(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242785
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】裾よけ、和装肌着
(51)【国際特許分類】
A41B 9/00 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
A41B9/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-236531(P2014-236531)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-98457(P2016-98457A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】503247090
【氏名又は名称】有限会社たかはし
(74)【代理人】
【識別番号】100166051
【弁理士】
【氏名又は名称】駒津 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和江
【審査官】
田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭47−005467(JP,Y1)
【文献】
実開昭51−056112(JP,U)
【文献】
実開昭55−004004(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3088699(JP,U)
【文献】
実開昭51−031917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B9/00−9/16,13/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後身頃と、その後身頃の左右に設けられた前身頃と、前記前身頃上部から前記前身頃の外側方向に伸びる締め紐とを備える裾よけにおいて、
前記締め紐と、前記前身頃とを接続する接続部材と、
前記接続部材との接続点から前記後身頃方向に下方に傾いた状態で、前記前身頃に設けられるものであって、前記前身頃の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材と、
を備えることを特徴とする裾よけ。
【請求項2】
前記前身頃を形成する布地は、前記力伝達部材の傾斜と平行な横糸と、前記力伝達部材の傾斜に対し垂直な縦糸とで構成されることを特徴とする請求項1記載の裾よけ。
【請求項3】
前記前身頃の下辺は、前記前身頃の外側方向から、前記前身頃の内側下方向に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の裾よけ。
【請求項4】
裾の後面部と、その裾の後面部の左右に設けられた裾の前面部と、前記裾の前面部上部から前記裾の前面部の外側方向に伸びる締め紐と、前記締め紐を締める際に前記締め紐を和装肌着の内側から外側に通すための通孔と、
を備えるものであり、
前記締め紐と、前記裾の前面部とを接続する接続部材と、
前記接続部材との接続点から前記裾の後面部方向に下方に傾いた状態で、前記裾の前面部に設けられるものであって、前記裾の前面部の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材と、
を備えることを特徴とする和装肌着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、和服を着用する際に、下着として使用される裾よけおよび和装肌着に関し、特に「裾つぼまり」という和服の美しい輪郭を容易に作ることが出来る裾よけおよび和装肌着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
和服を着用する際は、まず裾よけ等の下着を着用した後に、和服を着用するが一般的である。裾よけを着用するのは汗染み等による和服の汚れを防止するためであり、冬には防寒対策のために裾よけを着用する場合もある。
【0003】
図7(a)は、一般的な裾よけ60の着用前の状態を表したものである(非特許文献1)。
裾よけ60は、
図7(b)のように下半身に巻き付けるように着用するものであり、締め紐61と裾布62とからなる。
裾布62は、裾よけ60を下半身に巻き付けた際に、下半身の後側を覆う後身頃63と、体の前面および側面を覆う前見頃64とからなる。また、前見頃64は、裾よけ60を下半身に巻き付けた際に、体の内側に位置する内側前身頃64aと、体の外側に位置する外側前見頃64bとからなる。
【0004】
従来の裾よけ60には大きく分けて2つの問題がある。
1つ目の問題は、「裾つぼまり」という和服の美しい輪郭を作ることが難しいという問題である。
裾よけ60の締め紐61を水平に身体に巻き付けて結ぶ場合、裾布62は垂直に落ちるので、
図7(b)のように腰から足下にかけての輪郭が寸胴型となり、容姿が美しくならない。すなわち、和服を着用する際は、下半身の輪郭が腰部から足下に向かうにつれて細くなる「裾つぼまり」の状態になるのが美しいとされており、寸胴型では美しくないのである。
【0005】
この裾よけ60を着用する際、締め紐61の結び方を工夫すれば「裾つぼまり」の状態にすることができる。以下、その方法を説明する。
まず、
図8(a)のように、裾よけ60を下半身に巻きながら、締め紐61を横斜め上方向に引っ張る。これにより、内側前身頃64aおよび外側前身頃64bは斜めに傾くので、
図8(a)のように「裾つぼまり」の状態にすることができる。次に、
図8(b)のように、締め紐61と裾布62の上部を、下方向に折り返す。そして、
図8(c)のように、締め紐61を後方から前方に回して、前方で締め紐61を結ぶ。このようにすれば
図8(c)のように「裾つぼまり」の状態を作ることができ、和服の輪郭を美しくできる。
【0006】
しかし、この着用方法は、締め紐61を身体に水平に巻き付ける方法に比べて難しく、初心者は上手に「裾つぼまり」の状態を作ることができない。また、上手に「裾つぼまり」の状態を作ることができたとしても、締め紐61と裾布62の上部を下に折り返すので
図8(c)のように布余り66が生じてしまう。布余り66が生じることにより、腰部横側が外側に膨らみ、和服の輪郭を崩してしまう。また、この布余り66は和服で内側に押さえつけられるので、着る人に異物感を感じさせ、着心地が悪くなるという問題があった。
【0007】
2つ目の問題は、締め紐61の問題である。締め紐61は細い紐なので、これを強く結んでも下腹部全体を締め付けることができない。よって、下腹部の膨らみが和服の輪郭に反映されてしまい、美しい輪郭を作ることができないのである。
【0008】
この2つ目の問題に対し、非特許文献2のような裾よけが提供されており、それが
図9に示す裾よけ70である。
図9の裾よけ70と、非特許文献1の裾よけ60とは、共通する構成要件が多いが、裾よけ70の場合、晒し部71を有する点で裾よけ60とは異なる。
晒し部71は、厚手の布を素材とする横長帯状の本体部72と、本体部72と締め紐61とを連結する三角形の連結布73とからなり、本体部72は、裾よけ70を着用した際に下腹部全体を覆う位置に設けられている。
【0009】
この裾よけ70の締め紐61を水平方向に結べば、晒し部71により下腹部は内側に押さえつけられ、
図9(b)のように下腹部の輪郭を美しくすることができる。すなわち、締め紐61をきつく結べば、締め付ける力が連結布73を介して本体部72全体に伝わり、下腹部全体を締め付けることができるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://item.rakuten.co.jp/manten-t/10000399/有限会社たかはし 楽天ショップホームページ/平成26年10月5日検索
【非特許文献2】http://www.s-direct.co.jp/shop/g/g2014272700701/主婦の友ダイレクト ホームページ/平成26年10月5日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、裾よけ70を利用すれば、非特許文献1の裾よけ60における、第2の問題は解決できる。
しかし、「裾つぼまり」の状態を作ることが難しいという第1の問題は依然として解決できない。裾よけ70は、締め紐61を締めると、晒し部71で下腹部を身体の内側水平方向に押さえつける力が働くだけで、内側前身頃64a全体および外側前身頃64b全体を斜めに傾ける力は働かないからである。すなわち、非特許文献1と同様、締め紐61を斜め上に引き上げないと、内側前身頃64a全体および外側前身頃64b全体を斜めに傾けることはできないのである。
【0012】
なお、裾よけ70の締め紐61を水平方向に結んだ場合、
図9(a)の矢印のように、内側前身頃64aの外側辺上部および外側前身頃64bの外側辺上部を、斜め上方向に引っ張る力が若干加わるが、この程度の力では、内側前身頃64a全体および外側前身頃64b全体を斜めに傾けて、「裾つぼまり」の状態にすることはできない。内側前身頃64aの外側辺上部および外側前身頃64bの外側辺上部を外側から引き上げた程度では、その力は内側前身頃64aおよび外側前身頃64bの伸縮により吸収され、内側前身頃64a全体および外側前身頃64b全体を斜めに傾けることは到底できないからである。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するためものであり、「裾つぼまり」という和服の美しい輪郭を容易に作ることができる裾よけを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記問題を解決するため、本発明では、後身頃と、その後身頃の左右に設けられた前身頃と、前記前身頃上部から前記前身頃の外側方向に伸びる締め紐とを備える裾よけにおいて、前記締め紐と、前記前身頃とを接続する接続部材と、前記接続部材との接続点から前記後身頃方向に下方に傾いた状態で、前記前身頃に設けられるものであって、前記前身頃の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材と、を備えることを特徴とする裾よけが提供される。
【0015】
本発明の裾よけは、締め紐と前身頃とを接続する接続部材と、接続部材との接続点から後身頃方向に下方に傾いた状態で、前身頃に設けられるものであって、前身頃の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材を備える。
これにより、締め紐を水平に締めた際に、その力が、接続部材を経由して、前身頃の外側方向から内側下部方向にかけて伝わり、前身頃全体が足下に向かうにつれてすぼまる方向に傾く。
【0016】
上記問題を解決するため、本発明では、裾の後面部と、その裾の後面部の左右に設けられた裾の前面部と、前記裾の前面部上部から前記裾の前面部の外側方向に伸びる締め紐と、前記締め紐を締める際に前記締め紐を和装肌着の内側から外側に通すための通孔と、を備えるものであり、前記締め紐と、前記裾の前面部とを接続する接続部材と、前記接続部材との接続点から前記裾の後面部方向に下方に傾いた状態で、前記裾の前面部に設けられるものであって、前記裾の前面部の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材と、を備えることを特徴とする和装肌着が提供される。
【0017】
本発明の和装肌着は、締め紐と裾前面部とを接続する接続部材と、接続部材との接続点から前記裾構面部方向に下方に傾いた状態で、裾前面部に設けられるものであって、裾前面部の素材よりも伸縮性の弱い素材で形成される力伝達部材とを備える。
これにより、締め紐を水平に締めた際に、その力が、接続部材を経由して、裾の前面部の外側方向から内側下部方向にかけて伝わり、裾の前面部全体が足下に向かうにつれてすぼまる方向に傾く。
【発明の効果】
【0018】
本発明の裾よけは、締め紐を水平に締めた際に、その力が、接続部材を経由して、裾前面部の外側方向から内側下部方向にかけて伝わり、裾前面部全体が足下に向かうにつれてすぼまる方向に傾く。
よって、水平に締め紐を締めるだけで「裾つぼまり」の状態を作りことができ、和服の美しい輪郭を容易に作ることが出来る。すなわち、和服を着用する人は、締め紐を斜め上に引っ張る必要もなく、和服を着用する人に、布余りによる異物感を感じさせることもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る裾よけの着用前の状態を表した図である。
【
図2】前身頃の布の縦糸・横糸の状態を表す拡大図である。
【
図3】本発明に係る裾よけの着用途中の状態を表した図である。
【
図4】本発明に係る裾よけの着用後の状態を表した図である。
【
図5】本発明に係る裾よけの他の例を示す図である。
【
図6】本発明に係る和装肌着の着用前の状態を表した図である。
【
図9】晒し部を有する従来の裾よけを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明の裾よけを図に基づいて説明する。
図1の裾よけ1は、締め紐2と、裾布3とからなる。
締め紐2は、一般的な布製の紐であり、長さは約2メートルくらいが好ましいが、人の腰に巻き付けて結ぶことができる長さであれば、他の長さでもよい。
裾布3は、その上辺が締め紐2に縫いつけられている長方形の布であり、裾よけ1を下半身に巻き付けた際に、下半身の後側を覆う後身頃31と、体の前面および側面を覆う内側前見頃32・外側前身頃33とからなる。なお、裾よけ1を下半身に巻き付けた際に、体の内側に位置するのが内側前身頃32であり、体の外側に位置するのが外側前見頃33である。
【0021】
後身頃31には、絹、ポリエステル、ウールなどの肌触りがよい、しなやかな素材の布が使用されている。後身頃31は、その下方に後裾面31aを備え、上方に後晒し面31bを備える。後裾面31aは、長方形の布であり、後晒し面31bも長方形の布である。後裾面31aの下端と、後晒し面31bの上端とを縫い合わせることにより長方形の後身頃31が形成される。
【0022】
内側前身頃32には、絹、ポリエステル、ウールなどの肌触りがよい、しなやかな素材の布が使用されている。内側前身頃32は、その下方に内側裾面32aを備え、上方に内側晒し面32bを備える。内側裾面32aは、台形の布であり、内側晒し面32bも台形の布である。内側裾面32aの下端と、内側晒し面32bの上端とを縫い合わせることにより長方形の内側前身頃32が形成される。なお、
図2(a)は内側前身頃32と後述する力伝達部材32cとの結合部分の拡大概要図であるが、内側裾面32aは布であるため、横糸32dと縦糸32dとで構成され、横糸32dは力伝達部材32cの傾きと平行に、縦糸32eは力伝達部材32cに対して垂直にすることが好ましい。これにより内側裾面32aが傾きやすくなるからである。
【0023】
外側前身頃33には、絹、ポリエステル、ウールなどの肌触りがよい、しなやかな素材の布が使用されている。外側前身頃33は、その下方に外側裾面33aを備え、上方に外側晒し面33bを備える。外側裾面33aは、台形の布であり、外側晒し面33bも台形の布である。外側裾面33aの下端と、外側晒し面33bの上端とを縫い合わせることにより長方形の内側前身頃33が形成される。なお、外側裾面33aは布であるため、
図2(b)のように横糸33dと縦糸33eとで構成され、横糸33dは後述する力伝達部材33cの傾きと平行にし、縦糸33eは力伝達部材33cに対して垂直にすることが好ましい。これにより外側裾面33aが傾きやすくなるからである。
【0024】
内側前身頃32の右辺と、後身頃31の左辺とを縫い合わせ、外側前身頃33の左辺と、後身頃31の右辺とを縫い合わせることにより裾布3が形成される。また、これにより内側晒し面32bと、後晒し面31bと、外側晒し面33bとが結合し、下腹部を締め付ける船底型の晒しの役割を果たすことになる。
【0025】
裾布3の上辺に締め紐2が縫いつけられている。また、締め紐2と裾布3とは、三角形の連結布34(内側連結布34a、外側連結布34c)とで連結されている。この連結布34(連結布34a、連結布34b)の下辺は、締め紐2と力伝達部材32c・33cとを接続する接続部材であり、締め紐2を引っ張った際の力を力伝達部材32に伝えることができる。なお、ここでは連結布34aと内側晒し面32bとを別々の布で形成されると説明しているが、これを1枚の布で一体的に形成してもよい。また、連結布34bと外側晒し面33bについても同様である。また、この連結布34が、伸縮する力は内側前身頃32(内側裾面32a)より弱い素材、すなわち内側前身頃32(内側裾面32a)より強度がある素材で形成されることが好ましい。
【0026】
内側前身頃32には、力伝達部材32cが備えられている。以下、力伝達部材32cの詳細を説明する。
まず、力伝達部材32cの形成方法について説明する。
力伝達部材32cは、内側裾面32aと内側晒し面32bとの縫い合わせ部分に設けられている。すなわち、内側裾面32aの上端と内側晒し面32bの下端とを重ね合わせて(二重にして)、二重の部分を縫い合わせることにより力伝達部材32cが形成される。この力伝達部材32cは、布が二重で、その部分を縫い合わせているので、強度があり、伸縮する力は内側前身頃32(内側裾面32a)より弱くなる。よって、この部材を何らかの力で引っ張った場合は、布の伸縮にその力が吸収されることがなく、確実にその力を内側前身頃32全体に伝えることができる。
なお、外側前身頃33に備えられてた力伝達部材33cの形成方法もこれと同様である。更に、ここでは力伝達部材32cを二重の布で形成する例を説明したが、形成方法はこれに限らず、力を伝達できるものであれば他の形成方法であってもよい。
【0027】
次に、力伝達部材32cの設置位置について説明する。
力伝達部材32cは、内側前身頃32の外側辺(
図1(a)の左側の辺)から、内側前身頃32の内側下方向に向かって設けられている。すなわち、連結布34aの下辺と、内側前身頃32の外側辺とが接する位置(接続点)から、内側前身頃32の内側方向(後身頃31の方向)に向かって設けられている。また、力伝達部材32は、内側前身頃32の内側方向に向かうにつれて下がるような傾斜をつけて設けられている。なお、ここでは力伝達部材32cは、内側前身頃32の外側辺から、内側前身頃32と後身頃31とが接する位置まで設けられているが、これに限るものではない。例えば、内側前身頃32と後身頃31とが接する位置まで届かない位置で止めてもよい。
なお、外側前身頃33に備えられてた力伝達部材33cの設置位置についても、力伝達部材32cの設置位置と同様であり、力伝達部材32cを左右対称にすればよい。
【0028】
次に、裾よけ1の着用方法について説明する。
図1の状態で、締め紐2の右端側を右手に持ち、締め紐2の左端側を左手に持ち、後身頃31の上部を身体の後側(腰)にあてる。
右手を水平に、身体の前方を経由して左側に回し、
図3のように締め紐2を左側に引っ張る。この際、締め紐2を左側に引っ張る力が、連結布34aを介して力伝達部材32cに伝わる。力伝達部材32cは、強度があるため、締め紐2の力を内側前身頃32全体に伝達でき、且つ、伝達部材32cは
図3において右上から左下に傾いているので、内側前身頃32全体が左方向(内側前身頃32の下部が身体の近づき、内側前身頃32の上部が身体から遠のく方向)に傾く。これにより身体の右側において「裾つぼまり」の状態を容易に作ることができる。
【0029】
次に、左手を水平に、身体の前方を経由して右側に回せば、身体の左側においても「裾つぼまり」の状態を容易に作ることができる。そして、締め紐2を身体の後方から前方に回し、身体の前方で結べば、
図4のように輪郭を美しくできる。また、内側晒し面32bと後晒し面31bと外側晒し面33bとからなる船底型の晒しが、下腹部を締め付けるので下腹部の輪郭も美しいものとなる。
【0030】
図5は、裾よけ1の前身頃32・33の下辺に傾斜をつけたものである。すなわち、
図5において、内側前身頃32の下辺32fに、内側前身頃32の外側(左側)から内側(後身頃側、右側)下方向に向かう傾斜をつけたものであり、さらには外側前身頃33の下辺33fに、外側前身頃33の外側(右側)から内側(後身頃側、左側)下方向に向かう傾斜をつけたものである。このような傾斜をつけることにより、着物の輪郭をより美しくすることができる。
【0031】
図6は、和装肌着(スリップ)40である。この和装肌着40は、上半身を覆う上半身部41と下半身を覆う下半身部42とからなる。上半身部41は、一般的な和装肌着の上半身と同じ構成をしている。下半身部42の構成は上記裾よけ1とほぼ同じである。なお、下半身部42の裾前面部51は裾よけ1の前身頃32・前身頃33に相当する。また、下半身部42の裾後面部52は、裾よけ1の後身頃31に相当する。
【0032】
この和装肌着40において特徴的な構成要件は、通孔43を備えている点である。この通孔43は、締め紐2のやや上、和装肌着40を着用した際の横腹付近にあたる位置に設けられている。右側の締め紐2aを水平に腰に巻く際、締め紐2aを和装肌着40の内側から通孔43に通し、締め紐2aを和装肌着40の外側に出す。そして、締め紐2bを水平に腰に巻き付け(
図5(b))、最後に締め紐2aと締め紐2bとを結ぶ。この通孔43は、締め紐2のやや上にあるので、締め紐2を水平に巻くことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 裾よけ
2 締め紐
3 裾布
32 内側前身頃
33 外側前身頃
31 後身頃
32c、33c 力伝達部材