(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242642
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】セッション単位でペアリングを制御するネットワークカラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20171127BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
H04M1/00 V
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-199013(P2013-199013)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-64506(P2015-64506A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】511043437
【氏名又は名称】株式会社コシダカホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】腰▲高▼ 博
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−037148(JP,A)
【文献】
特開2013−037211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00 − 15/06
H04M 1/00
H03J 9/00 − 9/06
H04Q 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに表示装置が接続された複数のカラオケ装置がネットワークで接続されてなり、さらに前記ネットワークを経由して、個々の前記カラオケ装置とカラオケ装置を操作する任意数のリモコン端末装置とを接続し、利用単位を特定するセッションで対応付けるネットワークカラオケシステムであって、
当該カラオケ装置を特定するためのカラオケ装置IDと当該カラオケ装置におけるその時点で有効なセッションIDを含むカラオケ識別情報を出力する、カラオケ装置の映像出力端子に接続された表示装置、及び、既に当該セッションIDを取得済のリモコン端末装置、以外の出力手段を有してなるとともに、
この出力手段は、使用するカラオケルーム情報、当該カラオケルームと当該カラオケ装置の利用開始時間及び/又は利用限度時間を特定する情報及び、カラオケ識別情報を出力することを特徴とするネットワークカラオケシステム。
【請求項2】
前記カラオケ識別情報は少なくとも機械読み取りコードで出力されることを特徴とする前記請求項1記載のネットワークカラオケシステム。
【請求項3】
前記出力手段は、プリンターに印字することを特徴とする前記請求項1乃至2記載のネットワークカラオケシステム。
【請求項4】
前記出力手段は、カラオケ装置に内蔵される表示手段であることを特徴とする前記請求項1乃至2記載のネットワークカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カラオケのリモコンとして使用される多機能携帯端末とカラオケ装置との間のペアリングをカラオケ演奏中でも容易にしたネットワークカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のカラオケシステムは、高機能化が著しく、便利になって来ている反面、操作が複雑になってきており、これに伴いリモコンも高機能化してきている。
特にカラオケルームに設置してある専用のリモコンは、ボタン類が多く使い方がよくわからないなどの問題があった。そのため、使い慣れていないとボタン操作に時間がかかって歌う時間が少なくなってしまうことも多かった。
【0003】
また、通常カラオケルームには、リモコンが少数しかないのが一般的であり、他の人が選曲している間は、リモコンが使用できないという不便さがあった。
【0004】
また、店に設置してあるリモコンは様々な人が操作するため、必ずしも清潔とはいえないという一面もあった。
【0005】
一方で、誰もが携帯電話を持つ時代となり、さらにスマートホン等の普及により、これら携帯電話に各種ソフトウエアを入れて楽しむ人も増えている。スマートホンのソフトウエア開発環境も充実してきており、開発者も増えてきている。
【0006】
そこで、使い慣れた自分の多機能携帯端末等を使ってカラオケの操作を行いたいという要望が生じてきた。またカラオケの専用リモコンは業務用のため高価なものであり、カラオケ店としても、専用リモコンを設置する必要がなくなれば経費の節約になり、またリモコンの盗難防止、保守といった管理作業もなくなるため店にも喜ばれる。
【0007】
そこで、顧客の多機能携帯端末等をカラオケのリモコンとして使用する方法について各社から提案されている他、本出願人からもその具体的方法に関して出願されている。(非特許文献1及び特許文献1及び2参照)
【0008】
しかし、ここで顧客が所有する携帯端末を近距離無線方式によりカラオケのリモコンとして使用させた場合、他の部屋のカラオケ機器を制御してしまわないように、顧客の携帯電話が制御できるカラオケ機器を特定しておく必要がある。
また、たとえばその顧客の使用時間終了後などに店外から携帯電話を操作することにより、店内のカラオケ装置を制御されてしまう虞がある。(
図3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特願2012−226200号
【特許文献2】特願2013−188953号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】iPhone アプリ「デンモクmini」(第一興商)「DAMとつなぐ」操作方法について
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非特許文献1は、携帯端末をカラオケ装置のリモコンとして使用するためにペアリングの方法を説明するものである。これによると、特定のリクエスト番号をカラオケ機器本体、あるいは専用リモコンで楽曲予約と同様に予約入力することで、ペアリングに必要な情報をカラオケ装置に接続された表示装置に表示させ、これを多機能携帯端末で読み取ることでペアリングが実現することとなっている。既に予約が複数入っている場合には、予約曲が全て演奏されたのちに表示されることになり、その間はペアリングが実現しないこととなる。あるいは、すぐに画面にペアリング情報を表示するためには、現在演奏中のカラオケを中断し、割り込み予約をして表示させることとなり、いずれにせよ、カラオケの楽しみを阻害する要素が含まれることとなる。
【0012】
特許文献1は、カラオケ装置と多機能携帯端末のペアリングをセッションに対応づけて実現する方法に関するものである。これによると、ペアリング情報の表示に予約の手順を踏まないものの、カラオケ端末に接続された表示装置にペアリング情報を表示する点では非特許文献1の事例と同様であり、さらにペアリング情報を表示するタイミングとして、セッションを更新した直後を想定しており、表示のためにはそれまでに予約されている予約情報なども消去される仕様となっている。
【0013】
特許文献2は、特許文献1での課題を解消する方法として、既にペアリング済の多機能携帯端末から、ペアリングに必要な情報を取得する方法に関するものである。運用上の課題は概ね解消されているようではあるが、実際には、ペアリング済の多機能携帯端末の所有者が歌唱中であることも想定され、ペアリング情報を取得しようとする利用者としては、やはり歌唱の終了までペアリング情報の取得を待つ必要がある。
【0014】
カラオケのリモコンとして動作する顧客の多機能携帯端末等とカラオケ装置との間のペアリングを、顧客の入室から退室までの間の利用単位(セッション単位)で利用できるようにして、ネットワーク管理を推進しようとしたが、カラオケ利用者は、必ずしも一度に集合せず、後から何名かが合流することがある。
また、特に多機能携帯端末が何らかの障害で一旦ペアリングが解除されることがある。その際、再度ペアリング処理を実行しなければならない。
【0015】
その際、カラオケ演奏を一旦中断して、表示装置にQRコード(登録商標)を再度表示させて、随時ペアリング処理を実行することは、サービス業としてのカラオケルーム運用上好ましくない。
また、既ペアリング済の多機能携帯端末からペアリング情報を取得する場合であっても、ペアリング済の多機能携帯端末の所有者に、情報を表示させる手間が発生し、該当者が歌唱中の場合などはこれを待つ必要がある。
本発明は、これらの点に鑑み、カラオケ演奏中であっても、カラオケ演奏の邪魔をすることなく途中参加者の多機能携帯端末をカラオケのリモコンとして速やかに使えるようにするネットワークカラオケシステムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明の請求項1は、ネットワークカラオケシステムにおいて、複数のカラオケ装置がネットワークで接続されてなり、さらに前記ネットワークを経由して、個々の前記カラオケ装置とカラオケ装置を操作する任意数のリモコン端末装置とを接続し、利用単位を特定するセッションで対応付けるネットワークカラオケシステムとし、当該カラオケ装置を特定するためのカラオケ装置IDと当該カラオケ装置におけるその時点で有効なセッションIDを含むカラオケ識別情報を出力する、カラオケ装置の映像出力端子に接続された表示装置、及び、既に当該セッションのIDを取得済のリモコン端末装置、以外の出力手段を有してなるものである。
【0017】
特に請求項1では、出力手段が使用するカラオケルーム情報、当該カラオケルームと当該カラオケ装置の利用開始時間及び/又は利用限度時間を特定する情報及び、利用可能なセッションIDを含むカラオケ識別情報を出力するようにしたものである。
【0018】
さらに請求項2では、セッションID、カラオケ識別情報は少なくとも機械読み取りコード、例えばQRコード(登録商標)で出力されるようにした。
【0019】
請求項3は、出力手段は、受付に設置されたプリンターで印字するようにしたものである。
【0020】
請求項4は、出力手段を、カラオケ装置本体に内蔵した表示手段で構成したものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、カラオケ利用メンバーの何名かが遅れて入店したり、再度ペアリングを行う場合があっても、各自携帯する多機能携帯端末とカラオケ装置とのペアリングに際し、カラオケ装置の映像出力端子に接続された歌詞等を表示している表示装置にではなくカラオケ装置に内蔵された表示手段に表示された、あるいは、カラオケルーム利用伝票に印字されたペアリング情報を読み取ることで、ペアリング処理がカラオケ演奏を中断することなく簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例を示すネットワーク接続を示す説明図。
【
図2】本発明の一実施例を示す運用フローを示す説明図。
【
図3】短距離無線通信手段によるネットワークを説明する概念説明図。
【
図4】本発明の一実施例を示すカラオケルームの受付カウンタ説明図。
【
図5】本発明の一実施例を示すカラオケルーム利用伝票の説明図。
【
図6】本発明の一実施例を示す運用フローを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例では、カラオケ装置1のリモコンとなる多機能携帯端末4による制御を利用単位で許可するためのセッションIDを更新・発行することで、セッションの異なる利用者の多機能携帯端末からは当該カラオケ装置の制御ができなくしている。
セッションIDの更新は、発行から一定時間を以て行ったり、カラオケ利用終了時刻を以て行うほか、カラオケ装置にセッション切替受付手段を設けて、カラオケ装置の利用終了時に手動で行うなどの方法が考えられる。
【0027】
次に
図1のネットワーク接続図によって、本発明の多機能携帯端末4とカラオケ装置1の接続技術を説明する。
店舗内にはセンターからの通信回線と接続するルータ5があり、ルータ5にはアクセスポイント8を経由して無線の受付端末装置2と、カラオケ室のカラオケ装置1が接続されている。またリモコンとなる多機能携帯端末4がアクセスポイント9を経由してルータ5に接続されている。
顧客はカラオケ利用開始時に、セッションIDを含むカラオケ識別情報を受け取り自ら保有する多機能携帯電話4に読み込ませる。その上で顧客は、自分の多機能携帯端末4と当該カラオケ装置1との間でペアリングを行い、当該多機能携帯端末4は当該カラオケ装置1専用のリモコン装置となり、当該カラオケ装置1を制御できるようになる。
カラオケの利用が終了したときには、店員はカラオケ室のカラオケ装置1または受付端末装置2を操作することにより、セッションIDを更新し、顧客の多機能携帯端末4とカラオケ装置1とのペアリングはリセットされるので、もはや顧客の多機能携帯端末4では、店のカラオケ装置1を制御できなくなる。
【0028】
特に、本発明では受付端末装置2に接続された出力手段として印字装置13が設けられ、これから使用するカラオケ装置1とネットワークを通じて接続されて、セッションIDに基づくコード情報をQRコード(登録商標)で印字できるようになっている。印字されたカラオケ利用伝票14には、これから使用するカラオケルーム情報21、カラオケルーム利用単位情報として、例えば利用限度時間22、カラオケ識別情報としての機械読み取りコード23が印字されるようになっている。
【0029】
カラオケ利用伝票14は、このように印字装置13で印字しておくことでカラオケ装置での歌唱が始まってしまった場合に、歌唱を妨げず、ペアリングをしていないリモコン装置(多機能携帯端末4)がこのカラオケ利用伝票14から、ペアリング情報をいつでも取得できる。
【0030】
次に
図2で、運用フローを示す説明図に基づいて本発明のネットワークカラオケシステムにおけるカラオケ装置1の利用状態を説明する。
(ステップ51)カラオケ店開店時、カラオケ装置1の電源が投入される。
(ステップ52)セッションIDが生成され、顧客の入店を待つ初期状態(ステップ53)となる。
(ステップ54)顧客によるカラオケ装置1の利用が開始される際に、顧客が使用する「セッションID」[カラオケ識別情報]が通知される。これはたとえばカラオケ装置1に接続された表示装置6にQRコード(登録商標)のような形で表示される。
(ステップ55)顧客は自分の多機能携帯端末4のカメラ機能などでQRコード(登録商標)等を撮影し使用するカラオケ装置1の情報を受け取る。
(ステップ56)顧客は自分の多機能携帯端末4を操作することにより、多機能携帯端末4とカラオケ装置1とのペアリングを実施し、カラオケ装置1と顧客の多機能携帯端末4が紐付く。
(ステップ57)ペアリングの完了により、顧客の多機能携帯端末4を一時的に割り当てられたカラオケ装置1の専用リモコンとすることができ、カラオケ装置1の利用が可能となる。
(ステップ58)顧客のカラオケ装置1の利用が終了し、退室する。
(ステップ59、62)閉店の場合はここでカラオケ装置1の電源をオフにする。
(ステップ59、61)閉店でない場合はセッションが終了(セッションIDは無効にされる)し、同時に顧客の多機能携帯端末4とカラオケ装置1とのペアリングは解除され、これ以降は顧客の多機能携帯端末4ではカラオケ装置1の操作は不可能となり、また、新たなセッションIDが生成され、次の顧客入室を待機する初期状態(ステップ53)となる。
【0031】
図2のフローでは、セッションIDを含むカラオケ識別情報を、利用を予定するカラオケ装置1に接続された表示装置6に機械読み取り用のコード情報として出力するようにしていたが、
図4、
図5では、ネットワークを経由して受付端末装置2で発行するカラオケ利用伝票14にカラオケ識別情報を印字する実施例を示している。これにより顧客が多機能携帯端末4にあらかじめ設けられている公知の各種のバーコード読み取り装置で読み取れるものであり、以下にそのフローを
図6に基づいて説明する。
【0032】
(ステップ101)カラオケ店開店時、受付端末装置2の電源が投入される。
(ステップ102)受付で利用者の利用時間を聞き、利用時間を入力する。
(ステップ103)受付担当者は、空いているカラオケルームを指定する。
(ステップ104)指定したカラオケルーム12に設置しているカラオケ装置1の本利用に対するセッションIDをネットワークを介して受信する。
(ステップ105)受付端末装置2に接続された印字装置13でカラオケルーム情報21、利用限度時間を特定する情報22、セッションIDなどが含まれたQRコード(登録商標)からなる機械読み取りコード23を印字したカラオケ利用伝票14を発行する。
(ステップ106)受付を継続する場合はステップ102に戻る。終了する場合は、ステップ108を経て閉店する。
【0033】
上記実施例において、利用限度時間を特定する情報22は、「終了予定時間」を表示したが、必ずしも「終了予定時間」ではなく、「利用開始時間」であっても良い。例えば利用者がカラオケルーム12を2時間で予約した際、「利用開始時間」が表示されていれば、利用者は、それにより利用限度時間22を特定できることになる。
【0034】
さらに、切替受付手段によるセッションIDは、各カラオケ装置1側で生成して、受付端末装置2間で通信をしながら共有しているが、このセッションIDを受付端末装置2で生成して、各カラオケ装置1に供給しても良いことはいうまでもない。
【0035】
本発明による請求項4による実施例を説明すると、通常カラオケは、カラオケ装置1の映像出力端子に接続された大画面の表示装置6で背景映像や歌詞などを表示して演奏するようになっている。そこで、カラオケ演奏を妨げないように、カラオケ装置1の外周部分に小型の表示手段からなる出力手段を設け、随時必要なタイミングで、有効なセッションIDを含むカラオケ識別情報を出力するようにしてもよい。こうすることで、カラオケ演奏を妨げることなくカラオケ装置1と多機能携帯端末4とのペアリング処理が随時簡単に行える。
【産業上の利用可能性】
【0036】
カラオケの利用に際して、特定のカラオケ装置の利用単位毎に個別のセッションIDが発行され、ペアリングを制御するので、確実に機器の制御が行え、誤って、あるいは故意に接続するべきカラオケ装置以外のカラオケ装置を制御することがなく、また対象のカラオケ装置であっても正規の利用単位が終了した後には制御することができずセキュリティも確実に保たれる。特に本発明では、ペアリングのためのセッションIDを含むカラオケ識別情報が、ネットワークカラオケシステムによる印字装置やカラオケルーム利用伝票、あるいは、カラオケ装置に内蔵された表示手段によって、提供されるので、カラオケ装置とカラオケリモコンとなる多機能携帯端末とのペアリング処理が、カラオケ利用(演奏)が始まったあとでも随時容易に行え、利用者の利便性を高めたカラオケシステムが提供できる。
【符号の説明】
【0037】
1…カラオケ装置
2…受付端末装置
4…多機能携帯端末
5…ルータ
6…表示装置
7…ハブ
8…アクセスポイント
9…アクセスポイント
11…店舗
12…カラオケルーム
13…印字装置
14…カラオケ利用伝票
21…カラオケルーム情報
22…利用限度時間
23…機械読み取りコード