(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スクイズ可能な胴部を有する容器本体と、該容器本体の口頸部に取り付けられて、前記胴部のスクイズ時に前記容器本体内の液体を注出筒から注出する中栓と、該中栓に着脱可能に取り付けられるオーバーキャップと、前記中栓及び前記オーバーキャップに係止すると共に前記オーバーキャップの最初の取り外しに伴う破断予定部の破断により、封緘筒を残して前記オーバーキャップ側に移行し、以後、前記オーバーキャップと一体となって前記注出筒の封止を行う移行栓と、を備える移行栓付きスクイズ注出容器において、
前記注出筒の基端側に、弾性壁の中央部にスリットを形成してなるスリットバルブを備え、
前記移行栓は、前記注出筒に挿入され下方に延びると共に前記注出筒を封止する封止ピンを有し、
前記封止ピンは、前記オーバーキャップの取り付け時に、前記スリットバルブの弾性壁を押圧してスリットを開いた状態に保つように構成され、
前記中栓は、前記封緘筒を係止する係止周壁を有し、
前記移行栓は、前記封緘筒に前記破断予定部を介して連結すると共に前記封止ピンに繋がる筒壁部を有し、
前記係止周壁の上端縁及び前記筒壁部の下端縁の一方には、環状の座面が周設されると共に、前記係止周壁の上端縁及び前記筒壁部の下端縁の他方には、前記座面に当接する突起が周設されていることを特徴とする移行栓付きスクイズ注出容器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図4を参照して、
参考例としての移行栓付きスクイズ注出容器について詳細に例示説明する。
図1に示すように、中栓組立体1は、中栓20と、スリットバルブ30と、バルブ押え部材40とからなる。また、中栓組立体1、容器本体50、移行栓60及びオーバーキャップ70によって、移行栓付きスクイズ注出容器100を構成している。スクイズ注出容器100は、容器本体50の胴部(図示省略)のスクイズ時に容器本体50内の液体を注出可能である。液体としては、例えば、醤油、ドレッシングなどの粘度の低い食品用の液体が用いられるが、これに限定されない。
【0013】
なお、本明細書において、上下方向とは、スクイズ注出容器100を立てた状態を基準とし、
図1の上下方向と一致するものとする。
【0014】
中栓20は、その基端部に容器本体50の口頸部51に取り付けられる装着筒部21を有する。装着筒部21の内周面には、容器本体50の口頸部51の外周面に軸線Oの周りに間隔をあけて配置された複数の突起51bに係合し、口頸部51に対する装着筒部21の回転を防止する複数の周り止め用の突起21hが設けられている。当該複数の突起21hも、軸線Oの周りに間隔をあけて配置されている。また、装着筒部21の内周面には、容器本体50の口頸部51の外周面に周設された係止突条51aに、乗越えにより抜け止め可能に係止される係止溝21aが周設されている。
【0015】
また、装着筒部21には、係止溝21aに沿って、薄肉部21bが周設されている。薄肉部21bは、スクイズ注出容器100の分別廃棄時に、中栓組立体1を容器本体50から取り外す際に、破断されるものである。より具体的には、薄肉部21bは、
図3に示すように、破断の基点となる周方向に延在する長孔21cを残して周設されている。なお、21dは水抜き孔であり、例えば、内容物の熱充填後に実施される冷却用シャワー水を下方に排水するためのものである。
【0016】
薄肉部21bの外周側には、薄肉部21bの破断によって取り除かれる外筒部21eが連設されている。外筒部21e内面の長孔21cの上方の領域には、滑り止め用の複数の縦リブ21fが間隔をおいて形成されている。また、長孔21cの周方向一端側において、外筒部21eは、薄肉部21bの上側部分が略V字状の切り欠きVとなっており、薄肉部21bの下側部分が縦方向に延在する薄肉部21gになっている。したがって、この薄肉部21gの脇から長孔21cに向かって指を挿入して、薄肉部21gを破断させ、滑り止め用の複数の縦リブ21fが設けられた部分を摘んで引っ張り、薄肉部21bを周方向に破断させていくことにより、外筒部21eを装着筒部21から取り除くことができる。
【0017】
装着筒部21の上端には、
図1に示したように、下側フランジ部22が内周側に延設されている。下側フランジ部22には、容器本体50の口頸部51の内周面に液密に当接するシール筒23が垂設されている。下側フランジ部22の内周縁には、下側周壁部24が立設され、下側周壁部24の外周面には、雄ねじ24aが形成されている。また、下側周壁部24の内周面には、複数の縦リブ24bが周方向に均等間隔で配置されている。各縦リブ24bは、バルブ押え部材40を係止するための係止突起24cを有する。
【0018】
下側周壁部24の上端には、中間フランジ部25が内周側に延設されている。中間フランジ部25の内周縁には、上側周壁部26が立設されている。上側周壁部26の外周面には、移行栓60を係止するための係止突条26aが周設されている。上側周壁部26の上端には、上側フランジ部27が内周側に延設されている。上側フランジ部27の内周縁には、切頭円錐状の頂壁28が連設され、頂壁28の内周縁には、注出筒29が立設されている。
【0019】
注出筒29は、先端部に注出口29aを形成している。注出筒29の内周面は、注出口29aに連なる領域が、注出筒29の軸線Oに沿って断面一定のストレート部29bになっている。注出筒29の内周面におけるストレート部29bの下方領域には、縮径部29cが形成されている。また、注出筒29の先端面29dとストレート部29bとのなす角θは、90度となっている。当該角θは、スクイズ時に注出口29aにおいて、液体が、必ずしも注出筒29の軸線Oに沿う方向に注出されるとは限らず、液体の注出方向が注出筒29の軸線Oに沿う方向からずれたり、スクイズ毎に注出方向が変わったりする、いわゆる、液体注出時のあばれ現象の発生を回避するために90度以下とすることができるが、先端面29dの強度を確保し、物品等との接触時の変形を抑える観点からは、60度から90度とすることが好ましく、より好ましくは80度から90度、さらに好ましくは90度とする。
【0020】
また、注出筒29の基端側には、スリットバルブ30が取り付けられている。スリットバルブ30は、本例では十文字形のスリット31が中央部に形成された円板状の弾性壁32と、弾性壁32の外周縁に垂設された環状壁33と、環状壁33の下端縁から外周側に延設されたフランジ34とからなる。
【0021】
なお、スリットバルブ30は、粘度の低い液体が容器本体50に収納される場合に、容器本体50を傾けただけでは容器本体50内の液体が注出(漏出)されず、且つ、容器本体50のスクイズ時には容器本体50内の液体が一気に飛び出ないように(容器本体50内の液体の注出の勢いを抑制するように)形成されている。
【0022】
バルブ押え部材40は、環状リング41と、環状リング41の内周縁に立設された筒壁42とからなる。環状リング41の外周面には、前述した中栓20の複数の縦リブ24bに形成された係止突起24cに対し、下方から乗越え抜け止め可能に係止する係止突条41aが周設されている。この係止突条41aを中栓20側の係止突起24cに係止することにより、バルブ押え部材40の環状リング41の上面41bがスリットバルブ30のフランジ34の下面34aに当接し、スリットバルブ30のフランジ34の上面34bが中栓20の上側フランジ部27の下面27aに当接した状態となって、スリットバルブ30がバルブ押え部材40によって中栓20に固定されている。
【0023】
また、注出筒29は、縮径部29cにおいて、移行栓60によって封止されている。具体的には、移行栓60は、注出口29aより挿入され下方に延びる封止ピン61を有し、当該封止ピン61の外周面が注出筒29の縮径部29cに液密に当接している。封止ピン61の先端部61aは、スリットバルブ30の弾性壁32を押圧してスリット31を僅かに開いた状態に保っている。封止ピン61の先端側部分は中実、基端側部分は中空になっている。
【0024】
封止ピン61の基端部には、フランジ状の天壁部62が外周側に延設されている。天壁部62は外周側部分62aが内周側部分62bよりも上下幅を大きく形成されている。天壁部62の外周側部分62aの上面には、周溝62cが周設されている。なお、周溝62cは、周方向に均等に配置された複数の縦壁(図示省略)によって、周方向に複数個に分離されている。
【0025】
天壁部62の外周縁には、オーバーキャップ70に係止するための係止突条62dが周設されている。また、天壁部62の外周縁には、筒壁部63が垂設されている。筒壁部63の下端縁には、フランジ部64が外周側に延設されている。フランジ部64の外周縁には、破断予定部65を介して封緘筒66が連設されている。封緘筒66の下端縁の内周面側には、前述した上側周壁部26の外周面に形成された係止突条26aに対し、乗越え抜け止め可能に係止する係止突条66aが周設されている。
【0026】
オーバーキャップ70は、円板状の天井壁部71と、天井壁部71の外周縁に垂設された環状外壁部72と、環状外壁部72の内周側で天井壁部71から垂設された螺筒73と、螺筒73の内周側で天井壁部71から垂設された環状内壁部74とからなる。螺筒73の内周面には、前述した中栓20の下側周壁部24の外周面に形成された雄ねじ24aに取り付けられる雌ねじ73aが形成されている。螺筒73の外周面には、補強用の複数の縦リブ73bが周方向に均等配置になるように形成されている。螺筒73は、取り付け状態において、螺筒73の下端縁が中栓20の下側フランジ部22の上面に当接している。
【0027】
なお、オーバーキャップ70の螺筒73の雌ねじ73aと中栓20の雄ねじ24aとの間には、キャップ緩み止め用の凹凸部機構を設けてもよい。例えば、オーバーキャップ70の雌ねじ73aの山部に凸部や凹部(図示省略)、中栓20の雄ねじ24a下方位置に縦リブ(図示省略)を形成することができる。このような凹凸部や縦リブは、キャップ締め終わり付近の位置に設けることが好ましいが、そうすることで、キャップを締め終わる際に、縦リブが凹凸部を乗り越えて嵌合されることによるクリック感も付与することができる。さらに、雌ねじ73aに設けた凸部や凹部に対応する螺筒73部分を薄肉形状にすると、ベンドし易い構造となり、キャップの緩みをより有利に防止することができる。
【0028】
環状内壁部74の下端縁の内周側には、前述した移行栓60の天壁部62の外周縁に形成された係止突条62dに対し、乗越え抜け止め可能に係止する係止突条74aが周設されている。天井壁部71の中央は、僅かに下方に撓んだ形状をなしている。
【0029】
かかる構成になるスクイズ注出容器100の組立要領は次のとおりである。まず、中栓20に、バルブ押え部材40でスリットバルブ30を取付ける。次に、移行栓60を中栓20に取付ける。そして、中栓20を、内容物である液体を充填された容器本体50の口頸部51に打栓によって取付ける。その際、中栓20の注出筒29は、移行栓60によって封止されているため、打栓の衝撃によって内容物である液体が注出筒29の注出口29aから飛び出すという不都合は回避される。最後に、オーバーキャップ70を取付ける。
【0030】
このようにして組み立てられ、出荷されたスクイズ注出容器100をユーザーが使用するに際しては、初めてオーバーキャップ70を取り外す時に、
図2に示すように、移行栓60が破断予定部65で破断するため、この破断の際の音及び感触によって、ユーザーは当該容器が未開封であったことを確認することができる。移行栓60は、破断予定部65の破断により、封緘筒66を残してオーバーキャップ70側に移行し、以後、オーバーキャップ70と一体となって注出筒29の封止を行うこととなる。
【0031】
かかる構成によれば、オーバーキャップ70を取り外し、容器本体50を傾け、容器本体50の胴部をスクイズして容器本体50内の液体を注出すると、
図4に示すように、液体Rを注出筒29の軸線Oに沿う方向に安定して注出することができる。これは、前述したように、注出筒29の内周面に、注出筒29の軸線Oに沿って断面一定のストレート部29bを設け、注出筒29の先端面29dとストレート部29bとのなす角θを90度以下としたことによるものである。このようにすることで、スクイズ時に、液体Rを、ストレート部29bによって注出筒29の軸線方向Oに沿うように整流し、そのまま注出することが可能となる。
【0032】
また、不使用時に、オーバーキャップ70により注出筒29を封止するに当っては、封止のための縮径部29cを、ストレート部29bの下方領域に設けるようにしたことにより、スクイズによる液体注出時には、液体Rを、縮径部29cを通過させた後、ストレート部29bによって十分に、注出筒29の軸線方向Oに沿うように整流することが可能となる。したがって、注出筒29の確実な封止と、液体Rの安定した注出とを両立することができる。
【0033】
さらに、
図1に示したように、オーバーキャップ70の取り付け時には、封止ピン61が、スリットバルブ30の弾性壁32を押圧してスリット31を僅かに開いた状態に保つようにしたので、不使用時にスリット31が付着した液体の乾燥固化により固着し、液体注出時に、注出筒29内に向う液体Rの流れを乱してしまうことがない。したがって、液体Rを注出筒29の軸線Oに沿う方向により安定して注出することができる。
【0034】
次に、
図5〜
図10を参照して、本発明の
一実施形態に係る移行栓付きスクイズ注出容器について詳細に例示説明する。
【0035】
図5に示すように、本実施形態に係る移行栓付きスクイズ注出容器100’は、容器本体120と、中栓130と、移行栓140と、オーバーキャップ150と、を備える。容器本体120は、口頸部121、胴部(図示省略)及び底部(図示省略)を有するボトル状をなし、内部に内容物を収容している。
【0036】
中栓130は、スリットバルブ160と、バルブ押え部材170と、を有し、注出容器100’は、容器本体120の胴部のスクイズ時に容器本体120内の内容物を注出可能である。内容物としては、例えば、醤油、ドレッシングなどの食品用の液体が用いられるが、これに限定されない。
【0037】
図5及び
図8に示すように、中栓130は、その基端部に容器本体120の口頸部121に取り付けられる装着筒部131を有する。装着筒部131の内周面には、容器本体120の口頸部121の外周面に軸線Oの周りに間隔をあけて配置された複数の突起121bに係合し、口頸部121に対する装着筒部131の回転を防止する複数の周り止め用の突起131hが設けられている。当該複数の突起131hも、軸線Oの周りに間隔をあけて配置されている。また、装着筒部131の内周面には、容器本体120の口頸部121の外周面に周設された係止突条121aに、乗越えにより抜け止め可能に係止される係止溝131aが周設されている。すなわち、中栓130は、容器本体120の口頸部121に、アンダーカット(すなわち、係止突条121a及び係止溝131a)の乗越えにより係止するようになっている。
【0038】
また、装着筒部131には、係止溝131aに沿って、薄肉部131bが周設されている。薄肉部131bは、注出容器100’の分別廃棄時に、中栓130を容器本体120から取り外す際に、破断されるものである。より具体的には、薄肉部131bは、破断の基点となる周方向に延在する長孔131cを残して周設されている。なお、131dは水抜き孔であり、例えば、内容物の熱充填後に実施される冷却用シャワー水を下方に排水するためのものである。
【0039】
薄肉部131bの外周側には、薄肉部131bの破断によって取り除かれる外筒部131eが連設されている。外筒部131e内面の長孔131cの上方の領域には、滑り止め用の複数の縦リブ131fが間隔をおいて形成されている。また、長孔131cの周方向一端側において、外筒部131eは、薄肉部131bの上側部分が略V字状の切り欠きVとなっており、薄肉部131bの下側部分が縦方向に延在する薄肉部131gになっている。したがって、この薄肉部131gの脇から長孔131cに向かって指を挿入して、薄肉部131gを破断させ、滑り止め用の複数の縦リブ131fが設けられた部分を摘んで引っ張り、薄肉部131bを周方向に破断させていくことにより、外筒部131eを装着筒部131から取り除くことができる。
【0040】
図5に示したように、装着筒部131の上端には、下側フランジ部132が内周側に延設されている。下側フランジ部132には、容器本体120の口頸部121の内周面に液密に当接するシール筒133が垂設されている。下側フランジ部132の内周縁には、下側周壁部134が立設され、下側周壁部134の外周面には、雄ねじ134aが形成されている。また、下側周壁部134の内周面には、複数の縦リブ134bが周方向に均等間隔で配置されている。各縦リブ134bは、バルブ押え部材170を係止するための係止突起134cを有する。
【0041】
下側周壁部134の上端には、中間フランジ部135が内周側に延設されている。中間フランジ部135の内周縁には、係止周壁としての上側周壁部136が立設されている。上側周壁部136の外周面には、移行栓140を係止するための係止突条136aが周設されている。上側周壁部136の上端には、上側フランジ部137が内周側に延設されている。この上側フランジ部137の上面は、後述する移行栓140の筒壁部143の下端縁に設けられた突起143bのための環状の座面137aを構成している。上側フランジ部137の内周縁には、切頭円錐状の頂壁138が連設され、頂壁138の内周縁には、注出筒139が立設されている。
【0042】
注出筒139は、基端側から上方に向かって縮径すると共に先端が外周側に捲れるように拡径した形状をなしている。また、注出筒139の内周面には、後述する移行栓140の封止ピン141と液密に接触する縮径部139aが形成されている。
【0043】
また、注出筒139の基端側には、スリットバルブ160が取り付けられている。スリットバルブ160は、本例では十文字形のスリット161が中央部に形成された円板状の弾性壁162と、弾性壁162の外周縁に垂設された環状壁163と、環状壁163の下端縁から外周側に延設されたフランジ164とからなる。
【0044】
なお、スリットバルブ160は、粘度の低い液体が容器本体120に収納される場合に、容器本体120を傾けただけでは容器本体120内の液体が注出(漏出)されず、且つ、容器本体120のスクイズ時には容器本体120内の液体が一気に飛び出ないように(容器本体120内の液体の注出の勢いを抑制するように)形成されている。
【0045】
バルブ押え部材170は、環状リング171と、環状リング171の内周縁に立設された筒壁172とからなる。環状リング171の外周面には、前述した中栓130の複数の縦リブ134bに形成された係止突起134cに対し、下方から乗越え抜け止め可能に係止する係止突条171aが周設されている。この係止突条171aを中栓130側の係止突起134cに係止することにより、バルブ押え部材170の環状リング171の上面がスリットバルブ160のフランジ164の下面に当接し、スリットバルブ160のフランジ164の上面が中栓130の上側フランジ部137の下面に当接した状態となって、スリットバルブ160がバルブ押え部材170によって中栓130に固定されている。
【0046】
また、注出筒139は、縮径部139aにおいて、移行栓140によって封止されている。具体的には、移行栓140は、注出筒139の内外を封止する封止部としての封止ピン141を有する。封止ピン141は、注出筒139の先端から挿入されて下方に延び、当該封止ピン141の外周面が注出筒139の縮径部139aに液密に接触している。封止ピン141の先端部141aは、スリットバルブ160の弾性壁162を押圧してスリット161を僅かに開いた状態に保っている。封止ピン141の先端側部分は中実、基端側部分は中空になっている。
【0047】
封止ピン141の基端部には、フランジ状の天壁部142が外周側に延設されている。天壁部142は外周側部分142aが内周側部分142bよりも上下幅を大きく形成されている。天壁部142の外周側部分142aの上面には、周溝142cが周設されている。なお、周溝142cは、周方向に均等に配置された複数の縦壁(図示省略)によって、周方向に複数個に分離されている。
【0048】
天壁部142の外周縁には、筒壁部143が垂設されている。筒壁部143の外周面には、オーバーキャップ150に係止するための係止突条143aが周設されている。筒壁部143の下端縁には、前述した中栓130の上側フランジ部137の上面、すなわち、環状の座面137aに当接する突起143bが周設されている。突起143bは、
図7に示すように、筒壁部143の軸線Oを中心とする半円弧状をなす一対の突条として構成されている。なお、突起143bは、周方向に間隔をおいて複数あるいは全周設けても良い。
【0049】
また、筒壁部143の下端縁には、フランジ部144が外周側に延設されている。フランジ部144の外周縁には、
図5〜
図7に示すように、破断予定部145を介して封緘筒146が連設されている。封緘筒146の下端縁の内周面側には、前述した上側周壁部136の外周面に形成された係止突条136aに対し、乗越え抜け止め可能に係止する係止突条146aが周設されている。すなわち、封緘筒146は、上側周壁部136(係止周壁)に、アンダーカット(すなわち、係止突条136a及び係止突条146a)の乗越えにより係止するようになっている。
【0050】
図5に示すように、オーバーキャップ150は、円板状の天井壁部151と、天井壁部151の外周縁に垂設された環状外壁部152と、環状外壁部152の内周側で天井壁部151から垂設された螺筒153と、螺筒153の内周側で天井壁部151から垂設された環状内壁部154とからなる。螺筒153の内周面には、前述した中栓130の下側周壁部134の外周面に形成された雄ねじ134aに取り付けられる雌ねじ153aが形成されている。螺筒153の外周面には、補強用の複数の縦リブ153bが周方向に均等配置になるように形成されている。螺筒153は、取り付け状態において、螺筒153の下端縁が中栓130の下側フランジ部132の上面に当接している。
【0051】
なお、オーバーキャップ150の螺筒153の雌ねじ153aと中栓130の雄ねじ134aとの間には、キャップ緩み止め用の凹凸部機構を設けてもよい。例えば、オーバーキャップ150の雌ねじ153aの山部に凸部や凹部(図示省略)、中栓130の雄ねじ134a下方位置に縦リブ(図示省略)を形成することができる。このような凹凸部や縦リブは、キャップ締め終わり付近の位置に設けることが好ましいが、そうすることで、オーバーキャップ150を締め終わる際に、縦リブが凹凸部を乗り越えて嵌合されることによるクリック感も付与することができる。さらに、雌ねじ153aに設けた凸部や凹部に対応する螺筒153部分を薄肉形状にすると、ベンドし易い構造となり、オーバーキャップ150の緩みをより有利に防止することができる。
【0052】
環状内壁部154の下端縁の内周側には、前述した移行栓140の筒壁部143の外周面に形成された係止突条143aに対し、乗越え抜け止め可能に係止する係止突条154aが周設されている。すなわち、筒壁部143は、封緘筒146が中栓130に係止した状態で、オーバーキャップ150を中栓130に装着させると、オーバーキャップ150にアンダーカット(すなわち、係止突条143a及び係止突条154a)の乗越えにより係止するようになっている。なお、天井壁部151の中央は、僅かに下方に撓んだ形状をなしている。
【0053】
かかる構成によれば、注出容器100’を、以下の工程によって組み付けることができる。まず、第1工程として、中栓130に、バルブ押え部材170でスリットバルブ160を取付ける。次に、第2工程として、中栓130に移行栓140を取付ける。すなわち、移行栓140の封緘筒146を中栓130の上側周壁部136(係止周壁)にアンダーカット(係止突条136a及び係止突条146a)の乗越えにより係止させる。その際、移行栓140の筒壁部143の下端縁に周設した突起143bを、中栓130の上側周壁部136(係止周壁)の上端縁に周設された環状の座面137aに当接させることで、破断予定部145への負荷の作用を抑制し、破断予定部145が破断することを防止することができる。
【0054】
次に、第3工程として、移行栓140及び中栓130にオーバーキャップ150を取り付ける。すなわち、封緘筒146が中栓130に係止した状態で、オーバーキャップ150を中栓130に装着させて筒壁部143をオーバーキャップ150にアンダーカット(係止突条143a及び係止突条154a)の乗越えにより係止させる。この際にも、移行栓140の突起143bが中栓130の座面137aに当接することで、破断予定部145への負荷の作用が抑制され、破断予定部145の破断の発生が防止される。
【0055】
本実施形態では、移行栓140の筒壁部143の下端縁に設けた突起143bが、筒壁部143の軸線Oを中心とする半円弧状をなす一対の突条143bとして形成されているため、この第3工程において、オーバーキャップ150を取り付けた後、移行栓140の封止ピン141と、中栓130の注出筒139の縮径部139aとの間が適切に封止されているか否かを検査するリーク検査を行うことができる。すなわち、このようなリーク検査は、注出筒139の下方側(基端側)に空気圧を付与して、注出筒139の上方側(先端側)への空気の漏出の有無を確認することによって行うことができるが、その際、適切な封止がなされていない場合には、一対の突条143b相互間の隙間を介して空気を漏出させることができる。なお、移行栓140の筒壁部143の下端縁と座面137aとの間の隙間は、できる限り小さくすることが、注出容器100’の各組み付け工程での衝撃を緩和させ、移行栓140の破断予定部145の破断を防止する上で好ましい。
【0056】
最後に、第4工程として、移行栓140及びオーバーキャップ150を取り付けた中栓130を、内容物を充填された容器本体120の口頸部121に取り付ける。すなわち、移行栓140及びオーバーキャップ150を取り付けた中栓130を容器本体120の口頸部121にアンダーカット(係止突条121a及び係止溝131a)の乗越えにより係止させる。この際にも、やはり、移行栓140の突起143bが中栓130の座面137aに当接し、破断予定部145への負荷の作用が抑制され、破断予定部145の破断の発生を防止することができる。
【0057】
このようにして組み付けられ、出荷された移行栓付きスクイズ注出容器100’をユーザーが使用するに際しては、初めてオーバーキャップ150を取り外す時に、
図9に示すように、移行栓140が破断予定部145で破断するため、この破断の際の音及び感触によって、ユーザーは当該容器が未開封であったことを確認することができる。移行栓140は、破断予定部145の破断により、封緘筒146を残してオーバーキャップ150側に移行し、以後、オーバーキャップ150と一体となって注出筒139の封止を行うこととなる。
【0058】
そして、
図10に示すように、容器本体120を傾け、容器本体120の胴部をスクイズすると、スリットバルブ160のスリット161を開き、容器本体120内の内容物を注出筒139を通じて注出することができる。
【0059】
また、
図5に示したように、オーバーキャップ150の取り付け時には、封止ピン141が、スリットバルブ160の弾性壁162を押圧してスリット161を僅かに開いた状態に保つようにしたので、不使用時に、スリット161が、付着した内容物の乾燥固化により固着してしまうことが防止される。
【0060】
上述したところは、本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
なお、
図1〜
図4を用いて説明した
参考例においては、中栓20は、打栓によって装着可能とし、分別廃棄用の外筒部21eを有するものとして説明したが、必ずしもそのような構成とする必要はなく、中栓20を容器本体50の口頸部51にねじによって取付けるようにしてもよい。また、スリットバルブ30は、バルブ押え部材40によって取付けるものとして説明したが、これに代えて、スリットバルブ30を、例えば接着剤等により、中栓20に固着し、バルブ押え部材40を省略してもよい。
【0061】
また、
図5〜
図10を用いて説明した実施形態においては、中栓130の上側周壁部136(係止周壁)の上端縁に環状の座面137aを設け、移行栓140の筒壁部143の下端縁に突起143bを設けるものとして説明したが、これに代えて、座面137aと突起143bの配置を逆転させた構成とすることもできる。すなわち、移行栓140の筒壁部143の下端縁に環状の座面を設け、中栓130の上側周壁部136(係止周壁)の上端縁に、当該環状の座面に当接する突起(好ましくは、中栓130の軸線Oを中心とする半円弧状をなす一対の突条)を周設することもできる。また、中栓130は、分別廃棄用の外筒部131eを有するものとして説明したが、必ずしもこのような外筒部131eを有する構成とする必要はない。さらに、スリットバルブ160は、バルブ押え部材170によって取付けるものとして説明したが、これに代えて、スリットバルブ160を、例えば接着剤等により、中栓130に固着し、バルブ押え部材170を省略してもよい。