(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242613
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】遊技機用球磨き装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
A63F7/02 351Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-140060(P2013-140060)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-12922(P2015-12922A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】510054670
【氏名又は名称】株式会社 三景
(74)【代理人】
【識別番号】100122552
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 浩二郎
(72)【発明者】
【氏名】松島 孝三
(72)【発明者】
【氏名】坂田 昌隆
【審査官】
三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−081634(JP,A)
【文献】
特開2012−179143(JP,A)
【文献】
特開平11−226230(JP,A)
【文献】
特公昭38−026322(JP,B1)
【文献】
特開2001−183224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
B24B 11/02−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ球を使用する遊技機内の所定位置に配設され、パチンコ球を貯留する球貯留部と、該球貯留部の底面側でモータ駆動により横回転するように配置され外周側に連設した凹部でパチンコ球を各々保持して周方向に送るスプロケット状の球送り回転体と、パチンコ球の汚れを落とすクリーニング部材とを備えており、前記球貯留部に貯留したパチンコ球を前記球送り回転体で順次周方向に搬送しながら前記クリーニング部材に摺接させてクリーニングを行う遊技機用球磨き装置において、前記球送り回転体は、上面中央部が突出して中心側から外周側に向かう下り傾斜面を形成しており、前記クリーニング部材は前記球送り回転体の下方に配置されてその上面所定位置が前記球送り回転体による球搬送路に沿ったクリーニング面を構成しており、前記球送り回転体は、本体ケースの上面側で平面視略円形状に開口した回転体収納部に挿設されて、その外周側と前記回転体収納部の内周面との間で前記球搬送路を形成しており、前記内周面の所定位置には、搬送中のパチンコ球の側面に接してこれに横回転を与える所定形状のボスが所定幅で突設されている、ことを特徴とする遊技機用球磨き装置。
【請求項2】
前記球送り回転体は、前記下り傾斜面の所定位置に所定のクリーニング部材が設けられてクリーニング面を構成しており、前記球送り回転体が回転することで前記クリーニング面に載ったパチンコ球がクリーニングされる、ことを特徴とする請求項1に記載した遊技機用球磨き装置。
【請求項3】
パチンコ球を使用する遊技機内の所定位置に配設され、パチンコ球を貯留する球貯留部と、該球貯留部の底面側でモータ駆動により横回転するように配置され外周側に連設した凹部でパチンコ球を各々保持して周方向に送るスプロケット状の球送り回転体と、パチンコ球の汚れを落とすクリーニング部材とを備えており、前記球貯留部に貯留したパチンコ球を前記球送り回転体で順次周方向に搬送しながら前記クリーニング部材に摺接させてクリーニングを行う遊技機用球磨き装置において、前記球送り回転体は、上面中央部が突出して中心側から外周側に向かう下り傾斜面を形成しており、前記クリーニング部材は前記球送り回転体の下方に配置されてその上面所定位置が前記球送り回転体による球搬送路に沿ったクリーニング面を構成しており、前記球送り回転体は、前記下り傾斜面の所定位置に所定のクリーニング部材が設けられてクリーニング面を構成しており、前記球送り回転体が回転することで前記クリーニング面に載ったパチンコ球がクリーニングされる、ことを特徴とする遊技機用球磨き装置。
【請求項4】
前記球送り回転体は、前記クリーニング面を有した突出部分が、その下側で歯車形状を有した円盤状の部分とは別体とされて脱着自在のものとされている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載した遊技機用球磨き装置。
【請求項5】
前記球送り回転体は、下方から突出したモータ駆動軸が偏芯した状態で軸着されており、前記球送り回転体による前記球搬送路の軌道がパチンコ球を保持した前記凹部の位置に応じて変動する、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した遊技機用球磨き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用球磨き装置に関し、殊に、パチンコ球を使用する遊技機に内装され、汚れたパチンコ球を磨いて綺麗にするための球磨き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ球を使用する遊技機においては、パチンコ球の表面に手の脂やホール内の埃・タバコの煙成分、或いは機器由来の油・粉塵などによる汚れが付着しやすいものであるが、このような汚れの影響によりパチンコ球を循環経路で詰まらせたりパチンコ球の挙動に影響を与えたりすることが知られている。
【0003】
そのため、複数台の遊技機から汚れたパチンコ球を1カ所に集め、大型の球磨き装置でまとめてクリーニングして各遊技機に戻すことが行われている。しかし、このように各遊技機から離れた位置に大型の球磨き装置を配置してこれらの間でパチンコ球を搬送しながら装置を駆動させるためには、余分な設置スペースと多大な駆動用電力を要することから、遊技場のコストパフォーマンスを悪化させることに繋がりやすい。
【0004】
そこで、例えば特開2008−6092号公報や特開2012−179143号公報に記載されているように、各遊技機にパチンコ球を磨いて綺麗にする球磨き装置を内装したものが普及するようになった。このような内装式の球磨き装置では、球貯留部に集めたパチンコ球を軸回転するスパイラル式又は縦回転するスプロケット式の球送り回転体で順次搬送しながら、その球搬送路に付設したクリーニング部材(研磨材)で磨いてクリーニングする方式を採用しており、前述のように1カ所でクリーニングする場合と比べて設置スペースや消費電力コストを削減することができる。
【0005】
しかし、斯かる内装式の球磨き装置では、球送り回転体で搬送する際にその手前でパチンコ球を一列に整列させる必要があり、その整列させる部分でパチンコ球の流入がスムースに行われなかったり詰まりが生じたりして搬送能力が制限される場合も多々あることから、近年の球回転率の高い遊技機においては処理能力が追いつかなくなる畏れもある。
【0006】
一方、特開2007−151735号公報に記載されているように、遊技機内の球貯留部下方にスプロケット状の球送り回転体を横回転するように併設し、その外周側に連設した凹部でパチンコ球を保持しながら回転させて排出口まで送る球送り回転体も知られており、この方式を前述した遊技機用球磨き装置に応用することで高い処理能力を実現させることも考えられる。
【0007】
ところが、このようにスプロケット状の球送り回転体を横置きにして球を搬送する方式としても、球送り回転体への導入側でパチンコ球がブリッジを形成して搬送が停止したり、球貯留部内でパチンコ球の偏りが生じて球送り回転体への導入が妨げられたりする場合もあるため、高い処理能力を常に維持することは容易ではない。また、横回転する球送り回転体でパチンコ球を送りながらクリーニングする方式を採用するにしても、クリーニング部材で効率的に汚れ落とす方法自体が未開発であるため、優れたクリーニング(磨き)機能を実現することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−6092号公報
【特許文献2】特開2012−179143号公報
【特許文献3】特開2007−151735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、個々の遊技機に内装する遊技機用球磨き装置について、優れたクリーニング機能を高い処理能力で実現できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、パチンコ球を使用する遊技機内の所定位置に配設され、パチンコ球を貯留する球貯留部と、この球貯留部の底面側でモータ駆動により横回転するように配置され外周側に連設した凹部でパチンコ球を各々保持して周方向に送るスプロケット状の球送り回転体と、パチンコ球の汚れを落とすクリーニング部材とを備えており、前記球貯留部に貯留したパチンコ球を球送り回転体で順次周方向に搬送しながらクリーニング部材に摺接させてクリーニングを行う遊技機用球磨き装置において、その球送り回転体は、上面中央部が突出して中心側から外周側に向かう下り傾斜面を形成しており、そのクリーニング部材は前記球送り回転体の下方に配置されてその上面所定位置が前記球送り回転体による球搬送路に沿ったクリーニング面を構成している、ことを特徴とするものとした。
【0011】
このように、スプロケット状の球送り回転体の上面中央部が突出して外周側に向かう下り傾斜面を形成したことで、その回転により上面に載ったパチンコ球の集団を下り傾斜面で崩しながら遠心方向に導くように作用するため、パチンコ球のブリッジや偏りが解消されやすくなってスムースな搬送による高い処理能力を確保することができ、周方向に送られるパチンコ球の搬送路に沿ったクリーニング面を構成するように球送り回転体の下方にクリーニング部材を配置したことで、比較的長いC字状の行程でクリーニングを実施可能となるため、優れたクリーニング機能を実現してパチンコ球を効率的に綺麗にすることができる。
【0012】
また、この球磨き装置において、その球送り回転体は、前記下り傾斜面に中心側から遠心方向に延びた突条によるリブが形成されており、その下り傾斜面にパチンコ球の集団を載せた状態で回転することで、そのリブによる段差が移動しながら前記集団の底部側に振動を与えてこれを崩しながらパチンコ球を攪拌させる、ことを特徴としたものとすれば、パチンコ球のブリッジや偏りが確実に解消されて、よりスムースな搬送を確保できるものとなる。
【0013】
さらに、上述した遊技機用球磨き装置において、その球送り回転体は、本体ケースの上面側で平面視略円形状に開口した回転体収納部に挿設されて、その外周側と前記回転体収納部の内周面との間で球搬送路を形成しており、前記内周面の所定位置には、搬送中のパチンコ球の側面に接してこれに横回転を与える所定形状のボスが所定幅で突設されている、ことを特徴としたものとすれば、周方向に搬送されてほぼ縦回転で転がるパチンコ球の位相をボスの当接により横回転を与えて変更できるため、パチンコ球表面におけるクリーニング部位の偏りを解消しやすいものとなる。
【0014】
さらにまた、上述した遊技機用球磨き装置において、その球送り回転体は、その下り傾斜面の所定位置に所定のクリーニング部材が設けられてクリーニング面を構成しており、その球送り回転体が回転することで前記クリーニング面に載ったパチンコ球がクリーニングされる、ことを特徴としたものとすれば、一層クリーニング機能に優れたものとなり、且つ、下り傾斜面の一部を構成するクリーニング部材の表面とパチンコ球との間の摩擦力により、ブリッジ及び偏りの解消がさらに促進されるようになる。
【0015】
この場合、その球送り回転体は、そのクリーニング面を有した突出部分が、その下側で歯車形状を有した部分とは別体とされて脱着自在のものとされている、ことを特徴としたものとすれば、使用によりクリーニング面が汚れてクリーニング機能が低下した球送り回転体の突出部分だけを交換して使用可能なものとなる。
【0016】
加えて、上述した遊技機用球磨き装置において、その球送り回転体は、下方から突出したモータ駆動軸が偏芯した状態で軸着されており、これによる周方向の球搬送路の軌道がパチンコ球を保持した凹部の位置に応じて変動する、ことを特徴としたものとすれば、パチンコ球を保持した凹部の位置に応じてクリーニング部材の異なる部分をクリーニング面として使用しながら効率的なクリーニングを実現できることに加え、上方向に突出した部分が偏芯しながら回転することでパチンコ球の攪拌能に優れたものとなり、さらにスムースな搬送を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
横回転する球送り回転体の上面側を突出させて下り傾斜面を形成した本発明によると、優れたクリーニング機能を高い処理能力で実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明における実施の形態である遊技機用球磨き装置を示す縦断面図である。
【
図2】
図1の遊技機用球磨き装置の球送り回転体及びその収納ケースの詳細を示すために部分的に拡大し、球送り回転体を外した状態にして示した分解斜視部分図である。
【
図3】
図1の遊技機用球磨き装置の分解斜視図である。
【
図5】
図4の遊技機用球磨き装置を使用している状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図1の遊技機用球磨き装置の応用例による特徴部分を示す部分平面図である。
【
図7】
図1の遊技機用球磨き装置の他の応用例による特徴部分を示す部分平面図である。
【
図8】
図1の遊技機用球磨き装置における球送り回転体の応用例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である遊技機用球磨き装置1を示している。この遊技機用球磨き装置1は、パチンコ台内部における球通路の所定位置に配置され、汚れたパチンコ球を磨いてクリーニングする装置であって、内部に球貯留部20を形成した貯留ケース2と、その底面側に併設した本体ケース4Aと、本体ケース4A内部にモータ6の駆動で横回転するように横置きされた略円盤状の球送り回転体3Aと、この球送り回転体3Aによる球搬送路に併設されて搬送中のパチンコ球の汚れを落とす平板状のクリーニング部材50Aとを備えている。
【0021】
その球送り回転体3Aは、
図2の分解斜視部分図に示すように、本体ケース4Aの上面側で丸く開口した回転体収納部42Aの内周側に挿設されており、周方向に複数の凹部30aを形成された外周面が、回転体収納部42Aの内周面を構成している周壁42aとの間で所定の間隔を保ちながら、所定の速度で横回転するように駆動軸6aで軸支されている。
【0022】
即ち、球送り回転体3Aは、外周側に複数の凹部30aを有する片ボス式のスプロケット状に形成された樹脂成形品であって、その下側部分である歯車状部30Aの上面中央部が円錐状に突出して中心側から外周側に向かう下り傾斜面が形成されたことで上側部分の円錐状部31Aを構成しており、その歯車状部30A外周側の各凹部30aに球貯留部20から落下・進入して保持されたパチンコ球を周方向に搬送するものとしている。
【0023】
そして、この球送り回転体3Aによる平面視C字状(弧状)の球搬送路に沿ってクリーニング面を形成するように、球送り回転体3A下方の本体ケース4A内に、平板状のクリーニング部材50Aが横置きで配設されており、パチンコ球を球送り回転体3Aで搬送しながらクリーニング部材50A上面のクリーニング面に摺接させてクリーニングした後、送出口41aから球送りレール7に落として送出するようになっている。
【0024】
また、その回転体収納部42Aにおける周壁42a内周面の所定位置には、長手方向を深さ方向に沿う向きで半円柱状のボス420が周方向所定間隔で複数個配設されており、各ボス420の先端側面が球送り回転体3Aで搬送されるパチンコ球の側面に接することで、これに横回転を与えるようになっている。
【0025】
図3は、遊技機用球磨き装置1の分解斜視図を示している。その本体ケース4Aは、回転体収納部42Aを有した上ケース40、送出口41を有した下ケースからなり、その側面に形成された開口部を介してクリーニング部材50Aを載せた引き出し板45が側方から挿脱可能な状態で内装されており、クリーニング部材50Aの交換作業が容易に行えるものとしている。
【0026】
尚、上面における所定の部分をクリーニング面50aとして使用するクリーニング部材50Aとしては、繊維を平板状に固めた不織布等の繊維集合体が好適であるが、それを裏返すことでその両面を使用できるものが好ましい。また、このクリーニング部材50Aとこれを載せる引き出し板45には、挿脱操作の際にモータ6の駆動軸6aが干渉しないように、その一辺から中央部に向かって切り欠き45a,50bが各々形成されている。
【0027】
図4は、上述した遊技機用球磨き装置1の平面図を示しており、その球貯留部20は、底面が中央部に向かって僅かな下り傾斜を有しており、最も低い中央部には球送り回転体3Aに一致する位置でその外径よりもやや小さい内径の開口部20aが形成されており、貯留されたパチンコ球がその開口部20aに集まりながら球送り回転体3Aの上に載りやすくなっている。また、その開口部20aの一部が球送り回転体3Aの遠心方向に延長されて球落とし口200が形成されており、この球落とし口200からパチンコ球を落としながら球送り回転体3Aの凹部30a内に導入して保持させるようになっている。
【0028】
次に、前述した
図4とその使用状態を縦断面で示した
図5を用いながら、本実施の形態の機能について詳細に説明する。
【0029】
この遊技機用球磨き装置1においては、
図5に示すようにその球貯留部20内に多数のパチンコ球100が導入・貯留され、その底面側の開口部20aに露出した球送り回転体3Aの円錐状部31A上面にも多数のパチンコ球100載っている。このように積み重なったパチンコ球100の集団の下層側から、パチンコ球100が球落とし口200を介し球送り回転体3Aの凹部30a内に進入して保持され、これがモータ6の駆動で横回転する球送り回転体3Aにより周方向に搬送される。
【0030】
その搬送の際に、保持されたパチンコ球100は、図中右側の凹部30aに進入した位置から平面視周方向(図中左側)の球搬送路で送られるが、球送り回転体3Aの下方に配置したクリーニング部材50Aの上面において、前記球搬送路に沿うように平面視C字状をなすクリーニング面50a(
図4参照)上で、パチンコ球100が転がりながらこれに摺接して表面をクリーニングされる。
【0031】
また、その球送り回転体3Aの円錐状部31Aは、中央側から外周側に向かって下り傾斜面が形成されていることにより、その上に載ったパチンコ球100が重力でその外周側に移動しやすくなっており、球送り回転体3Aの回転動作と相まって、その上に載ったパチンコ球100の集団を崩しながらこれを球落とし口200に導入しやすいものとしている。
【0032】
さらに、
図4に示したように、その円錐状部31Aの下り傾斜面には中心側から遠心方向に延びる4本のリブ31aが形成されており、球送り回転体3Aの回転でリブ31aによる段差も回転移動することから、その上に載ったパチンコ球100の集団の底部側に振動を与える機能を有している。そのため、その振動がパチンコ球100の集団を崩しながら拡散させるように作用して、パチンコ球100のブリッジや偏在を解消しながら、パチンコ球100を球落とし口200にスムースに導入しやすいものとして、100個/分を超えるような高い処理能力も容易に実現することができる。
【0033】
加えて、前述したように、球送り回転体3Aを配設した本体ケース4Aの回転体収納部42Aには、内周面から突出した所定幅の半円柱状のボス420が複数配設されており(
図2参照)、その先端面側が球送り回転体3Aで周方向に搬送されるパチンコ球100の側面に当接しながら、これに横回転を与えるように機能する。
【0034】
即ち、平面視C字状をなすクリーニング面50a上で縦方向に転がりながらクリーニングされる各パチンコ球100が、内周面から突出したボス420に触れることでその回転方向の位相が変位するため、パチンコ球100の表面におけるクリーニング部位の偏りを修正することができ、効率的なクリーニングを実現しやすくなっている。
【0035】
したがって、本実施の形態を使用することにより、貯留したパチンコ球100について優れたクリーニング機能を発揮しながら、高い処理能を確保することができるものである。尚、図示は省略するが、球送り回転体3Aの円錐状部31Aにおいて、リブ31a,31aの間で形成される各下り傾斜面に、平板状のクリーニング部材を貼付してその上に載ったパチンコ球100に対するクリーニング面を形成するようにしてもよく、これによりパチンコ球100の搬送に伴う回転動作で前記クリーニング面が上に載ったパチンコ球100に摺接しながらクリーニングが行われ、一層優れたクリーニング機能を実現可能なものとなる。
【0036】
図6は、前述した遊技機用球磨き装置1の応用例による特徴部分を示している。この例では、本体ケース4Aの回転体収納部42Aの内周側に配置した半円柱状のボス420を周方向の幅を拡大してなるボス421としながらその配置間隔を拡大してなる回転体収納部42Bを備えた本体ケース4Bとし、且つ、球送り回転体3A外周側の凸部の平面視形状について、その回転方向後面側を先端側に向かうに従い後方に傾斜させてなる球送り回転体3Bとした点を特徴としている。
【0037】
これにより、球送り回転体3Bが回転することで前記斜面によりパチンコ球100を遠心方向に付勢することになり、ボス421,421の間の部分ではパチンコ球100が最も外側の内周面に沿って進み、次のボス421の位置でその側端側の斜面を登って最も内側のボス421の先端面に沿って進むことになる。即ち、パチンコ球100はクリーニング部材50Aの上面で遠心方向に往復しながら周方向に進むことになって、その回転方向の位相をさらに変更しやすいものとなる。
【0038】
図7は、前述した遊技機用球磨き装置1の他の応用例による特徴部分を示している。この例では、本体ケース4Aの回転体収納部42Aの内径をパチンコ球100の約半径分だけ拡大するとともにボス420をなくした回転体収納部42Cを備えている本体ケース4Cとし、且つ、球送り回転体3B外周側の凸部の平面形状について、回転方向後面側を先端側に向かうに従い前方に傾斜させて鉤状としてなる球送り回転体3Cとした点を特徴としている。
【0039】
これにより、この球送り回転体3Cの凹部30cで保持されたパチンコ球100が、その回転により前記鉤状部分の内側でホールドされるようになっている。また、この例においては、その球送り回転体3Cはモータ6の駆動軸6aがパチンコ球100の約半径分だけ偏芯して接続されており、その偏芯によりその外周側による回転軌道が変動する点も特徴となっている。
【0040】
即ち、この球送り回転体3Cが回転駆動することにより、パチンコ玉100を保持する位置によって異なる軌道のクリーニング面を使用することになり、例えば駆動軸6aに最も近い位置で保持されるパチンコ球100と駆動軸6aに最も遠い位置で保持されるパチンコ球100とでは、球搬送路の軌道にパチンコ球100の直径分のズレが生じるため、クリーニング部材50Aの上面においてより広範囲な部分を使用することができ、クリーニング部材50Aをより長期間に亘って使用することが可能となる。
【0041】
図8は、上述した球送り回転体3Aの応用例としての球送り回転体3Dを示している。この例では、球送り回転体3Aと同形状の部品の中央部分に連結孔300を形成してなる本体部30Dと、角柱310が上下に貫通した傘状のクリーニング部31Bの、2つの別部品で球送り回転体3Dが構成されており、角柱310の下側部分を本体部30Dの連結孔300に嵌入させることにより、クリーニング部31Bが本体部30に対し自在に着脱可能とされている点を特徴としている。
【0042】
そのクリーニング部31Bは、樹脂を傘状に形成した基部312の傾斜した上面に不織布等によるクリーニング部材50Bを貼付又はインサート成形にて設けてなるものであり、球送り回転体3Dを回転させてパチンコ球100を搬送する際に、クリーニング部材50B上に載ったパチンコ球100の表面に摺接しながらこれをクリーニングする機能を発揮することに加え、クリーニング部材50Bによる大きな摩擦力により、その上に載ったパチンコ球100の集団を崩しながらこれを拡散させる機能にも優れたものとなっている。
【0043】
尚、このような構成のクリーニング部31Bは、上述した球送り回転体3B,3Cに対しても同様に適用することも可能であり、同様の機能を発揮することは言うまでもない。例えば、
図7の球送り回転体3Cに適用した場合は、その偏芯機能によりクリーニング部31Bから上方に突出した角柱310が、パチンコ球100の集団の中で回転しながら水平方向にぶれ動くため、パチンコ球100の集団・偏りの解消に一層優れたものとなる。
【0044】
一方、前述した不織布等からなるクリーニング部材50Bを貼付する代わりに、所定のクリーニング部材を、球送り回転体や着脱式のクリーニング部を成形する際に、インサート成形で上述した球送り回転体の突出部上面側や前述した傘状の基部上面側と一体的に成形してもよく、或いは、粉状または短繊維状のクリーニング部材構成要素を所定の樹脂に練り込みながらこれらを上面側に露出させながら1個の樹脂成形品として作成してもよい。
【0045】
以上、述べたように、個々の遊技機に内装する遊技機用球磨き装置について、本発明により、優れたクリーニング機能を高い処理能力で実現できるようになった。
【符号の説明】
【0046】
1 遊技機用球磨き装置、2 貯留ケース、3A,3B,3C,3D 球送り回転体、4A,4B,4C 本体ケース、6 モータ、6a 駆動軸、7 球送りレール、20 球貯留部、20a 開口部、30A,30B,30C 歯車状部、30a,30b,30c 凹部、31A,31B,31C 円錐状部、31a リブ、40 上ケース、41 下ケース、 41a 送出口、42A,42B,42C 回転体収納部、42a,42b,42c 周壁、50A,50B クリーニング部材、100 パチンコ球、200 落下口、420,421 ボス