(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242625
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】固形棒状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/895 20060101AFI20171127BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20171127BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20171127BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20171127BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20171127BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20171127BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20171127BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
A61K8/895
A61K8/25
A61K8/37
A61K8/891
A61K8/58
A61Q1/10
A61K8/19
A61K8/27
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-165678(P2013-165678)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34146(P2015-34146A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 知子
【審査官】
中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−370918(JP,A)
【文献】
特開2001−187712(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/029769(WO,A1)
【文献】
特開2005−126356(JP,A)
【文献】
特開2007−077210(JP,A)
【文献】
特開2002−205910(JP,A)
【文献】
特開2007−269691(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0089498(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0234477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分を15〜35質量%と、吸油量5〜100ml/100gであり、かつ、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料を25〜40質量%と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分を1〜40質量%と、皮膜形成剤とを含有することを特徴とする固形棒状化粧料。
【請求項2】
前記ステアリル変性アクリレートシリコンを固形棒状化粧料全量に対して、1〜10質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の固形棒状化粧料。
【請求項3】
前記吸油量5〜100ml/100g、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜10質量%含むことを特徴とする請求項1又は2記載の固形棒状化粧料。
【請求項4】
前記ゲル化剤がトリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルであり、その含有量が固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜15質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の固形棒状化粧料。
【請求項5】
前記ケイ素を含む揮発成分がデカメチルシクロペンタンシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン酸、ジメチコン及びメチルトリメチコンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の固形棒状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形棒状化粧料に関し、更に詳しくは、折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力に優れると共に、塗布性、経時安定性に優れる固形棒状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アイブロウ、アイライナーなどの固形棒状化粧料としては、結合材として油脂、ロウ、脂肪酸、炭化水素等のワックス類や粘土類と、着色剤及び体質材を混練し、棒状に成形して得られるものである。
この固形棒状化粧料において、近年、塗布性と共に、落下強度、使用中の折れ強度を向上させる目的や、使用感、成形性を向上させる目的で種々の固形棒状化粧料が知られている。
【0003】
例えば、1)落下強度、使用中の折れ強度、使用性に優れた棒状化粧料を提供するために、厚さ0.05〜0.5μm、アスペクト比20〜200の体質顔料を棒状化粧料全量中5〜50質量%含有することを特徴とする棒状化粧料(例えば、特許文献1参照)、2) 高温安定性及び成形性に優れ、しかも使用感が良好な油性化粧料を提供するために、キャンデリラワックスとカルナバワックスの混合物をアルコール類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、芳香族炭化水素類などの有機溶剤から選ばれた1種又は2種以上の溶剤に浸漬し、溶剤抽出分を例えば、減圧蒸留により除去することにより、上昇融点が68〜85℃、DSCによる吸熱域が37〜78℃、かつ、ヨウ素価は8〜18であり、結晶構造が均一で微細である複合ワックスを得て、これを配合してなる、例えば、口紅等の口唇化粧料に好適な油性化粧料(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2の固形棒状化粧料等では、折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力、並びに、塗布性、経時安定性が十分でなく、未だ消費者ニーズに沿う固形棒状化粧料として十分でない点に課題があるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−126356号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2007−77210号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力に優れると共に、塗布性、経時安定性に優れる固形棒状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分と、特定物性となるシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分とを各特定量含有する固形棒状化粧料とすることにより、上記目的の固形棒状化粧料が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分を15〜35質量%と、吸油量5〜100ml/100gであり、かつ、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料を25〜40質量%と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分を1〜40質量%とを含有することを特徴とする固形棒状化粧料。
(2) 前記ステアリル変性アクリレートシリコンを固形棒状化粧料全量に対して、1〜15質量%含むことを特徴とする上記(1)に記載の固形棒状化粧料。
(3) 前記吸油量5〜100g/ml、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜10質量%含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の固形棒状化粧料。
(4) 前記ゲル化剤がトリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルであり、その含有量が固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜15質量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の固形棒状化粧料。
(5) 前記ケイ素を含む揮発成分がデカメチルシクロペンタンシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチコン及びメチルトリメチコンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の固形棒状化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力に優れると共に、塗布性、経時安定性に優れる固形棒状化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の固形棒状化粧料は、少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分を15〜35質量%と、吸油量5〜100ml/100gであり、かつ、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料を25〜40質量%と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分を1〜40質量%とを含有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に用いるワックス成分としては、棒状化粧料に用いられているワックス成分であれば特に限定されず、例えば、セレシンワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、ホホバワックス、カルナバワックス、合成ワックス、脂肪酸エステルなどの少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
【0012】
本発明に用いるステアリル変性アクリレートシリコンは、融点が25〜40℃となるものであり、ワックス成分に含まれるものである。
このステアリル変性アクリレートシリコンを必須成分としたのは、従来のワックス成分に対して、塗布性に優れ、塗布直後に延ばすことも容易となる観点から限定したものであり、この成分を含まない場合には、本発明の配合組成では本発明の効果を発揮することができないものとなる。
【0013】
このステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、15〜35質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは、18〜30%とすることが望ましい。
このワックス成分の合計含有量が15%未満では、固形棒状化粧料の芯としての保形性が困難となり、一方、35%超では、硬すぎて塗布できなくなり、好ましくない。
また、ステアリル変性アクリレートシリコンの含有量は、本発明の効果を好適に発揮せしめる点から、固形棒状化粧料全量に対して、1〜20%、好ましくは、1〜15%、更に好ましくは、5〜15%とすることが望ましい。
【0014】
本発明に用いる顔料としては、例えば、酸化チタン、鉄黒、カーボンブラック、紺青、群青、青色1号、弁柄、黄酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、青色2号、青色404号、赤色201号、赤色202号、赤色220号、赤色102号、赤色104号、黄色4号、黄色4号Alレーキ等の顔料や、光輝性顔料である、パール顔料、アルミニウム粉顔料、金属又は金属酸化物コーティングガラスフレーク、アルミコーティングポリエステルフイルムなどの少なくとも1種が挙げられる。
この顔料の含有量としては、後述する体質材との合計含有量の範囲内で、好適な量に調整することができ、好ましくは、固形棒状化粧料全量に対して、0.1〜35%、更に好ましくは、10〜30%とすることが望ましい。
【0015】
本発明の固形棒状化粧料に使用される体質材としては、少なくとも、吸油量5〜100ml/100gであり、かつ、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を含むものである。
この物性となるシリカ球状粒子を体質材として用いることにより、折損強度などの機械的強度特性を落とすことなく、肌には柔らかく滑らかな塗布性のある化粧料となり、本発明の効果を発揮せしめるものとなる。
用いることができるシリカ球状粒子としては、上記吸油量、平均粒子径を充足するものであれば、特に限定されず、また、市販品などから選択して用いることができる。
【0016】
本発明(後述する実施例等も含む)において、「吸油量」は、JIS K 5101−13−2:2004に準拠したものであり、「平均粒子径」は、光学顕微鏡または電子顕微鏡による観察による、平板状方向、大径での粒子径を平均粒子径としたものである。
なお、本発明において、上記吸油量及び平均粒子径が上記各範囲外なるシリカ球状粒子では、本発明の効果を発揮できないものとなる。
【0017】
上記物性となるシリカ球状粒子以外に用いることができる体質材としては、従来の固形棒状化粧料に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、セリサイト、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の白色系体質材や、棒状化粧料の色相によっては、有色系の体質材も使用することができ、当然これら数種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、その物性、形状から、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイトなどの少なくとも1種が挙げられる。
【0018】
この顔料及びシリカ球状粒子を含む体質材の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、25〜40%とすることが望ましい。
この顔料及び体質材の合計含有量が25%未満では、固形棒状化粧料の芯としての保形性が困難となり、一方、40%超では、硬すぎて塗布できなくなり、好ましくない。
本発明の効果を更に発揮せしめる点から、上記吸油量、平均粒子径となるシリカ球状粒子の含有量は、好ましくは、固形棒状化粧料全量に対して、0.5〜10%、更に好ましくは、0.5〜8%、特に、1〜5%含むことが望ましい。
【0019】
本発明に用いるゲル化剤は、棒状化粧料の成形性の点から含有せしめるものであり、例えば、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルなどが挙げられる。
このゲル化剤の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、0.5〜15%、更に好ましくは、0.5〜13%とすることが望ましい。
【0020】
本発明に用いるケイ素原子を含む揮発成分は、化粧モチ発現の点から含有せしめるものであり、例えば、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチコンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。好ましくは、デカメチルシクロペンタンシロキサン、メチルトリメチコンが望ましい。
このケイ素原子を含む揮発成分の含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、1〜40%、更に好ましくは、5〜20%とすることが望ましい。
このケイ素原子を含む揮発成分の含有量が1%未満では、効果を発現できず、一方、40%超過では、棒状化粧料としての成形性が悪くなる。
【0021】
更に、本発明の固形棒状化粧料には、前記各成分の他に、好ましくは、油性成分、皮膜形成剤成分などを併用して含有せしめることが望ましく、更に、通常の固形棒状化粧料に用いられる任意成分、例えば、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、ビタミンE(酢酸dl−α−トコフェロール)などの酸化防止剤、美容成分、香料などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0022】
併用することができる油性成分としては、特に限定されるものではなく、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサノイン、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ひまわり油、ひまし油、スクワラン、ラノリンなどを挙げることができる。
この油性成分の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、使用性-滑らかな塗布感付与の点から、0〜15%、更に好ましくは、5〜10%とすることが望ましい。
用いることができる皮膜形成剤成分としては、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーンなどを挙げることができる。この皮膜形成剤成分の合計含有量は、固形棒状化粧料全量に対して、好ましくは、1〜25%、更に好ましくは、5〜20%とすることが望ましい。
【0023】
本発明の固形棒状化粧料は、少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分と、上記物性のシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分とを各所定量用いて混練し、この混練物を常法などによる成形法などにより、直方体状、円柱状、角柱状などの任意の形状・大きさとなる目的の固形棒状化粧料を製造することができる。
【0024】
このように構成される本発明の固形棒状化粧料では、少なくとも、ステアリル変性アクリレートシリコンを含むワックス成分を15〜35%と、吸油量5〜100ml/100gであり、かつ、平均粒子径2〜20nmのシリカ球状粒子を含む体質材及び顔料を25〜40%と、ゲル化剤と、ケイ素原子を含む揮発成分を1〜40%とを含有することにより、折損強度などの機械的強度、塗膜の均一性及び付着力に優れると共に、塗布性、経時安定性に優れた固形棒状化粧料が得られることとなる。
【実施例】
【0025】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0026】
〔実施例1〜5及び比較例1〜5〕
下記表1に示す配合処方の固形棒状化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)をロール分散、溶解充填して調製して、円柱状の各固形棒状化粧料(φ2×60mm)を得た。
【0027】
得られた各固形棒状化粧料について、下記各評価方法により、塗布時の芯の折れ難さ、塗膜の均一性、塗膜の付着力(化粧モチ)、滑らかな使用性(塗布のし易さ)、経時安定性(40℃・3ヶ月)について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0028】
〔塗布時の芯の折れ難さの評価方法〕
得られた各固形棒状化粧料の折損強度を塗布時の折れ難さとして評価した。具体的には、実使用テストを実施して、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:全く問題なく塗布出来、折れたり欠損したりしない。
○:やや硬さ又は脆さを感じる、塗布時僅かに欠損が起こる。
△:硬く脆い、塗布時に欠損が起こりやすい。
×:折れ等が生じ、正常に塗布できない
【0029】
〔塗膜の均一性の評価方法〕
手の平及び各部位(瞼、目の際等)へ塗布し、その状態を観察して、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:均一な塗膜で掠れ等は全く見られない。
○:ほぼ均一な塗膜で掠れ等は視認できない。
△:塗膜面に一部濃淡が見られるか、微細な掠れ等が視認できる。
×:塗膜面にダマ付着、又は、掠れた部分が見られる。
【0030】
〔塗膜の付着力(化粧モチ)の評価方法)
皮膚へ塗布し30秒後に手指を押し当て転写の有無を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:塗布30秒後、塗布面からの転写が全く見られない。
○:塗布30秒後、塗布面から半分未満の面積の転写が見られた。
△:塗布30秒後、塗布面から半分以上の面積の転写が見られた。
×:塗布30秒後、塗布面から概ね同面積の転写が見られた。
【0031】
〔滑らかな使用性(塗布のし易さ)の評価方法〕
手の平及び各部位(瞼、目の際等)へ塗布し、その塗布性を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:全く引っかかりが無く、均一な描線が描ける。
○:滑らかとは言えないが、ほぼ均一な描線が描ける。
△:引っかかりを感じるが、塗布は可能である。
×:折れ等が生じ、均一には塗布できない。
【0032】
〔経時安定性(40℃、3ヶ月経時後の塗布性能)の評価方法〕
40℃で3ヶ月間放置後、取り出した物を室温に一日置き、上記塗膜の付着力(化粧モチ)及び滑らかな使用性(塗布のし易さ)との性能を比較して、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:初期と比べ、遜色なく塗布可能である。
○:初期と比べ滑らかさ等では劣るが、遜色なく塗布可能である。
△:引っかかり等を多く感じるようになり、描線はダマ付着、又は、掠れが見られた。
×:塗布時に折れ等が生じ、塗布できない。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1中の略号*1〜*8は、下記のとおりである。
*1:KP561P(融点25〜35℃、信越化学社製)
*2:クロダランSWL(融点30〜38℃、クローダジャパン社製)
*3:SMARTWAX(融点80〜86℃、日本ナチュラルプロダクツ社製)
*4:キャンデリラロウ炭化水素(融点60〜70℃、日本ナチュラルプロダクツ社製)
*5:タロックスBL−100(大東化成工業社製)
*6:マイカ5500(脇田工業社製)
*7:シリカマイクロビードP−1500(日揮触媒化成社製)
*8:シリカマイクロビードL−1500(日揮触媒化成社製)
【0035】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜5の固形棒状化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜5に較べて、塗布時の芯の折れ難さ、塗膜の均一性、塗膜の付着力(化粧モチ)、滑らかな使用性(塗布のし易さ)、経時安定性(40℃・3ヶ月)に優れていることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1はシリカ球状粒子を含有しない場合、比較例2は吸油量、平均粒子径が本発明の範囲外となるシリカ球状粒子を用いた場合、比較例3は、ステアリル変性アクリレートシリコンを用いない場合、比較例4及び5はステアリル変性アクリレートシリコンを含有していてもワックス成分の合計含有量等が本発明の範囲外となる場合であり、これらの場合は塗布時の芯の折れ難さ、塗膜の均一性、塗膜の付着力(化粧モチ)、滑らかな使用性(塗布のし易さ)、経時安定性の全てを満足することができず、本発明の効果を発揮できないことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の固形棒状化粧料では、アイシャドウ、アイライナーなどに好適に用いることができる。