(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業者が、スペーサーの挿入作業を行う際に、スペーサーを落下させてしまう場合がある。かかる際には、当該挿入作業の作業効率が低下することとなる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スペーサーの挿入作業の作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具ユニットは、既設枠材の内側に設けられる新設枠材と、
長手方向が前記新設枠材から前記既設枠材に向かう方向に沿うように、前記新設枠材に取り付けられる固定具と、
前記固定具を貫通させるための切り欠きを備え、前記新設枠材と前記既設枠材との隙間に挿入されるスペーサーと、
を有し、
前記スペーサーは、前記固定具を引っかけるためのフック部を、前記切り欠きの開口部に備えており、
前記固定具が前記フック部に引っかかった状態で前記スペーサーが前記固定具を中心に回転する前記スペーサーの回転動作を規制することにより、前記スペーサーの前記状態を維持させる規制部が、前記隙間に設けられて
おり、
前記開口部の開口幅は、前記固定具の直径よりも大きいことを特徴とする建具ユニットである。
【0007】
このような建具ユニットによれば、作業者が、スペーサーの挿入作業を行う際に、スペーサーを落下させてしまうことが適切に回避されることとなる。そのため、当該挿入作業の作業効率が向上する。
また、このような建具ユニットによれば、スペーサーの挿入作業を行う際に、スペーサーが落下し易い状況にある。したがって、上述した効果、すなわち、スペーサーを落下させてしまうことが適切に回避され挿入作業の作業効率が向上する効果が、より有効に発揮されることとなる。
【0008】
かかる建具ユニットであって、前記既設枠材に取り付けられる新設補助枠材を有し、
前記新設枠材と前記新設補助枠材との間に隙間が設けられた状態で、前記新設枠材は、前記新設補助枠材に対し、前記固定具で固定されており、
前記スペーサーは、前記隙間に挿入されることが望ましい。
【0009】
このような建具ユニットによれば、スペーサーをスムーズに挿入できる効果が、前述した効果(すなわち、スペーサーを落下させてしまうことが適切に回避される効果)に加えて、奏されることとなる。そして、双方の相乗効果により、スペーサーの挿入作業の作業効率がより向上する。
【0010】
かかる建具ユニットであって、前記規制部は、
前記新設枠材から前記既設枠材の方向へ突出し、前記新設枠材に気密材を固定するための気密材固定部であり、
前記スペーサーと接触することにより前記回転動作を規制することが望ましい。
【0011】
このような建具ユニットによれば、気密材固定部に気密材固定機能と規制機能の双方を持たせることにより、規制用の専用部材を省略することが可能となる。
【0014】
かかる建具ユニットであって、前記フック部は、前記切り欠きの内部へ向かって突き出た突起部を有し、
前記回転動作が前記規制部により規制されて、前記固定具が前記フック部に引っかかった状態が維持されている際に、前記突起部の先端は、前記固定具の上端よりも下方に位置することが望ましい。
【0015】
このような建具ユニットによれば、スペーサーのフック部への引っかかり状態が確実なものとなり、スペーサーの落下がより適切に回避されることとなる。
【0016】
かかる建具ユニットであって、前記回転動作が前記規制部により規制されて、前記固定具が前記フック部に引っかかった状態が維持されている際に、前記スペーサーの一部が前記新設枠材の見付け面よりも見込み方向に突出することが望ましい。
【0017】
このような建具ユニットによれば、作業者が、露出した部分を容易に掴むことができるので、スペーサーの位置を正規位置へ簡便に位置させることが可能となる。したがって、スペーサーの挿入作業の作業効率がより向上する。
【0018】
かかる建具ユニットであって、前記スペーサーは、四辺を有する方形状の薄板であり、かつ、前記切り欠きとして第一切り欠き及び第二切り欠きを備え、
前記第一切り欠きの前記開口部である第一開口部と前記第二切り欠きの前記開口部である第二開口部は、前記四辺のうちの同一の第一辺に設けられており、
前記第一切り欠きの長手方向と前記第二切り欠きの長手方向の双方は、前記第一辺と直交する第二辺の第二辺方向に沿っており、
前記第二開口部から遠い方の前記第一開口部の端と、前記第一開口部から遠い方の前記第二開口部の端とに、前記フック部がそれぞれ備えられていることが望ましい。
【0019】
このような建具ユニットによれば、作業者が、スペーサーを掴んで隙間に近づけた際に、逆であることに気付き、スペーサーを反転させるためにスペーサーを持ち替えなければならない状況が生じなくなる。したがって、スペーサーの挿入作業の作業効率がより向上する。
【0020】
かかる建具ユニットであって、前記スペーサーは、前記切り欠きとは異なる他の切り欠きを備え、
該他の切り欠きの開口部には、固定具を引っかけるためのフック部が備えられていないことが望ましい。
【0021】
このような建具ユニットによれば、スペーサーを、フック部が必要ない他の枠に対しても用いることができる。すなわち、一つのスペーサーを、フック部が必要な枠とフック部が必要ない枠の双方に用いることができる。
【0022】
かかる建具ユニットであって、前記スペーサーは、四辺を有する方形状の薄板であり、
前記他の切り欠きの長手方向は、前記四辺のうちの第一辺の第一辺方向に沿っている一方で、前記切り欠きの長手方向は、前記第一辺と直交する第二辺の第二辺方向に沿っていることが望ましい。
【0023】
このような建具ユニットによれば、一つのスペーサーを幅が異なる複数種類の枠に対して用いることができる。
【0024】
かかる建具ユニットであって、前記スペーサーは、四辺を有する方形状の薄板であり、かつ、前記切り欠きとは異なる他の切り欠きを備え、
該他の切り欠きの長手方向は、前記四辺のうちの第一辺の第一辺方向に沿っている一方で、前記切り欠きの長手方向は、前記第一辺と直交する第二辺の第二辺方向に沿っており、
前記他の切り欠きの開口部には、固定具を引っかけるためのフック部が備えられていることが望ましい。
【0025】
このような建具ユニットによれば、一つのスペーサーを、フック部が必要であり、かつ、幅が異なる複数種類の枠に対して、用いることができる。
【0026】
また、本発明の建具ユニットは、建物に形成された開口の内側に設けられる枠材と、
長手方向が前記枠材から前記建物側に向かう方向に沿うように、前記枠材に取り付けられる固定具と、
前記固定具を貫通させるための切り欠きを備え、前記開口の内面と前記枠材との隙間に挿入されるスペーサーと、
を有し、
前記スペーサーは、前記固定具を引っかけるためのフック部を、前記切り欠きの開口部に備えており、
前記固定具が前記フック部に引っかかった状態で前記スペーサーが前記固定具を中心に回転する前記スペーサーの回転動作を規制することにより、前記スペーサーの前記状態を維持させる規制部が、前記隙間に設けられていることを特徴とする建具ユニットである。
【0027】
このような建具ユニットによれば、作業者が、スペーサーの挿入作業を行う際に、スペーサーを落下させてしまうことが適切に回避されることとなる。そのため、当該挿入作業の作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、スペーサーの挿入作業の作業効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
===本実施の形態に係る改装用新設建具ユニット10について===
本実施の形態に係る改装用新設建具ユニット10(建具ユニットに相当)について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、改装用新設建具ユニット10に係る新設縦枠22の周辺構成を説明するための水平断面図である。
図2は、改装用新設建具ユニット10に係る新設上枠26の周辺構成を説明するための縦断面図である。
【0031】
なお、以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の改装用新設建具ユニット10を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。
【0032】
改装用新設建具ユニット10は、既設の引違い障子を外して新設の引違い障子を導入する際に使用されるユニットである。かかる際には、既設枠体70に被せるように新設枠体20が設置され、さらに新設枠体20に対して新設の引違い障子(単に、新設障子90と呼ぶ)が取り付けられる。
【0033】
改装用新設建具ユニット10は、新設枠体20と、新設補助枠30と、スペーサー50と、カバー材68と、を有している。
【0034】
新設枠体20は、既設枠体70の内側に設けられる枠体である。すなわち、新設枠体20は、既設枠体70に被さるように設けられる枠体である。
【0035】
ここで、既設枠体70は、既設の引違い障子用のアルミニウム製枠体であり、左右の既設縦枠72(
図1参照)と既設上枠76(
図2参照)と既設下枠(不図示)を備えている。そして、既設枠体70は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口を形成している。既設縦枠72は、上下方向に延びた長尺状の部材であり、既設上枠76と既設下枠は、左右方向に延びた長尺状の部材である。
【0036】
一方、新設枠体20は、新設の引違い障子用のアルミニウム製枠体であり、左右の新設縦枠22(
図1参照)と新設上枠26(
図2参照)と新設下枠(不図示)を備えている。そして、新設枠体20は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、前述した開口内に収容されている。新設縦枠22は、上下方向に延びた長尺状の部材であり、新設上枠26と新設下枠は、左右方向に延びた長尺状の部材である。
【0037】
そのため、
図1に示すように、新設縦枠22は、既設縦枠72の左右方向における内側に設けられ、
図2に示すように、新設上枠26は、既設上枠76の上下方向における内側(換言すれば、下側)に設けられている。なお、既設縦枠72は、建物の躯体80に対しアンカー82を介して固定され(
図1参照)、同様に、既設上枠76も、当該躯体80に対しアンカー82を介して固定されている(
図2参照)。
【0038】
また、室外側において、新設縦枠22と既設縦枠72との間には、
図1に示すように、気密材92が設けられている。本実施の形態において、この気密材92は、新設縦枠22の方に取り付けられている。より具体的には、新設縦枠22には、当該新設縦枠22の上端部から下端部に亘って上下方向に延びた気密材固定部22aが設けられ、この気密材固定部22aに気密材92が固定されている。なお、気密材固定部22aは、見込み方向において中央よりも室外側に位置しており、新設縦枠22から既設縦枠72の方向へ若干突出している。
【0039】
また、同様に、室外側において、新設上枠26と既設上枠76との間には、
図2に示すように、気密材92が設けられている。本実施の形態において、この気密材92は、新設上枠26の方に取り付けられている。より具体的には、新設上枠26には、当該新設上枠26の左端部から右端部に亘って左右方向に延びた気密材固定部26aが設けられ、この気密材固定部26aに気密材92が固定されている。
【0040】
新設補助枠30は、新設枠体20を既設枠体70に取り付けるためのものである。つまり、新設枠体20は、新設補助枠30を介して既設枠体70に取り付けられる。この新設補助枠30は、アルミニウム製の枠体である。
【0041】
なお、新設枠体20を既設枠体70に取り付ける際に、新設補助枠30を介在させる理由は以下の通りである。すなわち、後述するように、新設枠体20と既設枠体70(新設補助枠30)との間には、スペーサー50が設けられるが、仮に、新設補助枠30を導入することなく、新設枠体20と既設枠体70との間にスペーサー50を設けた場合には、古い枠体である既設枠体70の平滑度合いに難がある接触面(例えば、凸凹な面)にスペーサー50が接触する可能性がある。これに対し、新設補助枠30を設けて、新設枠体20と新設補助枠30との間にスペーサー50を設ければ、新設補助枠30の平滑な接触面にスペーサー50を接触させることができるからである。
【0042】
図1に示すように、新設縦枠22用の新設補助枠30(以下、縦枠用補助枠32と呼ぶ)は、左右方向において、新設縦枠22と既設縦枠72の間に位置している。そして、縦枠用補助枠32は、既設縦枠72に第一ビス40で固定されている。第一ビス40は、その長手方向が縦枠用補助枠32から既設縦枠72に向かう方向(すなわち、左右方向)に沿うように、縦枠用補助枠32と既設縦枠72に取り付けられている。なお、第一ビス40は、上下方向において等間隔に、複数個(例えば、6個)備えられている。
【0043】
そして、新設縦枠22と縦枠用補助枠32との間に隙間が設けられた状態で、新設縦枠22は、縦枠用補助枠32に対し、固定具の一例としての第二ビス42で固定されている(取り付けられている)。第二ビス42は、その長手方向が新設縦枠22から既設縦枠72(縦枠用補助枠32)に向かう方向(すなわち、左右方向)に沿うように、新設縦枠22と縦枠用補助枠32に取り付けられている。なお、第二ビス42も、上下方向において等間隔に、複数個(例えば、6個)備えられている。
【0044】
また、
図2に示すように、新設上枠26用の新設補助枠30(以下、上枠用補助枠36と呼ぶ)は、上下方向において、新設上枠26と既設上枠76の間に位置している。そして、上枠用補助枠36は、既設上枠76に第一ビス40で固定されている(取り付けられている)。なお、第一ビス40は、左右方向において等間隔に、複数個(例えば、6個)備えられている。
【0045】
そして、新設上枠26と上枠用補助枠36との間に隙間が設けられた状態で、新設上枠26は、上枠用補助枠36に対し、第二ビス42で固定されている。なお、第二ビス42も、左右方向において等間隔に、複数個(例えば、6個)備えられている。
【0046】
スペーサー50は、新設枠体20と既設枠体70との間に一枚又は複数枚挿入される樹脂製の薄板であるである。本実施の形態において、スペーサー50は、新設枠体20と新設補助枠30との間に形成された隙間に挿入される。
【0047】
スペーサー50の役割は、以下の通りである。すなわち、既設枠体70は古い枠体であるため、変形や寸法のずれ等が既設枠体70に生じている可能性がある。そのため、スペーサー50を挿入することなく、既設枠体70に対して新設枠体20を設けると、新設枠体20が所望の位置に設置されない可能性がある(例えば、曲がって取り付けられる可能性がある)。そして、スペーサー50を用いることとすれば、スペーサー50の使用有無や使用枚数を加減することにより、新設枠体20が所望の位置に設置されるように調整することが可能となる。
【0048】
図1に示すように、スペーサー50は、新設縦枠22と既設縦枠72との間(具体的には、新設縦枠22と縦枠用補助枠32との間に形成された隙間)に、スペーサー50の面外方向(換言すれば、法線方向)が左右方向に沿うように挿入される。また、詳細については後述するが、スペーサー50には、切り欠かれた箇所が存在し、前述した第二ビス42が当該箇所を貫通した状態でスペーサー50が設置されることとなる(
図4参照)。そのため、スペーサー50は、第二ビス42の各々に対応して設けられることとなり、上下方向において等間隔に、複数箇所(例えば、6箇所)備えられる。
【0049】
また、
図2に示すように、スペーサー50は、新設上枠26と既設上枠76との間(具体的には、新設上枠26と上枠用補助枠36との間に形成された隙間)に、スペーサー50の面外方向(換言すれば、法線方向)が上下方向に沿うように挿入される。また、詳細については後述するが、スペーサー50には、切り欠かれた箇所が存在し、前述した第二ビス42が当該箇所を貫通した状態でスペーサー50が設置されることとなる。そのため、スペーサー50は、第二ビス42の各々に対応して設けられることとなり、左右方向において等間隔に、複数箇所(例えば、6箇所)備えられる。
【0050】
なお、スペーサー50については、後にさらに詳しく述べる。
【0051】
カバー材68は、室内側において、新設枠体20と既設枠体70との間の隙間をカバーする部材である。そのため、カバー材68は、スペーサー50等を室内側から見えなくする役割を果たす。このカバー材68は、見込み方向において新設枠体20や既設枠体70よりも室内側に位置し、前記隙間を覆っている。
【0052】
図1に示すように、カバー材68は、新設縦枠22に固定され、新設縦枠22と既設縦枠72との間の隙間を覆うように、新設縦枠22から既設縦枠72に亘って設けられている。なお、カバー材68と既設縦枠72との間には、気密材92が設けられている。
【0053】
また、
図2に示すように、カバー材68は、新設上枠26に固定され、新設上枠26と既設上枠76との間の隙間を覆うように、新設上枠26から既設上枠76に亘って設けられている。なお、カバー材68と既設上枠76との間には、気密材92が設けられている。
【0054】
このように構成された改装用新設建具ユニット10は、以下のような手順で施工される。
【0055】
作業者は、先ず、既設枠体70に、新設補助枠30を、第一ビス40を用いて固定する。
【0056】
次に、作業者は、新設補助枠30が取り付けられた既設枠体70の内側に新設枠体20を入れ込み、新設枠体20を新設補助枠30に対し第二ビス42で仮止めすることにより、新設枠体20を仮設置する。
【0057】
次に、作業者は、新設枠体20が所望の位置に位置するように、新設枠体20の既設枠体70に対する相対位置を、スペーサー50を用いて調整する。この際に、作業者は、室内側から、スペーサー50を、新設枠体20と既設枠体70との間(新設枠体20と新設補助枠30との間の隙間)に挿入する。
【0058】
そして、作業者は、新設枠体20が所望の位置に位置すると判断した際に、スペーサー50の挿入作業を終了し、第二ビス42を本止めすることにより新設枠体20を本設置する。
【0059】
最後に、作業者は、カバー材68を新設枠体20(新設縦枠22、新設上枠26)に固定する。
【0060】
===本実施の形態に係るスペーサー50について===
次に、本実施の形態に係るスペーサー50について、
図3乃至
図5を用いて、さらに詳しく説明する。
図3は、スペーサー50を示した図である。
図4及び
図5については、後述する。
【0061】
スペーサー50は、四辺(二つの長辺及び二つの短辺)を有する長方形状の部材である。なお、スペーサー50には、切り欠かれた箇所が存在するため、当然のことながら厳密な長方形状を有しているわけではない。つまり、「長方形状」とは、厳密な長方形を意味するものではない。また、以下の説明では、四辺を、第一短辺50a、第二短辺50b、第一長辺50c、第二長辺50dとする(
図3参照)。なお、本実施の形態ではスペーサー50を長方形状としたが、正方形状や台形状など、方形状であれば構わない。
【0062】
本実施の形態に係るスペーサー50には、前記切り欠かれた箇所が三箇所存在する。なお、便宜上、各々を、第一切り欠き52(切り欠きに相当)、第二切り欠き54(切り欠きに相当)、第三切り欠き56(切り欠きとは異なる他の切り欠きに相当)とする(
図3参照)。
【0063】
第一切り欠き52は、その長手方向が長辺方向(第一辺と直交する第二辺の第二辺方向に相当)に沿うように、スペーサー50に設けられている。そして、第一切り欠き52の長手方向における一端は、短辺まで達して開口部(第一開口部52aと呼ぶ)となっており、一方で、他端は、短辺まで達しておらず、行き止まり部(第一行き止まり部52bと呼ぶ)となっている。すなわち、第一開口部52aは、四辺のうちの第一短辺50a(第一辺に相当)に設けられている。なお、第一開口部52aの開口幅は、第二ビス42の直径よりも大きくなっている(
図4及び
図5参照)。
【0064】
また、第一切り欠き52は、短辺方向(第一辺方向に相当)において、短辺の中央ではなく中央よりも外側(第一長辺50c側)に設けられている。なお、第一行き止まり部52bは、長辺方向において、長辺の略中央に位置している。
【0065】
第一切り欠き52の役割は、以下の通りである。すなわち、スペーサー50は、前述したとおり、第二ビス42の各々に対応して設けられるが、スペーサー50も第二ビス42も新設縦枠22と縦枠用補助枠32との間に備えられ、かつ、第二ビス42の長手方向とスペーサー50の面外方向がいずれも左右方向に沿うこととなる。そのため、スペーサー50には、第二ビス42を通す(貫通させる)ための空間が必要となり、第一切り欠き52はこの空間の役割を果たすこととなる。
【0066】
図4は、スペーサー50が新設縦枠22と縦枠用補助枠32の間に挿入された際のスペーサー50の様子を示した図である。
図4には、スペーサー50と第二ビス42と新設縦枠22が表され、それらの位置関係が示されている。その一方で、縦枠用補助枠32の記載は省略している。
【0067】
図4に示すように、挿入されたスペーサー50は、その長辺方向(第二辺方向)が左右方向に、その短辺方向(第一辺方向)が上下方向に沿うような位置に位置している。また、第一開口部52aが設けられた第一短辺50aは、三点(短辺方向における第一短辺50aの両端部と中央部)で、前述した気密材固定部22aに接触している。
【0068】
そして、第二ビス42は、第一切り欠き52の内部に位置し、第一切り欠き52を前記左右方向(
図4において紙面を貫く方向)に貫通している。
【0069】
また、第一切り欠き52(具体的には、第一切り欠き52の上縁部52c)は、第二ビス42によって支持される被支持部の役割を果たす。すなわち、スペーサー50は、上縁部52cが第二ビス42によって支持されることにより、上記位置に留まっている。
【0070】
なお、第二ビス42を通す(貫通させる)ための空間を、穴とせずに上記のように開口部を備える切り欠きとしたのは、第二ビス42が既に取り付けられている状態でスペーサー50を挿入することができるようにするためである。つまり、作業者がスペーサー50を挿入する際には、作業者は、室内側にて作業を行い、第一切り欠き52の第一開口部52aが第一行き止まり部52bよりも先行して新設縦枠22と縦枠用補助枠32との間に入り込むように、スペーサー50を挿入する。そして、スペーサー50の挿入中には、第二ビス42が第一開口部52aを通過した後に、第一切り欠き52の内部に位置し、作業者が、第一短辺50aが気密材固定部22aに接触するまで、スペーサー50を押し込むと、スペーサー50は、
図4に示した位置(以下、当該位置を第一位置とも呼ぶ)に位置することとなる。
【0071】
ところで、作業者が、スペーサー50の挿入作業を行う際に、スペーサー50の押し込みが不十分であると(つまり、第一短辺50aが気密材固定部22aに到達するまで押し込まないと)、作業者がスペーサー50から手を離したときに、スペーサー50が回転しながら室内側かつ下側へと移動してしまう場合がある。そして、かかる際には、第二ビス42が、第一切り欠き52内部を相対移動して第一開口部52aに至り、当該第一開口部52aに備えられた後述するフック部(第一フック部53と呼ぶ)に引っかかって、スペーサー50が、
図5に示した位置(以下、当該位置を第二位置とも呼ぶ)に位置することとなる。
【0072】
第一フック部53は、第二ビス42を引っかけるためのものであり、第一切り欠き52の内部へ突き出た突起部53aを有している。この第一フック部53は、
図3に示すように、第一切り欠き52の第一開口部52aに備えられている。より具体的には、第一フック部53は、第一開口部52aの二つの端、すなわち、第一短辺50aの端部寄りの端52d及び第一短辺50aの中央寄りの端52e、のうちの前者の端に設けられている。
【0073】
図5に示すように、回転移動後の(第二位置の)スペーサー50においては、その長辺方向(第二辺方向)が左右方向に沿っておらず、当該スペーサー50は、第一位置のスペーサー50(すなわち、
図4に示したスペーサー50)とは異なり、傾いた状態となっている。そして、第二ビス42は、第一フック部53に引っかかった状態となっている。
【0074】
また、第二位置のスペーサー50は、気密材固定部22aに接触部50eにて接触しており、当該気密材固定部22aは、スペーサー50の回転動作、すなわち、第二ビス42が第一フック部53に引っかかった状態でスペーサー50が第二ビス42を中心に回転する回転動作、を規制している(つまり、スペーサー50には自重の重力に起因した回転力がかかっているが、実際の回転は気密材固定部22aにより止められている)。そして、気密材固定部22aのこのような規制作用により、スペーサー50が第一フック部53に引っかかった状態が維持されている。
【0075】
つまり、スペーサー50の上記回転動作を規制することによりスペーサー50の前記状態(すなわち、引っかかった状態)を維持させる規制部が新設縦枠22に設けられており、本実施の形態においては、気密材固定部22aが、スペーサー50と接触することにより、この規制部の役割を担っている。
【0076】
そして、このような第一フック部53と規制部が設けられることにより、作業者が、スペーサー50の挿入作業を行う際に、スペーサー50を落下させてしまうことが適切に回避されることとなる。そのため、当該挿入作業の作業効率が向上するというメリットが生ずる。
【0077】
なお、本実施の形態においては、前述したとおり、第一開口部52aの開口幅が、第二ビス42の直径よりも大きくなっているため、スペーサー50の挿入作業を行う際に、スペーサー50が落下し易い状況にある。したがって、本実施の形態においては、上述した効果、すなわち、スペーサー50を落下させてしまうことが適切に回避され挿入作業の作業効率が向上する効果がより有効に発揮されることとなる。
【0078】
また、本実施の形態においては、スペーサー50の前述した第一短辺50aと二つの長辺のうちのより下側に位置する長辺(すなわち、第二長辺50d)との境界部に位置する頂点が、スペーサー50が気密材固定部22aに接触する接触部50eとなっている。
【0079】
また、前記回転動作が規制部により規制されて、第二ビス42が第一フック部53に引っかかった状態が維持されている際に(すなわち、
図5に示すように、スペーサー50が第二位置に位置する際に)、前記突起部53aの先端53bは、第二ビス42の上端42aよりも下方に位置する。
【0080】
そのため、スペーサー50の第一フック部53への引っかかり状態が確実なものとなり、スペーサー50の落下がより適切に回避されることとなる。なお、当該先端53bが第二ビス42の中心42bよりも下方に位置していれば、当該引っかかり状態がさらに確実なものとなり、スペーサー50の落下がより一層適切に回避されることとなる。そのため、かかる形態であれば、より望ましい。
【0081】
また、前記回転動作が規制部により規制されて、第二ビス42が第一フック部53に引っかかった状態が維持されている際に(すなわち、
図5に示すように、スペーサー50が第二位置に位置する際に)、スペーサー50の一部(露出部50f)が新設縦枠22の見付け面22b(
図1及び
図5参照)よりも見込み方向に突出するようになっている。
【0082】
そのため、作業者が、当該露出部50fを容易に掴むことができるので、スペーサー50の位置を正規位置(すなわち、
図4に示した第一位置)へ簡便に位置させることが可能となる。したがって、スペーサー50の挿入作業の作業効率がより向上するというメリットが生ずる。
【0083】
次に、第二切り欠き54及び第三切り欠き56について説明する。
【0084】
第二切り欠き54は、第一切り欠き52と同様、その長手方向が長辺方向に沿うように、スペーサー50に設けられている。そして、第一切り欠き52と同様、第二切り欠き54の長手方向における一端は、短辺まで達して開口部(第二開口部54aと呼ぶ)となっており、一方で、他端は、短辺まで達しておらず、行き止まり部(第二行き止まり部54bと呼ぶ)となっている。すなわち、第二開口部54aと前述した第一開口部52aは、四辺のうちの同一の第一辺(つまり、第一短辺50a)に設けられている。なお、第二開口部54aの開口幅も、第二ビス42の直径より大きくなっている。
【0085】
また、第二切り欠き54は、第一切り欠き52と同様、短辺方向において、短辺の中央ではなく中央よりも外側(長辺側)に設けられているが、当該中央を挟んで第一切り欠き52とは逆側に位置している(すなわち、第二長辺50d側に設けられている)。つまり、第二切り欠き54は、当該中央を通り長辺方向に平行な線を軸としたときに第一切り欠き52と略線対称となっている。
【0086】
また、第二切り欠き54にもフック部(第二フック部55と呼ぶ)が設けられている。この第二フック部55は、第二切り欠き54の第二開口部54aに備えられている。より具体的には、第二フック部55は、第二開口部54aの二つの端、すなわち、第一短辺50aの端部寄りの端54c及び第一短辺50aの中央寄りの端54d、のうちの前者の端に設けられている。したがって、第二開口部54aから遠い方の第一開口部52aの端と、第一開口部52aから遠い方の第二開口部54aの端に、第一切り欠き52と第二切り欠き54の第一フック部53及び第二フック部55がそれぞれ備えられていることになる。また、第二フック部55も、第一フック部53と同様、第二切り欠き54の内部へ突き出た突起部55aを有している。
【0087】
なお、第一切り欠き52の第一行き止まり部52bは、長辺方向において、長辺の略中央に位置していたが、第二切り欠き54の第二行き止まり部54bは、長辺方向において、長辺の中央を越えた位置まで至っている。つまり、第一切り欠き52の長辺方向における長さは、第二切り欠き54の長辺方向における長さよりも短くなっている。これは、後述する第三切り欠き56のためのスペースをスペーサー50に確保するためである。
【0088】
第二切り欠き54の役割は、第一切り欠き52と同様、第二ビス42を通す(貫通させる)ための空間の役割であるが、第一切り欠き52に加えて上記のように構成された第二切り欠き54をスペーサー50に設けたため、以下のメリットが生じる。
【0089】
すなわち、作業者が、スペーサー50の挿入作業を行うために、スペーサー50を掴んで新設縦枠22と縦枠用補助枠32の間(隙間)に近づけた際に、第一切り欠き52が第二切り欠き54よりも上方に位置していれば第二ビス42が第一切り欠き52へ入るようにスペーサー50を挿入すればよいし、第一切り欠き52が第二切り欠き54よりも下方に位置していれば第二ビス42が第二切り欠き54へ入るようにスペーサー50を挿入すればよいことになる。
【0090】
つまり、第一切り欠き52しか設けられていない場合には、作業者が、スペーサー50を掴んで新設縦枠22と縦枠用補助枠32の隙間に近づけた際に、逆であることに気付き、スペーサー50を反転させるためにスペーサー50を持ち替えなければならない状況が生じ得るが、第二切り欠き54が設けられているため、このような状況が生じなくなる。したがって、スペーサーの挿入作業の作業効率がより向上する。
【0091】
第三切り欠き56は、第一切り欠き52や第二切り欠き54とは異なり、その長手方向が短辺方向に沿うように、スペーサー50に設けられている。そして、第三切り欠き56の長手方向における一端は、長辺まで達して開口部(第三開口部56aと呼ぶ)となっており、一方で、他端は、長辺まで達しておらず、行き止まり部(第三行き止まり部56bと呼ぶ)となっている。すなわち、第三開口部56aは、四辺のうちの第一長辺50c(二つの長辺のうちの第二切り欠き54よりも第一切り欠き52に近い長辺)に設けられている。なお、第三開口部56aの開口幅も、第二ビス42の直径より大きくなっている。
【0092】
また、第三切り欠き56は、長辺方向において、長辺の中央よりも外側(第二短辺50b側)に設けられている。なお、第三切り欠き56には、第一切り欠き52及び第二切り欠き54とは異なり、フック部が設けられていない。また、第三切り欠き56の第三行き止まり部56bは、短辺方向において、短辺の略中央に位置している。
【0093】
第三切り欠き56の役割は、第一切り欠き52及び第二切り欠き54と同様、第二ビス42を通す(貫通させる)ための空間の役割であるが、第一切り欠き52や第二切り欠き54に加えて上記のように構成された第三切り欠き56をスペーサー50に設けたため、以下のメリットが生じる。
【0094】
すなわち、第三切り欠き56の第三開口部56aには、第二ビス42を引っかけるためのフック部が備えられていない。そのため、スペーサー50を、フック部が必要ない他の枠に対しても用いることができる。すなわち、一つのスペーサー50を、フック部が必要な枠とフック部が必要ない枠の双方に用いることができる。
【0095】
なお、フック部が必要ない枠としては、例えば、上述した新設上枠26を挙げることができる。すなわち、新設上枠26と既設上枠76との間(具体的には、新設上枠26と上枠用補助枠36との間に形成された隙間)にスペーサー50が挿入される際には、スペーサー50の面外方向(換言すれば、法線方向)が上下方向に沿うように挿入される。そのため、第二ビス42が切りかかれた箇所を貫通した状態でスペーサー50が設置され、当該切りかかれた箇所の開口部に仮にフック部があったとしても、当該フック部に第二ビス42が引っかかることはない。したがって、スペーサー50の挿入中に第二ビス42が開口部をスムーズに通過することも考慮して、本実施の形態においては、第三開口部56aにフック部がない第三切り欠き56を第二ビス42が貫通するようにスペーサー50が挿入されるようになっている。
【0096】
また、第三切り欠き56の長手方向は、四辺のうちの第一辺(本実施の形態においては、短辺)の短辺方向に沿っている一方で、第一切り欠き52(第二切り欠き54)の長手方向は、第一辺と直交する第二辺(本実施の形態においては長辺)の長辺方向に沿っている。
【0097】
そのため、一つのスペーサー50を幅が異なる複数種類の枠に対して用いることができる。本実施の形態においては、第三切り欠き56の長手方向におけるスペーサー50の幅(つまり、短辺の長さ)の方が、第一切り欠き52(第二切り欠き54)の長手方向におけるスペーサー50の幅(つまり、長辺の長さ)よりも小さい。そのため、新設縦枠22だけでなく、当該新設縦枠22よりも幅が小さい枠に対しても、当該スペーサー50を用いることができる。
【0098】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0099】
上記実施の形態においては、建具ユニットとして改装用新設建具ユニット10を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、新築用の新設建具ユニットにも本発明を適用することができる。
【0100】
例えば、建物に形成された開口の内側に設けられる枠体と、長手方向が枠体から建物側に向かう方向に沿うように、枠体に取り付けられる固定具の一例としての第二ビス42と、第二ビス42を貫通させるための切り欠きの一例としての第一切り欠き52を備え、開口の内面と枠体との隙間に挿入されるスペーサー50と、を有する新築用の新設建具ユニットにおいて、スペーサー50は、第二ビス42を引っかけるための第一フック部53を、第一切り欠き52の第一開口部52aに備えており、第二ビス42が第一フック部53に引っかかった状態でスペーサー50が第二ビス42を中心に回転するスペーサー50の回転動作を規制することにより、スペーサー50の前記状態を維持させる規制部が、前記隙間に設けられていることとしてもよい。
【0101】
かかる新築用の新設建具ユニットにおいても、作業者が、スペーサー50の挿入作業を行う際に、スペーサー50を落下させてしまうことが適切に回避されることとなる。そのため、当該挿入作業の作業効率が向上する。
【0102】
また、上記実施の形態においては、既設縦枠72に取り付けられる縦枠用補助枠32を有し、新設縦枠22と縦枠用補助枠32との間に隙間が設けられた状態で、新設縦枠22は、縦枠用補助枠32に対し、第二ビス42で固定されており、スペーサー50は、前記隙間に挿入されることとした。しかしながら、これに限定されるものではない。
【0103】
例えば、縦枠用補助枠32は存在せず、新設縦枠22と既設縦枠72との間に隙間が設けられた状態で、新設縦枠22は、既設縦枠72に対し、第二ビス42で固定されており、スペーサー50は、前記隙間に挿入されることとしてもよい。
【0104】
新設縦枠22と既設縦枠72との間に設けられた隙間にスペーサー50が挿入される際には、経年劣化に起因した凸凹(平滑度合いに難がある面)が既設縦枠72に生じている場合があるため、スペーサー50がスムーズに挿入できない事態が生じ得る。
【0105】
これに対し、新設の(つまり、凸凹がない)縦枠用補助枠32を導入し、新設縦枠22と当該縦枠用補助枠32との間に設けられた隙間にスペーサー50を挿入するようにすれば、スペーサー50をスムーズに挿入できる効果が、前述した効果(すなわち、スペーサー50を落下させてしまうことが適切に回避される効果)に加えて、奏されることとなる。そして、双方の相乗効果により、スペーサー50の挿入作業の作業効率がより向上する。この点で、上記実施の形態の方が望ましい。
【0106】
また、上記実施の形態において、規制部は、新設縦枠22から既設縦枠72の方向へと突出し、新設縦枠22に気密材92を固定するための気密材固定部22aであり、スペーサー50と接触することにより前記回転動作を規制することとした。すなわち、上記実施の形態においては、規制部の機能を気密材固定部22aに持たせることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、当該機能を、気密材固定部22aとは異なる規制用の専用部材に持たせることとしてもよいし、縦枠用補助枠32や既設縦枠72に持たせてもよい。
【0107】
ただし、気密材固定部22aに気密材固定機能と規制機能の双方を持たせることにより、規制用の専用部材を省略することが可能となる点で、上記実施の形態の方が望ましい。
【0108】
また、上記実施の形態においては、第三切り欠き56に、フック部が備えられていないこととしたが、
図6に示すように、第三切り欠き56に、フック部が備えられていることとしてもよい。
【0109】
すなわち、
図6に示したスペーサー50(変形例に係るスペーサー50と呼ぶ)は、上記実施の形態と同様、四辺を有する長方形状の薄板であり、かつ、第一切り欠き52や第二切り欠き54とは異なる第三切り欠き56を備え、第三切り欠き56の長手方向は、四辺のうちの第一辺(短辺)の短辺方向に沿っている一方で、第一切り欠き52(第二切り欠き54)の長手方向は、第一辺と直交する第二辺(長辺)の長辺方向に沿っている。しかしながら、上記実施の形態とは異なり、第三切り欠き56の第三開口部56aには、第二ビス42を引っかけるための第三フック部102が備えられている。
【0110】
そして、変形例によれば、一つのスペーサー50を、フック部が必要であり、かつ、幅が異なる複数種類の枠に対して、用いることができる。例えば、複数種類の互いに仕様が異なる新設縦枠22に対して、一つのスペーサー50を使用することができる。
【0111】
また、上記実施の形態においては、スペーサー50が、
図5に示した第二位置に位置した際には、作業者は、スペーサー50の位置を正規位置(
図4に示した第一位置)に位置させることとしたが、これに限定されるものではなく、位置を修正することなく、スペーサー50が第二位置に位置したままとしてもよい。
【0112】
さらに、上記実施の形態においては、
図4に示した第一位置をスペーサー50の正規位置としたが、これに限定されるものではなく、
図5に示した第二位置をスペーサー50の正規位置としてもよい。つまり、最初からスペーサー50の位置が第二位置となるように挿入作業を行うようにしてもよい。
【0113】
そして、これらの場合であっても、前述した効果、すなわち、スペーサー50を落下させてしまうことが適切に回避され挿入作業の作業効率が向上する効果が、奏されることとなる。
【0114】
なお、上述したとおり、スペーサー50を見えなくする役割を果たすカバー材68が新設枠体20と既設枠体70との間の隙間をカバーしている。そのため、スペーサー50の位置が第二位置であったとしても、見栄え上の問題は存在しない。
【0115】
また、上記実施の形態に係るスペーサー50は、一枚一枚が独立しているが、
図7に示すように、一枚ずつ剥がして使用する形態の複数枚セットのスペーサー50(複数枚のスペーサー50が予め端部で接着されているもの)であってもよい。また、複数種類の厚みを有するスペーサー50が予め用意されており(例えば、厚さ1mmのスペーサー50と厚さ3mmのスペーサー50)、これらを使い分けるようにしてもよい。