特許第6242912号(P6242912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242912マイクロスピーカモジュール、その周波数応答を増強する方法及び電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242912
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】マイクロスピーカモジュール、その周波数応答を増強する方法及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20171127BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20171127BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04R3/04
   H04R1/28 310E
   H04R1/02 102Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-548188(P2015-548188)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-504868(P2016-504868A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】CN2014079267
(87)【国際公開番号】WO2015074402
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】201310583187.8
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512280079
【氏名又は名称】ゴーアテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GOERTEK INC
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,カン
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−010727(JP,A)
【文献】 特開2009−044286(JP,A)
【文献】 特開2007−028419(JP,A)
【文献】 特開平04−320199(JP,A)
【文献】 特開平07−030348(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/162467(WO,A1)
【文献】 実開平01−146693(JP,U)
【文献】 特開平11−341580(JP,A)
【文献】 特開昭63−286096(JP,A)
【文献】 特開昭56−161796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00− 1/08
H04R 1/12− 1/14
H04R 1/20− 1/40
H04R 1/42− 1/46
H04R 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、アクティブ音源と共同に放射するパッシブ音源を増設することであって、マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbである局所的な谷が現れるようになることと、
パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことと、を含み、
前記のパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことは、
Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去することと、
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現することと、
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐことと、
F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強することと、を含む
マイクロスピーカモジュールの周波数応答を増強する方法。
【請求項2】
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、それぞれ独立に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チャンバーと、チャンバー内に設置されたアクティブ音源とを含むマイクロスピーカモジュールであって、さらに、パッシブ音源と、整合増強ユニットとを含み、
前記パッシブ音源は、前記アクティブ音源が所在しているチャンバーに設置され、アクティブ音源と共同に放射し、
マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbである局所的な谷が現れるようになり、
前記整合増強ユニットは、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことに用いられ、
前記整合増強ユニットは、
Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去する超低周波数フィルタユニットと、
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現する低周波数増強ユニットと、
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐ低周波数低減ユニットと、
F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強する高周波数増強ユニットと、を含む
マイクロスピーカモジュール。
【請求項4】
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、それぞれ独立に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用する請求項に記載のマイクロスピーカモジュール。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマイクロスピーカモジュールを含む電子装置。
【請求項6】
携帯電話、タブレットPC、タブレットテレビ又はノートパソコンである請求項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響学技術分野に関し、特に、マイクロスピーカモジュール、その周波数応答を増強する方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信音響学分野及び移動端末などの電子装置(例えば、携帯電話、タブレットPC、ノートパソコンなど)において、ほとんどのマイクロムービングコイル型スピーカ・モジュールは密閉式バックチャンバーのデザインを採用しており、音響駆動コンポーネントはケースに包まれ、スピーカ・モジュールのバックチャンバー全体は密閉的である。バックチャンバーの大きさ及び製品の体積の制限のため、マイクロスピーカモジュールの低周波数共振点F0が高くなり、十分に低い低周波数ダイブを提供できない。かかわる等化器(EQ,equalizer)及び低音ブースト算法は、いずれもこの種の密閉箱マイクロスピーカモジュールのデザインに基づいたものであるが、F0以下の周波数帯域において、既存のダイアフラムの振幅と素子サイズからの制限を受けており、真の物理的な低周波数ダイブを実現することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のマイクロスピーカモジュールが十分に低い低周波数ダイブを提供できず、且つラウドネスが欠けているという課題を解決するために、本発明はマイクロスピーカモジュールの周波数応答を増強する方法、マイクロスピーカモジュール及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の技術方案は、以下のように実現させる。
【0005】
本発明に開示されているマイクロスピーカモジュールの周波数応答を増強する方法は、
マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、アクティブ音源と共同に放射するパッシブ音源を増設することであって、マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbである局所的な谷が現れるようになることと、
パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことと、を含む。
前記のパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことは、
Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去することと、
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現することと、
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐことと、
F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強することと、を含む。
【0006】
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、それぞれ独立に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用することが好ましい。
【0008】
前記方法は、
パッシブ音源の弾性係数を変えることでFbを調整し、及び/又は、アクティブ音源のダイアフラムの性質とボイスコイルの品質を変えることでF0を調整することと、
FbとF0の値及び電力増幅器とダイアフラム振幅の特性に基づいて、整合増強処理において、フィルタのQ値、位数、周波数帯域減衰パラメータ及びカットオフ周波数のいずれか一項又は複数項のパラメータを調整することと、をさらに含むことが好ましい。
【0009】
本発明はさらにマイクロスピーカモジュールを開示しており、該マイクロスピーカモジュールは、チャンバーと、チャンバー内に設置されたアクティブ音源を含み、さらに、パッシブ音源と、整合増強ユニットとを含み、
前記パッシブ音源は、前記アクティブ音源が所在しているチャンバーに設置され、アクティブ音源と共同に放射し、
マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbである局所的な谷が現れるようになり、
前記整合増強ユニットは、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことに用いられる。
前記整合増強ユニットは、
Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去する超低周波数フィルタユニットと、
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現する低周波数増強ユニットと、
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐ低周波数低減ユニットと、
F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強する高周波数増強ユニットと、を含む。
【0010】
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、それぞれ独立に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射し、
或いは、
前記マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用することが好ましい。
【0012】
パッシブ音源の弾性係数を変えることでFbを調整し、及び/又は、アクティブ音源のダイアフラムの性質とボイスコイルの品質を変えることでF0を調整し、
並びに、FbとF0の値及びシステム電力増幅器とダイアフラムの振幅特性に基づいて、整合増強処理において、フィルタのQ値、位数、周波数帯域減衰パラメータ及びカットオフ周波数のいずれか一項又は複数項のパラメータを調整することが好ましい。
【0013】
本発明はさらに一種の電子装置を開示しており、該電子装置は上述したいずれか1項に記載のマイクロスピーカモジュールを含む。
該電子装置は携帯電話、タブレットPC、タブレットテレビ又はノートパソコンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、アクティブ音源と共同に放射するパッシブ音源を増設する。マイクロスピーカモジュールにパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbである局所的な谷が現れる。パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行う。
前記のパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことは、
Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去することと、
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現することと、
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐことと、
F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強することと、を含む。
このような技術方案では、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュール全体の周波数応答はF0以下の周波数帯域で向上し、さらにアクティブ音源の振幅特性に基づいて整合増強処理が行われることで、マイクロスピーカモジュールの周波数帯域全体での周波数応答を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例におけるマイクロスピーカモジュールの周波数応答を増強する方法のフローチャート
図2】本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図
図3】本発明の実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとの周波数応答曲線の対比模式図
図4】本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとのインピーダンス曲線の対比模式図
図5】本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとの振幅曲線の対比模式図
図6】本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの図5に示す振幅特性に対して設計された整合増強処理算法の模式図
図7】本発明の一実施例における図6に基づいて設計されたパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールに対する整合増強処理算法の模式図
図8】本発明の一実施例における図6及び図7に基づいて設計されたパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールに対する整合増強処理算法の異なる周波数帯域での具体的な処理の模式図
図9】本発明の別の実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図
図10】本発明の他の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図
図11】本発明の他の一実施例におけるマイクロスピーカモジュールの構造の模式図
図12図11における整合増強ユニット1104の構造の模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術方案及び利点をより明らかにするために、以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0017】
図1は本発明の実施例におけるマイクロスピーカモジュールの周波数応答を増強する方法のフローチャートである。図1に示すように、該方法は、ステップ101、ステップ102を含み、
ステップ101では、マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、アクティブ音源と共同に放射するパッシブ音源を増設する。
【0018】
ここで、マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、パッシブ音源を増設することにより、アクティブ音源が動作しているときに、アクティブ音源のダイアフラムがチャンバー中の空気を押し出して、チャンバー中の空気がパッシブ音源のダイアフラムを押して振動させることで第2の音源信号を生じさせ、該第2の音源信号がアクティブ音源信号と共同に放射することにより、スピーカの低周波数応答を向上させることができる。マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、最小点が周波数点Fbに対応する局所的な谷が現れるようになる。
【0019】
ステップ102では、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行う。
【0020】
図1に示す方法において、パッシブ音源が設計されたマイクロスピーカモジュールは、パッシブ音源を増設したことにより、マイクロスピーカモジュールの周波数応答がF0以下の周波数帯域で向上することができるとともに、さらに整合増強処理を介してマイクロスピーカモジュールの周波数帯域全体の周波数応答が全て大幅に向上されることになる。図1に示す方法は、マイクロスピーカモジュールの低周波数応答を効果的に増強し、十分な低周波数ダイブ及びラウドネスを提供しており、マイクロ電気音響学分野に、例えば携帯電話、タブレットPC、テレビ及びノートパソコン等に幅広く応用することができる。
【0021】
図2は、本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図である。図2を参照すると、本発明の一実施例において、図1に示す方法に基づき、マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源202が所在するチャンバー201にパッシブ音源203を増設する。本実施例において、マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源203とアクティブ音源202は、それぞれ独立に放射する。具体的には、パッシブ音源203はチャンバー201内のアクティブ音源202から規定の距離で離れた位置に設置され、且つパッシブ音源203とアクティブ音源202との音を出す方向は同じであるとともに、チャンバー201のパッシブ音源203とアクティブ音源202の正面位置に発音口205及び発音口206がそれぞれ設置されている。増強処理を実現するためのオーディオチップ204は、アクティブ音源202に入力する信号に対して整合増強処理を行う。
【0022】
図3は、本発明の実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとの周波数応答曲線の対比模式図である。図3図1に記載の方法を参考して設計されたパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとの典型的な周波数応答曲線の対比模式図であり、
そのうち、実線はパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの周波数応答曲線であり、
点線は従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールの周波数応答曲線である。図3を参照すると、整合増強処理を付加しない場合、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの低周波数感度は従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールよりある程度向上している。
【0023】
図4は、本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとのインピーダンス曲線の対比模式図である。図4において、実線はパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのインピーダンス曲線であり、点線は従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールのインピーダンス曲線である。図4から明らかに分かるように、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールは低周波数帯域においてパッシブ音源の放射によって、ボイスコイルの振幅が制限されたため、インピーダンス曲線に局所的な低点(本実施例において350Hzの周辺であり、350Hz周波数点をFbと称す)が現れている。
【0024】
図5は、本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールと従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールとの振幅曲線の対比模式図である。図5を参照すると、鎖線は従来の密閉箱デザインのマイクロスピーカモジュールの振幅曲線であり、実線は本発明におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線であり、点線は本発明におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのパッシブ音源の振幅曲線である。図5から分かるように、実線にて示すアクティブ音源の振動幅は共振点F0以下の周波数帯域で振幅の局所的な最小点Fb(本実施例においてF0は700Hz付近での周波数点であり、Fbは350Hz周波数点である)がある。即ち、Fbはパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅が共振点F0以下の振幅の最小点に対応している周波数点である。
【0025】
図5に示す特徴に対して、本発明の実施例において図6に示す整合増強処理算法が設計されている。
【0026】
図6は、本発明の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの図5に示す振幅特性に対して設計された整合増強処理算法の模式図である。図6を参照すると、該整合増強処理算法は具体的には、下記のステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4を含む。
【0027】
ステップS1では、Fbより低い第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号(本実施例において250Hz以下の信号とする)をフィルタリングして除去する。
【0028】
ここで、第1の周波数点以下の信号を超低周波数信号と称し、この周波数帯域内のダイアフラムの振幅は大きく、アクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超える(ダイアフラムの許容幅に接近/到達/超過する)ことを指すものである。超低周波数信号をフィルタリングして除去するにあたって、ハイパスフィルタを用いて実現するのが一般的であり、フィルタカットオフ周波数はアクティブ音源のダイアフラムの振幅曲線とダイアフラム自体の性質によって決められる。例えば、フィルタカットオフ周波数を第1の周波数点とし、Fbより低く、且つパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線がダイアフラム許容幅に達するときの周波数点を第1の周波数点及びフィルタカットオフ周波数とすることが選択可能である。
【0029】
ステップS2では、Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現する。
【0030】
ここでは、Fb帯域にダイアフラムの振幅の谷が現れる特徴を十分に生かして、この周波数帯域内の信号に対して増強を行い、これにより低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現することができ、そのうち、Fbはパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅がF0以下の低周波数帯域での振幅最小点となる周波数点であり(本実施例においてFbは350Hzとする)、上述したFbを中央周波数点とする一定の周波数帯域は、規定の閾値及びパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線によって決められており、例えば、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線が規定の閾値(閾値は必要に応じて設定され、例えば、ダイアフラム許容幅の60%又は70%とすることができる)に達するときの2つの周波数点を周波数帯域の2つの端点として選択可能である。
【0031】
ステップS3では、F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐ。
【0032】
F0の付近でのダイアフラムの振幅は大きく、処理にあたり過大に増強が行われるべきではないため、ここでノッチフィルタリングが行われることにより、振幅が過大になることを防ぐ。そのうち、F0はパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールの低周波数共振点である(本実施例においてF0は700Hzとする)。上述したF0を中央周波数点とする一定の周波数帯域は、規定の閾値及びパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線によって決められており、例えば、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線が規定の閾値(閾値は必要に応じて設定され、例えば、ダイアフラム許容幅の40%又は60%とすることができる)に達するときの2つの周波数点を周波数帯域の2つの端点として選択可能である。
【0033】
ステップS4では、F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムは中高周波数帯域において振幅が小さいという特性によって、中高周波数の応答を増強する。第2の周波数点はF0より高い周波数点であり、振幅の特性から、F0より高い周波数である場合、ダイアフラムの振幅は周波数の増大に伴って低減することが分かり、従って、F0より高い第2の周波数点を選択可能であり、第2の周波数点以上の周波数に対応するダイアフラムの振幅は1つの規定の閾値(閾値は必要に応じて設定され、例えば、ダイアフラム許容幅の20%又は30%又は40%とすることができる)より小さくし、周波数が第2の周波数点より高い信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことで中高周波数の応答を増強することができる。
【0034】
高周波数帯域における振幅が小さいため、ここで高周波数信号に対して増強処理を行うことにより、システム全体の周波数応答は大幅に向上することができる。
【0035】
図7は、本発明の一実施例における図6に基づいて設計されたパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールに対する整合増強処理算法の模式図である。図7を参照すると、本発明のパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源に入力する信号に対して、順次に超低周波数信号のフィルタリング処理、Fb付近の周波数帯域での増強フィルタリング処理、F0付近の周波数帯域でのノッチフィルタリング処理及び高周波数帯域でのフィルタリング増強処理を行う。説明しておきたいのは、図7に示す4つのブロックのステップは現在図7に示す順番に限らず、本発明の他の実施例においては、この4つのブロックのステップは任意的な順番で行うことができる。
【0036】
パッシブ音源の弾性係数を変えることでFbを調整し、アクティブ音源のダイアフラムの性質とボイスコイルの品質を変えることでF0を調整することができる。並びに、FbとF0の値及び電力増幅器とダイアフラム振幅の特性に基づいて、整合増強処理において、フィルタのQ値、位数、周波数帯域減衰パラメータ及びカットオフ周波数のいずれか一項又は複数項のパラメータを調整することができる。
【0037】
本発明における整合増強処理及びフィルタリング増幅方式には、多種の実現方式がある。ソフトウェア又はハードウェアにて実現することができ、アナログ又はデジタル信号にて実現することもできる。但し、実現の中核フレームはいずれも図6及び図7のうち、特にFbを中央低音ブーストとする部分に合致させるべきである。
【0038】
図8は、本発明の一実施例における図6及び図7に基づいて設計されたパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールに対する整合増強処理算法の異なる周波数帯域での具体的な処理の模式図である。図8を参照すると、本実施例において、整合増強処理の算法は具体的には次の通りである。
【0039】
F1周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えることを引き起こす信号をフィルタリングして除去する。F1周波数点はパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線がダイアフラム許容幅に達するときの周波数点となる。
【0040】
Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行う。前記一定の周波数帯域内の信号はF2〜F3周波数帯域範囲内の信号となる。F2とF3周波数点はそれぞれ、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線が規定の閾値に達するときの2つの周波数点となる。
【0041】
F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行い、前記一定の周波数帯域内の信号はF3〜F4周波数帯域範囲内の信号となる。F3とF4周波数点はそれぞれ、パッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源の振幅曲線が規定の閾値に達するときの2つの周波数点となる。
【0042】
F4周波数点以上の周波数信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行う。F4周波数点以上の周波数に対応するダイアフラムの振幅は1つの規定の閾値より小さい。
【0043】
そのうち、F1 < F2 < Fb < F3 < F0 < F4であって、
Fb、F0、F1、F2、F3、及びF4の具体的な値は、パッシブ音源デザインのマイクロスピーカモジュールの具体的なパラメータにより決められる。
【0044】
例えば、パッシブ音源の弾性係数を変えることでFbを調整し、アクティブ音源のダイアフラムの性質とボイスコイルの品質を変えることでF0を調整することができ、フィルタのQ値、位数、周波数帯域減衰及びカットオフ周波数などのパラメータについては、当業者は実際の需要及びマイクロスピーカモジュールの現有のパラメータ(増幅器の性能、スピーカのダイアフラム及びボイスコイルの性質など)に応じて確定することができ、それと同時に、システムの電気及び機械性能を総合的に考慮して算法補償の上限を調整し、過剰駆動によるアクティブ部材への損害を防ぐことができるので、ここでは詳しく説明しない。
【0045】
本発明においてパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールのデザインは図2に示す構造に限らず、本発明の他の実施例においてはさらに他の多種の実現方式があり、例えば、図9及び図10に示すものがある。
【0046】
図9は、本発明の別の実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図である。図9を参照すると、本実施例において、マイクロスピーカモジュールは、正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射する。具体的には、パッシブ音源903はマイクロスピーカモジュールのチャンバー901内のアクティブ音源902に隣接する位置に設置され、且つパッシブ音源903とアクティブ音源902との音を出す方向は同じになるとともに、チャンバー901のパッシブ音源903とアクティブ音源902の正面位置に共用の発音口904が設置されている。
【0047】
図10は、本発明の他の一実施例におけるパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールの模式図である。図10を参照すると、本実施例において、前記マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用する。具体的には、パッシブ音源1003はマイクロスピーカモジュールのチャンバー1001内のアクティブ音源1002に隣接する位置に設置され、パッシブ音源1003は音を出す方向がアクティブ音源1002と直交するとともに、チャンバー1001のパッシブ音源1003の正面位置に発音口1004が設置されているが、アクティブ音源1002の正面位置に発音口は設置されていない。
【0048】
図9は正面発音のデザインであり、パッシブ音源がアクティブ音源に隣接することは、システムの高周波数応答に役立つ。図10は側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源がフロントチャンバーを共有することは、構造のコンパクト化、システムの軽量化に役立つ。本発明の他の実施例において、パッシブ音源の位置はシステムの実状に応じて柔軟に選択することができる。
【0049】
説明しておきたいのは、図2図9及び図10において、アクティブ音源の外側の周辺枠(即ち、ホーン形状の外側の周辺枠)が示すのはアクティブ音源の位置であり、アクティブ音源の外に密閉枠がある又はその他の解釈をしてはならない。
【0050】
図11は、本発明の他の一実施例におけるマイクロスピーカモジュールの構造の模式図である。図11を参照すると、該マイクロスピーカモジュールは、チャンバー1101及びチャンバー内に設置されたアクティブ音源1102を含み、該マイクロスピーカモジュールは、さらにパッシブ音源1103及び整合増強ユニット1104を含む。
【0051】
パッシブ音源1103は、アクティブ音源1102が所在しているチャンバー1101の中に設置されており、パッシブ音源1103はアクティブ音源1102と共同に放射する。アクティブ音源1102が動作しているときに、アクティブ音源のダイアフラムがチャンバー1101中の空気を押し出して、チャンバー1101中の空気がパッシブ音源のダイアフラムを押して振動させることで第2の音源信号を生じさせ、該第2の音源信号がアクティブ音源と共同に放射することにより、スピーカの低周波数応答を向上させることができる。マイクロスピーカモジュールにおいてパッシブ音源1103を増設した後、アクティブ音源1102のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、局所的な谷が現れるようになり、該局所的な谷の最小点がFb周波数点に対応する。
【0052】
整合増強ユニット1104は、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源に入力する信号に対して整合増強処理を行う。
【0053】
本発明の一実施例において、マイクロスピーカモジュールは正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、それぞれ独立に放射する。具体的には図2を参照のこと。
【0054】
本発明の一実施例において、マイクロスピーカモジュールは正面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共有して共同に放射する。具体的には図9を参照のこと。
【0055】
本発明の一実施例において、マイクロスピーカモジュールは、側面発音のデザインであり、パッシブ音源とアクティブ音源とは、フロントチャンバーを共用する。具体的には図10を参照のこと。
【0056】
図12は、図11における整合増強ユニット1104の構造の模式図である。図12を参照すると、整合増強ユニット1104は、超低周波数フィルタユニット1141、低周波数増強ユニット1142、低周波数低減ユニット1143及び高周波数増強ユニット1144を含む。
【0057】
超低周波数フィルタユニット1141は、Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去する。
【0058】
低周波数増強ユニット1142は、Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現する。
【0059】
低周波数低減ユニット1143は、F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐ。
【0060】
高周波数増強ユニット1144は、F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強する。
【0061】
説明しておきたいのは、整合増強ユニットにおける上記4つのユニットは任意的な順番で配置してもよい。整合増強ユニットはソフトウェアの方式で実現できる他に、ハードウェア方式でも実現できる。
【0062】
本発明の一実施例において、図11に示すマイクロスピーカモジュールに対して、パッシブ音源の弾性係数を変えることでFbを調整し、及び/又は、アクティブ音源のダイアフラムの性質とボイスコイルの品質を変えることでF0を調整して、並びに、FbとF0の値及びシステム電力増幅器とダイアフラム振幅の特性に基づいて、整合増強処理において、フィルタのQ値、位数、周波数帯域減衰パラメータ及びカットオフ周波数のいずれか一項又は複数項のパラメータを調整する。
【0063】
本発明の一実施例においては、さらに一種の電子装置を開示しており、該電子装置は前記実施例のいずれかに記載のパッシブ音源構造を有するマイクロスピーカモジュールを含む。該電子装置は携帯電話、タブレットPC、タブレットテレビ又はノートパソコンである。
【0064】
上記をまとめると、本発明では、マイクロスピーカモジュールのアクティブ音源が所在しているチャンバーにおいて、パッシブ音源を増設する。該パッシブ音源はアクティブ音源と共同に放射し、マイクロスピーカモジュールにパッシブ音源を増設した後の、アクティブ音源のダイアフラムの振幅は、共振周波数点F0以下の周波数帯域で、局所的な谷が現れる。該局所的な谷の最小点がFb周波数点に対応している。パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行う。
前記のパッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュールのアクティブ音源のダイアフラムの振幅特性に基づいて、アクティブ音源の入力信号に対して整合増強処理を行うことは、Fbより低い周波数点である第1の周波数点以下の信号をフィルタリングして除去することにより、Fb以下の周波数帯域における振幅がアクティブ音源のダイアフラムの許容範囲を超えた信号をフィルタリングして除去することと、Fbを中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対して帯域通過フィルタリングを行うとともに、増強処理を行うことにより、低周波数ダイブ及び低音ブーストを実現することと、F0を中央周波数点とする一定の周波数帯域内の信号に対してノッチフィルタリングを行うことにより、F0の付近でアクティブ音源のダイアフラムの振幅が過大になることを防ぐことと、F0より高い第2の周波数点以上の信号に対してハイパスフィルタリングを行うとともに、増強処理を行い、アクティブ音源のダイアフラムの中高周波数帯域における振幅が小さいという特性によって、中高周波数応答を増強することと、を含む。
このような技術方案では、パッシブ音源を増設したマイクロスピーカモジュール全体の周波数応答はF0以下の周波数帯域で向上し、さらに整合増強処理が行われることで、マイクロスピーカモジュールの周波数帯域全体での周波数応答は大幅に向上できる。
【0065】
上記の説明は、あくまでも本発明の好ましい実施形態であり、本発明の保護範囲は、これに限定されるものではない。本発明の主旨及び原則に準じて行われた如何なる変更、置き換え、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12