特許第6242684号(P6242684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タナス,ローレンス,イー.,ジュニアの特許一覧

特許6242684サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法
<>
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000002
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000003
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000004
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000005
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000006
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000007
  • 特許6242684-サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242684
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの作成および修理方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20171127BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G09F9/00 352
   G02F1/1333
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-511161(P2013-511161)
(86)(22)【出願日】2011年4月11日
(65)【公表番号】特表2013-532304(P2013-532304A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】US2011031989
(87)【国際公開番号】WO2011146173
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年4月10日
【審判番号】不服2016-10390(P2016-10390/J1)
【審判請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】12/781,624
(32)【優先日】2010年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512295073
【氏名又は名称】タナス,ローレンス,イー.,ジュニア
【氏名又は名称原語表記】TANNAS,Lawrence,E.,Jr.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】タナス,ローレンス,イー.,ジュニア
【合議体】
【審判長】 森林 克郎
【審判官】 小松 徹三
【審判官】 野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/028445(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00,9/30-9/46
H01L 27/32,51/50
G02F 1/133-1/1334,1/1339-1/1341,1/1347
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面プレートと、後面プレートと、前記前面および後面プレートの間隔を空ける周縁シールと、前記前面および後面プレート間でかつ前記周縁シールの縁部内の領域に含まれる画像生成媒体とを備える電子ディスプレイをサイズ変更する方法において、
前記前面および後面プレートの各々に沿うカットラインを識別して、前記ディスプレイの対象部分および余剰部分を識別するステップと、
前記ディスプレイを前記カットラインに沿って分離させて、前記ディスプレイの対象部分および余剰部分を分離させ、それにより、前記対象部分に沿って、前記対象部分のプレート間の領域に通じる露出エッジを生じさせるステップと、
前記対象部分のプレートを互いの方向に向けて押圧して、所定のセルギャップ分、それらプレートの間隔を空けるステップと、
前記露出エッジに沿って粘着剤を塗布するステップと、
前記対象部分の部分的な画像障害を引き起こす電気的短絡を前記露出エッジにおける電極から取り除くステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
電子ディスプレイをサイズ変更する方法であって、前面プレートと、後面プレートと、前記前面および後面プレートの間隔を空ける周縁シールと、前記前面および後面プレート間でかつ前記周縁シールの縁部内の領域に含まれる画像生成媒体とを備え、前記前面および後面プレートが、所定のセルギャップ分、間隔を空けて配置される電子ディスプレイをサイズ変更する方法において、
前記ディスプレイを切断して対象部分と余剰部分を分離させ、それにより、前記対象部分に沿って、前記対象部分のプレート間の領域に通じる露出エッジを生じさせるステップと、
前記露出エッジに沿ってプレート間に粘着剤の少なくとも一部が延在するようように、前記露出エッジに沿って粘着剤を塗布するステップと、
プレート間に延在する粘着剤が前記露出エッジに沿って実質的なシールを維持する状態で、プレート間から延出する、前記露出エッジに沿う外部の粘着剤のほぼすべてを取り除くステップと、
外部の粘着剤のほぼすべてを取り除いた後に、前記対象部分の露出エッジにおける電気的短絡を取り除くステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
電気的短絡を取り除くステップが、
前記短絡を開放できるように前記露出エッジ上の短絡に機械的力を加えるステップと、
開放された短絡に追加の力を加えるステップとを含み、
前記追加の力が、電気的力、化学的力および熱的力からなる群から選択されるものであることを特徴とする方法。
【請求項4】
サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの短絡を修復する方法であって、
サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、
前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分における短絡と、対応する前記対象部分の画像領域におけるピクセルの障害ラインとを識別するステップと、
短絡を開放できるように短絡に機械的力を加えるステップであって、ピクセルの障害ラインを消滅させるステップと、
開放された短絡に追加の力を加えるステップとを備え、
前記追加の力が、電気的力、化学的力および熱的力からなる群から選択されるものであることを特徴とする方法。
【請求項5】
サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの短絡を修復する方法であって、
サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、
前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分における短絡と、対応する前記対象部分の画像領域上のピクセルの障害ラインとを識別するステップと、
短絡を開放できるように短絡に機械的力および化学的力を同時に加えて、ピクセルの障害ラインを消滅させるステップと、
開放された短絡のストレステストを行うステップと、
前記ストレステスト中にピクセルの障害ラインが現れないことを確認するステップと、
その確認するステップの後に、開放された短絡に隣接する領域に保護材料を塗布するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
開放された短絡に追加の力を加えるステップをさらに備え、
前記追加の力が、電気的力および熱的力からなる群から選択されるものであることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3又は4に記載の方法において、
開放された短絡のストレステストを行うステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5又は7に記載の方法において、
前記ストレステストを行うステップが、湿潤剤を塗布するためのアプリケータで、開放された短絡を擦るステップと、その擦る間にピクセルの障害ラインが現れないことを確認するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項3又は4に記載の方法において、
開放された短絡に隣接する領域に保護材料を塗布するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項5又は9に記載の方法において、
前記保護材料が誘電性のシーリング剤であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、
前記保護材料を塗布した後に、開放された短絡のストレステストを行うステップと、
ピクセルの障害ラインが再び現れないことを確認するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項3又は4に記載の方法において、
前記追加の力が化学的力であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項3、4又は6のいずれか1項に記載の方法において、
前記追加の力が電気的力であることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項3、4又は6のいずれか1項に記載の方法において、
前記追加の力が熱的力であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項3、4、6又は12乃至14のいずれか1項に記載の方法において、
開放された短絡に第2の追加の力を加えるステップをさらに備え、
前記第2の追加の力が、前記追加の力とは異なるものであり、かつ電気的力、化学的力および熱的力からなる群から選択されるものであることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項5に記載の方法において、
前記ストレステストを行うステップが、前記フラットパネルディスプレイのパネルを曲げるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項5、7又は11のいずれか1項に記載の方法において、
前記ストレステストを行うステップが、湿潤剤を塗布するためのアプリケータで、開放された短絡を擦るステップを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ(“LCD”)および類似の電子フラットパネルディスプレイ(“FPD”)のサイズ変更の分野に関する。また、本発明は、サイズ変更プロセスにより生じ得る電気的短絡の修理および/または防止に関する。さらに、本発明は、例えば、多重ディスプレイのタイル表示を容易にし、かつ/またはサイズ変更されたディスプレイの非アクティブな縁部を最小化するために、最小限のマリオン(mullions)でサイズ変更されたディスプレイを作成する方法に関する。
【0002】
[関連出願データ]
本願は、2010年5月17日に出願された同時係属中の米国出願第12/781,624の一部継続出願である。この出願の開示内容全体は、引用により本明細書に明示的に援用されるものである。
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、一般に、ユーザに作用する視覚情報の形式でデータを表現するために使用される。その情報は、通常、コンピュータから得られるもので、航空宇宙機器として、データおよび文書処理、広告標識を行い、航空機を飛ばし、機械を制御するために、対話形式で使用される。今日において、LCDは、そのようなディスプレイの先導的技術である。LCDは、大きな産業的効用を有する電子FPDである。
【0004】
本明細書に記載の方法によって対処される問題の性質をより容易に理解するために、FPDの一例、並びに、LCDのサイズ変更の一例として、LCDの構造および動作の簡単な説明を以下に述べる。更なる情報は、米国特許第7,535,547号および第7,780,492号に記載されている。それら特許の開示内容の全体は、引用により明示的に本明細書に援用されるものである。
【0005】
図1を参照すると、LCDが、透明な材料、一般にはガラスの2枚の基板20から形成されるとともに、それら2枚の基板20間に液晶材料の薄膜が密封され、それにより、外部電子機器(図示省略)が接続される“セル”が提供される。スペーサ(図示省略)を、液晶材料とともに基板20間に正確に配置することができ、それにより、等間隔に配置されて、周辺シール25により密閉されたセルを形成することができる。ディスプレイのアクティブ領域は、画素(ピクセル)をアドレスするために編成されたセル領域内の基板内部の電極(図示省略)により規定される。イメージを生成するために、電気的に刺激(制御)される数多くのピクセルが存在する。各ピクセルは、基板20のエッジへとシール領域の外部に延びる電極30により制御される。電極30は、外部電子機器(図示省略)に接続され、この外部電子機器は、コンピュータまたは同様の電気的刺激に接続される。ピクセルは行と列の線の各交点に形成されるとともに、その交点には、薄膜トランジスタ(TFT)、コンデンサのようなその他の電気部品、および/または接地電位線(図示省略)のようなその他の導電線が存在し得る。一般に、電極30は、行と列の線により編成された薄膜金属導体であり、何百もの行と列の電極が基板20の全長および全幅に亘って延び、1本の行電極線および1本の列電極線が、マトリクス状組織の各ピクセルに関連している。一般に、アクティブマトリクス方式のLCDでは、行と列の電極30のすべてが基板20の一方の内側面上にあり、共通の接地板35が他方の基板の内側面上にある。液晶材料とスペーサは、電極30と接地板35の間にある。行、列および接地板の電極のすべては、ディスプレイの動作を容易にするために、固有点以外で、互いに絶縁されている。液晶フィルム、スペーサ、基板、およびセルを囲むシーリング剤は、一般に、すべて誘電体である。
【0006】
ディスプレイがサイズ変更されるとき、基板20を、例えば、分断、ソーイングまたは切り開くことにより、セルが切断されて、ディスプレイが、切断された露出エッジ55を有する対象部分5と、不要部分(図示省略)とに分割される。その際に、薄膜電極30のすべてを、カットエッジ55に沿って正確に分離できないことがある。すなわち、導体線30および接地板35は、サイズ変更プロセスによって乱れて、何らかの形で望ましくない電気接触を引き起こすことがある。
【0007】
最も単純な例では、幾つかの電極30がカットエッジ55で基板20から外れて、互いに、あるいは接地板35と物理的接触を行い、その結果、望ましくない短絡を引き起こす可能性がある。接地板35に短絡した導体線30の例が図1において、特に、符号30−s1(基板から遊離した線を示している)、符号30−s2(曲がった線を示している)として示されている。図2に示すように、カットエッジ55に沿って、例えば基板20間に、シール材45を塗布することができ、このシール材の塗布と不可避の流体の動きが更なる短絡を引き起こす可能性がある。カットラインにおける如何なる短絡もディスプレイのアクティブな画像領域40に悪影響を与えることとなるため、どのように短絡が生じるのかについての詳細は重要ではない。また、問題になっている電極が非常に接近していて、問題となっている位置における汚れや動きによって後で短絡を生じる場合もある。
【0008】
そのような電気的短絡は、ディスプレイの対象部分が再び密封されたときに、望ましくないことに、固定されて、互いに接合される可能性がある。その場合、ディスプレイが試験され、かつ/または画像を表示するために使用されるときに、短絡した行または列の線30に接続されたピクセルが、画像信号に対して適切に応答せず、短絡した電極に関連するピクセルが機能していないかのように動作することとなる。一般に、これは、短絡した導体線の結果として、短絡位置から短絡線に沿って画像領域40へと延びる機能しないピクセルの線を有するように画像が見えるものとなることを意味する。図2において、短絡した導体線30−s1により生じる画像障害の位置は、xの行50として象徴的に示される。短絡が生じたときに影響を受けるピクセルおよび電極は、いつもそうなるわけではないが、通常は、一直線上に位置する。
【0009】
複数の短絡線が同時に存在する可能性もある。機能しないピクセルは、非常に弱い短絡の場合、カットエッジから短距離だけ延び、あるいは短絡が非常に弱くまたはそれほど完全なものではなく、その影響または潜在的な影響が画像中で分岐しない場合には、全く延びない。多くの種類の短絡が、多くの方法で、あるいは様々なときに生じ得る。そのような場合、再びシールされたカットエッジ55において任意の短絡または遅れて生じる短絡により引き起こされる障害ピクセル(機能しないピクセル)を取り除いて、サイズ変更された画像領域が修復されない限りは、サイズ変更された対象ディスプレイは不良品と見なされるであろう。
【0010】
このため、ディスプレイをサイズ変更するプロセスにより生じるあらゆる短絡を除去し、かつ/または、カットエッジにおいて短絡した任意の電線路により生じるサイズ変更されたディスプレイの画像における障害ピクセルを修復する方法に対する要望が存在する。また、任意の短絡または遅れて生じる短絡を永久に除去してサイズ変更されたディスプレイの動作寿命中にそれらが再発しないようにするステップを実行することが推奨される。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、電子ディスプレイ、特に、液晶ディスプレイ(“LCD”)、および/または有機発光ダイオードディスプレイ、電気泳動ディスプレイおよび電子発光ディスプレイなどのようなその他の電子フラットパネルディスプレイ(“FPD”)のサイズ変更方法を対象としている。より詳細には、本発明は、そのようなディスプレイのサイズ変更により生じ得る電気的短絡を修復および/または防止する方法、および/または例えば多重ディスプレイのタイル表示を容易にするために、最小量のマリオンでサイズ変更されたディスプレイを作成し、かつ/または、サイズ変更されたディスプレイの非アクティブな縁部を最小化する方法に関するものである。
【0012】
図1および図2に示すように、サイズ変更プロセス中にFPD(LCDなど)の対象部分5を切断または不要部分から分離した場合に、基板20の切断、分割および/またはその他の分離が、カットエッジ(cut edge)55に沿って短絡をもたらし得る物理的影響をカットエッジ55に与えることがある。例えば、導体線30が、基板20から分離されることがある。さらには、導体線30が、(符号30−s1および30−s2によって示されるように)接地板35と接触するか、あるいは他の導体線と接触して、望ましくない短絡を引き起こすことがある。そのような場合、ディスプレイ画像用の電気信号が短絡して、ピクセルへの適切な信号が妨げられる。
【0013】
本明細書に記載の方法は、LCDまたは同様のFPDのサイズ変更プロセス中に生じ得るそのような電気的短絡の修復を容易にすることができ、かつ/または切断された電極の近傍から生じ得る潜在的な将来の短絡を取り除くことができる。例示的な実施形態では、そのような修復が、画像中にピクセル障害(pixel failures)を引き起こす短絡を阻止または防止するのに必要な程度に電極の端部を物理的に低減する動作を伴うことができる。また、本明細書に記載の方法は、サイズ変更されたディスプレイの動作寿命中に短絡またはそれと同様のものが生じることのないように、それらの除去を増進することができる。
【0014】
これは、機械的、電気的、化学的および/または熱的手段の1またはそれ以上を、単独で、順次、かつ/またはほぼ同時に、使用することにより達成することができる。短絡が十分に開放されるとともに、サイズ変更されたディスプレイの寿命中に短絡が発生または再発しないように、導体が十分に離れるようにするために、修復プロセスの一部として、修復された領域は、ストレステストを受けることができる。また、サイズ変更されたディスプレイのカットライン領域は、ディスプレイの寿命中に暫く経ってから短絡および画像欠陥として限界短絡または状態が生じることのないように、ストレステストを受けることができる。また、修復プロセスの一部として、任意の短絡を取り除いて画像を修復するために、シール領域を削り落とさなければならないこともある。そのような場合、任意には、減損したサイズ変更シール45を補うようにしてもよく、その場合、その後にディスプレイのストレステストを再び行うようにしてもよい。
【0015】
機械的方法を使用する一例は、テスト画像中のピクセル障害の症状が治るまで、短絡が疑われるカットエッジ上の位置で機械的にスクラッチまたはグラインドするものである。短絡は、あまりにも弱くて、その地点を単に引っ掻くだけで取り除くことができる場合もあり、これは、画像中のピクセルの障害ライン50の消滅によって示されるものとなる。
【0016】
しかしながら、短絡電極の分離は、知られておらず、最小量であることがある。短絡は、少しの汚染または機械的誘発から再び現れることがある。さらに、短絡と同様のものは、その存在が分からないため、一般に関心が向けられることはない。機械的方法は、見分けがつかない場合があり、その使用は、気付かずに実際に短絡により近いものを引き起こす場合がある。短絡と同様のものは、電極が接触寸前である場合であり、その場合、ディスプレイの寿命の間の将来の事象がそれらを短絡させてピクセル障害を引き起こすことがある。そのような場合、1またはそれ以上のその他の方法と組み合わせて機械的方法を使用することが望ましいことがある。
【0017】
電気的方法の一例は、疑わしい電極30に過電圧を印加するものである。一般に、短絡は、導体線30よりも高い抵抗性を有する。可能な場合には、2本の線30の間、および/または線30と接地板35との間に、公称電圧の約10倍の高い直流または交流電圧を加えたときに、短絡は電気回路中のフューズのように開放する。例示的な方法では、例えば短絡ヒューズが開放するまで徐々に電圧を増加させることによって、ディスプレイが画像を表示しているときに、その電圧を接地板35に加えるようにしてもよい。短絡電極は、電圧の大きさとその後の電極の燃焼により、大きく分離されることとなる。
【0018】
化学的方法の一例は、カットエッジ55に沿ってエッチング化学物質を塗布して、カットエッジ55付近の短絡および/またはその他の露出回路電極を取り除くものである。導体線30は、一般に薄膜金属から形成されるため、互いに接触することがない位置まで、カット基板エッジ55からエッチバックさせることができ、これは、テスト画像中の障害ピクセルのライン50の消滅によって明らかなものとなる。エッチングは、短絡を単に開放する位置を越えて続けてもよく、それにより、例えば、カットエッジ55付近の回路電極、例えば障害を引き起こす電極間の分離距離を増加させる。任意には、化学エッチング液を電極と反応させて、それを誘電体に変換させるようにしてもよい。その結果、電極は、機械的方法単独によって達成されるよりも大きく分離および隔離される。機械的方法は、障害を引き起こす電極を単に引き離すに過ぎないからである。化学的エッチングは、実際に、すべての露出電極の伝導性を、例えば、それらの化学組成および/または電気特性を変えて、かつ/またはそれらを誘電体に変換することによって、破壊することができる。
【0019】
熱的方法の一例は、短絡の症状が取り除かれるまで、ハンダごてまたはレーザビームで短絡の局所的領域を加熱して、シーリング剤および/またはガラス内の電極を熱的に溶融させるものである。電極の溶融は、短絡位置における破壊の領域を保証することができる。また、これは、単なる機械的な引っ掻きよりも、障害を引き起こす電極の分離をより一層広げることもできる。
【0020】
例示的な実施形態によれば、電子ディスプレイをサイズ変更する方法であって、前面プレートと、後面プレートと、前記前面および後面プレートの間隔を空ける周縁シールと、前記前面および後面プレート間でかつ前記周縁シールの縁部内の領域に含まれる画像生成媒体(image-generating medium)とを備える電子ディスプレイをサイズ変更する方法が提供される。この方法は、前記前面および後面プレートに沿ってスクライブライン(scribe line)を形成して、前記ディスプレイの対象部分および余剰部分を識別するステップと、前記ディスプレイを前記スクライブラインに沿って分割して、前記ディスプレイの対象部分および余剰部分を分離させ、それにより、前記対象部分に沿って、前記対象部分のプレート間の領域に通じる露出エッジを生じさせるステップと、前記対象部分のプレートを互いの方向に向けて押して、所定のセルギャップ分、それらプレートの間隔を空けるステップと、前記露出エッジに沿って粘着剤(adhesive)を塗布するステップとを含む。
【0021】
その後、前記対象部分の前記露出エッジにおける電気的短絡が取り除かれる。例えば、機械的力は、前記短絡を開放できるように前記露出エッジ上の短絡に加えられ、電気的力、化学的力および熱的力のうちの1またはそれ以上のような追加の力が、開放された短絡に加えられる。任意には、その後に、例えば開放された短絡を試験するために、ストレステストが実行される。また、必要に応じて、保護材料、例えば追加の粘着剤などが、開放された短絡に隣接する領域に塗布される。
【0022】
別の実施形態によれば、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの短絡を修復する方法であって、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分における短絡と、対応する前記対象部分の画像領域上のピクセルの障害ライン(failed line of pixels)とを識別するステップと、短絡を開放できるように短絡に機械的力を加えて、ピクセルの障害ラインを消滅させるステップとを含む方法が提供される。また、電気的力、化学的力および熱的力のような追加の力が、機械的力と同時に、あるいは機械的力を加える後または前に、開放された短絡に加えられる。
【0023】
さらに別の実施形態によれば、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの短絡を修復する方法であって、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分における短絡と、対応する前記対象部分の画像領域上のピクセルの障害ラインとを識別するステップと、短絡を開放できるように短絡に機械的力および化学的力を同時に加えて、ピクセルの障害ラインを消滅させるステップとを含む方法が提供される。任意には、例えばピクセルの障害ラインが現れないことを確認するために、開放された短絡のストレステストが行われる。さらにまたは代替的には、例えばストレステストが成功裏に完了した後に、開放された短絡に隣接する領域に保護材料が塗布される。
【0024】
さらに別の実施形態によれば、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの短絡を防止する方法であって、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのカットエッジに化学エッチング液を塗布するステップであって、前記カットエッジ付近の回路電極間の分離距離を増加させることができるように、化学エッチング液を塗布するステップとを含む方法が提供される。一実施形態では、化学エッチング液が塗布される前に、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのカットエッジがサイズ変更シール(resizing seal)でシールされる。例えば、既存の短絡を開放できるように、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのカットエッジに沿って化学エッチング液が塗布される。任意には、化学エッチング液の塗布とほぼ同時に、前記サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのカットエッジに機械的力が加えられる。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのシールの耐久性を高める方法であって、前記ディスプレイのカットエッジに塗布されたサイズ変更シールを有するサイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、前記サイズ変更シールから露出電極を除去できるように、化学エッチング液含浸材料(chemical-etchant-impregnated material)で前記サイズ変更シールを磨くステップとを含む方法が提供される。
【0026】
さらに別の実施形態によれば、サイズ変更されたフラットパネルディスプレイのシールの耐久性を高める方法であって、前記ディスプレイのカットエッジに塗布されたサイズ変更シールを有するサイズ変更されたフラットパネルディスプレイの対象部分を得るステップと、露出電極を除去できるように、化学エッチング液で前記サイズ変更シールを擦るステップとを含む方法が提供される。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、電子ディスプレイをサイズ変更する方法であって、前面プレートと、後面プレートと、前記前面および後面プレートの間隔を空ける周縁シールと、前記前面および後面プレート間でかつ前記周縁シールの縁部内の領域に含まれる画像生成媒体とを備える電子ディスプレイをサイズ変更する方法が提供される。この方法は、前記ディスプレイを切断して対象部分と余剰部分を分離させ、それにより、前記対象部分に沿って、前記対象部分のプレート間の領域に通じる露出エッジを生じさせるステップと、前記露出エッジに沿ってプレート間内に粘着剤の少なくとも一部が延在するようように、前記露出エッジに沿って粘着剤を塗布するステップとを含む。その後、プレート間内に延在する粘着剤が前記露出エッジに沿って実質的なシールを維持する状態で、プレート間から延出する、前記露出エッジに沿う外部の粘着剤のほぼすべてが取り除かれる。さらにまたは代替的には、前記露出エッジに沿って粘着剤を塗布した後に、前記露出エッジに沿って実質的なシールを維持しながら、対象部分のプレートの少なくとも一部が前記露出エッジに沿って取り除かれる。
【0028】
任意には、例えば外部の粘着剤のほぼすべておよび/または前記露出エッジに沿うプレートの一部を取り除いた後に、前記対象部分の露出エッジにおける電気的短絡が取り除かれる。そのような短絡は、様々なプロセスを使用して、例えば、短絡を開放できるように前記露出エッジ上の短絡に機械的力を加えるステップと、開放された短絡に追加の力を加えるステップとによって、取り除かれる。前記追加の力は、電気的力、化学的力および熱的力からなる群から選択される。
【0029】
本発明に必要なその他の態様および特徴および本発明の使用は、添付図面と併用して以下の説明を考慮することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
当然のことながら、図面に示される例示的な実施形態は、必ずしも同じ縮尺で描かれているわけではなく、その代わりに、例示の実施形態の様々な態様および特徴を示すことに重点が置かれている。
図1図1は、カットエッジ55が再びシールされる前の、サイズ変更されるLCDの対象部分5のカットエッジ55の斜視図であり、接地板35に短絡した2本の線30−s1、30−s2を示している。これは、アクティブマトリクス方式のLCDの電気回路の一例である。簡単にするために、トランジスタ、コンデンサなどのような、短絡に寄与する可能性のあるその他の回路要素は示されていない。
図1A図1Aは、図1の対象部分のA−A線に沿った詳細断面図である。
図2図2は、再びシールされた後の図1のLCDの平面図であり、短絡した導体線30−s1を示しているとともに、カットエッジにおける短絡した導体線と関連する画像信号に応答することができないピクセルの画像内の線の症状を符号50で象徴的に示している。
図3図3A乃至図3Cは、a)図2に見られるように接地板35に短絡した導体線30−s1、b)開放後の短絡線、c)誘電体60で再シールまたは被覆した後の開放された線をそれぞれ示す詳細図である。入り込んだシールおよび/または取り除いた基板材料の例は、簡単にするために、示されていない。
図4図4は、サイズ変更されたFPDの対象部分における短絡線を修復する例示的方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に記載の方法は、一般に、LCDまたはその他のFPDのような電子ディスプレイをサイズ変更することに関する。一般に、そのような方法は、所望の寸法に沿って電子ディスプレイを切断して、露出エッジを有する対象ディスプレイ部分および余剰ディスプレイ部分をもたらすステップと、対象ディスプレイ部分の露出エッジに沿ってシールを適用するステップとを伴うことができる。
【0032】
例示的な方法では、ディスプレイから余剰の電子部品を取り除くステップと、ディスプレイの1またはそれ以上の回路基板を切断するステップと、例えば意図するカットラインに沿って、ディスプレイのプレートの一方または両方から、必要に応じて偏光板および/またはその他のフィルムの少なくとも一部を除去するステップと、意図するカットラインに沿って洗浄するステップと、ディスプレイを対象部分と不要または余剰部分とに切断または分離させるステップのうちの1またはそれ以上によって、ディスプレイを切断することができる。ディスプレイを切断する例示的な方法は、例えば、グレイザーホイール(glazer's wheel)、のこぎりおよびレーザなどにより、所望の線に沿って、プレートに印を付けるステップと、プレートを分割して対象部分と余剰部分とを分離して、対象部分に沿って露出エッジを生じさせるステップとを含むことができる。代替的には、その他の方法、例えば、意図するカットラインに沿って偏光板および/またはその他のフィルムの少なくとも一部を除去する前または後に、例えばウエハ型のこぎりで、プレートを部分的または完全に通して切る方法を使用して、ディスプレイを切断することもできる。
【0033】
露出エッジをシールするために、例えば固定具でディスプレイを安定させて、十分な圧力を加え、それによりプレート間を元の距離に戻し、かつ/またはプレートが拡大するのを防止することができる。液晶(LC)は、例えば、ウィッキングを行うこと、流し出すこと、プレートを互いに押し付けることにより、露出エッジに沿ってプレート間から取り除き、それにより、LC材料等を外に出してプレート間にシーリング剤用の領域を形成することができる。任意には、例えば、過度の材料がプレート間から外に取り出される場合に、LC材料をプレート間に注入するようにしてもよい。粘着剤またはその他のシーリング剤は、例えば、プレート間の距離(“セルギャップ”と称される)が大きく変化することなく、シーリング剤が、露出エッジに沿ってプレート間に、流れ、押し込まれ、あるいは入り込むことができるように、露出エッジに沿って塗布される。シーリング剤は、例えば紫外線光および熱などを使用することにより硬化させることができ、それにより、画像生成媒体がプレート間の領域の外に漏れ出すのを防止するバリアを形成することができる。更にまたは代替的には、環境保全および/またはエッジライト制御(edge light control)のために、粘着剤またはシーリング剤の1またはそれ以上のビーズまたはその他の層をカットエッジに沿って外部から付着させるようにしてもよい。電子ディスプレイをサイズ変更する方法に関する更なる情報は、米国特許第7,535,547号および第7,780,492号に記載されている。それらの開示内容は、引用により本明細書に援用されるものである。
【0034】
任意には、サイズ変更されたディスプレイの切断および再シールを行った後に、“マリオン”、すなわち、サイズ変更されたディスプレイのアクティブ領域間に延在する非アクティブ表示領域、および切断および再シールされたエッジに沿うプレートのエッジを低減する追加のプロセスを行うようにしてもよい。そのようなマリオンの低減、例えば、約0.060インチ(1.5mm)までの低減は、全体画像をタイル表示ディスプレイに提示するのを妨げるディスプレイ間の非アクティブ空間を最小化しながらも、多重ディスプレイをタイル表示するのを容易にすることができる。
【0035】
例えば、硬化されるシーリング剤が、実質的なシールを提供するのに十分にプレート間内に入り込む場合には、例えば、機械的に研磨するか、擦ることにより、あるいは化学的に溶かすことなどによって、外部のシーリング剤を取り除くことができる。また、必要に応じて、プレート間にある残りのシーリング剤が実質的なシールを提供して再シールされたエッジに沿った漏れを防止する限りにおいては、サイズ変更されたディスプレイにより生成されるマリオンを推し進めるために、再シールされたエッジに沿ってプレート自体を研磨するか、あるいは部分的に取り除くことができる。
【0036】
本明細書に記載の方法は、ディスプレイの対象部分5のカットエッジおよび/または再シールされたエッジに沿う1またはそれ以上の位置で、そのようなサイズ変更プロセス中に生じ得る電気的短絡の修復および/または防止を容易にすることができる。
【0037】
図1を参照すると、サイズ変更されるLCDまたはその他のディスプレイの対象部分5のカットエッジ55の斜視図が示されており、それは、一対の基板またはプレート20と、アクティブ画像領域40と、対象部分5の非カットエッジの傷がない元のシール25とを概して含んでいる。すなわち、図1は、サイズ変更プロセスの一部として切断された後であって、カットエッジ55が再びシールされる前のディスプレイを示している。導体線30および接地板35の位置を示すセルのエッジが示されている。2本の線(図1Aに示す30−s1、30−s2)が、接地板35に短絡した状態で示されている。ディスプレイは、図1の画像を示していない。仮に画像を示した場合には、短絡は、それに接続される対応するピクセルを短絡線が制御できなくなるため、画像に線、例えば、黒、白、有色線を生じさせる。図1および図2に示す実施形態では、カットエッジ55と反対側の元のエッジ(簡単にするために、図示省略)は、ピクセルを制御してディスプレイのアクティブ領域上に画像を表示する外部電子機器を含む。画像がどのように表現されるかについての説明は、本明細書に記載の方法には関係なく、また、当業者に良く知られている。
【0038】
幾つかの場合には、カットエッジ55が、カットエッジ55に沿って延びる下側エッジ上の導体線30の一つと一致することもあるが、それは、カットエッジ55に沿う潜在的な短絡の性質をさらに複雑にするものとなる。例えば、そのような状況では、短絡は、潜在的に、非常に広範囲に及ぶため、基板パネルの細長い部分を取り除く必要がある。これは、カットエッジ55が、導体線30の上にあり、例えば、カットエッジ55から延びる上側および下側エッジの間において、カットエッジ55と平行に延びるときに起こり得る。
【0039】
図1に戻ると、短絡線30−s2は、セルギャップを跨いで接地板35と接触するのに十分に、対象部分5の基板20から分離した導体線30の一例である。短絡線30−s1は、折り曲げるとともにセルギャップを跨いで接地板35と接触するのに十分長さで、元のディスプレイの不要部分から分離した導体線30の一例である。短絡線は、それらの形またはその他の形で生じ得る。それら短絡線(30−s1および30−s2)は、本明細書に記載の方法を使用して修復され得る短絡の最も単純な形態の例である。
【0040】
本明細書の他の部分に記載のサイズ変更プロセスの一部として、カットエッジ55が再シールされる。図2は、図1のLCDが再変更シール45でカットエッジ55に沿って再びシールされた後のLCDの平面図である。短絡した導体線30−s1は、望ましくないことに、依然として存在する。再変更シール45は、点線45aによって示されるように、基板20の間に入り込んでいることが示されている。このため、サイズ変更シール45は、基板20間に延びる内側部分45aと、基板20の端面に取り付けられる外側部分とを含むことがある。
【0041】
短絡導体線30−s1に関連する機能しないピクセルの症状は、xとして符号50で象徴的に示されている。符号50のxは、画像、例えば、対象部分5の画像領域40上に提示されるテスト画像において、カットエッジ55からの生じる、欠けたピクセルの線、またはピクセルの線の一部を示している。参考のために、元の周縁シール25が、非カットエッジに沿って示されている。最も単純な形態では、図2の画像領域40上に示される画像が、画像コマンドに応答するものではなく、ディスプレイのデフォルト構成に応じた、線または部分線50、例えば、黒、白または有色線を有する無色である。画像を生成する構成要素は、図2に含まれていないが、左エッジ(図2には示されていない)と、図2の下端に示す導電体30への電気的接続を必要とするものとなる。ここで、それらの短絡を修復する方法をより詳細に説明することとする。
【0042】
図4を参照すると、サイズ変更されたFPDの対象部分5における短絡線を修復する例示的な方法が示されている。この方法は、FPDが画像を表示しながら、より容易に実行され、その方法の有効性が途中の各ステップで分かる場合がある。この方法は、サイズ変更されたFPDの対象部分5を得ることによって、ステップ400から始まる。これは、本明細書の他の部分に記載されているように、典型的には、全体サイズ変更プロセスの一部として、すなわち、FPDを対象部分5と不要または余剰部分(図示省略)とに分離することによって、生じる。しかしながら、対象部分5を得るプロセスまたはソースは修復方法に重要なものではなく、よって、このステップは、対象部分5が単に与えられるステップを含むものであってもよい。その対象部分は、サイズ変更操作を誰かが行うことによって作成されるものとなる。この時点におけるFPDの対象部分5は、一般に使用可能であろう。
【0043】
対象部分5が得られたら、ステップ410において、短絡が識別される。短絡の識別は、ディスプレイを電気的に励起して、画像領域40上に画像を示すことによって達成される。あらゆる短絡は、図2および図3Aにおいて符号50のxで象徴的に示される非反応性のピクセルの1またはそれ以上の線をもたらす。非反応性のピクセルは、xとして実際に出現するものではなく、画像コマンドに正確に応答しない画像表示領域40におけるピクセルエレメントとして出現する。短絡の位置は、非反応のピクセル50の表示画像線とサイズ変更されたカットエッジ55との交点を観察することによって見付けることができる。ピクセル50の障害線は、電流が接触点を加熱して燃焼が短絡を開くときに、徐々に現れ、徐々に消える場合がある。影響を受けるピクセル50の線の長さは、部分的には、短絡の伝導性に依存する。
【0044】
ステップ410で短絡が識別される場合、この方法は、短絡を修復するステップ420に移行する。ここで、修復は、1)最小限に短絡を露出させるか、または短絡を開放するための、材料を取り除く機械力、2)短絡を溶解・開放するための、短絡に関連する導体材料に対する高電圧、3)短絡を構成する材料をエッチングして取り除く化学的エッチング液(例えば、酸または塩基)、4)短絡を焼いて開放するための熱的効果、5)短絡を有するパネルの部分を取り除くための、パネルの再切断のような、短絡を開放するその他の方法、または、6)それらの任意の組合せを順次および/またはほぼ同時に適用することによって、達成することができる。そのような各修復は、短絡を開放して画像を完成させるのに十分で、かつ短絡が任意の後の画像で再発生することがないようにするのに十分な方法で行うことができる。
【0045】
ステップ410で短絡が識別されない場合(または、1またはそれ以上が識別された後に、ステップ420で修復された場合)、この方法は、更なる信頼性のためにディスプレイのストレステストが任意に行われるステップ430に進み、その後、該当する場合には、修復された短絡の露出領域(65)を再シールするステップ440に移行する。また、ステップ420は、画像欠陥が当初は示されていない場合においても、例えば、サイズ変更シール45の耐久性を高めるために、サイズ変更シール45により既に再シールされているカットエッジ55に対して行うようにしてもよい。例えば、サイズ変更シール45は、サイズ変更シールから露出電極を除去してサイズ変更シール45にストレスを加えるのに十分な方法により、酸性エッチング液により湿潤した研磨ブロックのような化学エッチング液含浸材料で、磨くようにしてもよい。その後、研磨ブロックは、サイズ変更されたディスプレイの再シールされたエッジの全長を適度な圧力で3または4回磨くために使用されるものであってもよい。適度な圧力は、各ストロークでシーリング材の一部を取り除くのに十分なものである。
【0046】
また、サイズ変更シール45は、ストレステストが行われ、単に化学エッチング液をサイズ変更シール45に擦り付けることによって、露出電極が除去されるものであってもよい。露出電極は、FPDにおいてその後しばらくして短絡を引き起こす可能性があるため、除去すべきである。これは、例えば、エッチング液で湿潤した綿棒を使用することにより、達成することができる。シールラインは、短絡の症状が生じるかどうかを見るために、ディスプレイ上に画像を表示しながら、金属箔で擦ることによって更にストレスを加えるようにしてもよい。サイズ調節シール45に露出電極が残留している場合には、金属箔が接触中にそれらを短絡してピクセル障害を引き起こす可能性がある。その場合、シールの耐久性をさらに高めるために更なるエッチングが成し遂げられて、必要に応じて、影響を受けた領域にサイズ変更シール45が補われる。シールラインは、例えば、アルコールおよび水を含むウェットティッシュを使用して、洗いながら、更にストレスが加えられるようにしてもよい。
【0047】
ディスプレイにストレスを加えることは、様々な方法で達成することができるが、それには、サイズ変更されたエッジ55を乾湿綿棒またはガラス棒または木製棒で擦ること、サイズ変更されたエッジを導電性の金属箔で擦ること、対象パネル20を曲げること、および/または必要動作範囲および保管限界を越える温度および湿度においてチャンバ内でLCDを環境循環させることが含まれるが、それらに限定されるものではない。ステップ440は、例えば、ステップ420に至る前にカットエッジ55にサイズ変更シール45が既に適用されていて、ステップ420でサイズ変更シール45が乱れた場合に、適用可能である。この状況は、図3Bにおいて見られる。ステップ440の再シールステップの後に、ステップ450で、追加のストレステストを行うようにしてもよい。曲げることによりシールにストレスを加えることで、例えば、短絡と同様のものを引き起こして、それにより、通常の操作中、使用中、および/またはディスプレイがその動作寿命内に曝され得る環境変動中に短絡する可能性がある弱い部分を曝すことができる。
【0048】
図4は、すべての短絡について並行してこのプロセスを一回行うことを示しているが、このプロセスは、1回に単一の短絡について行うこともできる。ステップ430のストレステスト中に、判定435における“N”(いいえ)のパスによって示されるように、ストレステストが不合格の場合(すなわち、1またはそれ以上の短絡が識別される場合)には、プロセスは、ストレステストの一環として識別される短絡を修復するために、ステップ420に戻る。ステップ450のストレステスト中に、判定455における“N”のパスによって示されるように、ストレステストが不合格の場合には、プロセスは、同様に、ストレステストの一環として識別される短絡を修復するために、ステップ420に戻る。短絡は、通常は、ストレステストを通過した場合には、再発することはない。短絡が再び現れることはなくピクセル画像障害症状を引き起こすことはないという更なる保証、あるいは新たな短絡が現れることはなくピクセル画像障害を引き起こすことはないという更なる保証のために、図3Cに示すように、図4のステップ440において、短絡の除去後に、保護材料60を加えることによって、除去された任意のサイズ変更シール45が補われる。
【0049】
前述したように、このプロセスによって曝されるサイズ変更シール45の露出領域(65)はいずれも、保護するとともに、短絡の再発を防止し、さらには対象部分5のシール45の完全性を保証するために、被覆される。露出領域(65)が被覆されない場合、修復領域の物理的な擦れあるいは導電性材料の混入のような後で生じる外乱によって、短絡が引き起こされる可能性がある。さらに、元のディスプレイシール25自体が傷つけられて、再構成する必要が生じる可能性がある。また、前述したように、ステップ440の後に、追加(または初回)のストレステストを行うようにしてもよい。このプロセスにおいて少なくとも1回、短絡の症状が示されていなくても、ストレステストは、カットエッジ全体を含むべきである。
【0050】
サイズ変更シール45が保護材料60で補われる前または後に、3回またはそれ以上、湿潤綿棒および/または乾燥綿棒(Q−TIP(登録商標)綿棒のような)でシールビーズ45を擦り、3回またはそれ以上、金属箔で擦ることにより、ストレステストが行われるものであってもよい。適当な湿潤剤は、イソプロピルアルコールである。適当な金属箔は、アルミニウム箔である。どんなに些細な状況でも、アプリケータの湿潤剤の存在によって、あるいは湿潤剤を塗布するために運動圧力を加えることによって、周辺部の状態は曲げられ、短絡され、または導電性とされることとなる。間欠的な短絡の症状は、存在する場合には、そのときに起きるはずであり、よって、それらが識別され得るものとなる。その後、間欠的な短絡は、本明細書に記載の方法によって取り除くことができる。このシーケンスは、間欠的な短絡が再発しなくなるまで、繰り返すことができる。周辺部の短絡は、同じ方法で再び対処することができ、すべての短絡の症状が恒久的に除去されるまで、再びテストして再びストレスを加えることができる。また、ストレステストは、例えば、熱的にパネルを循環させることにより、かつ/または湿度で循環させることにより行われる環境テストも含むことができる。そのようなストレステストは、短絡が再発しないという高い信頼性が保証される場合に、完了することができる。また、パネルは、カットエッジ55に沿って曲げて、シールの内面に僅かな動きを引き起こすことができる。間欠的な短絡が生じる場合には、ステップ420を繰り返して、短絡要素の更なる分離を達成することができる。ここで、ステップ420の修復プロセスをより詳細に説明することとする。
【0051】
ステップ420において、短絡を開放する機械力の一例は、図2に示すように、対象部分5の画像領域40におけるピクセル50の障害ラインによって示されるように、短絡の近傍のカットエッジ55における材料を機械的に除去することである。サイズ変更シール45が施された後にストレステストによって短絡が識別されるときには、多くの場合、サイズ変更シールビーズ45の表面を鋭利器具で引っ掻くだけで障害ライン50を回復させることができる。より重度の短絡を取り除くために、サイズ変更シールビーズ45が削り取られ、多くの場合、短絡に手を伸ばして短絡を開放させるために、基板20を取り外さなければならないかもしれない。一つの短絡を取り除くときに、画像により示されるように、別の短絡が引き起こされる場合がある。可能であれば、ピクセルの障害ラインがすべて修復されるまで、機械的動作を繰り返すことができる。
【0052】
サイズ変更されたLCDの対象部分5における短絡を開放させる機械的方法の具体例は、ピクセルの障害ライン50が対象部分5のカットエッジ55をインターセプトするまさにその位置で、高速グラインダでサイズ変更シールビーズ45を摩滅させることにより行われる。切断または研磨ブレードを有するDREMEL(登録商標)工具は、この機能のために、良く適している。ブレードは、修理される位置において、サイズ変更シールビーズ45に対して実質的に垂直に保持することができる。DREMEL(登録商標)工具は、高速で作動するため、ビーズ45の表面を容易に接触させることができる。一般には、ビーズ45へと僅かに入り込む一瞬のうちに、短絡を取り除くことができる。より難しい短絡については、図1に示すように(短絡30−s2によって示される)、表示される画像に見られる影響に基づいて、ビーズ45への浸透をより深くすることができる。難しい場合においては、短絡が消滅して修復が完了する前に、研磨動作がガラス基板20に入り込むことがある。より厳しい場合においては、そのような機械的方法を使用して短絡を取り除くことに成功する。さらに、そのような機械的方法によりある短絡を取り除いている間に、別の短絡が生じる場合がある。
【0053】
再発のリスクを低減するために、電気的、化学的、熱的および/またはその他の方法を、単独で、あるいは互いに組み合わせて、かつ/または機械的方法と組み合わせて使用することができ、それにより、例えば、短絡を取り除いて元に戻ることがないようにするというより大きな保証を達成することができる。
【0054】
電気的修復方法の一例は、疑わしい電極30に過電圧を印加するものである。短絡は一般に導体線よりも高い抵抗率を有することとなるため、可能である場合に、疑わしいライン30間に、および/または、それらライン30と接地板35との間に、例えば、通常電圧の最大10倍の電流制限高圧(A.C.またはD.C.)を印加するときに、電気回路におけるヒューズのように短絡が開放する。導電性金属は、溶解して開放したときに、酸化物に変化して、例えば、瞬時に不導体になる。ある場合には、電気的溶解プロセスは、本明細書に記載の機械的または化学的方法のようなその他の補助的な作用無しで、使用することができる。
【0055】
化学的修復方法の一例は、塩酸と硝酸を約3対1の割合で混合したようなエッチング化学物質を塗布するものである。ある場合には、少量のグレープフルーツジュースのような柑橘類ジュースで十分なこともある。例示的な方法では、先ず、短絡の位置で機械的にシーリング剤を開放し、その後、その短絡位置で、対象部分5のカットエッジ55に沿って酸を軽く塗る。機械的動作で短絡は消滅するかもしれないが、酸エッチングは、短絡金属の更なる分離を生じさせることができる。一般に、導体線30はアルミニウムおよびモリブデン等のような薄膜金属からなるため、導体線30は、カット基板エッジ55から、互いにあるいは周辺のその他の導体線ともはや接触することのない位置までエッチバックすることができる。これは、再シールの後は、短絡がそれらの先に延びない限りは、該当する場合には保護材料60と、サイズ変更シール45とにその化学物質が入り込む必要があるため、対象部分5がステップ440で再シールされる前に、行うことができる。化学物質は、酸で湿潤したガラス棒または酸で湿潤した木製棒で軽く塗ることにより、塗布することができる。酸は、例えば綿棒を使用して、例えば洗い流し水で、約1分後に洗い流すことができ、その後に、イソプロピルアルコール洗浄が行われる。この一連の操作により処理された短絡は、完全に消滅させることができ、この短絡は、たいがいはステップ440で修復の準備が整う。
【0056】
化学的方法を使用する最も効率的な方法は、シールを機械的に磨くのと同時に、化学物質を塗布するものである。機械的作用が短絡または潜在的短絡領域を開放する間に、単純な機械的方法により達成される以外のところに、化学物質が電極をエッチングする。この二重作用は、電極の分離のマージンを増加させる。電極は、機械的作用によって曝されると、直ちにシール材料の深くにエッチングされ、それが、必要とされる機械的作用の程度を直接的に最小化する。機械的研磨と化学的エッチングの組合せは、何れか一方よりも、あるいは順番に行うよりも効率的である。
【0057】
熱的修復方法の一例は、ハンダごてまたはレーザビームで短絡の局部領域を加熱して、短絡の症状が取り除かれるまで、シーリング剤および/またはガラス内の電極を熱的に融解させるものである。レーザビームで電気的ラインを開放する装置およびシステムは、FPD産業で良く知られている。熱的方法は、基板20間内に短絡が位置する場合に、特に有効である。
【0058】
前述したように、機械的力と電気的力、機械的力と化学的力、機械的力と熱的力、機械的力と電気的力と化学的力、機械的力と電気的力と熱的力、機械的力と化学的力と熱的力、機械的力と電気的力と化学的力と熱的力のように、複数の力をステップ420においてほぼ同時に加えることができる。ここで、機械的力と化学的力をほぼ同時に使用する一例を説明することとする。
【0059】
ステップ420では、約220グリットの研磨ブロックが、水で約4:1に希釈されたHNO(王水)およびHClで湿潤される。その後、サイズ変更されたシールビーズの表面が、研磨ブロックで3回またはそれ以上磨かれる。短絡または“ラインアウト”50が存在する場所では、ラインが修復するまで適度な手の力を使用して研磨ブロックでシールエッジが磨かれる。短絡を取り除くのに必要な場合には、DREMEL研削工具またはカミソリの刃による軽い接触が使用される。露出した導電体を酸がエッチング除去する時間を考慮して、対象部分5が数秒から1分間傍らに置かれる。このシーケンスは、望ましくない電極が取り除かれることを確実にするために、初期の短絡が存在しない場合に、使用することができる。
【0060】
その後、ステップ430の最初のストレステストについて、シールをアルミニウム箔で擦って、適度な指の力を使用して、例えば、少なくとも3回擦られたシールにストレスを加える。シールは、任意の酸化アルミニウムおよび酸処理によるその他の副産物がシールから取り除かれるまで、約91%のイソプロピルアルコールで濡らしたティッシュで洗浄する。それは、酸化アルミニウムがティッシュを黒に染色するため、視覚的に確認することができる。黒い酸化アルミニウムを取り除くため、適度な指の力を使用して数回擦ることが必要な場合もある。シールを擦った後にティッシュによりあらゆる汚れが最終的に落とされると、適度な指の力を使用して、イソプロピルアルコールで濡らした新しい清浄なティッシュで再びシールが洗浄される。短絡が依然現れるか、あるいは再び現れる場合には、修復のプロセス(420)およびストレステスト(430)が関心領域で繰り返される。この方法の適用によりシールが損なわれる場合には、必要に応じて、保護材料60で補われる。シールの補われる領域は、更なるストレステストおよび修復を必要とする場合がある。
【0061】
代替的には、シールされたエッジに沿って外部シールを取り除くステップ、および/またはマリオンを低減するステップを含む方法においては、任意の短絡を修復するために、かつ/またはマリオン低減によって短絡が生成されることがないようにするために、それらプロセスが1またはそれ以上繰り返される。
【0062】
ここで図3を参照すると、本明細書に記載の方法の理解を助ける一連の詳細が示されている。図3Aは、図2に示されるように接地板35に短絡した、サイズ変更シールビーズ45内にある導体線30−s1を示している。図3Bは、本明細書に記載の方法の何れかを使用して開放された後の、図3Aの短絡線30−s1を示している。例えば、サイズ変更シールビーズ45および導体線30−s1を切り開くために、機械的力が加えられている。代替的には、サイズ変更シールビーズ45の一部分のみを切り開くために、またはサイズ変更シールビーズ45のみを切り開くために、またはサイズ変更シールビーズ45と、導体線30−s1の一部分のみを切り開くために、機械的力が使用されている。後者の場合には、本明細書の別の部分に記載されているように、例えば、電気的、化学的および/または熱的手法を使用して、最初の機械的力の後に、短絡を開放することができる。図3Cは、修復された導体線30−s1に隣接する領域を被覆するために保護材料60を使用して補われたサイズ変更シールビーズ45を有する開放された導体線30−s1を示している。保護材料60は、元のサイズ変更プロセス中にカットエッジ55をシールするために使用されるシーリング剤と同じであっても、あるいは別の誘電材料であってもよい。
【0063】
プロセスの成功の基準は、ディスプレイがその動作中に環境的にまたは機械的に見えることとなるレベルでのストレステストの間に、カットエッジ55における短絡によって生じる画像におけるピクセルの障害ライン50の症状が恒久的にまたは間欠的に現れないということ(並びに、ピクセルのその他の障害ラインの症状が現れないということ)である。
【0064】
本発明は、様々な変更や代替的な形式を受け入れる余地があるが、本発明の具体例が、図面に示されて本明細書中に詳細に説明されている。しかし、当然のことながら、本発明は、開示した具体的な形式や方法に限定されるものではなく、それとは正反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれる、あらゆる変形物、均等物および代替物に及ぶものである。
図1
図1A
図2
図3a
図3b
図3c
図4