特許第6242900号(P6242900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242900
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】圧延機レイングヘッド
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/14 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B21C47/14
【請求項の数】25
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-531954(P2015-531954)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公表番号】特表2015-531686(P2015-531686A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013057993
(87)【国際公開番号】WO2014042926
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年7月5日
(31)【優先権主張番号】13/614,145
(32)【優先日】2012年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/707,510
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シェン
(72)【発明者】
【氏名】ペイリアン ピー. ジャーン
(72)【発明者】
【氏名】ジアンピン ジャーン
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−511317(JP,A)
【文献】 特開2000−026023(JP,A)
【文献】 実開昭62−137609(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に移動する熱間圧延製品を一連のらせん状リングに形成するレイングヘッドであって、
軸方向に離間された複数の軸受けの間で回転可能に支承された管状ボディと該管状ボディから軸方向および前方向に突出した突出部とを有する、軸線を中心に回転可能なクイルと、
前記軸線と位置合わせされかつ前記熱間圧延製品を収容するように配置された入口端部と、該入口端部から、前記軸線から半径方向に離間しかつ前記熱間圧延製品を前記一連のらせん状リングとして排出する送出端部に通じた、中間湾曲部とを有する、前記クイルによって支持された製品ガイドと、
該製品ガイドのらせん状延長部を提供するガイドトラフであって、前記製品ガイドの前記中間湾曲部および前記送出端部ならびに前記ガイドトラフは、前記クイルの前記突出部の連続するらせん状支持部に支持されている、ガイドトラフと、
を備え、
前記連続するらせん状支持部は、前記突出部の一体的な部品として形成されていることを特徴とする、レイングヘッド。
【請求項2】
前記クイルの前記突出部は、前記らせん状支持部を有する一体構造を備える、請求項1記載のレイングヘッド。
【請求項3】
前記らせん状支持部は、前記突出部から半径方向に突出したらせん状渦巻き部として構成されたらせん状プレートを備える、請求項2記載のレイングヘッド。
【請求項4】
前記突出部は、前記管状ボディに着脱可能に固定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のレイングヘッド。
【請求項5】
前記らせん状支持部は、前記突出部に一体に接合された製造部品である、請求項2記載のレイングヘッド。
【請求項6】
前記製品ガイドはパイプを備える、請求項1から5までのいずれか1項記載のレイングヘッド。
【請求項7】
前記パイプは、前記らせん状支持部に着脱可能に固定されている、請求項6記載のレイングヘッド。
【請求項8】
前記ガイドトラフは、前記らせん状支持部の外縁によって形成された底部を備え、着脱可能な側壁が前記底部から半径方向外向きに突出している、請求項1から7までのいずれか1項記載のレイングヘッド。
【請求項9】
前記着脱可能な側壁は、複数のセグメントに分割されている、請求項8記載のレイングヘッド。
【請求項10】
前記側壁セグメントは、実質的に同一である、請求項9記載のレイングヘッド。
【請求項11】
前記側壁セグメントは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されている、請求項9記載のレイングヘッド。
【請求項12】
前記側壁セグメントは、炭素繊維から構成されている、請求項9記載のレイングヘッド。
【請求項13】
前記側壁セグメントは、熱可塑性樹脂から構成されている、請求項9記載のレイングヘッド。
【請求項14】
前記側壁セグメントには、耐摩耗性材料がコーティングされている、請求項9記載のレイングヘッド。
【請求項15】
前記耐摩耗性材料は、ナノメタルを含む、請求項14記載のレイングヘッド。
【請求項16】
軸方向に移動する熱間圧延製品を一連のらせん状リングに形成するレイングヘッドであって、
軸方向に離間された複数の軸受けの間で回転可能に支承された管状ボディと該管状ボディから軸方向および前方向に突出した突出部とを有する、軸線を中心に回転可能なクイルと、
前記軸線と位置合わせされかつ前記熱間圧延製品を収容するように配置された入口端部と、該入口端部から、前記軸線から半径方向に離間しかつ前記熱間圧延製品を前記一連のらせん状リングとして排出する送出端部に通じた、中間湾曲部とを有する、前記クイルによって支持された製品ガイドと、
連続する底部とセグメント化された着脱可能な側壁とを有する、前記製品ガイドのらせん状延長部を提供するチャネル状ガイドトラフと、
を備え、
前記らせん状延長部は、前記突出部の一体的な部品として形成されていることを特徴とする、レイングヘッド。
【請求項17】
前記製品ガイドの前記中間湾曲部および前記送出端部ならびに前記チャネル状ガイドトラフは、前記突出部の一体的な構成部品として構成された連続するらせん状支持部に支持されている、請求項16記載のレイングヘッド。
【請求項18】
前記チャネル状ガイドトラフの前記底部は、前記らせん状支持部の外縁を備える、請求項17記載のレイングヘッド。
【請求項19】
前記突出部は、前記管状ボディに着脱可能に固定されている、請求項16から18までのいずれか1項記載のレイングヘッド。
【請求項20】
前記製品ガイドは、前記らせん状支持部の外縁に着脱可能に固定されたパイプを備える、請求項17記載のレイングヘッド。
【請求項21】
圧延機レイングヘッドの回転クイルから片持ち状に軸方向に突出するように構成された管状突出部であって、前記クイルは、該クイルの回転軸線と位置合わせされた入口端部と、該入口端部から、製品ガイドのらせん状延長部を提供するガイドトラフと連通する送出端部に通じる中間湾曲部と、を有する製品ガイドを支持し、前記突出部は、前記ガイドトラフならびに前記製品ガイドの前記中間湾曲部および前記送出端部のための連続した支持を提供するように構成および配置されたらせん状プレートを備え、該らせん状プレートは、前記突出部の一体的な部品として形成されていることを特徴とする管状突出部。
【請求項22】
前記らせん状プレートは、前記突出部の一体部分として構成されている、請求項21記載の管状突出部。
【請求項23】
前記らせん状プレートの外縁が前記ガイドトラフの底部を備える、請求項21または22記載の管状突出部。
【請求項24】
当該管状突出部の一端が、前記クイルに着脱可能に固定されるように構成および配置されている、請求項21から23までのいずれか1項記載の管状突出部。
【請求項25】
前記製品ガイドの前記中間湾曲部および前記送出端部は、前記らせん状プレートの縁部においてブラケットによって固定されている、請求項21から24までのいずれか1項記載の管状突出部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月28日に出願された米国仮出願第61/707510号明細書および2012年9月13日に出願された米国特許出願第13/614145号明細書の利益を合衆国法典第35巻第119条(e)に基づいて主張し、それらの内容および要旨を引用したことにより本明細書に援用する。
【0002】
背景
1.分野
本発明の態様は高速棒材圧延機に関し、特に熱間圧延製品を一連のらせん状リングに成形するためにそのような圧延機に使用されたレイングヘッドの改良に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
図1を参照すると、従来のレイングヘッド10は回転可能に駆動される中空クイル12を含むハウジングを備えている。クイルは、軸方向に離間した軸受け14,16の間で回転可能に支承された管状ボディ12aと、取付フランジ20によって管状ボディ12aに着脱可能に固定された突出部18とに分かれている。突出部は、管状ボディから片持ち状に軸方向および前方向に突出している。
【0004】
クイル12は、通常3次元的に湾曲したレイングパイプ22の形状をした製品ガイドを備えている。レイングパイプは、クイル12の回転軸線「X」と位置合わせされた入口端部22aと、軸線Xから半径方向に離間した送出端部12cにつながる湾曲した中間部分12bとを備えている。
【0005】
熱間圧延鋼棒は、軸線Xに沿ってレイングパイプ22の入口端部22aに送り込まれ、かつらせん形状のリング(図示せず)として送出端部12cから出る。レイングパイプ22の送出端部12cから出ると、リングは、筒状側板26によって囲まれたらせん状ガイドトラフ24によって追加的に拘束され、かつ前方向へ移動させられる。ガイドトラフ24は、レイングパイプ22によって形成されたガイド通路の軸方向および半径方向に拘束されたらせん状延長部を提供するために、側板26と協働するように構成および寸法設定されている。
【0006】
この延長された拘束部は、製品がレイングヘッド10から出るときに製品の後端部が変形およびキンクするのを抑えるのに非常に有益であるということが分かっているが、ガイドトラフ24を支持する仕方およびガイドトラフ24の設計は、幾つかの問題点を生じさせており、それらの問題点はレイングヘッドの高速運転を犠牲にするということが分かっている。
【0007】
例えば、レイングパイプ22の湾曲した中間部分12bは半径方向に突出する支柱28によって突出部18に支持されており、またガイドトラフ24は、片持ちされた突出部18の端部に着脱可能に取り付けられた別体のディスク状トラフ支持部30に支持されている。
【0008】
図2および図3をさらに参照すると、ディスク状トラフ支持部30は、外縁部に通常24’で示されるチャネル状トラフセグメントが取り付けられているらせん状プレート34の中心にハブ32を備えていることが分かる。
【0009】
通常、らせん状プレート34はハブ32に溶接されており、トラフ支持部30の結果として得られる構造は、レイングヘッドの高速運転によって生じる応力に耐えることができるように、堅牢でかつひいては重量がある。さらに、トラフ支持部30をレイングヘッドの回転軸線Xに関して正確に位置合わせする際に幾つかの問題が引き起こされる。少しのずれであっても、高速では破壊的な振動が引き起こされる。
【0010】
別の欠点は、通常は一体の高価なインベストメント鋳造物を備える従来のトラフセグメント24’に関する。従来の鋳造材料は、熱間圧延製品との摩擦接触によって生じる摩擦に対する十分な耐性を欠いているということが分かっている。この問題に対処しようとする試みは、トラフセグメント側壁の厚みを増すことを含むが、結果として重量が増すことがレイングヘッドの不安定性をさらに助長するということが分かっている。
【0011】
概要
概して、本発明の態様は、レイングパイプを備えることができる製品ガイドと、ガイドトラフとを、クイルの管状ボディから軸方向および前方向に突出する突出部の一体的な構成部品として形成された連続するらせん状支持部において支持することを含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、ガイドトラフセグメントは連続する底部に分かれており、その連続する底部はらせん状支持部の外縁部を備えており、側壁はセグメント化されており、トラフ底部に着脱可能に固定されており、かつ摩耗したときに容易に取り替えることができる。
【0013】
本発明のこれらおよび別の目的、特徴および利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を読むことによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの部分が断面で示された、従来のレイングヘッドの側面図である。
図2図1に示される従来のレイングヘッドの突出部およびガイドトラフアセンブリの前方透視図である。
図3図1および図2に示される従来のガイドトラフアセンブリの部分分解透視図である。
図4】レイングパイプおよびガイドトラフが、突出部の一体的な構成部品を備えた連続するらせん状支持部に支持された、本発明の例示的な実施の形態によるレイングヘッドクイルの突出部の後方透視図である。
図5図4に示される突出部の前方透視図である。
図6図5に示される突出部の片側を示す図である。
図7図5に示される突出部の反対側を示す図である。
図8図4の線8−8に沿った、本発明の例示的な実施の形態によるトラフセグメントの詳細を示す、拡大した縮尺の断面図である。
図9図9Aおよび図9Bは、それぞれ本発明の例示的な実施の形態によるガイドトラフ側壁セグメントの透視図および側面図である。
【0015】
詳細な説明
本発明によれば、図1に示される突出部18と別体のディスク状トラフ支持部30との従来のアセンブリは、一体的な突出部36に置き換えられ、その例示的な実施の形態は図4に示されている。一体的な突出部36は、中央管状ボディ38を備える。中央管状ボディ38の一端には、図1図3に示される従来のレイングヘッドクイル12の管状ボディ12aに接続されるよう構成された取付フランジ40が提供されている。巻き出されたらせん状渦巻き部として構成される連続したらせん状プレート42を備えてもよいらせん状支持部が、中央ボディ38に取り外せないように接合されている。
【0016】
図5図7をさらに参照することによって最もよく理解できるように、らせん状プレート42は、取付フランジ40から中央ボディ38の遠位端に向かって連続して延びている。プレート42の一部はその縁部においてブラケット44を支持している。図4から最もよく理解できるように、ブラケット44はクランプ46と協働して、レイングパイプ22をその作動位置に固定している。らせん状プレート42の残りの縁部は、チャネル状ガイドトラフ50の底部48として機能する連続するカラーによって形成されている。
【0017】
レイングパイプ22とガイドトラフ50とを、片持ちされた突出部36の一体的な構成部品として形成された連続したらせん状プレート42に支持することによって、応力集中が大幅に軽減される。これによって、ひいては突出部36の重量の低減が可能になり、その結果、レイングヘッドの回転アセンブリの重心が、有利に後方に移動し、軸受け14,16に近くなる。結果として、振動に対する全体的な剛性および耐性は有利に向上する。
【0018】
図8図9Aおよび図9Bを参照すると、ガイドトラフ50の側面52はセグメント化されており、かつボルト54およびナット56を備えてもよい従来の締結具によって着脱可能に底部48に固定されている。トラフ側壁セグメント52の例示的な実施の形態は、図9Aおよび図9Bに示されている。
【0019】
個々の側壁セグメント52が摩耗の促進を受ける場合、それらを、それほど摩耗していない他のセグメントを取り替えることなく容易に取り替えることができる。
【0020】
好適には、側壁セグメント52は同一である。側壁セグメントは軽量の耐摩耗性材料から鋳造または製造されてよく、実例として、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素繊維、熱可塑性樹脂等が挙げられる。追加的にまたは代替として、側壁セグメント52の内側表面52’は、例えばナノメタルなどの耐摩耗性材料を含むか、または耐摩耗性材料でコーティングされてもよい。
【0021】
上述の記載および図面は、本発明の原理を単に例証するものであって限定的に解釈されない。種々の変更および変形が当業者には明らかであろう。そのような全ての変更および変形は、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲に含まれることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B