(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242856
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】工作機械を使用してフィーチャを発見する方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/20 20060101AFI20171127BHJP
G01B 5/20 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
G01B21/20 C
G01B5/20 C
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-506299(P2015-506299)
(86)(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公表番号】特表2015-531853(P2015-531853A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】GB2013050966
(87)【国際公開番号】WO2013156767
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】12250095.2
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/720,307
(32)【優先日】2012年10月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン オールド
(72)【発明者】
【氏名】ケビン テット
【審査官】
八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−293992(JP,A)
【文献】
特表2010−513042(JP,A)
【文献】
特開平10−31084(JP,A)
【文献】
特表2005−537474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して対象を発見する方法であって、
前記アナログプローブは初めに前記対象から十分に離れて、該アナログプローブが前記対象に関して位置感知関係に置かれないように設定され、および、前記アナログプローブの表面感知領域を発見すべき前記対象に対して複数回にわたりトラバースさせる一方で、連続トラバースにわたり前記対象に接近することにより、前記対象との間において位置感知関係に最終的に到達させて、トラバースの少なくとも一部の間に前記対象に関する走査測定データを収集させるように設定された、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象に辿らせるステップを備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたと判定されたことに応答して、前記動作経路に沿った移動を中止するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集された後の何らかの点にて、移動を中止するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面感知領域は、予め定められた基準にしたがって走査された前記表面測定データが収集された後に、後の予め定められた条件が満たされるまではそのトラバースに沿って続くことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記後の予め定められた条件は、前記動作経路が予め定められた点に到達したことであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記予め定められた点は、前記表面感知領域が、第1の予め定められた基準が満たされた前記トラバースの終了に到達する点であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの基準は、前記アナログプローブが前記対象に関する最小レベルのデータを取得したことを表す予め定められたしきい値であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第2の基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたと判定されることに応答して、移動が即座に中止されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2の基準は、前記対象および前記アナログプローブの望ましくない位置関係を表す、前記アナログプローブにより出力されるデータの規模を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アナログプローブが前記対象の表面に沿って走査された表面測定データを取得したか否かが、予め定められた周期で判定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記予め定められた周期にて、前記予め定められた周期前に収集された前記アナログプローブの出力が、前記アナログプローブが走査された対象測定データを取得したか否かを判定するために、前記経路に沿った相対移動の再開前に解析されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
以前のトラバースと後のトラバースとの間の差異は、前記以前のトラバースの間に表面測定データが全く得られなかった場合に、前記後のトラバースにより前記アナログプローブがその測定範囲を超過しないように、十分に小さなものであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記アナログプローブからの走査測定データのみに基づき、前記アナログプローブが前記データを取得したか否かが判定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
取得された前記走査測定データに基づき前記対象の位置および/または配向を判定するステップを含むことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記アナログプローブは、前記対象に接触するための偏向可能スタイラスを備えるコンタクト走査プローブであることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して対象を発見する方法であって、前記アナログプローブおよび/または前記対象が、前記対象のフィーチャおよび前記アナログプローブを互いに対して移動させるように設定された経路を辿ることを含み、前記アナログプローブが、前記アナログプローブが前記対象に関する最小レベルのデータを取得したことを表す予め定められたしきい値を超過する前記対象の表面に沿って走査測定データを取得したか否かが、予め定められた周期で判定され、その後前記判定の結果に基づき措置が取られることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記対象のエッジを発見するステップを含むことを特徴とする請求項1ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記対象は、ブレードであることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記対象は、タービンエンジンのブレードであることを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記対象は、前記アナログプローブが取り付けられたマシンにおいて機械加工されたおよび/または機械加工される対象であることを特徴とする請求項1ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
工作機械装置に実行される場合に、前記請求項1ないし20のいずれかに記載の方法を前記工作機械装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項22】
工作機械装置に実行される場合に、前記請求項1ないし20のいずれかに記載の方法を前記工作機械装置に実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
工作機械と、前記工作機械上に取り付けられたアナログプローブと、制御装置とを備えた工作機械装置であって、前記制御装置が、対象を発見するために前記アナログプローブおよび前記対象の相対移動を制御するように構成され、前記制御装置が、前記アナログプローブの表面感知領域を、初めに開始位置が前記対象から十分に離れて前記アナログプローブが前記対象に関して位置感知関係に置かれないようにさせてから、発見すべき前記対象に対して複数回にわたりトラバースさせる一方で、連続トラバースにわたり前記対象に接近させることにより、前記対象との間において位置感知関係に最終的に到達させて、トラバースの少なくとも一部の間に前記対象に関する走査測定データを収集させる、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象に辿らせるように制御するように構成されたことを特徴とする工作機械装置。
【請求項24】
工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して対象の少なくとも一部を発見する方法であって、
前記アナログプローブは初めに前記対象から十分に離れて、該アナログプローブが前記対象のいずれか一部に関して位置感知関係に置かれないように設定され、および、前記アナログプローブの表面感知領域を発見すべき前記対象の少なくとも前記一部に対して前後左右に複数回にわたり移動させる一方で、前記対象の前記一部に接近することにより、前記対象の前記一部との間において位置感知関係に最終的に到達させて、前記対象の前記一部に関する走査測定データを収集させるように設定された、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象に辿らせるステップを備えたことを特徴とする方法。
【請求項25】
工作機械上に取り付けられた工作物接触スタイラスを備えたコンタクトアナログプローブを使用して対象を発見する方法であって、
前記コンタクトアナログプローブの前記工作物接触スタイラスは初めに前記対象と接触しておらず、および、前記コンタクトアナログプローブの前記工作物接触スタイラスが自由空間内において発見すべき前記対象に対してトラバースするように設定される一方で、前記対象に対して後続トラバースにわたり前記対象に接近することにより、前記対象との間において位置感知関係に最終的に到達させて、トラバースの少なくとも一部の間に前記対象に関する走査測定データを収集させるように設定された、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象に辿らせるステップを備えたことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象を発見する方法に関し、特に座標位置決め装置上に取り付けられた走査測定ツールを使用して対象を発見する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作物に対して移動させるために工作機械スピンドルに測定プローブを取り付けることにより、工作物を測定することが知られている。特に、典型的には、このプローブは、例えば特許文献1に記載されるような、プローブのスタイラスが工作物表面に接触するときにトリガ信号を生成するタッチトリガプローブであった。このトリガ信号は、工作機械の数値制御装置(NC)のいわゆる「スキップ」入力に送られる。これに応答して、対象および工作物の相対移動が、停止され、制御装置は、マシンの位置(すなわち、マシンに対するスピンドルおよびプローブの位置)を即座に読み取る。これは、マシンの移動用のサーボ制御ループに位置フィードバック情報を提供するエンコーダなどのマシンの測定デバイスから得られる。かかるシステムを使用する欠点は、測定プロセスが比較的遅く、その結果として、多数の測定点が必要とされる場合に測定時間が長くなる点である。
【0003】
また、アナログ測定プローブ(走査プローブとしても一般的に知られる)が、知られている。典型的には、コンタクトアナログプローブは、工作物表面に接触するためのスタイラスと、プローブ本体に対するスタイラスの偏向を測定するプローブ内のトランスデューサとを備える。一例が、特許文献2に示されている。使用時に、アナログプローブは、工作物の表面に対して移動され、それにより、スタイラスは、この表面を走査し、プローブトランスデューサの出力の継続的な読取りが行われる。プローブ検出出力とマシン位置出力とを組み合わせることにより、座標データを取得することが可能となり、これにより、この走査全体にわたる非常に多数の点において工作物表面の位置を判明させることが可能となる。したがって、アナログプローブは、タッチトリガプローブを使用して実際に可能となるものよりも、工作物表面の形状のより詳細な測定値の取得を可能にする。
【0004】
工作機械上に取り付けられたプローブを使用して工作物のエッジなどのフィーチャを迅速に発見することが可能であることが望ましいことが判明している。現行の技術は、フィーチャの周囲の種々の位置において複数の接触点を得るためにプローブを移動させる(フィーチャの予期される基準位置に基づき)ことを伴う。これは、特にフィーチャの実際の位置が、その予期される基準位置から大幅に逸脱する場合には、非常に時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,153,998号明細書(McMurtry)
【特許文献2】米国特許第4,084,323号明細書(McMurtry)
【発明の概要】
【0006】
本発明は、工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して工作物のエッジなどのフィーチャを発見するための改良された方法を提供する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して対象のフィーチャを発見する方法であって、前記方法が、前記アナログプローブの表面感知領域に発見すべき前記フィーチャを複数回にわたりトラバースさせる一方で、連続トラバースにわたり前記フィーチャに接近することにより前記フィーチャとの間において位置感知関係に最終的に到達させて、トラバースの少なくとも一部の間に前記フィーチャに関する走査測定データを収集させる、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象が辿ることを含む、方法が提供される。
【0008】
本発明の前記方法を利用することにより、ブレードのエッジなどのフィーチャが、迅速に発見され得る。なぜならば、前記工作機械は、例えば前記対象の表面に関する走査測定データが収集されるまでは、前記アナログプローブおよび/または前記対象に予め定められた動作経路を単純に辿らせることが可能であるからである。したがって、これは、多大な時間を必要とする複数の別個の接触トリガ測定を行う必要性を解消する。
【0009】
前記方法は、少なくとも1つの基準にしたがって走査測定データが収集されるのをモニタリングすることを含むことが可能である。好ましくは、前記方法は、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたと判定されたことに応答して、前記動作経路に沿った移動を中止することを含む。
【0010】
前記少なくとも1つの基準は、例えば前記アナログプローブの出力が上昇し次いで低下するなど、前記走査された表面測定データが特定の徴候に合致することであることが可能である。前記少なくとも1つの基準は、前記アナログプローブが前記対象に関する最小レベルのデータを取得したことを表す予め定められたしきい値であることが可能である。最小レベルのデータは、最小量のデータが取得されること(例えば最小数のデータ点が取得されるなど)に関連することが可能である。最小レベルのデータは、最小規模のデータ(例えば、アナログプローブの場合には最小偏向度など)が前記アナログプローブにより取得/出力されることに関連することが可能である。換言すれば、最小レベルのデータは、前記アナログプローブが予め定められた値よりも大きな少なくとも1つの測定値を取得することに関連することが可能である。任意には、最小レベルのデータは、前記アナログプローブにより取得されたデータの量および値の組合せに関連することが可能である。
【0011】
前記動作経路に沿った移動は、前記少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたとの判定に応じて即座に中止され得る。任意には、前記動作経路に沿った移動は、後の時点または位置点にて中止され得る。例えば、前記方法が、前記アナログプローブが前記少なくとも1つの基準にしたがって前記対象の前記表面に沿って走査された表面測定データを取得したか否かを、予め定められた周期で判定することを含む(以下においてさらに詳細に説明されるように)場合には、前記方法は、次のまたはさらにはさらに後の予め定められた周期までに予め定められた移動を完了させることを含むことが可能である。好ましくは、前記方法は、前記少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集された後の何らかの点にて、移動を中止することを含む。例えば、前記方法は、前記少なくとも1つの基準にしたがって前記走査された表面測定データが収集された後に、後の予め定められた条件が満たされるまでは、前記動作経路にしたがって前記アナログプローブおよび/または前記対象を制御する(例えば、前記表面感知領域がそのトラバースに沿って続くようになど)ことを含むことが可能である。かかる後の予め定められた条件は、予め定められた量の時間および/または予め定められた距離であることが可能である。任意には、かかる後の予め定められた条件は、例えば前記動作経路に沿った予め定められた点などの予め定められた点であることが可能である。例えば、前記予め定められた点は、トラバースの終了であることが可能であり、より具体的には、前記予め定められた点は、第1の予め定められた基準が満たされた前記トラバースの終了であることが可能である。任意には、前記後の予め定められた条件は、予め定められた周期であることが可能である(例えば、予め定められた周期に関するさらなる説明については以下を参照)。任意には、かかる後の予め定められた条件は、前記アナログプローブが走査された表面測定データをもはや収集していない(例えば、それが、前記対象との間における位置感知関係から外れて移動されたことによって)などの、予め定められたシナリオであることが可能である。
【0012】
移動は、少なくとも1つの第2の基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたと判定されることに応答して、即座に中止され得る。前記少なくとも1つの基準と同様に、前記少なくとも1つの第2の基準は、例えばデータの特定の徴候、量、および/または規模であることが可能であるなど、多数の種々の形態をとることが可能である。例えば、前記少なくとも1つの第2の基準は、最小規模のデータが前記アナログプローブにより取得/出力されることに関連することが可能である。前記データ規模は、例えば、非コンタクトプローブの場合には、前記対象および前記アナログプローブの部分(例えば工作物感知部)が互いに対して少なくとも過剰に近いことにより接触するリスクを負う(非コンタクトプローブの場合)、または、コンタクトプローブの場合には、前記プローブのスタイラスが過剰偏向されるおよび/もしくは過度の力が前記プローブのスタイラスに対して印加されることにより前記対象および/もしくは前記アナログプローブに対する損傷のリスクを負うなど、前記対象および前記アナログプローブの望ましくない位置関係を表すデータ規模であることが可能である。例えば、前記少なくとも1つの第2の基準は、前記アナログプローブが上限測定境界に到達したことを表すしきい値測定レベル(例えば、それを超えると前記プローブに対して損傷が発生し得るなど)であることが可能である。例えば、アナログコンタクトプローブの場合には、前記少なくとも1つの第2の基準は、偏向レベル(例えば、それを超えると前記プローブに対して損傷が発生し得るなど)を含むことが可能である。理解されるように、前記少なくとも1つの第2の予め定められた基準は、好ましくは、前記少なくとも1つの第2の基準が満たされる/トリガされる前に、前記少なくとも1つの第1の基準が満たされるように設定される。したがって、前記少なくとも1つの基準および前記少なくとも1つの第2の基準がデータの規模に関連する場合には、前記少なくとも1つの第2の基準は、前記少なくとも1つの基準のそれよりも高いしきい値規模であることが可能となる。前記方法は、前記アナログプローブが前記少なくとも1つの第2の基準にしたがって測定データを収集する場合に、前記アナログプローブおよび前記対象を相互から相対的に後退させることを含むことが可能である。
【0013】
前記方法は、前記アナログプローブが例えば前記少なくとも1つの第1の基準などにしたがって走査された表面測定データを取得したか否かを継続的に判定することを含むことが可能である。前記方法は、前記アナログプローブが前記少なくとも1つの基準にしたがって前記対象の前記表面に沿って走査された表面測定データを取得したか否かを、予め定められた周期で判定することを含むことが可能である。この場合には、前記アナログプローブが前記少なくとも1つの基準にしたがって前記対象の前記表面に沿って走査された表面測定データを取得したことが、予め定められた周期で判定されると、次いで、前記動作経路に沿った動作が、中止され得る。前記アナログプローブが前記少なくとも1つの基準にしたがって前記対象の前記表面に沿って走査された表面測定データを取得しなかったことが、予め定められた周期で判定された場合には、次いで、前記動作経路に沿った動作が、少なくとも次の予め定められた周期まで継続され得る。
【0014】
前記アナログプローブの出力は、前記予め定められた周期のみにおいて、前記少なくとも1つの基準にしたがっているかどうか解析され得る(例えば予め定められたしきい値と比較される)。任意には、前記アナログプローブの出力は、継続的に解析される(例えば予め定められたしきい値と比較される)か、または例えば相対移動の最中の前記予め定められた周期同士の間などの他の時期に周期的に解析され得る。したがって、この場合には、前記予め定められた周期にて、前記アナログプローブが少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データを取得したことを以前に行われた解析が示唆するか否かが、単純に判定され得る。前記方法は、前記アナログプローブが走査された対象測定データを取得したか否かを、前記動作経路に沿った相対移動の再開前に判定するために、前記予め定められた周期にて、予め定められた周期の前に収集された前記アナログプローブの出力が解析されるように構成され得る。移動は、前記少なくとも1つの基準が前記周期前の前記移動時に満たされた場合でも、次の予め定められた周期まで前記動作経路に沿って継続され得る。
【0015】
前記予め定められた周期は、予め定められた(例えば定期的な)時間周期を、および/または、例えば前記経路の長さに沿った予め定められた位置などの予め定められた距離間隔を置くことが可能である。
【0016】
前記予め定められた周期は、前記アナログプローブが各トラバースに関して少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データを取得したか否かを判定するために、前記アナログプローブの出力が解析されるように設定され得る。この解析は、各トラバースの完了後に開始され得る。前記解析は、次のトラバースが開始される前に、開始され、任意には完了され得る。特に、前記解析は、前記アナログプローブが例えば各トラバースの終了時などに少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データを取得していることが予期される点の後に、各トラバースに関して開始され得る。
【0017】
したがって、前記予め定められた周期は、各トラバースの終了時に位置することが可能である。したがって、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されていないと判定された場合には、次いで、前記方法は、前記対象の後の異なるトラバースが実施されるように、前記動作経路に沿って継続することを含むことが可能である。
【0018】
前記動作経路にしたがった移動は、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが、前記周期に至る移動中に収集されても、次の予め定められた周期まで継続することが可能である。したがって、これは、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集された後でも、前記対象に関するデータが収集されることを確保し得る。これは、その位置および/または配向などの、前記対象に関する情報を判定するために前記測定データを後に処理する場合に、有用となり得る。
【0019】
理解されるように、アナログプローブの表面感知領域は、前記アナログプローブが前記対象の前記表面を検出/感知し、およびしたがって前記対象に関する測定データを収集することが可能な、空間内の領域であることが可能である。理解されるように、これは、プローブごとに異なる。コンタクトプローブの場合には、これは、前記プローブの表面接触部(例えばスタイラスを有するアナログプローブのスタイラス先端部)を含むことが可能である。非コンタクトプローブの場合にはそれは、前記非コンタクトプローブが前記表面を感知および測定し得る、空間内の点、領域、または容積であり得る。
【0020】
前記アナログプローブおよび前記対象が前記対象の前記フィーチャ中を互いに対して移動する前記動作経路の形状は、各トラバースに関して実質的に同一であり得る。前記アナログプローブおよび前記対象は、各トラバース後にステップ状に互いに対してより近くに移動し得る。
【0021】
理解されるように、アナログプローブは、所与の測定範囲を有することになる。これは、プローブごとに異なる。前記測定範囲は、前記プローブが測定値を取得し得る全範囲であることが可能である。例えば、コンタクトプローブに関連しては、これは、前記プローブが測定データを取得し得る全偏向範囲であることが可能である。以前のトラバースと後のトラバースとの間の差異は、前記以前のトラバースの間に表面測定データが全く得られなかった場合に、前記後のトラバースにより前記アナログプローブがその測定範囲を超過する対象表面測定データを取得しないように、十分に小さなものになるように設定され得る。任意には、トラバースは、前記プローブの前記測定範囲よりも大きくない、例えば前記測定範囲未満である間隔にて、相互からオフセットされる。
【0022】
前記アナログプローブは、好ましい測定範囲を備えることが可能である。前記好ましい測定範囲は、前記アナログプローブの所与の/全ての測定範囲未満であることが可能である。前記アナログプローブは、その好ましい測定範囲外のデータを取得することが可能であってもよいが、この範囲外で取得された前記データは、例えば前記好ましい測定範囲内で取得されたデータよりも精度が低いことが考えられ得ることなどにより、あまり好ましいものではない可能性がある。コンタクトプローブの場合には、前記好ましい測定範囲は、前記アナログプローブの前記全偏向範囲未満であることが可能である。したがって、前記好ましい測定範囲は、前記アナログプローブの全測定範囲の下位セットであることが可能である。前記好ましい測定範囲の正確な境界は、プローブごとに、およびさらには任意の所与のプローブの測定作業ごとに異なり得る。それは、前記アナログプローブが、例えば所望の精度レベルを与えるためなどに、任意の所与の測定作業に関して較正された範囲であり得る。以前のトラバースと後のトラバースとの間の差異は、前記以前のトラバースの間に表面測定データが全く得られなかった場合に、前記後のトラバースにより前記アナログプローブがその好ましい測定範囲を超過する対象表面測定データを取得しないように、十分に小さなものになるように設定され得る。任意には、トラバースは、前記プローブの前記好ましい測定範囲よりも大きくない、例えば前記好ましい測定範囲未満である間隔にて、相互からオフセットされる。
【0023】
前記方法は、前記アナログプローブからの測定データのみに基づき、前記アナログプローブが前記少なくとも1つの基準を満たす前記データを取得したか否かを判定することを含むことが可能である。これは、前記工作機械の座標空間内における前記プローブ自体の位置を通知するマシンエンコーダからのデータなどの、マシンの他の部分からのデータを考慮に入れるよりも、単純かつはるかにより効率的であり得る。これは、必要とされる処理リソースおよび/または前記経路に沿った移動を継続すべきかまたは後に中止すべきかを判定するためにかかる時間を削減することが可能であるため、有用である。
【0024】
前記方法は、取得された測定データに基づき前記対象の位置および/または配向を判定することをさらに含むことが可能である。これは、前記工作機械の作業空間内における前記アナログプローブの位置に関するデータに、前記アナログプローブから取得されたデータを組み合わせることを含むことが可能である。かかるアナログプローブ位置データは、例えば、工作機械装置上に配置された位置エンコーダから取得され得る。
【0025】
前記アナログプローブは、例えば光プローブ、静電容量プローブ、またはインダクタンスプローブなどの、非コンタクトアナログプローブであることが可能である。前記アナログプローブは、コンタクトアナログプローブであることが可能である。例えば、前記アナログプローブは、前記対象に接触するための偏向可能スタイラスを有するコンタクトアナログプローブであることが可能である。
【0026】
前記方法は、前記測定データに基づき、前記対象の後の測定に関して、アナログプローブおよび前記対象が互いに対して移動される後の動作経路を生成することをさらに含むことが可能である。前記後の動作経路の最中に使用されるアナログプローブは、前記フィーチャを発見するために以前の動作経路の最中に使用されたものと同一のアナログプローブであることが可能である。
【0027】
前記動作経路は、プログラム内に規定され得る。前記プログラムは、前記プログラムにしたがって前記アナログプローブおよび前記対象の相対動作を制御するように構成された制御装置内にロードされ得る。
【0028】
前記方法は、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたという判定に応答して、割り込み信号を発行する(上述のように即座にまたは後の時点にて)ことを含むことが可能である。前記制御装置は、前記割り込み信号に応答して前記アナログプローブと前記対象との間の前記動作経路を制御する前記プログラムの一部の実行を停止するように構成され得る。任意には、前記方法は、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたという判定時に変数を設定することを含むことが可能である。これにより、前記制御装置は、前記動作経路を制御する前記プログラムの一部の実行を後の何らかの点において停止させ得る。
【0029】
理解されるように、前記方法は、前記アナログプローブが少なくとも1つの基準にしたがって前記対象の前記表面に沿って走査された測定データを取得しなかったと判定された場合に、前記動作経路に沿って継続することを含むことが可能である。
【0030】
全動作経路が、予め定められることが可能である。前記方法は、前記動作経路から逸脱することなく、前記予め定められた動作経路にしたがって前記アナログプローブおよび前記対象を互いに対して移動させることを含むことが可能である。任意には、前記動作経路は、前記動作経路に沿った移動時に更新され得る。
【0031】
上述のように、前記方法は、前記アナログプローブの表面感知領域が複数回にわたり前記対象をトラバースすることを含む。任意には、前記アナログプローブおよび前記対象が辿る前記動作経路の形状は、各トラバースに関して実質的に同一であることが可能である。例えば、以前の通過および後の通過の両方が、前記アナログプローブおよび前記対象を互いに対して直線状に移動させることにより、前記アナログプローブの表面感知領域に発見すべき前記フィーチャをトラバースさせることを含むことが可能である。前記動作経路は、後のトラバースに関する前記表面感知領域の経路が、その以前のトラバースからオフセットされるように、設定され得る。例えば、前記アナログプローブの部分(例えば工作物接触先端部などの工作物感知部)と前記対象との間の基準相対オフセットが、後の通過に関して、異なることが可能であり、特に名目上においてより小さいことが可能である。前記アナログプローブおよび前記対象は、各トラバース後に、例えばステップ状になど互いに対してより近くに移動することが可能である。しかし、理解されるように、これは、必ずしもそうである必要はなく、例えば、前記アナログプローブおよび前記対象は、各トラバースに沿って、漸進的に相互により近くに移動する/接近することが可能である。
【0032】
初めに、前記アナログプローブおよび前記対象は、前記アナログプローブが前記フィーチャ/前記対象に対して位置感知関係におかれないように、相互から十分に離れることが可能である。
【0033】
前記対象は、前記アナログプローブが上に取り付けられたマシンにおいて機械加工された(および/または機械加工されることとなる)対象であり得る。したがって、前記方法は、同一の工作機械が、例えば上述の前記測定ステップの前などに前記対象を機械加工することを含み得る。任意には、機械加工は、上述の前記測定ステップの後に実施され得る。かかる測定後機械加工は、前記測定が実施された同一の工作機械において実施され得る。かかる測定後機械加工は、上述の前記測定ステップ時に取得された測定データに基づき得る。前記工作機械は、金属切削機などの切削機であることが可能である。
【0034】
前記アナログプローブは、シールアナログプローブであることが可能である。すなわち、前記アナログプローブは、外部汚染物質から内部センサ構成要素を保護するためにシールされ得る。例えば、前記プローブは、対象の表面を直接的または間接的のいずれかにより測定するためのセンサを収容するプローブ本体を備えることが可能であり、前記センサは、外部汚染物質からシールされる。例えば、コンタクトプローブの場合には、前記プローブは、プローブ本体と、スタイラス部材と、ハウジングに対する前記スタイラス部材の変位を測定するためのセンサとを備えることが可能であり、前記プローブ本体と前記相対的に可動なスタイラス部材との間に延在する少なくとも第1の従順シール部材が、用意され、それにより、前記センサは、シールチャンバ内に収容されて、外部汚染物質からシールされる。
【0035】
前記対象は、ブレードであることが可能であり、前記フィーチャは、前記ブレードのエッジであることが可能である。例えば、前記ブレードは、タービンエンジンのブレードであることが可能である。
【0036】
前記方法は、前記測定データに基づき、前記対象の後の移動に関して、前記アナログプローブおよび前記対象が互いに対して移動される動作経路を生成することをさらに含むことが可能である。動作経路を生成することは、前記動作経路を共に規定する、既存のプログラムを変更することおよび/または前記プログラムにより参照されるデータを変更することを含むことが可能である。動作経路を生成することは、前記プログラムにより参照されるデータと組み合わせて前記動作経路を規定する新規のプログラムを生成することを含むことが可能である。
【0037】
前記方法は、前記対象の異なるフィーチャの走査測定データを取得するために、前記対象の前記異なるフィーチャに対して本発明の前記方法の上述の前記ステップを繰り返すことを含むことが可能である。これは、前記対象の位置および/または配向に関するさらに有用な情報を提供し得る。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、工作機械装置により実行される場合に、上述の前記方法を前記工作機械装置に実施させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0039】
本発明の第3の態様によれば、工作機械装置により実行される場合に、上述の前記方法を前記工作機械装置に実施させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0040】
本発明の第4の態様によれば、工作機械と、前記工作機械上に取り付けられたアナログプローブと、制御装置とを備える、工作機械装置であって、前記制御装置が、対象のフィーチャを発見するために前記アナログプローブおよび対象の相対移動を制御するように構成され、前記制御装置が、前記アナログプローブの表面感知領域に発見すべき前記フィーチャを複数回にわたりトラバースさせる一方で連続トラバースにわたり前記フィーチャに接近させることにより、前記フィーチャとの間において位置感知関係に最終的に到達させて、トラバースの少なくとも一部の間に前記フィーチャに関する走査測定データを収集させる、動作経路を、前記アナログプローブおよび/または前記対象に辿らせるように制御するように特に構成された、工作機械装置が提供される。
【0041】
したがって、本出願は、工作機械上に取り付けられたアナログプローブを使用して対象を発見する方法をさらに説明する。前記方法は、前記アナログプローブおよび/または前記対象が、前記対象の前記フィーチャおよび前記アナログプローブを互いに対して移動させるように設定された経路を辿ることを含み、前記アナログプローブが、前記アナログプローブが前記対象に関する最小レベルのデータを取得したことを表す予め定められたしきい値を超過する前記対象の表面に沿って走査測定データを取得したか否かが、予め定められた周期で判定され、その後前記判定の結果に基づき措置が取られる。
【0042】
前記アナログプローブが走査された対象測定データを取得し予め定められたしきい値を超過したか否かを予め定められた周期で判定することにより、解析は、走査オペレーション中の適切な点にて実施され得ることになり、これは、プロセスの効率および収集されたデータの有用性を助長し得る。
【0043】
次に、以下の図面を参照として、本発明の実施形態を専ら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】工作機械用のシステム構成を示す概略図である。
【
図2(a)】アナログ測定プローブの測定範囲を示す概略図である。
【
図2(b)】アナログ測定プローブの測定範囲を示す概略図である。
【
図2(c)】アナログ測定プローブの測定範囲を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による測定作業時の制御フローを示すシステム流れ図である。
【
図4】本発明による対象のフィーチャを発見する方法の際のプローブ先端部の移動経路の概略図である。
【
図5】両端部の発見と、ブレード上の他の測定点の獲得との概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1を参照すると、工作機械4、制御装置6、PC8、および送受信機インターフェース10を備える、工作機械装置2が図示される。工作機械4は、台15上に配置された工作物16に対してアナログプローブ14を保持するスピンドル12を移動させるためのモータ(図示せず)を備える。スピンドル12(およびしたがってアナログプローブ14)の位置は、エンコーダ等を使用して既知の方法で正確に測定される。かかる測定により、機械座標系(x、y、z)において規定されるスピンドル位置データが生成される。数値制御装置(NC)18(これは制御装置6の一部である)が、工作機械の作業領域内においてスピンドル12のx、y、z移動を制御し、スピンドル位置に関するデータを受信する。
【0046】
理解されるように、代替的実施形態においては、x次元、y次元、およびz次元の中の任意または全てにおける相対移動は、スピンドルに対する台15の移動により実現され得る。さらに、アナログプローブ14および工作物16の相対回転移動は、スピンドル12の一部(例えばスピンドル上に取り付けられた回転/関節ヘッド)および/または台15の一部(例えば回転台)により実現され得る。さらに、移動は、例えばxのみおよび/またはyのみなど、より低い次元に制約され得る。さらに、説明される実施形態は、デカルト座標系工作機械を備えるが、理解されるように、必ずしもそうである必要はなく、例えば非デカルト座標系工作機械であることが可能である。さらに、多数の他の異なるタイプの工作機械(旋盤を含む)、ならびにパラレルキネマティックマシンおよびロボットアームが、知られており、本発明と共に使用され得る。
【0047】
説明される実施形態においては、アナログプローブ14は、プローブ本体20と、プローブ本体20から延在する工作物接触スタイラス22とを備え、スタイラス22の遠位端部に工作物接触先端部24(この場合、これは球状スタイラスボールの形態である)の形態の表面感知領域を有する、コンタクトアナログプローブである。アナログプローブ14は、プローブ幾何学系(a、b、c)においてスタイラス22の偏向を測定する。(しかし、理解されるように、必ずしもそうである必要はなく、例えば、アナログプローブは、1次元もしくは2次元のみにおける偏向を測定することが可能であり、またはさらには偏移方向を示さずに偏向度を示す出力を生成することも可能である)。また、プローブ14は、送受信機インターフェース10との間で無線通信する(例えば、電波送信機、光送信機、または他の無線送信機を経由して)送受信機(図示せず)を備える。
【0048】
上述のように、アナログ測定プローブは、測定範囲が制限される。例えば、コンタクトアナログプローブに関しては、それらは、x次元、y次元、およびz次元においてそれらを偏向し得る物理的最大量を有することが可能である。これだけではなく、プローブは、最大物理的範囲のある下位範囲内において最適に機能するように構成されることもまた可能である。例えば、
図2(a)は、
図1のアナログプローブを示し、実線は、休止(例えば非偏向)位置におけるスタイラス22の位置を表す。破線で示される最外スタイラス位置は、x次元におけるスタイラスの最大物理的偏向を表す。しかし、プローブは、スタイラスが最大物理的偏向未満の量だけ偏向された場合に、最も正確になるように構成され得ることが可能である。また、プローブは、スタイラスが最小下限しきい値だけ偏向された場合に、最も正確になるようにも構成され得ることもまた可能である。例えば、アナログプローブ14は、好ましい測定範囲を有することが可能であり、その上限境界および下限境界が、
図2(a)において点線として示されるスタイラス位置によって図示される。したがって、示すように、好ましい測定範囲外である、スタイラスの休止位置に近い中間部に、デッドスペース「d」(x次元における)が存在する。
【0049】
理解されるように、これと同じことが、y次元における偏向においても当てはまる。さらに、説明される実施形態においては、z軸における最大物理的偏向範囲と、プローブが最も正確な結果を提供するように設定された範囲であるz軸偏向の下位範囲(好ましい測定範囲)とがさらに存在する。
【0050】
図2(b)に示す点線28は、x次元およびz次元において得られるアナログプローブ14の好ましい測定範囲の領域を概略的に示す。理解されるように、かかる範囲は、実際には3次元方向に広がり、したがって実際には中央に小さな穴が切り抜かれた押しつぶされた半球の形状にほぼなる。
【0051】
また、
図2(c)の点線は、インダクタンスプローブなどの非コンタクトプローブに関する好ましい測定範囲を概略的に示す。内方点線および外方点線は、最適測定性能のための最小プローブ/工作物離間境界および最大プローブ/工作物離間境界を表す。理解されるように、非コンタクトプローブに関して示されるこの好ましい測定範囲は、プローブの全測定範囲または単に全測定範囲の下位セットであることが可能である。理解されるように、全測定範囲は、非コンタクトプローブの表面検出領域と呼ばれ得るものとして見なすことが可能である。
【0052】
理解されるように、好ましい測定範囲のサイズは、プローブごとに異なる。コンタクトアナログプローブの場合には、それは、例えば任意の所与の次元において+/0.8mm以下であり、例えば任意の所与の次元において+/0.725mm以下であり、例えば任意の所与の次元において+/0.5mm以下であり、例えばいくつかの状況においては任意の所与の次元において+/0.3mm以下である(スタイラス休止位置から測定される)ことが可能である。また、当然ながら、スタイラスが、好ましい測定範囲に到達する前に偏向して超えなければならないデッドゾーンが、スタイラス位置の直ぐ周囲に存在してもよく、これは、例えば任意の所与の次元においてスタイラス休止位置から+/−0.2mm以上である、例えば任意の所与の次元においてスタイラス休止位置から+/−0.1mm以上である、例えば任意の所与の次元において+/−0.125mm以上である(やはりスタイラス休止位置から測定される)ことが可能である。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態によるフィーチャを発見するための一般的な手順100を示す。この実施形態においては、工作機械4の作業空間内におけるフィーチャの例えば基準位置などのおおよその位置が、既知である。本方法は、ステップ102において、表面検出領域(すなわちプローブ先端部24)がフィーチャに対して種々の基準オフセットを置いた状態で、発見すべき対象のフィーチャを通過するようにプローブ14を複数回にわたり移動させるように設定された動作経路を規定するプログラムを生成することによって、開始される。理解されるように、工作物16がアナログプローブ14と共にまたはその代わりに(例えば可動台15により)移動され得る実施形態においては、次いで、このプログラムは、工作物16の動作経路をさらに規定し得る。換言すれば、ステップ102は、アナログプローブ14が調査走査時に工作物16に関する走査測定データを収集し得るように、アナログプローブ14と工作物16との間の相対動作経路を計画することを含む。
【0054】
ステップ104において、プログラムは、API26を経由してNC18にロードされる。NC18は、プログラムの命令を解釈し、モータ制御信号を生成するように構成され、これらのモータ制御信号は、プログラムにより規定された動作経路にしたがってアナログプローブ14を移動させるように工作機械4のモータ(図示せず)に命じるために使用される。同時に、複数の手順を含む測定データが記録される。特に、スピンドル位置データ(x、y、z)(上述のように工作機械4においてエンコーダにより生成される)が、NC18を経由してPC8に送られる。さらに、プローブ偏向データ(a、b、c)(上述のようにアナログプローブにより取得される)が、プローブ送受信機インターフェース10を経由してPC8にやはり送られる。PC8は、スピンドル位置データ(x、y、z)およびプローブ偏向データ(a、b、c)を組み合わせることにより、機械座標ジオメトリ内で表面の位置を規定する測定値セットを生成する。
【0055】
説明される実施形態においては、本方法は、ステップ106にて、NC18が、プログラムにより規定されるフィーチャの第1の通過を実施することを含む。これが完了すると、次いで、ステップ108において、実施されたばかりの通過時に、スタイラスが、予め定められたしきい値量を超えて偏向したか否かが判定される。説明される実施形態においては、これは、実施されたばかりの通過時に割り込み信号が発行されたか否かを判定することにより実施される。かかる割り込み信号は、プローブが予め定められたしきい値範囲(これは、所望に応じてユーザにより設定され得る)を超えて偏向した場合に、発行され得る。説明される実施形態においては、この予め定められたしきい値は、スタイラスがその好ましい測定範囲の上限境界を超過するように偏向された点にて設定される。したがって、説明される実施形態においては、プローブの出力のみ(例えば、工作機械のエンコーダでもなく、または工作機械エンコーダデータとプローブデータとの組合せでもない)が、割り込み信号が発行されるべきか否かの判定において解析される。割り込み信号は、プローブ偏向データをモニタリングし、プローブが予め定められたしきい値を超えて偏向したと判定した場合に割り込み信号を発行する、送受信機インターフェース10によって発行され得る。割り込み信号を発行することは、例えば、制御装置6に格納された変数表内の変数を変更することを含み得る。したがって、NC18は、ステップ108にて、割り込み信号が発行されたか否かを判定するために、変数の状態を問い合わせ得る。
【0056】
割り込み信号が発行されなかった場合には、次いで、制御はステップ106へと戻り、対象の次の通過が実施され、またこれは、理解されるように、異なる基準オフセット距離を置いたものとなる。
【0057】
このループは、割り込み信号が発行されるまで(または予め定められた動作経路が完了し、その時点で工作物のフィーチャを発見することができないことが判明するまで)継続する。割り込み信号が発行されたと判定された場合には、制御は、ステップ110に進み、フィーチャの位置が判定される。スピンドル位置データおよびプローブ偏向データは、組み合わされることにより、フィーチャに関する測定データを供給する。この組み合わされた測定データは、次いで解析されて、フィーチャの正確な位置(および任意には配向)を判定する。かかる解析は、例えば、特定の曲線形状を探す技術を含むことが可能であり、例えばエッジの位置(および任意には配向)を発見するためにデータに曲線を当てはめることが可能である。判定された位置(および任意には配向)は、次いで、ステップ112においてフィーチャを、および任意には工作物16の他のフィーチャを後に測定するのを補助するために使用され得る。例えば、それは、プローブ14が工作物16を後に走査するための動作経路を規定するプログラムの生成または変更において使用され得る。
【0058】
重要な点として、この実施形態においては、ステップ108が、全ての通過の完了後にのみ実施される点に留意されたい。したがって、割り込みが、通過中に発行されても、プローブの移動は、通過の終了まで継続する。これにより、フィーチャに関する測定データは、割り込み信号が発行された後でも、確実に取得され続ける。かかる測定データは、フィーチャの正確な位置および/または配向の判定において有用となり得る。
【0059】
図4および
図5を参照として、本発明の実施形態をさらに説明する。
図4は、ブレード40のエッジ42を位置特定するために本発明の一実施形態にしたがってスタイラス先端部24の中心点が辿る経路30を概略的に示す。説明される実施形態においては、各通過のルートの形状は、同一であり、すなわち、それらはいずれも、アナログプローブが直線状にエッジを通過して移動することを含むが、各通過は、垂直方向(図示される配向において)において互いに対してオフセットされる。アナログプローブは、これらの通過の間に移動する方向を変更させるように構成され、すなわち、これらの通過の中の1つについては一方向に移動し、次いで次の通過については逆方向に移動する。しかし、これは、必ずしもそうである必要はない。
【0060】
図示するように、破線42’は、エッジの基準位置を図示し、実線42は、エッジの実際の位置を図示する。スタイラス先端部は、点線24により図示されるように経路30の頂部から始動し、矢印Aにより図示されるようにエッジ42の通過を実施するために移動される。経路30は、エッジ42との接触がなされるまでに複数回のフィーチャの通過が実施されなければならなくなることが予期されるように、設定される。これは、エッジが予期されるよりもさらにZ軸の上方に(図示される配向において)位置する場合に、プローブ先端部が、過剰偏向を伴わずにエッジの走査を依然として実施することが可能となるようなものとなる。しかし、理解されるように、これは、必ずしもそうである必要はなく、著しい過剰偏向(例えば割り込み信号を発行させる上述のしきい値よりも大きな最大しきい値を超える)が、検出される場合には、本方法は、例えば動作経路がZ軸のさらに上方において開始されるようにプログラムを調節することを含み得る、復帰動作を含むことが可能である。
【0061】
図示するように、エッジの実際の位置42は、予期されるよりもさらにZ軸の下方に位置し、第1の接触(プローブ先端部24の位置により図示される)が、第6の通過において生じる。この通過においては、スタイラスは、偏向されるが、しきい値を上回る量で偏向されるわけではない。したがって、しきい値を超えてスタイラスを偏向させる第7の通過が、実施され、割り込み信号が、発行される。しかし、上記で説明したように、しきい値を超えるかかる偏向および割り込み信号の発行は、プローブの移動を即座には中止させない。むしろ、NC18は、プローブを移動させ続けて第7の通過を完了させることにより、プローブは、しきい値偏向が超過される以前および以後の両方におけるエッジ42に関するデータを収集する。第7の通過の終了時に、NC18は、割り込み信号が発行されたことを識別し、それにより、後々の通過が実施されないことを確実にするための措置を取る。
【0062】
第6の通過および第7の通過においてエッジ42の周辺で収集されたデータは、エッジ42のおよびしたがってブレード40の位置および任意には配向を判定するために使用され得る。これは、この走査手順から得られる本発明に基づいてのみ実施され得るか、または例えば他の測定手順もしくは走査手順などからの他の情報をさらに使用することも可能である。例えば、
図5を参照すると、第2のエッジ発見走査50が、実施され得る。この第2のエッジ発見走査50からのデータは、第1のエッジ発見走査30から取得されたデータと組み合わせて使用されることにより、ブレード40の位置および配向を取得することが可能である。さらに、例えばブレードに関するパラメータ情報または形状情報を提供し得るブレードの長さ方向に沿った第1の接触測定60および第2の接触測定70などの、さらなる測定が実現され得る。全てのこのデータが、アナログ測定プローブがブレード40に沿って走査データを取得するための、例えば新規の走査経路を生成するためにまたは既存の走査経路を変更するために、使用され得る。
【0063】
上述の例によれば、アナログプローブが予め定められたしきい値を超過する走査測定データを対象の長さ方向に沿って取得したか否かが、時間的に明確な予め定められた周期で判定される。アナログプローブの出力は、例えば、通過内の移動の最中であっても予め定められたしきい値と継続的に比較されて、予め定められたしきい値を超過したか否かを確認され得る。この場合には、予め定められたしきい値が超過されたか否かについての迅速な確認が、予め定められた周期で実施されることが必要となるに過ぎず、次いで、例えば後の通過に沿って継続するかまたは経路に沿った動作を完全に停止させるために割り込みを発行するかなど、どのように進めるかの決定を行う。任意には、アナログプローブの出力は、相対移動中にバッファ保留または格納され、全ての比較が、予め定められた周期で実施される。
【0064】
上述の例においては、予め定められた周期は、各通過の終了時に発生する。しかし、これは、必ずしもそうである必要はなく、例えば時間および/または空間の他の点において、例えば各通過の長さの中で種々の周期にて、または例えば1つおきの通過の終了時になどいくつかの通過の中の複数(任意には全て)にて発生する周期でなど、発生し得る。説明される実施形態においては、予め定められた周期同士の間にアナログプローブおよび/または対象が移動する相対距離は、アナログプローブの測定範囲よりも大きい。この測定範囲が、個々の次元ごとに異なる場合には、予め定められた周期同士の間にアナログプローブおよび/または対象が移動する相対距離は、アナログプローブの最小測定範囲よりも大きい。
【0065】
説明される実施形態においては、ステップ108は、スタイラスがその好ましい測定範囲の上限境界を超過する量だけ偏向されるか否かを判定することを含む。しかし、これは、必ずしもそうである必要はなく、例えばその好ましい測定範囲のその上限境界と下限境界との間の点になど、異なる値に設定され得る。さらに、ステップ108は、スタイラスの偏向が特定の量を超えたか否か(すなわち、プローブが特定のデータ値を取得したか否か)を判定することを含む必要はなく、代わりに(またはさらに)、プローブが特定量のデータを取得したか否かを判定するように構成され得る。
【0066】
上述の実施形態においては、動作経路に沿った動作を中止すべきか否かは、割り込み信号がトラバースの終了時に発行されたか否かを監視する制御装置により判定される。しかし、これは、そうである必要はない。制御装置は、少なくとも1つの基準にしたがって走査された表面測定データが収集されたことを示す信号が発行されると、直ちに動作を中止させることが可能である。当然ながら、かかる信号の発行と制御装置が動作を中止することが可能となることとの間には、幾分かの小さな時間遅延が存在し得ることになる(および、この時間遅延度は、マシンごとに異なり得る)。この場合に、信号発行と動作中止との間のその時間に取得されたデータが、取得され得ることにより、例えば、このデータは、対象/フィーチャに関する情報を判定するために使用され得る(上記で説明されたように)。最小量の追加のアナログプローブデータがかかる信号の発行後に取得される技術を実装することが、好ましい場合がある。この場合には、信号の発行は、かかる信号の発行後のアナログプローブデータが取得され得るように、遅延され得る。例えば、インターフェース10が、存在し、アナログプローブの出力を解析している場合には、それは、予め定められた量の時間が経過するまで、制御装置6へのトリガ信号の発行を遅延させてもよい。他の場合には、制御装置は、かかる信号を即座に処理することはできないが、代わりに、制御装置は、かかる信号が定期的および/または予め定められた周期で発行されたか否かを問い合わせる。例えば、インターフェース10が、存在する場合に、制御装置6は、かかる信号が発行されたか否かを確認するためにインターフェース10に問い合わせてもよい。さらに、かかる信号の発行と制御装置のその信号に応答した動作の停止との間のアナログプローブデータは、例えば対象/フィーチャに関する情報を判定するためなどに、取得され得る。
【0067】
理解されるように、上述の実施形態によれば、アナログプローブが辿るように設定された動作経路は、アナログプローブが、初めに、発見すべき対象/フィーチャとの間において位置感知関係にはない(および接触状態にはない)ように、設定される。対象の実際の位置によっては、動作経路が、複数のトラバースで構成される場合であっても、アナログプローブは、第1のトラバースにおいて、発見すべき対象/フィーチャとの間において位置感知関係におかれ得る(例えばコンタクトプローブの場合には、発見すべき対象/フィーチャに接触し得る)。この場合には、動作経路が、複数の後のトラバースで構成されるものであっても、第1のトラバースのみが、実施され得る。
【0068】
上述の実施形態においては、部分発見作業は、高速で実施され得る(例えば、工作物感知部(例えばスタイラス先端部24)および対象が、互いに対して少なくとも16mm/sにて、好ましくは少なくとも25mm/sにて、より好ましくは少なくとも50mm/sにて、特に好ましくは少なくとも100mm/sにて、例えば少なくとも250mm/sにて移動する)。