特許第6242669号(P6242669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242669サルナシ抽出物を含有するヒアルロン酸生成促進剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242669
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】サルナシ抽出物を含有するヒアルロン酸生成促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20171127BHJP
   A61K 36/18 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20171127BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20171127BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20171127BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20171127BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20171127BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61K36/18
   A61P43/00 105
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P19/06
   A61Q19/10
   !C12N15/00 AZNA
   !A23L33/10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-244766(P2013-244766)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-101575(P2015-101575A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】幅 愛実
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 勉
(72)【発明者】
【氏名】山羽 宏行
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−222625(JP,A)
【文献】 特表2010−500282(JP,A)
【文献】 特開2008−024664(JP,A)
【文献】 特表2003−501381(JP,A)
【文献】 特開2001−220344(JP,A)
【文献】 特開2002−145754(JP,A)
【文献】 特開2004−002458(JP,A)
【文献】 特表2008−531584(JP,A)
【文献】 特開2006−249101(JP,A)
【文献】 KIM, Jin Gook,Varietal differences in phenolic content and astringency in skin and flesh of hardy kiwifruit resources in Japan,Scientia Horticulturae,2009年,Vol. 120,p. 551-554
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61K 36/00−36/05
A61K 36/07−36/9068
A61P 1/00−43/00
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルナシの果実の水抽出物を含有することを特徴とするヒアルロン酸生成促進剤。
【請求項2】
サルナシの果実の水抽出物を含有することを特徴とする、変形性関節症、慢性関節リウマチ、化膿性関節炎及び痛風性関節炎の予防又は改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸生成促進作用に優れた新規な外用剤又は内用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は結合組織に広く分布する高分子多糖体として知られており、真皮中でゲル状の形態を呈し、肌の弾力を維持している。従って、ヒアルロン酸の変質や減少が皮膚老化において重要であると考えられている。また、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを配合した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこで、これまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのヒアルロン酸の合成を促進させることができる皮膚外用剤が模索されてきた(特許文献1)。また、ヒアルロン酸は、関節にも存在しており、関節の荷重の衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりする機能を果たしていることが知られている。変形性関節症、慢性関節リウマチ、化膿性関節炎、痛風性関節炎等の場合は、関節液中のヒアルロン酸量が低下したり、加齢によって低下したりすることが知られている。このような疾患において、潤滑機能の改善、関節軟骨の被覆や保護、痛みの抑制及び病的関節液の改善若しくは正常化のために、関節液中のヒアルロン酸量を増加させることが考えられる。例えば、慢性関節リウマチ、外傷性関節症、骨関節炎及び変形性関節症の患者にヒアルロン酸ナトリウムの関節注入療法を行うと上記症状の改善が認められることが知られている。しかし、これらの治療は長期にわたる。従って、日常生活の中で手軽に治療できるヒアルロン酸生成促進剤を含有させた医薬品が望まれている。また、熱傷後の治癒過程で、肉芽中にヒアルロン酸が著しく増加することが知られており、熱傷の初期の治療薬としても、ヒアルロン酸生成促進剤が期待されている。
【0003】
しかしながら、ヒアルロン酸生成促効果を有する植物由来の天然原料として、本発明に用いたサルナシは検討されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−1924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全で安定性に優れ、ヒアルロン酸生成促進作用に優れた素材が望まれているが、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような事情により、本発明者らは鋭意検討した結果、サルナシの抽出物が優れたヒアルロン酸生成促進作用を持ち、安定性においても優れていることを見出した。さらに、その抽出物を含有する外用剤又は内用剤が、安全で安定でありヒアルロン酸生成促進作用に優れており、多機能性美容・健康用素材と成り得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いるサルナシの抽出物とは、マタタビ科マタタビ属サルナシ(学名:Actinidia arguta)の花、枝、幹、葉、根、果実、種子等の植物体の一部及び/又は全てより抽出したものである。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。さらに、植物をそのまま抽出してもよいし、乾燥してから抽出してもよい。
【0008】
抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3‐ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
【0009】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈及び濾過処理、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0010】
本発明のヒアルロン酸生成促進剤には、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分を配合することもできる。
【0011】
本発明のヒアルロン酸生成促進剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、カプセル剤、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
【0012】
本発明に用いる上記抽出物の配合量は、本発明のヒアルロン酸生成促進剤に対し、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001〜10重量%がより好ましい。さらに、0.01〜5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。一方、内用の場合、投与量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人1人当たりの1日の量としては、5mg以上が好ましく、10mg〜2gがより好ましい。さらに、20mg〜0.5gが最も好ましい。
【0013】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、実験例及び処方例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、処方例に示す配合量の部とは重量部を示す。
【実施例1】
【0014】
製造例1 サルナシ果実の熱水抽出物
サルナシの果実の乾燥物20gに精製水400mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してサルナシの熱水抽出物を11.8g得た。
【0015】
製造例2 サルナシ果実の50%エタノール抽出物
サルナシの果実の乾燥物20gに50%エタノール400mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、サルナシの50%エタノール抽出物を7.0g得た。
【0016】
製造例3 サルナシ果実のエタノール抽出物
サルナシの果実の乾燥物40gにエタノール1000mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、サルナシのエタノール抽出物を7.6g得た。
【0017】
製造例4 サルナシ果実の50%1,3‐ブチレングリコール抽出物
サルナシの果実20gに50%1,3‐ブチレングリコール400mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、サルナシの50%1,3‐ブチレングリコール抽出物を380g得た。
【実施例2】
【0018】
処方例1 化粧水
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の熱水抽出物(製造例1) 2.0
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0019】
比較処方例1 従来の化粧水
処方例1において、サルナシの果実の熱水抽出物(製造例1)を精製水に置き換えたものを、従来の化粧水とした。
【0020】
処方例2 クリーム
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の50%エタノール抽出物(製造例2) 1.0
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0021】
処方例3 乳液
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実のエタノール抽出物(製造例3) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0022】
処方例4 ゲル剤
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0023】
処方例5 パック
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の50%エタノール抽出物(製造例2) 1.0
2.サルナシ果実の
50%1,3‐ブチレングリコール抽出物(製造例4) 5.0
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3−ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜11を均一に溶解し製品とする。
【0024】
処方例6 ファンデーション
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実のエタノール抽出物(製造例3) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10〜13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14〜17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0025】
処方例7 浴用剤
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【0026】
処方例8 軟膏
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の50%エタノール抽出物(製造例2) 1.0
2.サルナシ果実の
50%1,3‐ブチレングリコール抽出物(製造例4) 5.0
3.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
4.モノステアリン酸グリセリン 10.0
5.流動パラフィン 5.0
6.セタノール 6.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.プロピレングリコール 10.0
9.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分3〜6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、2及び7〜9を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0027】
処方例9 散剤
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 39.0
3.微結晶セルロース 60.0
[製造方法]成分1〜3を混合し、散剤とする。
【0028】
処方例10 錠剤
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実のエタノール抽出物(製造例3) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1〜4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【0029】
処方例11 錠菓
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の50%エタノール抽出物(製造例2) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1〜4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
【0030】
処方例12 飲料
処方 配合量(部)
1.サルナシ果実の熱水抽出物(製造例1) 0.05
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水 94.8
[製造方法]成分2及び3を少量の水に溶解する。次いで、成分1、4及び5を加えて混合する。
【0031】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【実施例3】
【0032】
実験例1 ヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)の測定
ヒト線維芽細胞NB1RGBを60mm dishに1×10個播種し、コンフルエントになった時点で、終濃度が1又は10μg/mLになるように試料を添加した。コントロールには、試料を希釈した溶媒を添加した。24時間培養後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はTRIZOL Reagent(Invitrogen)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT−PCR法により行った。リアルタイムRT−PCR法には、SuperScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen)を用いた。すなわち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:30秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、HAS2の発現量を、内部標準であるβ―actin mRNAの発現量に対する割合として求めた。HAS2発現率は、コントロールのHAS2 mRNAの発現量に対する試料添加群のHAS2 mRNAの発現量の比率として算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
【0033】
HAS2用のプライマーセット
TGGATGACCTACGAAGCGATTA(配列番号1)
GCTGGATTACTGTGGCAATGAG(配列番号2)
β―Actin用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号3)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号4)
【0034】
実験結果を表1に示した。その結果、本発明のサルナシの熱水抽出物及び50%エタノール抽出物は、優れたヒアルロン酸合成促進作用を示した。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のことから、本発明のサルナシの抽出物は、優れたヒアルロン酸生成促進作用を有し、安定性にも優れていた。よって、本発明のサルナシの抽出物は、変形性関節症、慢性関節リウマチ、化膿性関節炎、痛風性関節炎の予防又は改善、皮膚の老化予防等といった医療分野にも利用でき、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品等への応用が期待される。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]