特許第6242732号(P6242732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242732
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】揮散容器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20171127BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20171127BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20171127BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61L9/12
   B65D83/00 F
   A61L9/14
   A01M7/00 Q
   B65D83/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-73957(P2014-73957)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195829(P2015-195829A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】後藤 孝之
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−163516(JP,A)
【文献】 米国特許第04084732(US,A)
【文献】 実開昭60−109627(JP,U)
【文献】 実開平07−040516(JP,U)
【文献】 特開2008−301916(JP,A)
【文献】 実開昭58−028644(JP,U)
【文献】 特開2008−296936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
A01M 1/00− 99/00
B65D 83/00
B65D 83/08− 83/76
B65D 85/00− 85/28
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を備える容器本体と、
一端において前記容器本体の口部に装着される筒状のアダプター部材と、
前記アダプター部材の他端に装着され、ヘッド部の押し下げにより作動して前記容器本体内の揮散剤を該ヘッド部に設けられた噴出口から噴出させる噴出ポンプと、
前記アダプター部材の側面に設けられ、前記噴出ポンプの噴出口と同一方向に向けて開口する口元部と、
前記容器本体内に配置される芯本体部と、前記口元部から外部に突出する接触部とを備える吸上げ芯と、
前記容器本体に装着され、前面に設けられた通気孔が前記噴出口とは異なる方向を向く非揮散姿勢と前記通気孔が前記噴出口と同一方向を向く揮散姿勢とに姿勢変更可能なカバー体と、
前記カバー体の内部に装着され、該カバー体が前記非揮散姿勢となったときは前記吸上げ芯の接触部から離れ、前記カバー体が前記揮散姿勢となったときに前記吸上げ芯の接触部に接触する揮散体と、を有することを特徴とする揮散容器。
【請求項2】
前記カバー体が前記非揮散姿勢とされたときに前記口元部に装着されて該口元部を閉塞するキャップを有する、請求項1に記載の揮散容器。
【請求項3】
前記吸上げ芯が紐状に形成されている、請求項1または2に記載の揮散容器。
【請求項4】
前記カバー体が前記口部の軸心を中心として前記容器本体に対して前記非揮散姿勢と前記揮散姿勢との間で回動自在である、請求項1〜3の何れか1項に記載の揮散容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内の揮散剤を吸上げ芯で吸い上げて揮散体から揮散させる揮散機能と、容器本体内の揮散剤を噴出ポンプで吸い上げて噴出口から噴出する噴出機能とを備えた揮散容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤や消臭剤、殺虫剤等の液状の揮散剤を収容する揮散容器としては、容器本体内の揮散剤を吸上げ芯で吸い上げて揮散体から外部に揮散させる据え置きタイプのものが多く用いられているが、このような据え置きタイプとしての使用形態に加えて、容器本体内の揮散剤を噴出ポンプによって外部に噴出させることもできるようにした、所謂ツーウェイタイプのものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、揮散剤を収容する容器本体の口部にアダプター部材を介して噴出ポンプを装着し、この噴出ポンプのヘッド部の押し下げにより容器本体内の揮散剤を噴出口から噴出させる構成とするとともに、アダプター部材の内部に揮散体を配置し、容器本体内に配置された吸上げ芯から吸い上げられた揮散剤を揮散体から外部に揮散させるようにしたツーウェイタイプの揮散容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような揮散容器に用いられる芳香剤等の揮散剤は匂いが強く、手に付着すると匂いが移るおそれがある。そのため、噴出ポンプに液漏れ防止機能を設けて、揮散剤の手への付着を防止するようにしている。
しかしながら、従来の揮散容器では、揮散体を容器本体の外周に対応した円環状に形成し、この揮散体から揮散された揮散剤をアダプター部材の外周壁に設けられた複数の通気孔やカバー体とアダプター部材の隙間等を通して、当該容器の全周方向に分散させるようにしているので、噴出ポンプを用いて揮散剤を噴出させる際に、通気孔やカバー体とアダプター部材との隙間を通って外部に分散される揮散剤が、揮散容器を保持する手に付着し、その匂いが手に移るおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような点を解決することを課題とするものであり、その目的は、揮散体による揮散機能と噴出ポンプによる噴出機能とを有するツーウェイタイプの揮散容器において、噴出ポンプの操作時に、揮散体から揮散された揮散剤が手に付着することを防止することができる揮散容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の揮散容器は、口部を備える容器本体と、一端において前記容器本体の口部に装着される筒状のアダプター部材と、前記アダプター部材の他端に装着され、ヘッド部の押し下げにより作動して前記容器本体内の揮散剤を該ヘッド部に設けられた噴出口から噴出させる噴出ポンプと、前記アダプター部材の側面に設けられ、前記噴出ポンプの噴出口と同一方向に向けて開口する口元部と、前記容器本体内に配置される芯本体部と、前記口元部から外部に突出する接触部とを備える吸上げ芯と、前記容器本体に装着され、前面に設けられた通気孔が前記噴出口とは異なる方向を向く非揮散姿勢と前記通気孔が前記噴出口と同一方向を向く揮散姿勢とに姿勢変更可能なカバー体と、前記カバー体の内部に装着され、該カバー体が前記非揮散姿勢となったときは前記吸上げ芯の接触部から離れ、前記カバー体が前記揮散姿勢となったときに前記吸上げ芯の接触部に接触する揮散体と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記構成において、前記カバー体が前記非揮散姿勢とされたときに前記口元部に装着されて該口元部を閉塞するキャップを有するのが好ましい。
【0009】
本発明は、上記構成において、前記吸上げ芯が紐状に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明は、上記構成において、前記カバー体が前記口部の軸心を中心として前記容器本体に対して前記非揮散姿勢と前記揮散姿勢との間で回動自在であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、揮散体から揮散剤を揮散させる際には、カバー体の前面に設けられた通気孔は噴出ポンプの噴出口と同一方向を向くので、噴出ポンプを用いて揮散剤を噴出させる際に通気孔を避けて揮散容器を手で保持することができる。これにより、噴出ポンプの操作時に揮散体から揮散された揮散剤が手に付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態である揮散容器の、カバー体が揮散姿勢とされた状態における側面図を、その一部を断面として示した図である。
図2】(a)は図1に示す揮散容器の平面図であり、(b)は図1に示す揮散容器の正面図である。
図3図1に示す揮散容器の、カバー体が非揮散姿勢とされた状態における側面図を、その一部を断面として示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施の形態である揮散容器1は容器本体10を有している。容器本体10は、円筒状の口部11と、口部11に肩部12を介して連なる胴部13とを備えたボトル状に形成され、その内部に芳香剤や消臭剤、殺虫剤等の液状の揮散剤(不図示)を収容することができる。図2(a)に示すように、容器本体10は、その胴部13が、円筒状の外周面を有するとともに当該外周面の一部分(図1中では左側を向く部分)が平坦面となった平面視でD字形状の外形に形成されている。この容器本体10は、例えば樹脂製とすることができる。
【0015】
図1に示すように、容器本体10の口部11にはアダプター部材20が装着されている。このアダプター部材20は、例えば樹脂材料により略円筒状に形成され、その一端側(図1中下端側)は円筒状の装着部21となっている。装着部21の内周面には雌ねじ22が一体に設けられ、この雌ねじ22が容器本体10の口部11の外周面に形成された雄ねじ14にねじ結合することにより、アダプター部材20はその一端において容器本体10の口部11に固定されている。
【0016】
なお、装着部21の内周側には環状のシール片23が一体に設けられ、このシール片23が口部11の内周面に当接することにより、口部11と装着部21との隙間からの液漏れが防止されるようになっている。
【0017】
アダプター部材20の他端(図1中上端)には噴出ポンプ30が装着されている。この噴出ポンプ30は、円筒状のポンプ装着筒部31と、このポンプ装着筒部31に支持されるポンプ本体32とを有している。ポンプ装着筒部31は、その内周面に雌ねじ33を備え、この雌ねじ33がアダプター部材20の上端外周面に一体に設けられた雄ねじ24にねじ結合することにより、アダプター部材20の他端(図1中上端)に固定されている。ポンプ本体32は筒状のシリンダ34およびシリンダ34内に配置されたピストン35等を備え、アダプター部材20に固定されたポンプ装着筒部31に支持されて容器本体10の口部11の軸線上に配置されている。また、ポンプ本体32は、シリンダ34の上方に配置されてピストン35に連なるヘッド部36を備え、このヘッド部36が下方に向けて押し下げられることにより作動するようになっている。ポンプ本体32が作動すると、容器本体10内に収容された揮散剤がシリンダ34の下端に接続された吸上げチューブ37を通してポンプ本体32により吸い上げられ、ヘッド部36の側方に設けられた噴出口38から外部に向けて霧状に噴出される。また、ポンプ装着筒部31の上面には支持筒39が一体に設けられ、この支持筒39により上下動するヘッド部36が支持されるようになっている。
【0018】
なお、噴出ポンプ30としては、上記構成のものに限らず、ヘッド部36の押し下げにより容器本体10内の揮散剤をヘッド部36に設けた噴出口38から外部に噴出させることができる構成のものであれば、種々のタイプのものを用いることができる。
【0019】
噴出ポンプ30には、図示しない回り止め機構が設けられ、ヘッド部36の側面に設けられる噴出口38は、常に図1中で右側つまり容器本体10の胴部13の平坦面となる側とは反対側に向くようにされている。
【0020】
アダプター部材20の側面には、径方向外側に向けて突出する円筒状の口元部25が一体に設けられている。この口元部25は、図1中で右側つまり噴出ポンプ30の噴出口38と同一方向に向けて開口するとともに、アダプター部材20の内部と口部11とを介して容器本体10の内部に連通している。また、口元部25の内周面には、軸方向に沿って延びる複数のリブ26が周方向に間隔を空けて並べて設けられている。
【0021】
この揮散容器1には、容器本体10内の揮散剤を口元部25にまで吸い上げるために、吸上げ芯40が設けられている。図示する場合では、吸上げ芯40は、例えばフェルト、不織布、濾紙等の吸水性素材により断面円形の細長い紐状に形成されている。この吸上げ芯40は、その一端が口元部25に挿入された状態でアダプター部材20に保持されている。つまり、口元部25に挿入された吸上げ芯40は、その外周面に口元部25の内周のリブ26が食い込むことにより口元部25に保持されている。
【0022】
口元部25に挿入された吸上げ芯40の先端は、口元部25の開口から外部に向けて突出しており、その外部に突出した吸上げ芯40の先端部分は接触部41となっている。一方、吸上げ芯40の容器本体10の内部に配置された部分は芯本体部42となっており、この芯本体部42は口元部25から容器本体10の底部15に向けて垂れ下げられている。このような吸上げ芯40は、容器本体10内の揮散剤を芯本体部42で吸収し、これを接触部41にまで吸い上げることができる。
【0023】
容器本体10にはカバー体50が装着されている。図2からも解るように、このカバー体50は、噴出ポンプ30のポンプ装着筒部31の上面に配置される天壁51、容器本体10の底部15の下面に配置される底壁52、それぞれ天壁51の側部と底壁52の側部とを連ねる一対の側壁53および天壁51の前部と底壁52の前部とを連ねる前面壁54を備えている。つまり、カバー体50は、その背面側が開口する長方形状の箱型に形成されている。
【0024】
カバー体50の天壁51には、ポンプ装着筒部31の上面に設けられた支持筒39に対応した形状の円形の係合孔55が設けられている。この係合孔55は、このカバー体の背面側に開口する開放口56を有し、この開放口56の開口幅は支持筒39の外径よりも僅かに小さくされている。これにより、カバー体50は、この係合孔55の開放口56を拡大方向に弾性変形させながら支持筒39に押し込むことで、支持筒39を係合孔55に係合させた状態で容器本体10に装着されている。また、カバー体50は、係合孔55と支持筒39つまり容器本体10の口部11の軸心を中心として、容器本体10に対して、図1図2に示す揮散姿勢と図3に示す非揮散姿勢との間で回動自在となっている。
【0025】
図2(b)に示すように、カバー体50の前面壁54には複数の通気孔57が設けられている。図示する場合では、上下方向に延びる長孔形状の3本の通気孔57が前面壁54の容器本体10の肩部12よりも上方側の部分に横方向に並べて設けられている。これらの通気孔57はカバー体50の内側と外側とを連通させる貫通孔となっている。
【0026】
図1に示すように、カバー体50の前面壁54の内側には揮散体60が装着されている。この揮散体60は、例えばフェルト、不織布、濾紙等の吸水性素材により所定の厚みを有する矩形の板状であって、その両側部がコの字に曲げられた形状に形成されており、前面壁54の内面に設けられた支持壁58と天壁51との間に嵌め込まれ、前面壁54に対して隙間を空けた状態で、前面壁54に設けられた3本の通気孔57を覆うようにカバー体50に支持されている。
【0027】
この揮散容器1は、カバー体50の容器本体10に対する装着姿勢が非揮散姿勢とされることにより、揮散体60から揮散剤が揮散されない非揮散状態とされる。一方、この揮散容器1は、カバー体50の容器本体10に対する装着姿勢が揮散姿勢とされることにより、揮散体60から揮散剤が揮散される揮散状態とされる。このように、この揮散容器1は、容器本体10へのカバー体50の装着姿勢を変更することにより、揮散剤の揮散の有無を容易に切り替えることができるようになっている。
【0028】
より具体的に説明すると、図3に示すように、カバー体50が、その前面壁54に設けられる通気孔57が噴出ポンプ30の噴出口38とは異なる方向を向く非揮散姿勢とされたときには、カバー体50に装着された揮散体60が口元部25から突出する吸上げ芯40の接触部41から離れ、揮散体60は揮散剤が供給されない状態とされる。これにより、揮散容器1は揮散体60から揮散剤が揮散されない非揮散状態とされる。本実施の形態では、カバー体50の前面壁54に設けられる通気孔57が噴出ポンプ30の噴出口38とは反対方向を向いたときに、カバー体50が非揮散姿勢となるようにしているが、カバー体50を非揮散姿勢とする通気孔57の方向は、噴出ポンプ30の噴出口38と異なる方向であれば、噴出口38と反対の方向に限らず種々の方向とすることもできる。
【0029】
なお、カバー体50が非揮散姿勢とされたときには、口元部25にキャップ27が装着される。図3に示す場合では、キャップ27はねじ込み式とされ、口元部25の外周面に形成された雄ねじ28にねじ結合して口元部25の開口を閉塞する。このように、口元部25の開口をキャップ27で閉塞することにより、吸上げ芯40の接触部41から外部に向けて揮散剤が揮散されたり、または吸上げ芯40の接触部41から揮散剤が垂れ落ちたりすることを防止することができる。
【0030】
このように、カバー体50を非揮散姿勢とし、口元部25の開口をキャップ27で閉塞した状態とすることにより、例えば、流通時や不使用時等において、長期間に亘って揮散体60や吸上げ芯40から外部に向けて揮散剤が揮散されない状態に維持することができる。
【0031】
これに対し、図3に示す状態から、口元部25のキャップ27を取り外すとともに、容器本体10に対して口部11の軸心を中心としてカバー体50を回動させ、その容器本体10に対する装着姿勢を反対向き、つまり、図1に示すよう、前面壁54に設けられる通気孔57が噴出ポンプ30の噴出口38と同一方向を向く揮散姿勢とすることにより、容器本体10に収容された揮散剤を揮散体60から外部に揮散させる揮散状態とすることができる。カバー体50が、その前面壁54に設けられる通気孔57が噴出ポンプ30の噴出口38と同一方向を向く揮散姿勢とされると、カバー体50に装着された揮散体60が、口元部25から突出する吸上げ芯40の接触部41に接触し、吸上げ芯40によって容器本体10内から吸い上げられた揮散剤が接触部41から揮散体60に移動して、揮散体60からの揮散剤の揮散が開始される。そして、揮散体60から揮散された揮散剤はカバー体50の前面壁54の通気孔57から外部に向けて分散する。
【0032】
このように、消費者等は、口元部25のキャップ27を取り外し、カバー体50を流通時等とは反対向きとなる揮散姿勢にまで回転させるだけの簡単な操作で、揮散体60からの揮散剤の揮散を開始させることができる。また、不使用時には、再度カバー体50を回転させて当該カバー体50を非揮散姿勢とし、口元部25にキャップ27を取り付けることで、容易に揮散体60からの揮散剤の揮散を停止させて非揮散状態に戻すことができる。
【0033】
一方、この揮散容器1には噴出ポンプ30が設けられているので、この噴出ポンプ30を作動させることにより、容器本体10内の揮散剤を噴出口38から外部に噴出させることができる。噴出ポンプ30による揮散剤の噴出は、例えば、揮散容器1を手で保持し、噴出ポンプ30のヘッド部36を人差し指等で押し下げ操作することにより行うことができる。噴出ポンプ30を用いた揮散剤の噴出は、カバー体50を非揮散姿勢とした状態およびカバー体50を揮散姿勢とした状態の何れの場合においても行うことができる。
【0034】
このとき、カバー体50が揮散姿勢とされ、揮散体60から揮散剤が揮散されている状態では、カバー体50の通気孔57は噴出ポンプ30の噴出口38と同一方向に向けられているので、噴出ポンプ30を操作するために揮散容器1を手で保持しても、揮散容器1を保持する手はカバー体50の背面側から側壁53を保持することになり、カバー体50の前面壁54に設けられた通気孔57に被さることがない。したがって、揮散体60から揮散剤が揮散されている状態においても、揮散体60から揮散される揮散剤を手に付着させることなく、当該噴出ポンプ30を操作して噴出口38から外部に向けて揮散剤を噴出させることができる。
【0035】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0036】
例えば、前記実施の形態においては、カバー体50を長方形状の箱型に形成するようにしているが、これに限らず、容器本体10に回動可能に装着され、且つ通気孔57を設けることができるものであれば、種々の形状とすることができる。
【0037】
また、前記実施の形態においては、カバー体を容器本体に回動自在に装着し、当該回動により容器本体10への装着姿勢を非揮散姿勢と揮散姿勢に切り替えるようにしているが、これに限らず、カバー体50を容器本体10に対して着脱自在とし、カバー体50を容器本体10から取り外してから、非揮散姿勢または揮散姿勢で容器本体10に装着することにより当該装着姿勢を切り替える構成とすることもできる。この場合、容器本体10の胴部13を、平面視で矩形形状となるものとすることができる。
【0038】
さらに、前記実施の形態においては、揮散体60の形状を矩形の板状であって、その両側部がコの字に曲げられた形状としているが、これに限らず、吸上げ芯40の接触部41と接続されて揮散剤を揮散することができる形状であれば、種々の形状とすることができる。
【0039】
さらに、前記実施の形態においては、吸上げ芯40は紐状とされているが、これに限らず、例えば、芯本体部42がポンプ本体32の外周を取り巻く円筒状に形成され、当該芯本体部42から棒状の接触部41が突出した形状など、容器本体10内に収容された揮散剤を吸い上げて口元部25を介して揮散体60に揮散剤を供給することができる構成であれば、種々の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 揮散容器
10 容器本体
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 雄ねじ
15 底部
20 アダプター部材
21 装着部
22 雌ねじ
23 シール片
24 雄ねじ
25 口元部
26 リブ
27 キャップ
28 雄ねじ
30 噴出ポンプ
31 ポンプ装着筒部
32 ポンプ本体
33 雌ねじ
34 シリンダ
35 ピストン
36 ヘッド部
37 吸上げチューブ
38 噴出口
39 支持筒
40 吸上げ芯
41 接触部
42 芯本体部
50 カバー体
51 天壁
52 底壁
53 側壁
54 前面壁
55 係合孔
56 開放口
57 通気孔
58 支持壁
60 揮散体
図1
図2
図3