(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性材料の所望の流れが前記細長い出口を通過するように、前記熱可塑性材料を前記複数の流路を通して選択的に分配することをさらに含む請求項1に記載の方法。
前記熱可塑性材料の温度、流量、圧力、材料特性およびこれらの組み合わせの内の1種を操作することにより、前記多層フィルムの外形を選択的に調節することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降の説明は、本主題の技術を実施する代表的装置、方法、技術、および/または命令シーケンスを含む。しかし、記載実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることは理解されよう。
【0019】
本開示は、複数層の熱可塑性材料、細長い外形、およびマイクロキャピラリーを含むフィルムを製造するための金型装置および押出成形機に関する。金型装置は、以降でさらに十分に本明細書で記載されるように、複数層の熱可塑性材料を押出成形するための型の間に配置されたマニホールド、および、層が押出成形される際に前記層の間にチャネル流体を供給するためのノズルを含む。
【0020】
図1は、マイクロキャピラリー(103)を備えた多層ポリマーフィルム(110)の成形に使われる押出成形機例(100)を示す。押出成形機(100)は、材料ハウジング(105)、材料ホッパー(107)、スクリュー(109)、金型装置(111)および電子機器(115)を含む。押出成形機(100)は、部分的に断面で示され、材料ハウジング(105)内のスクリュー(109)が見える。スクリュータイプ押出成形機が示されているが、種々の押出成形機(例えば、1軸、2軸、など)を使って、押出成形機(100)および金型装置(111)を通して材料の押出成形を行うことができる。1台または複数台の押出成形機を1台または複数台の金型装置と共に使用できる。電子機器(115)には、例えば、コントローラ、プロセッサ、モーターおよび押出成形機の操作に使われる他の設備を含めてもよい。
【0021】
原材料、例えば、熱可塑性材料(117)は、材料ホッパー(107)に投入され、ブレンドのためにハウジング(105)に送られる。原材料(117)は、押出成形機(100)のハウジング(105)中に回転可能なように配置されたスクリュー(109)の回転により加熱され、ブレンドされる。モーター(121)を備えて、スクリュー(109)または他の駆動装置を駆動して材料を送り出すことができる。模式的に示したように熱供給源Tおよび圧力供給源P(例えば、スクリュー(109))から、それぞれ熱および圧力をブレンドした材料に加えて、矢印で示すように材料に金型装置(111)を通過させる。原材料は溶融され、押出成形機(100)および金型装置(111)を通って送り出される。溶融熱可塑性材料(117)は、金型装置(111)を通過して、所望形状および断面(本明細書では「外形」と呼ぶ)に成形される。以降で本明細書でさらに記載のように、金型装置(111)は、溶融熱可塑性材料(117)を多層ポリマーフィルム(110)の薄いシートに押出成形するように構成できる。チャネル流体供給源(119)は、金型装置(111)を介して、押出時に多層ポリマーフィルム(110)の層間にチャネル流体を放出するために設けられる。
【0022】
多層マイクロキャピラリーフィルム
図2A〜2Fは、例えば、
図1の押出成形機(100)および金型装置(111)により製造できる多層フィルム(210)の種々の図を示す。これらの図から分かるように、多層フィルム(210)は、マイクロキャピラリーフィルムである。多層フィルム(210)は、熱可塑性材料の複数層(250a、b)から構成されているとして示されている。また、フィルム(210)は、層(250a、b)間に配置されたチャネル(220)を有する。
【0023】
また、多層フィルム(210)は、
図2Cに示すように細長い外形を持つことができる。この外形は、その厚さTに対して広い幅Wを持つとして示される。幅Wは、少なくとも約3インチ(7.62cm)〜約60インチ(152.40cm)の範囲であってよく、および、例えば、約24インチ(60.96cm)の幅、または約20〜約40インチ(50.80〜101.60cm)の範囲、または約20〜約50インチ(50.80〜127cm)の範囲、などであってよい。厚さTは、約10〜約2000μm(例えば、約250〜約2000μm)の範囲であってよい。チャネル(220)は、約50〜約500μm(例えば、約100〜約500μm)の範囲の寸法φ(例えば、幅または直径)であってよく、および、約50〜約500μm(例えば、約100〜約500μm)の範囲のチャネル(220)間の間隔Sを有してもよい。さらに以降記載されるように、選択寸法は、比例的に決定してもよい。例えば、孔寸法φは、選択厚さTの約30%の直径であってもよい。
【0024】
図から分かるように、層(250a、b)はマトリックス熱可塑性材料から構成され、およびチャネル(220)は中にチャネル流体を含む。以降で、本明細書でさらに記載されるように、チャネル流体は、例えば、空気、ガス、ポリマー、などの種々の材料を含んでもよい。多層フィルム(210)のそれぞれの層(250a、b)は、本明細書でさらに記載されるような種々のポリマーで構成できる。それぞれの層は、同じ材料または異なる材料から構成されてもよい。2層(250a、b)のみが示されているが、多層フィルム(210)の材料層の数はいくつであってもよい。
【0025】
チャネル(220)は、1セットまたは複数セットの層の間に配置できる。チャネル流体(212)は、チャネル(220)中に供給できる。必要に応じ、種々の数のチャネル(220)を備えることができる。また、複数層は、同じ、または異なる外形(または断面)であってよい。本明細書でさらに詳細に記載されるように、多層フィルム(210)の層(250a、b)および/またはチャネル(220)の形などの特性は、熱可塑性材料を押出成形するのに使用される金型装置の構成により決まる。
【0026】
特定の例では、フィルム(210)は、(a)マトリックス熱可塑性材料を含むマトリックス(218)、(b)マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)に沿ってマトリックス(218)中に平行に配置された少なくとも1つまたは複数のチャネル(220)であって、相互に少なくとも約250〜約500μm離れ、それぞれが少なくとも約100〜約500μmの範囲の直径(または幅)を有する1つまたは複数のチャネル(220)、および、(c)1つまたは複数のチャネル(220)中に配置されたチャネル流体(212)であって、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)とは異なるチャネル流体(212)を含むことができ、また、前記マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、約10μm〜約2000μmの範囲の厚さを有する。
【0027】
マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、10μm〜2000μmの範囲の厚さでもよく、例えば、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、10〜2000μm、または別の実施形態では、100〜1000μm、または別の実施形態では、200〜800μm、または別の実施形態では、200〜600μm、または別の実施形態では、300〜1000μm、または別の実施形態では、300〜900μm、または別の実施形態では、300〜700μmの範囲の厚さでもよい。マイクロキャピラリー直径に対するフィルム厚さの比率は、2:1〜400:1の範囲である。
【0028】
マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、少なくとも10容量パーセントのマトリックス(218)を含んでもよく、例えば、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、10〜80容量パーセントのマトリックス(218)、または別の実施形態では、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、20〜80容量パーセントのマトリックス(218)、または別の実施形態では、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、30〜80容量パーセントのマトリックス(218)を含んでもよい。
【0029】
マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、20〜90容量パーセントの空隙率であってもよく、例えば、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、20〜80容量パーセントの空隙率、または別の実施形態では、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、20〜70容量パーセントの空隙率、または別の実施形態では、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)の全容積をベースにして、30〜60容量パーセントの空隙率であってもよい。
【0030】
マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、上述の合計空隙容量をベースにして、50〜100容量パーセントのチャネル流体(212)を含んでもよく、例えば、マイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、上述の合計空隙容量をベースにして、60〜100容量パーセントのチャネル流体(212)、または別の実施形態では、上述の合計空隙容量をベースにして、70〜100容量パーセントのチャネル流体(212)、または別の実施形態では、上述の合計空隙容量をベースにして、80〜100容量パーセントのチャネル流体(212)を含んでもよい。
【0031】
本発明のマイクロキャピラリーフィルムまたは発泡体(210)は、第1端(214)および第2端(216)を有する。少なくとも1つまたは複数のチャネル(220)は、第1端(214)から第2端(216)に向けマトリックス(218)に平行に配置される。1つまたは複数のチャネル(220)は、例えば、相互に少なくとも約250μm離れていてもよい。1つまたは複数のチャネル(220)は、少なくとも約250μm、例えば、250μm〜1990μm、または別の実施形態では、250〜990μm、または別の実施形態では、250〜890μm、または別の実施形態では、250〜790μm、または別の実施形態では、250〜690μm、または別の実施形態では、250〜590μmの範囲の直径を有する。1つまたは複数のチャネル(220)は、円、矩形、楕円、星形、ダイヤモンド、三角形、正方形、など、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される断面形状を有してもよい。1つまたは複数のチャネル(220)は、第1端(214)、第2端(216)、第1端(214)と第2端(216)との間、および/またはこれらの組み合わせの位置に1種または複数種のシールをさらに含んでもよい。
【0032】
マトリックス(218)は、1種または複数種のマトリックス熱可塑性材料(250a、b)を含む。このようなマトリックス熱可塑性材料(250a、b)には、限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン;ポリアミド、例えば、ナイロン6;ポリビニリデンクロリド;ポリフッ化ビニリデン;ポリカルボナート;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタラート;ポリウレタンおよびポリエステル、が含まれる。マトリックス(218)は、例えば、ガラスまたは炭素繊維および/または、滑石またはカルシウムカルボナートなどのいずれか他の無機質充填剤を使って強化してもよい。代表的充填剤には、限定されないが、白亜、方解石および大理石などの天然カルシウムカルボナート、合成カルボナート、マグネシウムおよびカルシウムの塩、ドロマイト、マグネシウムカルボナート、亜鉛カルボナート、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、カルシウムスルファート、シリカ、マグネシウムシリカート、滑石、珪灰石、粘土およびアルミニウムシリカート、カオリン、雲母、金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物、マグネシウム水酸化物、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木繊維もしくは粉末またはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0033】
マトリックス熱可塑性材料(250a、b)の例には、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、およびプロピレン−1−ブテン共重合体により代表的に表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなどの1種または複数種のアルファオレフィンのホモポリマーおよび共重合体(エラストマーを含む);エチレン−ブタジエン共重合体およびエチレン−エチリデンノルボルネン共重合体により代表的に表される共役または非共役ジエンとアルファオレフィンの共重合体(エラストマーを含む);ならびに、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエン共重合体、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体により代表的に表される共役または非共役ジエンと2種以上のアルファオレフィンの共重合体などのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリラート共重合体などのエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレン共重合体、a−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリラート(スチレンメチルアクリラート、スチレンブチルアクリラートなど)、スチレンブチルメタクリラート、およびスチレン−ブタジエンならびに架橋スチレンポリマーなどのスチレン系共重合体(エラストマーを含む);ならびに、スチレン−ブタジエン共重合体とその水和物、およびスチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体などのスチレンブロック共重合体(エラストマーを含む);ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンクロリド、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリラート、およびポリメチルメタクリラートなどのポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン6,6、およびナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラートなどの熱可塑性ポリエステル;ポリウレタン、ポリカルボナート、ポリフェニレンオキシド、など;ならびに、ポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(共重合体、ターポリマー)を含むガラス質炭化水素ベース樹脂;ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルベルサタート、およびビニルブチラートなどの飽和モノオレフィン;メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ドデシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、フェニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、およびブチルメタクリラートなどを含むモノカルボン酸エステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、これらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合などにより製造された樹脂、が含まれる。これらの樹脂は、単独で使っても、または2種以上を組み合わせて使ってもよい。
【0034】
特定の実施形態では、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)は、例えば、エチレン−アルファオレフィン共重合体、プロピレン−アルファオレフィン共重合体、およびオレフィンブロック共重合体、からなる群より選択される1種または複数種のポリオレフィンを含んでもよい。特に、特定の実施形態では、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)は、1種または複数種の非極性ポリオレフィンを含んでもよい。
【0035】
具体的な実施形態では、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらの共重合体、およびこれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンを使ってもよい。一部の実施形態では、代表的オレフィン系ポリマーには、均一重合体;高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分岐低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE);不均一分岐直鎖超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一分岐、直鎖エチレン/アルファオレフィン共重合体;実質的に直鎖の均一分岐エチレン/アルファオレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)などの高圧フリーラジカル重合エチレンポリマーおよび共重合体が含まれる。
【0036】
一実施形態では、エチレン−アルファオレフィン共重合体は、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、もしくはエチレン−オクテン共重合体またはインターポリマーであってもよい。他の特定の実施形態では、プロピレン−アルファオレフィン共重合体は、例えば、プロピレン−エチレンもしくはプロピレン−エチレン−ブテン共重合体またはインターポリマーであってもよい。
【0037】
特定の他の実施形態では、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)は、例えば、半結晶性ポリマーであってもよく、110℃未満の融点を有してもよい。別の実施形態では、融点は、25〜100℃であってもよい。別の実施形態では、融点は、40〜85℃であってもよい。
【0038】
一特定の実施形態では、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)は、プロピレン/アルファオレフィン共重合体を含むプロピレン/α−オレフィンインターポリマー組成物を含み、および任意選択で、1種または複数種のポリマー、例えば、ランダム共重合ポリプロピレン(RCP)を含む。一特定の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有するとして特徴付けられる。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」は、約0.85より大きい、別の実施形態では約0.90より大きい、もう一つの別の実施形態では約0.92より大きい、および、もう一つの別の実施形態では約0.93より大きい13C NMRでの測定によるアイソタクチックトリアド(mm)を配列が持つことを意味する。アイソタクチックトリアドは、当技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第5,504,172号、および国際公開第WO00/01745号に記載されており、これらは13C NMRスペクトルにより測定されたトリアド単位に換算した共重合体分子鎖中のアイソタクチック配列について言及している。
【0039】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、ASTM D−1238(230℃/2.16Kg)に準拠して測定して、0.1〜500g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよい。0.1〜500g/10分の範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、または0.5g/10分の下限値から、500g/10分、200g/10分、100g/10分、または25g/10分の上限値までに入る値であってもよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.1〜200g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.2〜100g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.2〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.5〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜40g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜30g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよい。
【0040】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限値から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限値までの値であってよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよい。結晶化度は、DSC法により測定される。プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、プロピレン由来のユニットおよび1種または複数種のアルファオレフィンコモノマー由来のポリマーユニットを含む。プロピレン/アルファオレフィン共重合体の製造に利用される代表的コモノマーは、C2、およびC4〜C10アルファオレフィン、例えば、C2、C4、C6およびC8アルファオレフィンである。
【0041】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜40重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含む。1〜40重量パーセントの範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、コモノマー含量は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、または9重量パーセントの下限値から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、または9重量パーセントの上限値までの値であってよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜35重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜30重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜27重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜20重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜15重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含む。
【0042】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、重量平均分子量の数平均分子量による除算(Mw/Mn)として定義される分子量分布(MWD)で表して、3.5以下、別の実施形態では、3.0以下、またはもう一つの別の実施形態では、1.8〜3.0の値を有する。
【0043】
このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、米国特許第6,960,635号および同6,525,157号にさらに詳細に記載されている。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商標で、または、ExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商標で市販されている。
【0044】
一実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、(A)60〜100未満、好ましくは、80〜99および、より好ましくは、85〜99、重量パーセントのプロピレン由来のユニット、ならびに(B)ゼロ超〜40、好ましくは、1〜20、より好ましくは、4〜16および、さらにより好ましくは、4〜15、重量パーセントのエチレンおよび/またはC4〜10aオレフィンの内の少なくとも1種由来のユニットを含み、さらに、少なくとも平均0.001、好ましくは、少なくとも平均0.005、およびより好ましくは、少なくとも平均0.01の長鎖分岐/1000合計炭素を含むものとしてさらに特徴付けられる。プロピレン/アルファオレフィン共重合体中の長鎖分岐の最大数は、重大な意味を持つものではないが、しかし、通常、3長鎖分岐/1000合計炭素を超えることはない。プロピレン/アルファオレフィン共重合体に関連して本明細書で使われる用語の長鎖分岐は、短鎖分岐より少なくとも1個の炭素多い鎖長を意味し、および、プロピレン/アルファオレフィン共重合体に関連して本明細書で使われる短鎖分岐は、コモノマー中の炭素の数より2個の炭素少ない鎖長を意味する。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも7個の炭素の長さの長鎖分岐の主鎖を有するが、これらの主鎖は、また、6個のみの炭素の長さの短鎖分岐を有する。このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、米国特許仮出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号にさらに詳細に記載されている。これら特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
特定の他の実施形態では、マトリックス熱可塑性材料、例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、例えば、半結晶性ポリマーであってもよく、110℃未満の融点であってもよい。好ましい実施形態では、融点は、25〜100℃であってよい。より好ましい実施形態では、融点は、40〜85℃であってよい。
【0046】
他の特定の実施形態では、オレフィンブロック共重合体、例えば、国際公開第WO2005/090427号および米国特許出願公開第2006/0199930号(このようなオレフィンブロック共重合体およびこのようなポリマーに関し下記に挙げられた性質の測定用試験方法の記載範囲に関し、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどのエチレン多元ブロック共重合体は、マトリックス熱可塑性材料(250a、b)として使用可能である。
【0047】
このようなオレフィンブロック共重合体は、下記の特性のエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってもよい。
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1種の融点、Tm、(℃)、および密度、d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tmとdの数値は、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2
の関係式に対応する。または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、融解熱、ΔH(J/g)、および最も高いDSCピークと最も高いCRYSTAFピークの温度差として定義され入れるデルタ量、ΔT(℃)を特徴とし、ΔTおよびΔHの数値は、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(0<ΔH≦130J/g)
ΔT≧48℃(130J/g<ΔH)
の関係式に従う。ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを使って測定され、特定可能なCRYSTAFピークを持つポリマーが5パーセントに満たない場合は、CRYSTAF温度は30℃とする。または
(c)弾性回復、Re(エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで1サイクル測定して、300パーセント歪み時のパーセント)を特徴とし、および密度、d(グラム/立方センチメートル)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に不含である場合、Reおよびdの数値は、
Re>1481−1629(d)
の関係式を満たす。または
(d)TREFを使って分留した場合、40℃〜130℃で溶出する分子留分を含み、同じ温度範囲で溶出する同等のランダムエチレンインターポリマー留分のコモノマーモル含量より少なくとも5パーセント多い留分であることを特徴とし、前記同等のランダムエチレンインターポリマーが同じコモノマーを有し、また、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量を有する(全ポリマーをベースにして)。または
(e)25℃の貯蔵弾性率、G´(25℃)、および100℃の貯蔵弾性率、G´(100℃)を有し、G´(100℃)に対するG´(25℃)の比率が約1:1〜約9:1の範囲である。
【0048】
また、このようなオレフィンブロック共重合体、例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、
(a)TREFを使って分留した場合、40℃〜130℃で溶出する分子留分を有し、留分が少なくとも0.5〜約1の範囲のブロックインデックスおよび約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有することを特徴とするか、または
(b)ゼロより大きく、約1.0以下の平均ブロックインデックスおよび約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有する、
ものであってもよい。
【0049】
一実施形態では、マトリックス(218)は、発泡剤をさらに含み、それにより、発泡材料の形成を促進してもよい。一実施形態では、マトリックスは、発泡体、例えば、独立気泡発泡体であってもよい。別の実施形態では、マトリックス(218)は、1種または複数種の充填剤をさらに含み、それにより、例えば、配向、例えば、2軸配向により、または例えば、単軸もしくは2軸配向キャビテーション、または浸出、すなわち、充填剤の溶解により、微孔性マトリックスの形成を促進してもよい。このような充填剤には、限定されないが、白亜、方解石および大理石などの天然カルシウムカルボナート、合成カルボナート、マグネシウムおよびカルシウムの塩、ドロマイト、マグネシウムカルボナート、亜鉛カルボナート、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、カルシウムスルファート、シリカ、マグネシウムシリカート、滑石、珪灰石、粘土およびアルミニウムシリカート、カオリン、雲母、金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物、マグネシウム水酸化物、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木繊維もしくは粉末またはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0050】
1種または複数種のチャネル流体(212)には、空気または他のガスおよびチャネル熱可塑性材料などの種々の流体を含めてもよい。チャネル熱可塑性材料は、限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン;ポリアミド、例えば、ナイロン6;ポリビニリデンクロリド;ポリフッ化ビニリデン;ポリカルボナート;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタラート;ポリウレタンおよびポリエステルであってもよい。マトリックス(218)は、例えば、ガラスまたは炭素繊維および/または滑石またはカルシウムカルボナートなどの他のいずれかの無機質充填剤を使って強化されてもよい。代表的充填剤には、限定されないが、白亜、方解石および大理石などの天然カルシウムカルボナート、合成カルボナート、マグネシウムおよびカルシウムの塩、ドロマイト、マグネシウムカルボナート、亜鉛カルボナート、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、カルシウムスルファート、シリカ、マグネシウムシリカート、滑石、珪灰石、粘土およびアルミニウムシリカート、カオリン、雲母、金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物、マグネシウム水酸化物、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維または粉末、木繊維もしくは粉末またはこれらの化合物の混合物を含んでもよい。
【0051】
チャネル流体(212)の例には、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、およびプロピレン−1−ブテン共重合体により代表的に表されるエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなどの1種または複数種のアルファオレフィンのホモポリマーおよび共重合体(エラストマーを含む);エチレン−ブタジエン共重合体およびエチレン−エチリデンノルボルネン共重合体により代表的に表される共役または非共役ジエンとアルファオレフィンとの共重合体(エラストマーを含む);ならびに、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエン共重合体、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体により代表的に表される共役または非共役ジエンと2種以上のアルファオレフィンの共重合体などのポリオレフィン(エラストマーを含む);エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリラート共重合体などのエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレン共重合体、a−メチルスチレン−スチレン共重合体、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリラート(スチレンメチルアクリラート、スチレンブチルアクリラートなど)、スチレンブチルメタクリラート、およびスチレン−ブタジエンならびに架橋スチレンポリマーなどのスチレン系共重合体(エラストマーを含む);ならびに、スチレン−ブタジエン共重合体とその水和物、およびスチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体などのスチレンブロック共重合体(エラストマーを含む);ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンクロリド、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリラート、およびポリメチルメタクリラートなどのポリビニル化合物;ナイロン6、ナイロン6,6、およびナイロン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタラートおよびポリブチレンテレフタラートなどの熱可塑性ポリエステル;ポリウレタン、ポリカルボナート、ポリフェニレンオキシド、など;ならびに、ポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連ポリマー(共重合体、ターポリマー)を含むガラス質炭化水素ベース樹脂;ビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルベルサタート、およびビニルブチラートなどの飽和モノオレフィン;メチルアクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルアクリラート、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ドデシルアクリラート、n−オクチルアクリラート、フェニルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、およびブチルメタクリラートなどを含むモノカルボン酸エステルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、これらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合などにより製造された樹脂、が含まれる。これらの樹脂は、単独で使っても、または2種以上を組み合わせて使ってもよい。
【0052】
特定の実施形態では、チャネル流体(212)は、例えば、エチレン−アルファオレフィン共重合体、プロピレン−アルファオレフィン共重合体、およびオレフィンブロック共重合体、からなる群より選択される1種または複数種のポリオレフィンを含んでもよい。特に、特定の実施形態では、チャネル流体(212)は、1種または複数種の非極性ポリオレフィンを含むことができる。
【0053】
具体的な実施形態では、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらの共重合体、およびこれらのブレンド、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンを使ってもよい。一部の実施形態では、代表的オレフィン系ポリマーには、均一重合体;高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分岐低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE);不均一分岐直鎖超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一分岐、直鎖エチレン/アルファオレフィン共重合体;実質的に直鎖の均一分岐エチレン/アルファオレフィンポリマー;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)などの高圧フリーラジカル重合エチレンポリマーおよび共重合体が含まれる。
【0054】
一実施形態では、エチレン−アルファオレフィン共重合体は、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、もしくはエチレン−オクテン共重合体またはインターポリマーであってもよい。他の特定の実施形態では、プロピレン−アルファオレフィン共重合体は、例えば、プロピレン−エチレンもしくはプロピレン−エチレン−ブテン共重合体またはインターポリマーであってもよい。
【0055】
特定の他の実施形態では、チャネル流体(212)は、例えば、半結晶性ポリマーであってもよく、110℃未満の融点を有してもよい。別の実施形態では、融点は、25〜100℃であってもよい。別の実施形態では、融点は、40〜85℃であってもよい。
【0056】
一特定の実施形態では、チャネル流体(212)は、プロピレン/アルファオレフィン共重合体を含むプロピレン/α−オレフィンインターポリマー組成物であり、および任意選択で、1種または複数種のポリマー、例えば、ランダム共重合ポリプロピレン(RCP)を含む。一特定の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、実質的にアイソタクチックプロピレン配列を有するとして特徴付けられる。「実質的にアイソタクチックプロピレン配列」は、約0.85より大きい、別の実施形態では約0.90より大きい、もう一つの別の実施形態では約0.92より大きい、および、もう一つの別の実施形態では約0.93より大きい13C NMRでの測定によるアイソタクチックトリアド(mm)を配列が持つことを意味する。アイソタクチックトリアドは、当技術分野でよく知られており、例えば、米国特許第5,504,172号、および国際公開第WO00/01745号に記載されており、これらは13C NMRスペクトルにより測定されたトリアド単位に換算した共重合体分子鎖中のアイソタクチック配列について言及している。
【0057】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、ASTM D−1238(230℃/2.16Kg)に準拠して測定して、0.1〜500g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよい。0.1〜500g/10分の範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、または0.5g/10分の下限値から、500g/10分、200g/10分、100g/10分、または25g/10分の上限値までに入る値であってもよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.1〜200g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.2〜100g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.2〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、0.5〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜50g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜40g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜30g/10分の範囲のメルトフローレートを有してもよい。
【0058】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限値から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限値までの値であってよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよく、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲の結晶化度を有してもよい。結晶化度は、DSC法により測定される。プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、プロピレン由来のユニットおよび1種または複数種のアルファオレフィンコモノマー由来のポリマーユニットを含む。プロピレン/アルファオレフィン共重合体の製造に利用される代表的コモノマーは、C2、およびC4〜C10アルファオレフィン、例えば、C2、C4、C6およびC8アルファオレフィンである。
【0059】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜40重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含む。1〜40重量パーセントの範囲の全ての個別値およびサブレンジが本明細書に含まれ、本明細書で開示される。例えば、コモノマー含量は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、または9重量パーセントの下限値から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、または9重量パーセントの上限値までの値であってよい。例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜35重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、1〜30重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜27重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜20重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含み、または別の実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、3〜15重量パーセントの1種または複数種のアルファオレフィンコモノマーを含む。
【0060】
プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、重量平均分子量の数平均分子量による除算(Mw/Mn)として定義される分子量分布(MWD)で表して、3.5以下、別の実施形態では、3.0以下、またはもう一つの別の実施形態では、1.8〜3.0の値を有する。
【0061】
このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、米国特許第6,960,635号および同6,525,157号にさらに詳細に記載されている。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商標で、または、ExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商標で市販されている。
【0062】
一実施形態では、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、(A)60〜100未満、好ましくは、80〜99および、より好ましくは、85〜99、重量パーセントのプロピレン由来のユニット、ならびに(B)ゼロ超〜40、好ましくは、1〜20、より好ましくは、4〜16および、さらにより好ましくは、4〜15、重量パーセントのエチレンおよび/またはC4〜10aオレフィンの内の少なくとも1種由来のユニットを含み、さらに、少なくとも平均0.001、好ましくは、少なくとも平均0.005、およびより好ましくは、少なくとも平均0.01の長鎖分岐/1000合計炭素を含むものとしてさらに特徴付けられる。プロピレン/アルファオレフィン共重合体中の長鎖分岐の最大数は、重大な意味を持つものではないが、しかし、通常、3長鎖分岐/1000合計炭素を超えることはない。プロピレン/アルファオレフィン共重合体に関連して本明細書で使われる用語の長鎖分岐は、短鎖分岐より少なくとも1個の炭素多い鎖長を意味し、および、プロピレン/アルファオレフィン共重合体に関連して本明細書で使われる短鎖分岐は、コモノマー中の炭素の数より2個の炭素少ない鎖長を意味する。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも7個の炭素の長さの長鎖分岐の主鎖を有するが、これらの主鎖は、また、6個のみの炭素の長さの短鎖分岐を有する。このようなプロピレン/アルファオレフィン共重合体は、米国特許仮出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号にさらに詳細に記載されている。これら特許のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
特定の他の実施形態では、チャネル流体212、例えば、プロピレン/アルファオレフィン共重合体は、例えば、半結晶性ポリマーであってもよく、110℃未満の融点であってもよい。好ましい実施形態では、融点は、25〜100℃であってよい。より好ましい実施形態では、融点は、40〜85℃であってよい。
【0064】
他の特定の実施形態では、オレフィンブロック共重合体、例えば、国際公開第WO2005/090427号および米国特許出願公開第2006/0199930号(このようなオレフィンブロック共重合体およびこのようなポリマーに関し下記に挙げられた性質の測定用試験方法の記載範囲に関し、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどのエチレン多元ブロック共重合体は、チャネル流体(212)として使用可能である。
【0065】
このようなオレフィンブロック共重合体は、下記の特性のエチレン/α−オレフィンインターポリマーであってもよい。
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1種の融点、Tm、(℃)、および密度、d(グラム/立方センチメートル)を有し、Tmとdの数値は、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2
の関係式に対応する。または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、融解熱、ΔH(J/g)、および最も高いDSCピークと最も高いCRYSTAFピークの温度差として定義され入れるデルタ量、ΔT(℃)を特徴とし、ΔTおよびΔHの数値は、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(0<ΔH≦130J/g)
ΔT≧48℃(130J/g<ΔH)
の関係式に従う。ここで、CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積ポリマーを使って測定され、特定可能なCRYSTAFピークを持つポリマーが5パーセントに満たない場合は、CRYSTAF温度は30℃とする。または
(c)弾性回復、Re(エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで1サイクル測定して、300パーセント歪み時のパーセント)を特徴とし、および密度、d(グラム/立方センチメートル)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に不含である場合、Reおよびdの数値は、
Re>1481−1629(d)
の関係式を満たす。または
(d)TREFを使って分留した場合、40℃〜130℃で溶出する分子留分を含み、同じ温度範囲で溶出する同等のランダムエチレンインターポリマー留分のコモノマーモル含量より少なくとも5パーセント多い留分であることを特徴とし、前記同等のランダムエチレンインターポリマーが同じコモノマーを有し、また、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量を有する(全ポリマーをベースにして)。または
(e)25℃の貯蔵弾性率、G´(25℃)、および100℃の貯蔵弾性率、G´(100℃)を有し、G´(100℃)に対するG´(25℃)の比率が約1:1〜約9:1の範囲である。
【0066】
また、このようなオレフィンブロック共重合体、例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、
(a)TREFを使って分留した場合、40℃〜130℃で溶出する分子留分を有し、留分が少なくとも0.5〜約1の範囲のブロックインデックスおよび約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有することを特徴とするか、または
(b)ゼロより大きく、約1.0以下の平均ブロックインデックスおよび約1.3より大きい分子量分布、Mw/Mnを有する、
ものであってもよい。
【0067】
一実施形態では、チャネル流体(212)は、発泡剤をさらに含み、それにより、発泡材料の形成を促進してもよい。一実施形態では、チャネル流体(212)は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体に成形できる。別の実施形態では、チャネル流体(212)は、1種または複数種の充填剤をさらに含んでもよい。このような充填剤には、限定されないが、白亜、方解石および大理石などの天然カルシウムカルボナート、合成カルボナート、マグネシウムおよびカルシウムの塩、ドロマイト、マグネシウムカルボナート、亜鉛カルボナート、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、カルシウムスルファート、シリカ、マグネシウムシリカート、滑石、珪灰石、粘土およびアルミニウムシリカート、カオリン、雲母、金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物、マグネシウム水酸化物、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木繊維もしくは粉末またはこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0068】
本開示によるフィルムまたは発泡体は、梱包材料(例えば、トレイ、テープラップ、バケツ、ビーカー、ボックス用強化熱成形部分);熱成形艇殻、建築用パネル、シーティング装置、自動車車体部品、航空機胴体部品、自動車内装品、などに使用できる。
【0069】
1つまたは複数の本発明のフィルムまたは発泡体は、1層または複数層を成形し、多層構造、例えば、積層多層構造または共押出多層構造を形成できる。フィルムまたは発泡体は、1つまたは複数の平行列のマイクロキャピラリー(
図2Bに示すようなチャネル)を含むことができる。チャネル220(マイクロキャピラリー)は、
図2A〜Fに示すように、マトリックス(218)のどこにでも配置できる。
【0070】
実施例
次のプロセスに従って本発明のフィルム1を調製した。
DOWLEX(商標)2344の商標でThe Dow Chemical Companyから入手可能な、約0.933g/cm3の密度(ASTM−D792)、および約0.7g/10分のメルトインデックス(I2)(ISO1133;190℃、2.16kg)の低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)から構成されるマトリックス材料を、24インチ(60.96cm)の幅と530本のノズルを備えた本発明の型を使ってマイクロキャピラリーフィルムに成形し、それを使って、約1mmの目標直径のマイクロキャピラリーを有する約2mmの目標厚さのマイクロキャピラリーフィルムを形成した。フィルムは、約20インチの範囲の幅(50.80cm)および内部に530本の平行なキャピラリーを備える。マイクロキャピラリー中に配置されたチャネル流体は、約25℃の周囲空気であった。
【0071】
次のプロセスに従って本発明のフィルム2を調製した。
Braskem PP H110−02N(商標)の商標でBraskem America Inc.から入手可能な、約2.0g/10分(230 C/2.16Kg)のメルトフローレート(ASTM D1238)のポリプロピレンホモポリマーで構成されるマトリックス材料を、24インチ(60.96cm)の幅、および530本のノズルを備えた本発明の型を使ってマイクロキャピラリーフィルムに成形し、それを使って、約1mmの目標直径のマイクロキャピラリーを含む約2mmの目標厚さのマイクロキャピラリーフィルムを形成した。フィルムは、約20インチ(50.80cm)の範囲の幅および内部に530本の平行なキャピラリーを備える。マイクロキャピラリー中に配置されたチャネル流体は、約25℃の周囲空気であった。
【0072】
本開示は、その趣旨および本質的な特性を逸脱することなく他の形態で実施可能である。従って、参照は、前出の明細書ではなく、本開示の範囲を示す添付の請求項に対してなされるべきである。
【0073】
金型装置
図3は、
図1の金型装置(111)として使用可能な金型装置(311)の組立図を示す。この図に示すように、金型装置(311)は、一対の型(356a、b)の間に受け入れ可能なように配置できるマニホールド(354)を含む。マニホールド(354)は、マニホールド取入口(353)およびマニホールド排出口(355)を含む。
【0074】
材料は、入口(364)を経由し、トッププレート(358)を通りマニホールド(354)の周囲を回って、型(356a、b)を経て矢印で示されるように金型装置(311)を通り抜ける。金型装置(311)は、通過する材料の流れを容易にし、材料が金型装置(311)を出る際に材料の外形を定めるように構成できる。
【0075】
金型装置(311)は、トッププレート(358)、ヒータープレート(360a、b)、絶縁プレート(362a、b)、入口(364)および支持プレート(366a、b)などの他の種々の型部品を備えてもよい。また、金型装置(311)を所定位置に固定するためのボルト(368)、金型装置(311)を持ち上げるためにアイボルト(369)などの締結具を備えてもよい。種々の他の部品を備えて、組立体を所定の場所に固定し、材料の流れと外形の形成を確実にしてもよい。
【0076】
図4A〜4Bは、
図3の金型装置(311)の動作を示す。金型装置(311)は、型(356a、b)およびマニホールド(354)を示す金型装置(311)の部分断面図である。
図4Aに示すように、流路(470a)は、型(356a)とマニホールド(354)の取入口部分(353)および出口部分(355)との間で画定され、ならびに、流路(470b)は、型(356b)とマニホールド(354)との間で画定される。
図4Aの金型装置(311)のタイプでは、型(356a、b)および流路(470a、b)は、同じ形で、マニホールド(354)は対称である。
【0077】
トッププレート358は、材料Mの金型装置(311)中への通過のための通路(471)を備える。矢印で示されるように、材料Mは、金型装置(311)の通路(471)を通って、流路(470a、b)を経由し、出口(473)から出ていくことができる。このタイプでは、材料Mは、両方の流路を通過し、出口(473)で収束する2層の熱可塑性材料を形成する。
図4A1は、材料が出口(473)で収束する際に形成される熱可塑性層の詳細図を示す。
【0078】
金型装置(311’)の種々の形状の部品を備えて、種々の形状の対称、または非対称流路(470a’、b’)を画定できる。これらの形状は、フィルムの形および構造を決定するように選択できる(例えば、
図2A〜2Fを参照)。例えば、異なる形状の型は、型とマニホールドとの間で異なる形状の流路を画定する。任意選択で、流路(470a、b)をマニホールド(354)の形状を変えることにより変更して、非対称形状を与えることができる。流路および/または出口の形状を使って、得られるフィルムの外形を設定することができる。
【0079】
出口(473)は、フィルム(210)の外形および寸法を決定する細長い開口を設定する。例えば、出口(473)の幅Oは、材料(210)のシートの幅Wを限定し、出口(473)の深さDは、材料(210)のシートの厚さTを限定する(例えば、
図2Cを参照)。
【0080】
また、流体チャネル(472)は、マニホールド(354)中の流路(470a、b)の間で画定される。流体チャネル(472)は、流体供給源(例えば、
図1の119)と流体連通しており、二重矢印で示されるように、チャネル流体Fがその間を流れるための流体経路を画定する。チャネル流体Fは、マニホールド排出口(355)の先端部(475)、および流路(470a、b)を経由して放出される熱可塑性層の間を通って放出される。
【0081】
図4Bは、別のタイプの金型装置(311’)を示す。型(356a’、b’)がマニホールド(354’)の取入口部分(353’)および出口部分(355’)の周りの別々の流路(470a’、b’)を備えること以外は、金型装置(311’)は
図4Aの金型装置(311)と同じである。この図で示されるように、複数の材料M1、M2を金型装置(311’)に通し、異なる材料の層を生成できる。
図4Aと4Bで示されるように、1種または複数種の材料を、別々の、または連結した流路を通過させることができる。例えば、追加のマニホールドを使って設けられた追加の流路を使って追加の層を形成できる。また、流路470a’および470b’のそれぞれから複数層の材料を生成することも可能である。材料M1とM2には、通路(471a’、b’)の片方または両方を通過する1種または複数種の材料、または材料層を含めることができる。特定の例では、M1は、構造化または層化流を生成する複数層の材料を含んでもよい。このような層は、例えば、円錐状、直線状、などであってよい。
【0082】
図4Cと4Dは、型(356a、b)の種々の図を示す。それぞれの型は、押出成形機(例えば、
図1)から材料を受ける流入口(474a、b)を備える。材料は、加圧下で流入口(474a、b)を通り、フローキャビティ(476a、b)を通って広がる。材料は、フローキャビティ(476a、b)の形状と同じになり、細長い型出口(478a、b)に沿って型(356a、b)を通過していく。型(356a、b)は、材料の流れ、および/または生成されるフィルムの形状に合わせて調節可能なように、フローキャビティ(476a、b)に沿って段階的な変化を持つものとして示されている。材料のフローキャビティ(476a、b)を通る流れは、材料がフローキャビティ(476a、b)を通って広がり、型出口(478a、b)を通って所望の製品を生成するように構成できる。
【0083】
また、それぞれの型(356a、b)は、マニホールド(354)を受けるマニホールド受け口(380a、b)も備える。フローキャビティ(476a、b)は、マニホールド(354)と型(356a、b)との間の空隙中に画定される。
【0084】
図5A〜5Eは、多層フィルム(210)がマニホールド(354)と型(356a)との間の流路(470a)を通過するのを示すために部分的に組み立てた位置の金型装置(311)の一部を示す。これらの図から分かるように、材料は、入口(580)から入り、マニホールド(354)と型(356a、b)との間を通過するに伴いシートを形成する。また、これらの図は、金型装置(311)が所定の形状の入口(580)、流路(470a、b)および出口(473)を画定し、押出成形フィルムの形状を定めることを示す。
【0085】
また、
図5Bに示すように、チャネル流体Fは、流体入口(582)からマニホールド(354)を横断して通過する。
図4Aと5Bを参照すると、チャネル流体Fは、マニホールド(354)に入り、マニホールド排出口(355)から出ていく。チャネル流体Fは、先端部(475)および出口(473)を出る熱可塑性材料の層間を通って放出される。
【0086】
図5Bと5Eから分かるように、金型装置(311)は、チャネル流体Fを金型装置(311)に通すために流体供給源(例えば、
図1の119を参照)に連結される。流体供給源(119)は、マニホールド排出口(355)と流体連通している。マニホールド排出口(355)は、溶融熱可塑性材料が両側を流れる出口(473)を通ってチャネル流体Fを放出する。溶融熱可塑性材料が出口(473)を通る際に、チャネル流体Fは、溶融熱可塑性材料の層間に放出され、それにより、チャネル流体Fで満たされたマイクロキャピラリー(例えば、
図2Bのチャネル220)が形成される。
【0087】
図5Fは、金型装置(311)を取り外したときの材料(210)の流れを示す。材料(210)の流れは、フローキャビティ(例えば、
図4Aの470a、bを参照)により定められる。
図5A〜5Eに示すように、材料は、流入口(474a、b)(例えば、
図4C参照)から入り、フローキャビティ(476a、b)を満たして材料(584a、b)の層を形成する。材料層(584a、b)は、マニホールド取入口(353)の外表面に沿って進み、マニホールド排出口(355)の先端部(475)にある直線部分に収束する。
【0088】
図5Fにより示されるように、材料(584a、b)の層は、収束してフィルム(210)の多層シートを形成できる。材料の外形は、型(356a、b)とマニホールド(354)との間の流路(470a、b)の寸法、および出口(473)により決まる。
【0089】
型(356a、b)とマニホールド(354)の配置は、流路(470a、b)の形状を定めるように選択できる。流路の形状は、内部を通る材料の流れを制御するために調節できる。材料の流れは、材料が流路(470a、b)を経由して選択的に分配され、出口(473)を通る所望の流れを生成するように操作できる。材料の流れは、流路(470a、b)を通って均一にまたは不均一に分配し、所望の流れ、および/または材料外形を実現することができる。外形(例えば、
図2CのW)の幅が約3インチ(76.2cm)より大きい場合には、所望の流れを与えるように流路の構成を設定することが必要となる場合がある。また、流速、圧力、温度、材料の特性、などにより外形が変化する場合がある。
【0090】
図6A〜6Fは、マニホールド排出口(355)をさらに詳細に示す種々の図である。マニホールド排出口(355)は後方部分(688)を含み、その内部を流体チャネル(686)が通り、また、その反対側の端に先端部(690)を備える。金型装置(311)内で保持するための端部(694a、b)を備える。マニホールド排出口(355)は、後方部分(688)から先端部(690)へ伸びる先細の外表面(692)を備える。
図4Aに示すように、流体チャネル(686)は、後方部分(688)および細長い出口(473)に隣接する先端部(690)を通って伸びる。
【0091】
図7A〜7Eは、ノズル(696)を備えたマニホールド排出口(355)の種々の図を示す。ノズル(696)は、マニホールド排出口(355)の細長い先端部(690)に沿った直線配置として示されている。直線配置として示されているが、ノズルは、所望の配置で入口の周りに設置できる。
図7Bの矢印で示すように、流体チャネル(686)は、ノズル(696)と流体連通して、ノズルの中へチャネル流体を通す。先端部(690)に沿ったノズル(696)の配置は、
図8A〜8Cにさらに詳細に示されている。
【0092】
図9A〜9Bは、ノズル(696)をさらに詳細に示す。
図9Bに示されるように、ノズル(696)は、円形状であってもよい。また、ノズル(696)は、所望のチャネル寸法を有する多層フィルム(210)を生成するために十分な寸法の幅または直径φ’および間隔S’を備えることができる(例えば、
図2C参照)。ノズル(696)の種々の数、位置、および形状を備えることにより、得られるフィルム(210)で所望の構成を実現できる。
【0093】
図10は、多層マイクロキャピラリーフィルムを製造する方法(1000)を示すフローチャートである。方法は、熱可塑性材料を押出成形機に通すこと(1093)、および、押出成形機の出口に動作可能に連結できる金型装置に熱可塑性材料を通すこと(1094)を含む。金型装置は、本明細書記載のような金型装置であってよい。方法は、熱可塑性材料を複数のフィルムチャネルおよび細長い出口を通して押出成形することにより多層フィルムを成形すること(1095)、および、複数のノズルを使って多層フィルム層間にチャネル流体を放出することにより多層フィルム中にマイクロキャピラリーを形成すること(1097)をさらに含む。
【0094】
また、方法は、熱可塑性材料の均一流れが細長い出口を通って流れるように熱可塑性材料を複数の流路を通って選択的に分配すること(1099)、および/または熱可塑性材料の温度、流量、圧力、材料特性およびこれらの組み合わせの内の1種を操作することにより多層フィルムの外形を選択的に調節することを含む。熱可塑性材料は、複数の熱可塑性材料を含んでもよく、また、多層フィルムの成形が、複数の熱可塑性材料を複数のフィルムチャネルを通して押出成形することにより多層フィルムを成形すること(1095A)を含んでもよい。
【0095】
方法は、必要に応じ、任意の順に、また、繰り返して行うことができる。フィルムは、記載の方法により製造できる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
多層マイクロキャピラリーフィルムの製造方法であって、
熱可塑性材料を押出成形機に通すこと、
前記押出成形機の出口に動作可能に連結できる金型装置であって、
ダイプレート対、
前記ダイプレート対の間に配置可能なマニホールドであって、それらの間に複数のフィルムチャネルを画定し、前記フィルムチャネルが細長い出口に収束するマニホールド、および
前記複数のフィルムチャネルの間に配置可能な複数のノズルであって、チャネル流体の供給源に動作可能に連結できるノズル、
を含む金型装置に前記熱可塑性材料を通すこと、
前記熱可塑性材料を前記複数のフィルムチャネルおよび前記細長い出口を通して押出成形することにより多層フィルムを成形すること、および
前記複数のノズルを使って前記多層フィルム層間に前記チャネル流体を放出することにより前記多層フィルム中にマイクロキャピラリーを形成すること、
を含む方法。
[2]
前記熱可塑性材料の所望の流れが前記細長い出口を通過するように、前記熱可塑性材料を前記複数の流路を通して選択的に分配することをさらに含む[1]]に記載の方法。
[3]
前記熱可塑性材料の温度、流量、圧力、材料特性およびこれらの組み合わせの内の1種を操作することにより、前記多層フィルムの外形を選択的に調節することをさらに含む[1]]に記載の方法。
[4]
[1]に記載の方法により製造されたフィルム。
[5]
多層マイクロキャピラリーフィルムであって、
複数層の熱可塑性材料を含む材料シートであって、他の前記複数層の熱可塑性材料の少なくとも1種と異なる材料を含む少なくとも1種の前記複数層の熱可塑性材料を含む材料シート、
を含み、
前記材料シートが、前記複数層の熱可塑性材料間で平行に配置された複数のチャネルを備える、
フィルム。
[6]
前記複数のチャネル中に配置されたチャネル流体をさらに含む[5]に記載のフィルム。
[7]
前記チャネル流体が、空気、ガス、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニリデンクロリド、ポリフッ化ビニリデン、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)およびポリエチレンテレフタラートからなる群から選択されるチャネル熱可塑性材料、ならびにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される[6]に記載のフィルム。
[8]
前記材料シートが、少なくとも3インチ(7.62cm)の範囲の幅を備える[5]に記載のフィルム。
[9]
前記材料シートが、10μm〜2000μmの範囲の厚さを備える[5]に記載のフィルム。
[10]
前記複数のチャネルが、相互に少なくとも50μm離れている[5]に記載のフィルム。
[11]
前記複数のチャネルが、少なくとも50μmの範囲の幅を備える[5]に記載のフィルム。
[12]
少なくとも1種の前記複数層の熱可塑性材料が、他の前記複数層の熱可塑性材料の少なくとも1種と異なる外形を備える[5]に記載のフィルム。
[13]
前記熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリビニリデンクロリド、ポリフッ化ビニリデン、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタラート、からなる群から選択される[5]に記載のフィルム。
[14]
[5]に記載のフィルムを含む多層構造。
[15]
[5]に記載のフィルムを含む物品。