(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図4に基づいて詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、プラズマ溶解装置を構成するルツボ11は、同一形状を有する一対のルツボ11a、11bにより形成されている。一対のルツボ11a、11bは、連結体12により180度対向する位置に連結され、連結体12の中央に回転軸13を有する移動機構としての回転機構14によりルツボ11が溶解位置M(
図1の右側位置)と非溶解位置N(
図1の左側位置)とを取り得るように水平面内で回転可能に構成されている。前記回転機構14は、電源15からリード線16が接続された図示しないモータ等の駆動源により、前記回転軸13を回転させるようになっている。
【0017】
図3に示すように、被溶解物19又は溶湯17が収容されるルツボ11は有底筒状に形成されるとともに、その周壁18の下部は断面円弧状(断面半円状)に形成され、ルツボ11の周壁18内面がプラズマ28の照射位置である溶湯17表面の中心位置から同心円上に形成されている。このような構成により、ルツボ11内の被溶解物19に均等にプラズマ28が照射され、溶湯17の均等な温度上昇を図るようになっている。
【0018】
前記被溶解物19としては、アルミニウム、チタン、銅、亜鉛等の金属が用いられるが、工具鋼等の特殊鋼、ニッケルコバルト鋼等の超合金、酸化アルミニウム等の高融点金属等も用いられる。被溶解物19の使用量は少量であることが望ましく、本実施形態では例えば0.1〜3kgが好ましく、0.2〜2kgがさらに好ましい。被溶解物19の使用量が0.1kgより少量の場合には、被溶解物19が過少であり、プラズマ溶解装置による被溶解物19の溶解効率が悪くなって好ましくない。その一方、被溶解物19の使用量が3kgより多量の場合には、被溶解物19の溶解に必要なエネルギーを抑え、プラズマ電力量の抑制を図ることが難しくなる。
【0019】
図1に示すように、前記溶解位置Mにおけるルツボ11の上方にはプラズマトーチ20が上下動可能に配置され、そのプラズマトーチ20には電源15から電力供給用の接続線21が接続されるとともに、アルゴンガスボンベ22からアルゴンガス管23が接続されている。また、プラズマトーチ20の上部には、クーリングタワー24からポンプ25を介して冷却管26が接続され、プラズマトーチ20の上部を冷却するようになっている。なお、クーリングタワー24に代えて、チラー(冷凍機)等を用いることもできる。
【0020】
そして、溶解位置Mにおいて、プラズマトーチ20の下端部の照射口27からルツボ11内の被溶解物19に向けてプラズマ28を照射して、ルツボ11内の被溶解物19を溶解して溶湯17を形成できるように構成されている。なお、プラズマトーチ20の下部には、ルツボ11の開口部を覆うようにフード29が配置され、上方へのプラズマ28の拡散と放熱及びプラズマ光を遮蔽するようになっている。また、ルツボ11の周壁18の下部には熱電対30が取付けられ、ルツボ11の温度を測定できるようになっている。
【0021】
前記非溶解位置Nにおけるルツボ11には、被溶解物19としての金属が計量されて載置された受け皿31から、金属がルツボ11内に投入されるように構成されている。また、ルツボ11の下方位置には溶湯17の排出部32が設けられ、ルツボ11の底部に設けられた排出孔33を介して、ルツボ11内の溶湯17を排出部32に導くように構成されている。なお、排出部32には図示しないコックが設けられ、そのコックを開くことによりルツボ11内の溶湯17を排出孔33から排出部32に導くようになっている。
【0022】
前記排出部32の開口の側方位置には断面U字状に構成された溶湯受け34が配設され、排出部32に流出した溶湯17を受け取るように構成されている。この溶湯受け34は回動軸35により回動可能に構成され、溶湯受け34を回動させて受け取った溶湯17をダイカストマシーン等の溶湯17を必要とする装置に注湯できるようになっている。
【0023】
なお、前記非溶解位置Nにおいては、ルツボ11内の溶湯17中に含まれる金属酸化物の不純物の除去等を行う図示しない機構等が設けられている。
本実施形態のプラズマ溶解装置は、一対のルツボ11a、11b、移動機構としての回転機構14、プラズマトーチ20等により構成されている。
【0024】
図4は、ルツボの温度(℃)とプラズマトーチ20のプラズマ電力量(kWh)との関係を示すグラフである。この
図4において、実線は測定点○印に基づくもので、被溶解物19が1kgの場合において、ルツボ11の温度を考慮したときの、ルツボ11の温度とプラズマ電力量との関係を示すグラフである。破線は測定点●印に基づくもので、被溶解物19が0.8kgの場合において、ルツボ11の温度を考慮したときの、ルツボ11の温度とプラズマ電力量との関係を示すグラフである。ルツボ11の温度を考慮することにより、ルツボ11のもつエネルギーの分だけプラズマ電力量を抑制することができる。そして、
図4に示す実線と破線の直線が所定の被溶解物19量において、ルツボ11の温度を考慮したときの検量線となる。
【0025】
一方、
図4において、一点鎖線は、被溶解物19が1kgの場合において、ルツボ11の温度を考慮しないときのルツボ11の温度とプラズマ電力量との関係を示すグラフであり、二点鎖線は、被溶解物19が0.8kgの場合において、ルツボ11の温度を考慮しないときのルツボ11の温度とプラズマ電力量との関係を示すグラフである。
【0026】
この
図4に示したように、被溶解物19が1kgの場合には、一定のルツボ11の温度において、ルツボ11の温度を考慮した場合と考慮しなかった場合では、プラズマ電力量にはΔxの差がある。また、被溶解物19が0.8kgの場合には、一定のルツボ11の温度において、ルツボ11の温度を考慮した場合と考慮しなかった場合では、プラズマ電力量にはΔyの差がある。
【0027】
ここで、被溶解物19を溶解できる必要最小限のエネルギーについて説明する。
被溶解物19を溶解できる必要最小限のエネルギーQ1は次式で表される。
Q1=一定電流(I)×一定電圧(E)×加熱時間(t)×係数f1〔被溶解物の質量(w)に基づく係数〕
本実施形態では、少量の被溶解物19をプラズマ28の大きなエネルギーで溶解することから、プラズマ28のエネルギーのわずかの増大により溶湯温度が急に上昇して溶湯品質の劣化を招く。このため、ルツボ11の温度を加味して、必要最小限の補正エネルギーQ2を算出する。この補正エネルギーQ2は次式で表される。
【0028】
Q2=一定電流(I)×一定電圧(E)×加熱時間(t)×係数f1〔被溶解物の質量(w)〕+f2〔被溶解物の質量(w)とルツボの温度(T)に基づく係数〕
例えば、I=500A、E=85V、t=30秒の場合、被溶解物19の質量(w)とルツボ11の温度(T)とは次のような関係を有する。
【0029】
Q1=D×w
Q2=−〔(A×w+B)/C〕×T+D×w+E
このQ2における係数A、B、C、D及びEを、前記
図4の検量線に合うようにして求めると、A=1.05、B=0.03、C=800、D=1.40、E=0.18となる。
【0030】
例えば、
図4において、被溶解物19の質量が1kgで、ルツボ11の温度が500℃の場合には、Q2=−〔(1.05×1+0.03)/800〕×500+1.40×1+0.18である。これを計算すると、Q2=0.91である。このため、プラズマ電力量は0.91kWhで済むことになる一方、ルツボ11の温度を考慮しない場合には
図4に示す一点鎖線よりプラズマ電力量は1.7kWhである。従って、それらのプラズマ電力量の差を示すΔxは約0.8kWhであり、ルツボ11の温度すなわちルツボ11の持つエネルギーを考慮することにより、過大なエネルギー照射を抑え、大幅なエネルギーの節約を図ることができる。
【0031】
また、
図4において、被溶解物19の質量が0.8kgで、ルツボ11の温度が500℃の場合には、Q2=−〔(1.05×0.8+0.03)/800〕×500+1.40×0.8+0.18である。これを計算すると、Q2=0.76である。このため、プラズマ電力量は0.76kWhで済むことになる一方、ルツボ11の温度を考慮しない場合には
図4に示す二点鎖線よりプラズマ電力量は1.3kWhである。従って、それらのプラズマ電力量の差を示すΔyは約0.54kWhであり、ルツボ11の温度つまりルツボ11の持つエネルギーを考慮することにより、過大なエネルギー照射を抑制し、エネルギーの節約を図ることができる。
【0032】
次に、以上のような構成を有するプラズマ溶解装置を用いたプラズマ溶解方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態のプラズマ溶解方法は、まず非溶解位置Nに位置するルツボ11bに被溶解物19を投入する。続いて、回転機構14を駆動し、そのルツボ11bを、回転軸13を中心にして
図2の反時計方向に180度回転させ、溶解位置Mに移動させる。その溶解位置Mにおいて、プラズマトーチ20により、ルツボ11b内の被溶解物19に対してプラズマ28を照射し、被溶解物19を溶解して溶湯17を形成する。
【0033】
次いで、そのルツボ11bを回転機構により
図2の反時計方向に180度回転させて非溶解位置Nに移動させる。その非溶解位置Nにおいて、コックを回転して開き、ルツボ11b内の溶湯17を、ルツボ11b底部の排出孔33から排出部32へ排出する。そして、排出部32内の溶湯17を溶湯受け34に受け、ダイカストマシーン等に供給する。
【0034】
なお、金属酸化物の除去等の操作は、非溶解位置Nに位置するルツボ11b内の溶湯17に対して行う。従って、ルツボ11の溶解位置Mにおいては、プラズマ28による被溶解物19の溶解のみを行い、その他の被溶解物19のルツボ11への供給、ルツボ11内の溶湯17の排出部32への排出、ルツボ11内の溶湯17から金属酸化物の除去等の操作は全て非溶解位置Nにおいて行う。
【0035】
その後、非溶解位置Nに位置するルツボ11内の溶湯17が排出されて空になったルツボ11内に被溶解物19が投入され、前述と同じ操作が繰り返し行われる。この場合、ルツボ11は溶湯17によって加熱されており、その予熱温度に基づいて、ルツボが溶解位置Mに到ってプラズマトーチ20によりプラズマ28が照射されるとき、プラズマ照射量を抑えることができる。
【0036】
これらの各工程のうち、最も時間を要する工程はプラズマ28による被溶解物19の溶解であることから、その工程のみを、ルツボ11の溶解位置Mにおいて実施し、その他の操作を全て、ルツボ11の非溶解位置Nにおいて実施するように構成した。よって、工程全体として、被溶解物19のプラズマ溶解を、最も短時間に効率良く行うことができる。
【0037】
前記溶解位置Mに位置する、ルツボ11内の被溶解物19にプラズマトーチ20からプラズマ28を照射して被溶解物19を溶解する場合、ルツボ11を予熱し、そのルツボ11の予熱温度とプラズマ電力量との関係を表す検量線に基づいて、プラズマ電力量を設定する。
図4に示したように、ルツボ11の温度を考慮してプラズマトーチ20から照射するプラズマ電力量を設定することにより、少量の被溶解物19に対して過剰なプラズマ照射を抑えて、溶湯温度の過昇温や溶湯品質の劣化を抑制することができると同時に、プラズマ電力量を大幅に減少させることができる。
【0038】
次に、上記のように構成されたプラズマ溶解装置及びそれを用いたプラズマ溶解方法について作用を説明する。
さて、アルミニウム等の被溶解物19にプラズマ28を照射して溶解し、溶湯17を形成する場合には、
図2に示すように、まず非溶解位置Nにあるルツボ11b内に被溶解物19を投入する。引き続いて、回転機構14を駆動し、そのルツボ11bを、回転軸13を中心にして
図2の反時計方向に180度回転させ、溶解位置Mに移動させる。このとき、他方のルツボ11aは、溶解位置Mから非溶解位置Nへ移る。
【0039】
図1及び
図2に示すように、前記溶解位置Mにおいて、プラズマトーチ20により、ルツボ11b内の被溶解物19に対してプラズマ28を照射し、被溶解物19を溶解して溶湯17を形成する。このとき、プラズマトーチ20によるプラズマ電力量は、ルツボ11bの予熱を利用することにより、格段に抑制することができる。必要最小限のプラズマ電力量は、
図4に示すような、ルツボ11bの温度とプラズマ電力量との関係について、検量線を作成しておくことにより求めることができる。
【0040】
例えば、必要最小限のプラズマ電力量を求めるための補正エネルギーQ2は、次式で表される。
Q2=一定電流(I)×一定電圧(E)×加熱時間(t)×係数f1〔被溶解物の質量(w)〕+f2〔被溶解物の質量(w)とルツボの温度(T)に基づく係数〕
そして、例えばI=500A、E=85V、t=30秒、w=1kg、T=500℃とし、
図4に示す検量線に基づいて係数を算出し、Q2を求めると、ルツボ11bの温度を考慮した場合には、ルツボ11bの温度を考慮しない場合に比べて、プラズマ電力量を53%に低減させることができる。
【0041】
また、I=500A、E=85V、t=30秒、w=0.8kg、T=500℃とし、
図4に示す検量線に基づいて係数を算出し、Q2を求めると、ルツボ11bの温度を考慮した場合には、ルツボ11bの温度を考慮しない場合に比べて、プラズマ電力量を58%に低減させることができる。
【0042】
一方、前記非溶解位置Nにあるルツボ11aには、被溶解物19が投入される。
その後、そのルツボ11bを回転機構14により
図2の反時計方向に180度回転させて非溶解位置Nに移動させる。その非溶解位置Nにおいて、コックを回転して開き、ルツボ11b内の溶湯17を、ルツボ11b底部の排出孔33から排出部32へ排出する。そして、排出部32から排出された溶湯17を溶湯受け34に受け、ダイカストマシーン等に供給することができる。
【0043】
一方、他方のルツボ11aは非溶解位置Nから溶解位置Mに移り、その溶解位置Mにおいて、ルツボ11a内の被溶解物19にプラズマトーチ20からプラズマ28が照射される。
【0044】
このように、最も時間を要するプラズマ28による被溶解物19の溶解工程のみを、ルツボ11の溶解位置Mで実施し、その他の操作を全て、ルツボ11の非溶解位置Nで実施するように構成されていることから、被溶解物19のプラズマ溶解を、溶湯17の品質を良好に維持しながら、極めて短時間に効率良く実施することができる。従って、ダイカストマシーン等に金属の溶湯17を速やかに供給することができる。
【0045】
以上詳述した実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態のプラズマ溶解装置は、一対のルツボ11a、11bと、それら一対のルツボ11a、11bを溶解位置Mと非溶解位置Nとに移動させる回転機構14と、溶解位置Mにおいて、被溶解物19にプラズマ28を照射して被溶解物19を溶解するプラズマトーチ20とを備えている。そして、溶解位置Mにおいてプラズマトーチ20により被溶解物19を溶解して溶湯17を形成し、非溶解位置Nにおいて被溶解物19の溶解以外の操作を行うようになっている。
【0046】
このため、非溶解位置Nにあるルツボ11に被溶解物19を供給し、そのルツボ11を回転機構14で回転させて溶解位置Mに到ったルツボ11内の被溶解物19にプラズマ28を照射して溶湯17を形成することができる。その後、そのルツボ11を回転機構14により回転させて非溶解位置Nに移動させ、そこでルツボ11から溶湯17を排出することができる。このように、ルツボ11の溶解位置Mで最も時間を要するプラズマ溶解のみを実施し、ルツボ11の非溶解位置Nでその他の操作を行うことができるため、被溶解物19のプラズマ溶解を迅速に進めることが可能となり、溶湯17の供給を促進させることができる。
【0047】
従って、本実施形態のプラズマ溶解装置によれば、被溶解物19の計量から溶湯17の排出に到るまでに要する時間を短縮することができ、溶湯17を必要とする装置への溶湯17の供給を速やかに行うことができるという優れた効果を奏する。加えて、溶湯17を加熱状態に保持しておくことなく、必要なときに必要な量の溶湯17をダイカストマシーン等の装置に供給することができ、エネルギーの節約を図ることができる。
(2)前記移動機構は、回転軸13を中心にして回転する回転機構14である。このため、簡易な構成で、複数のルツボ11の配置スペースを効率良く設定することができるとともに、被溶解物19のプラズマ溶解を円滑に行うことができる。
(3)前記複数のルツボ11は、溶解位置Mに配置されるルツボ11と、非溶解位置Nに配置されるルツボ11との一対のルツボ11a、11bで構成されている。従って、2つのルツボ11a、11bを使用して、被溶解物19の溶解操作とその他の操作とを分離して交互に進めることができる。
(4)前記ルツボ11は、被溶解物19の溶湯17の収容部分が断面円弧状に形成されている。そのため、ルツボ11内に収容される被溶解物19に対してプラズマ28を均等に照射することができ、溶湯17の温度均一性を向上させることができる。
(5)前記溶解位置Mに配置されるルツボ11には、その開口部を覆うフード29が配置されている。このため、ルツボ11から上方へのプラズマ28の拡散と放熱及びプラズマ光を遮蔽することができる。
(5)前記プラズマ溶解方法は、非溶解位置Nのルツボ11に被溶解物19を収容し、そのルツボ11を回転機構14で溶解位置Mに移動させて被溶解物19にプラズマ28を照射し、溶湯17を形成した後、そのルツボ11を回転機構14で非溶解位置Nに移動させ、ルツボ11内の溶湯17を排出するものである。よって、ルツボ11の回転により、一対のルツボ11a、11bを溶解位置Mと非溶解位置Nとに交互に移動させることができ、被溶解物19のプラズマ溶解を円滑に進めることができる。
【0048】
従って、プラズマ溶解方法によれば、簡単な操作で被溶解物19のプラズマ溶解を進めることができるとともに、被溶解物19の計量から溶湯17の排出までに要する時間を短縮することができ、溶湯17を必要とする装置への溶湯17の供給を速やかに行うことができる。
(6)前記ルツボ11を予熱し、そのルツボ11の予熱温度とプラズマ電力量との関係を表す検量線に基づいて、プラズマ電力量を設定する。従って、被溶解物19に対して過剰なプラズマ照射を抑えることができ、溶湯温度の過昇温及び溶湯品質の劣化を抑制することができるとともに、エネルギーの節約を図ることができる。
(7)前記被溶解物19は、0.1〜3kgの少量である。このため、少量の被溶解物19をプラズマ溶解する場合に、得られる溶湯17の品質を良好に維持しながらプラズマ溶解を進めることができる。
【0049】
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・
図5に示すように、ルツボ11の数を3つにし、それらのルツボ11a、11b、11cを周方向に120度間隔をおいて配置されるように、連結体12により連結してもよい。この場合には、第1非溶解位置N1に位置するルツボ11bに被溶解物19を投入し、溶解位置Mに位置するルツボ11aに収容されている被溶解物19に対してプラズマトーチ20からプラズマ28を照射し、第2非溶解位置N2に位置するルツボ11cに収容された溶湯17を排出部32から排出するように構成する。このように構成することにより、ルツボへ11の被溶解物19の投入操作と、ルツボ11からの溶湯17の排出操作とを分けることができ、各操作をそれぞれ容易に行うことができるとともに、ルツボ11の取扱性を向上させることができる。
【0050】
なお、ルツボ11の数を4つにし、それらのルツボ11を周方向に90度間隔をおいて配置されるように、連結体12により連結してもよい。この場合には、非溶解位置Nを、被溶解物19をルツボ11に投入する第1非溶解位置、溶湯17中の金属酸化物を除去する第2非溶解位置及び溶湯17を排出部32から排出する第3非溶解位置に分けることができる。
【0051】
・前記移動機構として、往復動機構を採用してもよい。すなわち、
図6に示すように、一対のルツボ11a、11bを、180度対向する位置に配置されるように連結体12で連結し、図示しない駆動源によりその連結体12の延びる方向に移動可能に構成する。そして、第1非溶解位置N1(
図6左端位置)にあるルツボ11bに被溶解物19を投入し、そのルツボ11bを溶解位置M(
図6の中央位置)まで移動(往動)させ、その溶解位置Mでプラズマトーチ20からプラズマ28をルツボ11b内の被溶解物19に照射して溶湯17を形成する。
【0052】
このとき、溶解位置Mにあったルツボ11aは、第2非溶解位置N2(
図6の二点鎖線で示す右端位置)に移動する。そして、この第2非溶解位置N2にあるルツボ11aに被溶解物19を投入する。その後、溶湯17が収容されたルツボ11bを元の第1非溶解位置N1まで戻すように移動(復動)させ、その第1非溶解位置N1で溶湯17を排出部32に排出する。このとき、第2非溶解位置N2のルツボ11aは溶解位置Mに移動し、その溶解位置Mにおいて被溶解物19がプラズマ溶解される。
【0053】
・前記実施形態における一対のルツボ11a、11bを、回転機構14により垂直面内で回転するように構成することも可能である。