位置に配設される。具体的に、前記のように上下方向に搬送されるべくローラ18A,18Bに掛け渡された被成膜材10は、その進行方向に並ぶ複数枚の(図1に示す例では計6枚の)垂直部分10aを有するが、これらの垂直部分10aのうち互いに隣接するもの同士の間に介在するように前記プレートヒータ12が立直姿勢で配置される。本発明ではプレートヒータの個数も限定されないが、この実施の形態では、前記進行方向の上流側から数えて2番目及び3番目に位置する垂直部分10a同士の間と、4番目及び5番目に位置する垂直部分10a同士の間と、にそれぞれ前記プレートヒータ12が配置される。
【0024】
前記チャンバ14は、前記案内ローラ18A,18B及び前記プレートヒータ12を囲む外壁であって当該外壁の内外を連通する複数の開口が形成されたものを含む。前記外壁は、前側壁20、後側壁22、左側壁24、右側壁26、天壁28、及び底壁30を有する。
【0025】
前記前側壁20及び前記後側壁22は、前記のように各ローラ18A,18Bの回転中心軸と平行な方向を装置の前後方向としたときに当該ローラ18A,18B及びプレートヒータ12の当該前後方向の両側に位置する側壁であり、立直した姿勢で当該ローラ18A,18Bの軸方向の端部をそれぞれ回転可能に支持する。すなわち、前側壁20及び後側壁22は、上側ローラ18Aの軸方向の端部を回転可能に支持する上側ローラ支持部20a,22aと、下側ローラ18Bの軸方向の端部を回転可能に支持する下側ローラ支持部20b,22bと、を有する。この実施の形態では、前記上側ローラ支持部20a,22aは前側壁20及び後側壁22の上端近傍部位によりそれぞれ構成され、前記下側ローラ支持部20b,22bは前側壁20及び後側壁22の下端近傍部位によりそれぞれ構成される。
【0026】
この第1の実施の形態では、前記各プレートヒータ12も前記前側壁20及び前記後側壁22によって支持される。具体的には、各プレートヒータ12の上端部がそれぞれヒータ固定具32を介して前記前側壁20及び前記後側壁22の適当な部位(図1及び図2では上側ローラ18Aのすぐ下方の部位)に連結されている。
【0027】
前記左側壁24及び右側壁26は、前記被成膜材10の進行方向を装置の左右方向としたときに前記ローラ18A,18B及びプレートヒータ12の当該左右方向の両側に立直姿勢で配置される側壁であり、その前後方向の両端部が前記各前側壁20及び後側壁22の左右方向の端部にそれぞれつながっている。
【0028】
これら左右側壁24,26の上部は他の部分よりも左右両外側にそれぞれ突出して導入部24a及び導出部26aをそれぞれ構成する。導入部24aの端部にはチャンバ入口34が、導出部26aの端部にはチャンバ出口36が、それぞれ形成されている。導入部24aは、前記上流側ユニットU1から排出される被成膜材10が前記チャンバ入口34を通じてチャンバ14内に進入するように当該上流側ユニットU1に接続され、導出部26aは、脱ガス処理後の被成膜材10が前記チャンバ出口36を通じて前記下流側ユニットU2に導入されるように当該下流側ユニットU2に接続される。さらに、前記チャンバ14には図示しない排気ポンプや制御盤などが接続され、これらが協働して良好な脱ガス処理を実現する。
【0029】
前記天壁28及び前記底壁30は、前記各ローラ18A,18B及び前記各プレートヒータ12の上下方向両側に水平姿勢で配置される。これら天壁28及び底壁30はいずれも矩形状をなし、前記各側壁20,22,24及び26の上端部及び下端部にそれぞれつながっている。これにより、前記チャンバ14内には略直方体状の密閉空間が形成されることが可能である。
【0030】
以上説明したチャンバ14の外壁には、前記開口として、前後のローラ間開口40,42と、上側開口44と、下側開口46と、が形成されている。
【0031】
前記ローラ間開口40,42は、前記前側壁20及び後側壁22においてその上側ローラ支持部20a,22aと下側ローラ支持部20b,22bとの間の領域に形成され、前記のように上下方向に搬送される前記被成膜材10の各垂直部分10a及び前記各プレートヒータ12を前記進行方向(左右方向)に横切る形状、例えば横長の矩形状を有する。
【0032】
この実施の形態では、前記各前側壁20及び後側壁22に前記各ローラ間開口40,42を開閉するための蓋である前蓋50及び後蓋52がヒンジを介して回動可能に取付けられている。各蓋50,52には覗き窓48がそれぞれ設けられ、これらの覗き窓48を通じて前記蓋50,52を閉じたままチャンバ14内の点検を行うことが可能となっている。前記ヒータ固定具32は前記前側壁20及び後側壁22のうち前記各ローラ間開口40,42のすぐ上側の部位に連結されている。また、これらの部位と略同等の高さ位置には、前記各プレートヒータ12の給電のためのヒータ用配線49を通す孔である配線ポート47も設けられている。
【0033】
前記形状を有するローラ間開口40,42は、上側ローラ支持部20a,22aと下側ローラ支持部20b,22bとの間の領域において、上側ローラ18Aと下側ローラ18Bとの間で進行方向に密集する(被成膜材10の)複数の垂直部分10aとプレートヒータ12の主要部をその前側または後側で横切るから、前記前側壁20及び前記後側壁22による各案内ローラ18A,18Bの支持を可能としながら、前記ローラ間開口40,42を通じて広い範囲にわたり各ローラ18A,18B及びプレートヒータ12のメンテナンス作業や、各ローラ18A,18Bに被成膜材10を掛け渡す作業を効果的にかつ効率よく行うことを可能にする。
【0034】
さらに、前記ローラ間開口40,42は、前記プレートヒータ12の上下方向の寸法を大きくしてその分だけ進行方向(左右方向)のチャンバ14の寸法を小さくすることを可能にする。例えば、前記上側及び下側ローラ18A,18B及びプレートヒータ12に対して上側からしかアクセスできない装置では、上側ローラ18Aと下側ローラ18Bとの離間寸法及び前記プレートヒータ12の上下方向の寸法を大きくすると当該プレートヒータ12の下側部分や下側ローラ18Bに手やメンテナンス用の器具が届かなくなるため、当該寸法には著しい制限が存することになるのに対し、前記のようなローラ間開口を備えた装置では、前記上側ローラ18A,18B間の距離及びプレートヒータ12の上下方向の寸法を増大してもこれに合せて当該ローラ間開口の上下寸法を拡大すれば良好なメンテナンス作業を確保することが可能である。
【0035】
このようなローラ間開口は、前記前側壁20及び前記後側壁22のいずれか一方に設けられるだけでも効果的であるが、図1及び図2に示されるように両側壁20,22に形成されていることが、より好ましい。このことは、メンテナンス作業をより容易にするだけでなく、当該ローラ間開口の形成による前側壁20及び後側壁22の剛性の低減度合いの差を減らすことにより、前記上側及び下側ローラ18A,18Bから受ける荷重による前側壁20及び後側壁22の変形の度合いを均等化し、これにより、当該ローラ18A,18Bの水平度を高く保つことを可能にする。
【0036】
前記上側開口44及び下側開口46は、前記天壁28及び底壁30にそれぞれ形成されている。図1及び図2に示す例では、上側開口44は各上側ローラ18Aを上方に開放する大きさを有し、下側開口46は各下側ローラ18Bを下方に開放する大きさを有する。従って、これらの開口44,46を通じて各ローラ18A,18Bの清掃や被成膜材10の掛け渡し作業を容易に行うことが可能である。また、前記天壁28及び底壁30には前記各開口44,46を開閉するための蓋である上蓋54及び下蓋56がそれぞれ水平方向のヒンジ55を介して回動可能に取付けられている。
【0037】
前記支持フレーム16は、上下方向に延びる複数本の柱57を含む枠状をなし、当該柱57をメインに前記チャンバ14を下から支持することにより前記下側開口46の下方で前記各柱57の内側に作業用の空間58を形成する。この空間58は、作業員が無理のない姿勢で入り込むことが可能な大きさを有するのが、好ましい。この支持フレーム16は、下側開口46を活かして前記下側ローラ18Bなどのメンテナンスや被成膜材10のセット作業を容易にする役割を果たす。
【0038】
図2に示すように、この第1の実施の形態に係る脱ガス処理装置は、さらに、前記上側開口を通じての作業を行うための足場60,62を備える。これらの足場60,62は、前記チャンバ14の前後方向の両側に配置されている。これらの足場60,62の高さ位置は、前記ローラ間開口40,42を通じてのメンテナンス作業を妨げないように当該ローラ間開口40,42から上下方向に外れた位置にあればよく、図2に実線で示されるように各ローラ間開口40,42よりも上側の位置でもよいし、同図に二点鎖線60′,62′でそれぞれ示されるように各ローラ間開口40,42よりも下側の位置でもよい。
【0039】
このような位置に設けられた足場60,62は、前記ローラ間開口40,42の機能を損なうことなく、しかも前記進行方向(左右方向)については図1に示されるように上流側ユニットU1や下流側ユニットU2が配置されることを許容しながら、前記上側開口44を通じての作業を容易にすることができる。
【0040】
図3及び図4は、本発明の第2の実施の形態に係る脱ガス処理装置を示す。
【0041】
前記第1の実施の形態にかかる脱ガス処理装置は、例えば成膜システムにその一部のプロセスユニットとして組み込まれ、上流側ユニットU1から送られてくる被成膜材10に対して脱ガス処理を施してから下流側ユニットU2に給送するものであるのに対し、第2の実施の形態に係る脱ガス処理装置は、脱ガス処理の専用装置として構成されている。
【0042】
具体的に、この第2の実施の形態に係る脱ガス処理装置は、前記第1の実施の形態と同様に、複数の上側ローラ18A及び複数の下側ローラ18Bを含む複数の案内ローラと、複数のプレートヒータ12と、これらの案内ローラ及びプレートヒータ12を収容するチャンバ64と、を備えるのに加え、巻出しロール66と、巻取りロール68と、冷却ローラ70と、一対の張力検出ローラ72,74と、被成膜材10を所定形状に案内する複数のフリーローラ76と、を備える。
【0043】
前記上側ローラ18A、下側ローラ18B及びプレートヒータ12の配置は前記第1の実施の形態に係る装置のそれと同様であり、被成膜材10を上下方向に搬送しながら左右方向に進行させるように上側ローラ18A及び下側ローラ18Bが配設される点、及び、プレートヒータ12がその搬送される被成膜材10の垂直部分10a同士の間に配置されて当該被成膜材10を加熱する点、は第1の実施の形態に係る装置と共通している。
【0044】
この第2の実施の形態に係る装置では、前記第1の実施の形態に係る支持フレーム16を備えておらず、その代わりに、チャンバ64は装置の上下方向全域にわたって延びる縦長の略直方体状をなす。そして、このチャンバ64の下部に前記巻出しロール66及び巻取りロール68が収容され、当該巻取りロール68と前記下側ローラ18Bとの間の位置に前記冷却ローラ70が配置されている。
【0045】
前記巻出しロール66は、脱ガス処理前の被成膜材10が巻かれた、いわゆる原反を保持し、前記各ローラ18A,18Bの回転軸と平行な方向(前後方向)の軸を中心に回転することにより、当該原反から前記ローラ18A,18Bに向けて被成膜材10を巻き出す。前記巻取りロール68は、同じく前後方向の軸を中心に回転することにより、前記ローラ18A,18Bを通過した被成膜材10を巻き取る。
【0046】
前記冷却ローラ70は、前記ローラ18A,18Bと前記巻取りロール68との間の位置で前記被成膜材10に接触することにより、前記プレートヒータ12により加熱された被成膜材10を冷却する。この冷却ローラ70は、図示しないモータに連結されることによって、被成膜材10に搬送力を与えるドライブローラとしても機能する。前記各張力検出ローラ72,74は、前記のようにドライブローラを兼ねる冷却ローラ70の上流側及び下流側における被成膜材10の張力をそれぞれ電気信号に変換し、図示しない制御盤に入力する。これらの張力検出ローラ72,74により検出される張力が異常である場合、装置を自動停止させる制御が実行される。
【0047】
前記チャンバ64は、前記第1の実施の形態に係るチャンバ14と同様に外壁を有し、この外壁は、前側壁80、後側壁82、左側壁84、右側壁86、天壁88及び底壁89を有する。前側壁80及び後側壁82は、ローラ18A,18B及びプレートヒータ12の前後方向の両側に立直姿勢で配置され、左側壁84及び右側壁86は前記ローラ18A,18B及びプレートヒータ12の左右方向(被成膜材10の進行方向)の両側に立直姿勢で配置され、天壁88及び底壁89は前記ローラ18A,18B及びプレートヒータ12の上下方向の両側に水平姿勢で配置される。
【0048】
前記前側壁80及び前記後側壁82は、第1の実施の形態に係る前側壁20及び後側壁22と同じく、上側ローラ18Aの軸方向の端部を回転可能に支持する上側ローラ支持部80a,82aと、下側ローラ18Bの軸方向の端部を回転可能に支持する下側ローラ支持部80b,82bと、を有し、当該前側壁80及び後側壁82において前記上側ローラ支持部80a,82aと前記下側ローラ支持部80b,82bとの間の領域に、上下方向に搬送されながら左右方向に進行する前記被成膜材10の各垂直部分10a及びプレートヒータ12を当該被成膜材10の進行方向に横切るローラ間開口90,92がそれぞれ形成されている。前記前側壁80及び後側壁82には、前記ローラ間開口90,92を開閉する蓋100,102がそれぞれヒンジを介して回動可能に取付けられ、各蓋100,102にはこれらの蓋100,102を閉じたままチャンバ64内の点検を可能にする覗き窓104が設けられている。
【0049】
しかし、この第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態と異なり、前記下側ローラ支持部80b,82bが前側壁80及び後側壁82のうちその上下方向の中間部位により構成されており、当該下側ローラ支持部80b,82bよりも下側の領域における部位が、前記巻出しロール66、巻出しロール68、冷却ローラ70、及び張力検出ローラ72,74の軸方向の両端を回転可能に支持している。
【0050】
前記巻出しロール66及び巻出しロール68はチャンバ64の下部において左右方向に並ぶように配置され、かつ、前記前側壁80及び後側壁82に対して脱着可能となるように当該壁80,82に支持されている。後側壁82には、前記巻出しロール66及び巻取りロール68を回転駆動するためのロール駆動モータ67,69がそれぞれ連結され、各ロール駆動モータ67,69は前記巻出しロール66及び前記巻取りロール68とそれぞれ着脱可能に連結可能な出力軸を有している。また、チャンバ64には、別置きのドライポンプ106や制御盤など、必要な付帯機器が接続されている。
【0051】
この実施の形態において、前記各プレートヒータ12は天壁88から吊下げられた状態で当該天壁88により支持されている。具体的には、各プレートヒータ12の上端と天壁88とがヒータ固定具38を介して連結されている。
【0052】
前記前側壁80及び後側壁82の上下方向の端部と前記天壁88及び前記底壁89の前後方向の端部とはそれぞれ一体に接合されているのに対し、前記左右側壁84,86の後側端部はヒンジ94を介して上下方向の軸回りに回動可能に連結されている。すなわち、左右側壁84,86は、前側壁80、後側壁82、天壁88及び底壁89により囲まれた左右の開口85,87を開閉する扉として構成されている。
【0053】
さらに、この装置はチャンバ64内を密閉するためのシールリング96を備える。このシールリング96は矩形状をなし、前記当該開口の周縁に相当する各壁80,82,88,89の左右両端面と、これらの面にそれぞれ対向する左右側壁84,86の外周部の内側面とのうちの一方の面に固定され、扉である左右側壁84,86を閉じたときに他方の面と密着することによりチャンバ64内を密閉する。
【0054】
以上の構成は、左右側壁84,86により開閉される左右の開口85,87を通じて、1)左右の巻出しロール66及び巻取りロール68を搬出入する作業、2)各巻出しロール66,68とローラ18A,18Bとの間の被成膜材10の通紙作業(セット作業)、3)左右開口85,87の近傍の各ローラのメンテナンス作業、等を容易に行うことが可能である。
【0055】
さらに、前記左右側壁84,86には複数の覗き窓97,98が設けられている。覗き窓97は、前記垂直部分10a及びプレートヒータ12の中間部位に対応する高さ位置に設けられ、覗き窓98は、前記巻出しロール66及び前記巻出しロール68に対応する高さ位置に設けられている。これらの覗き窓97,98は、扉である左右側壁84,86を閉じたままの状態で前記垂直部分10a、プレートヒータ12、各ロール66,68等の点検を行うことを可能にしている。
【0056】
この第2の実施の形態では、左右側壁84,86そのものが回動して左右開口85,87を開閉する扉として構成されているが、左右側壁84,86が外壁を構成する他の壁80,82,88,89と一体につながっていて当該左右側壁84,86に左右開口85,87が形成されていてもよい。この場合も、当該左右開口85,87は、当該左右開口85,87を通じた巻出しロール66及び巻出しロール68の搬出入をそれぞれ許容するだけの大きさを有することが、好ましい。
【0057】
この第2の実施の形態に係る脱ガス処理装置によれば、例えば次の要領で脱ガス処理済の被成膜材10を得ることができる。
【0058】
1)左右側壁84,86を開き、左右の開口を通じて、原反(未処理の被成膜材10が巻かれたもの)を保持する巻出しロール66と、空の巻取りロール68と、をそれぞれチャンバ64内にセットする。
【0059】
2)巻出しロール66から被成膜材10を引き出して上下の案内ローラ18A,18Bの間にジグザグ状に掛け渡し、さらに張力検出ローラ72、冷却ローラ70及び張力検出ローラ74の順に掛け渡して当該被成膜材10の端部を巻取りロール68に固定する。
【0060】
3)左右側壁84,86を閉じ、各モータ、制御盤その他の機器を作動させて脱ガス処理を実行する。具体的には、巻出しロール66及び巻取りロール68の回転駆動により、巻出しロール66から被成膜材10を巻き出して案内ローラ18A,18Bとプレートヒータ12との組合せにより当該被成膜材10の脱ガス処理を順次実行し、処理後の被成膜材10を巻取りロール68により巻き取る。
【0061】
4)脱ガス処理完了後、左右側壁84,86を開いて空の巻出しロール66と被成膜材10を巻き取った巻取りロール68とを取り出す。巻取りロール68に巻き取られた脱ガス処理後の被成膜材10は、次のプロセス(例えば成膜プロセス)に供される。
【0062】
以下、1)〜4)の手順が繰り返し行われることにより、脱ガス処理済の被成膜材を順次提供することが可能である。また、前記ローラ間開口90,92及び左右開口85,87を利用して効率のよいメンテナンス作業が行われることは上述したとおりである。
【0063】
この第2の実施の形態に係る装置において、前記ローラ間開口90,92を開閉する蓋100,102の少なくとも一方は、前後方向にスライドすることで当該ローラ間開口を開閉するものであってもよい。例えば、前側の蓋100はローラ間開口90を開閉するようにヒンジを介して回動可能に前側壁80に取付けられる一方、後側の蓋102は後方へ引出されるようにスライドすることでローラ間開口92を開放するように後側壁82に支持されてもよい。この場合、前記各プレートヒータ12は当該蓋102と一体に前後方向にスライドするように当該蓋102に支持されることも可能である。この装置においても、メンテナンス作業を容易に行うことが可能である。例えば、後側の蓋102が後ろ側に引出された状態でメンテナンス作業及びいわゆる通紙作業を行った後に、当該蓋102をプレートヒータ12とともに前方にスライドさせて後側のローラ間開口92を閉じ、運転を開始することもできる。
【0064】
また、本発明は、前記プレートヒータ12に加えて他のヒータ、例えば加熱用のローラ、が設けられるものを除外しない。すなわち、本発明は、加熱手段として少なくともプレートヒータを含むものについて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 被成膜材
10a 垂直部分(被成膜材のうち進行方向に互いに隣接する部分)
12 プレートヒータ
14 チャンバ
16 支持フレーム(支持部材)
18A 上側ローラ
18B 下側ローラ
20 前側壁
20a,22a 上側ローラ支持部
20b,22b 下側ローラ支持部
22 後側壁
24 左側壁
26 右側壁
28 天壁
30 底壁
40,42 ローラ間開口
44 上側開口
46 下側開口
58 空間
60,62 足場
64 チャンバ
66 巻出しロール
68 巻取りロール
80 前側壁
80a 上側ローラ支持部
80b 下側ローラ支持部
82 後側壁
84 左側壁
86 右側壁
85,87 左右開口
88 天壁
89 底壁
90,92 ローラ間開口
図1
図2
図3
図4