【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項
1,4に係る発明に共通する発明特定事項)
図1,
図2,
図10(A)(B)に例示するように、シリンダヘッド(1)の燃焼室天井部(2)の外周部に設けられたシリンダヘッド側スキッシュ面(3)と、このシリンダヘッド側スキッシュ面(3)と対向してピストンヘッド(4)の外周部に設けられたピストンヘッド側スキッシュ面(5)と、シリンダヘッド(1)の燃焼室天井部(2)の中央部で凹入された燃焼室凹入部(6)と、燃焼室凹入部(6)の相互対向部(7)(8)のうち、一方の対向部(7)に設けられた吸気弁口(9)と、他方の対向部(8)に設けられた排気弁口(10)と、燃焼室凹入部(6)に向けられた点火プラグ取付孔(11)とを備え、
図2,
図10(B)に例示するように、シリンダヘッド側スキッシュ面(3)とピストンヘッド側スキッシュ面(5)とが、燃焼室凹入部(6)に向けて上り傾斜し、圧縮上死点付近で、シリンダヘッド側スキッシュ面(3)とピストンヘッド側スキッシュ面(5)との間に形成されるスキッシュエリア(12)からスキッシュ流が燃焼室凹入部(6)の中央部に向けて噴出するように構成された、火花点火式エンジンにおいて、
図1,
図10(A)に例示するように、シリンダ中心軸線(13)と平行な向きに見て、スキッシュエリア最大幅部分(14)と燃焼室凹入部(6)の中央部とを通過する中央仮想線(15)と、この中央仮想線(15)で区画される一側領域(a)と他側領域(b)とを想定した場合、
燃焼室凹入部(6)の相互対向部(7)(8)のうち、いずれかの対向部(7)の一側領域(7a)に吸気弁口(9)か排気弁口(10)のいずれかが設けられ、この対向部(7)の他側領域(7b)に点火プラグ取付孔(11)が設けられることにより、
図1,
図10(A)に例示するように、シリンダ中心軸線(13)と平行な向きに見て、中央仮想線(15)と重ならない位置に、点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)が配置されている。
(請求項1に係る発明に固有の発明特定事項)
図5に例示するように、シリンダヘッド(1)が、隣合うシリンダ(19)(19)の燃焼室天井部(2)(2)と、隣合うシリンダ(19)(19)に吸気(25)(25)を導入する分岐状の吸気ポート(27)と、吸気ポート(27)の分岐端に設けられた吸気弁口(9)(9)とを備え、
シリンダ中心軸線(13)(13)と平行な向きに見て、シリンダヘッド(1)の幅方向を横方向として、吸気ポート(27)のポート入口(27a)は、隣合うシリンダ(19)(19)の燃焼室天井部(2)(2)を区画する区画壁(28)の真横に配置され、
シリンダ中心軸線(13)(13)と平行な向きに見て、シリンダヘッド(1)の幅方向を横方向として、吸気ポート(27)のポート入口(27a)は、隣合うシリンダ(19)(19)の燃焼室天井部(2)(2)を区画する区画壁(28)の真横に配置され、吸気ポート(27)のポート中心軸線(27b)(27b)はシリンダ中心軸線(13)(13)を通過して真横に伸びる各シリンダ(19)の中央仮想線(15)よりも区画壁(28)側の領域に配置され、吸気(25)(25)が吸気弁口(9)(9)からシリンダ間肉壁に沿って吸入されるように構成され、
シリンダ中心軸線(13)(13)と平行な向きに見て、吸気ポート(27)は、ポート入口(27a)側で区画壁(28)から離れる向きに突状に湾曲する一対の湾曲ポート(27c)(27c)と、吸気弁口(9)(9)側で燃焼室天井部(2)の中心部に向かって直進する一対の直進ポート(27d)(27d)とで構成され、
シリンダ中心軸線(13)(13)と平行な向きに見て、湾曲ポート中心軸線(27e)(27e)の終点(27f)(27f)からこの終点(27f)(27f)の接線方向に沿って延長された接線方向仮想線(27h)(27h)は、吸気弁口(9)(9)上を通過し、湾曲ポート中心軸線(27e)(27e)の終点(27f)(27f)から伸びる直進ポート中心軸線(27g)(27g)は、接線方向仮想線(27h)(27h)よりも区画壁(28)側から離され、
湾曲ポート(27c)(27c)で曲げられた吸気(25)(25)が直進ポート(27d)(27d)を経て、吸気弁口(9)(9)からシリンダ間肉壁に沿って吸入されるように構成されている、ことを特徴とする火花点火式エンジン。
(請求項4に係る発明に固有の発明特定事項)
図6(A)(B)に例示するように、燃料インジェクタ(30)から吸気ポート(27)への燃料(32)の噴射が爆発行程(37)と排気行程(38)とを区画する下死点(39)の前40°から後30°のクランク角範囲(40)で実施される、ことを特徴とする火花点火式エンジン
。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果1−1》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図1に例示するように、シリンダ中心軸線(13)と平行な向きに見て、中央仮想線(15)と重ならない位置に、点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)が配置されているので、圧縮上死点付近でスキッシュエリア最大幅部分(14)から噴出する最大スキッシュ流(14a)が点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)を直撃せず、火花放電部(16)付近で発生した発火直後の小さな火種が、最大スキッシュ流(14a)で吹き消されにくく、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0010】
《効果1−2》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図5に例示するように、湾曲ポート(27c)(27c)で曲げられた吸気(25)(25)が直進ポート(27d)(27d)を経て、吸気弁口(9)(9)からシリンダ間肉壁に沿って吸入されるように構成されているので、高温のシリンダ間肉壁付近の熱を吸収したスワール(41)(41)によって各シリンダ(19)内の燃料の気化が促進され、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0011】
また、滑らかな湾曲ポート(27c)(27c)と、短い直進ポート(27d)(27d)と、区画壁(28)から離れた吸気弁口(9)(9)により、シリンダ(19)(19)内への吸気(25)(25)の流入抵抗が減少し、スワール(41)(41)の流速が高まり、燃料の気化が促進され、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0012】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図6(A)に例示するように、吸気弁(31)はポペット弁で構成され、燃料インジェクタ(30)から噴射された燃料(32)が、吸気弁(31)の弁頭(31a)に衝突するように構成されているので、燃焼室の燃焼熱を吸収した吸気弁(31)の弁頭(31a)の熱で燃料(32)の気化が促進され、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0013】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果3》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図6(A)(B)に例示するように、燃料インジェクタ(30)から吸気ポート(27)への燃料(32)の噴射が爆発行程(37)と排気行程(38)とを区画する下死点(39)の前40°から後30°のクランク角範囲(40)で実施されるので、燃焼室の燃焼熱と排気熱で燃料(32)の気化が促進され、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の効果1−1と請求項3に係る発明の効果3を奏する
。
【0014】
(
請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、
請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図1,
図10(A)に例示するように、他方の対向部(8)の一側領域(8a)が吸気ガイド面(20)とされ、この吸気ガイド面(20)は、吸気弁口(9)と共通の中心軸線(9a)を有するとともに、シリンダ(19)側に向けて拡開する円錐台の部分周面形状とされているので、吸気行程で、吸気弁口(9)から吸入された吸気(25)が吸気ガイド面(20)に沿って燃焼室凹入部(6)にスムーズに流れ込み、吸気効率が高まり、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0015】
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
排気上死点付近で吸気弁(31)と排気弁(21)とが開弁しているバルブオーバーラップ期間に、吸気弁口(9)から吸気ガイド面(20)に沿って排気弁口(10)に案内された吸気(25)で燃焼室凹部(6)内の排気(26)が排気弁口(10)に押し込まれ、掃気効率が高まり、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0016】
(
請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、
請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図2,
図10(B)に例示するように、排気上死点付近でスキッシュエリア最大幅部分(14)から噴出する最大スキッシュ流(14a)が、開弁している排気弁(21)の弁頭の排気ポート対向面(21a)に向けられているので、排気弁口(10)付近の排気(26)が最大スキッシュ流(14a)とともに排気弁(21)の弁頭の排気ポート対向面(21a)に衝突し、反射して排気弁口(10)に進入し、掃気効率が高まり、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0017】
(
請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、
請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図1,
図10(A)に例示するように、点火プラグ取付孔(11)と排気弁口(10)との間に位置する燃焼室凹入部(6)の端部分(22)が、排気弁口(10)と共通の中心軸線(10a)を有するとともに、シリンダ(19)側に向けて拡開する円錐台の部分周面形状の排気ガイド面(23)とされているので、排気行程で、燃焼室凹入部(6)の排気(26)が排気ガイド面(23)に沿って排気弁口(10)にスムーズに案内され、掃気効率が高まり、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0018】
(
請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、
請求項1から請求項7のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図2に例示するように、火花放電部(16)が点火プラグ取付孔(11)内に配置されているので、スキッシュ流が点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)を直撃しにくく、火花放電部(16)で発生した発火直後の小さな火種が、スキッシュ流で吹き消されにくく、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0019】
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、
請求項1から請求項7のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図10(A)(B)に例示するように、点火プラグ用凹入部(18)の奥端に点火プラグ取付孔(11)が設けられているので、点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)が燃焼室凹入部(6)内に大きく突出せず、スキッシュ流が火花放電部(16)に衝突しにくく、火花放電部(16)付近で発生した発火直後の小さな火種が、スキッシュ流で吹き消されにくく、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0020】
(請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明は、
請求項9に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図10(A)に例示するように、シリンダ中心軸線(13)と平行な向きに見て、中央仮想線(15)と重ならない位置に、点火プラグ用凹入部(18)が設けられているので、点火プラグ用凹入部(18)が最大スキッシュ流の直撃を受けず、点火プラグ用凹入部(18)内で成長する発火直後の小さな火種が、最大スキッシュ流で吹き消されることがなく、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0021】
(
請求項11に係る発明)
請求項11に係る発明は、
請求項9または請求項10に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図10(B)に例示するように、点火プラグ用凹入部(18)の内周面(18a)は、点火プラグ取付孔(11)と共通の中心軸線(11a)を有するとともに、燃焼室凹入部(6)に向けて拡開する円錐台の部分周面形状とされているので、点火プラグ用凹入部(18)内で成長する火炎は、点火プラグ用凹入部(18)の内周面(18a)に沿って広がり、燃焼室凹入部(6)の広い領域に伝播され、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
【0022】
(
請求項12に係る発明)
請求項12に係る発明は、
請求項9から請求項11のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 排気中の炭化水素の含有量を減少させることができる。
図10(B)に例示するように、点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)が点火プラグ用凹入部(18)内に配置されているので、スキッシュ流が点火プラグ(24)先端の火花放電部(16)に衝突しにくく、火花放電部(16)付近で発生した発火直後の小さな火種が、スキッシュ流で吹き消されにくく、燃焼室での火炎伝播がスムーズに行われ、不完全燃焼が抑制され、排気(26)中の炭化水素の含有量を減少させることができる。