(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラック10〜120質量部と、融点が100〜150℃である酸変性ポリオレフィン3〜30質量部とを含有し、前記酸変性ポリオレフィンの主鎖がオレフィンの単独重合体であり、
前記酸変性ポリオレフィンの190℃におけるメルトマスフローレートが、1.2〜8.0g/10minであり、
前記ジエン系ゴムが天然ゴム及びブタジエンゴムを少なくとも含み、前記ブタジエンゴムの含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して30質量部以上である、サイドウォール用ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、2種以上の化合物の合計の含有量を指す。
【0010】
本発明のサイドウォール用ゴム組成物(本発明のゴム組成物)は、ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラック10〜120質量部と、融点が100〜150℃である酸変性ポリオレフィン3〜30質量部とを含有し、前記酸変性ポリオレフィンの主鎖がオレフィンの単独重合体である、サイドウォール用ゴム組成物である。
【0011】
本発明のゴム組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、加工性、引張り物性についてはおよそ以下のとおりと推測される。
本発明のゴム組成物に含有される酸変性ポリオレフィンの融点が100〜150℃であり、主鎖(ポリオレフィン)が単独重合体であるため、ジエン系ゴムに対する酸変性ポリオレフィンの相溶性が向上して均一に分散され、このことによって加工性が優れ、引張り物性を向上させることができたと考えられる。
【0012】
[ゴム組成物]
以下、本発明のゴム組成物に含有される各成分について詳述する。
<ジエン系ゴム>
本発明のゴム組成物が含有するジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであれば特に限定されない。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
ジエン系ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
なかでも、ジエン系ゴムは、NR、BRが好ましく、NR及びBRがより好ましい。
【0014】
ジエン系ゴムの重量平均分子量は特に限定されないが、50,000〜3,000,000であるのが好ましく、100,000〜2,000,000であるのがより好ましい。なお、ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0015】
ジエン系ゴムがNR及び/又はBRを含む場合、NR及び/又はBRの含有量(NR及びBRを含む場合はこれらの含有量の合計)は、ジエン系ゴムに対して、10〜100質量%であるのが好ましい。
【0016】
ジエン系ゴムがNR及びBRを含む場合、BRの含有量は、耐オゾン性の維持、加工性、引張り物性の向上のうち少なくとも1つがより優れる(このことを以後本発明の効果により優れるということがある。)ため、ジエン系ゴム100質量部に対して、30質量部以上であるのが好ましく、30〜70質量部であるのがより好ましい。
【0017】
<酸変性ポリオレフィン>
本発明のゴム組成物が含有する酸変性ポリオレフィンは、主鎖がオレフィンの単独重合体であり、酸で変性され、融点が100〜150℃である。
(主鎖)
酸変性ポリオレフィンの主鎖はオレフィンの単独重合体である。
酸変性ポリオレフィンの主鎖を構成するオレフィンとしては、例えば、エチレン、α−オレフィンが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの主鎖となりうる、オレフィンの単独重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテンが挙げられる。なかでも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンが好ましい。
【0018】
ポリエチレンとしては、例えば、低密度から高密度のポリエチレンが挙げられる。なかでも高密度ポリエチレンが好ましい。酸変性ポリオレフィンの主鎖が高密度ポリエチレンである場合、このような酸変性ポリオレフィンの密度は940〜980kg/m
3が好ましい。なお本発明において酸変性ポリオレフィンの密度は、ASTM D1505に準じて測定された。
【0019】
(カルボン酸)
一方、上述した主鎖を変性する酸は特に制限されない。例えば、カルボン酸又は酸無水物が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、蟻酸;酢酸のような飽和炭化水素系のカルボン酸;不飽和カルボン酸が挙げられる。
酸無水物は上記カルボン酸の無水物が挙げられる。
酸は、不飽和カルボン酸、その酸無水物が好ましい態様の1つとして挙げられる。
不飽和カルボン酸は、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素基とカルボキシ基とを有する化合物が挙げられる。不飽和結合は二重結合が好ましい態様の1つとして挙げられる。脂肪族炭化水素基は特に制限されない。脂肪族炭化水素基とカルボキシ基とは例えば直接結合することができる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸のようなジカルボン酸;これらの酸無水物が挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸が好ましい。
【0020】
酸変性ポリオレフィンは、酸無水物で変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンがより好ましい。
【0021】
酸変性ポリオレフィンにおいて、カルボン酸が主鎖のどの位置に結合するかは特に制限されない。例えば、末端、側鎖が挙げられる。なかでもカルボン酸が側鎖として主鎖に結合するのが好ましい。カルボン酸と主鎖とは直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。
【0022】
本発明において、酸変性ポリオレフィンの融点は100〜150℃である。酸変性ポリオレフィンの融点は100℃以上であるので、本発明において使用される酸変性ポリオレフィンの状態は室温(23℃)で固体である。
酸変性ポリオレフィンの融点は、本発明の効果により優れるという観点から、105〜148℃であるのが好ましく、110〜146℃であるのがより好ましい。
本発明において、酸変性ポリオレフィンの融点は、ASTM D2117に準じて測定された。
【0023】
酸変性ポリオレフィンの190℃におけるメルトマスフローレート(MFR)は、本発明の効果により優れるという観点から、1.0〜8.0g/10minであるのが好ましく、1.2〜7.8g/10minであるのがより好ましい。
本発明において、酸変性ポリオレフィンのMFRは、ASTM D1238に準じて190℃の条件下で測定された。
【0024】
酸変性ポリオレフィンはその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。グラフト重合による製造方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
また酸変性ポリオレフィンとして市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば、アドマーQE060(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;アドマーHE810(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性高密度ポリエチレンが挙げられる。
【0025】
酸変性ポリオレフィンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明において、酸変性ポリオレフィンの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜30質量部であり、4〜27質量部であるのが好ましく、5〜25質量部であるのがより好ましい。
【0027】
<カーボンブラック>
本発明のゴム組成物に含有されるカーボンブラックは特に制限されない。例えば、ゴム組成物に一般的に使用することができるカーボンブラックと同様のものが挙げられる。具体的には例えば、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPE、SRF等が挙げられる。なかでも、SAF、ISAF、IISAF、N399、HAF、FEFが好ましい。
【0028】
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は、本発明の効果により優れるという観点から、30〜250m
2/gであるのが好ましく、40〜240m
2/gであるのがより好ましい。
ここで、N
2SAは、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K 6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
カーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜120質量部であり、20〜100質量部であるのが好ましく、30〜80質量部であるのがより好ましい。
【0030】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物は目的、効果を損なわない範囲で必要に応じて更にその他の成分(添加剤)を含有することができる。その他の成分としては、例えば、カーボンブラック以外の充填剤(例えばシリカ)、上記以外の酸変性ポリオレフィン、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸のような加硫促進助剤、加硫遅延剤、オイル、老化防止剤、可塑剤、シランカップリング剤などのゴム組成物に一般的に配合されうるものが挙げられる。その他の成分の含有量は適宜選択することができる。
【0031】
本発明のゴム組成物は再生ポリエチレンテレフタレートを実質的に含有しないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、未使用又は使用済みのポリエチレンテレフタレート製の成形品を微粒子化した粉末が挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートを実質的に含有しないとは、再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が、本発明のゴム組成物全体に対して、0〜0.1質量部であることを意味する。上記再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が本発明のゴム組成物全体に対して0質量部であるのが好ましい。
【0032】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、例えば、上記成分を混合する方法が挙げられる。
混合する際の温度は酸変性ポリオレフィンの融点以上であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。例えば、上記温度を100〜170℃とすることができる。
上記成分に必要に応じて使用することができる上記添加剤を更に加えてもよい。
【0033】
また、加硫剤、加硫促進剤等のような加硫系成分以外の成分を予め混合し、これに加硫系成分を加えてもよい。このとき、予め混合する際及び/又は加硫系成分を加えた後混合する際、酸変性ポリオレフィンの融点以上の温度で混合することができる。
【0034】
上記成分を混合する際に使用される装置は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本明細書において混合は混練を含むものとする。
【0035】
本発明のゴム組成物は例えば従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
【0036】
本発明のゴム組成物は、例えば、空気入りタイヤを製造する際にサイドウォールを構成するゴム組成物として使用することができる。
【0037】
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明のゴム組成物をサイドウォールに用いる空気入りタイヤである。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは添付の図面に限定されない。
【0038】
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ビード部1においては、リム(図示せず。)に接する部分にリムクッション8が配置されている。
【0039】
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<
標準例、比較例1〜5、実施例1〜4、及び参考例5のゴム組成物の製造>
下記表1に示す各成分を同表に示す組成(質量部)で用いた。
まず、下記表1に示された成分のうち、加硫系成分(イオウ、含硫黄加硫促進剤)を除く各成分を接線式ミキサーで50℃から170℃まで昇温してこの温度範囲の条件下で約4分間混練して混合物を得た。上記のとおり得られた混合物に上記加硫系成分を加え、オープンロールで10〜100℃の条件下で混練し、ゴムシートを製造した。
なお、以下では、参考例5を実施例5と表記する。
【0041】
<ゴム組成物の加工性の評価>
ゴム組成物の加工性は、オープンロールへの巻き付き、ゴムシートの仕上がり状態で評価された。結果を表1に示す。
ゴム組成物がオープンロールへの巻き付きに優れ、並びに、上記のとおり作製されたゴムシートにザラつき及びエッジ切れがなかった場合、加工性に優れると評価し、これをAと表示した。
ゴム組成物がオープンロールへの巻き付きが悪かった、又は、上記のとおり作製されたゴムシートにザラつき若しくはエッジ切れがあった場合、加工性が低いと評価し、これをBと表示した。
【0042】
<加硫ゴムの製造>
上述のとおり製造されたゴムシートを所定の金型中で160℃で15分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得た。
【0043】
<評価>
上記のとおり得られた加硫ゴム試験片を用いて以下に示す試験法で引張り物性[引張応力(M100)、破断時伸び(E
b)]、耐オゾン性を評価した。各例のM100、破断時伸びの結果を、標準例の結果を100とする指数で表1に表示した。
【0044】
・引張応力(M100)、破断時伸び(E
b)の測定
上記のとおり得られた加硫ゴム試験片からJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、JIS K6251:2010に準拠して引張速度500mm/分で引張試験を行い、100%伸び時における引張応力(M100)及び破断時伸び(E
b)を、20℃又は100℃の条件下で測定した。
M100の指数が大きいほど、硬さがあることを示す。
破断時伸びの指数が大きいほど、ゴムが伸びることを示す。
そして、M100及び破断時伸びの指数が大きい場合、引張り物性に優れる。
【0045】
・tanδ(60℃)の測定
岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーターを用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件下にて、上記のとおり得られた加硫ゴム試験片のtanδ(60℃)を測定した。
指数が小さいほど低発熱性が優れることを示す。
【0046】
・耐オゾン性
上記のとおり得られた加硫ゴム試験片からJIS K6251に準拠して試験片を作製した。このように作製した試験片を用いて、JIS K6259:2004に準じ、20%伸張、オゾン濃度50pphm、40℃の条件下で、耐オゾン性試験を行い、耐オゾン性試験後の試験片を目視で観察した。
耐オゾン性試験後の試験片に傷がなかった場合を耐オゾン性に優れると評価して、これをAと表示した。
耐オゾン性試験後の試験片に傷があった場合を耐オゾン性が悪いと評価して、これをBと表示した。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム、NUSIRA SIR20
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製 Nipol BR 1220、重量平均分子量400,000
・酸変性ポリオレフィン1:無水マレイン酸変性高密度ポリエチレン重合体。主鎖はエチレンの単独重合体(高密度ポリエチレン)であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点130℃、密度960kg/m
3、MFR(190℃)=1.7g/10min、三井化学社製アドマーHE810
・酸変性ポリオレフィン2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン重合体。主鎖はプロピレンの単独重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点140℃、MFR(190℃)=7.0g/10min、三井化学社製アドマーQE060
・(比較)酸変性ポリオレフィン3:無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体。主鎖はエチレンとプロピレンの共重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。融点120℃、MFR(190℃)=0.4g/10min、三井化学社製アドマーNE065
・(比較)酸変性ポリオレフィン4:無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン重合体。主鎖はエチレンの単独重合体(低密度ポリエチレン)であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点95℃、MFR(190℃)=9.0、三井化学社製アドマーNS101
・酸変性ポリオレフィン5:無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン重合体。主鎖はエチレンの単独重合体(低密度ポリエチレン)であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点110℃、MFR(190℃)=1.0g/10min、三菱化学社製モディックL502
【0049】
・カーボンブラック:昭和キャボット社製ショウブラックN550、N
2SA42m
2/g、FEF
・酸化亜鉛:正同化学社製亜鉛華3号
・ステアリン酸:日本油脂社製ステアリン酸
・老化防止剤(S−13):住友化学社製アンチゲン6C
・ワックス:大内新興化学社製サンノック
・オイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・イオウ:軽井沢精錬所社製油処理硫黄
・含硫黄加硫促進剤(CZ):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学社製サンセラーCM−PO
【0050】
表1に示す結果から、天然ゴムとブタジエンゴムとを併用し、酸変性ポリオレフィンを含有しない比較例1は、標準例と比べて、耐オゾン性は優れるものの、引張り物性が標準例よりも低かった。
酸変性ポリオレフィンの融点が所定の範囲外である比較例5は、標準例よりも、引張り物性が低い場合があった。
酸変性ポリオレフィンの主鎖が共重合体である比較例4は、標準例よりも、引張り物性が低い場合があった。
酸変性ポリオレフィンの含有量が所定の範囲を外れる、比較例2は、引張り物性が標準例よりも低かった。また比較例3は、加工性が悪かった。
【0051】
これに対して、実施例1〜5は、比較例1と同様の優れた耐オゾン性を維持しつつ、標準例よりも引張り物性を向上させることができ、比較例3よりも加工性に優れた。
【0052】
20℃及び100℃の条件下での引張り物性について実施例1〜5と比較例1とを比較すると、実施例1〜5は、20℃及び100℃の条件下での引張り物性が標準例よりも高かった。このことから、本発明のゴム組成物は低温から高温までの広い温度範囲の条件下で優れた引張り物性を有することが明らかとなった。
【0053】
また、モジュラスについて実施例1〜3を比較すると、酸変性ポリオレフィンの含有量が多いほどモジュラスが高くなることがわかった。また、酸変性ポリオレフィンの含有量が少ないほうが低発熱性に優れることが分かった。
【0054】
酸変性ポリオレフィンの融点について実施例2と実施例5を比較すると、酸変性ポリオレフィンの融点が高いほうがモジュラスが高くなることが分かった。
【0055】
また、実施例の結果から、本発明のゴム組成物は、低発熱性を高いレベルで維持することができる、又は、低発熱性をより優れることが分かった。