【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、髄内固定アセンブリは、髄内釘のような髄内固定器具と、複数の固定要素のような、少なくとも1つの固定要素とを含み得る。この髄内固定器具は、埋め込まれたときに骨の髄管内で横たわる寸法を有することができ、その髄内釘は、
挿入軸を画定するシャフト部が延出している頭部と、
本体と、本体を通じて配置された複数の挿入チャネルとを含み、挿入チャネルは、固定要素をそれぞれ貫通させて受容するように構成されており、各挿入チャネルは挿入ポイント、出口ポイント、及び挿入ポイント並びに出口ポイントを通るチャネル軸を画定する。
【0007】
頭部は、複数の挿入チャネルの各挿入ポイントが位置する挿入区域を含み得る。挿入区域は、髄内釘が挿入された骨の穴を通じてアクセス可能なままとなるような寸法及び配置を有し得る。
【0008】
この髄内固定器具は、単一の骨穴を通じて完全に挿入され得、所定の位置に固定され得る。この髄内固定器具の固定は、単一の皮膚切開のみ及び単一の骨穴を作ることにより可能である。挿入区域の反対側の髄内固定器具の末端を追加的に固定することは不要である。
【0009】
この髄内固定器具の全ての挿入チャネルの挿入ポイントは、その挿入区域内に位置する。
【0010】
挿入区域は、釘において、固定要素を挿入することができる挿入ポイントを有する唯一の区域であり得る。
【0011】
挿入軸及び、複数のチャネル軸のそれぞれは、挿入区域から離れて互いに逸れ得る。挿入軸及び複数のチャネル軸は、挿入区域から互いに対してピラミッド状に逸れることができる。
【0012】
複数の挿入チャネルは、2つの挿入チャネルを含むことができ、2つの挿入チャネルに制限され得る。埋め込まれたとき、挿入軸の1つ又は2つの挿入チャネルのチャネル軸の1つは、第1の骨片から第2の骨片の方向に延在することができ、それらの骨片は骨折により分離されており、挿入軸及び2つの挿入チャネルのチャネル軸のその他の2つは、第1の骨片内に延在することができる。
【0013】
あるいは、複数の挿入チャネルは、3つの挿入チャネルを含むことができ、3つの挿入チャネルに制限され得る。埋め込まれたとき、挿入軸又は3つの挿入チャネルのチャネル軸のうちの2つは、第1の骨片から第2の骨片の方向に延在することができ、それらの骨片は骨折により分離されており、挿入軸及び3つの挿入チャネルのチャネル軸のうちのその他の2つは、第1の骨片内に延在することができる。
【0014】
髄内固定器具と固定要素とを含む髄内固定アセンブリは、最高6つの次元における運動を制限することができ、かつ骨折を確実に安定して低減し、したがって骨治癒を支援する効果を有し得る。具体的には、髄内釘と3つの挿入チャネルとの組み合わせは、6つの次元において運動を制限する効果を有する。
【0015】
それらのチャネル軸の1つは、同軸のチャネル軸であり得る。同軸チャネル軸の一部は、挿入軸と実質的に同軸であり得る。髄内固定器具は本体を含むことができ、同軸チャネル軸を有する挿入チャネルは、その挿入ポイントからその出口ポイントまで、髄内固定器具の本体を貫通することができ、出口ポイントはシャフト部に位置する。挿入軸は、出口ポイントからシャフト部末端方向に向かう方向において、出口ポイントの近くで、同軸チャネル軸から離れて湾曲し得る。
【0016】
複数の挿入チャネルの少なくとも1つは、その内部に固定要素の一部を固定して保持するように構成された着座区域を有し得る。着座区域は、複数の挿入チャネルの1つの挿入ポイントと隣接して位置付けられ、複数の挿入チャネルのその1つの出口ポイントはシャフト部に位置付けられる。複数の挿入チャネルのそれぞれは、その中に固定要素の一部を固定して保持するように構成された着座区域を有し得、各着座区域は、それぞれ対応する挿入ポイントに隣接して位置付けられる。
【0017】
髄内固定器具は、本体を含み得、本体は、(例えば、髄内固定器具が茎状釘のような髄内釘であるときなどは)釘本体であり得、釘本体は曲線形を有し得、シャフト部は、埋め込み中に髄管の形と適合するように弾性変形可能なように構成され得る。釘本体のシャフト部は実質的に平滑でねじ山を有さない場合がある。
【0018】
髄内固定器具の本体のシャフト部はねじ山を有する場合がある。
【0019】
頭部は、例えば長骨の茎部のような長骨の頭部内に収まる形状であり得る。
【0020】
頭部は、例えば長骨の茎部のような長骨の頭部内に収まる寸法であり得る。
【0021】
髄内固定アセンブリは、骨折を固定するための茎状釘器具であり得る髄内固定器具を含み得る。茎状釘器具は、第1の骨片と第2の骨片との間の骨折線を横切って通るように構成された第1の長手方向の固定要素を含み得る。髄内固定アセンブリは、更に、第1の骨片に茎状釘器具を係留するように構成された複数の第2の固定要素を含み得る。
【0022】
第1の長手方向の固定要素の頭部は、複数の第2の固定要素に更に対応するように構成され得、第2の固定要素の1つは、遠位骨片から近位骨片まで通るように構成され得る。
【0023】
第1の長手方向の固定要素は、可撓性かつ弓形であり得る。これは、骨の髄管内の茎状釘器具の係留を改善し得る。
【0024】
本明細書で使用するとき、遠位骨片は、骨折線が関節に最も近い、骨折した骨の断片である。例えば、遠位骨片は、関節骨片であって、その骨折は関節外骨折であり得る。関節外骨折は、骨が皮膚を貫通していない骨折であり、完全な骨折線を1つだけ含み、骨折線が関節の部分と交差していない骨折である。
【0025】
第2の固定要素は、長手コアを有するねじ又はステープルであり得る。第2の固定要素及び第1の固定要素の長手コアは同じであり得る。同じコア直径を有する固定要素を有することは、(異なる直径を有する要素を含むアセンブリと比較して)髄内固定アセンブリの埋め込みのために必要な道具の数を低減するという利点をもたらし、したがって、埋め込み手技の複雑さ及び費用を低減する。
【0026】
本明細書で使用するとき、ねじの「コア」は、ねじ山を有するねじの長手方向のシャフト部を指す。
【0027】
髄内固定アセンブリは、ねじであり得る少なくとも3つの第2の固定要素を有することができ、それら第2の固定要素は、第1の長手方向の固定要素の頭部に装着されて、骨片とのピラミッド状係合を形成する。ピラミッド状係合は、微動を除く骨片の全ての回転及び分離を防ぐ。したがって、茎状釘器具の挿入のための道具が必要最低限であり、かつ、必要とされる皮膚及び骨の穴の切開が少ないために患者への外傷が最小限の、骨の安定した固定を達成することができる。
【0028】
長手方向の第1の固定要素の頭部は、第2の固定要素を受容するためにねじ山付きの穴を有し得る。有利なことに、これにより髄内固定器具の安定性が増す。
【0029】
髄内固定器具は、髄内釘又はねじであり得る。「髄内」という用語は、当該技術分野で周知であり、釘が骨の髄管内に少なくとも部分的に存在することを意味する。
【0030】
第2の固定要素のうち2つは、遠位骨片に位置付けられるように構成されたねじであり得、3つ目の第2の固定要素のテール部は、遠位骨片から近位骨片まで骨折線を横切って通るように構成されており、骨折線を横切る第2の固定要素の少なくとも一部分は、第1の固定要素を通じて長手方向に延びるように構成される。この特定の構成に伴う利点、特に第2の固定要素が骨片とのピラミッド状係合を形成する場合の利点は、茎状の釘器具を埋め込むために1つの皮膚切開及び1つの骨穴だけを必要として、安定した骨固定が達成されることである。
【0031】
第2の態様では、髄内固定器具は第1の骨片から第2の骨片へと骨折線を横切って通ることが可能であり、この髄内固定器具は、ねじ山付きである。更に、第2の態様は、髄内固定器具と第1の固定要素とを含む髄内固定アセンブリもまた提供し、この髄内固定器具は、この髄内固定器具が遠位骨片に係留され得るように第1の固定要素の頭部に受容されるように適応され、第1の固定要素の頭部は更に複数の第2の固定要素に対応するように適応される。
【0032】
第2の態様の第2の固定要素の少なくとも1つは、使用中、骨折線を横切って第1の骨片と第2の骨片との間を通るように構成され得る。
【0033】
第2の態様の第1及び第2の固定要素は、長手コアを有し得るねじであり得、それらは同じコア直径を有し得る。第1の態様と同様に、これは、埋め込みのために必要な道具がより少なくて済むという利点を有する。
【0034】
第3の態様では、髄内固定アセンブリは、埋め込まれたときに骨の隋管内に横たわるような寸法を有する本体を有する髄内固定器具を有することができ、この本体は、
シャフト部が延出している頭部と、
固定要素を貫通させて受容するための第1の挿入チャネルであり、挿入ポイント及び出口ポイントを画定する、第1の挿入チャネルと、
固定要素を貫通させて受容するための第2の挿入チャネルであり、挿入ポイント及び出口ポイントを画定する、第2の挿入チャネルと、を含む。
【0035】
頭部は、第1及び第2の挿入チャネルの挿入ポイントが位置する挿入区域を含み得る。挿入区域は、釘本体が挿入された骨の穴を通じてアクセス可能なままとなるような寸法及び配置を有し得る。
【0036】
髄内固定アセンブリは、第1の挿入チャネルの挿入ポイントでの挿入のための第1の固定要素、及び第2の挿入チャネルの挿入ポイントでの挿入のための第2の固定要素もまた有する。
【0037】
埋め込まれたとき、シャフト部、第1の固定要素、及び第2の固定要素の少なくとも1つは、第1の骨片から骨折を横切って第2の骨片に及ぶように配置される橋渡し要素であり、したがってそれは髄内固定器具であり、シャフト部、第1の固定要素、及び第2の固定要素の少なくとも1つは、第1の骨片内に横たわるように配置される。
【0038】
第3の態様の髄内固定アセンブリは、単一の骨穴の近くでの橋渡し要素の挿入によって第2の骨片が第1の骨片に固定されるのを可能にするための橋渡し要素を有する。
【0039】
髄内固定アセンブリから分離されている固定要素を第1の骨片から第2の骨片まで追加的に挿入して、それらの骨片を一緒に固定し、6つの次元において運動を制限することができる。
【0040】
橋渡し要素は、第1及び第2の骨片の髄管と係合する多面的外面を有し得る。
【0041】
釘であり得る髄内固定器具の本体は、固定要素を貫通させて受容するための第3の挿入チャネルを有し得る。第3の挿入チャネルは、挿入ポイント及び出口ポイントを画定し得る。頭部は、第1、第2及び第3の挿入チャネルの挿入ポイントが位置する挿入区域を有し得る。挿入区域は、釘本体が挿入された骨の穴を通じてアクセス可能なままとなるような寸法及び配置を有し得る。髄内固定アセンブリは、第3の固定要素を有し得る。埋め込まれたとき、シャフト部並びに第1、第2及び第3の固定要素のうちの2つが橋渡し要素となり得、シャフト部並びに第1、第2及び第3の固定要素の他の2つが第1の骨片内に横たわることができる。
【0042】
髄内釘は、皮膚の単一の切開及び他の軟組織を通して、かつ固定される骨に単一の穴を作ることによって、最も侵襲性の低いやり方で挿入され得る。髄内釘と第1〜第3の固定要素との組み合わせは第2の骨片を第1の骨片に固定し、6つの次元における運動を制限して、最低侵襲性の技術を用いた骨の治癒を支援する。
【0043】
この挿通路は、シャフト部と、挿入区域からピラミッド状に互いに逸れて延びる複数の挿入チャネルとによって画定され得る。
【0044】
固定要素は、骨とのピラミッド状係合を形成し得、髄内釘の頭部の挿入区域でそれらの要素とピラミッドの頂点とが成す角度は、全て異なっていてもよく、あるいは等しくてもよく、109.5度、又は100度、又は90度、又は80度、又は70度、又は60度であり得る。固定要素の対が存在してもよく、ピラミッドの頂点でのそれらの間の角度は例えば60度であり、第3の固定要素は、固定要素の対のそれぞれから100度の角度である。例えば、第1の態様において、(骨折と交差し得る)3つ目の第2の固定要素は、遠位骨片にそのまま残る第2の固定要素から約100度の角度であり、遠位骨片にそのまま残る第2の固定要素は約60度の角度である。
【0045】
挿入チャネルは、それらが受容する固定要素のタイプにしたがって構成され得る。固定要素は、止めねじ、可変角止めねじ、又はステープルのうちの1つであり得るが、これらに限定されない。
【0046】
第3の態様の髄内釘は、第1の態様の髄内釘の特徴のいずれをも有し得る。
【0047】
第4の態様では、髄内固定システムは、第1の態様又は第2の態様にしたがった髄内固定装置を含み得る。この髄内固定システムは、照準アームもまた有する。照準アームは、髄内釘に接続可能であり、内部に複数のガイドチャネルを画定し得る。それぞれのガイドチャネルは挿入チャネルのそれぞれ対応するチャネル軸と整列されたガイド軸を有し得、それらのチャネル軸は、髄内釘の頭部に画定された挿入区域から逸れて延在する。
【0048】
髄内固定システムは、更に、固定要素の挿入の深さを測定するための測定器具を含み得る。
【0049】
照準アームは、放射線透過性材料を含み得る、又は放射線透過性材料からなり得る、又は本質的に放射線透過性材料からなり得る。この放射線透過性材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。照準アームは、X線可視のマークを有し得る。
【0050】
第5の態様では、第1の固定要素は、髄内固定器具が使用中に第1の骨片と第2の骨片との間の骨折を横切って通過することができるように髄内固定器具を受容するように適応され得、第1の固定要素は第1の骨片に第1の固定要素を係留するためにねじ山付きであり、第1の固定要素の頭部は更に、少なくとも1つの第2の固定要素を受容するように形作られる。第1の固定要素の頭部は、第2の固定要素を受容するためにねじ山付きであり得る。
【0051】
第5の態様の固定要素の頭部は、第2の固定要素がピラミッド状係留を画定するように、第2の固定要素に対応するように形作られることができる。この特定の構成に伴う利点、特に第2の固定要素が骨片とのピラミッド状係合を形成する場合の利点は、茎状の釘器具を埋め込むために1つの皮膚切開及び1つの骨穴だけを必要として、安定した骨固定が達成されることである。
【0052】
本明細書に記載の茎状釘器具、茎状釘、及び固定要素を含む髄内固定器具は、頭蓋骨の側頭骨、及び尺骨、脛骨、並びに腓骨の茎状突起、又は所望により任意の適した別の長骨に使用され得る。具体的には、本明細書に記載の茎状釘器具、茎状釘、及び固定要素を含む髄内固定器具は、遠位橈骨の関節外骨折を固定するために使用され、それらは、遠位橈骨の茎状突起に挿通される。
【0053】
「茎状突起」という用語は、当該技術分野で周知の用語であり、筋肉のための小さな付着点としての役割を果たす、骨の表面上の骨の突起を指す。
【0054】
第1の固定要素の頭部は、髄内固定器具及び第2の固定要素を受容するためにねじ山が付いている穴を有し得る。有利なことには、これは組み合わせの安定性を増す。
【0055】
第6の態様では、骨の髄管内に髄内固定装置を埋め込む方法は、第1の骨片と第2の骨片との間の骨折の治癒を支援することができる。この方法は、
第1の骨片と第2の骨片を整列させる工程と、
第1の骨片の皮質骨に穴を開ける工程と、
その穴に髄内固定器具を通す工程であって、髄内固定器具が、シャフト部が延出している頭部と、複数の固定要素受容チャネルとを有し、複数の固定要素受容チャネルのそれぞれが、頭部に画定された挿入区域に位置する挿入ポイントを有する、工程と、
挿入区域内の挿入ポイントを通じて第1の固定要素を挿入する工程と、
挿入区域内の異なる挿入ポイントを通じて第2の固定要素を挿入する工程と、を含む。
【0056】
そのように挿入された、シャフト部、第1の固定要素、及び第2の固定要素の少なくとも1つは、第1の骨片から骨折を横切って第2の骨片に及ぶように配置される橋渡し要素であり得、シャフト部、第1の固定要素、及び第2の固定要素の少なくとも1つは第1の骨片内に横たわるように配置される。
【0057】
挿入される固定要素の長さを決定するために、第1及び第2の固定要素のそれぞれを挿入する前に、測定値を得ることができる。
【0058】
第1及び第2の固定要素は、同じコア径を有し得る。
【0059】
シャフト部はねじ山付きであり得る。
【0060】
固定要素は、骨との安定なピラミッド構成体を形成するようなやり方で挿入され得る。
【0061】
第1の骨片は、関節骨片であり得る。
【0062】
骨折は、関節外骨折であり得る。
【0063】
第7の態様では、骨折を固定する方法は、単一の皮膚切開を行う工程を含む。単一の皮膚切開のみを必要とする埋め込みに付随する利点は、当業者には認識されるであろう。例えば、患者にもたらされる外傷が最小限であり、したがって、治癒時間を最短に抑え、手技によりもたらされる合併症の可能性を最小限に抑える。この方法は、更に、単一の骨穴のみを開けることを含み、これは、単一の皮膚切開に付随するのと同じ利点を有する。
【0064】
骨折の固定方法は、i)1つの皮膚切開を行う工程と、ii)遠位骨片に穴を開ける工程と、iii)遠位骨片に第1の固定要素を挿入する工程と、iv)少なくとも1つの第2の固定要素を遠位骨片に挿入する工程と、を含み得る。
【0065】
この方法の第1の固定要素は、遠位骨片から近位骨片へ骨折線を横切って挿入され得、第2の固定要素は第1の固定要素に挿通され得る。この挿入は、第1の固定要素の頭部を通じて行うことができ、第2の固定要素は、その全体が遠位骨片内にそのまま残るように挿入され得る。
【0066】
第2の固定要素が挿入される前に測定値を得ることができる。この測定値を用いて、少なくとも1つの第2の固定要素に必要とされる長さを決定する。
【0067】
追加の第2の固定要素を、遠位骨片から骨折線を横切って近位骨片まで通るようなやり方で第1の固定要素の頭部を通じて挿入することができる。
【0068】
この方法に付随する利点は、単一の皮膚切開及び単一の骨穴のみを用いて安定した固定が達成され得ることである。有利なことに、本明細書に記載したタイプの髄内固定器具を挿入するための器具を用いてこの方法を実行することができる。したがって、骨の安定した固定が、最低限の道具で達成される。
【0069】
骨折を固定する方法は、i)皮膚の切開を行う工程と、ii)遠位骨片内で関節に実質的に平行に、ワイヤーを遠位骨片に挿入する工程と、iii)遠位骨片の深さを測定する工程と、iv)遠位骨片内で関節に実質的に平行に遠位骨片に穴を開ける工程と、v)骨片に開けられた穴にねじを配置する工程と、vi)遠位骨片に1つ以上の追加の穴を開ける工程と、vii)遠位骨片に1つ以上のねじを挿入する工程であって、それらのねじの少なくとも1つが遠位骨片から近位骨片まで骨折線を横切って通る工程と、を含むことができる。
【0070】
固定要素は、このタイプの構成体について前述した利点を有する、骨との安定なピラミッド状構成体を形成するように挿入され得る。
【0071】
遠位骨片の深さは、遠位骨片に挿入されたワイヤーに、使用されるワイヤーの長さを用いて較正された測定装置を適用することによって、測定することができる。ワイヤーは直径1.1mmであり得、Kワイヤーであり得、骨は橈骨であり得、ワイヤーは掌側−尺骨管に挿入することができる。
【0072】
本明細書で使用するとき、Kワイヤーは、キルシュナー鋼線の略語であり、整形外科分野で広く使用されている滅菌済みの先鋭かつ平滑なステンレス鋼のピンである。
【0073】
遠位骨片の穴は、挿入されたワイヤーに沿ってドリルを適用することによって開けることができ、ドリルは2.0mmの直径を有し得る。
【0074】
ねじは、ガイドワイヤーに沿って挿入することができ、その後、ガイドワイヤーは取り出される。
【0075】
1つ以上の追加の穴を遠位骨片に開ける前に、1.1mmのKワイヤーであり得る第2のガイドワイヤーを挿入することができる。次いで、1つ以上の追加の穴を開ける工程が、第2のガイドワイヤーに沿って行われ得る。次いで、遠位骨片内の1つ以上のねじに必要とされる長さを測定するために、測定装置を第2のガイドワイヤーに適用することによって、測定を行うことができる。次いで、ガイドワイヤーを取り出す前に、ガイドワイヤーに沿って1つ以上のねじを挿入することができる。
【0076】
遠位骨片から骨折線を横切って近位骨片に至る穴が開けられた後に、遠位骨片から骨折線を横切って近位骨片まで通される1つ以上の追加のねじが、ガイドワイヤーに沿って挿入され得、このガイドワイヤーは1.1mmのKワイヤーであり得、この穴は、ガイドワイヤーに沿って開けられる。
【0077】
この方法の利点は、最低限の道具を用いて安定した固定が達成され得ることである。
【0078】
第8の態様では、骨折を有する骨に髄内固定器具を挿入するように構成された挿入器具が提供され、この器具は、i)骨折線を横切って遠位骨片を通して長手方向に第1の固定要素を挿入するように構成された第1の部分と、ii)ガイドワイヤーを挿入するように構成された照準アームと、iii)ガイドワイヤーの挿入の深さを測定するための測定器具と、を備えている。
【0079】
有利なことに、髄内固定アセンブリを挿入するための器具は、骨折の固定方法の特定の態様とともに使用され得る。
【0080】
第8の態様の器具は、1つ以上の第2の固定要素を第1の固定要素の頭部を通じて遠位骨片に挿入するように構成され得る。この器具は、照準アームを介して1つ以上の第2の固定要素を挿入するように構成され得る。
【0081】
第8の態様の器具は、ポリエーテルエーテルケトンであり得る放射線透過性材料を含む、又は放射線透過性材料からなる、又は本質的に放射線透過性材料からなる。有利なことに、これは、器具を使用している外科医が、器具に使用されているワイヤー、ねじ、及び釘を、X線撮像を介してはっきりと見ることを可能にする。この器具は、外科医がガイドワイヤーの狙いを定めるのを補助するために、照準アーム上にX線可視マークを有することができる。
【0082】
本明細書で使用するとき、放射線透過性は、減衰をほとんど伴わずにX線を通過させ、それによりX線撮影で材料が不可視となる材料を指す。
【0083】
有利なことに、第8の態様の器具を使用して、1つの皮膚切開及び1つの骨穴だけを用いて、骨片の全ての回転及び分離(微動を除く)を防ぐために、骨に安定な構成体をもたらす茎状釘器具を挿入することができる。また、必要とされる道具も最小限で済む。
【0084】
これらの髄内固定器具を含むこれらの髄内固定アセンブリは、頭蓋骨の側頭骨、及び尺骨、脛骨、並びに腓骨の茎状突起、又は所望により任意の適した別の長骨に使用され得る。