(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242881
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】声門上を通る管を有する喉頭部マスク
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
A61M16/04 A
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-515476(P2015-515476)
(86)(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公表番号】特表2015-519962(P2015-519962A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013061017
(87)【国際公開番号】WO2013182457
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】00767/12
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】514308601
【氏名又は名称】スィンギュラリティー、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SINGULARITY AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー、エフ.デュバッハ
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0090609(US,A1)
【文献】
国際公開第2012/049448(WO,A2)
【文献】
国際公開第2011/003135(WO,A1)
【文献】
特表2006−522623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喉頭への喉頭部マスク頭部(3)の挿入のために声門上を通る管(2)を有する喉頭部マスク(1)であって、
前記声門上を通る管は、3つの内腔、すなわち、呼吸用の空気供給及び器具使用の役目をする呼吸用内腔(4)、食道の入口を与える役目をする食道用内腔(5)、及び前述の2つの内腔の間に延び基端部で閉鎖されているガイド内腔(6)、を有しており、
前記声門上を通る管(2)及び前記喉頭部マスク頭部(3)が、一部品に射出成型によって製造され、
2つの内腔を繋げるスロット(8)が末端部(9)から声門上を通る管(2)の長さの少なくとも一部に亘って延び、
前記スロットは、左右の内腔(4,5)と中央のガイド内腔(6)との間を延びていることを特徴とする喉頭部マスク(1)。
【請求項2】
前記接続スロット(8)は、前記呼吸用内腔(4)を前記ガイド内腔(6)と接続している
ことを特徴とする請求項1に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項3】
前記接続スロット(8)は、前記食道用内腔(5)を前記ガイド内腔(6)に接続している
ことを特徴とする請求項1に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項4】
前記スロット(8)の長さは、前記基端部(7)から前記末端部(9)への前記管(2)の全長の少なくとも4分の1以上、好ましくは少なくとも3分の1、に延びている
ことを特徴とする請求項1に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項5】
一部品の喉頭部マスク(1)は、前記喉頭部マスク頭部(3)内に、前記管(2)の前記呼吸用内腔(4)が終わる中央呼吸用空間(10)を有し、
前記呼吸用空間の上方には、前記食道用内腔(5)が開放している食道用通路(11)があり、
前記呼吸用空間(10)は、カフ(12)によって囲まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項6】
前記カフ(12)は、膨張式のカフである
ことを特徴とする請求項5に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項7】
前記呼吸用空間(10)は、周辺部にある粘着性壁及び/または溶接壁(13)によって境界付けられており、
開口している射出成型カフ(12)は、周辺部にある環状型の粘着性縁及び/または溶接縁を有し、
当該粘着性縁及び/または溶接縁は、前記粘着性壁及び/または溶接壁(13)の形状及び大きさに適合されていて、完全に組み上がった状態では、前記粘着性壁及び/または溶接壁(13)へ気密に接続されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項8】
カフ(12)は、キャビティを含まない中実の素材からなる
ことを特徴とする請求項5に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項9】
中央側方方向での圧縮可能性を増大する少なくとも1つの弾性溝(15)が、前記カフの少なくとも1つの側方の縁に沿って少なくとも長手方向に延びるように、前記カフ(12)の背側に成型されている
ことを特徴とする請求項8に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの弾性溝(15)は、カフ(12)の2つの側方壁(16)の各々に沿って、少なくともおおよそ当該側方壁に対して平行に、成型されている
ことを特徴とする請求項9に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項11】
前記ガイド内腔(6)は、前記管(2)の基端部上の推移領域(18)内で前記喉頭部マスク頭部(3)に対して閉鎖されており、
前記呼吸用内腔(4)は、前記推移領域内で前記呼吸用空間(10)に展開しており、 方向転換の位置(19)が、前記推移領域内で、前記食道用内腔(5)が前記食道用通路(11)に展開する位置に存在している
ことを特徴とする請求項5に記載の喉頭部マスク(1)。
【請求項12】
請求項1乃至11の少なくともいずれか1つに記載の声門上を通る管(2)を有する喉頭部マスク(1)、の製造のための射出成型用の型であって、
前記管(2)を形成するために、3つの平行な芯部があり、
前記ガイド内腔(6)を形成する芯部、及び、隣接する2つの芯部の1つは、基端部から末端の方向に安定しているウェブによって互いに接続されている
ことを特徴とする射出成型用の型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喉頭への喉頭部マスク頭部の挿入のために声門上を通る管を有する喉頭部マスクに関する。声門上を通る管は、3つの内腔、すなわち、呼吸用の空気供給及び器具使用の役目をする呼吸用内腔と、食道の入口を与える(食道へのアクセスを与える)役目をする食道用内腔と、2つの前述の内腔の間に延び、基端部で閉鎖されているガイド内腔と、を有する。
【背景技術】
【0002】
喉頭部マスクは、プラスチックで作られ、通常は一度だけ使われる。喉頭部マスクは、通常は声門上を通る管と、喉頭部マスク頭部と、からなる。これらの2つの部品は、別々に製造されて、溶接あるいは接着によって相互に結合される。このような喉頭部マスクの典型的な例は、US 2003/037790に示されている。声門上を通る管は、ここでは、2つの平行な内腔(ルーメン)を有する。1つの内腔は、呼吸用内腔であり、幅広の内腔は、食道用内腔である。他方、US 2006/032505は、横に並んで延びる3つの管によって形成される、という声門上を通る管を説明している。US 2007/028923は、声門上を通る管が中央の(に)呼吸用内腔を有し、小さな直径を有する各管が背面側と腹面側とで壁内に(それぞれ)示される、という喉頭部マスクを開示している。説明文も図面も管と喉頭部マスク頭部とが別々に作られることは示していないが、構造単独でも、他の結論を残さない。管の現在の形状は、内腔を形成する芯部を引き抜くことを不可能にしている。同様に、壁に埋め込まれている内腔を有する管は、押出や押出成型以外の他の方法によっては製造され得ない。このような厚さのある壁の管は、所望されれば、後に加熱処理によって成形され得る。
【0003】
本発明は、WO 2010/060227に従う喉頭部マスクに向けられている。この喉頭部マスクは、声門上を通る管を有しており、当該管には、喉頭部マスク頭部が取り付けられる。従って、喉頭部マスク頭部は、受容ブシュを有しており、当該受容ブシュ内に管が挿入され、喉頭部マスク頭部への溶接や接着がなされ得る。このような製造過程は、大量の手作業を必要とし、従って時間がかかり、それに応じて多額の費用もかかる。ここで用いられる声門上を通る管は、射出成型によって製造される。同様に、喉頭部マスク頭部は、第2の射出成型の型によって製造される。すなわち、2つの部品に製造される。通常はおおよそ20cmの長さを有する声門上を通る管は、それゆえ、射出成型法によって製造され得る。なぜなら、一方では、壁の厚さが厚さの関連する違いを有さず、他方では、内腔を形成する芯部が、成型用の型の一部において被牽引部や被摺動部として移動可能に保持されているからである。その間、芯部の端は、成型用の型の他方部において完全に圧力嵌め及び型嵌めする態様で保持され得て、従って芯部の変形が生じない。それゆえ、喉頭部マスク頭部と声門上を通る管とを相互に一繋ぎで(一部品として)製造することが自明の要求であると思われる。しかしながら、このことは、対応する移動可能な芯部が声門上を通る管及び喉頭部マスク頭部の両方で必要とされるので、一見したところ過去において実行できていたとは見受けられず、これらの芯部は、成型用の型の反対側の型に型嵌め及び圧力嵌めする態様で固定されることができない。このようなプラスチック射出成型における一般的な圧力で、芯部は、それらの端部で平坦に(平坦を保って)圧縮されることは容易にはできない。もしプラスチックで満たされる成型用の型がそのようなデザインを有するなら、芯部は、一般的な圧力あるいは遅くとも射出成型の数千回の開閉動作の後に生じるような圧力では、もはや満足に閉じることはないであろうし、フィルムあるいは薄膜が、技術的な用語で知られているように、芯部の当接部位上に形成されるであろう。換言すれば、完成された喉頭部マスクは、呼吸用内腔と食道用内腔との両方が妨げられていない通路を有するということを決定するために、検査されなければならないであろう。しかしながら、このことは、追加的な工程や追加的な試験機器を必要とし、従ってコスト増を生じるであろう。それゆえ、本発明の目的は、前述の問題を避ける一方で、一部品としてプラスチック製の喉頭部マスクを製造することである。
【発明の開示】
【0004】
本目的は、導入部において規定されたタイプの喉頭部マスクであって、2つの内腔を繋ぐスロットが基端部から声門上を通る管の全長の少なくとも一部に亘って延びている状態で、声門上を通る管及び喉頭部マスクが射出成型によって一部品に製造される、ことを特徴とする喉頭部マスクによって達成される。
【0005】
前述のように、本発明によるこのスロットは、この目的のために必要とされる射出成型用の型がガイド内腔を形成する(各)芯部と隣接する(2つの)芯部のうちの1つとの間でウェブを有するときに限り、形成され得る。この場合において、これら2つの芯部は、基端部から末端の方に安定させるウェブによって相互接続されている。
【0006】
この取り組みのおかげで、芯部は、特にはガイド内腔を形成するために、更に安定させられる。このことは、当該芯部が反対の成型用の型上であるいは反対の芯部上で支えられない、いわゆる浮いた芯部であるので、特に重要である。この方法でのみ、末端で閉鎖されるガイド内腔が、形成され得る。
【0007】
WO 2010/060227に従う取り組みを除けば、過去に知られた喉頭部マスクは中央ガイド内腔を有していないので、他に知られている喉頭部マスクを含めて、このような取り組み(アプローチ)は、実施され得ない。例えば、声門上を通る管がそれに平行に延びる呼吸用内腔と食道用内腔だけからなるなら、これら2つの内腔の間にそれ以上の繋がりは必要でない、すなわち、特にスロットがこれら2つの内腔を繋ぐように存在している必要は無い。というのは、食道用内腔を通って外へ吸い出される素材は、呼吸用内腔に入ってはいけないからである。導入部で説明されたような、声門上を通る管を有する喉頭部マスクの場合においてだけ、本発明に従って問題は解決され得る。
【0008】
図面は、本質的には差異が喉頭部マスク頭部のデザインだけからなる様々な形態を示している。本発明による取り組みは、導入部において規定されたタイプの声門上を通る管を有する限り喉頭部マスクの様々なタイプに適している、ということが、ここで明確に指摘されるべきである。
【0009】
図面は、本発明の主題の好適な実施の形態を示し、これらの形態は、図面を参照しつつ、以下の記述に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、腹面側への視野によって、一部品の喉頭部マスクを示している。
【
図2】
図2は、
図1のD−D線に沿った中央鉛直断面を示している。
【
図3】
図3は、食道用内腔とガイド内腔との間の分割壁への視野によって、E−E線に沿った同様の断面を示している。
図1から
図3は、膨張式のカフを有する喉頭部マスクの図を示している。
【
図4】
図4は、水平断面での喉頭部マスクを示しており、これはカフがキャビティなしに製造される、すなわち、中実の(中の詰まった)素材で作られている。
【
図5】
図5は、背面側からの喉頭部マスクの視野によって、
図4に従うのと同様の喉頭部マスクを示している。
【
図6】
図6は、
図5におけるE−E線に沿った断面での喉頭部マスクを示しており、喉頭部マスク頭部が当該断面の表面から外方への視野で示される一方、声門上を通る管は、長手方向への直角な角度で切られている。
【
図7】
図7は、
図5におけるD−D線に沿った鉛直断面での喉頭部マスク頭部を示している。
【
図8】
図8乃至
図10は、
図4乃至
図7に従う喉頭部マスクの変形例を示しているが、喉頭部マスク頭部は、ここでは、中央側方方向に弾力があるようにデザインされている。
図8は、背面の視野でこの喉頭部マスクを示している。
【
図9】
図8乃至
図10は、
図4乃至
図7に従う喉頭部マスクの変形例を示しているが、喉頭部マスク頭部は、ここでは、中央側方方向に弾力があるようにデザインされている。
図9は、横方向の視野でマスクを示している。
【
図10】
図8乃至
図10は、
図4乃至
図7に従う喉頭部マスクの変形例を示しているが、喉頭部マスク頭部は、ここでは、中央側方方向に弾力があるようにデザインされている。
図10は、
図8におけるA−A線に沿った喉頭部マスク頭部の鉛直断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
位置を決定(規定)するために以下で用いられる用語は、患者についての喉頭部マスクの位置に関している。「末端の(末端に)」は、患者の体の中心から離れて位置されることを意味し、「基部に近い(基部の近く)」は、患者の体の中心に向けられることを意味している。「側方の(側方に)」は、ここでは体の中心から離れて面することを意味し、「中央の(中央に)」は、体の中心に向いていることを意味する。
【0012】
本特許出願では、「喉頭部マスク」という用語は、声門上を通る管と、前記のものに接続される喉頭部マスク頭部と、からなる全体(全体物)に適用されると理解される。その結果、喉頭部マスク、すなわちその全体(物)は、一部品としての声門上を通る管2と前記のものに接続される喉頭部マスク頭部3とからなる。
【0013】
声門上を通る管は、それゆえ、声門の上方にガイドされ得る管である。声門上を通る管2は、複数の内腔(ルーメン)を有する。本発明における実施の形態では、声門上を通る管2は、3つの内腔を有している。
図4への参照が、この関連でなされる。最大の直径を有する、つまり最大の内部クリアランスを有する内腔は、側方に位置された呼吸用内腔4である。それは、中央に延びるガイド内腔6に隣接して境界を規定している。側方の食道用内腔5は、従って、ガイド内腔6の他方の側方に順に延びている。声門上を通る管2の横断面は、当該断面が
図5のE−E線に沿って延びる
図6の断面図において理解され得る。この
図5は、当該喉頭部マスクの腹面側からの視野で喉頭部マスク1を示している。
図4は、声門上を通る管2の高さの中心に延びる水平断面を示している。この断面A−Aが、
図6に示されている。
【0014】
声門上を通る管2は、分離線なしに、喉頭部マスク頭部3に展開している(繋がっている)。声門上を通る管2が喉頭部マスク頭部3に発展する領域は、推移領域18として参照される。基部近くでガイド内腔6を密閉する基端壁17が、この推移領域18に存在している。この推移領域18において、食道用内腔5は、喉頭部マスク頭部3の領域で、食道用通路11に発展している。この食道用通路11は、
図7で最も明瞭に理解され得る呼吸用空間10の上方に延びている。
図7は、
図5における切断線D−Dの領域での喉頭部マスク頭部3を通る断面を示している。この図はまた、前述のように、呼吸用空間10の上方に延びる円筒状の穴として食道用通路11を示している。
図4はまた、食道用通路11が直線で完全に喉頭部マスク頭部3を貫通して延び、この食道用通路11が前述の推移領域18において食道用内腔5で終わることを、明確に示している。このことは、推移領域18において、方向転換の位置19をもたらす。この図はまた、食道用通路11の長さが声門上を通る管2の長さのおおよそ3分の1あるいはそれ以上に相当することを、明確に示している。
【0015】
推移領域18では、呼吸用内腔4が同様に、
図4及び
図7において理解され得るように、呼吸用空間10へと開口している。
図4乃至
図6による当該実施の形態は、カフ12がキャビティ(空間)のないカフ12’としてデザインされている、という取り組み(アプローチ)に関している。キャビティのないカフ12’は、やや強められた強度を与える。このことは、患者への喉頭部マスクの挿入を容易にする。このデザインの喉頭部マスクは、特に救急分野での使用に適する。
【0016】
図1乃至
図3は、膨張式のカフ12’での喉頭部マスクを例示する。ここで例示される取り組みは、特には今日の臨床分野で用いられ、一繋ぎで(一部品で)製造される。ここで再び、声門上を通る管が2と符号が付けられ、喉頭部マスク頭部が3と符号が付けられる一方、喉頭部マスクは全体で1と符号が付けられている。喉頭部マスク1は、射出成型から生じる状態で、ここでは示されている。カフ12は、それゆえ、開いているままであり、溶接や接着によって閉鎖されなければならない。カフ12は、呼吸用空間10を囲んでおり、内側向きの溶接縁14で終わっている、つまり、呼吸用空間10の中心の方を向いて終わっている。呼吸用空間10は、それ自体、周辺部にある粘着壁及び/または溶接壁13によって境界付けられている。前述の環状型の粘着縁及び/または溶接縁14は、完全取付状態での密閉(シール)を形成するように、粘着壁及び/または溶接壁13上に接着あるいは溶接される。本発明におけるスロット8は、
図4乃至
図7に係る実施形態(バージョン)おいてより、特に
図3において、より明確に理解され得る。このスロット8は、声門上を通る管2の末端部9から基部方向に喉頭部マスク頭部3の方へ延びている。このスロット8の長さは、声門上を通る管2の全長の少なくとも3分の1に達している。スロット8は、2つの分離壁20,21のうちの1つ、すなわち食道用内腔5からガイド内腔6を分離する分離壁20あるいは呼吸用内腔4からガイド内腔6を分離する分離壁21のいずれか一方、に配置され得る。
図1乃至
図3に係る実施形態でも
図4乃至
図7に係る実施形態でも、スロットは、分離壁20内を延びており、食道用内腔5からガイド内腔6を分離している。両方の実施形態(バージョン)において、食道用内腔の通路は、喉頭部マスクの基端部上にカフ12から上流側で開口しており、カフを越えて開口路22に延びている。2つの側方の内腔4または5の1つ及び中央のガイド内腔6を形成する芯部の間に射出成型の型において接続ウェブが存在している、という事実のために、スロット8は自然に形成される。このウェブのおかげで、最小の直径を有する2つの芯部は、互いに対して支えられ、それに応じて補強される。しかしながら、反対の芯部に支えられることができないので射出成型の中心の芯部が特に扱いにくいので、スロット8はまた、ガイド内腔6と呼吸用内腔4との間の分離壁21内にも延び得る。本発明による喉頭部マスクが製造される射出成型の型におけるの芯部は、それによって食道用通路11が形成されるという追加の芯部が衝突領域で型嵌めの態様で食道用内腔5を形成する芯部と噛み合う、というようにデザインされる。従って、1つの芯部は、もう一つの芯部に面するその端部上に穴を有し、当該もう一つの芯部は、型嵌めの態様でその中に嵌まるピンを有し、これらの2つの芯部は相互に補強効果で互いを固定する。
【0017】
同様に一繋ぎで製造される喉頭部マスクに関し、声門上を通る管2が前述の2つの実施形態でのそれらと正に同じくデザインされる、本発明の最後の形態において、異なるデザインのカフ12’’を有する喉頭部マスク頭部3が示されている。この取り組みは、前述のカフ12による取り組み及び/またはカフ12’による取り組みの利点を兼ね備える。これは、膨張式のカフではなく、その代わりに、基本的にキャビティがないにもかかわらず中央側方方向に弾性があるように成型されるカフである。ここで再び、同じ部品は、以前に説明された実施形態においてと同じ参照符号を付けられている。カフ12’’は、ここでは、側方の領域での周辺外形線にU字状の断面を有する弾性溝15を有する。この弾性溝は、外側の側方の壁領域が側方から中心へ弾性的であることを許容する。このことは、膨張させる必要なしで、喉頭部マスク頭部の幅についての調節を許容する。側方中央方向での当該調節の弾性力は、追加の設計手段で、調節され得る。この目的のために、弾性溝15の方向を横断するように延びる複数の薄い弾性壁23が、U字状の断面を有する弾性溝15内に成型されてもよい(
図8参照)。このような弾性壁23は、ここで図面に示されたように、弾性溝15の長手方向に直角に配置されてもよいし、あるいは、その長手方向に傾斜して延びていてもよい。同様に、このような弾性壁は、真っ直ぐな線で延びる必要はなく、曲線形状、円弧形状、あるいはS字形状を有していてもよい。これら全ての形態は、弾性力を調節する可能性をもたらす。
【0018】
様々な実施の形態は、喉頭部マスクの一部品としての(一繋ぎでの)生産の概念が喉頭部マスク頭部のデザインに関して多くの形態を許容することを、単に示すだけである。しかしながら、このような一繋ぎでの生産について知識基礎を許すことは、2つの側方の内腔の1つ、すなわち呼吸用内腔4または食道用内腔5と、中央のガイド内腔6と、の間の2つの分割壁の1つがスロット8によって他方に繋がれるという事実に基づく。
【符号の説明】
【0019】
1 喉頭部マスク
2 管
3 喉頭部マスク頭部
4 呼吸用内腔
5 食道用内腔
6 ガイド内腔
7 基端部
8 溝
9 末端部
10 呼吸用空間
11 食道用通路
12 カフ
12’ カフ
12’’ カフ
13 溶接壁
14 溶接縁
15 弾性溝
16 側方方向壁
17 基端壁
18 推移領域
19 方向転換の位置