【文献】
三輪 克行,カゴメにおける加工食品のトレーサビリティ向上への取り組み,食品工業,株式会社光琳,2002年 4月30日,第45巻 第10号,pp.59-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のトレーサビリティシステムによれば、不具合のある製品がそれ以上流通しないようにそれらの流通を停止させることが可能となる。
【0008】
しかしながら、ある調合ロットに不具合が発見された場合、当該調合ロットが使用された製品をトレースすることは、以下の理由で従来困難であった。
【0009】
調合タンクとフィラー装置との間には、一般的にバランスタンク等の中間タンクが設けられている。調合タンクから調合液を送液し始めても、中間タンクには前回の調合ロットの調合液が残存しており、調合タンクから送液された新しい調合ロットの調合液がすぐに容器に充填されるわけではない。
【0010】
また、調合タンクから中間タンクに流入する調合液量と、中間タンクからフィラー装置に流出する調合液量は、通常等しくならない。このため、中間タンクの液残量は、一定ではなく、大きく変動し得る。なお、中間タンクから流出する調合液量は、フィラー装置よる調合液の消費速度に応じて変化する。フィラー装置よる消費速度は、フィラー装置に設定された充填速度や製品の種類(容器の容積等)の他、フィラー装置の稼働状況(故障の有無等)によっても大きく変化する。
【0011】
上記のように、新しい調合ロットの調合液を調合タンクから送液し始める際に前回の調合ロットの調合液が中間タンクに残存している。また、調合液の送液中、中間タンクの液残量は大きく変動し得る。
【0012】
したがって、従来、新たな調合ロットの調合液が充填された容器が含まれる積載パレットのうち、先頭の積載パレットを把握することは実際上困難であるという課題があった。
【0013】
そこで、本発明は、新しい調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る調合ロット管理システムは、
少なくとも2種類の材料を混合し、混合した調合液を貯留する調合タンクと、
前記調合タンクの下流に設置され、充填前の調合液を貯留する中間タンクと、
調合液を容器に充填し、所定数の容器ごとにカートン詰めを行う充填装置であって、前記調合液が充填された容器の数をカウントする容器カウンタを有する充填装置と、
パレット上に所定数のカートンを積載するパレタイザと、
前記調合タンクに接続された配管のバルブの開閉を制御するシーケンサに、調合液の調合レシピおよび送液タイミングに応じて前記バルブの開閉を指示し、前記シーケンサの状態を検知し、前記調合タンクの液残量を測定する第1の残量計の値と、前記中間タンクの液残量を測定する第2の残量計の値と、前記充填装置の容器カウンタのカウント値とを入力するマスターシーケンサと、
を有する液体充填工場を管理する調合ロット管理システムであって、
前記マスターシーケンサに定期的に問い合わせを行い、前記シーケンサの状態と、前記調合タンクおよび前記中間タンクの各液残量と、前記充填装置の容器カウンタのカウント値とを入力する情報入力手段と、
前記シーケンサの状態から所定の調合ロットの送液開始時刻を把握し、送液を開始した調合タンクの送液開始時刻における液残量である調合量を入力する調合量入力手段と、
所定時間ごとに、前記送液を開始した調合タンクの液残量、前記中間タンクの液残量、これらの合計である液滞留合計量、前記液滞留合計量から前記調合量を引いた液滞留再計量、および前記容器カウンタのカウント値を時系列的に記録する入力情報記録手段と、
前記時系列的な記録を参照することにより、前記液滞留再計量が負の値となる時刻である新調合ロット充填開始時刻を検索する切替タイミング検索手段と、
前記新調合ロット充填開始時刻における前記容器カウンタのカウント値に基づいて、新調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを算出するパレットナンバー算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新しい調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について説明する前に、本発明の課題解決原理について
図1を参照して説明する。
図1(a)は、調合タンク3から調合液の送液を開始した時刻(t
0)における様子を示している。
図1(b)は、新しい調合ロットの調合液による充填が始まったと推定される時刻(t
1)における様子を示している。
【0018】
時刻t
0までに調合タンク3内で調合液の調合を完了し、時刻t
0にバルブ20を開いて調合タンク3から調合液の送液を開始する。
【0019】
送液開始時において、
図1(a)に示すように、調合タンク3の調合液の液残量はA(t
0)であり、中間タンク4の液残量はB(t
0)である。中間タンク4には、以前の調合ロットの調合液が残存している。
【0020】
時刻t
0以降、調合タンク3から送液された調合液はバルブ20を通って中間タンク4に貯留され、その後、フィラー装置7により容器80に充填される。
【0021】
前述したように、タンク3からの送液を開始しても、新しい調合ロットの調合液がすぐに容器80に充填されるわけではない。
【0022】
なお、時刻t
0において中間タンク4の液残量B(t
0)を取得しておき、送液開始後、調合タンク3の液残量がA(t
0)−B(t
0)まで減少した時刻を調合ロットの切替タイミングと推定することが考えられる。
【0023】
しかしながら、前述したように、中間タンク4の液残量は、増減し得るものである。よって、調合タンク3の液残量がA(t
0)−B(t
0)まで減少した時刻を調合ロットの切替タイミングとして推定することは適当ではない。
【0024】
そこで、本発明者らは、調合タンク3の液残量と中間タンク4の液残量の和である液滞留合計量S(t)(=A(t)+B(t))に着目した。そして、この液滞留合計量S(t)からA(t
0)を引いた液滞留再計量T(t)(=S(t)−A(t
0))が負の値になった時刻t
1が調合ロットの切替タイミングとして有効であることを見出した。
【0025】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明の実施形態に係る調合ロット管理システム1は、液体充填工場を管理するシステムである。調合ロット管理システム1は、
図2に示すように、コントローラ40と、コントローラ40に通信可能に接続された端末50およびクライアント端末60とを備えている。
【0026】
液体充填工場は、調合タンクの調合液を容器に充填し、所定数の容器をカートンに詰め、所定数のカートンをパレットに積載して積載パレットとして出荷する工場である。
【0027】
液体充填工場は、
図2に示すように、調合タンク2,3と、中間タンク4と、充填装置5と、パレタイザ10と、マスターシーケンサ30とを有している。
【0028】
調合タンク2,3は、少なくとも2種類の材料を混合し、混合した調合液を貯留する。
図2に示すように、調合タンク2にはバルブ17を有する配管13が接続され、調合タンク3にはバルブ18を有する配管14が接続されている。これらの配管17,18を通って調合液の材料(お茶、コーヒー、ミルク等)が調合タンク内に投入される。
【0029】
調合タンク2および調合タンク3には、調合液が交互に調合される。例えば、調合タンク2内で調合液が調合され、調合タンク2から調合液が中間タンク4に送液されている間に、調合タンク3内で調合液を調合する。そして、調合タンク2の調合液の送液が完了すると、調合タンク3から調合液の送液を開始する。このように、2つの調合タンクから交互に調合液を送液することで充填効率を高めている。
【0030】
なお、調合タンクの数は、2つに限るものではなく、1つでもよいし、あるいは3つ以上であってもよい。
【0031】
中間タンク4は、
図2に示すように、調合タンク2,3の下流に設置され、充填前の調合液を貯留する。
【0032】
図2に示すように、調合タンク2,3と中間タンク4の間を接続する配管15が設けられている。この配管15には、調合タンク2,3からの調合液の送液の開始/停止を制御するためのバルブ19,20がそれぞれ設けられている。また、中間タンク4と充填装置5の間を接続する配管16が設けられている。
【0033】
配管15および中配管16は、充填ラインを構成する。この充填ラインも、調合タンク2,3に接続された配管に含まれるものとする。
【0034】
なお、中間タンク4は、1つのタンクに限るものではなく、直列接続された複数のタンク(バランスタンク、アセプタンク、サージタンク、ヘッドタンク等)から構成されてもよい。
【0035】
図2には全てのシーケンサSを図示していないが、配管の各バルブ17〜20には、それぞれバルブの開閉を制御するシーケンサSが設けられている。
【0036】
また、
図2に示すように、調合タンク3および中間タンク4にはそれぞれ、タンク内の液残量を測定する残量計21,22が設けられている。各残量計21,22は、液残量を測定する測定計Mと、測定計Mの測定値を取得してマスターシーケンサ30に送信するシーケンサSとを有する。測定計Mは、例えば、タンク内に貯留された調合液の液面を検出する液面計である。なお、図示していないが、調合タンク2にも同様の構成の残量計が設けられている。
【0037】
充填装置5は、調合タンクから送出された調合液を容器に充填する。充填装置5は、
図2に示すように、容器カウンタ6と、フィラー装置7と、カートン詰め装置8と、カートンカウンタ9とを有する。
【0038】
フィラー装置7は、空の容器80に調合液を充填する。容器カウンタ6は、調合液が充填された充填容器81の数をカウントする。カートン詰め装置8は、所定数の容器ごとにカートン詰めを行う。カートンカウンタ9は、所定数の容器を収納したカートン90の数をカウントする。
【0039】
なお、
図2に示すように、容器カウンタ6にはシーケンサSが設けられており、このシーケンサSは、充填容器81のカウント値をマスターシーケンサ30に送信する。同様に、カートンカウンタ9にもシーケンサSが設けられており、このシーケンサSは、カートン90のカウント値をマスターシーケンサ30に送信する。
【0040】
パレタイザ10は、
図2に示すように、カートン積載装置11と、パレットカウンタ12とを有し、パレット上に所定数のカートンを積載して積載パレットを作る。ここで、カートン積載装置11は、パレット100上に所定数のカートン90を積載する。パレットカウンタ12は、所定数のカートン90が積載された積載パレットの数をカウントする。
【0041】
なお、パレタイザ10付近には、
図2に示すように、コントローラ40と通信可能に接続された端末50が設けられている。端末50は、コントローラ40にパレットナンバーを申請し、パレットナンバーが付与されると、当該パレットナンバーが記載されたパレット票を発行する。作業者は当該パレット票を積載パレットに貼付する。
【0042】
マスターシーケンサ30は、
図2に示すように、複数のシーケンサSおよびコントローラ40と通信手段(図示せず)により通信可能に接続されている。通信手段は、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0043】
マスターシーケンサ30は、配管13,14,15のバルブ17〜20の開閉を制御するシーケンサSに、調合液の調合レシピおよび送液タイミングに応じて、バルブの開閉を指示する。より詳しくは、マスターシーケンサ30は、バルブ17(18)を制御するシーケンサSに、調合液の調合レシピに応じてバルブ17(18)の開閉を指示する。また、マスターシーケンサ30は、バルブ19(20)を制御するシーケンサSに、送液タイミングに応じてバルブ19(20)の開閉を指示する。なお、ここでいう調合レシピは、所望の調合液を調合するための手順のことであり、いつ、どの原料を、どれだけ投入するか等のデータが含まれる。
【0044】
マスターシーケンサ30は、各シーケンサSの状態を検知する。具体的には、マスターシーケンサ30は、各バルブ17〜20の開閉状態を検知する。さらに、マスターシーケンサ30は、調合タンクの液残量を測定する残量計21の値(液残量)と、中間タンク4の液残量を測定する残量計22の値(液残量)と、充填装置5の容器カウンタ6のカウント値とを入力する。なお、マスターシーケンサ30は、カートンカウンタ9のカウント値を入力してもよい。
【0045】
コントローラ40は、上記の液体充填工場を管理するものであり、
図2に示すように、マスターシーケンサ30、端末50およびクライアント端末60と通信可能に接続されている。
【0046】
次に、コントローラ40の詳細について、
図3を参照して説明する。
コントローラ40は、
図3に示すように、制御手段41と、記憶手段42と、通信手段43とを備えている。
【0047】
通信手段43は、コントローラ40がネットワークを介してマスターシーケンサ30や端末50,60と情報を送受信するためのインターフェースである。
【0048】
制御手段41は、
図3に示すように、情報入力手段411と、調合量入力手段412と、入力情報記録手段413と、切替タイミング検索手段414と、パレットナンバー算出手段415と、充填ライン液残量算出手段416とを有している。
【0049】
記憶手段42は、マスターシーケンサ30から取得した情報を記憶するための手段であり、例えば、ハードディスク、不揮発性半導体メモリ等である。なお、記憶手段42は、必ずしもコントローラ40内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0050】
次に、制御手段41の各構成要素について説明する。
情報入力手段411は、マスターシーケンサ30に定期的に問い合わせを行うことにより、シーケンサSの状態と、調合タンク2,3および中間タンク4の各液残量と、充填装置5の容器カウンタ6のカウント値とを入力する。なお、調合タンクの液残量については、調合タンク2および調合タンク3の液残量を入力してもよいし、調合液を送液している一方の調合タンクの液残量のみを入力してもよい。
【0051】
調合量入力手段412は、情報入力手段411が入力したシーケンサSの状態から、所定の調合ロットの送液開始時刻を把握する。例えば、調合量入力手段412は、バルブ20が閉状態から開状態になったことを検知した時刻を、調合タンク3から調合液の送液を開始した時刻(送液開始時刻)として把握する。
【0052】
そして、調合量入力手段412は、送液を開始した調合タンク3の送液開始時刻における液残量(以下、単に「調合量」ともいう。)を入力する。
【0053】
入力情報記録手段413は、所定時間ごとに、送液を開始した調合タンク3の液残量、中間タンク4の液残量、これらの合計である液滞留合計量(総液残量)、液滞留合計量から調合量を引いた液滞留再計量、および容器カウンタ6のカウント値を時系列的に記録する。
【0054】
切替タイミング検索手段414は、入力情報記録手段413により記録された時系列的な記録を参照することにより、液滞留再計量が負の値となる時刻(以下、「新調合ロット充填開始時刻」ともいう。)を検索する。
【0055】
パレットナンバー算出手段415は、新調合ロット充填開始時刻における容器カウンタ6のカウント値に基づいて、新調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを算出する。即ち、パレットナンバー算出手段415は、新調合ロットの調合液が充填された容器を含む積層パレットのうち、先頭の積載パレットのパレットナンバーを算出する。
【0056】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る調合ロット管理システム1による調合ロット管理方法について説明する。なお、以下に説明する方法は、調合タンク2からの調合液の送液を完了し、次に調合タンク3から送液を行う場合を想定したものであるが、逆の場合であっても同様に行うことができる。
【0057】
まず、情報入力手段411は、シーケンサSの状態と、調合タンク3および中間タンク4の各液残量と、充填装置5の容器カウンタ6のカウント値とを入力する(ステップS11)。
【0058】
次に、調合量入力手段412は、ステップS11で入力したシーケンサの状態から所定の調合ロットの送液開始時刻を把握し、送液を開始した調合タンク3の送液開始時刻における液残量を入力する(ステップS12)。なお、送液開始時刻は、
図1を参照して説明した時刻t
0に相当する。
【0059】
次に、入力情報記録手段413は、所定時間ごとに、送液を開始した調合タンク3の液残量A、中間タンク4の液残量B、これらの合計である液滞留合計量S(=A+B)、液滞留合計量Sから調合量Lを引いた液滞留再計量T(=S−L)、および容器カウンタ6のカウント値Xを時系列的に記録する(ステップS13)。
【0060】
図5は、入力情報記録手段413により作成された時系列的な記録の一例を示している。この例では、1分間隔で上記の各種の量(A,B,C,S,T,X)を記録している。また、
図5の場合、ステップS12においてバルブ20のシーケンサSの状態から把握された送液開始時刻は1時56分であった。
【0061】
なお、入力情報記録手段413は、
図5の例のように、充填ライン(配管15および配管16)の液残量を記録してもよい。充填ラインの液残量は、充填ライン液残量算出手段416により算出される。この充填ライン液残量算出手段416は、配管15,16に設けられた測定計により配管内の液残量を測定し、各配管15,16の液残量を合計して充填ラインの液残量を算出する。あるいは、充填ライン液残量算出手段416は、各配管15,16の横断面積に配管長を乗じて得られる体積を配管の液残量として算出してもよい。
【0062】
上記のように充填ラインの液残量を考慮する場合、入力情報記録手段413は、送液を開始した調合タンク3および中間タンク4の液残量A,Bに、充填ラインの液残量Cを加えた液残量(A+B+C)を、液滞留合計量(S)として時系列的に記録する。
【0063】
次に、切替タイミング検索手段414は、ステップS13で作成された時系列的な記録を参照することにより、液滞留再計量が負の値となる時刻である新調合ロット充填開始時刻を検索する(ステップS14)。本ステップで検索された新調合ロット充填開始時刻は、
図1で説明した時刻t
1に相当する。
図5の例では、液滞留再計量Tは2時53分に負の値になることから、新調合ロット充填開始時刻は2時53分となる。
【0064】
次に、パレットナンバー算出手段415は、新調合ロット充填開始時刻における容器カウンタ6のカウント値に基づいて、新調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを算出する(ステップS15)。具体的には、新調合ロット充填開始時刻における容器カウンタ6のカウント値を、1カートンに詰める充填容器の本数および1パレットに積載するカートンの個数に基づいて、パレットナンバーに換算する。
【0065】
図6は、パレットナンバーの算出例を示している。この例では、1カートンあたりの容器の本数は24本であり、1パレットあたりのカートンの個数は48個である。まず、容器カウンタ6のカウント値Xを24で割ってカートンの個数Yを得る。そして、得られたカートンの個数Yを48で割って積載パレットの数(パレットナンバー)Zを得る。なお、YおよびZを算出する際、小数点以下は切り上げて整数とする。
図6(a)の例では、カートンナンバーYは8,091と算出され、パレットナンバーZは169と算出される。
【0066】
なお、カートンナンバーが日ごとにリセットされず、当日のパレットナンバーに換算できない場合がある。このような場合は、前日の最終のカートンナンバーYfを用いて、当日のパレットナンバーを算出する。
図6(b)は、カートンナンバーYfを用いて当日のパレットナンバーを算出する例を示している。
図6(b)に示すように、カートンナンバーYからカートンナンバーYfを引くことで、当日生産されたカートンの個数を示す修正カートンナンバーY’を算出する。この修正カートンナンバーY’を1パレットあたりのカートンの個数で割ることで、容器カウンタ6のカウント値を、当日生産された積載パレットの数に換算することができる。
【0067】
また、上記のようにして算出されたパレットナンバーをカートンカウンタ9のカウント値やパレット票に記載されたパレットナンバーを用いて検証してもよい。
【0068】
次に、調合ロット管理システム1のハードウェア構成例について、
図7を参照して説明する。
コントローラ40は、
図7に示すように、SCADAサーバ45と、このSCADAサーバ45に通信可能に接続されたホストサーバ46とを有する。
【0069】
SCADAサーバ45は、マスターシーケンサ30に通信可能に接続されている。SCADAサーバ45には、情報入力手段411および調合量入力手段412が実装されている。これにより、SCADAサーバ45は、第1の時間間隔でマスターシーケンサ30に問い合わせを行うことにより、シーケンサSの状態と、調合タンク2,3および中間タンク4の各液残量と、充填装置5の容器カウンタ6のカウント値とを入力するとともに、シーケンサSの状態から所定の調合ロットの送液開始時刻を把握し、送液を開始した調合タンクの送液開始時刻における液残量である調合量を入力する。
【0070】
また、SCADAサーバ45は、マスターシーケンサ30から入力したデータを、第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔でホストサーバ46に送信する。
【0071】
ホストサーバ46は、
図7に示すように、Webサーバ70を介してクライアント端末60に通信可能に接続されている。
【0072】
また、ホストサーバ46には、入力情報記録手段413、切替タイミング検索手段414およびパレットナンバー算出手段415が実装されている。これにより、ホストサーバ46は、所定時間ごとに、送液を開始した調合タンク3の液残量、中間タンク4の液残量、これらの合計である液滞留合計量S、液滞留合計量Sから調合量Lを引いた液滞留再計量T、および容器カウンタ6のカウント値を時系列的に記録し、時系列的な記録を参照することにより、液滞留再計量Tが負の値となる時刻(新調合ロット充填開始時刻)を検索し、新調合ロット充填開始時刻における容器カウンタ6のカウント値に基づいて、新調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを算出する。
【0073】
なお、制御手段41の切替タイミング検索手段414および充填ライン液残量算出手段416は、ホストサーバ46に実装されてもよいし、あるいは、Webサーバ70またはクライアント端末60に実装されてもよい。
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、液滞留再計量に着目してこの液滞留再計量が負の値となる時刻を、新しい調合ロットの調合液が充填され始める時刻(新調合ロット充填開始時刻)と推定して、この時刻における容器カウンタのカウント値に基づいて積載パレットのパレットナンバーを算出することで、新しい調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを推定することができる。
【0075】
このように算出されたパレットナンバーを利用することで、トレーサビリティシステムをさらに強化することができる。例えば、ある調合ロットに不具合が発覚した場合、当該調合ロットに切り替わる積載パレットのパレットナンバーを知ることができるため、出荷された製品を迅速に特定し、工場からの出荷停止や、客先センター・小売店から回収等の対策を講じることが可能になる。
【0076】
出荷停止や回収の対象製品に関しては、推定された調合ロット、当該調合ロットの1つ前の調合ロット、および当該調合ロット後の少なくとも1つの調合ロットの製品を基準とすればよい。換言すれば、推定された調合ロットの前々回以前の調合ロットについては、出荷停止や回収対象の対象外と判断すればよい。また、推定された調合ロットに続く調合ロットのうち何ロット分を出荷停止や回収対象の対象とするかは、調合ロットの不具合の内容による。
【0077】
上述した実施形態で説明した調合ロット管理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、調合ロット管理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0078】
また、調合ロット管理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0079】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。