【実施例1】
【0016】
図1〜
図4は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面模式図である。最初に
図1(a)〜(b)に示すように、支持基板10に圧電基板20を貼り付ける。支持基板10には、例えば、サファイア、アルミナ、シリコン等を用いることができる。圧電基板20には、例えば、LT(LiTaO
3:タンタル酸リチウム)基板、LN(LiNbO
3:ニオブ酸リチウム)基板等を用いることができる。支持基板10と圧電基板20との接合は、例えばプラズマ等により接合面を活性化させる常温直接接合法(特開2004−343359号公報参照)を用いて行ってもよいし、接着剤(例えば、エポキシ系樹脂)を用いて行ってもよい。
【0017】
次に、
図1(c)に示すように、圧電基板20の一部をハーフダイシングにより除去する。これにより、圧電基板20が除去された領域12から、支持基板10の表面が露出する。後述する接合のため、圧電基板20を除去する領域12は、残りの圧電基板20の周囲全体を取り囲むようにすることが好ましい。圧電基板20のハーフダイシングは、例えばブレードダイシングにより行うことができる。
【0018】
次に、
図1(d)に示すように、圧電基板20の表面に金属層30を形成し、パターニングを施すことで、励振電極32及びこれと接続された配線電極34の電極パターンを形成する。当該工程により、圧電基板20上に弾性波デバイスの機能部が形成される。金属層30には、例えばアルミニウムを用いることができる。
【0019】
図2(a)〜(d)は、キャップ基板40の加工工程を示す図である。キャップ基板40は、
図1で形成した弾性波デバイスの機能部を封止するための部材であり、例えばサファイア、アルミナ等の無機絶縁体を用いることができる。
図2(a)〜(b)に示すように、キャップ基板40上における、
図1(d)の圧電基板20に対応する位置に、第1凹部41を形成する。第1凹部41は、圧電基板20の厚み(例えば、100μm〜200μm)の厚みより深くなるように形成する。
【0020】
次に、
図2(c)に示すように、第1凹部41上における、
図1(d)の励振電極32に対応する位置に、第2凹部43を形成する。第2凹部43は、金属層30の厚み(例えば、1μm)より深くなるように形成する。第1凹部41と第2凹部43により、キャップ基板40は、厚みが当初のキャップ基板40の厚みと等しい第1領域42、第1領域42と比べて厚みが第1凹部41の分だけ小さい第2領域44、第2領域44と比べて厚みが第2凹部43の分だけ小さい第3領域46、の3つの領域に分割される。換言すれば、第1凹部41及び第2凹部43が同一の表面に形成される結果、キャップ基板40は3段の段差を有する構成となる。
【0021】
次に、
図2(d)に示すように、キャップ基板40の第2領域44を貫通する貫通孔48を形成する。後述の工程において、貫通孔48内に貫通電極を形成することにより、キャップ基板40の両面を電気的に接続することが可能となる。なお、第1凹部41、第2凹部、及び貫通孔48の形成は、例えばサンドブラスト法を用いて行うことができる。
【0022】
次に、
図3(a)に示すように、キャップ基板40を支持基板10及び圧電基板20に貼り付ける。このとき、キャップ基板40の第1領域42が支持基板10の表面(
図1(c)〜(d)において符号12で示す露出部分)と接合し、キャップ基板40の第2領域44が圧電基板20の表面と接合するようにする。また、キャップ基板40の第3領域46は圧電基板20の表面と離間し、これにより励振電極32のための空間60が形成される。更にキャップ基板40の貫通孔48は、配線電極34の上に位置し、これにより励振電極32及び配線電極34が、貫通孔48を介して外部との電気的接続を図ることが可能となる。
【0023】
図3(b)は、
図3(a)の一部を拡大した図である。キャップ基板40の第1領域42及び支持基板10は、符号45で示す領域において接合しており、キャップ基板40の第2領域44及び圧電基板20は、符号47で示す領域において接合している。接合の方法としては、例えば前述の常温直接接合法を用いることができるが、接着剤(例えば、エポキシ系樹脂)を用いて接合を行ってもよい。
【0024】
なお、図中ではキャップ基板40の第2領域44が、圧電基板20ではなく配線電極34と接合しているように見える。しかし、配線電極34の厚み(例えば、1μm)は、圧電基板20の厚み(例えば、100μm〜200μm)に比べて無視できるほど小さいため、実質的には第2領域44が圧電基板20の表面と接合している状態と変わらない。従って、「第2領域44が圧電基板20と接合する」とは、このように第2領域44が配線電極34と接合している場合も含むものとする。
【0025】
次に、
図4(a)に示すように、キャップ基板40の貫通孔48に貫通電極50を形成する。貫通電極50には、例えば銅、ニッケル等を用いることができる。貫通電極50の形成は、例えばめっき法により行うことができるが、印刷により貫通電極50を形成することも可能である。貫通電極50は、キャップ基板40の支持基板10側の面から反対側の面に達するまで形成する。
【0026】
次に、
図4(b)に示すように、貫通電極50の表面に外部接続用の端子となる半田ボール52を形成する。次に、
図4(c)に示すように、ウェハ状態の弾性波デバイスを矢印の位置で切断し、個片化する。以上の工程により、実施例1に係る弾性波デバイス100が完成する。
【0027】
図5は、実施例1に係る弾性波デバイス100の構成を示す断面模式図である。支持基板10上に、当該支持基板10の外周部における表面(符号12)が露出するように、圧電基板20が設けられている。圧電基板20上には、弾性波を励振する励振電極32と、当該励振電極32と電気的に接続された配線電極34とが設けられている。支持基板10及び圧電基板20上には、無機絶縁体のキャップ基板40が設けられている。キャップ基板40の第1領域42は支持基板10の表面(符号12)と接合し、キャップ基板40の第2領域44は圧電基板20の表面と接合し、キャップ基板40の第3領域46は圧電基板20の表面と離間して空間60を形成している。
【0028】
図6は、実施例1に係る弾性波デバイス100の構成を示す平面模式図であり、
図6(a)がキャップ基板40を支持基板10側から見た構成、
図6(b)が支持基板10をキャップ基板40側から見た構成である。図中のA−A線に沿った断面を矢印B方向から見た図が、前掲の
図5に相当する。
図6(b)に示すように、圧電基板20上には、対向する1組の励振電極32と、その両端に位置する反射電極36とが設けられている。圧電基板20の四隅には、信号を入出力するための入出力パッド34aと、接地パッド34bとが設けられ、このうち入出力パッド34aは、1組の励振電極32のそれぞれと電気的に接続されている。また、支持基板10の露出部分(符号12)は、圧電基板20の全体を囲うように設けられている。点線で囲まれた領域には、空間60が位置する。なお、
図6では、圧電基板20に共振器が形成された例に説明したが、圧電基板20にラダー型フィルタおよび/または多重モードフィルタ等のフィルタを含む弾性波デバイスが形成されていてもよい。
【0029】
図6(a)に示すように、キャップ基板40には、キャップ基板40の外周部に沿った第1領域42と、第1領域42の内側に沿った第2領域44と、第2領域44の内側に位置する第3領域46とが設けられている。第2領域44の四隅には、圧電基板20の入出力パッド34a及び接地パッド34bに対応する位置に、貫通電極50が設けられている。
図6(a)〜(b)に示すように、第1領域42は支持基板10の露出部分(符号12)と重なり合うように設けられており、第2領域44は圧電基板20の外周部に沿うように設けられている。
【0030】
実施例1に係る弾性波デバイス100では、キャップ基板40の第1領域42が支持基板10と接合すると共に、第2領域44が圧電基板20と接合している。このように、支持基板10と圧電基板20の2箇所でキャップ基板40との接合を行うことにより、封止用の部材(例えば、封止樹脂)を圧電基板20としか接合しない場合に比べ、気密性を高めることができる。また、キャップ基板40に無機絶縁体を用いることで、樹脂を用いた場合に比べて気密性を高めることができる。以上、実施例1に係る弾性波デバイス100によれば、弾性波デバイス100における封止の気密性及び装置の信頼性を向上させることができる。
【0031】
ここで、支持基板10及びキャップ基板40は、圧電基板20より線膨張係数の小さい材料であることが好ましい。本構成によれば、圧電基板20の温度変化に対する伸縮量を抑制することができ、弾性波デバイス100の温度特性を更に向上させることができる(特開2009−188844号公報参照)。
【0032】
また、支持基板10及びキャップ基板40は、同じ材料で構成されていることが好ましい。本構成によれば、支持基板10とキャップ基板40と線膨張係数を等しくすることで、弾性波デバイス100の温度特性を更に向上させることができる
【実施例2】
【0033】
実施例2は、マルチチップモジュールを用いた例である。
【0034】
図7は、実施例2に係る弾性波デバイスの製造工程及び構成を示す断面模式図であり、
図7(a)〜(b)は製造工程を、
図7(c)は完成品の構造をそれぞれ示す。
図7(a)は、実施例1における半田ボール52の形成工程(
図4(b))と同じ図であり、これ以前の工程は実施例1と実施例2とで共通しているため、詳細な説明を省略する。また、
図7(a)〜(b)では、各部材における詳細な符号の表示を省略しているため、各部材の詳細については
図7(c)の説明を参照されたい。
【0035】
図7(a)〜(b)に示すように、半田ボール52の形成後、弾性波デバイス110を切断し、個片化する。このとき、実施例1(
図4(c))と異なり、1つの支持基板10が、複数の圧電基板20及び空間60を含むように切断を行う(キャップ基板40については、複数の圧電基板20及び空間60に対し共通のものであってもよい)。以上の工程により、実施例2に係る弾性波デバイス110が完成する。
【0036】
図7(c)に示すように、共通の支持基板10上には、互いに隔離された圧電基板20a及び20bが設けられ、これらが共通のキャップ基板40により封止されることで、それぞれの圧電基板に対し空間60a及び60bが形成されている。その他の構成は実施例1(
図5)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0037】
実施例2に係る弾性波デバイス110によれば、圧電基板20及び空間60が、共通の空間に複数設けられたマルチチップモジュールとなっている。この場合でも、実施例1と同様に、キャップ基板40に段差を設け、第1領域42が支持基板10と、第2領域44が圧電基板20と接合する構成とすることで、弾性波デバイス110の気密性及び信頼性を高めることができる。
【0038】
また、実施例2に係る弾性波デバイス110によれば、圧電基板20a及び20bが離間しているため、互いのアイソレーションを向上させることができる。例えば、送信フィルタ及び受信フィルタの両方を備えた分波器を1つの支持基板10上に形成する場合に、圧電基板20a上に送信フィルタを形成し、圧電基板20b上に受診フィルタを形成することで、2つのフィルタ間の干渉を抑制し、信頼性を向上させることができる。
【実施例3】
【0039】
実施例3は、キャップ基板に受動素子を形成した例である。
【0040】
図8〜
図9は、実施例3に係る弾性波デバイスの製造工程を示す断面模式図(その1)である。
図8はキャップ基板40の製造工程を示す図であり、実施例1(
図2)と共通する部分については詳細な説明を省略する。また、支持基板10側の製造工程についても、実施例1(
図1)と同様であるため説明を省略する。
【0041】
最初に、
図8(a)〜(c)に示すように、キャップ基板40に第1凹部41及び第2凹部43を順に形成する。第2凹部43の深さは、後述するIPD及びキャップ配線の厚みを考慮して、これらが封止の際に圧電基板20側の素子と接触しない程度の深さとする。次に、
図8(d)に示すように、第2凹部43の表面に、受動素子の一例であるIPD70(Integrated
Passive Device)を形成すると共に、第2凹部43及び第1凹部41に、IPD70と電気的に接続されたキャップ配線72を形成する。キャップ配線72には、例えばアルミニウムを用いることができる。キャップ基板40の形成が完了したら、
図8(e)に示すように、キャップ基板40の第2領域44を貫通する貫通孔48を形成する。
【0042】
次に、
図9(a)に示すように、キャップ基板40と支持基板10及び圧電基板20を接合する。このとき、キャップ基板40の第1領域42が支持基板10の表面(符号12)と接合し、キャップ基板40の第2領域44が圧電基板20の表面と接合するようにする。また、キャップ基板40の第3領域46に設けられたIPD70が、圧電基板20の励振電極32及び配線電極34と離間するようにする。続いて、
図9(b)〜(d)に示すように、貫通電極50の形成工程、半田ボール52の形成工程、ダイシング工程を、実施例1と同様に行う。以上の工程により、実施例3に係る弾性波デバイス120が完成する。
【0043】
図10は、実施例3に係る弾性波デバイス120の構成を示す断面模式図である。実施例1と異なり、キャップ基板40にはIPD70が設けられ、当該IPD70はキャップ配線72を介して、圧電基板20側の配線電極34及び励振電極32と電気的に接続されている。キャップ配線72と配線電極34とは、キャップ基板40の第2領域44に形成されたキャップ基板40を介して接続されている。
【0044】
図11(a)は、実施例3に係る弾性波デバイス120の構成を示す平面模式図であり、
図11(b)は弾性波デバイス120の回路図である。
図11(a)は、実施例1の
図6(a)と同様に、キャップ基板40を支持基板10側から見た構成であり、共通する部分については詳細な説明を省略する。
【0045】
図11(a)に示すように、入出力パッド34aと接続される貫通電極50aと、接地パッド34bと接続される貫通電極50bとの間には、IPD70としてスパイラル状のインダクタLが形成されている。また、
図11(b)に示すように、圧電基板20上に形成された励振電極32を含む電極パターンにより、共振器80が形成されている。共振器80は、2つの入出力端子82の間に接続され、共振器80の一端はインダクタLを介して接地される構成となっている。
【0046】
実施例3に係る弾性波デバイス120においても、実施例1と同様に、キャップ基板40に段差を設け、第1領域42が支持基板10と、第2領域44が圧電基板20と接合する構成とすることで、弾性波デバイス110の気密性及び信頼性を高めることができる。更に、実施例3に係る弾性波デバイス120によれば、キャップ基板40の第3領域(第2凹部43)を利用してIPD70を形成することで、装置の更なる小型化を図ることができる。
【0047】
図12(a)は、実施例3の変形例に係る弾性波デバイス130の構成を示す平面模式図であり、
図12(b)は弾性波デバイス130の回路図である。
図11(a)に示すように、貫通電極50a及び50bの間には、IPD70として積層型のキャパシタCが形成されている。また、
図11(b)に示すように、共振器80の一端はキャパシタCを介して接地されている。その他の構成は実施例3と同様である。このように、IPD70としてキャパシタCを用いることもできる。
【0048】
実施例1〜3に係る構成は、励振電極32及び空間60により形成される機能部を有する様々な弾性波デバイスに対して適用することが可能である。例えば、弾性表面波(SAW:Surface
Acoustic Wave)デバイス、弾性境界波デバイス、ラブ波デバイス等への適用が可能である。
【0049】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。