(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242871
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】流体循環バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 11/22 20060101AFI20171127BHJP
F02D 11/10 20060101ALI20171127BHJP
F02M 26/26 20160101ALI20171127BHJP
F02M 26/71 20160101ALI20171127BHJP
【FI】
F16K11/22 Z
F02D11/10 N
F02M26/26
F02M26/71
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-512101(P2015-512101)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-522764(P2015-522764A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】FR2013051019
(87)【国際公開番号】WO2013171411
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】1254436
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100176603
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 允史
(72)【発明者】
【氏名】マチュー、ラルマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ジラルドン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ルブラスール
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−334577(JP,A)
【文献】
特開2010−090876(JP,A)
【文献】
実開昭60−007464(JP,U)
【文献】
特表2003−505649(JP,A)
【文献】
特開2004−316690(JP,A)
【文献】
特公昭38−017362(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00−11/22
F16K 1/00− 1/54
F02B 29/00−29/08
F02M 26/26、26/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体循環バルブであって、流体が通過できる本体(2)と、前記流体の流れ方向で直列を成して前記本体内に配置される第1および第2の遮断手段(3,3’)とを備え、前記各遮断手段は、前記本体(2)に対する当該手段(3,3’)の回転によって異なる角度位置をとることができ、前記バルブは、同じ作動モータによる前記遮断手段(3,3’)の駆動を可能にするキネマティックチェーンも備え、前記バルブは、
− 前記第1の遮断手段(3)の第1の角度範囲にわたって、前記バルブの第1の出口ポート(40)内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段(3’)は、前記第1の出口ポート(40)が全開となる位置にあり、
− 前記第1の遮断手段(3)の第2の角度範囲にわたって、前記バルブの第2の出口ポート(42)内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段(3’)は、前記第2の出口ポート(42)が全開となる第2の位置にある、流体循環バルブ。
【請求項2】
前記バルブは、前記第1の遮断手段(3)の第3の角度範囲および/または第4の角度範囲にわたって、前記バルブの入口通路(6)の閉塞を可能にするようにも構成される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記第3および第4の角度範囲が前記第1および第2の角度範囲と交互に現れる、請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記本体(2)は、前記第1の遮断手段(3)のための第1のハウジング(4)と、前記第2の遮断手段(3’)のための第2のハウジング(4’)とを備え、前記第1および第2の出口ポート(40,42)が前記第2のハウジング(4’)に通じている、請求項2または請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記入口通路(6)が前記第1のハウジング内へ通じる、請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記本体(2)は、前記第1のハウジング(4)と前記第2のハウジング(4’)との流体接続のための通路(44)を備える、請求項4または請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記第1の遮断手段(3)および/または前記第2の遮断手段(3’)がそれぞれ少なくとも1つの第1の傾斜部分(14)を備え、前記第1の傾斜部分(14)は、前記第1および/または第2のハウジング(4,4’)のそれぞれに対して傾けられた平面内に配置されるとともに、少なくとも1つの角度位置で前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)と前記本体(2)との間でシール接触を確保するために対応するハウジング(4,4’)の側壁(5)と外周母線を介して協働する、請求項4から6のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項8】
前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)の前記傾斜部分(14)が回転ディスク(16)として形成され、前記回転ディスク(16)の外周縁(17)は、円柱−円柱間接触を確保するべく対応する前記ハウジング(4,4’)の前記側壁(5)との接触のための母線を構成する、請求項7に記載のバルブ。
【請求項9】
前記傾斜部分(14)は、前記本体(2)の対応する前記ハウジング(4,4’)の軸線(A)とほぼ45°の角度を成す、請求項7または請求項8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)が制御ロッド(15)を備え、前記制御ロッド(15)は、前記傾斜部分(14)に連結されてこの傾斜部分を回転駆動させるとともに、前記傾斜部分の中心を通る前記対応するハウジング(4,4’)の軸線に配置される、請求項7から9のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項11】
前記ロッド(15)と前記傾斜部分(14)とが一体部品として形成される、請求項10に記載のバルブ。
【請求項12】
前記傾斜部分とは反対の側で、前記ロッド(15)は、前記本体と一体のガイドベアリング(18)に装着され、および/または、その出口が前記キネマティックチェーンを回転駆動させるための手段に接続される、請求項10または請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記第1の遮断手段(3)および前記第2の遮断手段(3’)の前記ロッド(15)が互いに平行である、請求項10から12のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項14】
前記キネマティックチェーン、前記本体(2)、および、前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)は、360°を超える角度にわたる前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)の回転を可能にするように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項15】
前記キネマティックチェーン、前記本体(2)、および、前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)は、前記第1および/または第2の遮断手段(3,3’)の両方向の回転を可能にするように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが特にガソリン駆動またはディーゼル駆動のいずれかの車両、特に自動車の内燃機関と関連付けられる流体循環システムに装着するようになっている流体循環バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなバルブは、様々な機能性を有することができ、また、例えばディーゼルターボチャージャー付きエンジンに取り付けられる際には、エンジン吸気管路に供給される空気の量を計測するために、または、特に亜酸化窒素の処理を目的として、排気パイプ内で循環する排ガスの部分をそらしてそれを吸気管路へ送るために使用され得る。このとき、我々は再循環排ガスと称する。したがって、本発明に係るバルブは、特に、ガス循環を可能にするバルブに関する。
【0003】
再循環排ガス回路では、再循環排ガス冷却器と呼ばれる熱交換器を使用して、前記ガスの温度の低下を可能にすることが知られている。しかしながら、特定の動作状況では、排ガスを冷却する必要がない。このとき、これらのガスを熱交換器に通すことなくエンジン吸気管路へ向けて循環できることが有益である。このため、再循環排ガス回路は、熱交換器が取り付けられた冷却経路と、冷却経路を迂回する非冷却経路とを備える。
【0004】
したがって、再循環排ガスの量を計量して送り出す第1のバルブと、冷却経路または非冷却経路へ向けたガスの伝導を可能にする第2のバルブとを備える再循環排ガス回路が知られている。言うまでもなく、そのような回路は、それらが2つの別個のバルブを必要とするという点において不都合を有する。
【0005】
同様の状況がエンジン吸気管路において見出される。実際に、ここでは、過給空気冷却器を使用することが知られている。しかしながら、特定の動作状況では、吸入ガスを冷却する必要がない。このとき、これらのガスを冷却器に通すことなくエンジンへ向けて循環できることが有益である。このため、吸気回路は、過給空気冷却器が取り付けられた冷却経路と、冷却経路を迂回する非冷却経路とを備える。
【0006】
したがって、冷却経路へ向かう吸入ガスの量を計量して送り出す第1のバルブと、非冷却経路へ向かう吸入ガスを計量して送り出す第2のバルブとを備えるエンジン用の空気供給回路が知られている。言うまでもなく、そのような回路も、それらが2つの別個のバルブを必要とするという点において不都合を有する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、これらの不都合を是正することであり、したがって、流体循環バルブであって、前記流体が通過できる本体と、流体の流れ方向で直列を成して前記本体内に配置される第1および第2の遮断手段とを備え、各遮断手段が、前記本体に対する前記手段の回転によって異なる角度位置をとることができ、前記バルブが、同じ作動モータによる前記遮断手段の駆動を可能にするキネマティックチェーンも備え、前記バルブが、
− 前記第1の遮断手段の第1の角度範囲にわたって、前記バルブの第1の出口ポート内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段は、前記第1のポートが全開となる位置にあり、
− 前記第1の遮断手段の第2の角度範囲にわたって、前記バルブの第2の出口ポート内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段は、前記第2のポートが全開となる第2の位置にある、
流体循環バルブに関する。
【0008】
したがって、望ましい計量機能および方向付け機能の両方を果たす1つの同じ要素が提供される。そのようなバルブ形態は、特に、前記本体、前記第1および第2の遮断手段、および、前記キネマティックチェーンの組み合わせ形態によってもたらされる。
【0009】
一緒にあるいは個別に考慮されてもよい本発明の様々な実施形態によれば、
− 前記バルブは、前記第1の遮断手段の第3および/または第4の角度範囲にわたって、前記バルブの吸気通路の閉塞を可能にするようにも構成され、
− 第3および第4の範囲が第1および第2の範囲と交互に起こり、
− 前記本体は、第1の遮断手段のための第1のハウジングと、第2の遮断手段のための第2のハウジングとを備え、前記第1および第2の出口通路が特に軸方向で前記第2のハウジングに通じている、
− 前記吸気通路が特に軸方向で前記第1のハウジング内へ通じている、
− 前記本体は、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの特に径方向での流体接続のための中間通路と呼ばれる通路を備える。
【0010】
好適には、前記キネマティックチェーン、前記本体、および、前記第1および/または第2の遮断手段は、360°を超える角度にわたる前記第1および/または第2の遮断手段の回転を可能にするように構成される。
【0011】
同様に、前記キネマティックチェーン、前記本体、および、前記第1および/または第2の遮断手段は、前記第1および/または第2の遮断手段の両方向の回転を可能にするように構成される。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、第1および/または第2の遮断手段がそれぞれ少なくとも1つの第1の遮断部分を備え、第1の遮断部分は、第1および/または第2のハウジングのそれぞれに対して傾けられた平面内に配置されるとともに、少なくとも1つの角度位置で1つ目として第1および/または第2の遮断手段と2つ目として本体との間でシール接触を確保するために対応するハウジングの側壁と外周母線を介して協働する。
【0013】
したがって、二次的なテーパーエッジを使用することなく、フラップの全周にわたってシールを得ることができる。また、遮断部分は、360°にわたって更に回転できるとともに、前記遮断部分が一方向または他方向のいずれかに回転するように、ハウジング壁に対する遮断部分の傾きにより与えられる、ハウジングの側壁と遮断部分との間の連続的な接触により、ハウジングの側壁と共にシールを確保できる。また、バルブ形態に応じて、フラップの全周にわたってシールされる幾つかの閉位置、例えば、180°離間される2つの位置を与えることもできる。
【0014】
第1および/または第2の遮断手段の前記傾斜部分が例えば回転ディスクとして形成され、回転ディスクの外周縁は、円柱−円柱間接触を確保するべく対応するハウジングの側壁との接触のための母線を構成する。
【0015】
したがって、円筒ハウジング内の回転軸線に沿う傾斜回転ディスクの投影は円形であり、また、ディスクは、好ましくは、対応する領域によって円筒ハウジングの側壁と協働する。傾斜遮断部分の製造の容易さに気付かされ、これは、先に述べたように、ディスクが閉位置にあるときの漏れの回避も可能にする。
【0016】
前記傾斜遮断部分は、本体の対応するハウジングの軸線とほぼ45°の角度を成すことができる。
【0017】
前記第1および/または第2の遮断手段が例えば制御ロッドを備え、制御ロッドは、傾斜部分に連結されてこの傾斜部分を回転駆動させるとともに、前記傾斜部分の中心を通る前記対応するハウジングの軸線に配置される。このように、このロッドは単にディスクを一体で支持しているにすぎず、そのため、遮断手段のこの実施形態は、通常はフラップに沿って延びるとともに組み立ての困難さおよび位置ずれと関連付けられる漏れや障害のリスクをもたらすシャフトを必要としない。
【0018】
実際に、フラップは、もはやその回転シャフトの平面内になく、そのため、2つの部分間の干渉が減少される。また、フラップは、その対称性に起因して、偏向の助けを要することなく、両方向で装着され得る。
【0019】
特に、前記ロッドおよび遮断手段の前記傾斜部分は、一体部品として形成することができ、あるいは、成形、溶接、接着、固定要素等によって互いに組み付け固定することができる。
【0020】
傾斜遮断部分とは反対の側で、ロッドは、特に、本体と一体のガイドベアリングに装着され、および/または、その出口が前記キネマティックチェーンを回転駆動させるための手段に接続される。
【0021】
前記第1および第2の遮断手段の前記制御ロッドが互いに平行であってもよい。
【0022】
前記流体のための前記入口通路および前記中間通路は、これらの通路を少なくとも1つの角度位置で分離する第1の遮断手段を伴う前記第1のハウジングに対して例えば略径方向で開放する。
【0023】
流体の前記入口通路および前記中間通路は、特に同軸であり、前記第1のハウジングの軸線に対して垂直である。
【0024】
流体の前記入口通路および前記中間通路は例えば円形であり、また、それらの直径は、その縁によって前記第1のハウジングの側壁と協働して設けられる対応する傾斜部分のディスクの短軸よりも短い。
【0025】
以下、本発明をどのように実施できるのかを例示する添付の図を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。これらの図において、同一の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るバルブの第1の実施形態の概略断面立面図である。
【
図2】
図1の線II−IIに沿う概略断面図である。
【
図3】
図1におけるバルブのその遮断手段の角度位置に応じた吸気ポートの開度を示す。
【
図4】
図1におけるバルブのその遮断手段の角度位置に応じた第1の出口ポートの開度を示す。
【
図5】
図1におけるバルブのその遮断手段の角度位置に応じた第2の出口ポートの開度を示す。
【
図6】
図1におけるバルブの第1のハウジングおよび第1の遮断手段の正面図である。
【
図9】90°開位置での前記遮断手段の位置を断面で表わす。
【
図10】45°開位置での前記遮断手段の位置を断面で表わす。
【
図11】5°開位置での前記遮断手段の位置を断面で表わす。
【
図12】0°または180°閉位置での前記遮断手段の位置を断面で表わす。
【
図13】平面で示される、先の前記バルブの本体のハウジングに対する閉位置の前記遮断手段の接触領域を例示するグラフを示す。
【
図14】平面で示される、先の前記バルブの本体のハウジングに対する最大開位置の前記遮断手段の接触領域を例示するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る流体循環バルブは、内燃機関、特にディーゼルエンジンの吸気管路内へ導入される空気を計量して送り出すことを保証することが意図されているが、このバルブが任意の他の機能、特に再循環される排ガスを計量して送り出す機能を有し得ることが理解される。
【0028】
図1に示されるように、前記流体循環バルブは、前記流体が通過できる本体2と、前記本体2内に配置される第1および第2の遮断手段3,3’とを備える。前記第1の遮断手段3および前記第2の遮断手段3’は、流体Fの流れ方向に直列に配置される。言い換えると、前記バルブは、前記本体内の流体循環が、最初に前記第1の遮断手段3によって決定され、その後、前記第2の遮断手段3’により決定されるように構成される。
【0029】
遮断手段3,3’はそれぞれ、前記本体2に対する前記手段3,3’の回転によって異なる角度位置をとることができる。
図1および
図2には、第1の遮断手段3の第1の角度位置が実線で示されるとともに、他の角度位置が破線で示される。
【0030】
前記バルブはキネマティックチェーン20も備える。21のマークが付された矢印により示されるように、前記キネマティックチェーンは、前記遮断手段3,3’を同じ作動モータ(図示せず)によって駆動させることができるようにする。前記キネマティックチェーンは、特に遮断手段3,3’のピニオンと協働する歯車および/または前記作動モータなどの当業者に知られる任意の手段を備える。
【0031】
図2に示されるように、前記バルブは、
− 前記第1の遮断手段3の第1の角度範囲30にわたって、前記バルブの第1の出口ポート40(
図1)内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段3’は、前記第1のポート40が全開となる位置にある、および、
− 前記第1の遮断手段3の第2の角度範囲32にわたって、前記バルブの第2の出口ポート42(
図1)内の前記流体を計量して送り出すように構成され、前記第2の遮断手段3’は、前記第2のポート42が全開となる第2の位置にある。
【0032】
このようにすると、単一のキネマティックチェーンと単一の作動モータとを使用して、流体の独立した計量供給を2つの別個の方向で可能にするバルブが提供される。
【0033】
また、前記バルブは、前記第1の遮断手段3の第3の角度範囲34および/または第4の角度範囲にわたって、前記バルブの入口通路6の閉塞を可能にするように構成することもできる。ここで、第3および第4の角度範囲は、第1の角度範囲30および第2の角度範囲32と交互に起こる。
【0034】
図2に示されるように、前記キネマティックチェーンにより、前記第1の遮断手段3の前記角度範囲30,32,34は、前記第2の遮断手段3’の角度範囲に対応する。言い換えると、前記第1の遮断手段3の角度位置が前記第2の遮断手段3’の角度位置に対応し、逆もまた同様である。したがって、入口ポート6の開度は、第1の出口ポート40の単一の開度に対応するとともに、前記第2の出口ポート42の単一の開度に対応する。
【0035】
前記キネマティックチェーンは、例えば逆転ホイールを使用することにより、第2の遮断手段3’を前記第1の遮断手段3とは反対の方向に駆動させるように構成され得る。前記第1、第2、第3、および、第4の角度範囲は例えば90°の回転を表わす。
【0036】
前記第1の遮断手段3の角度位置30に応じた入口通路6の開度が
図3に示される。第1の角度範囲は、前記第1の遮断手段3の原角度位置Oからの第1の方向での回転によって、前記遮断手段3により進められる。この範囲内で、入口通路6は、前記原角度位置における閉位置から、範囲の終端の全開位置へと、直線的な進行状態で移行する。第3の角度範囲34は、前記第1の遮断手段3の前記原角度位置Oからの反対方向での回転によって進められる。この範囲では、入口通路6が閉じられたままである。第2の角度範囲32は、前記第1の遮断手段3の更なる回転によって進められ、このとき、入口通路6は、閉位置から範囲の終端の全開位置へ直線的な進行状態で移行する。
【0037】
前記第2の遮断手段3’の角度位置に応じた第1の出口通路40の開度が
図4に示される。前記第1の遮断手段3がその第1の角度範囲30内にあるときには、前記第2の遮断手段3’が前記第1の出口通路40を開いたままにする。逆に、前記第1の遮断手段3がその第2の角度範囲32内にあるときには、前記第2の遮断手段3’が前記第1の出口通路40を閉状態に保つ。前記第1の遮断手段3の前記第3の中間の角度範囲34において、第2の遮断手段3’は、前記原角度位置における前記第1の出口通路40の開位置から、範囲の終端の前記第1の出口通路40の閉位置へ、直線的な進行状態で移動する。
【0038】
前記第2の遮断手段3’の角度位置に応じた第2の出口通路42の開度が
図5に示される。前記第1の遮断手段3がその第1の角度範囲30内にあるときには、前記第2の遮断手段3’が前記第2の出口通路42を閉じたままにする。逆に、前記第1の遮断手段3がその第2の角度範囲32内にあるときには、前記第2の遮断手段3’が前記第2の出口通路42を開状態に保つ。前記第1の遮断手段3の前記第3の中間の角度範囲34において、第2の遮断手段3’は、前記原角度位置における前記第2の出口通路42の閉位置から、前記第2の出口通路42の開位置へ、直線的な進行状態で移動する。
【0039】
第2の出口ポートが開いているときに第1の出口ポート40が閉じられることに気付く。逆に、第1の出口ポートが開いているときに第2の出口ポート40が閉じられる。
【0040】
また、前記第1、第2、および、第3の角度範囲は連続している。
【0041】
再び
図1および
図2を参照すると、我々は、前記本体2が、ここでは、第1の遮断手段3のための第1のハウジング4と、第2の遮断手段3’のための第2のハウジング4’とを備えることも分かる。前記第1および第2のハウジング4,4’は円形断面を有する円筒状である。
【0042】
前記入口通路6は前記第1のハウジング4内へ通じている。前記第1の出口通路40および前記第2の出口通路42はそれぞれ、ここでは軸方向で前記第2のハウジング4’に通じている。
【0043】
前記本体2は、前記第1のハウジング4と前記第2のハウジング4’との流体接続のための中間通路44も備える。
【0044】
第1の実施形態(図示せず)によれば、前記第1の遮断手段3および/または前記第2の遮断手段3’は、前記入口通路6、中間通路44、および/または、出口通路40,42に対応してもよいあるいは対応しなくてもよい流体通路が設けられる円筒状のプラグを備えてもよい。
【0045】
図6〜
図14に関連して、前記遮断手段、この場合には前記第1の遮断手段3の第2の実施形態を、対応するハウジング4に関連して説明する。
【0046】
前記ハウジングは側壁5によって画定される。内側ハウジングが孔と同様であってもよい。入口通路6および中間通路44は、ここでは前記ハウジング4の軸線Aに対して径方向で、この壁に通じている。これらの入口通路6および中間通路44は、例えば、互いに対して位置合わせされる。ここでは、これらの通路は、ハウジング4の軸線Aと垂直に交差する縦軸線Xを与えるとともに、同一の直径を有する。
【0047】
また、我々は、内側円筒ハウジング4がその端部の一方で横ベース9により全体的に閉じられ、一方、ハウジングの反対側の端部が軸方向孔12へ延びる横蓋10を有することも分かる。これを通じて、遮断手段3は、前記キネマティックチェーン(図示せず)と協働するとともに、それ自体が知られる制御ユニットにより管理され、それにより、遮断手段3が軸線A周りで回転駆動される。
【0048】
前記遮断手段3は、ここでは、傾斜遮断部分14と接続ロッド15とを有する。特に、傾斜部分14は、ハウジング4の軸線Aに対して傾けられる平面内に配置されるとともに前記軸線Aを中心として位置付けられる回転楕円フラップ16として形成され、それにより、傾斜部分の外周縁17は、前記遮断手段の少なくとも1つの所定の角度位置で入口通路6と中間通路44とを分離して流体の循環を遮断するために、あるいは、遮断フラップの所定の開放角度にしたがって調整できる流量を伴って入口通路6と中間通路44との間で流体連通をもたらすために、ハウジング4の側壁5と絶えず接触する。したがって、この外周縁17は、ハウジングの側壁5と常にシール接触する母線Gを構成する。
【0049】
用語「傾斜」は、厳密には、0°〜90°を意味する。「フラップ」は、軸線Aに対して傾けられて外周縁17によって連結される2つの面を伴う部分である。前記傾斜面が互いに平行であってもよい。前記部分は、小さい厚さ、すなわち、ハウジング4の直径よりもかなり小さい、特に10倍小さい前記傾斜面間の距離を有する。前記部分は、例えば、回転楕円ディスクである。
【0050】
バルブ1の適切な機能を確保するために幾何学的な配慮が適用される。フラップ16は、円形ハウジング4の直径よりも大きい長軸と、円形ハウジング4の直径よりもかなり小さい短軸とを伴う楕円形状を有する。ここで、円形ハウジング4の直径は、流体入口通路6および中間通路44の同一直径よりも大きい。接続ロッド15は、傾斜ディスクに中心付けられるように、ハウジングの軸線Aに沿って配置され、この場合、ディスクの傾斜面と軸線Aとの間の角度Bは、ここでは、45°に等しい。したがって、ハウジングの側壁5と恒常的な接触を成すように、ディスク16の長軸は、ハウジングの直径×√2にほぼ等しい。この接触は、ハウジング4の円形断面を有する壁5と、傾斜ディスク16の外周縁17に対応するとともにフラップの回転軸線に対して垂直な平面上への投影では円形である母線Gとの間の円柱/円柱接触であると規定されてもよい。フラップ16の短軸は、流体入口通路6および中間通路44の直径よりかなり大きくてもよい。
【0051】
バルブ本体のハウジング4における遮断手段3の取り付けが、細心の注意を払う調整作業を必要とせず、単に手段3をハウジング内の軸方向ストッパで位置決めして流体通路に対してディスク16を中心付けるだけで済むことが見出される。
【0052】
ロッド15は、組み付けあるいは成形によって一端がディスク16に接続され、あるいは、ロッド15には、モノブロックの遮断手段3を与えるようにディスクが形成される。例えば、選択されるモノブロック構成または複合構成に応じて、ディスク16がプラスチックから形成されて、ロッド15が金属から形成されてもよく、逆もまた同様であり、あるいは、両方がプラスチックまたは金属から形成されてもよい。ロッドの他端は、前記キネマティックチェーンに接続されるように、前記本体2と一体の案内ベアリング18(
図9〜
図12)を介して、本体2の軸方向穴12を通過する。
【0053】
図12に示される位置において、遮断手段3の傾斜ディスク16は、入口通路6を中間通路44から分離して、バルブ1を通じた流体の循環を妨げる。このため、我々は、ハウジングをそれぞれが流体入口通路6および中間通路44のうちの一方に面する2つの別個のシールされた内側チャンバへ間仕切り分離する態様で、傾斜ディスク16の外周縁17が円筒ハウジング4の側壁5と緊密に且つ完全に協働するのが分かる。傾斜ディスク16、したがって遮断手段3のこの角度位置は、バルブ1の閉塞に対応し、この場合、開始点は、遮断手段3の0°のゼロ角度回転である。
【0054】
キネマティックチェーンがロッド15に応力を加えると、それにより、バルブ1を通じた流体の特定の流れに対応する所望の角度にわたって遮断手段3の回転が引き起こされる。
図9において、我々は、遮断手段3がそのロッド15を介して軸線Aを中心とする+90°の時計回りの回転を受け、それにより、傾斜ディスク16がバルブの本体2の入口通路6および中間通路44と略平行な平面内に配置されるべくハウジング4内で回転したことが分かる。更に回転すると、外周縁17は、もはやハウジングの側壁5と全体的に接触せず、部分的にのみ接触する。これは、縁17の両側の部分が入口通路6および中間通路44と対向して配置されるからである。ディスクのこのリセット角度位置は、本体のシールされた内側ハウジング4を介した入口通路6と中間通路44との間の流体の通過を許容するとともに、流体循環流が最大で且つ出口通路のうちの一方へ流れが向けられる第2のハウジング4’へ流体循環流が方向付けられるバルブ1の全開に対応する。
【0055】
また、傾斜ディスク16は、先の位置に対して対称な位置をとってもよい。すなわち、遮断手段は、駆動デバイスの作用下で、0°閉位置に対して−90°にわたって反時計回りに回転してしまっている。したがって、傾斜ディスク16は、入口通路6および中間通路44と平行に配置され、それにより、流れが出口通路のうちの他方へ方向付けられる第2のハウジング4’へ向かう最大の流れが確保される。
【0056】
遮断手段3の中間位置が一例として
図10に示されており、この中間位置は、軸線A周りの傾斜ディスク16の45°の回転に対応する。このとき、ディスクの縁17は、入口通路6および中間通路44と部分的に対向し、それにより、これらの通路は、中程度の流量で流体を通過させる連通状態に至らされる。
【0057】
次に、
図11は、遮断手段が0°の初期閉位置から約5°の位置にあるときに傾斜ディスク16の縁17がハウジングの側壁5と完全に接触していることを示す。このことは、ディスク16とハウジング4との全体的な重なり合いがバルブにおけるシールのレベルを低下させることなく組み立て時の角度欠陥の公差を許容することを意味する。バルブの閉塞は、最終的に、約10°(±5°)の角度範囲にわたって得られる。
【0058】
図13および
図14の線図は、ハウジングの側壁5の高さ(ミリメートル)にしたがった傾斜ディスク16の位置を明確に示しており、この場合、360°壁は、平面で示されるように−180°〜+180°で展開される。
【0059】
図13では、遮断手段3の傾斜ディスク16がバルブ1の閉位置(
図12)、すなわち前記手段のゼロ回転をとる。ハウジング4の直径よりも小さい同一直径の入口通路6および中間通路44が、管路8の境界を規定する輪郭Cによって例示される。入口通路6および中間通路44に関連して、正弦波形状にしたがって平面図内で示されるディスクの母線Gを形成する外周縁17が絶えず前記ハウジング4の側壁5と接触していることに気付く。このように、バルブの閉塞は全体的であり、入口通路66と中間通路44とが互いに完全に分離され、それにより、バルブ1を通じた流体の任意の循環が妨げられる。
【0060】
図14に関しては、傾斜ディスク16がバルブの全開位置、すなわち遮断手段3の±90°の回転をとる。この場合、結果として、正弦波形状(
図13に対してπ/2オフセットされる)において、外周縁17は、その幅広部分(参照符号P1)が入口通路6および中間通路44を超えてその中央部分に移っていくことに気付く。縁17の他の部分(参照符号P2)のみがハウジングの側壁5と接触した状態のままであり、これは、このバルブを通じた最大流体流れのためのバルブ1の全開を明確に示す。
【0061】
その結果、そのようなバルブは、円形ハウジング内での傾斜ディスクの適合(円柱/円柱接触)により、閉塞の両方向でシールを確保する。前記ディスクを360°を超える角度にわたって駆動させることもできる。ディスクは、その対称性により、バルブの本体において偏向の助けを要することなく、両方向で装着され得る。また、ディスクの縁が円筒壁上で直線的に移動するため、これにより、ディスクと壁との間で任意の汚染が回避されるとともに、バルブの自己洗浄が確保され、これはEGRバルブの場合に有益である。
【0062】
図1を再び参照すると、我々は、前記第2の遮断手段3’が例えば既に言及した遮断手段と全く同一に形成されることに気付く。しかしながら、前記第2のハウジング4’は、流体がもはやこのハウジングから径方向で抜け出ることはなく、既に述べたように、第1の出口通路40および第2の出口通路42を通じて軸方向で抜け出るという点において異なる。前記中間通路44は、ここでは、前記第2のハウジング4’に径方向で通じる。
【0063】
言い換えると、前記第1の角度範囲では、前記第2の遮断手段3’のディスク14が流れをそらせ、それにより、流れは、前記中間通路44から出て前記第2のハウジング4’に入る際の径方向から、前記第2のハウジング4’から前記第1の出口通路40に入るための軸方向へと移行する。
【0064】
前記第2の角度範囲では、前記第2の遮断手段3’の前記ディスク14が先の位置と対称な位置をとって流れをそらせ、それにより、流れは、前記中間通路44から出て前記第2のハウジング4’に入る際の径方向から、前記第2のハウジング4’から第1の出口通路とは反対側に設けられた前記第2の出口通路42に入るための軸方向へと移行する。
【0065】
したがって、前記第2の遮断手段3’は、ここでは、本質的にデフレクタとして機能する。
【0066】
ハウジング4,4’は互いに平行であってもよく、対応する第1の遮断手段3および第2の遮断手段3’の制御ロッド15も同様に平行であってもよい。