特許第6242902号(P6242902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242902太陽エネルギーシステムに適した着色反射および高日射透過率を有する積層グレージング(laminatedglazing)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242902
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】太陽エネルギーシステムに適した着色反射および高日射透過率を有する積層グレージング(laminatedglazing)
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/48 20060101AFI20171127BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F24J2/48 N
   C03C27/12 N
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-532535(P2015-532535)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公表番号】特表2016-500799(P2016-500799A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】IB2013058115
(87)【国際公開番号】WO2014045141
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年8月19日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2012/055000
(32)【優先日】2012年9月20日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】516233941
【氏名又は名称】スイスインソ・ホールディング・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニー・オディ ル カエル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シューラー
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−514849(JP,A)
【文献】 特表平03−503755(JP,A)
【文献】 特開昭49−083454(JP,A)
【文献】 米国特許第04273098(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/48
C03C 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽エネルギーシステムを統合するための積層されたグレージングユニットであって、2つの主面によって区切られた基板と、2つの主面によって区切られた多層の干渉フィルタとを含み、一方の主面で前記基板と、他方の主面で積層ポリマと接触するように適用され;前記基板は、屈折率ninc=1を有する入射媒体と接触し、550nmで1.45≦
substrate≦1.6と定義される屈折率nsubstrateを有し;前記積層ポリマは、屈折率が550nmで1.45≦nexit≦1.6と定義される出射媒体としてみなされ;ここで、前記ユニットは、以下の要件が満たされるように設計される、すなわち:
1a)昼光照明CIE−D65下で、CIE色座標L*、a*、およびb*に従って、
【数1】
によって与えられる色の飽和度は、灰色および茶色を除いて、法線に近い反射角で8より高く、
1b)法線に近い反射角Rvisにおける可視反射率は4%より高く、
1c)反射角θrが変動するときの反射の支配色MDの主波長λMDの変動は、θr<60
°に対して15nmより小さく、
1d)法線に近い入射における総半球日射透過率は80%を上回る、前記グレージングユニット。
【請求項2】
たとえば酸エッチングなどの化学処理によって得られる光を拡散する粗い外面を含む、請求項1に記載のグレージングユニット。
【請求項3】
酸エッチング処理を使用して前記外面の反射防止特性を生じさせ、したがって前記システムの光学特性を強化し:法線入射における光ビームの日射透過率は、未処理の表面よりエッチングされた表面に対して約3%高い、請求項1または2に記載のグレージングユニット。
【請求項4】
積層グレージングの裏側に任意選択の反射防止コーティングを施して太陽熱の応用例に
対してシステムの光学特性を強化し:法線入射における光ビームの日射透過率は、未処理の表面より反射防止コーティングが施される表面で約3%高い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項5】
90%より高い日射透過率を特徴とし、太陽エネルギーシステムの最大効率に適している、太陽ロールガラス、極白色フロートガラス(鉄含有率は120ppm未満)、または高分子材料(PET、PEN、PFA、FEP、ETFE、PTFE...)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項6】
太陽ロールガラスが平坦かまたはテキスチャ付きである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項7】
EVAなどのエラストマ架橋ポリマ、PVBなどの熱可塑性生成物、またはイオノプラスチックポリマ(ionoplastic polymer)を使用して、ガラスまたはポリマ窓を積層によってともに接合し、ユニットの日射透過率は、0.4〜0.5mmのポリマ厚さに対して92%より高い、請求項1〜6のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項8】
前記干渉性フィルタは、最高9つの厚さ最高400nmの誘電体層からなる多層の干渉性スタックであり、波長λが450nm≦λ≦2500nmの場合、消衰係数k≦0.2によって表される低い吸収率を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項9】
前記干渉フィルタは、550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦2.2を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく3つの副層によって構成された緑色の反射を有し;概略的な設計は:
空気の入射媒体//基板//30±12nmのH/25±12nmのL/320±12nmのH//ポリマの出射媒体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項10】
前記干渉フィルタは、550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦2.2を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく5つの副層によって構成された緑色の反射を有し;概略的な設計は:
空気の入射媒体//基板//185±12nmのH/25±12nmのL/35±12nmのH/35±12nmのL/130±12nmのH//ポリマの出射媒体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項11】
前記干渉フィルタは、550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦2.2を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく7つの副層によって構成された緑色の反射を有し;概略的な設計は:
空気の入射媒体//基板//160±12nmのH/130±12nmのL/65±12nmのH/25±12nmのL/70±12nmのH/160±12nmのL/100±12nmのH//ポリマの出射媒体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項12】
550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦1.8を有する低屈折率材料Lと550n
mで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく3つの副層によって構成された青色の反射を有する干渉フィルタを含み;それによって、多層設計は:
空気の入射媒体//基板/45±12nmのH/70±12nmのL/45±12nmのH//ポリマの出射媒体に対応する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項13】
550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.65≦n≦2.1を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく5つの副層によって構成された黄緑色の反射を有する干渉フィルタを含み;それによって、多層設計は:
空気の入射媒体//基板/175±12nmのH/85±12nmのL/50±12nmのH/25±12nmのL/300±12nmのH//ポリマの出射媒体に対応する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項14】
550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦1.8を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく7つの副層によって構成された黄色がかった橙色の反射を有する干渉フィルタを含み;それによって、多層設計は:
空気の入射媒体//基板/120±12nmのH/120±12nmのL/95±12nmのH/90±12nmのL/90±12nmのH/95±12nmのL/100±12nmのH//ポリマの出射媒体に対応する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項15】
550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.4≦n≦1.8を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく2つの副層によって構成された灰色の反射を有する干渉フィルタを含み;それによって、多層設計は:
空気の入射媒体//基板//40±15nmのH/75±30nmのL//ポリマの出射媒体に対応する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項16】
550nmで1.45≦nsubstrate≦1.6を有するガラスまたはポリマ基板上に堆積され、550nmで1.65≦n≦2.1を有する低屈折率材料Lと550nmで1.8≦n≦2.5を有する高屈折率材料Hとに基づく4つの副層によって構成された茶色の反射を有する干渉フィルタを含み;それによって、多層設計は:
空気の入射媒体//基板//50±12nmのH/90±12nmのL/65±12nmのH/55±12nmのL//ポリマの出射媒体に対応する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項17】
ファサードの応用例における安全性のために熱処理(熱強化または完全に焼き戻し)された1つまたはそれ以上のガラス窓(複数可)を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のグレージングユニット。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の積層グレージングを含む太陽エネルギーシステム。
【請求項19】
熱収集器を含み、ここで、グレージングは該太陽熱収集器に直接接着される、請求項18に記載の太陽エネルギーシステム。
【請求項20】
太陽光グレージングは収集器の枠より大きい、請求項19に記載の太陽エネルギーシステム。
【請求項21】
積層グレージング内に完全に統合された活性のシステム(シリコンセル、PV薄膜、接点、後方反射器...)を有するPVシステムを含む、請求項18に記載の太陽エネルギーシステム。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の太陽エネルギーシステムを含む太陽光屋根または建物ファサード。
【請求項23】
太陽エネルギーシステムは、グレージングに取り付けられた固定具によって吊るされる、請求項22に記載の太陽光屋根または建物ファサード。
【請求項24】
積層グレージングが重複する、請求項22または23に記載の太陽光屋根または建物ファサード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばソーラーアクティブガラスファサードとして太陽エネルギーシステムの建築的な統合を提供する、太陽エネルギーシステムに適した着色積層グレージングを扱う。
【0002】
定義
直接透過率
平行な放射ビームが表面、界面、または試験片に入射した結果、平行なビームが透過される場合、透過率は直接的であると見なされる。これは、たとえば平坦な表面または界面に当てはまる。
【0003】
拡散透過率
平行な放射ビームが表面、界面、または試験片に入射した結果、透過ビームの角分布が多かれ少なかれ広くなった場合、透過率は拡散的であると見なされる。これは、たとえば、粗い表面もしくは界面、または粒状構造の試験片に当てはまる。
【0004】
概して、拡散透過率は、放射の入射角および波長λに依存する。入射角が明示されていない場合、一般に法線入射であると想定される。
【0005】
総半球透過率
総半球透過率は、直接透過率と拡散透過率との和によって得られる。
total=Tdirect+Tdiffuse
【0006】
概して、総半球透過率は、放射の入射角および波長λに依存する。入射角が明示されていない場合、一般に法線入射であると想定される。
【0007】
日射透過率Tsol
計算または測定されたサンプルの総半球透過率のスペクトルT(λ)を考えれば、日射透過率Tsolは、太陽スペクトルIsol(λ)で積分することによって得られる:
【数1】
上式で、通例、エアマス1.5(AM1.5)における太陽スペクトルが強度Isol(λ)として用いられる。
【0008】
可視反射率Rvis
可視反射率Rvisは、特定の照明条件下で人間の目に見える表面の明るさに対する尺度である。白色の表面または完全な鏡は100%の可視反射率を示し、着色面または灰色の表面はより低い可視反射率を示す。可視反射率Rvisの判定は、明所視視感効率関数(photopic luminous efficiency function)V(λ)に基づいて行われ、イルミナントIILL(λ)の選択に依存する:
【数2】
上式で、R(λ)は、シミュレートまたは測定されたサンプルの半球反射率である。
【0009】
反射角
反射角θは、表面から反射した光線と表面に対して垂直な線とによって反射点で形成される角度である。ここで、θおよびθは、それぞれ入射角および透過角に対応する。
【0010】
【化1】
【0011】
屈折率および消衰係数
光が媒体を通過するとき、常に光の一部は吸収される。これは、好都合には、複素屈折率Nを定義することによって考慮に入れることができる:
N=n−ik [1]
上式で、実数部n(屈折率)は位相速度を示し、虚数部k(消衰係数)は、電磁波が材料を伝播するときの吸収損失量を示す。
【0012】
反射防止
処理済みの表面は、法線に近い入射における光ビームの日射透過率が未処理の表面より高いとき、反射防止性であると見なされる。
【0013】
CIE1931XYZ色空間
国際照明委員会(CIE、Commission Internationale d’Eclairage)は、色を定量化する方法について記載している[2]。CIE色度図に示すように、すべての既存の色を平面内に表し、デカルト座標によってマッピングすることができる。定量化は、人間の目の色感度を反映する1931CIE等色関数、すなわちx(λ)、y(λ)、およびz(λ)に基づく。これらの関数は、観測視野の幅にある程度依存する(発明者らは、2°の開口角に対する関数を使用する)。
【0014】
CIE1976(L、a、b)色空間(すなわちCIELAB)
CIE Lは、人間の目に見えるすべての色を記述するために従来から使用されている最も完全な色モデルである。CIE Lは、この特有の目的のために国際照明委員会(Commission Internationale d’Eclairage)によって開発された。このモデルの3つのパラメータは、色の輝度(L
、L=0は黒色をもたらし、L=100は白色を示す)と、マゼンタと緑色との間のその位置(a、負の値は緑色を示し、正の値はマゼンタを示す)と、黄色と青色との間のその位置(b、負の値は青色を示し、正の値は黄色を示す)とを表す。
【0015】
支配色
色の主波長は、指定の無彩色刺激と適した比率で付加的に混合されたときに考えられる色刺激に整合する単色光刺激の波長として定義される[3]。したがって、あらゆる色は、その波長λによって定義される単色の支配色Mに関係付けることができる。
【0016】
色飽和度
色飽和度は、その色が純粋な灰色からどの程度異なるかを示す尺度である。飽和度とは、実際には明暗に関する事柄ではなく、その色がどの程度弱いかまたは強いかである。色の飽和度は一定ではなく、その色をどのような環境および照明で見るかに応じて変動し、以下に式によって与えられる:
【数3】
上式で、aおよびbは、昼光照明CIE−D65下におけるCIE色座標である。
【背景技術】
【0017】
建物の外装の一体要素として太陽エネルギーシステムを受け入れることは、主に、好ましくない外見によって制限される。これらの要素は、隠すべき技術的構成要素と見なされており、あまり見えず、建築設計にあまり影響を与えない屋上での応用例に限られることが多い[4]。より良い外観の太陽光システムの開発は、たとえばソーラーアクティブガラスファサードとして太陽エネルギーシステムを建築的に統合するための新しい展望を開くことができる。1つの解決策は、太陽光システムのグレージングの内側に着色された干渉性の薄膜を付加することである。このコーティングは、色を反射し、したがって太陽光デバイスの技術的部材を隠すが、相補スペクトルは透過する。誘電体薄膜の多重堆積に基づく着色ガラス窓は、太陽熱収集器にとって特に重要であることが実証されており[5〜8]、2004年のPCT出願に対する主題となった[9]。しかし、このPCT出願に開示する発明には、次の内容に対処する上でいくつかの弱点がある:
− 安全性:同発明は、ファサードの設置に対する安全性要件を満たさない、焼き戻ししない非積層グレージングの使用を考慮している。したがって、単一のグレージング(出射媒体は空気であり、nexit=1)に対して計算される着色設計は、積層グレージング(出射媒体はポリマであり、550nmで1.45≦nexit≦1.6)に適していない。
− 色の安定性:2004年のPCT出願の文脈では、色は、狭い反射ピークを示す4分の1波長の干渉スタックに基づいていた。個々の層の数を制限し、関係する材料の屈折率を選択することによって、妥当な反射ピークの振幅が得られ、したがって優れた日射透過率をコーティングに提供した。しかし、反射角が増大すると、狭い反射ピークがより小さい波長へシフトするため、以前に開発された色(青色を除く)は、視角/観測角/反射角に依存していた。実施例1は、観測角を増大させた場合に青色へシフトした緑色設計を提示する(図1図2、および表1参照)。
− 産業規模の生産:コーティングスタック内では比較的厚い(100nm超)のSiO層が必要とされ、したがって産業規模における着色ガラスの生産速度を制限した。
【0018】
このPCT出願はまた、収集器のグレージングの外側に表面処理(高温パターニング、酸エッチング、砂または石の突起...)を施して拡散光透過率をもたらす可能性にも言及している。この処理には、太陽光デバイスの技術的部材のマスキング作用を補強する作用があり、グレア作用を防止し、現在のアーキテクチャで強く要求されている無光沢の表面を作り出す。利用可能な拡散表面処理の中でも、酸エッチングは間違いなく、産業レベルで最も適した最も広く使用されている処理である。歴史的に、ガラスの酸エッチング処理は、フッ化物酸ベースの溶液を使用することによって実行される[10]。フッ化物酸は、安全性、作業者の健康、および環境汚染に関する様々な問題の原因となる強い化学薬品である。この理由のため、緩衝溶液(フッ化物酸の一部が二フッ化水素アンモニウムなどのフッ化物塩に置き換えられる)[11〜13]またはそれほど強くなくてより環境に優しいフッ化物塩に基づく溶液[14〜15]の使用がますます一般的になりつつある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
前章に記載の問題は、特許請求の範囲で定義されるような太陽光グレージングユニットに関する本発明によって解決される。本革新は、強化されたマスキング作用、角度的な色の安定性、エネルギー性能、および機械的安定性を有する着色積層グレージング(好ましくは、排他的ではないが、ガラスから作られる)を扱う。
【0020】
着色積層グレージングシステムが図3に図示されており:
− 外側ガラスの裏側(図3aおよび図4a)、2つのガラス窓間にカプセル化されたポリマ膜の裏側もしくは前側(図3bおよび図4b)、または内側ガラスの前側(図3cおよび図4c)に堆積された、カプセル化された干渉性の着色多層コーティングと、
− テキスチャ付きまたはテキスチャなしの拡散性の外面と、
− 熱またはPVTの応用例で内側ガラスの裏側に施された任意選択の反射防止コーティングとの組合せとして説明することができる。
【0021】
太陽熱またはPVTシステムは、積層グレージングの後ろに取り付けられ、または積層グレージングに直接接着されるが、PVシステムは、積層グレージング内に完全に統合される。
【0022】
1.着色コーティング
着色コーティングを堆積させる基板の選択は、非常に重要である。太陽エネルギーシステムの最大効率を確保するために、基板は、高い日射透過率を提示しなければならず、したがって、太陽ロールガラス(solar roll glass)、極白色フロートガラス(extra−white float glass)(鉄の含有率が非常に低い)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フッ化炭素ポリマ(PFA、FEP、ETFE、PTFE...)などの高分子材料に対する可能性が制限される。表面の平坦性もまた、特にファサードの応用例にとって重要な問題である。干渉性コーティングの色の変動は不可視のはずなので、着色コーティングの堆積の場合、ガラスの性質の選択においてさらなる自由を与える極白色フロートガラスおよび高分子材料は、太陽ロールガラスより好ましい。
【0023】
透過層の多層干渉性スタックからなる着色コーティングは、高い日射透過率Tsolを有していなければならない。したがって、コーティング内の吸収を最小にするべきであるため、好ましくは、誘電体酸化物が選択される。様々な可能性の中でも、SiO、Al、MgO、ZnO、SnO、HfO、Nb、Ta、およびTiOなどの材料は、たとえば、本明細書に記載する本発明に完全に適している。
【0024】
可視反射率Rvisは、グレージングに当たる光が後方反射する割合であり、グレージングのマスキング特性に関する情報を提供する。このとき、この値は、太陽エネルギーシステムの技術的部材の良好なマスキング作用を可能にするのに十分なほど高いが、良好な日射透過率を確保するのに十分なほど低くなければならない。このとき、マスキング作用と太陽光デバイスの性能との間で良好な妥協点を見つけなければならない。本発明の文脈では、Rvisは、4%より高くしなければならない。
【0025】
色の強度は、下式によって示される色の飽和度によって与えられる:
【数4】
上式で、aおよびbは、昼光照明CIE−D65下のCIE色座標である。よく見える色を提供するために、色飽和度は、法線に近い反射角で8より高くなければならない。非常に飽和度の低い寒色および暖色にそれぞれ対応する灰色および茶色には、例外が設けられる。
【0026】
本明細書では、色の安定性に関して、4分の1波長の干渉スタックを修正して非対称の設計を得ることによって、2004年のPCT出願と比較すると改善がなされている。そのような修正の結果、大きい単一の反射ピークまたはいくつかの小さい反射ピークを特徴とする反射率曲線が得られた。このとき、多層コーティングは、反射率曲線の形状の関数として、以下のいずれかによって定義される色を反射する:
− 太陽スペクトルの可視部分内に位置する単一の反射率ピークの最大強度の波長。たとえば、図5は、コーティングに対する黄緑色の支配色に対応する最大強度λmax=570nmの法線入射(視角0°)における反射率曲線を表す。
− または、可視スペクトル領域内に位置する2つ以上の反射率ピークの波長の組合せ。たとえば、図6は、スペクトルの可視部分内でそれぞれ413nm、534nm、および742nmに位置する3つのピークを有する法線入射における反射率曲線を示す。その結果得られる当該コーティングの支配色は、λ=500nm(緑色)に位置する。
【0027】
視角を増大させると、スペクトルの大部分の特徴は、λmaxの位置、したがってコーティングの支配色の修正を含めて、より小さい波長へシフトする。例として、様々な反射角θ(0°〜85°)において黄緑色のコーティングと緑色のコーティングとの両方に対して得られる反射率曲線が、それぞれ図7(a)および図7(b)に与えられている。
【0028】
着色グレージングに良好な角度的な色の安定性を提供することは、建物の統合にとって非常に重要である。色の変動を回避または制限するために、強い努力がなされてきた。色の安定性の原理は、次のように説明することができる。概して、層の色Mは、その反射率曲線がどのような形状であっても、いくつかの色の混合と見なすことができる。
【0029】
より明確にするために、太陽スペクトルの可視部分内に2つの反射ピークを有し、これらの反射ピークの波長および色がそれぞれλ、Cおよびλ、Cであることを特徴とする架空の着色層に関して説明する(図8a参照)。色Mは、支配色Mによって定義され、支配色Mの波長λMDは、λとλとの間に含まれ、その位置は、両反射ピークの相対強度に依存する(図8b参照)。視角を増大させると、反射ピークはより短い波長へシフトする。点Mの位置を保持するために、CからC1’へのシフトは、CからC2’への同等のシフトならびに両ピークの相対強度の修正によって補償しなければならない。少なくとも、点Mは、線MMによって定義される色区分上で維持しなければならない。その場合、コーティングの支配色は同じままである。この補償は、干渉性の着色コーティングスタックを構成する個々の層の材料の性質および厚さを注意深く選択することによって実現することができる。
【0030】
この原理から、3つ以上の反射ピークを特徴とするより複雑な設計を推定することができる(図9参照)。
【0031】
この原理に基づく緑色の着色設計が、実施例2、実施例3、および実施例4に与えられている(図10図11図12図13図14図15、ならびに表2、表3、および表4参照)。異なる反射角に対するこれらの3つのコーティングのCIE−D65イルミナント下の(x,y)色座標、可視反射率Rvis、日射透過率Tsol、主波長λMD、ならびに色Mおよび色飽和度Cabが与えられている。各設計に対する対応する色変動の図も示されている。各設計に対して、色および反射率のわずかな変動だけが(特に、最高60°のθの場合)、高い日射透過率と組み合わせて観測される(最高60°で80%を上回る)。これらのコーティング設計に対して観測される支配色の波長の変動(実施例2の場合、0°〜60°で9nmの変動)は、2004年のPCT出願の設計(実施例1)のほぼ4分の1である。
【0032】
2004年のPCT出願[6]と比較した本明細書における別の利点は、比較的厚いSiOコーティングが、堆積速度のより速い他の酸化物によって置き換えられたことである。実際に、多層干渉性スタックは、産業規模では、インライン式のマグネトロンスパッタリングによって堆積される。低コストの生産のためには、副層の数および個々の層の厚さを制限しなければならない。
【0033】
様々な反射色(青色、黄緑色、黄色がかった橙色、灰色、および茶色)を有するコーティング設計の他の例が、実施例5〜9に与えられている(図16〜25および表5〜9参照)。
【0034】
2.拡散面
着色積層グレージングの外面には、拡散面処理が施される。ガラス基板は、極白色フロートガラスまたは太陽ロールガラスとすることができる。極白色フロートガラスには、より良好な平坦性を有するという利点があり、ファサードの応用例にとって好ましい。また、どちらのタイプのガラスも、多種多様なテキスチャおよびパターンが外面に施された状態で市販されている。この種のガラスは、何らかの起伏を付加するため、屋根の応用例の場合はタイルの外観に近づけるために使用することができる。
【0035】
エッチング処理は、着色フィルタのマスキング作用を補強する拡散光透過率をもたらすために施される。また、エッチング処理には、建築家によって望まれることが多い無光沢の表面を作成し、グレア作用を防止するという利点がある。
【0036】
また、エッチング溶液の適当な組成物を選択することによって、処理済みのガラス表面上の好ましいマイクロ/ナノ構造により、反射防止特性を生じさせることができる。たとえば、緩衝溶液中における酸エッチングによるガラス表面の処理[13]によって、マイクロメートルの島とナノメートルの開口部とを組み合わせてどちらも均一に分散させた特定の構造が得られる。このようにしてその結果得られた低反射率のガラス表面は、本明細書に記載する太陽光の応用例に完全に適している。
【0037】
文献[14〜15]に基づいて、二フッ化水素アンモニウム(ABF)、水(HO)、イソプロパノール(IPA)、糖(スクロース、フルクトースなど)の成分のいくつかから構成されたエッチング溶液が開発された。これらの溶液は、広範囲の組成物にわたって、処理時間が20分未満の場合に特に効果的である。
【0038】
妥当な濃度範囲を有する効果的な溶液の例を以下に与える:
− 溶液1:10〜30重量%/20〜40重量%/残余という比率を有するABF/IPA/水の混合物。
− 溶液2:15〜25重量%/15〜40重量%/残余という比率を有するABF/スクロース/水の混合物。
【0039】
反射防止特性のため、処理済みのガラス表面に対して優れた透過率が得られる。処理済みのガラス表面で測定した半球の法線透過率は、未処理のガラスの場合が92%であるのに対して、約95%である(図26参照)。
【0040】
図27a)および図27b)は、それぞれABF/IPAベースのエッチング溶液(ABF/IPA/HO=30/10/60)およびABF/スクロースベースのエッチング溶液(ABF/スクロース/HO=18/18/64)によって構築されたガラス表面のSEM写真を提示する。どちらの写真も、同じエッチング時間(15分)および同じ倍率で撮影されたものである。第1の場合(図27a)、表面は比較的平滑であり、表面全体に存在するナノ孔の接合部に由来するいくつかのマイクロ規模の凹凸を提示している。第2の場合(図27b)、表面ははるかに粗い構造を特徴とし、ある種の角錐によって高密度で覆われている。これらの角錐は、約10μmの高さを有し、寸法がしばしば約100μm〜120μmの底面積は異なるタイプの多角形によって定義されており、顕著なナノ構造の側壁を有する。このとき、測定される日射透過率の利得は、マイクロ規模のパターニングとナノ規模の粗さ修正とを組み合わせたことに起因する反射防止特性によって説明することができる。
【0041】
3.焼き戻しおよび積層
コーティングの堆積およびエッチング後、異なるガラス窓は焼き戻しされる。着色コーティング(酸化物から作られる)と拡散面(主にSiO)とはどちらも非常に良好な熱安定性を提示するため、この熱処理の実行に対する制限はない。
【0042】
次いで、ガラス窓と、必要な場合は他の要素(コーティングされたポリマ膜、結晶シリコンセル...)とが、積層によってともに接合される。積層ポリマは、好ましくは、排他的ではないが、EVA(エチレン−ビニル−酢酸)などのエラストマ架橋生成物またはPVB(ポリビニルブチラール)などの熱可塑性生成物である。これらの生成物は、高い日射透過率、低い屈折率、およびガラスまたはポリマ窓に対する良好な接着性を特徴とする。
【0043】
両方の処理を組み合わせて行い、ファサードの応用例に対する安全性要件を満足させるだけでなく、いくつかの利点を提供する。まず、積層は、選択された構成(図3および図4参照)に応じてコーティングおよびエッチングに対して異なる供給連鎖を有する可能性を提供することができ、したがって大幅な時間の節約を提供することができる。さらに、着色コーティングをカプセル化して、熱収集器上に取り付けたときにグレージングの内側で水が凝縮することによるあらゆる色変化を回避する。
【0044】
別の利点は、積層グレージングの良好な機械強度であり、それによって次のことが提供される:
− 太陽熱またはPVTシステムより大きいグレージングを使用して、それをグレージングの裏面に直接接着し、したがって完全に隠すことが可能である。着色コーティングはカプセル化されているため、接着された収集器の枠に沿っていかなる色変化も生じさせることなく、そのような収集器を得ることができる(干渉性コーティングが積層ポリマまたは接着剤に直接接触している場合に当てはまる)。したがって、熱、PV、およびPVTシステムは、まったく同じ外観を有する。
− 太陽光デバイスを機械的に固定するためにガラスを使用することが可能である。
【0045】
これらの能力により、屋根およびファサードの設置に対してかなりの柔軟性を提供する多価の生成物を生成することが可能になる。例として、図28は、着色積層グレージングの後ろに接着される熱太陽光システムの取付けに対する可能な変形形態を提示する。図28a)では、太陽熱収集器は、収集器の枠より大きい積層グレージングの裏面に接着される。本明細書では、太陽熱収集器は、グレージングが重複した屋根上に取り付けられ、2つの重複するグレージング間の封止の存在によって防水が提供される。住居用のファサードまたはガラスファサードを有する大きな建物に対する通風孔付きのファサードにおける太陽熱収集器の取付けに対する異なる変形形態を、それぞれ図28(b)および図28(c)に示す。本明細書では、釣り金物、重複する翼部、封止などは、建築家の要望、建物のタイプおよび要件、国の地域文化などに適合可能とすることができる。
【0046】
当然ながら、同じ取付け構成は、光起電デバイスだけでなく、複合型(熱デバイスとPVデバイスとの組合せ)の屋根およびファサードの設置にも可能である。
【0047】
4.任意選択の反射防止コーティング
太陽熱デバイスの日射透過率を増大させるために、内側ガラスの裏側に反射防止コーティングを施すことができる(図3参照)。
【0048】
実際には、ガラスの両側の反射率が4%になるため、最高品質のガラスに対して約92%という最大透過率の値を実現することができる。最善の場合、低い屈折率(1.52未満)を特徴とする反射防止コーティングを施すことによって、ガラス側の反射率を約3%低減させることができる。
【0049】
このとき、理論的には、着色積層グレージングの日射透過率を約3%増大させることができ、したがって干渉性の着色コーティングの存在による透過率の損失を補償することができる。
【0050】
参照文献
[1]H.A.McLeod、「Thin Film Optical Filters」、American−Elsevier、New York、1969年
[2]「International Commission on Illumination CIE.1986.Colorimetry」、CIE Publication 15.2.、第2版、ISBN3−900−734−00−3、Vienna
[3]「CIE Technical Report(2004) Colorimetry」、第3版、Publication 15、2004年
[4]M.Munari ProbstおよびC.Roecker、「Towards an improved architectural quality of building integrated solar thermal systems(BIST)」、Solar Energy、vol.81、2007年9月、1104〜1116頁
[5]A.Schuler、C.Roecker、J.L.Scartezzini、J.Boudaden、I.R.Videnovic、R.S.−C.Ho、P.Oelhafen、「Sol.Energy Mater」、Sol.Cells 84(2004年)、241頁
[6]J.Boudaden、R.S.C.Ho、P.Oelhafen、A.Schuler、C.Roecker、J.−L.Scartezzini、Solar Energy Materials & Solar Cells 84、225頁(2004年).
[7]A.Schuler、C.Roecker、J.Boudaden、P.Oelhafen、−J.L.Scartezzini、Solar Energy 79、122頁(2005年)
[8]A.Schuler、J.Boudaden、P.Oelhafen、E.De Chambrier、C.Roecker、J.−L.Scartezzini、Solar Energy Materials & Solar Cells 89、219頁(2005年)
[9]A.Schuler、PCT国際公開WO3004/079278A1(2004年)
[10]H.Niederprum、H.G.Klein、J.−N.Meussdoerffer、米国特許第4055458号(1977年).
[11]N.Enjo、K.Tamura、米国特許第4582624号(1986年)
[12]G.E.Blonder、B.H.Johnson、M.Hill、米国特許第5091053号(1992年)
[13]D.C.Zuel、J.−H.Lin、米国特許第5120605号(1992年)
[14]S.H.Gimm、J.H.Kim、米国特許第5281350号(1994年)
[15]H.Miwa、米国特許第7276181B2号(2007年)
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】実施例1に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な依存性を示す図である。
図2】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例1に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図3】熱およびPVTの応用例に対する着色積層グレージングの可能な構成の概略図である。着色コーティングは、(a)外側ガラスの裏側、(b)2つのガラス窓間でカプセル化されたポリマ膜の片側、(c)内側ガラスの前側上に堆積させることができる。
図4】PVの応用例に対する着色積層グレージングの可能な構成の概略図である。着色コーティングは、(a)外側ガラスの裏側、(b)2つのガラス窓間でカプセル化されたポリマ膜の片側、(c)内側ガラスの前側上に堆積させることができる。ここでは、PVデバイスの技術的部材は積層グレージング内に完全に統合されている。
図5】人間の目に可視の太陽スペクトル部分を区切る1988C.I.E.の正規化された明所視視感効率関数と、単一の反射ピークを提示する黄緑色のコーティング(λmax=570nm)の法線入射(視角0°)における反射率曲線とを示す図である。
図6】人間の目に可視の太陽スペクトル部分を区切る1988C.I.E.の正規化された明所視視感効率関数と、太陽スペクトルの可視部分内に3つの反射ピークを提示する緑色のコーティング(λ=500nm)の法線入射(視角0°)における反射率曲線(曲線の大部分)とを示す図である。
図7】(a)は、様々な反射角(0°〜85°)に対する黄緑色のコーティングの反射率曲線を示す図である。スペクトルの可視部分内に位置する反射ピークは、より小さい波長へシフトする:λmaxはλmax0°=570nmからλmax60°=500nmへ変動して、黄緑色から緑色へのコーティングの色変化をもたらす。(b)は、太陽スペクトルの可視部分内に3つの反射ピークを提示する緑色のコーティング設計に対する同じ図である。
図8】(a)は、太陽スペクトルの可視部分内の2つの反射ピークによって構成される架空の反射率曲線のグラフである。λ、Cおよびλ、Cは、小さい観測角における反射率ピークの波長および色である。λ1’、C1’およびλ2’、C2’は、より大きい観測角における対応する波長および色である。コーティングの支配色Mは、λとλとの間に含まれるλに位置し、その位置は両反射ピークの相対強度に依存する。(b)は、1931C.I.E.色度図上に表される色の安定性の原理の図である。Mは、小さい視角で太陽スペクトルの可視部分内にCおよびCによって定義される2つの反射ピークを有することを特徴とするコーティングの結果の色である。C1’およびC2’は、より大きい視角に対応する色である。Mは、Mの支配色である。
図9】(a)は、太陽スペクトルの可視部分内の3つの反射ピークによって構成される架空の反射率曲線のグラフ表現である。λ、C、λ、C、およびλ、Cは、小さい観測角における反射率ピークの波長および色である。λ1’、C1’、λ2’、C2’、およびλ3’、C3’は、より大きい観測角における対応する波長および色である。コーティングの支配色Mはλに位置し、その位置は、すべての反射ピークの相対強度に依存する。(b)は、1931C.I.E.色度図上に表される色の安定性の原理の図である。Mは、小さい視角で太陽スペクトルの可視部分内にC、C、およびCによって定義される3つの反射ピークを有することを特徴とするコーティングの結果の色である。C1’、C2’、およびC3’は、より大きい視角に対応する色である。Mは、Mの支配色である。
図10】実施例2に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図11】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例2に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図12】実施例3に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図13】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例3に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図14】実施例4に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図15】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例4に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図16】実施例5に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図17】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例5に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図18】実施例6に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図19】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例6に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図20】実施例7に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図21】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例7に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図22】実施例8に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図23】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例8に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図24】実施例9に示す着色設計のCIE−D65イルミナント下の1931CIE(x,y)色座標の角度的な安定性の図である。
図25】様々な反射角(0°〜85°)に対する実施例9に示すコーティング設計の反射率曲線の図である。
図26】溶液1(ABF/IPA/HO=30/10/60、エッチング時間15分)によってエッチングされたガラス、溶液2(ABF/スクロース/HO=18/18/64、エッチング時間15分)によってエッチングされたガラス、および未処理のガラスの法線半球透過率測定の図である。法線半球透過率は、両方のエッチングされたガラスに対して約95%であり、未処理のガラスに対して約92%である。
図27】ABFベースのエッチング溶液によって構築されたガラス表面のSEM写真である: (a)ABF/IPA/HO=30/10/60、エッチング時間15分 (b)ABF/スクロース/HO=18/18/64、エッチング時間15分
図28】着色積層グレージングの後ろに接着された熱またはPVT太陽光システムの取付けに対する可能な変形形態の図である:(a)グレージングを重複させた屋根の設置例、(b)住居用の通風孔付きファサードの設置例、(c)ガラスファサードを有する大きい建物への適合例。
【実施例】
【0052】
コーティング設計の実施例
〔実施例1〕
空気//136nmのL/222nmのH//ガラス//222nmのH/136nmのL//空気
ここで、n=1.54およびn=1.8である。
【0053】
〔実施例2〕
空気//ガラス//30nmのH/25nmのL/320nmのH//ポリマ
ここで、n=2.4およびn=1.65である。
【0054】
〔実施例3〕
空気//ガラス//185±12nmのH/25±12nmのL/35±12nmのH/35±12nmのL/130±12nmのH//ポリマ
ここで、n=2.4およびn=2.0である。
【0055】
〔実施例4〕
空気//ガラス//160±12nmのH/130±12nmのL/65±12nmのH/25±12nmのL/70±12nmのH/160±12nmのL/100±12nmのH//ポリマ
ここで、n=2.2およびn=2.0である。
【0056】
〔実施例5〕
空気//ガラス//45±12nmのH/70±12nmのL/45±12nmのH//ポリマ
ここで、n=2.0およびn=1.65である。
【0057】
〔実施例6〕
空気//ガラス//175±12nmのH/85±12nmのL/50±12nmのH/25±12nmのL/300±12nmのH//ポリマ
ここで、n=2.4およびn=2.0である。
【0058】
〔実施例7〕
空気//ガラス//120±12nmのH/120±12nmのL/95±12nmのH/90±12nmのL/90±12nmのH/95±12nmのL/100±12nmのH//ポリマ
ここで、n=2.0およびn=1.65である。
【0059】
〔実施例8〕
空気//ガラス//40±12nmのH/75±12nmのL//ポリマ
ここで、n=2.4およびn=1.65である。
【0060】
〔実施例9〕
空気//ガラス//50±12nmのH/90±12nmのL/65±12nmのH/55±12nmのL//ポリマ
ここで、n=2.4およびn=2.0である。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
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図26
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図28