特許第6242799号(P6242799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242799
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電池パックと電池パックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20171127BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
   H01M2/10 E
   H01M2/12 102
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-541475(P2014-541475)
(86)(22)【出願日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】JP2014001628
(87)【国際公開番号】WO2014184993
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-102778(P2013-102778)
(32)【優先日】2013年5月15日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-237286(P2013-237286)
(32)【優先日】2013年11月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】米田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】拝野 真己
(72)【発明者】
【氏名】岸田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】衣川 輝将
(72)【発明者】
【氏名】神足 昌人
【審査官】 ▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−293863(JP,A)
【文献】 特開2007−157358(JP,A)
【文献】 実開平07−007064(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/133708(WO,A1)
【文献】 特開2012−205371(JP,A)
【文献】 特開2009−218012(JP,A)
【文献】 特開2011−181415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池を保持する電池ホルダと、
前記電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、
前記防水袋内に注入されるポッティング樹脂と
回路基板とを備える電池パックにおいて、
前記防水袋には、内部の空気を排気する場合にのみ開弁する逆止弁が前記回路基板と対向する位置に設けられていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
電池と、
前記電池を保持する電池ホルダと、
前記電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、
前記防水袋内に注入されるポッティング樹脂と
回路基板とを備える電池パックにおいて、
前記防水袋には、防水構造としながら空気の流通を可能とした逆止弁が前記回路基板と対向する位置に設けられていることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
前記逆止弁は、前記電池の延在方向に直交するようにリード板が配置された前記電池ホルダの側面に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記逆止弁は、リード板が配置された電池ホルダの側面の中央に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池ホルダの側面が上面となる姿勢において、前記防水袋内に注入された前記ポッティング樹脂が、前記逆止弁より吸気されることによって、前記電池の表面に密着して配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項6】
電池と、
前記電池を保持する電池ホルダと、
前記電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、
前記防水袋内に注入されるポッティング樹脂と、
前記防水袋に設けられて、防水袋内部の空気を排気する場合にのみ開弁する逆止弁とを備える電池パックの製造方法であって、
前記電池を保持した電池ホルダの上面に回路基板を配置した状態で、該電池ホルダを収納してなる前記防水袋に、未硬化でペースト状ないし液状のポッティング樹脂を充填する充填工程を含むことを特徴とする電池パックの製造方法。
【請求項7】
前記充填工程において、前記防水袋の一部を外部から押圧し、この状態でポッティング樹脂を前記防水袋に充填する請求項6に記載される電池パックの製造方法。
【請求項8】
前記充填工程において、前記防水袋を弾性体を介して所定の面積で押圧する請求項7に記載される電池パックの製造方法。
【請求項9】
前記回路基板上に電池の残容量を表示する表示部が配置されてなる請求項6ないし8のいずれかに記載される電池パックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水袋に収納された電池及び電池ホルダの表面にポッティング樹脂を均等に配置することで放熱を行う電池パックとこの電池パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、電動工具、電動アシスト自転車、電動バイク、ハイブリッド電気自動車、電気自動車などの電源として、さらには家庭や店舗などでの蓄電用として幅広く用いられている。電池パックを機器に装着して使用する際や充電を行う際などには、内部の電池が熱を発する。この熱を外部に放熱することが、電池パックの充放電特性および寿命特性などの観点から重要となる。特許文献1に開示された電池パックでは、電池が電池ケースと蓋体とによって収納されており、さらに、電池ケース内の間隙には、ポッティング樹脂が充填されていることによって内部の電池で発生した熱がポッティング樹脂を介して、ケース側に放熱されることができるという効果を備えている。
【0003】
また、電動工具、電動アシスト自転車、電動バイク、ハイブリッド電気自動車、電気自動車等は屋外で使用されるため、電池パックは、電池及び回路基板等の電池コアパックを防水構造としてケースに収納する必要がある。そこで、特許文献2で示す電池パックでは、複数の電池を収納してなる電池コアパックが、可撓性の防水袋に収納されているため、電池パックを防水構造とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−39485号公報
【特許文献2】特開2012−79547号公報
【発明の概要】
【0005】
電池を電池ケースに収納した電池パックにおいて、電池と電池ケースの内面とをポッティング樹脂によって熱結合させる構造では、電池と電池ケース内面との間隙を満たすようにポッティング樹脂を充填する必要があるため、電池ケースの外形が大型化し、電池と電池ケース内面との間隙の容量が増加するため、充填されるポッティング樹脂の量が増加し、電池パックの重量が増加するという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するために成されたものであり、充填されるポッティング樹脂の量を最小限としながら、電池にポッティング樹脂を密着させて、電池の熱を的確に放熱することができる電池パックとこの電池パックの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の電池パックは、電池と、電池を保持する電池ホルダと、電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、防水袋内に注入されるポッティング樹脂と、回路基板とを備える電池パックにおいて、防水袋には、内部の空気を排気する場合にのみ開弁する逆止弁が回路基板と対向する位置に設けられている。
【0008】
本発明の電池パックは、電池を保持する電池ホルダと、電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、防水袋内に注入されるポッティング樹脂と、回路基板とを備える電池パックにおいて、防水袋には、防水構造としながら空気の流通を可能とした逆止弁が回路基板と対向する位置に設けられている。本発明の電池パックは、逆止弁は、電池の延在方向に直交するようにリード板が配置された電池ホルダの側面に対向するように設けられている。
【0009】
本発明の電池パックは、逆止弁は、リード板が配置された電池ホルダの側面の中央に対向するように設けられている。
【0010】
本発明の電池パックにおいて、電池ホルダの側面が上面となる姿勢において、防水袋内に注入されたポッティング樹脂が、逆止弁より吸気されることによって、電池の表面に密着して配置される電池パック。
【0011】
本発明の電池パックの製造方法は、電池と、電池を保持する電池ホルダと、電池を保持した電池ホルダを防水構造として収納する防水袋と、防水袋内に注入されるポッティング樹脂と、防水袋に設けられて、防水袋内部の空気を排気する場合にのみ開弁する逆止弁とを備える電池パックを製造する方法であって、電池を保持した電池ホルダの上面に回路基板を配置した状態で、電池ホルダを収納してなる防水袋に、未硬化でペースト状ないし液状のポッティング樹脂を充填する充填工程を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の電池パックの製造方法は、充填工程において、防水袋の一部を外部から押圧し、この状態でポッティング樹脂を防水袋に充填することができる。
【0013】
本発明の電池パックの製造方法は、充填工程において、防水袋を弾性体を介して所定の面積で押圧することができる。
【0014】
本発明の電池パックの製造方法は、回路基板上にLEDを配置することができる。
【0015】
本発明の電池パックでは、防水袋には、内部の空気を排気する場合にのみ開口する逆止弁が回路基板と対向する位置に設けられている構成によって、防水袋内にポッティング樹脂を注入した状態で、逆止弁より防水袋内の空気を排気することによって、電池及び電池
ホルダの表面に均等にポッティング樹脂が密着するように配置されるため、効率よく電池の熱を放熱することができる。したがって、従来のように電池と電池ケース内面との間隙を満たすようにポッティング樹脂を充填する必要が無く、ポッティング樹脂の量を最小限としながら、電池の放熱を行うことができる。
【0016】
また、本発明の電池パックは、防水構造としながら空気の流通を可能とした逆止弁を回路基板と対向する位置に設けることで、電池が熱暴走した際に電池の安全弁が作動し、発生したガスが防水袋内に充満した場合においても、適切に防水袋の外へガスを排出することができるという効果を備えている。
【0017】
また、本発明の電池パックは、逆止弁が、リード板が配置される電池ホルダの側面に対向するように設けられていることで、防水袋内にポッティング樹脂を注入した状態で、逆止弁より防水袋内の空気を排気することによって、電池の延在方向に沿うようにしてポッティング樹脂が電池の表面に効率よく密着させることができ、電池とポッティング樹脂との接着面積を増加させることで、放熱性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の電池パックでは、逆止弁が、リード板が配置された電池ホルダの側面の中央に対向するように設けられていることによって、ポッティング樹脂を複数の電池の表面に均等に接着させることができ、複数の電池の放熱性を均等にすることができる。
【0019】
さらに、本発明の電池パックでは、電池ホルダの側面が上面となる姿勢において、防水袋内に注入されたポッティング樹脂が、逆止弁より吸気されることによって、電池の表面に密着して配置されることで簡易に吸気作業を行うことができ、電池の延在方向の下側から上に向かうように適切に電池の表面にポッティング樹脂を密着させることができる。
【0020】
本発明の電池パックの製造方法では、電池ホルダの上面に回路基板を配置した状態で、電池ホルダを収納してなる防水袋に、未硬化でペースト状ないし液状のポッティング樹脂を充填するので、回路基板にポッティング樹脂が被るのを防止しながら、ポッティング樹脂を防水袋に注入できる。このため、回路基板の表面にポッティング樹脂が付着することに起因する弊害を有効に防止できる。
【0021】
また、本発明の電池パックの製造方法では、ポッティング樹脂の充填工程において、防水袋の一部を外部から押圧して、ポッティング樹脂の流れをコントロールするにより、電池ホルダや防水袋の形状によってポッティング樹脂を充填するのが難しい領域であっても確実に充填できる特徴がある。防水袋の一部を外部から押圧する状態で充填されるポッティング樹脂は押圧部で堰き止められて溜まる状態となるが、この状態で、貯溜されたポッティング樹脂を充填が難しい領域に確実に流動させて充填でき、あるいは、押圧状態を解除して溜まったポッティング樹脂を一度に流動させることで、充填が難しい領域に確実にポッティング樹脂を流動させて充填できる。このため、電池ホルダや防水袋の形状によって充填が難しい領域であっても、ポッティング樹脂の量を少なくしながら確実に充填して、電池にポッティング樹脂を密着させて、電池の熱を的確に放熱することができる。
【0022】
さらに、本発明の電池パックの製造方法では、充填工程において、防水袋を弾性体を介して所定の面積で押圧することで、防水袋を電池コアパックの表面により隙間なく確実に密着させて、ポッティング樹脂の量を最小限としながら充填できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明における電池パックの斜視図である。
図2】本発明における電池パックの分解斜視図ある。
図3】電池コアパックが防水袋に収納され、防水袋の開口部が封止されていない状態を示す斜視図である。
図4】電池コアパックが防水袋に収納され、防水袋の開口部が封止された状態を示す斜視図である。
図5】電池コアパックが防水袋に収納され、防水袋の開口部が封止され、さらに逆止弁より吸気された状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施例における吸気前の状態を示した電池ホルダの断面図である。
図7】本発明の実施例における吸気後の状態を示した電池ホルダの断面図である。
図8】防水袋にポッティング樹脂を充填する充填工程において、防水袋の一部を外部から押圧する状態を示す断面図である。
図9】回路基板上に配置されたLEDの表面に防水袋を密着させる状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パック1と電池パックの製造方法を例示するものであって、本発明の電池パック1とその製造方法を以下のものや方法に特定するものではない。
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電池パック1と電池パックの製造方法を例示するものであって、部材の名称や形状、寸法、材質等を記載しているが、本発明は電池パック1とその製造方法を以下のものや方法に特定しない。
【0026】
本発明の電池パック1は、主として電動の乗り物に装着されて、駆動用のモータに電力を供給する。本発明は、たとえば、アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、電動三輪車、電動カート等の電源として使用される。ただし、本発明は電池パック1の用途を特定するものではなく、電動工具等の屋外で使用される種々の電気機器用の電源として使用することもできる。
【0027】
図1及び図2に示される本発明の電池パック1は、主として電子機器本体に装着されて、電子機器本体に電力を供給する。このような目的で使用される電池パック1には、複数の電池を互いに平行な姿勢とし、かつ電池の両端に正負の異なる電極端子を備え、この電極端子を同一面に配置して多段多列に配置している電池ホルダ6と、この電池ホルダ6に収納している電池の電極端子に接続されて、隣接する電池を直列と並列に接続してなるリード板7とを備えている。
【0028】
電池は、充電できるリチウムイオン二次電池であるが、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充電できる電池であってもよい。さらに、本実施例の電池パック1では、円筒型電池が使用されているが、これに限定されず、角型電池や扁平形電池とすることもできる。電池コアパック2は、電池を平行な姿勢として、多段多列に並べて電池ホルダ6に収納している。本実施例の電池パック1は、円筒形電池が50本使用されており、10直列5並列で電気接続されている。
【0029】
図2の電池パック1の分解斜視図が示すように、複数の電池が両端部の電極端子を同一面に配置し、互いに平行な姿勢として、電池ホルダ6に配置され収納保持されている。また、この電池ホルダ6は、一対の電池ホルダユニットが嵌合されることで構成されており、一方の電池ホルダユニットは、電池の端部を挿入し、電池を収納する保持筒を備えている。電池ホルダ6は、絶縁材料であるプラスチック等の熱可塑性樹脂によって形成されている。さらに、一方の電池ホルダの保持筒に電池を収納した状態で、他方の電池ホルダユニットを配置し、連結させることで、電池の端面以外の側面を覆うような電池収納部が形成されている。一対の電池ホルダユニットによって複数の電池が収納保持されている。図2では便宜上、防水袋は図示していない。
【0030】
図2に示すように、電池ホルダ6は、複数の電池を多段多列に配置し、定位置に保持している。また、電池の電極端子は、電池ホルダ6の端面に設けられた開口部より露出した状態でリード板7に接続されている。電池ホルダ6の対向する両側面にそれぞれリード板7が配置されている。さらに、電池は、このリード板7を介して、回路基板5に接続されている。この回路基板5は、電池ホルダ6の端面同士の間に位置している電池ホルダ6の上面に配置されている。さらに、図2に示す回路基板5は、電池の残容量等を表示するための表示部であるLED13を上面に配置している。図2に示す回路基板5は、上面にLEDホルダ14を配置しており、このLEDホルダ14の内部であって、LEDホルダ14に設けた複数の表示窓に対向して、複数のLED13を配置している。
【0031】
以上のように、複数の電池を電池ホルダ6で所定の位置に保持すると共に、回路基板5を基板ホルダの上面に固定し、さらに、各々の電池の電極端子がリード板7と接続され、このリード板7を介して、回路基板5に接続して電池コアパックとしている。図1及び図2で示すようにこの電池コアパック2を防水袋8に収納し、電池ケース4に収納している。
【0032】
図3に示すように電池コアパック2は、防水性を向上させて水密構造とするため、防水袋8に電池コアパック2を収納しており、とくに、電池コアパック2を防水袋8内で仮固定した状態で、防水袋8からリード線51を引き出している。さらに、防水袋8に電池コアパック2を配置した状態で、ポッティング樹脂9を充填している。
【0033】
図3に示す防水袋8は、可撓性シートを袋状に成形したものである。防水袋8の可撓性シートには、プラスチックシートが使用できる。プラスチックシートには、ポリイミド(PI)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が使用できる。これらのプラスチックシートは、可撓性と耐熱性に優れている特長がある。また、電池の安全弁が開弁されたときに排出される電解液によって、溶融し化学反応を起こすこともない。ただ、防水袋8に使用される可撓性シートには、上述したもの以外の他のプラスチックシートも使用することができる。また、防水袋8は、透過性のシートであるため図3では、防水袋8の一部が透過するように記載している。
【0034】
図3に示す防水袋8は、一端に開口部を備えた袋状であり、この開口部から電池コアパック2を収納している。また、一端の開口部が、リード線51を引き出している構成となっている。このリード線51は、充放電端子や信号線を備えたコネクタに接続される。したがって、防水袋8は、電池コアパック2を収納すると共に、防水袋8の開口からリード線51を防水袋8から外部へ引き出している。また、図4、5に示すように、防水袋8の開口部から防水構造として、リード線51を引き出している。
【0035】
図3は、電池コアパック2が防水袋8に収納され、防水袋8の開口部よりポッティング樹脂9が注入された状態を示している。図3に示すように、電池コアパック2は、リード板7が配置された電池ホルダ6の両側面がそれぞれ底面及び上面となるように防水袋8に配置されており、注入されたポッティング樹脂9は、防水袋8の底に溜まった状態となっている。さらに、電池コアパック2は、図3に示すように、電池ホルダ6の上面に回路基板5が配置された状態で防水袋8に収納されて、ポッティング樹脂9が充填されている。このように、電池ホルダ6の上面に回路基板5を配置した状態でポッティング樹脂9を充填することで、防水袋8に注入される未硬化でペースト状ないし液状のポッティング樹脂9が回路基板5に不意に付着するのを有効に防止できる。防水袋8に注入されるポッティング樹脂9は、防水袋8の底部に溜まった状態となって、電池ホルダ6に収納された各電池に熱結合状態で連結される。また、本実施例の電池パックでは、図示はしないが、防水袋8にポッティング樹脂9を充填した後に、防水袋8の開口部の挿通隙間からリード線51を引き出して、挿通隙間にシール剤を充填し、リード線51を挿通隙間から水密構造として引き出している。
【0036】
図4に示す電池コアパック2は、図3で示された電池コアパック2が防水袋8に収納され、さらにポッティング樹脂9が注入された状態から、さらに、防水袋8の開口部よりリード線51を引き出し、防水構造に封止した状態を示している。図4に示すように、防水袋8には、内部の空気を排気する場合にのみ開口する逆止弁10が設けられている。本実施例では、防水袋8の開口部が防水構造に封止された状態において、この逆止弁10は、電池ホルダ6に収納された電池の延在方向に直交するようにリード板7が配置された電池ホルダ6の側面に対向するように設けられている。
【0037】
逆止弁10は、内部の空気を排気する場合にのみ開弁する構造となっている。したがって、逆止弁10に吸気具の吸気口を配置し、吸気することで防水袋8内部の空気を吸気することができる。この吸気具によって、防水袋8内部の空気を吸気する際に、図3及び図4において、防水袋8の底面となる一方の電池ホルダ6の側面側に溜まったポッティング樹脂9が、電池と電池ホルダ6との間隙61に流入する。この電池と電池ホルダ6との間隙61にポッティング樹脂9が流入することで、電池が空気よりもより熱伝導率の高いポッティング樹脂9と密接することで伝熱性及び放熱性を向上させることができる。
【0038】
図6は、図4の防水袋8に電池コアパック2を収納し、ポッティング樹脂9を注入した状態における電池ホルダ6の断面を示したものである。図6に示すように、電池3と電池ホルダ6との間には、間隙61が設けられている。この間隙61は、電池3や電池ホルダ6の寸法公差を許容するための一定のクリアランスである。しかし、この間隙61によって、電池3と電池ホルダ6とが空気層を介することで、伝熱性が低くなり、発熱した電池の熱を適切に放熱することができず、結果として、電池毎に温度のバラツキが生じることで、電池毎にサイクル特性や電池容量等が変化し、電池パック1の寿命を短期化するという課題があった。
【0039】
図7は、図5の防水袋8に電池コアパック2を収納し、防水袋8に設けられた逆止弁10に吸気具の吸気口を配置して、防水袋8内部の空気を吸気した状態における電池ホルダ6の断面を示したものである。図7に示すように、逆止弁10より吸気されたことによって、電池3と電池ホルダ6との間に設けられた間隙61にポッティング樹脂9が充填されている。これは、逆止弁10から防水袋8内部の空気が吸気されることで、電池3と電池ホルダ6との間隙61に存在していた空気が吸気され、電池3と電池ホルダ6との間隙61に防水袋8の底面に溜まっていた溶融した状態のポッティング樹脂9が流入することに起因する。この構成によって、電池コアパック2が収納された防水袋8内の全体にポッティング樹脂9を充填する必要が無く、充填されるポッティング樹脂9の量を削減しながら電池3と電池ホルダ6との間に設けられた間隙61にポッティング樹脂9を充填することができる。したがって、電池と電池ホルダ6とを確実に熱結合させることができ、電池3の放熱性を向上させることができる。
【0040】
また、図4で示した電池コアパック2は、防水袋8に収納され、さらにポッティング樹脂9が注入された状態から、さらに、防水袋8の開口部よりリード線51を引き出し、防水構造に封止した状態を示している。この状態では、注入されたポッティング樹脂9は、防水袋8の底に溜まった状態となっているため、防水袋8の底部の外形が大きくなるという課題があった。しかし、本実施例の図5で示す電池コアパック2は、防水袋8に収納され、防水袋8の開口部が封止され、さらに、逆止弁10より吸気されることによって、防水袋8の底部に溜まった溶融したポッティング樹脂9が電池と電池ホルダ6との間に設けられた間隙61に充填されるか、又は電池ホルダ6の表面にポッティング樹脂9が密着することによって、防水袋8の底部に溜まった溶融したポッティング樹脂9が分散され、防水袋8の底部の外形が大きくなることを防止している。
よって、防水袋8の底部における外形は、逆止弁10が設けられている側の防水袋8の外形とほぼ等しい大きさである。
【0041】
本実施例では、図4で示すように、防水袋8に設けられた逆止弁10は、リード板7が配置された電池ホルダ6の側面の中央に対向するように設けられていることで、逆止弁10に吸気具(図示せず)の吸気口(図示せず)を配置して、防水袋8内部の空気を吸気した場合、複数の電池と電池ホルダ6との間隙61に対してポッティング樹脂9を吸引する力が均等にかかるため、電池と電池ホルダ6との間隙61に流入する樹脂の量のバラツキを低減することができるため、電池毎の温度差を低減することができる。
【0042】
本実施例で使用された逆止弁10は、内部の空気を排気する場合にのみ開弁する構造であるが、その他の実施例として、防水構造としながら空気の流通を可能とした逆止弁10であってもよい。その他の実施例における逆止弁10では、電池が熱暴走した際に電池の安全弁が作動し、発生したガスが防水袋8内に充満した場合においても、適切に防水袋8の外へガスを排出することができるという効果を備えている。
【0043】
以上の構造は、防水袋内の空気を排気して、ポッティング樹脂を電池と電池ホルダと防水袋との間に充填できる。ただ、電池ホルダや防水袋の形状によっては、ポッティング樹脂を理想的な状態で充填するのが難しいことがある。ポッティング樹脂を好ましい状態で充填できないと、ポッティング樹脂が接触しない電池の熱伝導が悪くなって電池温度が上昇する等の弊害が発生する。さらに、内部にLED等を配置し、例えば、図2ないし図5に示すように、回路基板5上にLED13を配置して、このLED13の光を外部に照射する電池パックは、LED13がポッティング樹脂9に深く埋設されると、ポッティング樹脂9がLED13の光を減衰させて外部に明るく放射できなくなる弊害も発生する。ポッティング樹脂の充填は、電池や電池ホルダの形状のみでなく、内部に配置しているリード線なども阻害する原因となる。これ等がポッティング樹脂の流れを阻止して、充填できない領域ができるからである。
【0044】
ポッティング樹脂が防水袋に供給される充填工程をコントロールして、真空引きする工程で、充填するのが難しい領域に確実に充填することができる。図8は、充填の難しい領域にポッティング樹脂9を確実に充填する方法を示している。この図は、防水袋8にポッティング樹脂9を供給するときに、防水袋8の一部を外部から押圧して、充填されるポッティング樹脂9の流れをコントロールして、好ましい状態でポッティング樹脂9を充填する。この図において、たとえばリード線51等があって、A領域に、ポッティング樹脂9をスムーズに充填できないとすれば、図に示すように、A領域の下部を押圧する状態でポッティング樹脂9を充填する。外部から押圧されて電池コアパック2の表面に密着する防水袋8は、電池コアパック2との隙間が狭くなってポッティング樹脂9をせき止める状態となる。したがって、この状態で未硬化でペースト状や液状のポッティング樹脂9を防水袋8に充填すると、ポッティング樹脂9は押圧部11でせき止められて、その上のA領域に溜まる状態となる。したがって、ポッティング樹脂9の充填が難しい領域の下方を押圧して、A領域に確実にポッティング樹脂9を充填できる。その後、押圧を解除するとA領域に溜まった余分のポッティング樹脂9は流れ落ちて、A領域の下部にも充填される。以上の方法は、ポッティング樹脂9をせき止めて一部に蓄え、これを流れ落として下方に充填するので、押圧する部分の下方にも確実にポッティング樹脂9を充填できる。したがって、ポッティング樹脂9を確実に充填するのが難しい部分の上を押圧し、押圧部11の上にポッティング樹脂9を蓄えて流れ落とすことで、押圧部11の下方にポッティング樹脂9を確実に充填することもできる。ただ、押圧部は必ずしもポッティング樹脂の充填が難しい部分の下方には限らない。ポッティング樹脂が充填され難い領域よりも上方を押圧してポッティング樹脂を溜め、押圧を解除して溜まったポッティング樹脂を一度に流れ落として充填するのが難しい領域に確実に充填することもできるからである。
【0045】
図8は、防水袋8の押圧部11を弾性体12として、弾性体12で防水袋8を外部から押圧している。弾性体12は、弾性変形するプラスチック発泡体やゴム状弾性体などである。弾性体12の押圧部11で防水袋8を押圧する方法は、可撓性の防水袋8を電池コアパック2の表面により隙間なく確実に密着できる。ただ、押圧部は、平面状の板材とし、あるいは防水袋との対向面を、電池コアパックの外面に沿う形状とすることもできる。押圧部11が防水袋8の一部を外部から押圧する位置や面積は、防水袋8を押圧する状態で、ポッティング樹脂9を充填して押圧部11の上にポッティング樹脂9を蓄えて充填の難しい部位に充填できるように、電池や電池ホルダの形状を考慮して最適なように設計される。
【0046】
以上の工程で防水袋8にポッティング樹脂9を供給する方法は、ポッティング樹脂9を真空引きで充填するのが難しい領域にも充填できる。ポッティング樹脂9は、未硬化であってペースト状や液状で防水袋8に充填される。所定の領域に充填されたポッティング樹脂9は、防水袋8の内部で硬化する。ポッティング樹脂9は、硬化するまでに所定の位置に充填する必要がある。硬化すると流動性がなくなって移動できなくなるからである。硬化時間を長くして、ポッティング樹脂9をより好ましい位置に充填できるが、硬化時間は、充填後のハンドリングや作業性を考慮すると必要以上に長くできない。ポッティング樹脂9が硬化するまで、次の工程に移送できないからである。2液性のポッティング樹脂9は、硬化剤の添加量で硬化する時間をコントロールしている。以上の方法は、防水袋8に供給する工程で、ポッティング樹脂9の流れをコントロールして、真空引きで充填するのが難しい領域にポッティング樹脂9を充填する。以上の方法は、防水袋8に好ましい状態でポッティング樹脂9を充填するので、ポッティング樹脂9の硬化時間を長くすることなく、理想的な状態でポッティング樹脂9を充填できる。
【0047】
さらに、図2ないし図5に示すように、電池ホルダ6の上面に配置される回路基板5上にLED13を備える電池コアパック2を防水袋8に収納してポッティング樹脂9を充填する場合には、好ましくは、LED13の表面にポッティング樹脂9が付着するのを防止する。このことを実現するために、例えば、図9に示すように、LEDホルダ14の上面に両面テープ15の一方の面を貼着し、この両面テープ15の他方の面に防水袋8の内面を貼り付けて、LEDホルダ14の上面に隙間なく防水袋8を密着させる。これにより、防水袋8に注入されるポッティング樹脂9がLED13の照射側に流動するのを阻止して、LED13の表面にポッティング樹脂9が付着するのを確実に防止できる。このような両面テープ15には、LED13の光を透過できる透光性を有するテープが使用される。以上の方法は、簡単かつ容易に、LED13の表面にポッティング樹脂9が付着するのを防止しながら、LED13の発光を確実に外部に照射できる。
【符号の説明】
【0048】
1 …電池パック
2 …電池コアパック
3 …電池
4 …電池ケース
5 …回路基板
51…リード線
6 …電池ホルダ
61…間隙
7 …リード板
8 …防水袋
9 …ポッティング樹脂
10…逆止弁
11…押圧部
12…弾性体
13…LED
14…LEDホルダ
15…両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9