特許第6242869号(P6242869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242869特に自動車用の流体循環バルブおよび該バルブを備える温度調整デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242869
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】特に自動車用の流体循環バルブおよび該バルブを備える温度調整デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/072 20060101AFI20171127BHJP
   F02M 26/26 20160101ALI20171127BHJP
   F02M 26/71 20160101ALI20171127BHJP
   F02B 29/04 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F16K11/072 Z
   F02M26/26
   F02M26/71
   F02B29/04 R
   F02B29/04 A
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-512097(P2015-512097)
(86)(22)【出願日】2013年5月3日
(65)【公表番号】特表2015-517636(P2015-517636A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】FR2013050998
(87)【国際公開番号】WO2013171404
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】1254434
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】マチュー、ラルマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ジラルドン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ルブラスール
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−510320(JP,A)
【文献】 特開2001−227659(JP,A)
【文献】 実開昭60−007465(JP,U)
【文献】 米国特許第04506697(US,A)
【文献】 米国特許第07581533(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/22
F16K 1/00− 1/54
F02B 29/00−29/08
F02M 26/26,26/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)とシール要素(3)とを備え、前記シール要素(3)が前記本体(2)に対する当該要素(3)の回転によって異なる角度位置をとることができ、前記本体(2)が第1の入口/出口(6)、第2の入口/出口(7)、第3の入口/出口(21)、および、第4の入口/出口(22)を有する、特に自動車用の流体循環バルブであって、前記バルブは、
− 第1の前記角度位置で、前記第1の入口/出口(6)から前記第2の入口/出口(7)への流体の循環を可能にするように構成され、
− 第2の前記角度位置で、前記第1の入口/出口(6)から前記第3の入口/出口(21)への流体の循環および前記第4の入口/出口(22)から前記第2の入口/出口(7)への流体の循環を可能にするように構成され、
− 第3の前記角度位置で、前記第1の入口/出口(6)から前記第4の入口/出口(22)への流体の循環および前記第3の入口/出口(21)から前記第2の入口/出口(7)への流体の循環を可能にするように構成され
前記第1の入口/出口(6)および前記第2の入口/出口(7)が径方向であり、
前記第3の入口/出口(21)および前記第4の入口/出口(22)が軸方向である、流体循環バルブ。
【請求項2】
前記シール要素(3)が360°よりも大きい角度経路を有する、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記本体(2)が円形断面の内部円筒ハウジング(4)を備え、前記シール要素が少なくとも1つのシール部分(14)を備え、該シール部分(14)は、前記円筒ハウジング(4)に対して傾けられる平面内に配置されるとともに、少なくとも1つの角度位置で前記シール要素(3)と前記本体(2)との間のシール接触を確保するために、外周母線にて前記ハウジングの側壁(5)と協働する、請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記第3の入口/出口(21)は、径方向であって、前記第1の入口/出口(6)に対して前記本体(2)の軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、請求項1から3のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記第4の入口/出口(22)は、径方向であって、前記第2の入口/出口(7)に対して前記本体(2)の軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、請求項1から4のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項6】
前記第3の入口/出口(21)と前記第4の入口/出口(22)とは、前記本体(2)の相対向する軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、請求項1から5のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項7】
前記第1の入口/出口(6)および前記第2の入口/出口(7)は、前記第3の入口/出口(21)および前記第4の入口/出口(22)よりも大きい断面を成す、請求項1からのいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記第1の入口/出口(6)および前記第2の入口/出口(7)が互いに延長線上にある、請求項1からのいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記第1の入口/出口(6)および前記第2の入口/出口(7)が同じ形状の断面を成す、請求項1からのいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のバルブ(1)を備える、流体の温度調整のためのデバイス。
【請求項11】
いわゆる冷却ライン(20)の領域で前記第3の入口/出口(21)と前記第4の入口/出口(22)との間に接続される熱交換器(23)を更に備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の入口/出口(7)に接続されるいわゆる非冷却ラインを備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
− 前記熱交換器(23)が再循環排ガス交換器となるように構成されるとともに、前記バルブ(1)が再循環排ガスバルブとなるように構成される、あるいは、
− 前記熱交換器(23)が給気冷却器となるように構成されるとともに、前記バルブ(1)が空気計量バルブとなるように構成される、請求項11または請求項12に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが、特に、ガソリンであろうとディーゼルであろうと、車両、特に自動車の内燃機関と関連付けられる流体循環システムに備えられるようになっている流体循環バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなバルブは、様々な機能を有することができ、また、例えば、それらのバルブがディーゼルターボチャージャー付きエンジンに設けられる際には、それらのバルブは、エンジンの吸気管路に供給される空気の量を計測するために、または、特に亜酸化窒素の処理を目的として、排気ライン内で循環する排ガスの一部をそらして前記ガスを吸気ラインの方向へ送るために使用される場合がある。この場合、ガスは再循環排ガスと呼ばれる。したがって、本発明に係るバルブは、特に、ガス循環を可能にするバルブに関する。
【0003】
再循環排ガス循環路では、再循環排ガス冷却器と呼ばれる熱交換器を使用して、前記ガスの温度を下げることができるようにすることが知られている。しかしながら、特定の動作態様では、排ガスを冷却する必要がない。したがって、これらのガスを熱交換器に通すことなくエンジンの吸気ラインへ向けて循環できることが重要である。このため、再循環排ガス循環路は、熱交換器が設けられる冷却ラインと、冷却ラインを迂回する非冷却ラインとを備える。
【0004】
したがって、再循環排ガス循環路であって、再循環排ガスの量を計測できるようにする第1のバルブと、ガスを冷却ラインまたは非冷却ラインへと方向付けることができるようにする第2のバルブとを備える再循環排ガス循環路が知られている。そのような循環路は、それらが2つの別個のバルブを必要とするという欠点を有することが理解される。
【0005】
また、排ガス冷却器は汚染に晒され、そのため、この発生を制限するべく、熱交換器内で排ガスの循環方向を変えることができることが重要である。しかしながら、そのような動作は更なるアクチュエータを必要とする。
【0006】
同様の状況がエンジンの吸気ラインで直面される。より具体的には、前記吸気ラインにおいて、給気冷却器を使用することが知られている。しかしながら、特定の動作態様では、吸入ガスを冷却する必要がない。したがって、これらのガスを冷却器に通すことなくエンジンへ向けて循環できることが重要である。このため、吸気循環路は、給気冷却器が設けられる冷却ラインと、冷却ラインを迂回する非冷却ラインとを備える。
【0007】
したがって、空気をエンジンへ供給するための循環路であって、吸入ガスの量を計測できるようにする第1のバルブと、ガスを冷却ラインまたは非冷却ラインへと方向付けることができるようにする第2のバルブとを備える循環路が知られている。そのような循環路も、それらが2つの別個のバルブを必要とするという欠点を有することが理解される。
【0008】
また、特定の構造のエンジンの場合、吸入ガスは、吸入ガスに加えて再循環排ガスを含む。前記ガスが給気冷却器の上流側の循環路へ注入されるケースでは、前記冷却器が汚染に晒される危険があり、そのため、この発生を制限するべく、給気冷却器内で吸入ガスの循環方向を変えることができることが重要である。しかしながら、ここでも、そのような動作は更なるアクチュエータを必要とする。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、これらの欠点を是正することであり、したがって、本体とシール要素とを備え、該シール要素が前記本体に対する前記要素の回転によって異なる角度位置をとることができ、前記本体が第1、第2、第3、および、第4の入口/出口を有する、特に自動車用の流体循環バルブであって、前記バルブが、
− 第1の前記角度位置で、第1の入口/出口から第2の入口/出口への流体の循環を可能にするように構成され、
− 第2の前記角度位置で、第1の入口/出口から第3の入口/出口への流体の循環および第4の入口/出口から第2の入口/出口への流体の循環を可能にするように構成され、
− 第3の前記角度位置で、第1の入口/出口から第4の入口/出口への流体の循環および第3の入口/出口から第2の入口/出口への流体の循環を可能にするように構成される、
流体循環バルブに関する。
【0010】
第1の前記角度位置において、バルブは、第1、第2、第3、および、第4の入口/出口間の流体の循環を可能にするように構成されてもよい。言い換えると、流体は、いずれかの入口からいずれかの出口へと自由に循環してもよい。
【0011】
第1の前記角度位置は、少なくとも第2および第3の角度位置を排除する角度領域に属する角度位置であってもよい。
【0012】
このように、本発明によれば、そのシール要素の回転だけで流体の循環のための多くの選択肢を与えるバルブが提供される。
【0013】
一緒にあるいは個別に考慮され得る本発明に係るバルブの異なる実施形態によれば、
− 前記シール要素が360°よりも大きい角度経路を有する、
− 前記第1および第2の入口/出口が径方向である、
− 前記第3の入口/出口は、径方向であって、前記第1の入口/出口に対して前記本体の軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、
− 前記第4の入口/出口は、径方向であって、前記第2の入口/出口に対して前記本体の軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、
− 前記第3の入口/出口と前記第4の入口/出口とは、前記本体の相対向する軸方向端部へ向けて軸方向にオフセットされる、
− 前記第3および/または第4の入口/出口が軸方向である、
− 前記第1および第2の入口/出口が互いに延長線上にある、
− 前記第1および第2の入口/出口が同じ形状の断面を成す。
− 前記第1および第2の入口/出口は、前記第3および第4の入口/出口よりも大きい断面を成す。したがって、第1の前記角度位置において、バルブは、主に第1の入口/出口から第2の入口/出口への流体の循環を可能にするように構成されてもよい。第1の入口から第2の出口へ循環する流体の流量が他の循環の流量よりも多いときには、流体が主に第1の入口/出口から第2の入口/出口へと循環する。
【0014】
本発明の1つの特徴によれば、前記本体が円形断面の内部円筒ハウジングを備え、前記シール要素が特に楕円の少なくとも1つのシール部分を備え、該シール部分は、前記円筒ハウジングに対して傾けられる平面内に配置されるとともに、少なくとも1つの角度位置でシール要素と本体との間のシール接触を確保するために、外周母線で前記ハウジングの側壁と協働する。
【0015】
したがって、本発明のこの特徴によれば、第1の入口/出口を第2の入口/出口から分離する角度位置で、特に第2および第3の角度位置で、フラップの全周にわたってシールを得ることができる。シール部分は、360°にわたって回転するとともに、第1の入口/出口を第2の入口/出口から分離する角度位置では、前記シール部分が一方向または他方向に回転した、ハウジングの壁に対するシ−ル部分の傾きより与えられる、ハウジングの側壁とシール部分との間の連続的な接触に起因して、ハウジングの側壁と共にシールを確保する。
【0016】
好ましくは、シール要素の前記傾斜部分が回転ディスクとして形成され、回転ディスクの外周縁は、特に円柱−円柱間接触を確保するべく円筒ハウジングの側壁と接触する母線を構成する。したがって、円筒ハウジング内の回転軸に沿う傾斜回転ディスクの投影は円形であり、また、ディスクは、好ましくは、対応する領域の円筒ハウジングの側壁と協働する。傾斜シール部分が簡単な態様で形成され、また、先に述べたように、これにより、第1の入口/出口を第2の入口/出口から分離するディスクの位置で漏れも回避できることは注目に値する。
【0017】
傾斜シール部分は、例えば、本体の円筒ハウジングの軸とほぼ45°の角度を成す。
【0018】
好適には、前記シール要素が制御ロッドを備え、制御ロッドは、傾斜部分に接続されて前記傾斜部分を回転駆動させるとともに、前記傾斜部分の中心を通る前記円筒ハウジングの軸内に配置される。このように、前記ロッドは単にディスクを一端で支持しているにすぎず、そのため、シール要素のこの実施形態は、通常はフラップに沿って延びるとともに組み立ての困難さおよびオフセットと関連付けられる漏れや障害のリスクをもたらすシャフトを省く。
【0019】
より具体的には、フラップは、その回転シャフトの平面内になく、そのため、前記2つの部分間の干渉が減少される。また、フラップは、その対称性により、位置決め手段に頼ることなく両方向で装着され得る。
【0020】
特に、前記ロッドおよびシール要素の前記傾斜部分は、一体部品として形成することができ、あるいは、オーバーモールド、溶接、接着により、あるいは、固定要素等によって互いに組み付け固定することができる。
【0021】
好ましくは、傾斜シール部分とは反対の側で、ロッドは、本体に固定されるガイドベアリングに装着され、および/または、その出口で、回転駆動させるためのデバイスに接続される。
【0022】
また、本発明は、そのようなバルブを備える流体の温度調整のためのデバイスにも関連する。
【0023】
一緒にあるいは個別に考慮され得る前記デバイスの異なる実施形態によれば、
− 前記デバイスは、いわゆる冷却ラインの領域で前記第3の入口/出口と前記第4の入口/出口との間に接続される熱交換器を更に備える、
− 前記デバイスは、前記第2の入口/出口に接続されるいわゆる非冷却ラインを備える、
− 前記熱交換器が再循環排ガス交換器となるように構成されるとともに、前記バルブが再循環排ガスバルブとなるように構成され、
− 前記熱交換器が給気冷却器となるように構成されるとともに、前記バルブが空気計量バルブとなるように構成される。
【0024】
以下、本発明をどのように実施できるのかを明らかにする添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。これらの図において、同一の参照数字は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】バルブを備える流体調整用のデバイスの概略図であり、前記デバイスおよび前記バルブが本発明に係るものであり、前記バルブが第1の動作位置で示される。
図2】バルブを備える流体調整用のデバイスの概略図であり、前記デバイスおよび前記バルブが本発明に係るものであり、前記バルブが第2の動作位置で示される。
図3】バルブを備える流体調整用のデバイスの概略図であり、前記デバイスおよび前記バルブが本発明に係るものであり、前記バルブが第3の動作位置で示される。
図4】本発明に係るバルブの一実施形態の外側平面図である。
図5図4のバルブの本体を斜視図で示す。
図6図4のバルブのシール要素を斜視図で示す。
図7図4のバルブにおいて、第1および第2の入口/出口を連通状態に置く90°の位置においてシール要素の位置を断面で示す。
図8図4のバルブにおいて、第1および第2の入口/出口を連通状態に置く45°の位置においてシール要素の位置を断面で示す。
図9図4のバルブにおいて、第1および第2の入口/出口を連通状態に置く5°の位置においてシール要素の位置を断面で示す。
図10図4のバルブにおいて、第1および第2の入口/出口を分離する0°または180°位置においてシール要素の位置を断面で示す。
図11】平面図で示される、前述の前記バルブの本体のハウジングに対する、第1の角度位置における、図4のバルブのシール要素のディスクの接触の領域を表わすグラフを示す。
図12】平面図で示される、前述の前記バルブの本体のハウジングに対する、第2または第3の角度位置における、図4のバルブのシール要素のディスクの接触の領域を表わすグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3に示されるように、本発明に係る流体循環バルブ1は本体2とシール要素3とを備え、シール要素3は、前記本体2に対する前記シール要素3の回転によって異なる角度位置をとることができる。
【0027】
本体2は、この場合には、前記流体が横切ることができる内部ハウジング4を有する。シール要素3は前記内部ハウジング4内に配置される。
【0028】
前記本体2は、第1の入口/出口6、第2の入口/出口7、第3の入口/出口21、および、第4の入口/出口22を有する。前記第1、第2、第3、および、第4の入口/出口は、例えば、前記本体2に形成されて内部ハウジング4内へと放出するオリフィスによって規定される。
【0029】
本発明によれば、前記バルブは、
図1に示される第1の前記角度位置で、第1の入口/出口6から第2の入口/出口7への流体の循環を可能にするように構成され、
図2に示される第2の前記角度位置で、矢印Fにしたがって、第1の入口/出口6から第3の入口/出口21への流体の循環および第4の入口/出口22から第2の入口/出口7への流体の循環を可能にするように構成され、
図3に示される第3の前記角度位置で、第1の入口/出口6から第4の入口/出口22への流体の循環および第3の入口/出口21から第2の入口/出口7への流体の循環を可能にするように構成される。
【0030】
この場合、バルブの第1、第2、および、第3の角度位置のそれぞれで、第1の入口/出口6および第2の入口/出口7のそれぞれが入口および出口を規定し、一方、バルブの第2および第3の角度位置で、第3の入口/出口21および第4の入口/出口22がバルブ1を横切る流体のための入口および出口を交互に規定することに気付かされる。
【0031】
内部ハウジング4は、軸Aを有するとともに円形断面を成す円筒形である。この内部ハウジングは、本体2の側壁によって画定される。前記内部ハウジングが孔に連結されてもよい。ここで、バルブの内部ハウジング4を通じて循環するようになっている流体のための通路を形成する入口6および出口7は、軸Aに対して径方向で前記内部ハウジングの壁内へと放出する。前記入口6および出口7は、例えば、互いに径方向に位置合わせされる。前記入口および出口は、この場合、内部ハウジング4の軸Aに対して垂直に交差する縦軸X(図4)を有するとともに、同一の直径を有する。これらの入口および出口は、本体2に組み込まれて前記バルブの接続部として形成されるパイプ8によってハウジングの側壁5を越えて延ばされる。
【0032】
また、内部円筒ハウジング4がその端部の一方に横ベース9を備え、一方、その反対側の端部に横カバー10が配置されるのが分かる。前記カバーは、前記シール要素3を軸A周りに回転駆動させるためにそれ自体知られる制御ユニットにより制御される図示しない駆動デバイスと協働するシール要素によって遮られる。
【0033】
前記第3の入口/出口21は、軸方向であって、例えば横ベース9に、特にオリフィス12の領域(図4)に配置され得る。
【0034】
前記第4の入口/出口22は、軸方向であって、例えば横カバー10に、特にオリフィス32の領域(図4)に配置され得る。
【0035】
変形として、第3および/または第4の入口/出口は、径方向であって、例えばベース9およびカバー10のそれぞれへ向けて第1の入口/出口6および第2の入口/出口7に対して軸方向にオフセットされ得る。
【0036】
前記第1の入口/出口6および第2の入口/出口7は、例えば、前記第3および第4の入口/出口よりも大きい断面を有する。
【0037】
前記第3および第4の入口/出口21,22に対する前記第1および第2の入口/出口6,7の相対的な位置と、それらのそれぞれの断面の選択とにより、流体の循環が前記第1の角度位置で入口6から出口7へと促進される。
【0038】
好適には、前記シール要素は、360°よりも大きい角度経路を有するように構成される。言い換えると、シール要素は、角度制限無くそれ自体が回転できる。したがって、シール要素は、完全な1回転でその初期位置に戻ることができる。また、シール要素は、反対方向の回転によってその初期位置に戻るように構成することもできる。
【0039】
図示しない第1の実施形態によれば、前記シール要素は、その異なる角度位置に応じて第1、第2、第3、および/または、第4の入口/出口と一致するようになるあるいは一致するようにならない流体用の通路が設けられた円筒状のプラグバルブを備えることができる。
【0040】
図示の実施形態に対応する更なる実施形態によれば、前記シール要素3は少なくとも1つのシール部分14を備え、該シール部分14は、前記円筒ハウジング4に対して傾けられる平面内に配置されるとともに、少なくとも1つの角度位置でシール要素3と本体2との間のシール接触を確保するために外周母線によって前記ハウジングの側壁5と協働する。
【0041】
図3図5を参照して最も明確に分かるように、傾斜部分14は、円形の円筒ハウジング2の軸Aに対して傾けられる平面内に配置されるとともに前記軸Aを中心として位置付けられる楕円フラップ16として形成され、それにより、傾斜部分の外周縁17は、シールフラップに対して与えられる角度位置にしたがって流量を調整できる状態で入口6と出口7とを直接的な流体連通状態に置くあるいは直接的な流体連通状態に置かないように、前記シール要素の少なくとも1つの所定の角度位置で入口6と出口7とを分離するべくハウジング4の側壁5と絶えず接触する。したがって、この外周縁17は、入口6と出口7とが互いから分離される角度位置で、特に第2および第3の角度位置でハウジングの側壁5と常にシール接触する母線Gを構成する。
【0042】
用語「傾斜」は、厳密には、0°〜90°であると理解される。「フラップ」は、軸Aに対して傾けられて外周縁17によって接続される2つの面を有する部分として理解される。前記傾斜面が互いに平行であってもよい。前記部分は、小さい厚さ、すなわち、本体2の直径よりもかなり小さい、特に10倍よりも小さい前記傾斜面間の距離を有する。前記部分は例えばディスクである。
【0043】
バルブ1の正確な機能を確保するために幾何学的な配慮が考慮に入れられる。フラップ16は、円形ハウジング4の直径よりも大きい長軸と、円形ハウジング4の直径よりも実質的に小さい短軸とを有する楕円形状を成す。本形態において、円形ハウジング4の直径は、流体の入口6および出口7の同一直径よりも大きい。
【0044】
シール要素3は接続ロッド15を更に備える。前記接続ロッド15は、それが傾斜ディスクに中心付けられるように、ハウジングの軸Aに沿って配置され、本形態において、ディスクの傾斜面と軸Aとの間の角度Bは45°に等しい。したがって、ハウジングの側壁5と恒常的な接触を達成するために、ディスク16の長軸は、ハウジングの直径×√2にほぼ等しい。この接触は、ハウジング4の円形断面の壁5と、傾斜ディスク16の外周縁17に対応するとともにフラップの回転軸に対して垂直な平面上への投影が円形である母線Gとの間の円柱/円柱接触であると規定されてもよい。フラップ16の短軸は、流体の入口6および出口7の直径よりかなり大きくなり得る。
【0045】
バルブの本体のハウジング4における前記シール要素3の取り付けが任意の微調整作業を必要とせず、また、流体の入口6および出口7に対してディスク16を中心付けるためには単に手段3をハウジング内で軸方向に当接させるだけで済むことは注目すべきことである。
【0046】
ロッド15は、組み付けあるいはオーバーモールドによってその一方の端部がディスク16に接続され、あるいは、一体品のシール要素3を得るべくディスクと共に成形される。一例として、ディスク16がプラスチック材料から形成されて、ロッド15が金属から形成されてもよく、逆もまた同様であり、あるいは、一体構造または選択される複合体にしたがって、2つの要素がプラスチック材料または金属から形成されてもよい。ロッドの他端は、案内ベアリング18を介して、カバー10のエンドピース11の軸方向穴を通過する。ロッドの他端は、不図示の回転駆動させるための装置に接続されている。
【0047】
傾斜ディスク16の異なる角度位置が図7図10に示される。
【0048】
図10に示される位置において、シール要素3の前記傾斜ディスク16は、入口6を出口7から分離して、第3および/または第4の入口/出口を通じた流体の循環を余儀なくさせる。これを達成するため、ハウジングをそれぞれが流体の通過のために入口チャネル6および出口チャネル7のうちの一方に面する2つの別個のシールされた内側チャンバへと分離する間仕切りの態様で、傾斜ディスク16の外周縁17が円筒ハウジング4の側壁5とシール状態で完全に協働するのが分かる。傾斜ディスク16、したがってシール要素3のこの角度位置は、バルブ1の第2および第3の角度位置の一方または他方に対応する。
【0049】
駆動デバイスが作動させられると、それにより、所望の角度にしたがった前記シール要素3の回転が引き起こされる。図7を参照すると、シール要素3がそのロッド15を介して軸Aを中心とする±90°の回転を受けており、その間に、傾斜ディスク16は、バルブの本体2の入口6および出口7を延ばす同軸パイプ8と略平行な平面内に配置されるべくハウジング4内で回転した状態にある。回転後、外周縁17は、もはやハウジングの側壁5と完全に接触せず、部分的にのみ接触する。これは、縁17の両側の部分が円形の入口6および出口7と対向して配置されるからである。ディスクのこの引き込み角度位置は、本体のシールされた内部ハウジング4を介した入口6と出口7との間での流体の通過を許容するとともに、バルブ1の第1の角度位置に対応する。
【0050】
前記シール要素3の中間位置を図8に関連して一例として説明するが、この中間位置は、軸A周りの傾斜ディスク16の±45°の回転に対応する。したがって、ディスクの縁17は、入口6および出口7と部分的に対向し、それにより、これらの入口および出口を平均流量で流体が直接に通過するための連通状態に置き、残りの流量は第3の入口/出口21および第4の入口/出口22を通過する。
【0051】
図9に関して、この図は、前記シール要素が0°の初期閉位置から約5°に位置付けられるときに傾斜ディスク16の縁17がハウジングの側壁5と完全に接触していることを示す。このことは、ディスク16とハウジング4との完全な重なり合いがバルブのシールレベルを低下させることなく組み立て中に角度エラーを受け入れることができるようにすることを意味する。バルブの第1の角度位置は、最終的に、約10°(±5°)の角度範囲にわたって得られる。
【0052】
また、円柱−円柱間接触を伴う円筒ハウジング内の傾斜ディスクの構造に起因して、シール要素の連続回転によりあるいはシール要素の逆回転により、前述したようにバルブの異なる角度位置に達してもよいことは注目に値する。したがって、シール要素は、好適には、その外周縁のみがハウジングの側壁と接触するという事実に起因して、両方向で使用されてもよい。
【0053】
図11および図12のグラフは、ハウジングの側壁5の高さ(mm)にしたがった傾斜ディスク16の位置を明確に示しており、この場合、360°壁は、平面図で示されるように−180°〜+180°で展開される。
【0054】
図11では、前記シール要素3の傾斜ディスク16がバルブ1の第2または第3の角度位置のうちの一方をとる。前記入口および出口を画定するパイプ8の輪郭Cによって例示される入口6および出口7に関連して、正弦曲線経路に沿って平面図で示されるディスクの母線Gを形成する外周縁17が絶えずハウジングの側壁5と接触していることが明らかに分かる。このように、入口6および出口7は互いから完全に分離される。
【0055】
図12を参照すると、傾斜ディスク16がバルブの第1の角度位置をとる。この場合、正弦曲線経路(図11に対してπ/2オフセットされる)の形態を成す外周縁17がこのときに入口6および出口7の中心分を通るのが明らかに分かる(参照符号P1)。縁17の他の部分(参照符号P2)のみがハウジングの側壁5と接触した状態のままであり、これは、入口6と出口7との一致を確保する。
【0056】
ディスクの縁が円筒壁上で直線的に移動されると、これにより、ディスクと壁との間で任意の汚染を回避できるとともに、バルブの自己洗浄が確保できることは注目に値する。
【0057】
図1図3を再び参照すると、本発明が前述したバルブを備える流体温度調整用のデバイスにも関連するのが分かる。
【0058】
前記デバイスは、いわゆる冷却ライン20の領域で前記第3の入口/出口21と第4の入口/出口22との間に接続される熱交換器23を更に備える。したがって、本発明に係るバルブは、熱交換器内の流体の循環方向の反転をその第2の角度位置と第3の角度位置との間で可能にする。
【0059】
この場合、前記デバイスは、前記第2の入口/出口7に接続される、いわゆる非冷却ラインを更に備える。シール要素3がその第1の角度位置にあるときに、流体は、冷却ライン20を通ることなく、入口6から直接に出口7へと通過する。
【0060】
このようにすると、冷却ラインおよび非冷却ラインのそれぞれへと運ばれる流体の量を計測することにより流体の温度の調整を行なうことによって、バルブ1を通じて同じ流量が確保される。
【0061】
言い換えると、前記シール要素3の傾斜ディスク16をその平面が入口6および出口7のパイプ8の軸内にある状態で図1に関連して示される全開位置に配置すると、流体循環流Fは、冷却ループ20を通過することなくバルブ1の内部ハウジング4を横切る。このようにすると、バルブを通る流体が冷却されない。
【0062】
図2は、ハウジングの軸A周りでの一方向の90°回転の後、傾斜ディスク16がその縁17(母線G)をハウジングの側壁5にその全周にわたって円柱−円柱間接触させた状態で閉位置に配置されることを示す。このようにすると、流体は、もはや入口6と出口7との間で直接に連通せず、ハウジング4内に達するとともにシールディスクの閉塞によりバルブ1の第3の入口/出口21の方向に向けられるように入口6から出て、反時計回り方向でループ20を通過する。したがって、流体は、冷却器23を横切ってそこで冷却された後、バルブ1の第4の入口/出口22を介して放出されてハウジング4に入り、その後、バルブの出口7を通る。
【0063】
一方、図1の閉位置に対して前記シール要素3を他方向に90°回転させる図3を参照すると、流体の循環が先とは逆の方向で行なわれる。この位置でも先と同様に、傾斜ディスク16がバルブ1の閉塞を確保する。このようにすると、流体は、入口6、ハウジング4、第4の入口/出口22、ループ20、第3の入口/出口21、ハウジング4、その後、出口7を辿って、冷却ループ20を時計回り方向で通過する。つまり、流体の流れが逆転される。
【0064】
異なる用途が考えられる。前記交換器を再循環排ガス交換器となるように構成することができるとともに、前記バルブを再循環排ガスバルブにすることができる。変形として、前記交換器を給気冷却器となるように構成することができるとともに、前記バルブを空気計量バルブにすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12