特許第6242600号(P6242600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242600
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】手術用ドレープ
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/20 20160101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61B46/20
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-128175(P2013-128175)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-2776(P2015-2776A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137052
【氏名又は名称】株式会社ホギメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】梶 能隆
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 次郎
【審査官】 近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−189518(JP,A)
【文献】 米国特許第04134398(US,A)
【文献】 特開2011−254943(JP,A)
【文献】 特表2006−526457(JP,A)
【文献】 特開昭61−181458(JP,A)
【文献】 特開2009−072445(JP,A)
【文献】 特開昭54−152382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 − 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の術野とそれ以外の部分とを隔離するための手術用ドレープにおいて、
ドレープ本体の術野側の面に、手術の際に用いる、2個の開口が形成された受液パウチを着脱可能に取り付けるための襞部が、間隔を開けて2本、平行に形成され、前記襞部は、前記ドレープ本体を術野側に襞折りすることによって形成され、前記ドレープ本体の前記襞部間には、前記患者の肩、肘あるいは膝を通す開窓部が形成され、前記受液パウチの前記開口の各々は、前記開窓部に近接した前記受液パウチの側面に形成され、一方の前記開口から前記患者の腕または脚を通し、他方の前記開口から前記患者の腕または脚を抜き、かくして、前記患者の肩、肘または膝を前記受液パウチ内に露出させるためのものであることを特徴とする手術用ドレープ。
【請求項2】
前記襞部の幅は、1cmから10cmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の手術用ドレープ。
【請求項3】
前記襞部が形成された前記ドレープ本体の反術野側の面は、補強シートによって補強されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の手術用ドレープ。
【請求項4】
前記補強シートは、粘着剤またはヒートシールによって前記ドレープ本体の反術野側の面に溶着されていることを特徴とする、請求項3に記載の手術用ドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術用ドレープ、特に、肩、肘あるいは膝等の関節を手術する際に使用する受液パウチ等の手術の際に使用する各種部材を、手術用ドレープに穴開きや破れ等の損傷を与えることなく、最適位置に最適角度で、容易かつ確実に取り付けることができる手術用ドレープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術用ドレープは、手術室内で清潔野と規定される領域において、不潔と規定される患者や医療用装置等と、当該清潔野の領域(空間)とを隔離するために用いられる覆布である。特に、外科手術の際、切開される箇所(術野)を清潔に保つことは、患者が術中に何らかの菌等から感染することを予防する上で重要であり、術野と、それ以外を不潔と規定される患者体表面とを、通常、開窓部(手術用ドレープにあらかじめ設けられている穴)を設けた手術用ドレープにより隔離する必要がある。また、手術の際に飛散する血液や体液等をバリヤするために、患者の術野とそれ以外の部分とを隔離するものでもある。
【0003】
なお、手術室内には、手術を受ける患者が寝かせられる手術台が設置されており、患者に手術用ドレープを被せた状態の手術台周囲がいわゆる清潔野とされている。この清潔野とは、例えば、当該手術において、執刀医、器械出し看護師および手術助手がその手術に関する活動を行うことが認められている、手術室内の一定の領域をいう。通常、清潔野は、手術台(患者術野)を中心とした空間的(三次元的)な領域である。
【0004】
これに対し、手術に関わる他の看護師であるいわゆる外回り看護師等が活動する手術室内の清潔野以外の領域等は、不潔野と称される。例えば、医師の腰より下方位置、および、手術台の真下付近の床であっても、清潔野以外の不潔野となる。
【0005】
なお、ここに不潔野とは、一般にいう「不潔な場所」という意味ではない。
【0006】
例えば、肩の関節を手術する場合には、図5に示すように、水平もしくはビーチチェア状に倒した手術台11に仰向け(仰臥位)に寝かせた患者12に近接させて手術用ドレープ13をカーテン状に吊り下げ、手術用ドレープ13に形成した開口14を通して患者12の肩15を術野側(清潔側)に露出させ、かくして、肩15とそれ以外の部分とを隔離する。以下、このようにカーテン状に吊り下げた手術用ドレープを垂直隔離ドレープと称する。
【0007】
また、図6に示すように、手術台に横向き(側臥位)に寝かせた患者12に手術用ドレープ23を被せ、上方に牽引した患者12の腕を肩15から開窓部24に通して術野(清潔野)を露出させ、かくして、肩15とそれ以外の部分とを隔離する。この時、術野でない患者12の腕の内、肩15以外の部分も不潔野となるため、例えば、清潔なストッキネット25等で覆って清潔野としている。なお、図6中、番号16は、後述するする受液パウチである。
【0008】
上記垂直隔離ドレープによれば、患者自身の腕の重みによって関節内に空間ができることによる広い視野が確保できると共に、前かがみで手術を行う必要がないので、医師は、負担が掛からない姿勢で手術が行える点で優れている。
【0009】
しかし、垂直隔離ドレープによれば、手術用ドレープ13をカーテン状に吊り下げて使用するために、手術の際に飛散する血液や体液は、手術用ドレープ13を伝って流れ落ちて周囲を汚すおそれがある。特に、関節鏡視下手術を行う場合、手術時に流れ出る血液や体液等によって、内視鏡の観察視野が不鮮明になることを防止するために、関節内に多量の生理食塩水を流している。
【0010】
この問題を解決するために、血液、体液あるいは生理食塩水等の液体を回収する受液パウチを手術用ドレープ13の術野側の面に取り付けている。
【0011】
受液パウチの一例が特許文献1に開示されている。図7に示すように、この受液パウチ16は、樹脂製でロート状に形成され、側面には、患者12の肩15が挿入される開口17が形成されている。また、底部には、排出口19が形成され、血液、体液あるいは生理食塩水等の液体18を排出口19に接続した排水管20を介して受液パウチ16外に排水することができるようになっている。そして、受液パウチ16の入口21の縁部には、入口21を常時、開いた状態に保持するために、環状の形状保持バー22が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−254943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記受液パウチ16を使用することによって、手術の際に流れ出る血液、体液あるいは生理食塩水等の液体18を確実に回収することはできるが、以下のような問題があった。
【0014】
従来、受液パウチ16を手術用ドレープ13に取り付けるには、受液パウチ16を鉗子等により手術用ドレープ13に直接取り付けたり、手術用ドレープ13に不織布からなるタグ状あるいは短冊状の小片(以下、タグという。)を予め取り付けておき、このタグを介して受液パウチ16の一部分を鉗子等で挟んで取り付けていた。
【0015】
しかしながら、受液パウチ16を手術用ドレープ13に鉗子により直接取り付ける場合には、鉗子の把持力や受液パウチの重みにより手術用ドレープ13に穴が開いて、手術用ドレープ13のバリヤ性が損なわれるおそれがあった。
【0016】
また、受液パウチ16を手術用ドレープ13に取り付けたタグを介して手術用ドレープ13に取り付ける場合には、受液パウチ16の取り付け箇所が制約されるので、手術に合わせて受液パウチ16を最適位置に最適角度で取り付けることができないおそれがあった。なお、タグは、手術用ドレープ13に接着等により取り付けられているので、受液パウチ16の重量によりタグが剥がれるおそれがあった。
【0017】
さらに、受液パウチ16に大量の液体が溜まると、その重量によって受液パウチ16の取り付け箇所の手術用ドレープ13に局部的に引っ張り力が作用することや、手術中に医師の体(例えば、肘等)が受液パウチ16に引っ掛かったりすることで、手術用ドレープ13が破れて、手術用ドレープ13のバリヤ性が損なわれるおそれや、タグが手術用ドレープ13より外れて受液パウチが落ちるおそれがあった。
【0018】
さらに、清潔野で清潔なものしか触れられない医師は、手術台よりも下方の不潔野と規定される領域に落ちた受液パウチ16を自ら拾ったり持ち上げたりすることができず、手術の進行の妨げとなるおそれがあった。
【0019】
なお、以上は、手術用ドレープ13に受液パウチ16を取り付ける場合であるが、受液パウチ16以外に、手術の際に使用する電気メスのコード等の各種部材を取り付ける場合も同様な問題があった。
【0020】
従って、この発明は、肩、肘あるいは膝等の関節を手術する際に使用する受液パウチ等の手術の際に使用する各種部材を、手術用ドレープに穴開きや破れ等の損傷を与えることなく、最適位置に最適角度で、容易かつ確実に取り付けることができる手術用ドレープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とする。
【0022】
請求項1に記載の発明は、患者の術野とそれ以外の部分とを隔離するための手術用ドレープにおいて、ドレープ本体の術野側の面に、手術の際に用いる、2個の開口が形成された受液パウチを着脱可能に取り付けるための襞部が、間隔を開けて2本、平行に形成され、前記襞部は、前記ドレープ本体を術野側に襞折りすることによって形成され、前記ドレープ本体の前記襞部間には、前記患者の肩、肘あるいは膝を通す開窓部が形成され、前記受液パウチの前記開口の各々は、前記開窓部に近接した前記受液パウチの側面に形成され、一方の前記開口から前記患者の腕または脚を通し、他方の前記開口から前記患者の腕または脚を抜き、かくして、前記患者の肩、肘または膝を前記受液パウチ内に露出させるためのものであることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記襞部の幅は、1cmから10cmの範囲内であることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記襞部が形成された前記ドレープ本体の反術野側の面は、補強シートによって補強されていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記補強シートは、粘着剤またはヒートシールによって前記ドレープ本体の反術野側の面に溶着されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0029】
この発明によれば、ドレープ本体の術野側の面に、手術の際に用いる受液パウチ等の各種部材を取り付けるための襞部を形成することによって、各種部材を手術用ドレープに穴開きや破れ等の損傷を与えることなく、最適位置に最適角度で、容易かつ確実に取り付けることができる。
【0030】
また、この発明によれば、襞部を間隔を開けて2本、平行に形成することによって、受液パウチを最適位置に最適角度で取り付けることができる。
【0031】
また、この発明によれば、襞部の幅を1cmから10cmの範囲内にすることによって受液パウチを容易かつ確実に取り付けることができる。
【0032】
さらに、この発明によれば、襞部が形成されたドレープ本体の反術野側の面を補強シートにより補強することによって、手術用ドレープに生じる穴開きや破れ等の損傷をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】この発明の手術用ドレープをカーテン状に吊るした状態を示す斜視図である。
図2】補強シートによって補強した襞部を示す平面図であり、(a)は、補強シートをドレープ本体の反術野側の面に貼り付けた場合であり、(b)は、補強シートを襞部内に挟み込んだ場合であり、(c)は、襞部を2段に形成した場合である。
図3】この発明の手術用ドレープの襞部に受液パウチを取り付けて手術を行う状態を示す斜視図である。
図4】この発明の手術用ドレープの襞部に受液パウチを取り付けて手術を行う状態を、別の方向から見た斜視図である。
図5】垂直隔離ドレープの開口を通して患者の肩を術野側に露出させた状態を示す斜視図である。
図6】横向きに寝かせた患者に手術用ドレープを被せ、患者の肩を術野側に露出させた状態を示す斜視図である。
図7】特許文献1に開示された受液パウチの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明の手術用ドレープの一実施態様を、手術用ドレープに受液パウチを取り付ける場合を例にあげて、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、この発明の手術用ドレープをカーテン状に吊るした状態を示す斜視図である。
【0036】
図1に示すように、この発明の手術用ドレープは、ドレープ本体1の術野側の面(A)に上下方向に亘って、受液パウチ2(図3図4参照)を取り付けるための襞部3が間隔を開けて2本、平行に形成され、襞部3間のドレープ本体1に、患者の肩、肘あるいは膝を通す開窓部4が形成されているものからなっている。
【0037】
襞部3の間隔は、例えば、肩の関節を手術する場合には、肩を挟むような間隔とする。襞部3は、ドレープ本体1を術野側に襞折り(山折り)することによって形成されている。襞部3は、ドレープ本体1を襞折りすることにより形成する以外に、襞部3を別に作り、これをドレープ本体1に貼り付けても良い。
【0038】
襞部3の幅は、1cmから10cmの範囲内であり、より好適は、3cmから7cmの範囲内であり、これにより受液パウチ2を容易かつ確実に取り付けることができる。襞部3が形成されたドレープ本体1の反術野側の面(B)に補強シート5を貼り付けることによって、ドレープ本体1に生じる穴開きや破れ等の損傷をより確実に回避することができる。
【0039】
補強シート5は、アクリル系粘着剤またはヒートシールによってドレープ本体1の反術野側の面(B)に溶着により貼り付けるか、粘着テープを介して接着するか、あるいは、これらを組み合わせて貼り付けると良い。
【0040】
補強シート5は、特に限定されないが、不織布でも良いし、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製でも良いし、アルミ製でも良い。また、粘着剤(粘着テープ)を補強シートとして機能させても良い。
【0041】
また、粘着剤としてアクリル系粘着剤を例に挙げたが、他のゴム系粘着剤等でも良く、特に限定されない。
【0042】
補強シート5の貼り付け位置は、図2(a)に示すように、襞部3が形成された後の反術野側の面(B)であっても良いし、図2(b)に示すように、襞部3の内側(反術野側の谷折り部)であっても良い。他の補強方法として、図2(c)に示すように、襞部3を二重に形成し、各襞部3の内側(反術野側の谷折り部)であっても良い。なお、これらの補強方法を組み合わせても良い。
【0043】
この発明の手術用ドレープに受液パウチ2を取り付けるには、図3図4に示すように、受液パウチ2の縁部を2本の襞部3に鉗子6等によって挟み込む。別の取り付け方としては、襞部3に孔をあけて布鉗子で挟むか、紐で縛るか、襞部3に面ファスナーや粘着テープを取り付けておくこと等が考えられる。
【0044】
なお、図示の受液パウチ2は、図7に示した受液パウチ16と実質的に同様な構成からなっているが、側面に2個の開口7、8が形成されている点のみで相違する。肩の関節を手術する場合には、手首を一方の開口7から受液パウチ2内に通して、他方の開口8から抜き、肩9のみを受液パウチ2内に露出させる。なお、図3図4は、患者の右肩の手術を図示しているものであるが、左肩の手術を行う場合には、開口8の位置が開口7を基点として対称の位置に形成したものを使用する。
【0045】
図7に示した受液パウチ16と同一番号は、同一物を示す。すなわち、19は、ロート状の受液パウチ2の底部に形成された、液体18の排水口、20は、排水口19に接続された排水管、21は、受液パウチ2の入口、22は、受液パウチ2の入口の縁部に配された環状の形状保持バーである。
【0046】
襞部3は、ドレープ本体1の上下方向に亘って形成されているので、受液パウチ2の取り付け高さ位置は、襞部3の長さの範囲内で自在に調整することができる。しかも、2本の襞部3に受液パウチ2を取り付けるので、左右の取り付け位置を変えることによって、受液パウチ2の取り付け角度を自在に調整することができる。
【0047】
このように、医師の身長や手術台の高さに合わせて、最適な高さに設定することができるため、受液パウチ2が最初から不潔野(医師の腰より低い位置、あるいは、手術台よりも低い位置)になることを予防でき、手術中に医師が受液パウチの位置を自在に直すことが可能となる。
【0048】
また、手術の経過に応じて医師は、術野に対する立ち位置を変えたり、手術用医療機器を向ける角度を変えたり、患者の腕を動すことがあるが、これらの場合に受液パウチ2が障害とならないように受液パウチ2の取り付け高さおよび角度を自在に調整することができる。特に、内視鏡による手術は、内視鏡カメラの角度や位置を変えながら手術を行うが、この際に受液パウチ2が手術の妨げになることがなくなる。
【0049】
さらに、受液パウチ2へ血液・体液および生理食塩水等の液体を確実に流し込ませるためには、例えば、受液パウチ2の中で手術が行われるようにすれば良いが、その際、考慮しなければならないのは、医師が手術を行う際に受液パウチ2が邪魔にならないようにすることである。前述した通り、受液パウチ2の取り付け高さと角度の調整により受液パウチ2が邪魔にならないようにすることは可能であるが、受液パウチ2の入口21が大きければより邪魔になりにくい。これを実現するためには、2本平行に形成された襞部3の間隔を広く設定すれば良い。
【0050】
具体的には、襞部3の間隔は、例えば、700mmもあれば、受液パウチ22の好適な入口21の大きさとすることができる。また、これに伴い受液パウチ2の入口21自体の大きさも大きくする必要があるが、例えば、入口21の長さ(円周)を2,100mmとした場合には、手前側の入口21の長さは、1,400mmとなるので、好適な入口21の大きさを確保することができ、受液パウチ2の液体回収機能を十分に発揮することができる。すなわち、このように受液パウチ22の入口21の長さと襞部3の間隔を確保すれば、ドレープ本体1に受液パウチ2を取り付けた際に、図3図4に示す通り、受液パウチ2の手前側が不潔野に至らない範囲で下がり、この結果、手術の際に一層、受液パウチ2が邪魔になりにくいので、受液パウチ2の液体回収機能を十分に発揮することができる。
【0051】
なお、上述のように、襞部3の間隔と前記手前側の入口21の長さの比率は、1:2を例に挙げて説明したが、襞部3の間隔を1とすると、前記手前側の入口21の長さの下限値としては、1.2以上2.4以下が好ましく、1.5以上2.1以下がさらに好ましく、1.6以上2.0以下が好適である。
【0052】
また、大きい受液パウチ2を取り付けることによって、生理食塩水が貯まること等により重みが増大すると、受液パウチ2の取り付け箇所への負荷も大きくなるが、受液パウチ2の取り付け箇所は、襞部3であることから、従来のタグのように外れるおそれはなく、さらに、補強シート5を施しておくことによってドレープ本体1が破損するおそれも回避することができる。
【0053】
このように、手術に合わせて受液パウチ2を最適位置に最適角度で取り付けることができる。すなわち、図3に示すように、肩9の関節を手術する場合には、肩9が腕を含めて図中、右下がりに傾斜するので、右下がりの傾斜に合わせて受液パウチ2の傾斜角度を調整することによって、受液パウチ2の液体回収効果を十分に発揮することができる。
【0054】
襞部3は、受液パウチ2を取り付ける箇所として説明したが、例えば、電気メスのコードや液チューブ等を取り付ける箇所としても良い。
【0055】
上述した例は、この発明の手術用ドレープをカーテン状に吊るして使用する場合であるが、患者に手術用ドレープを被せて使用する場合でも、同様な効果が得られる。
【0056】
上述した例は、予め開窓部が設けられている手術用ドレープの場合であるが、開窓部が形成されていないドレープを複数枚、組合せて開窓部を作っても良い。すなわち、例えば、開窓部が形成されていないドレープ4枚、用意し、この内の2枚を間隔をあけて平行に患者に被せ、残りの2枚を既に被せた2枚のドレープと垂直に間隔をあけて被せる。このようにして、4枚のドレープの中央部に開窓部を形成した場合であっても、予め開窓部が設けられている手術用ドレープの場合と同様の効果が得られる。
【0057】
以上、説明したように、この発明によれば、ドレープ本体1の術野側の面(A)に上下方向に亘って、肩、肘あるいは膝等の関節を手術する際に使用する受液パウチ2を取り付けるための襞部3を形成することによって、受液パウチ2を鉗子等によって手術用ドレープに取り付けても、受液パウチ2を鉗子等によって手術用ドレープに直接、取り付ける場合のように、手術用ドレープに穴開きや破れ等の損傷を与えることなく、しかも、最適位置に容易かつ確実に取り付けることができる。
【0058】
また、この発明によれば、襞部3を間隔を開けて2本平行に形成することによって、受液パウチ2を手術に合わせて最適角度で取り付けることができる。
【0059】
また、この発明によれば、襞部3の幅を1cmから10cm、好ましくは、3cmから7cmの範囲内にすることによって受液パウチ2を容易かつ確実に取り付けることができる。
【0060】
さらに、この発明によれば、襞部3をドレープ本体1の反術野側の面に補強シート5を貼り付ける等することにより補強することによって、手術用ドレープ内に多量の液体が溜まった場合であっても、その重量で手術用ドレープに穴開きや破れ等の損傷が生じるおそれを確実に回避することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:ドレープ本体
2:受液パウチ
3:襞部
4:開窓部
5:補強シート
6:鉗子
7:開口
8:開口
9:肩
11:手術台
12:患者
13:手術用ドレープ
14:開口
15:肩
16:受液パウチ
17:開口
18:液体
19:排水口
20:排出管
21:入口
22:形状保持バー
23:手術用ドレープ
24:開窓部
25:ストッキネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7