(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242908
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】外装モバイル要素を有するレーザーノズル
(51)【国際特許分類】
B23K 26/14 20140101AFI20171127BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20171127BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/38 A
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-541206(P2015-541206)
(86)(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公表番号】特表2015-534904(P2015-534904A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】FR2013052533
(87)【国際公開番号】WO2014072609
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年8月2日
(31)【優先権主張番号】1260656
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ジョアニュー、トマ
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル、フィリップ
【審査官】
竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−169186(JP,A)
【文献】
特開平7−251287(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1354663(EP,A1)
【文献】
実開昭62−67689(JP,U)
【文献】
米国特許第4031351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 第1の軸方向通路(5)と、前記第1の軸方向通路(5)に補助ガス(23)を供給することを可能にする入口オリフィス(11’)とを備えるノズル本体(1)と、
− 軸方向ハウジング(7)を備える外側カバー(13)であって、さらに、前記外側カバー(13)の前面(13a)に位置する第1の出口オリフィス(14)を備え、前記ノズル本体(1)が、少なくとも部分的に前記軸方向ハウジング(7)内に配置される、外側カバー(13)と、
− 第2の軸方向通路(4)と、裾部を形成する前方部分(3a)とを備える可動要素(3)であって、前記外側カバー(13)と前記ノズル本体(1)との間に配置され、前記外側カバー(13)の前記軸方向ハウジング(7)内で並進的に移動可能である可動要素(3)と、
− 前記外側カバー(13)と前記ノズル本体(1)との間で、前記軸方向ハウジング(7)内に配置された弾性要素(8)と
を備えるレーザーノズルにおいて、
前記可動要素(3)が、前記補助ガス(23)のガス圧力の作用下で、前記軸方向ハウジング(7)内で前記第1の出口オリフィス(14)の方向に並進移動することができ、また、そのように設計され、前記圧力が、前記軸方向ハウジング(7)内に加えられ、前記可動要素(3)に掛けられ、前記弾性要素(8)が、前記軸方向ハウジング(7)内での前記第1の出口オリフィス(14)の方向での前記可動要素(3)の前記並進移動に対抗するようになされた弾性復元力を前記可動要素(3)に掛けることを特徴とする
レーザーノズル。
【請求項2】
前記可動要素(3)は、前記可動要素(3)の裾部を形成する前記前方部分(3a)が前記軸方向ハウジング(7)の前記第1の出口オリフィス(14)を通って前記軸方向ハウジング(7)から突出するまで、前記軸方向ハウジング(7)内で前記第1の出口オリフィス(14)の方向に並進移動することができ、また、そのように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体(1)、前記外側カバー(13)、及び前記可動要素(3)が、互いに同軸に配置された軸対称部品であり、前記ノズル本体(1)が、前記可動要素(3)の前記第2の軸方向通路(4)内に少なくとも部分的に配置された前方部分(1a)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体(1)の前記第1の軸方向通路(5)が、前記ノズル本体(1)の前記前方部分(1a)に位置する第2の出口オリフィス(11)を備え、前記可動要素(3)の前記第2の軸方向通路(4)が、前記可動要素(3)の裾部を形成する前記前方部分(3a)に位置する第3の出口オリフィス(12)を備え、前記前方部分(3a)が前記軸方向ハウジング(7)から突出すると、前記第3の出口オリフィス(12)が前記第2の出口オリフィス(11)の下流に開口することを特徴とする、請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記ノズル本体(1)が、前記ノズル本体(1)内に配置され、前記ノズル本体(1)の前記第1の軸方向通路(5)と前記外側カバー(13)の前記軸方向ハウジング(7)とを流体連通させる少なくとも1つのガス供給ダクト(6)を備えることを特徴とする、請求項1−4のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記軸方向ハウジング(7)が、好ましくは前記軸方向ハウジング(7)の底部(15)に配置された、内側肩部(9)を備え、前記可動要素(3)の外周壁が、前記内側肩部(9)に面して配置された当接部(10)を備え、前記弾性要素(8)が、前記当接部(10)と前記内側肩部(9)との間に配置されることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズル本体(1)の前記前方部分(1a)の全て又はその一部分の周りにスリーブを形成する管状要素(2)をさらに備え、前記管状要素(2)が電気絶縁材料から形成されることを特徴とする、請求項3に記載のノズル。
【請求項8】
前記可動要素(3)が、
− 前記可動要素(3)の前記前方部分(3a)が、完全又はほほ完全に前記軸方向ハウジング(7)に引き込まれている休止位置と、
− 前記可動要素(3)の前記前方部分(3a)の前記裾部が、前記軸方向ハウジング(7)から前記第1の出口オリフィス(14)を通って完全又はほぼ完全に突出している作動位置と
を含む複数の位置の間を移動することができることを特徴とする、請求項1−7のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項9】
少なくとも1つの集束光学要素を備えるレーザー集束ヘッドにおいて、請求項1−8のいずれか一項に記載のレーザーノズルをさらに備えることを特徴とするレーザー集束ヘッド。
【請求項10】
好ましくはCO2、YAG、ファイバー、又はディスクレーザーであるレーザー発生器と、レーザー集束ヘッドと、前記レーザー発生器と前記レーザー集束ヘッドとに接続されたレーザービーム案内デバイスとを備えるレーザー装置において、前記レーザー集束ヘッドが、請求項9に記載のレーザー集束ヘッドであることを特徴とするレーザー装置。
【請求項11】
ガス供給源と、前記集束ヘッドと前記ガス供給源とを流体接続する少なくとも1つのガス供給ラインとを備え、前記レーザーノズル本体(1)の前記第1の通路(5)が、前記集束ヘッドに流体接続され、前記ガス供給源が、前記集束ヘッドと前記レーザーノズルとを満たすと、前記可動要素(3)が、前記ノズル本体(1)の前記軸方向ハウジング(7)内で並進移動をすることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のノズル、請求項9に記載のレーザー集束ヘッド、又は請求項10若しくは11に記載の装置を用いるレーザービーム切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断ガスが切断カーフに送り込まれることを可能にする裾部を備える可動要素を有し、その上、工業的により容易に実施できる、レーザービーム切断に用いられるレーザーノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザービーム切断は、ガスを流しレーザービームを通過させる、一般に銅から製作されるノズルを使用する必要がある。ガス及びビームは、ノズルの本体を貫通する軸方向通路を通って、切断される部位まで送られる。これらノズルは、通常、0.6〜2mmからなる作動距離に対して、0.5〜3mmからなる出口オリフィス直径を有する。
切断を可能にするために、確実にガスがカーフに貫入し溶融金属を流し出すように、集束ヘッド内では一般に数バールの高圧力を使用する必要がある。
しかし、使用されるガスの大部分、通常50〜90%は、切断カーフの両側に失われるので、切断プロセス、すなわち溶融金属の除去に関与しない。
これらのガス損失は、実際上、ノズルオリフィスの流れ断面積と焦点の大きさとの差が非常に大きいことによる。すなわち、たとえば、1.5mm相当の直径の出口オリフィスを有するノズルの流れ断面積は、このノズルを通過するレーザービームによって生成される焦点の断面積よりも25倍大きい。
他方、カーフに貫入するガスの量が不十分な場合、切断欠陥が、特にばりの付着及び/又は酸化痕として現れるのが見られることになる。
この問題をノズルのオリフィスの直径を減少することによって解決する試みは、その場合、レーザービームがノズル内部に当たりそれを劣化させることになるリスクを負うので、理想的ではない。ノズルのオリフィスの直径を減少すると、その上、切断品質及び/又は性能も低下する。
【0003】
さらに、ガスのカーフへの貫入を増強しようと試みる様々な解決策を提案する多数の文献が存在し、たとえば、EP−A−1669159号、JP−A−62006790号、JP−A−61037393号、JP−A−63108992号、JP−A−63040695号、US−A−4,031,351号、US 3,383,491号、DE 198 53 765号及びJP−A−2003−260582号の諸文献である。
【0004】
しかし、これらの解決策は、いずれも、実施するのに複雑な構造を持ち、従来のノズルに比べて過度に嵩張り、及び/又は効果が限られているので、真に理想的ではない。
文献、US 3,383,491号は、特に、可動要素を備え、その可動要素の端部が、切断される部位の表面にばねによって押し付けられ、それによって切断ガスのカーフへの吹込みが増強される、レーザー切断ノズルを開示する。文献DE 198 53 765号もまた、同様な効果を有するばねを記載する。
この解決策は、いくつかの問題をもたらす。一方で、ばねによって板の方向に加えられる力によって、可動要素がかなりの力を切断される板に掛けることになる。したがって、板は一般に切断機の台上にただ単に置かれているので、板が、可動要素によって、変形させられ、擦り傷を付けられ、又は引き摺られたりさえするリスクがある。他方で、そのデバイスは、実施するのに複雑であり、従来のレーザーノズルよりかなり嵩張る。これは、鱗模様状の複数の部品、すなわち所与の板上に互いに極めて近接して配置されている複数の部品を切断する場合には、問題を生じる。しかし、このタイプの切断は、それによってもたらされる材料の節約のために、レーザー切断業では広く用いられている。
【0005】
代替解決策が、2011年5月16日に出願され、本願の出願時点では未公開の仏国特許出願第1,154,224号に提案されている。その解決策は、可動要素をレーザーノズルの本体内に配置することにある。この可動要素は、前記本体内で、ガスの圧力の下に、切断される板の表面の方向に軸方向に移動することができる。すなわち、可動要素は、切断される板の上面に向かってその上面に接触するまで移動する。それにより、可動要素は、切断ガスをカーフ内に導き集中させる裾部を形成し、それによって、ガスを前記カーフに貫入させ、その効果を向上させる。
しかし、この解決策は、可動要素が、レーザーノズルの本体そのものの内部、より正確にはノズルの本体の軸方向通路内に配置されなければならないので、理想的でない。
したがって、ガスの効果を増強し、その上、広く市場に流通する既存のレーザーノズルに、その内部の形状を変更することなしに簡単な改修を行うことによって、容易に実施することができる解決策を提供する必要がある。
【0006】
これら従来のレーザーノズルは様々な形状を有し、各モデルは、1種類の切断プロセス、1種類のレーザービーム、1種類の集束ヘッドなどに対して専用である。したがって、工業上の実施性の点で、それらノズルの大部分さらには全てに適合する解決策を提供することが極めて重要である。
しかし、レーザー切断業界で使用される多くのノズルの本体は、仏国特許出願第1 154 224号による内蔵可動要素用の軸方向ハウジングをその中に配置することを可能にするのに十分な容積体を擁していない。
さらに、ある種の切断用途では「2重流れ」ノズルと呼ばれるものを使用する必要があり、このノズルは、軸方向ガス通路に加えて、ノズル本体の中を通り前記軸方向通路に近接して配置された少なくとも1つの側方ガス通路を備える。1つ又は複数のこの追加通路が存在すると、ノズルの本体内にハウジングを機械加工すること、すなわち内蔵可動要素がその中に配置されることを可能にするために当初の軸方向通路を広げることが困難になる。
その上、従来のノズルの軸方向通路内に、事前にその通路を広げることなく、可動要素を配置することによる解決策は、集束レーザービームを通過させるのに利用できる空間を減少させるので、満足のいくものではない。これは、可動要素及び/又はノズル本体の内壁を加熱し、又は劣化すらさせ、それによって、切断性能及び/又は品質ならびにプロセスの生産性を低下させることにもなる危険性を生じさせる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、対処される課題は、レーザー切断に用いられるガスの効果が改善されることをとりわけ可能にし、他方で、既存の解決策に比べて、工業的に遥かに容易に実施でき、寿命が大幅に向上し、その上、既存の従来のレーザーノズルの大部分さらには全てと互換性のあるレーザーノズルを提供することによって、前述の短所の全て又は一部をいかに緩和するかという課題である。
したがって、本発明の解決策は、
− 第1の軸方向通路を備えるノズル本体と、
− 軸方向ハウジングを備える外側カバーであって、ノズル本体が、少なくとも部分的に前記軸方向ハウジング内に配置される、外側カバーと、
− 第2の軸方向通路と、裾部を形成する前方部分とを備える可動要素であって、外側カバーとノズル本体との間に配置され、外側カバーの軸方向ハウジング内で並進的に移動可能である可動要素と
を備えるレーザーノズルである。
【0008】
場合に応じて、本発明のノズルは、下記の技術的特徴の1つ又は複数を備え得る。すなわち、それらは、
− 外側カバーの軸方向ハウジングが、その外側カバーの前面に位置する第1の出口オリフィスを備え、可動要素は、可動要素の裾部を形成する前方部分が軸方向ハウジングの前記第1の出口オリフィスを通って軸方向ハウジングから突出するまで、軸方向ハウジング内で第1の出口オリフィスの方向に並進移動することができ、そのように設計され、
− ノズル本体、外側カバー、及び可動要素が、互いに同軸に配置された軸対称部品であり、ノズル本体が、可動要素の第2の軸方向通路内に少なくとも部分的に配置された前方部分を備え、
− ノズル本体の第1の軸方向通路が、前記ノズル本体の前方部分に位置する第2の出口オリフィスを備え、可動要素の第2の軸方向通路が、可動要素の裾部を形成する前方部分に位置する第3の出口オリフィスを備え、該前方部分が軸方向ハウジングから突出すると、前記第3の出口オリフィスが前記第2の出口オリフィスの下流に開口し、
− 可動要素が、前記軸方向ハウジング内に加えられ、前記可動要素に掛けられるガス圧力の作用下で、軸方向ハウジング内で第1の出口オリフィスの方向に並進移動することができ、そのように設計され、
− ノズル本体が、前記ノズル本体内に配置され、ノズル本体の第1の軸方向通路と外側カバーの軸方向ハウジングとを流体連通させる少なくとも1つのガス供給ダクトを備え、
− 弾性要素が、外側カバーとノズル本体との間で、軸方向ハウジング内に配置され、前記弾性要素が、軸方向ハウジング内での第1の出口オリフィスの方向での可動要素の並進移動に対抗するようになされた弾性復元力を可動要素に掛け、
− 軸方向ハウジングが、好ましくは前記軸方向ハウジングの底部に配置された内側肩部を備え、可動要素の外周壁が、前記肩部に面して配置された当接部を備え、弾性要素が、当接部と内側肩部との間に配置され、
− ノズルが、ノズル本体の前方部分の全て又はその一部分の周りにスリーブを形成する管状要素をさらに備え、管状要素が電気絶縁材料から形成され、
− 可動要素が、
・可動要素の前方部分が、完全又はほほ完全に軸方向ハウジングに引き込まれている休止位置と、
・可動要素の前方部分の裾部が、軸方向ハウジングから第1の出口オリフィスを通って完全又はほぼ完全に突出している作動位置とを含む複数の位置の間を移動することができることである。
【0009】
また、本発明は、少なくとも1つの集束光学要素、たとえば1つ又は複数のレンズ又はミラー、特に集束レンズとコリメーティングレンズとを備えるレーザー集束ヘッドにおいて、本発明によるレーザーノズルをさらに備えることを特徴とするレーザー集束ヘッドに関する。
さらに、本発明は、レーザー発生器と、レーザー集束ヘッドと、前記レーザー発生器と前記レーザー集束ヘッドとに接続されたレーザービーム案内デバイスとを備えるレーザー装置において、レーザー集束ヘッドが本発明によることを特徴とするレーザー装置に関する。
好ましくは、発生器又はレーザー源は、CO
2、YAG、ファイバー、又はディスクレーザーであり、好ましくは、ファイバー又はディスクレーザーであり、特にイッテルビウムファイバーレーザー源である。
別の態様によれば、本発明はまた、本発明によるノズル、本発明によるレーザー集束ヘッド、又は本発明による装置を用いるレーザービーム切断プロセスに関する。
ここで、本発明が、添付図面を参照して示される以下の説明によってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】従来のレーザー切断装置の集束ヘッドの概略図。
【
図1B】ノズルオリフィスの大きさに対するレーザースポットの大きさの概略図。
【
図2】本発明の一実施形態によるノズルの概略断面図。
【
図3】本発明の一実施形態によるノズルのある構成要素の概略断面図。
【
図4】可動要素が
図2に示される位置とは異なる位置を取る、本発明の別の実施形態によるノズルの概略断面図。
【
図5】可動要素が2つの異なる位置を取る、作動中の本発明によるノズルの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、従来のレーザーノズル21が取り付けられた、従来のレーザー切断装置の集束ヘッド20を示し、前記ノズルは、集束レーザービームと、切断される金属部品30、たとえば鋼板又はステンレス鋼板にビーム22によって形成された切断カーフ31から、ビームによって溶解された金属を追い出すように働く補助ガス(矢印23)とによって通過される。
補助ガスは、酸素、空気、CO
2、水素などの活性ガス、若しくはアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス、又は複数のこれら活性及び/若しくは不活性ガスの混合物でよい。ガスの成分は、特に、切断される部品の性質に応じて選択される。
【0012】
部品に衝突させられるビームが、その衝突点で金属を溶融し、その金属が、補助ガスの圧力によって部品の下へ追い出される。
【0013】
図1Bは、ビーム22の焦点の大きさS2に対するノズル21のオリフィス24の流れ断面積S1を示す。見て分かるように、面積S1は、ビーム22の焦点の大きさS2より極めて遥かに大きく、従来のノズルでは、補助ガスを大きく消費することになり、補助ガスの僅かな部分のみが溶融金属を切断カーフ31から追い出すために役立つことになる。
図1Aの従来のレーザーノズルの本体内部に、より正確には前記ノズルの軸方向通路内に、内蔵可動要素を配置する必要をなくすために、本発明は、外装可動要素を有するレーザーノズルを提供する。
実際に、
図2に示される本発明のレーザーノズルは、ノズル本体1と、ノズルの本体1の少なくとも一部分の周りに移動可能に配置された可動要素3と相互作用する、
図3Aに示される外側カバー13とを備える。本発明による可動要素3は、
図3Bに概略的に示されている。
より正確には、好ましくはたとえば銅や黄銅などの導電性材料から形成されたノズル本体1が、レーザー装置のレーザー集束ヘッド20に取り付けられるようになされている。
有利には、ノズル本体1は、対称軸AAでの第1の軸方向通路5が端から端まで貫通する軸対象部品であり、前記通路5は、本体1の後方部分1bから前記本体1の前方部分1aまで延在する。
【0014】
本発明の場合、表現「前面」及び「前方部分」は、ノズルが使用されているとき切断される板の側に位置する、レーザーノズルの要素の部分を意味すると理解される。反対側の部分又は面は、用語「後方」によって示される。
第1の軸方向通路5は、ノズル本体1の2つの前方及び後方部分1a及び1bから出る。したがって、後方部分1bは、第2の入口オリフィス11’を擁し、他方、前方部分1aはノズル本体1の第2の出口オリフィス11を擁し、第2の入口及び出口オリフィス11’、11は同軸であり、軸AAによる。
この第1の軸方向通路5は、事実上、空腔であり、たとえば一般に円筒形状又は円錐台形状など様々な形状を取ることができ、円筒形出口チャネルは先細−末広、すなわち「ドラバル」形状でも、任意の他の形状でもよい。
第2の出口オリフィス11は、好ましくは断面が円形であり、好ましくは0.5〜5mmからなる直径である。
【0015】
外側カバー13は、ノズル本体1が少なくとも部分的にその中に配置される軸方向ハウジング7を、好ましくは前記本体1と同軸に備える。
図3Aで分かるように、軸方向ハウジング7は、外側カバー13を端まで貫通し、殊に、外側カバー13の前面13aに位置する第1の出口オリフィス14を備える。
有利には、外側カバー13は、ハウジング7の中心に向かって半径方向に突出する内側肩部9を備える底部15を備え、前記内側肩部9は、第1の出口オリフィス14での軸方向ハウジング7の断面の狭窄部15によって形成される。
本発明によれば、ノズルは、外側カバー13とノズル本体1との間で、外側カバー13の軸方向ハウジング7に挿入される可動要素3をさらに備える。この可動要素3は、可動要素3の裾部を形成する前方部分3aが、
図2に示されるように、第1の出口オリフィス14を通って前記ハウジング7から突出するまで、外側カバー13の第1のハウジング7内で軸AAに沿って並進して移動することが可能であり、そのように設計されている。
図3Bに見られるように、可動要素3は、有利には、ほぼ円筒形、すなわち管状の裾部を形成する前方部分3aを備える軸対称部部品である。可動要素3は、裾部を形成する前方部分3aから出る、第3の出口オリフィス12を有する第2の軸方向通路4をさらに備える。
より正確には、可動要素3の前方部分3aが軸方向ハウジング7から突出するとき、好ましくは円形断面である、可動要素3の第3の出口オリフィス12が、ノズル本体1の第2の出口オリフィス11の下流に開口する。
【0016】
可動要素3の外周壁は、有利には、可動要素3が軸方向ハウジング7内に配置されたとき内側肩部9に面して配置される当接部10を備える。
好ましくは、可動要素3、ノズル本体1、及び外側カバー13は、一体構造の各部品であり、相互に同軸に配置されている。言い換えれば、可動要素3の対称軸及び外側カバー13の対称軸は、ノズル本体1の軸AAと同軸又は実質的に同軸である。
有利には、ノズル本体1の前方部分1aは、可動要素3の第2の軸方向通路4内に少なくとも配置される。可動要素3は、ノズル本体1の前記前方部分1aの外周壁に沿って軸方向に移動することができる。可動要素3の第2の軸方向通路4及び前方部分1aの外周壁は、好ましくは、円筒形状を有する。
したがって、本発明によれば、可動要素3は、ノズル本体1の前方部分1aの少なくとも一部分の周り、すなわちノズル本体1の内部でなくその外側に配置された外部要素である。
好ましくは、可動要素3が、軸方向ハウジング7に加えられ前記可動要素3に掛けられるガスの圧力の作用の下に、軸方向ハウジング7内を第1の出口オリフィス14の方向に並進移動することができる。可動要素3は、有利には、当接部10及び肩部9により、少なくとも部分的にハウジング7内に維持される。
【0017】
図2〜4、5A、及び5Bに示される本発明の特に有利な一実施形態によれば、ノズル本体1が、前記ノズル本体1内に配置され、ノズル本体1の第1の軸方向通路5と外側カバー13の軸方向ハウジング7とを流体連通させる少なくとも1つのガス供給ダクト6を備える。好ましくは、ノズル本体1は、その本体1を貫通する1〜20本のダクト6、好ましくは3〜8本のダクト6を備える。これらダクト6は、好ましくは、本体1内に作られた空腔又は穴であり、さらに好ましくは、円形断面で、約0.5〜5mmの直径でよい。
実際には、本発明のノズルは、工業用レーザー切断装置に取り付けられる集束ヘッドを装備するように意図されている。このタイプの装置は、従来、少なくとも1つのラインに接続された少なくとも1つの補助ガス源を備える。このラインは、集束ヘッド、より正確にはそのヘッドの内部空間にガスを供給することができ、そのように設計されている。
レーザーノズルは、入口オリフィス11’によって集束ヘッドに流体接続され、それによって、集束ヘッドの内部空間とノズル本体1の第1の軸方向通路5とが流体連通される。このようにして、集束ヘッドを満たした切断ガス23が、本発明によるレーザーノズルを通して給送される。
【0018】
有利には、ノズルの可動要素3は、ガス供給源が集束ヘッド及びレーザーノズルの軸方向通路5にガスを供給したとき、外側カバー13のハウジング7内を並進移動することができ、そのように設計されている。ガス23が、そのとき、前記可動要素3にガスの圧力を掛け、それが、前記可動要素3をハウジング7内で移動させる。
実際に、本発明によるノズルの使用中、レーザービーム22及び補助ガス23は、ノズル本体1の第1の軸方向通路5を通過し、本体1の前方部分1aに位置する第2の出口オリフィス11から出る。
図2に見られるように、ガス23がノズル本体1の第1の軸方向通路5に供給されると、第1の軸方向通路5に給送されたガスの一部分が、1つ又は複数のガス供給ダクト6も満たす。
ダクト6は、バイパスダクトの役割を果たし、前記ガス23の少なくとも一部分を外側カバー13の軸方向ハウジング7へ給送し、その結果、ガスの圧力が、軸方向ハウジング7に加わり、可動要素3に掛かる。
【0019】
可動要素3は、このように、補助ガス23の圧力の作用の下に、ノズルの本体1及び外側カバー13に対して軸方向に移動し、それにより、可動要素を切断される部品30の方向に押すことになる。可動要素3が軸AAに沿って並進移動することにより、裾部3aを切断される板30の上面に近付けさせ、それにより、
図5Bに示されるように、相互に接触させる。
それにより、ガスは、裾部3aによって導かれてレーザースポット、したがってカーフに集中され、それによって、ガスの効果及び金属の排除を大幅に向上強化させる。
有利には、ばねなどの弾性要素8が、外側カバー13とノズル本体1との間で軸方向ハウジング7内に配置され、それによって、切断される部品30から可動要素3を引き離そうとする方向に可動要素3に弾性復元力を掛ける。言い換えれば、要素8によって掛けられる弾性復元力は、第1の出口オリフィス14の方向の可動要素3の並進移動に対抗しようとする。
【0020】
本発明の場合、弾性要素8は、外側カバー13とノズル本体1との間で軸方向ハウジング7内、好ましくは、肩部9と当接部10との間に配置される。
したがって、切断の終了時点で、ガスが遮断され、ガスの圧力が可動要素3に掛けられるのが終わると、可動要素3は、その休止位置へ、すなわち裾部3aがハウジング7に引き込まれるまで戻され得る。
それによって、弾性要素8は、一般に切断段階に先行する板の穿孔段階中の裾部3aの損耗を抑制させる効果を可能にする。具体的には、この穿孔は、殆どの場合、通常4バールより低い、低ガス圧下で行われる。そのとき、弾性要素は、裾部3aが完全又はほぼ完全にハウジング7に引っ込むのに十分な回復力を掛け、それによって、裾部が、穿孔によって発生する溶融金属のスパッタから保護される。
【0021】
また、弾性要素8は、切断ガス又はビームがなければ、そのときガスの圧力が可動要素に掛からなくなり裾部3aがハウジング7に引っ込むので、切断ヘッドを板上で短距離を迅速に移動させるのをより容易にする。裾部3aが引き込まれるだけで、ノズルを支持している集束ヘッドを持ち上げる必要がない。
さらに、弾性要素8は、可動要素3が切断ガスの作用下で部品の方向に移動させられるとき、切断される部品に前記要素によって掛けられる圧力を抑制することを可能にする。より正確には、弾性要素8の回復力は、有利には、可動要素3が板に掛ける圧力を抑制しながら、前記要素を切断される部品と接触状態に保持するように選択される。
これは、部品が切り取られる板を変形させ、板の表面に擦り傷を付け、板を引き摺るようなあらゆる危険性を極めて最小限度に抑え、又はなくすことすら可能にする。
【0022】
可動要素3は、電気絶縁材料、好ましくは、Al
2O
3、AlN、ZrO
2、若しくはAl
2TiO
5などのセラミック、又は、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)若しくはVespel(登録商標)などのポリマー、又はパイレックス(登録商標)から形成することができる。表現「電気絶縁材料」は、電気を伝導しない材料、すなわち2つの導電要素間の電流の流れを防止する材料を意味すると理解されたい。
あるいは、可動要素3は、導電材料、たとえば、鋼、ブロンズ、グラファイトなどの金属材料から形成することができる。
可動要素3が電気絶縁材料から形成されているとき、外側カバー13は導電材料から形成され、逆も同様である。
任意選択で、インサート3の前方部分3aは、第3の出口オリフィス12へ向かってその外径が次第に減少する下流端部17を備え得る。すなわち、前方部分3aは、板の表面に存在する起伏や障害物を越えていくことが容易になるように形状設定される。
【0023】
表現「下流端部」は、前方部分3aの下流端に位置する前記前方部分の一部分、すなわち切断される板の上面に対面する前記前方部分の一部分を意味すると理解されたい。
このように、下流端部は、裾部3aへの衝撃なしに、又はそれを大幅に低減して、また、ノズルの速度の減少なしに、さもなければ極めて僅かな減少で、段差又は障害物を越えていくように形状設定されている。前方部分3aの端部の鋭い縁の存在もやはり回避され、それによって、本発明の裾部の移動をより柔軟にし、切断される板の表面に存在し得る高さの変化に本発明の裾部の移動が追従することを可能にし、それによって、工業的に実施することがさらに容易になる。
本発明の文脈では、下流端部17は、ノズル本体1の前方部分1aの前面に対して0.1〜80°、好ましくは10〜45°からなる角度αをなす少なくとも1つのチャンファを備えてもよい。
あるいは、下流端部17の外形は、少なくとも1つの曲線式部分、好ましくは少なくとも1つの凸形部分を備えてもよい。その少なくとも1つの凸形部分の曲線の半径は、通常、0.1〜2mmからなる。
任意選択で、本発明によるノズルは、ノズル本体1の前方部分1a全体又はその一部分の周りにスリーブを形成する管状要素2を備えてもよく、管状要素2は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、Vespel(登録商標)、電気絶縁セラミックなどの電気絶縁材料から形成される。
この実施形態は、可動要素3が導電材料から形成されているとき特に有利であり、管状要素2が、可動要素3とノズル本体1との間にいかなる電気的接触も行われないようにすることを可能にする。それによって、切断される板上を確実に一定の間隔で集束ヘッドを移動させるために工業用切断機に装備された容量型距離感知システムの誤作動が防止される。
【0024】
図4は、ノズル本体1及び外側カバー13の形状が、
図2の実施形態とは実質的に異なる本発明の別の実施形態を示すが、その作動原理は同一である。
図5A及び5Bは、ガス圧23の作用下での可動要素3の並進移動を概略的に示す。
詳細には、
図5Aは、可動要素3を備え、その前方部分3aが軸方向ハウジング7に引き込まれている本発明によるノズルを概略的に示す。
図5Bは、ハウジング7内に加わり可動要素3に掛けられたガスの圧力23の作用を概略的に示し、可動要素3は、裾部を形成する前方部分3aが第1のハウジング7から突出するまで移動する。
【0025】
実際に、本発明によるノズルの可動要素3は、少なくとも以下を含む複数の位置の間を移動することができる。すなわち、
−
図5Aに示されるように、裾部3aが、外側カバー13の軸方向ハウジング7に完全又はほほ完全に引き込まれている休止位置と、
−
図5Bに示されるように、裾部3aが、外側カバー13の軸方向ハウジング7から、第1の出口オリフィス14を通って完全又はほぼ完全に突き出し、切断される部品30と接触する作動位置と
である。
当然、可動要素2は、裾部3aが軸方向ハウジング7から部分的にしか突出しない中間位置を取ることができる。この中間位置は、可動要素3に掛かる軸方向ハウジング7内の圧力に特に依存し得る。
【0026】
本発明は、したがって、より少ないガス流量及び/又はガス圧力を伴うレーザービームによる切断を行うことができ、そのように設計されたレーザーノズルを提供し、その特有なノズル構造は、いかなるレーザーパワー及びビーム波長でも、より大きな割合のガスをカーフに貫入させ、そこから溶融金属を効果的に追い出させる。
図2〜4に見られるように、本発明のノズルは標準的な容積であり、すなわちその容積は従来の切断ノズルの容積より大きいことはなく、それは、鱗模様状の切断、すなわち、様々な部品を隔てる間隔が極めて小さい、所与の板内の複数の部品の切断に有利であり適合する。
さらに、本発明のノズルは、業界で現在使用されている大部分のレーザーノズルと、たとえその本体の寸法が小さくても、互換性があるという重要な利点を有し、その理由は、ノズルの本体そのものの内部に可動要素を受け入れる軸方向ハウジングを設ける必要がもはや必要ないからである。本発明の解決策は、このように、ノズル本体の外側に可動要素を有するレーザーノズルを提供し、その工業的実施がより容易である。
【実施例】
【0027】
標準的ノズル、すなわち可動要素を持たない通常のノズルに対する本発明によるノズルの有効性と、したがって、ガスを切断カーフに押し込むために可動要素に取り付けられた裾部を使用する利点とを実証するために、集束光学要素、すなわちレンズを備える集束レーザーヘッドに導かれるレーザービームを生成するためにCO
2レーザー発生器を用いる切断装置を使用して、比較試験が行われた。
集束レーザーヘッドには、直径1.8mmの出口オリフィスを有する標準的ノズル、又は可動裾部を有する
図2によるノズルのいずれかが装着され、後者のノズルのノズル本体の軸方向通路は、直径1.8mmの出口オリフィスを有していた。
使用された補助ガスは窒素であった。
切断された板は、厚さ5mmの304Lステンレス鋼の板であった。
レーザービームは4kWのパワーを有し、切断速度は2.6m/minであった。
【0028】
得られた結果は以下のことを実証した。すなわち、
− 標準的ノズルでは、高品質の切断を得るには14バールのガス圧力では十分でない。具体的には、14バールでは、切断部の縁に多数のバリが付いている。これは、追い出す必要がある溶融金属へのガスの作用が不十分なので、溶融金属の排除が、しかるべきように行われなかったことを実証する。これらのバリを除去するために、16バールの圧力が必要であった。
− 本発明のノズルでは、1〜5バールの範囲の圧力で行われた試験が、良好な品質の切断、すなわちばりの付いていない切断縁を有する切断に至った。ノズルの裾部が、ガスがカーフ内に導かれ、溶融金属が効果的に追い出されることを可能にした。さらに、ノズルが、容量型センサの作動を可能にし、切断プロセスの間中、ノズル本体の前方部分と板の上面との間隔を一定に保つことが可能であった。
これら試験は、本発明によるノズルの有効性を明らかに実証し、そのノズルは、その他は同一の条件下で、適用されるガス圧力を標準的ノズルに対して著しく減少させることができ、したがって、ガスの消費量もまた低減させることができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] − 第1の軸方向通路(5)と、前記第1の軸方向通路(5)に補助ガス(23)を供給することを可能にする入口オリフィス(11’)とを備えるノズル本体(1)と、
− 軸方向ハウジング(7)を備える外側カバー(13)であって、さらに、前記外側カバー(13)の前面(13a)に位置する第1の出口オリフィス(14)を備え、前記ノズル本体(1)が、少なくとも部分的に前記軸方向ハウジング(7)内に配置される、外側カバー(13)と、
− 第2の軸方向通路(4)と、裾部を形成する前方部分(3a)とを備える可動要素(3)であって、前記外側カバー(13)と前記ノズル本体(1)との間に配置され、前記外側カバー(13)の前記軸方向ハウジング(7)内で並進的に移動可能である可動要素(3)と、
− 前記外側カバー(13)と前記ノズル本体(1)との間で、前記軸方向ハウジング(7)内に配置された弾性要素(8)と
を備えるレーザーノズルにおいて、
前記可動要素(3)が、前記補助ガス(23)のガス圧力の作用下で、前記軸方向ハウジング(7)内で前記第1の出口オリフィス(14)の方向に並進移動することができ、また、そのように設計され、前記圧力が、前記軸方向ハウジング(7)内に加えられ、前記可動要素(3)に掛けられ、前記弾性要素(8)が、前記軸方向ハウジング(7)内での前記第1の出口オリフィス(14)の方向での前記可動要素(3)の前記並進移動に対抗するようになされた弾性復元力を前記可動要素(3)に掛けることを特徴とする
レーザーノズル。
[2] 前記可動要素(3)は、前記可動要素(3)の裾部を形成する前記前方部分(3a)が前記軸方向ハウジング(7)の前記第1の出口オリフィス(14)を通って前記軸方向ハウジング(7)から突出するまで、前記軸方向ハウジング(7)内で前記第1の出口オリフィス(14)の方向に並進移動することができ、また、そのように設計されていることを特徴とする、[1]に記載のノズル。
[3] 前記ノズル本体(1)、前記外側カバー(13)、及び前記可動要素(3)が、互いに同軸に配置された軸対称部品であり、前記ノズル本体(1)が、前記可動要素(3)の前記第2の軸方向通路(4)内に少なくとも部分的に配置された前方部分(1a)を備えることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のノズル。
[4] 前記ノズル本体(1)の前記第1の軸方向通路(5)が、前記ノズル本体(1)の前記前方部分(1a)に位置する第2の出口オリフィス(11)を備え、前記可動要素(3)の前記第2の軸方向通路(4)が、前記可動要素(3)の裾部を形成する前記前方部分(3a)に位置する第3の出口オリフィス(12)を備え、前記前方部分(3a)が前記軸方向ハウジング(7)から突出すると、前記第3の出口オリフィス(12)が前記第2の出口オリフィス(11)の下流に開口することを特徴とする、[1]−3のいずれか一項に記載のノズル。
[5] 前記ノズル本体(1)が、前記ノズル本体(1)内に配置され、前記ノズル本体(1)の前記第1の軸方向通路(5)と前記外側カバー(13)の前記軸方向ハウジング(7)とを流体連通させる少なくとも1つのガス供給ダクト(6)を備えることを特徴とする、[1]−4のいずれか一項に記載のノズル。
[6] 前記軸方向ハウジング(7)が、好ましくは前記軸方向ハウジング(7)の底部(15)に配置された、内側肩部(9)を備え、前記可動要素(3)の外周壁が、前記内側肩部(9)に面して配置された当接部(10)を備え、前記弾性要素(8)が、前記当接部(10)と前記内側肩部(9)との間に配置されることを特徴とする、[1]−5のいずれか一項に記載のノズル。
[7] 前記ノズル本体(1)の前記前方部分(1a)の全て又はその一部分の周りにスリーブを形成する管状要素(2)をさらに備え、前記管状要素(2)が電気絶縁材料から形成されることを特徴とする、[1]−6のいずれか一項に記載のノズル。
[8] 前記可動要素(3)が、
− 前記可動要素(3)の前記前方部分(3a)が、完全又はほほ完全に前記軸方向ハウジング(7)に引き込まれている休止位置と、
− 前記可動要素(3)の前記前方部分(3a)の前記裾部が、前記軸方向ハウジング(7)から前記第1の出口オリフィス(14)を通って完全又はほぼ完全に突出している作動位置と
を含む複数の位置の間を移動することができることを特徴とする、[1]−7のいずれか一項に記載のノズル。
[9] 少なくとも1つの集束光学要素を備えるレーザー集束ヘッドにおいて、[1]−8のいずれか一項に記載のレーザーノズルをさらに備えることを特徴とするレーザー集束ヘッド。
[10] 好ましくはCO2、YAG、ファイバー、又はディスクレーザーであるレーザー発生器と、レーザー集束ヘッドと、前記レーザー発生器と前記レーザー集束ヘッドとに接続されたレーザービーム案内デバイスとを備えるレーザー装置において、前記レーザー集束ヘッドが、[9]に記載のレーザー集束ヘッドであることを特徴とするレーザー装置。
[11] ガス供給源と、前記集束ヘッドと前記ガス供給源とを流体接続する少なくとも1つのガス供給ラインとを備え、前記レーザーノズル本体(1)の前記第1の通路(5)が、前記集束ヘッドに流体接続され、前記ガス供給源が、前記集束ヘッドと前記レーザーノズルとを満たすと、前記可動要素(3)が、前記ノズル本体(1)の前記軸方向ハウジング(7)内で並進移動をすることを特徴とする、[10]に記載の装置。
[12] [1]〜[8]のいずれか一項に記載のノズル、[9]に記載のレーザー集束ヘッド、又は[10]若しくは[11]に記載の装置を用いるレーザービーム切断方法。