特許第6242608号(P6242608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242608
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】人工脛骨を分解する外科用器具及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20171127BHJP
   A61F 2/30 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61F2/30
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-136011(P2013-136011)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-8411(P2014-8411A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】13/538,617
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ジェイ・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベネット
(72)【発明者】
【氏名】カイル・ディ・ステッフェ
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−513671(JP,A)
【文献】 特表2003−525685(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0275457(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0241641(US,A1)
【文献】 米国特許第05352227(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01106148(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
A61F 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を有するアンカーと、
前記アンカーに連結されるシャフトであって、前記アンカーの前記長手方向軸に直角に延在する長手方向軸を有する、シャフトと、
前記シャフトに連結される隔離体であって、一対のアームと、それらの間に画定されるスロットとを有する、隔離体と、を備え、前記隔離体が、(i)前記アンカーが前記隔離体の前記スロットから離間配置される第1の位置と、(ii)前記アンカーが前記一対のアーム間に画定される前記スロット内に受容される第2の位置との間で、前記シャフトの前記長手方向軸に沿って移動するように構成される、整形外科用器具。
【請求項2】
前記隔離体のそれぞれのアームが、上面と、下面と、前記上面と前記下面との間に延在するテーパ面と、を含む、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項3】
前記隔離体が、前記一対のアームに固定される本体を含み、
前記シャフトが、前記本体内に画定される穴の中に位置決めされる、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項4】
前記シャフトに回転連結されるカラーを更に備え、
前記カラーが、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記隔離体を移動させるように動作可能である、請求項3に記載の整形外科用器具。
【請求項5】
前記シャフトが、その上に形成される複数の雄ねじを有し、
前記本体内の前記穴が、前記シャフトと係合する実質的に平滑な内表面によって画定される、請求項4に記載の整形外科用器具。
【請求項6】
前記カラーが、その第1の端部内に画定される開口部と、前記開口部から内側に延在する内壁と、を含み、
前記カラーの前記内壁が、その上に形成される複数の雌ねじを有し、前記複数の雌ねじが、前記シャフトのいくつかの前記雄ねじと係合される、請求項5に記載の整形外科用器具。
【請求項7】
前記カラーの前記第1の端部が、第1の方向の前記カラーの回転が前記隔離体を前記第1の位置と前記第2の位置との間で前進させるように前記本体と係合される、請求項6に記載の整形外科用器具。
【請求項8】
前記本体が、前記アンカーと前記カラーとの間に位置決めされる、請求項7に記載の整形外科用器具。
【請求項9】
前記シャフトの前記長手方向軸を中心に前記カラーを回転させ、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記隔離体を前進させるように構成されるハンドルを更に備え、
(i)前記ハンドルが、その中に画定されるソケットを有し、(ii)前記カラーが、前記ハンドル内に画定される前記ソケット内に位置決めされるようにサイズ決めされるシャンクを有する、請求項7に記載の整形外科用器具。
【請求項10】
前記アンカーが、前記アンカーの前記長手方向軸に沿って延在する係合アームの円筒状部分を含み、前記係合アームの前記円筒状部分が、脛骨トレー内に画定される穴の中に位置決めされるようにサイズ決めされ、成形される、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項11】
前記アンカー内に画定される穴に受容される棒を含む安定部を更に備える、請求項1に記載の整形外科用器具。
【請求項12】
円錐台形の第1の本体と、前記円錐台形の第1の本体から下方に延在する円筒状の第2の本体と、を含む、アンカーと、
前記アンカーに固定されるシャフトであって、雄ねじ付き外表面及び長手方向軸を有する、シャフトと、
前記シャフトの雄ねじ付き外表面と係合される雌ねじ付き内表面を有するハウジングであって、前記シャフトの前記長手方向軸を中心に回転するように構成される、ハウジングと、
(i)前記アンカーと前記ハウジングとの間に位置決めされる取り付け本体と、(ii)間に画定されるスロットを有する一対のアームと、を含む、隔離体と、を備え、
前記ハウジングが、前記長手方向軸を中心とする前記ハウジングの回転が前記隔離体を(i)前記アンカーが前記隔離体の前記スロットから離間配置される第1の位置と、(ii)前記アンカーが前記一対のアーム間に画定される前記スロットに受容される第2の位置と、の間で移動させるように、前記取り付け本体と係合される、整形外科用器具。
【請求項13】
前記隔離体のそれぞれのアームが、テーパ面を含む、請求項12に記載の整形外科用器具。
【請求項14】
前記アンカーが、前記シャフトに固定される基部を含み、前記第1の本体が、前記基部の下端部に固定される、請求項12に記載の整形外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、整形外科用器具に関し、より具体的には、整形外科用人工コンポーネントの組立及び分解に使用される外科用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変及び/又は損傷した自然関節を人工関節で置換する周知の外科手術である。例えば、人工膝関節全置換外科手術では、患者の自然膝関節が人工膝関節又は人工膝によって部分的又は全体的に置換される。典型的な人工膝は、脛骨コンポーネント、大腿骨コンポーネント、及び脛骨コンポーネントと大腿骨コンポーネントとの間に配置されるインサート又はベアリングコンポーネントを含む。脛骨コンポーネントは、概して、それから遠位に延在するステムを有するプラットホーム又はプレートを含み、大腿骨コンポーネントは、概して、ポリマーベアリングの対応する表面と関節接合する表面を含む、一対の離間配置された顆状要素を含む。脛骨トレーのステムは、患者の脛骨の外科的に調製された髄管に植え込まれるように構成され、大腿骨コンポーネントは、患者の大腿骨の外科的に調製された遠位端に連結されるように構成される。
【0003】
時には、補正膝手術が患者に行われることが必要とされる場合がある。このような補正膝手術において、予め植え込まれた人工膝が外科的に取り除かれ、置換用人工膝が植え込まれる。いくつかの補正膝手術では、例えば、脛骨コンポーネント、大腿骨コンポーネント、及びポリマーベアリングコンポーネントを含む、予め植え込まれた人工膝のコンポーネントのすべてが、外科的に取り除かれ得る。他の補正膝手術では、予め植え込まれた人工膝の一部のみが取り除かれ、置換され得る。
【0004】
補正膝手術中、整形外科の執刀医は、典型的には、人工膝を受容する患者の骨を調製するために、例えば、切断ブロック、外科用リーマ、ドリルガイド、人工装具トライアル、及び他の外科用器具等の様々な異なる整形外科用器具を使用する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、整形外科用器具が開示される。整形外科用器具は、長手方向軸を有するアンカーと、アンカーに連結されるシャフトと、を含む。シャフトは、アンカーの長手方向軸に直角に延在する長手方向軸を有する。整形外科用器具はまた、シャフトに連結される隔離体を含む。隔離体は、一対のアームと、それらの間に画定されるスロットとを有する。隔離体は、アンカーが隔離体のスロットから離間配置される第1の位置と、アンカーが一対のアーム間に画定されるスロット内に受容される第2の位置との間で、シャフトの長手方向軸に沿って移動するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、隔離体のそれぞれのアームは、上面と、下面と、上面と下面との間に延在するテーパ面と、を含んでよい。加えて、いくつかの実施形態では、隔離体は、一対のアームに固定される本体を含んでよく、シャフトは、本体内に画定される穴の中に位置決めされてよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、整形外科用器具は、シャフトに回転連結されるカラーを含んでよく、カラーは、第1の位置と第2の位置との間で隔離体を移動させるように動作可能であってよい。加えて、いくつかの実施形態では、シャフトは、その上に形成される複数の雄ねじを有してよく、本体内の穴は、シャフトと係合する実質的に平滑な内表面によって画定されてよい。いくつかの実施形態では、カラーは、その第1の端部内に画定される開口部と、開口部から内側に延在する内壁と、を含んでよく、カラーの内壁は、その上に形成される複数の雌ねじを有してよい。複数の雌ねじは、シャフトのいくつかの雄ねじと係合され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、カラーの第1の端部は、第1の方向のカラーの回転が隔離体を第1の位置と第2の位置との間で前進させるように本体と係合され得る。いくつかの実施形態では、本体は、アンカーとカラーとの間に位置決めされてよい。
【0009】
加えて、いくつかの実施形態では、整形外科用器具は、シャフトの長手方向軸を中心にカラーを回転させ、第1の位置と第2の位置との間で隔離体を前進させるように構成されるハンドルを含んでよい。ハンドルは、その中に画定されるソケットを有してよい。カラーは、ハンドル内に画定されるソケット内に位置決めされるようにサイズ決めされるシャンクを有してよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、アンカーは、アンカーの長手方向軸に沿って延在する円筒状のシャフトを含んでよい。円筒状のシャフトは、脛骨トレー内に画定される穴の中に位置決めされるようにサイズ決めされ、成形されてよい。いくつかの実施形態では、整形外科用器具は、アンカー内に画定される穴に受容される棒を含む安定部を含んでよい。
【0011】
別の態様によれば、整形外科用器具は、円錐台形の第1の本体と、円錐台形の第1の本体から下方に延在する円筒状の第2の本体と、を含む、アンカーと、アンカーに固定されるシャフトと、を含む。シャフトは、雄ねじ付き外表面及び長手方向軸を有する。整形外科用器具は、シャフトの雄ねじ付き外表面と係合される雌ねじ付き内表面を有するハウジングを含み、ハウジングは、シャフトの長手方向軸を中心に回転するように構成される。整形外科用器具はまた、アンカーとハウジングとの間に位置決めされる取り付け本体と、間に画定されるスロットを有する一対のアームと、を含む、隔離体を含む。ハウジングは、長手方向軸を中心とするハウジングの回転が、隔離体をアンカーが隔離体のスロットから離間配置される第1の位置と、アンカーが一対のアーム間に画定されるスロットに受容される第2の位置と、の間で移動させるように、取り付け本体と係合される。
【0012】
いくつかの実施形態では、隔離体のそれぞれのアームは、テーパ面を含んでよい。いくつかの実施形態では、アンカーは、シャフトに固定される基部を含んでよく、第1の本体は、基部の下端部に固定されてよい。
【0013】
別の態様によれば、整形外科手術を行う方法が開示される。方法は、患者の脛骨の近位端に植え込まれる脛骨の人工コンポーネントにアンカーを固定することを含む。脛骨の人工コンポーネントは、脛骨トレー及び脛骨トレーに固定される脛骨スリーブを含む。方法はまた、隔離体をアンカーに向かって後方に移動させ、脛骨トレーの下側と脛骨スリーブの上端部との間に隔離体の先端を位置決めすることと、脛骨トレーの下側と脛骨スリーブの上端部との間で前方から後方に隔離体を前進させ、脛骨スリーブから脛骨トレーを分離することと、患者の脛骨の近位端から脛骨トレーを取り除くことと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、アンカーの円筒状の本体を脛骨トレー内に画定される開口部内に位置決めすることを更に含み得る。加えて、いくつかの実施形態では、隔離体をアンカーに向かって移動させることは、アンカーに固定されるシャフトに沿って隔離体を摺動させることを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、カラーは、シャフトにねじ込まれ得る。いくつかの実施形態では、シャフトに沿って隔離体を摺動させることは、カラーをシャフト上で回転させ、シャフトに沿ってカラーを前進させることと、カラーがシャフトに沿って前進されるとき、カラーと隔離体を係合することと、を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、ハンドルとカラーを係合することと、ハンドルを操作し、カラーをシャフト上で回転させることと、を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、隔離体を前進させることは、脛骨トレーと脛骨スリーブとの間に隔離体のくさびを位置決めすることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
発明を実施するための形態においては特に以下の図面を参照する。
図1】人工膝の人工脛骨コンポーネントの斜視図。
図2図1の脛骨コンポーネントの分解斜視図。
図3図1の脛骨コンポーネントを分解するのに使用するための整形外科用器具の一実施形態の斜視図。
図4図3の整形外科用器具の部分横断立面図。
図5】患者の脛骨の近位端に植え込まれる図1の脛骨コンポーネントの斜視図。
図6】植え込まれた脛骨コンポーネントから離間配置される整形外科用器具の隔離体を有する植え込まれた脛骨コンポーネントに取り付けられる図3の整形外科用器具の立面図。
図7】植え込まれた脛骨コンポーネントと係合される整形外科用器具の隔離体を示す、図5と類似の斜視図。
図8図7の位置の隔離体を示す図6と類似の立面図。
図9図1の脛骨コンポーネントを分解するのに使用するための整形外科用器具の別の実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点は理解されるべきである。
【0020】
解剖学的参照を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書の全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント及び外科器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らないかぎりは、それらの広く理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0021】
次に図1〜4を参照すると、人工膝10及び外科用器具12が示される。図1及び2に示すように、人工膝10は、患者の脛骨18の外科的に調製された近位端16(図5参照)に植え込まれるように構成される人工脛骨コンポーネント14を含む。図5〜8に関して以下で更に詳述されるように、外科用器具12は、患者の脛骨18から脛骨コンポーネント14を取り除くために関節置換術に使用され得る。膝関節全置換術的外科手術の実行に関して外科用器具12が本明細書に記載されるが、器具12と関連する概念のいくらかが全身の多くの他の関節位置での置換術と関連して利用されてよいことが理解されるべきである。
【0022】
図1に示すように、人工膝10の脛骨コンポーネント14は、脛骨トレー20及びスリーブ22を含む。脛骨トレー20は、人工膝10の脛骨ベアリングコンポーネント(図示せず)に連結されるように構成される。脛骨トレー20は、プラットホーム24と、プラットホーム24の遠位側28から離れて延在する伸長されたステム26等の定着部材と、を含む。開口部30は、プラットホーム24の近位面32内に画定され、脛骨トレー20は、開口部30から遠位に延在する内壁34を含む。内壁34は、プラットホーム24を通ってステム26の中に延在する穴36を画定する。穴36は、人工膝10の脛骨ベアリングコンポーネントのステム(図示せず)を受容するようにサイズ決めされ、成形される。
【0023】
脛骨トレー20の内壁34は、近位面32内の開口部30から末端縁40に遠位に延在するテーパ面38を有する。図1に示すように、テーパ面38は、穴36の近位セクション42を画定する。内壁34はまた、その末端縁40でテーパ面38に連結される円筒状の表面44を含む。円筒状の表面44は、穴36の遠位セクション46を画定するために縁部40から遠位に延在する。他の実施形態では、内壁34が穴36を画定するために単一のテーパ面、単一の円筒状の表面、又は追加の表面を含んでよいことが理解されるべきである。
【0024】
図2に示すように、脛骨トレー20の伸長されたステム26は、プラットホーム24に取り付けられる近位端52から遠位端54に延在する本体50を有する。本体50は、近位端52の最大幅から遠位端54の最小幅まで先細にされる。例示的な実施形態では、本体50は、モールステーパを有する。ステム26の遠位端54は、伸張された部分(図示せず)に固定されるように構成される。
【0025】
脛骨トレー20はまた、プラットホーム24の遠位側28から延在する一対の竜骨56を含む。例示的な実施形態では、それぞれの竜骨56は、ステム26から外側に、かつプラットホーム24の後方側58に向かって延在する。他の実施形態では、竜骨が他の幾何学的関係を有してよく、脛骨トレー20が更なる又はより少ない竜骨を含んでよいことが理解されるべきである。
【0026】
上述したように、脛骨コンポーネント14はまた、脛骨トレー20に固定されるように構成されるスリーブ22を含む。スリーブ22は、近位端62から遠位端64に延在する本体60を有する。図2に示すように、本体60は、近位端62の最大幅から遠位端64の最小幅まで先細にされる。例示的な実施形態では、本体60は、複数のステップ68を含む段付き又は階段状外表面66を有する。外表面66は、近位端62から遠位端64までのそれぞれのステップ68で先細になる。
【0027】
スリーブ22は、本体60の近位面72内に画定される開口部70を有し、内壁74は、内部通路76を画定するために開口部70から遠位に延在する。通路76は、スリーブ22がトレー20と組み立てられるとき、脛骨トレー20のステム26を受容するようにサイズ決めされ、成形される。内壁74は、近位面72の最大直径から遠位端64の最小直径まで先細になる。例示的な実施形態では、スリーブ22の内壁74は、脛骨トレー20のステム26のモールステーパと整合するモールステーパを有する。
【0028】
スリーブ22はまた、本体60の外表面66から内側に延在する一対のリリーフスロット80、82を含む。図2に示すように、スロット80、82は、通路76に開口している。スロット80、82は、スリーブ22が脛骨トレー20に固定されるとき、竜骨56を受容するようにサイズ決めされる。
【0029】
スリーブ22が脛骨トレー20と組み立てられると、脛骨トレー20のステム26は、スリーブ22の通路76に受容され、竜骨56は、スロット80、82の中に位置決めされる。ステム26は、スリーブ22の内壁74と係合し、それによって脛骨トレー20とスリーブ22との間に摩擦係止を生じる。この摩擦係止は、脛骨トレー20とスリーブ22との間で相対回転及び長手方向の動作を防止し、それによって脛骨コンポーネント14を形成する。図6に示すように、スロット84は、脛骨トレー20の遠位側28とスリーブ22の近位面72との間に画定される。
【0030】
脛骨トレー20及びスリーブ22は、人工コンポーネントに好適な材料から形成される。このような材料としては、チタン合金、コバルトクロム合金、又は他の金属合金が挙げられる。他の実施形態では、他の金属材料が使用されてよいことが理解されるべきである。
【0031】
次に図3及び4を参照すると、外科用器具12は、患者の脛骨18から脛骨コンポーネント14を取り除く間、整形外科手術に使用され得る。例示的な実施形態では、外科用器具12は、スリーブ22から脛骨トレー20を分離し、脛骨コンポーネント14を取り除くことを容易にするように構成される分解器具90である。器具90は、脛骨トレー20に固定されるように構成されるアンカー92と、アンカー92から外側に延在するシャフト94と、を含む。器具90はまた、アンカー92に対して移動し、スリーブ22から脛骨トレー20を分離するために脛骨コンポーネント14と係合するように構成される隔離体工具96を含む。作動カラー98は、以下で更に詳述されるように、シャフト94に取り付けられ、シャフト94に沿って隔離体工具96を移動させるように動作可能である。例示的な実施形態では、器具90のコンポーネントは、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金などの金属材料から形成される。他の実施形態では、このコンポーネントが硬質高分子材料から形成されてよいことが理解されるべきである。
【0032】
器具90のアンカー92は、基部100と、脛骨トレー20内に画定される穴36の中に位置決めされるように構成される係合アーム102と、を含む。例示的な実施形態では、係合アーム102は、連接棒104を介して基部100に固定される。図3及び4に示すように、連接棒104は、基部100の下面106と係合アーム102の上面108との間に延在する。他の実施形態では、係合アーム102が基部100に直接固定されてよいことが理解されるべきである。
【0033】
係合アーム102は、連接棒104に固定される上部本体112と、上部本体112の下に位置決めされる下部本体114と、を通って延在する長手方向軸110を有する。例示的な実施形態では、上部本体112は、穴36の近位セクション42を画定するテーパ面38と整合するように成形される円錐台形の外表面116を有する。アンカー92が脛骨トレー20に固定されると、アーム102の上部本体112は、脛骨トレー20の穴36の近位セクション42に受容される。加えて、係合アーム102の下部本体114は、アンカー92が脛骨トレー20に固定されると、穴36の遠位セクション46に受容される。上部本体112と同様に、下部本体114は、穴36の遠位セクション46を画定する円筒状の表面44と整合するように成形される円筒状の外表面118を有する。他の実施形態では、係合アーム102が基部100から分離可能であってよいことが理解されるべきである。そのように、器具90は、複数の係合アームを含んでよく、それぞれの係合アームは、脛骨トレーの異なる寸法で使用されるようにサイズ決めされてよい。
【0034】
アンカー92の基部100は、下面106から上方に延在する一対の側面120を含む。開口部122は、それぞれの側面120内に画定され、内壁124は、基部100によって穴126を画定するために開口部122間に延在する。図4に示すように、穴126は、係合アーム102の長手方向軸110に横に延在する長手方向軸128を有する。穴126は、患者の脛骨18上に器具90を支持するために執刀医により使用され得る、安定棒130(図7参照)を受容するようにサイズ決めされる。
【0035】
アンカー92の基部100は、側面120間の下面106から上方に延在する別の側面132を含む。図3及び4に示すように、器具90のシャフト94は、側面132から外側に延在する。例示的な実施形態では、シャフト94は、係合アーム102の長手方向軸110に対して直角に延在する長手方向軸140を有する。シャフト94は、その上に形成される複数の雄ねじ144を有する円筒状の外表面142を有する。
【0036】
上述したように、器具90はまた、アンカー92に対して移動させるように構成される隔離体工具96を含む。隔離体工具96は、プレート150と、プレート150から上方に延在する本体152と、を含む。図3及び4に示すように、隔離体工具96の本体152は、シャフト94に取り付けられる。本体152は、基部100の側面132に面する側面154と、側面154の反対側に位置決めされる別の側面156と、を有する。本体152のそれぞれの表面154、156は、その中に画定される開口部160を有する。円筒状の内壁162は、本体152によって通路164を画定するために開口部160間に延在する。図4に示すように、シャフト94は、本体152の通路164を通って延在する。本体152の内壁162は、隔離体工具96がシャフト94のねじ144に沿って摺動することが可能にされるように実質的に平滑である。
【0037】
隔離体工具96はまた、プレート150から外側に延在する一対のアーム170、172を含む。図3に示すように、開口部174は、以下で更に詳述されるように、ステム26の近位端52及び脛骨トレー20の竜骨56を受容するようにサイズ決めされる、アーム170とアーム172との間に画定される。アーム170、172のそれぞれは、実質的に平坦な上面178と、実質的に平坦な下面180と、表面178と表面180との間に延在するテーパ面182と、によって画定されるくさび176を含む。アーム170、172のそれぞれは、上面178とテーパ面182の交点によって形成される先端184を有する。
【0038】
上述したように、器具90はまた、シャフト94に沿って隔離体工具96を移動させるように動作可能である作動カラー98を含む。図3及び4に示すように、カラー98は、ハウジング190と、ハウジング190から外側に延在するシャンク192と、を含む。ハウジング190は、隔離体工具96の側面156と係合するように構成される表面194を有する。開口部(図示せず)は、ハウジング190の表面194内に画定され、円筒状の内壁198は、ハウジング190内の開口200を画定するために開口部から内側に延在する。
【0039】
カラー98は、ハウジング190の内壁198に形成される複数の雌ねじ202を有し、雌ねじ202は、シャフト94の雄ねじ144に対応する。図4に示すように、カラー98の雌ねじ202は、シャフト94の長手方向軸140を中心とするカラー98の回転がカラー98をシャフト94に沿って移動させるように雄ねじ144と係合する。例示的な実施形態では、カラー98の時計回り回転は、図4の矢印204で示されるように、アンカー92に向かってシャフト94に沿ってカラー98を前進させ、カラー98の逆時計回り回転は、図4の矢印206で示されるように、アンカー92から離れてカラー98を移動させる。
【0040】
カラー98が時計回りに回転されると、カラー98は、隔離体工具96と接触するように前進される。カラー98の表面194は、カラー98の連続動作が隔離体工具96をアンカー92に向かって移動させるように本体152の側面156と係合する。そのように、カラー98は、シャフト94に沿って隔離体工具96を移動させるように動作可能である。カラー98は、アンカー92が隔離体工具96のアーム170とアーム172との間に画定される開口部174から離間配置される位置と、図3に示すように、アンカー92が開口部174の中に位置決めされる別の位置との間で、アンカー92を移動させるために利用され得る。
【0041】
上述したように、器具90のカラー98はまた、ハウジング190から外側に延在するシャンク192を含む。シャンク192は、長手方向軸140を中心にカラー98を回転するために執刀医又は他の利用者により操作され得る、T形ハンドル212(図8参照)の対応するソケット210内に受容されるようにサイズ決めされ、成形される。シャンク192はまた、カラー98が電動機によって回転され得るように動力工具(図示せず)のソケットを受容するようにサイズ決めされてもよい。カラー98が手動で回転されてもよく、他の実施形態では、カラー98のハウジング190が執刀医の手を受容するようにサイズ決めされる把持を含んでよいことも理解されるべきである。
【0042】
図4に示すように、器具90のカラー98は、ハウジング190内に画定される穴214を有する。穴214は、シャフト94の長手方向軸140に横に延在する長手方向軸216を有する。穴214は、患者の脛骨18上に器具90を支持するために執刀医により使用され得る、安定棒218(図7参照)を受容するようにサイズ決めされる。
【0043】
操作において、分解器具90は、予め植え込まれた脛骨コンポーネント14を取り除くことを容易にするために整形外科手術中に使用され得る。これを行うには、図5〜8に示すように、執刀医は、脛骨コンポーネント14の脛骨トレー20と患者の脛骨18の近位端16との間から骨セメントを取り除くことができる。執刀医は、器具90を利用し、スリーブ22から脛骨トレー20を分離し、患者の脛骨18から脛骨トレー20を取り除くことができる。その後、執刀医は、患者の脛骨18を調製する前に患者の脛骨18からスリーブ22を取り除き、置換用人工脛骨コンポーネントを受容することができる。
【0044】
図5に示すように、脛骨コンポーネント14は、患者の脛骨18の近位端16に植え込まれる。例示的な実施形態では、骨セメント220は、脛骨トレー20の遠位側28と患者の脛骨18の近位面222との間に位置決めされる。執刀医は、外科用鋸224を利用し、トレー20と表面222との間の領域から骨セメント220の部分及び/又は骨18を取り除くことができる。そのように、間隙226は、図6に示すように、患者の脛骨18と脛骨トレー20の遠位側28との間に画定される。
【0045】
執刀医は、分解器具90を利用し、スリーブ22から脛骨トレー20を分離することができる。これを行うには、執刀医は、図6に示すように、アンカー92の係合アーム102を脛骨コンポーネント14の脛骨トレー20内に画定される穴36に挿入する。適切に位置決めされると、係合アーム102の上部本体112は、穴36の近位セクション42に受容され、係合アーム102の下部本体114は、遠位セクション46に受容される。図6に示すように、シャフト94は、患者の脛骨18から前方に延在する。
【0046】
器具90の隔離体工具96は最初に、脛骨コンポーネント14と係合するように前進される前、アンカー92及び脛骨コンポーネント14から離間配置される。隔離体工具96を脛骨コンポーネント14に向かって移動させるために、執刀医は、ハンドル212を作動カラー98に取り付けることができる。図6に示すように、ハンドル212は、シャンク192を受容するようにサイズ決めされるその中に画定されるソケット210を有する。執刀医は、矢印230で示される方向に長手方向軸140を中心にハンドル212を回転させ、それによって作動カラー98を回転させることができる。カラー98が回転されると、カラー98は、隔離体工具96と接触するように前進される。カラー98の表面194は、本体152の側面156と係合し、矢印204で示される方向にシャフト94に沿って隔離体工具96を移動する。そのように、隔離体工具96は、アンカー92及び患者の脛骨18に植え込まれる脛骨コンポーネント14に向かって前進される。他の実施形態では、執刀医が、例えば、ハウジング190を把持することによってカラー98を回転させてよいことが理解されるべきである。
【0047】
執刀医は、ハンドル212を回転させ続け、脛骨コンポーネント14及び患者の脛骨18の近位端16と係合するように後方に隔離体工具96を移動させることができる。図7に示すように、アーム170、172のそれぞれの先端184は、患者の脛骨18と脛骨トレー20の遠位側28との間に形成される間隙226に、更に、脛骨トレー20の遠位側28とスリーブ22の近位面72との間に画定されるスロット84に前進される。執刀医は、安定棒130、218を使用し、患者の脛骨18上に器具90を支持することができる。
【0048】
アーム170、172の先端184がスロット84の中に位置決めされると、執刀医は、ハンドル212に更に力を加え、軸140を中心にハンドル212を回転させ続けることができる。執刀医はまた、安定棒218を使用して更なる力を加えることができる。そうすることで、アーム170、172のくさび176は、図8の矢印232で示されるように、脛骨トレー20に上方への力を及ぼす。隔離体工具96が前方から後方に前進されると、アーム170、172のテーパ面182は、骨18及びスリーブ22の近位端62に沿って摺動し、それによってスリーブ22が患者の脛骨18内の適所にとどまる間、脛骨トレー20を移動させる。そのように、スリーブ22とトレー20との間の摩擦係止は、脛骨トレー20がスリーブ22から分離され得るように解かれてよい。
【0049】
執刀医は、脛骨トレー20のステム26及び竜骨56がアーム170、172との間に画定される開口部174の中に位置決めされるまで、後方に隔離体工具96を移動させ続けることができる。その位置では、アーム170、172の平坦な上面178は、脛骨トレー20の遠位側28と係合され、アーム170、172の平坦な下面180は、スリーブ22の近位面72と係合される。執刀医は次に、スリーブ22、したがって患者の脛骨18から脛骨トレー20を手動で取り除くことができる。執刀医が脛骨トレー20を手動で取り除くことができない場合、執刀医は、マレット(図示せず)又は他の外科用工具を使用し、スリーブ22及び患者の脛骨18から脛骨トレー20を分離することを完了することができる。
【0050】
脛骨トレー20が取り除かれると、執刀医は、別個の取り外し工具を使用することによりスリーブ22を取り除くことができる。執刀医は次に、患者の脛骨の近位端16を外科的に調製し、置換用脛骨コンポーネントを受容することができる。
【0051】
次に図9を参照すると、分解器具(以下、器具290)の別の実施形態が示される。図9に例示される実施形態のいくつかの特徴は、図1〜8の実施形態を参照して上述されるものと実質的に同様である。そのような要素は、図9では、図1図8で使用したものと同じ参照符合を用いて示している。図1〜8に関して上述される分解器具のように、分解器具290は、スリーブ22から脛骨トレー20を分離し、脛骨コンポーネント14を取り除くことを容易にするように構成される。
【0052】
器具290は、以下で更に詳述されるように、複数の脛骨コンポーネントの複数の脛骨トレーに固定されるように構成されるアンカー292を含む。器具290は、係止ピン296を介してアンカー292に取り外し可能に連結されるシャフト294を有する。器具290はまた、アンカー292に対して移動し、脛骨コンポーネントと係合し、スリーブから脛骨トレーを分離するように構成される隔離体工具96を含む。作動カラー98は、シャフト294に取り付けられ、シャフト294に沿って隔離体工具96を移動させるように動作可能である。例示的な実施形態では、器具290のコンポーネントは、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金等の金属材料から形成される。他の実施形態では、このコンポーネントが硬質高分子材料から形成されてよいことが理解されるべきである。
【0053】
器具290のアンカー292は、基部300と、脛骨トレー20内に画定される穴36の中に位置決めされるように構成される係合アーム102と、別の脛骨トレー(図示せず)の穴の中に位置決めされるように構成される別の係合アーム302と、を含む。例示的な実施形態では、係合アーム102は、連接棒104を介して基部100に固定される。図9に示すように、連接棒104は、基部100の下面106と係合アーム102の上面108との間に延在する。他の実施形態では、係合アーム102が基部100に直接固定されてよいことが理解されるべきである。
【0054】
係合アーム102は、連接棒104に固定される上部本体112と、上部本体112の下に位置決めされる下部本体114と、を通って延在する長手方向軸110を有する。例示的な実施形態では、上部本体112は、穴36の近位セクション42を画定するテーパ面38と整合するように成形される円錐台形の外表面116を有する。アンカー92が脛骨トレー20に固定されると、アーム102の上部本体112は、脛骨トレー20の穴36の近位セクション42に受容される。加えて、係合アーム102の下部本体114は、アンカー292が脛骨トレー20に固定されると、穴36の遠位セクション46に受容される。上部本体112と同様に、下部本体114は、穴36の遠位セクション46を画定する円筒状の表面44と整合するように成形される円筒状の外表面118を有する。
【0055】
アンカー292の基部300は、下面106から上方に延在する一対の側面120を含む。開口部122は、それぞれの側面120内に画定され、内壁124は、基部300によって穴126を画定するために開口部122間に延在する。穴126は、患者の脛骨18上に器具90を支持するために執刀医により使用され得る、安定棒130を受容するようにサイズ決めされる。
【0056】
図9に示すように、基部300は、下面106の反対側に位置決めされる上面304を有する。係合アーム302は、上面304から上方に延在する。係合アーム302は、脛骨トレー20のものと異なる構成を有する脛骨トレー内に画定される穴に受容されるようにサイズ決めされる円筒状の本体306及び先端308を有する。そのように、器具290は、複数の種類の脛骨トレー及びスリーブを分解するためのものであってよい。例えば、例示的な実施形態では、脛骨トレー20は、可動性脛骨ベアリングと共に使用するために構成される可動性ベアリングであり、上述したように、係合アーム102は、トレー20内に画定される穴36に受容されるように構成される。固設された脛骨ベアリングと共に使用されるために構成される固設された脛骨トレーは、患者の脛骨に植え込まれてよく、アンカー292の係合アーム302は、固設されたベアリング脛骨トレー内に画定される穴に受容されるように構成される。
【0057】
アンカー292の基部300は、側面120間の下面106から上方に延在する別の側面310を更に含む。側面310は、その中に画定される開口部312を有し、内壁314は、基部300内の開口316を画定するために開口部312から内側に延在する。開口316は、シャフト294の端部320を受容するようにサイズ決めされる。
【0058】
図9に示すように、シャフト294は、端部320からカラー98内に位置決めされる別の端部(図示せず)に延在する円筒状の本体322を有する。本体322は、係合アーム102の長手方向軸110に直角に延在する長手方向軸140を有する。本体322は、その上に形成される複数の雄ねじ144を有する円筒状の外表面142を有し、雄ねじ144は、図1〜8に関して上述されるように、カラー98の雌ねじ202と係合する。
【0059】
器具290のアンカー292は、継手330でシャフト294に固定される。継手330は、基部300の側面120内に画定される一対の開口部332及びシャフト294の円筒状の本体322内に画定される貫通孔334を通って延在する、係止ピン296を含む。ピン296は、アンカー292が取り付けられ、シャフト294から分離されるように、開口部332及び貫通孔334から取り外し可能である。そのように、係合アーム102、302の配向は、係合アーム102が上方を向く間、係合アーム302が下方を向くように反転されてよい。
【0060】
操作において、分解器具290は、予め植え込まれた脛骨コンポーネントを取り除くことを容易にするために整形外科手術中に使用され得る。脛骨コンポーネントが可動性ベアリング脛骨トレー20を含む場合、執刀医は、図9に示される配向にアンカー292をシャフト294に固定することができる。これを行うには、執刀医は、シャフト294の端部320が基部300の開口316の中に位置決めされるように、シャフト294を超えて基部300を前進させることができる。執刀医は次に、基部300及びシャフト294の貫通孔334内に画定される開口部332を通ってピン296を前進させ、それによってアンカー292をシャフト294に固定することができる。
【0061】
脛骨コンポーネントが固設されたベアリング脛骨トレーを含む場合、執刀医は、係合アーム302が下方を(即ち、図9に示される配向の反対側に)向くように、アンカー292の配向を反転させることができる。執刀医は次に、上述した様式でアンカー292をシャフト294に固定することができる。執刀医は、シャフト294の端部320が基部300の開口316の中に位置決めされるように、シャフト294を超えて基部300を前進させることができる。執刀医は次に、基部300内に画定される開口部332及びシャフト294の貫通孔334を通ってピン296を前進させ、それによってアンカー292をシャフト294に固定することができる。いずれかの配向で組み立てられるとき、器具290は、患者の脛骨から植え込まれた脛骨コンポーネントを取り除くために図1〜8に関して上述されるものと同様の様式で、使用されてよい。
【0062】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変はすべて保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0063】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく多くの利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、ここで述べた特徴のすべてを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利するものである点に留意されたい。当業者であれば、本発明の1以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0064】
〔実施の態様〕
(1) 長手方向軸を有するアンカーと、
前記アンカーに連結されるシャフトであって、前記アンカーの前記長手方向軸に直角に延在する長手方向軸を有する、シャフトと、
前記シャフトに連結される隔離体であって、一対のアームと、それらの間に画定されるスロットとを有する、隔離体と、を備え、前記隔離体が、(i)前記アンカーが前記隔離体の前記スロットから離間配置される第1の位置と、(ii)前記アンカーが前記一対のアーム間に画定される前記スロット内に受容される第2の位置との間で、前記シャフトの前記長手方向軸に沿って移動するように構成される、整形外科用器具。
(2) 前記隔離体のそれぞれのアームが、上面と、下面と、前記上面と前記下面との間に延在するテーパ面と、を含む、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(3) 前記隔離体が、前記一対のアームに固定される本体を含み、
前記シャフトが、前記本体内に画定される穴の中に位置決めされる、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(4) 前記シャフトに回転連結されるカラーを更に備え、
前記カラーが、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記隔離体を移動させるように動作可能である、実施態様3に記載の整形外科用器具。
(5) 前記シャフトが、その上に形成される複数の雄ねじを有し、
前記本体内の前記穴が、前記シャフトと係合する実質的に平滑な内表面によって画定される、実施態様4に記載の整形外科用器具。
【0065】
(6) 前記カラーが、その第1の端部内に画定される開口部と、前記開口部から内側に延在する内壁と、を含み、
前記カラーの前記内壁が、その上に形成される複数の雌ねじを有し、前記複数の雌ねじが、前記シャフトのいくつかの前記雄ねじと係合される、実施態様5に記載の整形外科用器具。
(7) 前記カラーの前記第1の端部が、第1の方向の前記カラーの回転が前記隔離体を前記第1の位置と前記第2の位置との間で前進させるように前記本体と係合される、実施態様6に記載の整形外科用器具。
(8) 前記本体が、前記アンカーと前記カラーとの間に位置決めされる、実施態様7に記載の整形外科用器具。
(9) 前記シャフトの前記長手方向軸を中心に前記カラーを回転させ、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記隔離体を前進させるように構成されるハンドルを更に備え、
(i)前記ハンドルが、その中に画定されるソケットを有し、(ii)前記カラーが、前記ハンドル内に画定される前記ソケット内に位置決めされるようにサイズ決めされるシャンクを有する、実施態様7に記載の整形外科用器具。
(10) 前記アンカーが、前記アンカーの前記長手方向軸に沿って延在する円筒状のシャフトを含み、前記円筒状のシャフトが、脛骨トレー内に画定される穴の中に位置決めされるようにサイズ決めされ、成形される、実施態様1に記載の整形外科用器具。
【0066】
(11) 前記アンカー内に画定される穴に受容される棒を含む安定部を更に備える、実施態様1に記載の整形外科用器具。
(12) 円錐台形の第1の本体と、前記円錐台形の第1の本体から下方に延在する円筒状の第2の本体と、を含む、アンカーと、
前記アンカーに固定されるシャフトであって、雄ねじ付き外表面及び長手方向軸を有する、シャフトと、
前記シャフトの雄ねじ付き外表面と係合される雌ねじ付き内表面を有するハウジングであって、前記シャフトの前記長手方向軸を中心に回転するように構成される、ハウジングと、
(i)前記アンカーと前記ハウジングとの間に位置決めされる取り付け本体と、(ii)間に画定されるスロットを有する一対のアームと、を含む、隔離体と、を備え、
前記ハウジングが、前記長手方向軸を中心とする前記ハウジングの回転が前記隔離体を(i)前記アンカーが前記隔離体の前記スロットから離間配置される第1の位置と、(ii)前記アンカーが前記一対のアーム間に画定される前記スロットに受容される第2の位置と、の間で移動させるように、前記取り付け本体と係合される、整形外科用器具。
(13) 前記隔離体のそれぞれのアームが、テーパ面を含む、実施態様12に記載の整形外科用器具。
(14) 前記アンカーが、前記シャフトに固定される基部を含み、前記第1の本体が、前記基部の下端部に固定される、実施態様12に記載の整形外科用器具。
(15) 整形外科手術を行う方法であって、
患者の脛骨の近位端に植え込まれる脛骨の人工コンポーネントにアンカーを固定することであって、前記脛骨の人工コンポーネントが、脛骨トレー及び前記脛骨トレーに固定される脛骨スリーブを含む、ことと、
隔離体を前記アンカーに向かって後方に移動させ、前記脛骨トレーの下側と前記脛骨スリーブの上端部との間に前記隔離体の先端を位置決めすることと、
前記脛骨トレーの前記下側と前記脛骨スリーブの前記上端部との間で前方から後方に前記隔離体を前進させ、前記脛骨スリーブから前記脛骨トレーを分離することと、
前記患者の脛骨の前記近位端から前記脛骨トレーを取り除くことと、を含む、方法。
【0067】
(16) 前記アンカーの円筒状の本体を前記脛骨トレー内に画定される開口部内に位置決めすることを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記隔離体を前記アンカーに向かって移動させることが、前記アンカーに固定されるシャフトに沿って前記隔離体を摺動させることを含む、実施態様15に記載の方法。
(18) カラーが、前記シャフトにねじ込まれ、前記シャフトに沿って前記隔離体を摺動させることが、前記カラーを前記シャフト上で回転させ、前記シャフトに沿って前記カラーを前進させることと、前記カラーが前記シャフトに沿って前進されるとき、前記カラーと前記隔離体を係合することと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) ハンドルと前記カラーを係合することと、前記ハンドルを操作し、前記カラーを前記シャフト上で回転させることと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記隔離体を前進させることが、前記脛骨トレーと前記脛骨スリーブとの間に前記隔離体のくさびを位置決めすることを含む、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9