【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも第1グループと第2グループに分割される複数の実質的平面部材を含む骨ブローチを提供する。各グループ内の実質的平面部材によって画定される平面は互いに、かつ第1グループに対して角をなす第2グループによって画定される平面(複数可)に対して互いに平行である。これにより、上記米国特許第5,006,121号に開示される構造と比較して、使用時のプレート同士の分離のリスクが低減される。
【0009】
従って、本発明は、互いに隣接配置された複数の実質的平面部材を含む骨ブローチを提供する。各実質的平面部材は、少なくとも1つの他の実質的平面部材に結合され、実質的平面部材の少なくとも一部はその外周部に少なくとも1つの切削輪郭を画定する。複数の実質的平面部材は、互いに実質的に平行な平面を画定する第1グループの実質的平面部材と、第1グループの実質的平面部材によって画定される平面に対して角をなす平面を画定する、少なくとも1つの更なる実質的平面部材と、を含む。切削輪郭は、実質的平面部材の深さにわたって、1つ以上のカッティングエッジ及び/又は他の形状構造を含み得る。切削輪郭は、縦軸沿いの方向に用いることができる。いくつかの構造においては、骨ブローチは、切削輪郭を画定しない平面部材を更に含み得る。
【0010】
更なる実質的平面部材は、しばしば、組み立てた状態のブローチで互いに実質的に平行な平面を画定する第2グループの平面部材の1つであり、この第2グループの平面部材によって画定される平面は第1グループによって画定される平面に対して角をなすことが好ましい。
【0011】
第1グループの各プレートは、しばしば、その外周部に1つ以上の切削輪郭を画定することが好ましい。更なる実質的平面部材又は第2グループの一部若しくはすべての各プレートは、しばしば、その外周部に1つ以上の切削輪郭を画定することが好ましい。
【0012】
このような構造によれば、製造し易く、安価で、使用時に平面部材が骨中に残置されるリスクが最小限に抑えられる骨ブローチが得られる。更なる長所は、米国特許第5,006,121号に開示されるプレート積み重ね物構造及び従来技術の機械加工骨ブローチよりも、歯輪郭の可能な範囲が広いということである。
【0013】
実質的平面部材のグループ化によって、それらの平面部材を、骨ブローチによって骨中に形成することが必要な開口部の容積及び形状に大まかに対応する器具の容積及び形状を画定する積み重ね物の形に成形することが可能になる。
【0014】
いくつかの実施形態においては、第1グループ、又は第2グループ、あるいは第1グループと第2グループとの両方の実質的平面部材によって画定される平面も器具の縦軸と平行であってもよい。このことは、器具により設けられる所望の輪郭に応じる。所望の輪郭に特定可能な縦軸がある場合、骨又は両方のグループの実質的平面部材の平面を軸線と平行に配列すると、特に好都合である。しかしながら、他の実施形態においては、使用時に円弧状パスに沿って移動することを意図した器具のように、特定可能な縦軸を持つ輪郭はないかもしれない。その場合は、実質的平面部材の平面を縦軸と平行に配列することは好都合でも可能でもないかもしれない。
【0015】
好ましくは、更なる実質的平面部材によって画定される平面は、第1グル−プの実質的平面部材によって画定される平面に実質的に垂直である。これによって、より強い構造を得ることができる。
【0016】
同様に、第2グループの実質的平面部材によって画定される平面は、第1グループの実質的平面部材によって画定される平面に実質的に垂直な平面を画定することが好ましい場合もある。これによって、より強い構造を得ることができる。
【0017】
一実施形態においては、第1グループを、内側横方向のカッティングエッジが得られるように整列させ、第2グループを、内側横方向のカッティングエッジに垂直なカッティングエッジが得られるように整列させることができる。
【0018】
好ましくは、第1グループの実質的平面部材及び更なる実質的平面部材又は第2グループの実質的平面部材は、連動する積み重ね物を形成する。これらの連動する積み重ね物は、第1グループの実質的平面部材を更なる実質的平面部材又は第2グループの実質的平面部材と連動させることができる。これにより、構造強度が改善される。また、この構造により、更なる接着剤又は接合の必要を最小限に抑えて骨ブローチを構造することができ、構造費が更に低減される。
【0019】
好ましくは、第1グループの各実質的平面部材は、少なくとも1つの開口部を画定し、更なる実質的平面部材又は第2グループの各実質的平面部材は、第1グループの少なくとも1つの実質的平面部材の開口部に係合する少なくとも1つの突起部を画定する。この少なくとも1つの開口部は、好ましくは、それが画定する平面に垂直な方向に実質的平面部材中を通って延びる。これによって、連動する積み重ね物を簡単な構造で達成することが可能になる。
【0020】
一実施形態においては、第1グループの各実質的平面部材中の少なくとも1つの開口部を第1グループの直接隣接する実質的平面部材中の開口部と整合させ、これによって整合された開口部を形成し、更なる実質的平面部材又は第2グループの少なくとも1つの実質的平面部材は、上記整合された開口部と係合する大きさの突起部を含む。整合された開口部を設けることによって、単一の突起部を2枚以上のプレートと連動させることができて、構造全体をより強化し、第1グループ中の隣接プレート同士を一緒にロックすることができる。
【0021】
好ましくは、整合された開口部は、第1グループの実質的平面部材によって画定される平面に垂直な方向に第1グループの実質的平面部材中を通って延びる。これによって、総じて直線状の突起部が整合された開口部と係合することが可能になるので、これにより組み立て易さが簡潔化される。
【0022】
任意形態として、更なる実質的平面部材又は第2グループの少なくとも1つの実質的平面部材は、整合された開口部を貫通して、そこから延びる大きさを持つ突起部を含み得る。開口部から延びる突起部の少なくとも一部分は、少なくとも1つの切削輪郭を画定する。このように、突起部はカッティングエッジを画定すると共に、第1グループのプレートを連動させる更なる目的をも果たすことができる。これによっても、第1グループの反対側にある更なる実質的平面部材又は第2グループの実質的平面部材の対向縁部にカッティングエッジを設けることが可能になる。
【0023】
好ましくは、第1グループ、及び存在する場合には第2グループの複数の実質的平面部材は、各々、複数の実質的平面部材の他の実質的平面部材に当接する。これによって、個々の部材間の間隙を最小にした中実な構造が得られる。
【0024】
有利な実施形態においては、複数の実質的平面部材は金属又は金属合金を含む。次に、個々の部材を実質的平面部材の積み重ね物のどちらかの側で点溶接することにより連結する。これによって、骨ブローチをコスト効率の良いやり方で製造することが可能になる。
【0025】
一実施形態においては、複数の実質的平面部材が少なくとも部分的に中空である固形構造を画定するように、複数の実質的平面部材の少なくとも1つが開口部を画定する。これによって、骨ブローチが従来技術のブローチより軽くなって、扱い易くなり、製造コスト及び運送コストが低減されるという効果が得られる。
【0026】
更なる実施形態においては、実質的平面部材を3つ以上のグループに分割して、その各グループが他のグループによって画定される平面に対して角をなす平行平面を画定するようにすることができる。第1グループ以外の1つ以上のグループは、各々1枚のプレート又は複数枚のプレートを含むことが可能である。
【0027】
他の態様において、本発明は、異なるサイズの少なくとも2つの骨ブローチのシステムを提供する。その少なくとも1つの骨ブローチは、上述の任意の特徴と共に又はそれらの特徴がなしで、上述されるように構造される。また、このシステムは、複数の実質的平面部材を含まない少なくとも1つの更なる骨ブローチを含む。例えば、この少なくとも1つの骨ブローチは、単一の材料塊を機械加工することにより製造することが可能である。前述のように構造された骨ブローチは、一般により安価に製造され、使い捨て可能でもあるが、機械加工した骨ブローチは再使用可能であってもよい。これは、使い捨ての骨ブローチの長所を再使用可能な骨ブローチに組み合わせることである。このことは複数の実質的平面部材を含まない骨ブローチがシステムで最大のサイズである場合に、それを最終仕上げに用いることが可能になり、特に好都合である。
【0028】
他の態様において、本発明は、骨ブローチを製造する方法を提供し、方法は、
(a)少なくとも一部が外周部で少なくとも1つの切削輪郭を画定する複数の実質的平面部材を作製することと、
(b)これら複数の実質的平面部材を、
互いに実質的に平行な平面を画定する第1グループの実質的平面部材と、
実質的平面部材の第1グループによって画定される平面に対して角をなす平面を画定する少なくとも1つの更なる実質的平面部材と、に配列することと、
(c)複数の実質的平面部材を1つに連結することと、を含む。
【0029】
これにより、使い捨ての器具が実現可能なように製造コストが低減される、費用対効果に優れた骨ブローチを製造する方法が可能になる。
【0030】
調製には、材料シートを切削すること又はエッチングすることを含み得る。レーザー切削、打抜き、ウォータージェット切削、針金接合、CNC機械加工、CNCパンチング及び直接金属レーザー焼結法を含めて、他の切削技術を使用することも可能であるが、現在は、化学エッチングを用いることが好ましい。一般的には、より低コストの切削技術がより望ましい。
【0031】
好ましくは、調製は、同じ材料シートから複数の実質的平面部材を切削すること又はエッチングすることを含む。これにより、同じ材料シートを用いて骨ブローチのすべての要素を形成するので、改善された品質管理が可能になる。このことはまた、各実質的平面部材の厚さの一様性を確実にする。
【0032】
更なる実質的平面部材は、しばしば、第2グループの平面部材、組み立てた状態のブローチで互いに実質的に平行な平面を画定する第2グループの平面部材、第1グループによって画定される平面に対して角をなす第2グループの平面部材によって画定される平面、の1つであることが好ましい。
【0033】
配列するステップは、更なる実質的平面部材又は第2グループの実質的平面部材は、第1グループの実質的平面部材によって画定される平面に実質的に垂直な平面を画定することが可能である。これにより、より強い構造を達成することが可能になる。
【0034】
いくつかの実施形態においては、第1グループの平面部材及び更なる実質的平面部材、又は第2グループの実質的平面部材は、連動する積み重ね物を形成してもよい。
【0035】
調製ステップは、第1グループの各実質的平面部材に少なくとも1つの開口部を画定することと、更なる実質的平面部材又は第2グループの各実質的平面部材に少なくとも1つの突起部を画定することと、次に、実質的平面部材を配列することが、第1グループの少なくとも1つの実質的平面部材の開口部を突起部と係合させることと、を更に含むことができる。これにより、開口部が突起部と係合してグループを共に連結する、連動する積み重ね物を得ることが可能になる。
【0036】
配列するステップは、第1グループの各実質的平面部材の少なくとも1つにおける開口部を第1グループの直接隣接した実質的平面部材の開口部と整合させることにより整合された開口部を得ることと、整合された開口部を更なる実質的平面部材又は第2グループの少なくとも1つの実質的平面部材の突起部と係合させることと、を更に含み得る。これにより、突起部は、第1グループのいくつかの部材を共に連動して、それらが自ら画定する平面内で動かないようにすることができる。
【0037】
好ましくは、配列するステップは、整合された開口部が第1グループによって画定される平面に垂直な方向に第1グループ中を通って延びるように第1グループの直接隣接した実質的平面部材を整列させることを含む。これにより、第1グループの直線状の開口部に突起部を挿入することができるため、より容易な構造が可能になる。
【0038】
いくつかの実施形態においては、配列することは、第2グループの少なくとも1つの実質的平面部材の突起部を、突起部が開口部から延びてカッティングエッジを画定するように整合された開口部に係合させることを更に含む。これにより、第2グループの部材が、第1グループの平面部材の両側にカッティングエッジを画定することが可能になる。
【0039】
好ましくは、複数の実質的平面部材は各々、複数の実質的平面部材の中の他の平面部材と直接当接し、それによって中実な三次元構造を形成する。
【0040】
複数の実質的平面部材は、好ましくは、金属又は金属合金を含み、連結することは点溶接を含む。これにより、更なる接着剤又は溶接フラックスを用いる必要がないコスト効率の良い仕方で、構造を共に連結することができる。これにより、使用する材料は実質的平面部材自体の材料だけであるため、ブローチの生体適合性を改善することができる。
【0041】
本発明の他の態様においては、異なるサイズの少なくとも2つの骨ブローチのシステムを製造する方法であって、前述の方法によって各骨ブローチを製造すること(上述の任意形態の特徴の有無にかかわらない)を含み、実質的平面部材の少なくとも1つの部材の形状が少なくとも2つの骨ブローチにおいて同じである、方法を提供する。これにより、設計の再使用及び構造の簡潔化が可能となる。