【課題を解決するための手段】
【0009】
ある側面によれば、入来ビットストリームを出行ビットストリームにトランスコードするよう構成されたトランスコーダが記述される。入来ビットストリームは、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含んでいてもよい。関連付けられた入来メタデータ・フレームは、入来コンテンツ・フレームの直後または直前に入来ビットストリーム内に含まれていてもよい。よって、用語「関連付けられた」は、コンテンツ・フレームとメタデータ・フレームとの間の時間的関係を示していてもよい(たとえば、該用語は、コンテンツ・フレームがメタデータ・フレームの直前にくることまたはその逆を示していてもよい)。いくつかの実施形態では、関連付けられた入来メタデータ・フレームは、入来コンテンツ・フレーム内に含まれてもよいことを注意しておくべきである。コンテンツ・フレームは典型的には最初の要素(たとえば同期フィールド)および最後の要素(たとえばCRCフィールドのような誤り訂正フィールド)を含む。関連付けられたメタデータ・フレームは、コンテンツ・フレームの、最初の要素の後かつコンテンツ・フレームの最後の要素の前に配置されるフィールド内に(たとえばコンテンツ・フレームの補助データ・フィールド内に)位置されてもよい。
【0010】
メタデータ・フレームは、いわゆる進化フレーム(evolution frame)であってもよい。典型的には、入来ビットストリームは、入来コンテンツ・フレームのシーケンスおよび入来メタデータ・フレームの関連付けられたシーケンスを含む。入来メタデータ・フレームは典型的には、入来コンテンツ・フレームとインターリーブされ、特定の入来コンテンツ・フレームの直後にはその関連付けられたメタデータ・フレームがくる。入来ビットストリーム(エンコードされた入来ビットストリームとも称される)と同様の仕方で、出行ビットストリーム(またはエンコードされた出行ビットストリーム)は出行コンテンツ・フレームおよび関連付けられた出行メタデータ・フレームを含んでいてもよい。特に、出行ビットストリームは、出行コンテンツ・フレームのシーケンスおよび出行メタデータ・フレームのシーケンスを含んでいてもよく、これらはインターリーブされる。
【0011】
コンテンツ・フレームは、特定のコーデック方式に基づいてエンコードされた信号を示してもよい。特に、入来コンテンツ・フレームは第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよく、出行コンテンツ・フレームは第二のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。第一および第二のオーディオ・コーデック・システムは同じであってもよく(その場合、トランスコーダはビットレート変換を提供するよう構成されてもよい)、あるいは第一および第二のオーディオ・コーデック・システムは異なっていてもよい(その場合、トランスコーダはコーデック変換を提供するよう構成されていてもよい)。信号は、オーディオ信号を含んでいてもよい。第一および第二のコーデック・システムの例は、ドルビーE、ドルビー・デジタル・プラス、ドルビー・デジタル、ドルビー・トゥルーHD、ドルビー・パルス、AAC(Advanced Audio Coding[先進オーディオ符号化])および/またはHE-AAC(High Efficiency AAC[高効率AAC])である。異なる第一および第二のコーデック・システムの場合、トランスコーダは、信号コンテンツを第一のコーデック・システムから第二のコーデック・システムにトランスコードするよう構成されていてもよい。代替的または追加的に、出行ビットストリームのビットレートが入来ビットストリームのビットレートと異なっていてもよく、トランスコーダは、エンコードされた信号コンテンツの、第一のビットレートから第二の(異なる)ビットレートへのトランスコードを実行するよう構成されていてもよい。
【0012】
信号は典型的には、当該信号のあらかじめ決定された数のサンプル(たとえば当該信号の512または1024個のサンプル)を含むフレームのシーケンスとして表現される。よって、入来コンテンツ・フレームは信号のあるフレームの一部または全部のサンプルを示してもよい。出行コンテンツ・フレームは信号の同じフレームの一部または全部のサンプルを示してもよい。よって、トランスコーダは、対応する入来コンテンツ・フレームのサンプルの少なくともいくつかを示す出行コンテンツ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。
【0013】
入来ビットストリームを出行ビットストリームにトランスコードするために、トランスコーダは、第一のコーデック・システムに基づいて入来ビットストリームをデコードするよう構成されているデコーダを有していてもよい。デコードの結果として、デコーダは、各コンテンツ・フレームについてPCMサンプルの集合を提供してもよい。さらに、デコーダは、メタデータ・フレームからメタデータを抽出するよう構成されていてもよい。デコードされた入来ビットストリーム(たとえばPCMサンプルおよび抽出されたメタデータの諸集合)は、第二のコーデック・システムに基づいて信号をエンコードするよう構成されているエンコーダに提供されてもよい。よって、トランスコーダは、第一のコーデック・システムのデコーダおよび第二のコーデック・システムのエンコーダを使って、入来コンテンツ・フレームから出行コンテンツ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。トランスコーダは、いわゆるPCM接続されたトランスコーダ(PCM-connected transcoder)を有していてもよい。ここでは、デコーダはPCMサンプルの諸セットをトランスコーダのエンコーダに渡す。よって、本稿に記載されるトランスコーダは、PCM接続されたトランスコーダのコンテキストにおいて記述される特徴を有していてもよい。
【0014】
コンテンツ・フレームは、根底にあるコーデック・システムに基づいてメタデータを示してもよいことを注意しておくべきである。換言すれば、コンテンツ・フレームは、コンテンツ・フレーム内に含まれる信号に関連付けられたメタデータを含んでいてもよく、コンテンツ・フレーム内に含まれるメタデータは根底にあるコーデック・システム(すなわち、第一または第二のコーデック・システム)によって定義される。これとは対照的に、メタデータ・フレームは、(コーデック・システムによって指定されるメタデータに加えて)追加的なメタデータの転送を許容する。そのようなメタデータの例は、ラウドネスまたはdialnormパラメータまたは補助データ、たとえばオーディオ・コンテンツ配送チェーン内のデコーダのためのファームウェア・アップグレードである。
【0015】
メタデータ・フレームは、あらかじめ決定されたシンタックスに従ってもよい。特に、入来メタデータ・フレームおよび出行メタデータ・フレームは共通のシンタックスに従ってもよい。メタデータ・フレームについてのシンタックスは、メタデータ・フレームが、メタデータの0個、一つまたは複数のブロックを含むことを許容してもよい。メタデータの各ブロックは特定の型のメタデータを含んでいてもよい。よって、メタデータ・フレームは、メタデータ・フレーム中に組み込まれるメタデータの量および/またはメタデータ・ブロックの数に依存して、可変サイズを有していてもよい。メタデータの各ブロックは、メタデータの対応するブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す対応する記述子を示していてもよい(または含んでいてもよい)。特に、記述子は、そのブロックのメタデータがどのように操作されうるかまたは操作されるべきかを示す属性を記述してもよい。よって、ブロックの記述子は、計算効率のよい仕方で入来メタデータ・フレームに含まれるブロック(単数または複数)をトランスコードするためにトランスコーダによって使用されてもよい。
【0016】
メタデータ・フレームのトランスコードのために、トランスコーダは、入来メタデータ・フレームからメタデータの入来ブロックを同定するよう構成されていてもよい。入来ブロックは、ブロック識別子を使って同定されてもよい。例として、メタデータ・フレームの各ブロックは、ブロック識別子を使って同定されてもよい。さらに、メタデータ・フレームは、該メタデータ・フレームがさらなるブロックを全く含まないという事実を示す特定のブロック識別子を含んでいてもよい(たとえば終了識別子と称される)。終了識別子は、トランスコーダによって、メタデータ・フレームがさらなるメタデータ・ブロックを全く含まないことを判別するために使用されてもよい。
【0017】
上記で示したように、メタデータの入来ブロックは、入来記述子と称される記述子に関連付けられていてもよい。入来記述子は、メタデータの入来ブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示していてもよい。この記述子は、メタデータのブロックのあるデータ・フィールド中に書き込まれてもよい。記述子内に含まれる例示的な属性は、信号のサンプルを示すタイムスタンプ・パラメータである。特に、タイムスタンプ・パラメータは、入来ブロックのそのメタデータが、信号の、タイムスタンプ・パラメータによって同定されるサンプルに関連付けられている(たとえば適用されるべきである)ことを示してもよい。タイムスタンプ・パラメータは、コンテンツ・フレームの末尾に対するまたは先頭に対するコンテンツ・フレーム内でのサンプルの位置を示すことによって、サンプルを同定してもよい。さらなる例は、信号のサンプルの数を示す継続時間パラメータである。継続時間パラメータは、入来ブロックのメタデータが、信号の、継続時間パラメータによって示される数のサンプルに関連付けられていることを示してもよい(タイムスタンプ・パラメータによって示されるサンプルから数える)。特に、継続時間パラメータは、メタデータが、タイムスタンプ・パラメータによって示されるサンプルの後のある数のサンプルに適用されるべきであることを示してもよい。ここで、サンプルの数が継続時間パラメータによって示される。タイムスタンプおよび/または継続時間パラメータは、たとえば、関連付けられた入来コンテンツ・フレーム内にエンコードされている信号のどのサンプルについて、入来ブロックのメタデータ(たとえばラウドネス値)が適用可能であるかを示すために、使われてもよい。例として、入来メタデータ・フレームは、入来コンテンツ・フレーム内にエンコードされている信号のサンプルの異なるグループについて異なるラウドネス値を示す複数の入来ブロックを含んでいてもよい。
【0018】
記述子内に示される(または含まれる)属性のもう一つの例は、入来ブロックが出行ビットストリーム中にトランスコードされるべきか否かを示すトランスコード・パラメータである。例として、トランスコード・パラメータは、入来ブロック内に含まれるメタデータが第一のコーデック・システムについてのみ適用可能であることを示すために使われてもよい。よって、トランスコーダは、出行ビットストリームが第一のコーデック・システムとは異なる第二のコーデック・システムに基づいてエンコードされる場合、入来ブロック内に含まれるメタデータを脱落させるよう構成されていてもよい。
【0019】
記述子内に含まれる属性のさらなる例は、入来ブロックのメタデータが、当該入来メタデータ・フレームから生成されるすべての出行メタデータ・フレームに含まれるべきであるかどうかを示す複製パラメータである。同様に、出行メタデータ・フレームが複数の入来メタデータ・フレームから生成される場合、入来ブロックのメタデータがトランスコーダによって破棄されるべきかどうかを示す属性として、複製解除(de-duplicate)パラメータが使われてもよい。複製および/または複製解除パラメータは、入来ビットストリームと出行ビットストリームのフレーム構成が異なる状況においてトランスコーダによって使用されてもよい。
【0020】
属性のさらなる例は、入来ブロックのメタデータの、メタデータの一つまたは複数の他の入来ブロックに対する重要性を示す優先度パラメータである。優先度パラメータは、入来ビットストリームに比べてメタデータの低減された量しか出行ビットストリーム中に挿入されることができない状況において、トランスコーダによって使用されてもよい。属性のもう一つの例は、入来ブロックのメタデータが、当該出行メタデータ・フレームのあとの遅れた出行メタデータ・フレーム中に挿入されてもよいか否かを示す関連付けパラメータである。よって、関連付けパラメータは、トランスコーダに、トランスコード・プロセスにおける追加的な柔軟性を提供する。トランスコーダが、どの入来ブロックが遅らされてもよいかおよびどの入来ブロックが関連付けられたコンテンツ・フレームとの関連付けにおいて維持される必要があるかについて効率的な仕方で決定できるからである。
【0021】
属性のもう一つの例は、入来コンテンツ・フレーム内に含まれるデータの修正に従って、入来ブロックのメタデータがトランスコーダによって破棄されるべきか否かを示すPCM処理パラメータである。特に、PCM処理パラメータは、トランスコーダに対して、たとえ入来コンテンツ・フレームのデータ(たとえば入来コンテンツ・フレーム内に含まれる信号のサンプル)が修正されたとしても入来ブロックのメタデータが出行メタデータ・フレーム中に含められるべきであることを示してもよい。たとえば入来ブロックがバイナリー・データのようなまたは入来コンテンツ・フレーム内に含まれるデータと無関係な追加的なビットストリームのようなペイロードを含むときに、そういうことがありうる。PCM処理パラメータは、いわゆるPCM接続されたトランスコーダにとって特に重要である。
【0022】
ある好ましい入来記述子は、タイムスタンプ・パラメータおよび/または継続時間パラメータが記述子内に含まれているかどうかについての指標を少なくとも含む。さらに、ある好ましい入来記述子は、複製および複製解除パラメータを含む。
【0023】
トランスコーダは、入来記述子に基づいて入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、トランスコーダは、入来記述子によって示される前記一つまたは複数の属性のみに基づいて、入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。より詳細には、トランスコーダは、入来ブロック内に含まれるメタデータを解析することなく入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。よって、トランスコーダは、メタデータの諸ブロックによって担持されるメタデータを解析および/または解釈する必要なく、メタデータの諸ブロックの記述子のみに基づいて、メタデータ・フレーム内に含まれるメタデータのトランスコードを実行しうる。これは、著しく軽減された計算量をもつトランスコーダを与える。
【0024】
トランスコーダは、入来メタデータ・フレームの前記一つまたは複数の入来ブロックからのメタデータを、対応する一つまたは複数の出行ブロックにコピーすることによって入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数の出行ブロックは、出行メタデータ・フレームに挿入されてもよい。コピーおよび挿入は、前記一つまたは複数の入来ブロックの入来記述子(単数または複数)によって示される前記一つまたは複数の属性に従わされてもよい。例として、関連付けパラメータは、トランスコーダに対して、特定の入来ブロックが出行メタデータ・フレーム中に挿入されるべきであることを示してもよい。他方、トランスコーダ・パラメータはトランスコーダに対して、第二のコーデック・システムが第一のコーデック・システムと異なる場合には、その特定の入来ブロックが脱落させられるべきであることを示してもよい。
【0025】
トランスコーダは、入来ブロックの入来記述子に基づいて出行ブロックの出行記述子を生成することによって、出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、出行記述子は、入来記述子によって示される属性の一部または全部を含んでいてもよい、または示していてもよい。入来記述子の属性の一部または全部は出行記述子にコピーされてもよい。他方、トランスコーダは、出行記述子を生成するために入来記述子によって示される属性の一つまたは複数を修正するよう構成されていてもよい。ここで、出行記述子は、一つまたは複数の修正された属性を示す。例として、入来記述子はタイムスタンプ・パラメータを示していてもよい。タイムスタンプ・パラメータは、トランスコーダが入来ビットストリームに対して出行ビットストリームのフレーム構成のし直し(re-framing)を実行していた可能性があったとしても修正されたタイムスタンプ・パラメータがもとのタイムスタンプ・パラメータと同じ信号のサンプルを示すよう、トランスコーダによって修正されてもよい。
【0026】
上記で示したように、入来記述子の前記一つまたは複数の属性は、入来ブロックのメタデータが関連付けされている信号のサンプルを示すタイムスタンプ・パラメータを含んでいてもよい。入来記述子のタイムスタンプ・パラメータは典型的には、入来コンテンツ・フレームに対して信号のサンプルを示す。トランスコーダは、入来ブロックから出行ブロックを生成するよう構成されていてもよい。さらに、トランスコーダは、出行記述子の対応するタイムスタンプ・パラメータが出行コンテンツ・フレーム(これは入来コンテンツ・フレームとは異なるフレーム構成をもつことがありうる)に対して信号の当該サンプルを示すよう、入来記述子のタイムスタンプ・パラメータを修正することによって、出行ブロックの出行記述子を生成するよう構成されていてもよい。よって、トランスコーダは、たとえ入来ビットストリームがフレーム構成のし直しを受けたとしても、入来記述子によって示される前記一つまたは複数の属性が有効なままであることを保証するよう構成されていてもよい。
【0027】
トランスコーダは、(入来メタデータ・フレームの入来ブロックから生成された)出行ブロックを遅れた出行メタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。トランスコーダは、(たとえば第二のビットストリームの限られたビットレートのため)前記メタデータを、遅れた出行メタデータ・フレーム中に挿入することを選んでもよい。遅れた出行メタデータ・フレームは、入来ブロックのタイムスタンプ・パラメータによって示される信号のサンプルを含まない遅れた出行コンテンツ・フレームに関連付けられてもよい。にもかかわらず出行ブロックのタイムスタンプ・パラメータが信号の正しいサンプルを同定することを保証するために、トランスコーダは、出行記述子のタイムスタンプ・パラメータが遅れた出行コンテンツ・フレームに対して信号の前記サンプルを指示するよう、入来ブロックのタイムスタンプ・パラメータを修正することによって、出行ブロックの出行記述子を生成するよう構成されていてもよい。例として、修正されたタイムスタンプ・パラメータは、前記遅れたコンテンツ・フレームのサンプルの数を超えるサンプル番号を示し、それにより信号の当該サンプルが前記遅れたコンテンツ・フレームの外にあることを示してもよい。
【0028】
上記で示したように、入来記述子の前記一つまたは複数の属性は、対応する入来ブロックのメタデータが、当該入来メタデータ・フレームから生成されるすべての出行メタデータ・フレームに含められるべきであるかどうかを示す複製パラメータを含んでいてもよい。トランスコーダは、複製パラメータを考慮に入れることによって、入来メタデータ・フレームから複数の出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、トランスコーダは、複製パラメータが、入来ブロックのメタデータが、当該入来メタデータ・フレームから生成されるすべての出行メタデータ・フレームに含められるべきであることを示していることを判別するよう構成されていてもよい。そのような場合、トランスコーダは、入来ブロックのメタデータを前記複数の出行メタデータ・フレームのそれぞれに挿入するよう構成されていてもよい。特に、トランスコーダは、前記複数の出行メタデータ・フレームのそれぞれについて、入来ブロックから出行ブロックを生成するよう構成されていてもよい。複数の出行メタデータ・フレームを生成することに加えて、トランスコーダは、入来コンテンツ・フレームから複数の出行コンテンツ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。ここで、前記複数の出行コンテンツ・フレームは、それぞれ前記複数の出行メタデータ・フレームと関連付けられていてもよい。
【0029】
複製パラメータは、入来ブロックのメタデータが、当該入来メタデータ・フレームから生成されたすべての出行メタデータ・フレームに含められるべきであることを示すようセットされうるフラグを含んでいてもよく、あるいはその逆でもよい(すなわち、上記の代わりに逆のことを示すためにフラグがセットされてもよい)。
【0030】
上記で示したように、入来記述子の前記一つまたは複数の属性は、出行メタデータ・フレームが複数の入来メタデータ・フレームから生成される場合に、入来ブロックのメタデータがトランスコーダによって破棄されてもよい(または破棄されるべきである)かどうかを示す複製解除パラメータを含んでいてもよい。トランスコーダは、複製解除パラメータを考慮に入れることによって、入来ビットストリームの複数の入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、前記複数の入来メタデータ・フレームは、メタデータの複数の入来ブロックを含んでいてもよく、各入来ブロックは、その入来ブロックのメタデータがトランスコーダによって破棄されてもよいことを示すそれぞれの複製解除パラメータと関連付けられていてもよい。トランスコーダは、出行メタデータ・フレームを生成するために、前記複数の入来メタデータ・フレームのうちの一つを除いた全部について(たとえば、前記複数の入来メタデータ・フレームの最初のものを除いた全部について)、前記複数の入来ブロックのメタデータを破棄するよう構成されていてもよい。複数の入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成することに加えて、トランスコーダは、複数の入来コンテンツ・フレームから出行コンテンツ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。ここで、前記複数の入来コンテンツ・フレームはそれぞれ前記複数の入来メタデータ・フレームに関連付けられている。
【0031】
複製解除パラメータは、出行メタデータ・フレームが複数の入来メタデータ・フレームから生成される場合に、入来ブロックのメタデータがトランスコーダによって破棄されてもよい(または破棄されるべきである)ことを示すようセットされうるフラグを含んでいてもよく、あるいはその逆でもよい(すなわち、上記の代わりに逆のことを示すためにフラグがセットされてもよい)。
【0032】
上記で示したように、入来記述子の前記一つまたは複数の属性は、メタデータの一つまたは複数の他の入来ブロックに対する前記入来ブロックのメタデータの相対的な重要性を示す優先度パラメータを含んでいてもよい。トランスコーダにおいて受領される入来メタデータ・フレームは、優先度パラメータについて異なる値を示す記述子をもつ複数の入来ブロックを含んでいてもよい。トランスコーダは、前記複数の入来ブロックの優先度パラメータに基づいて前記複数の入来ブロックから前記出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、トランスコーダは、まず最高の相対優先度をもつ入来ブロック(単数または複数)を選択し、より低い優先度の入来ブロックを、出行ビットストリームのために十分なビットレートが利用可能である場合に挿入するだけであってもよい。
【0033】
前記複数の入来ブロックは、段階的な優先度を示す段階的優先度パラメータに関連付けられていてもよい。前記複数の入来ブロックは、前記複数の入来ブロックの組み合わされたメタデータが高品質のメタデータを提供し、前記複数の入来ブロックからの最高の相対優先度をもつ入来ブロックのメタデータが低下した品質のメタデータを提供する(すなわち、前記組み合わされたメタデータによって提供される高品質メタデータに比べて低下している品質をもつメタデータを提供する)よう、段階的メタデータを含んでいてもよい。次の、より低い優先度の入来ブロックは、メタデータの品質の増大を提供してもよい、など、完全な複数の入来ブロックを組み合わせるときにメタデータの最高品質が提供されるまで同様である。トランスコーダは、前記複数の入来ブロックの少なくとも一つまたは複数に基づいて出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていて、それにより出行メタデータ・フレーム内に含まれるメタデータの品質のスケーラブルな劣化を許容してもよい。劣化の度合いは、たとえば出行ビットストリームの利用可能なビットレートに基づいていてもよい。
【0034】
上記で示したように、入来記述子の前記一つまたは複数の属性は、入来ブロックのメタデータが、前記出行メタデータ・フレームの後の遅れた出行メタデータ・フレーム中に挿入されてもよいかどうかを示す関連付けパラメータを含んでいてもよい。トランスコーダは、関連付けパラメータに基づいておよび/または出行ビットストリームに対するビットレート制約に基づいて、入来ブロックからのメタデータを前記出行メタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。特に、トランスコーダは、関連付けパラメータが前記入来ブロックのメタデータが遅らされてもよいことを示す場合に、入来ブロックからのメタデータを、前記出行メタデータ・フレームのあとの遅れた出行メタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。
【0035】
あるさらなる側面によれば、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含む入来ビットストリームを出行ビットストリーム中にトランスコードする方法が記述される。出行ビットストリームは、出行コンテンツ・フレームおよび/または関連付けられた出行メタデータ・フレームを含んでいてもよい。入来コンテンツ・フレームは第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよく、出行コンテンツ・フレームは第二のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。上記で示したように、第一および第二のコーデック・システムは同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。本方法は、入来メタデータ・フレームからメタデータの入来ブロックを同定することを含んでいてもよい。メタデータの入来ブロックは、メタデータの該入来ブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す入来記述子に関連付けられていてもよい。さらに、本方法は、入来記述子に基づいて入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成することを含んでいてもよい。換言すれば、出行メタデータ・フレームは、典型的には入来メタデータ・フレーム内に含まれるメタデータをさらに解析する必要なく、入来記述子を考慮することによって決定されうる。
【0036】
もう一つの側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームが記述される。コンテンツ・フレームは、第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。メタデータ・フレームはメタデータのブロックを含んでいてもよく、メタデータのブロックはメタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す記述子に関連付けられていてもよい(または該記述子を含んでいてもよい)。
【0037】
あるさらなる側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームを生成するよう構成されたエンコーダが記述される。コンテンツ・フレームはあるコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。エンコーダは、メタデータのブロックを生成するよう構成されていてもよい。さらに、エンコーダは、メタデータのブロックに関連付けられた記述子を決定するよう構成されていてもよい。記述子は、メタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示してもよい。さらに、エンコーダは、メタデータのブロックをメタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。トランスコーダのコンテキストにおいて本稿で記述される特徴は対応するエンコーダにも適用可能であることを注意しておくべきである。
【0038】
特に、前記一つまたは複数の属性は、メタデータのブロック内に含まれるメタデータが関連付けされている信号のサンプルを示すタイムスタンプ・パラメータを含んでいてもよい。信号のサンプルはコンテンツ・フレーム内に含まれてもよい。エンコーダは、当該ブロックを、遅れたメタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。ここで、遅れたメタデータ・フレームは、信号の前記サンプルを含まない遅れたコンテンツ・フレームに関連付けられている。さらに、エンコーダは、記述子のタイムスタンプ・パラメータが前記遅れたコンテンツ・フレームに対して信号の前記サンプルを指示するよう、メタデータのブロックの記述子を生成するよう構成されていてもよい。よって、エンコーダは、メタデータの送信を遅らせ、タイムスタンプ・パラメータをしかるべく修正し、それによりエンコーダによって生成されるビットストリームのビットレートを平滑化するよう構成されていてもよい。
【0039】
ある側面によれば、対応するデコーダが記述される。デコーダは、本稿に記述されるデコーダ関係の特徴のいずれを含んでいてもよい。デコーダは、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームをデコードするよう構成されていてもよい。上記で概説したように、コンテンツ・フレームは、第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。メタデータ・フレームは、メタデータのブロックを含んでいてもよい。メタデータのブロックは、メタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す記述子に関連付けられていてもよい(または該記述子を含んでいてもよい)。デコーダは、コンテンツ・フレーム内に含まれるエンコードされた信号をデコードするよう構成されていてもよい。特に、デコーダは、エンコードされた信号をデコードするための前記第一のコーデック・システムのデコーダを含んでいてもよい。結果として、デコーダは、エンコードされた信号のPCMサンプルの集合を提供するよう構成されていてもよい。
【0040】
さらに、デコーダは、メタデータ・フレームからメタデータのブロックを同定し、メタデータのブロックから記述子を抽出するよう構成されていてもよい。さらに、デコーダは、記述子によって示される前記一つまたは複数の属性に依存してメタデータのブロック内に含まれるメタデータを処理するよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数の属性は、本稿に記載される属性のどの一つまたは複数に対応していてもよい。デコーダは、メタデータの特定の属性を、メタデータの対応する処理に関連付けるよう構成されていてもよい。例として、記述子は、タイムスタンプ・パラメータを示し、それによりデコーダにメタデータのブロックのメタデータが信号の特定のサンプルに適用されるものであることを通知してもよい。よって、デコーダは、タイムスタンプ・パラメータによって示されるサンプルにメタデータを適用するよう構成されていてもよい。もう一つの例として、記述子は、関連付けパラメータを示していてもよい。関連付けパラメータが、メタデータのブロックがコンテンツ・フレームに関係していないことを示す場合には、デコーダは、メタデータのブロック内に含まれるメタデータを(たとえばブロック・メタデータ内に含まれる補助データを扱う)別の処理ユニットに渡すよう構成されていてもよい。
【0041】
ある側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けされたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームをデコードする方法が記述される。コンテンツ・フレームは、第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。メタデータ・フレームは、メタデータのブロックを含んでいてもよい。メタデータのブロックは、メタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す記述子に関連付けられていてもよい。本方法は、コンテンツ・フレーム内に含まれるエンコードされた信号をデコードすることを含んでいてもよい。特に、本方法は、メタデータ・フレームからメタデータのブロックを同定し、メタデータのブロックから記述子を抽出することを含んでいてもよい。加えて、本方法は、記述子によって示される前記一つまたは複数の属性に基づいてメタデータのブロック内に含まれるメタデータを処理することを含んでいてもよい。
【0042】
もう一つの側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームを生成する方法が記述される。コンテンツ・フレームはあるコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。本方法は、メタデータのブロックを生成することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、メタデータのブロックに関連付けられた記述子を決定することを含んでいてもよい。ここで、記述子は、メタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す。加えて、本方法は、メタデータのブロックをメタデータ・フレーム中に挿入することを含んでいてもよい。
【0043】
あるさらなる側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームを生成するよう構成されたエンコーダが記述される。コンテンツ・フレームは第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。エンコーダは、メタデータのブロックを生成するよう構成されていてもよい。ある好ましい実施形態では、メタデータのブロックは、本稿に記述されるような記述子を含む。記述子は、メタデータのブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示してもよい。
【0044】
エンコーダは、メタデータのブロックをメタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。さらに、エンコーダは、複数のあらかじめ決定された安全な鍵から安全な鍵を選択するよう構成されていてもよい。前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、種々の信頼レベルを提供するよう構成されていてもよい。特に、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、エンコーダの(または対応するデコーダのまたはデコーダおよびエンコーダを有する対応するトランスコーダの)開発者にのみ知られている高度に安全な鍵を含んでいてもよい。さらに、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、エンコーダの(または対応するデコーダのまたはデコーダおよびエンコーダを有する対応するトランスコーダの)運用者に知られている中程度の安全な鍵を含んでいてもよい。
【0045】
エンコーダは、少なくともコンテンツ・フレーム、関連付けられたメタデータ・フレームおよび選択された安全な鍵に基づいて暗号学的値を生成するよう構成されていてもよい。特に、エンコーダは、暗号学的値を生成するために、HMAC-MD5値またはHMAC-SHA256値(連邦情報処理標準FIPS PUB 180-2において規定されているセキュア・ハッシュ・アルゴリズム(Secure Hash Algorithm))を計算するよう構成されていてもよい。加えて、エンコーダは、HMAC-MD5またはHMAC-SHA256値を打ち切って暗号学的値を与えるよう構成されていてもよい。HMAC値を打ち切ることにより、暗号学的値のために必要とされるオーバーヘッドが低減されうる。エンコーダは、生成された暗号学的値をメタデータ・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。それにより、コンテンツ・フレームおよび/またはメタデータ・フレームが、権限のない者によって、検出されることなく修正されることができないことを保証する。
【0046】
異なる信頼レベルを提供する異なる安全な鍵の使用は、対応するデコーダ(またはデコーダを有するトランスコーダ)が、受領されたビットストリームが修正されているかどうかおよびもしそうであればどの者が受領されたビットストリームを修正したのかを検証することができることを保証する。例として、エンコーダは、前記高度に安全な鍵を使ってビットストリームを最初に生成したことがありうる。中間の者がビットストリームを修正したことがありえ、修正された暗号学的値を生成するために前記中程度に安全な鍵を使ったことがありうる。よって、デコーダは、受領されたビットストリームが前記中程度に安全な鍵へのアクセスをもつ者によって修正されたことを知る。前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、二つより多くの信頼レベルを有していてもよく、それによりデコーダに受領されたビットストリームの信頼性に関するさらなる詳細を提供してもよいことを注意しておくべきである。
【0047】
エンコーダは、選択された安全な鍵の指示をメタデータ・フレーム中に挿入し、それにより対応するデコーダが受領されたビットストリームが修正されているかどうかを簡単に検証できるようにするよう構成されていてもよい。他方、デコーダは、メタデータ・フレーム中に挿入されるべき選択された安全な鍵の指示を必要とすることなく、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵全部を使って受領されたビットストリームの真正性を検証するよう構成されていてもよい。
【0048】
エンコーダは、エンコードされたビットストリームのために複数の相続くコンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。さらに、エンコーダは、単一のコンテンツ・フレームおよびその関連付けられたメタデータ・フレームに基づき、かつ選択された安全な鍵に基づいて、フレーム暗号学的値を生成するよう構成されていてもよい。フレーム暗号学的値は、関連付けられたメタデータ・フレーム中に挿入されてもよく、個々のコンテンツ/メタデータ・フレームの真正性を検証するために対応するデコーダ(またはトランスコーダ)によって使用されてもよい。さらに、エンコーダは、前記複数の相続くコンテンツ・フレームおよびそれらの関連付けられたメタデータ・フレームのうちの少なくともいくつかに基づき、かつ選択された安全な鍵に基づいて、履歴暗号学的値を生成するよう構成されていてもよい。履歴暗号学的値は、前記複数の相続くメタデータ・フレームの一つに挿入されてもよく、前記複数の相続くコンテンツ・フレームおよびメタデータ・フレームの正しい逐次順を検証するために対応するデコーダ(またはトランスコーダ)によって使用されてもよい。
【0049】
あるさらなる側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを有するエンコードされたビットストリームを生成する方法が記述される。コンテンツ・フレームは、第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。本方法は、メタデータのブロックを生成し、メタデータのブロックをメタデータ・フレーム中に挿入することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、複数のあらかじめ決定された安全な鍵から安全な鍵を選択することを含んでいてもよい。前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、種々の信頼レベルを提供する。加えて、本方法は、少なくともコンテンツ・フレーム、関連付けられたメタデータ・フレームおよび選択された安全な鍵に基づいて暗号学的値を生成することを含んでいてもよい。生成された暗号学的値は次いでメタデータ・フレーム中に挿入されてもよい。
【0050】
あるさらなる側面によれば、対応するデコーダが記述される。デコーダは、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含むエンコードされたビットストリームを受領するよう構成されていてもよい。エンコードされたビットストリームは、本稿に記述される属性のどの一つまたは複数を有していてもよい。特に、コンテンツ・フレームは第一のコーデック・システム(たとえば、本稿で言及されるようなコーデック・システム)に基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。デコーダは、メタデータ・フレームから暗号学的値を抽出するよう構成されていてもよい。暗号学的値は、本稿において記述されるように、対応するエンコーダによってメタデータ・フレーム中に挿入されたものであってもよい。特に、暗号学的値は、複数のあらかじめ決定された安全な鍵の一つを使って決定されていてもよい。上記で概説したように、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は種々の信頼レベルを提供しうる。例として、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は、高度に安全な鍵および中程度に安全な鍵を含んでいてもよい。
【0051】
デコーダは、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵からの安全な鍵を決定するよう構成されていてもよい。特に、デコーダは、安全な鍵をメタデータ・フレームから(たとえば、メタデータ・フレームの特定のフィールドから)抽出することによって、前記安全な鍵を決定するよう構成されていてもよい。さらに、デコーダは、少なくとも受領されたコンテンツ・フレーム、受領された関連付けられたメタデータ・フレームおよび決定された安全な鍵に基づいて検証暗号学的値を生成するよう構成されていてもよい。加えて、デコーダは、受領されたエンコードされたビットストリームが信頼できるかどうかを判定するために、抽出された暗号学的値および検証暗号学的値を比較するよう構成されていてもよい。例として、抽出された暗号学的値および検証暗号学的値が一致すれば、デコーダは、受領されたエンコードされたビットストリームが信頼できると判定しうる。さらに、検証暗号学的値を生成するために使われる安全な鍵が、受領されたエンコードされたビットストリームに関連付けられる信頼レベルをデコーダに対して示しうる。例として、高度に安全な鍵は、中程度に安全な鍵より高い信頼レベルを示していてもよい。
【0052】
デコーダは、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵のうちのどれが抽出された暗号学的値を生成するために使われたかを決定するよう構成されていてもよい。上記で示したように、抽出された暗号学的値を生成するために使われた安全な鍵は、受領されたエンコードされたビットストリームの信頼のレベルの指標を提供しうる。特に、デコーダは、それぞれ前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵についての複数の検証暗号学的値を生成するよう構成されていてもよい。さらに、デコーダは、前記複数の検証暗号学的値のそれぞれを、抽出された暗号学的値と比較するよう構成されていてもよい。加えて、デコーダは、該比較が前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵のうちの一つが抽出された暗号学的値に一致することを示す場合、前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵のうちの前記一つが抽出された暗号学的値を生成するために使われたことを判別するよう構成されていてもよい。
【0053】
あるさらなる側面によれば、コンテンツ・フレームおよび関連付けられたメタデータ・フレームを含む受領されたエンコードされたビットストリームの信頼のレベルを決定する方法が記述される。コンテンツ・フレームは、第一のコーデック・システムに基づいてエンコードされた信号を示していてもよい。本方法は、メタデータ・フレームから暗号学的値を抽出することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、複数のあらかじめ決定された安全な鍵からの安全な鍵を決定することを含んでいてもよい。前記複数のあらかじめ決定された安全な鍵は種々の信頼レベルを提供しうる。加えて、本方法は、少なくともコンテンツ・フレーム、関連付けられたメタデータ・フレームおよび決定された安全な鍵に基づいて検証暗号学的値を生成することを含んでいてもよい。本方法は、受領されたエンコードされたビットストリームについての信頼のレベルを決定するために、抽出された暗号学的値および検証暗号学的値を比較することに進んでもよい。ここで、信頼のレベルは、決定された安全な鍵によって示されてもよい。
【0054】
もう一つの側面によれば、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含む入来ビットストリームを出行ビットストリームにトランスコードするよう構成されたトランスコーダが記述される。トランスコーダは、本稿に記載されるトランスコーダ関係の特徴のいずれを有していてもよい。上記で概説したように、入来ビットストリームは、信号のサンプルの集合を示していてもよく、たとえば信号のあるフレームのサンプルを示していてもよい。トランスコーダは、(受領された入来ビットストリームをデコードするための)デコーダおよび(デコードされた入来ビットストリームをエンコードし直してトランスコードされた出行ビットストリームを与えるための)エンコーダを有していてもよい。トランスコーダはいわゆるPCM接続されたトランスコーダを有していてもよい。
【0055】
トランスコーダのデコーダは、入来コンテンツ・フレームを信号のデコードされたPCMサンプルの集合に変換するよう構成されていてもよい。さらに、デコーダは、入来メタデータ・フレームからメタデータを抽出するよう構成されていてもよい。よって、デコーダは、入来ビットストリームを、デコードされたPCMサンプルおよび関連付けられたメタデータのシーケンスに変換するよう構成されていてもよい。デコードされたPCMサンプルおよび関連付けられたメタデータのシーケンスは、トランスコーダのエンコーダによって、(第二のコーデック・システムに基づく)出行ビットストリームを生成するために使われてもよい。デコーダは、デコーダの安全な鍵を使って、デコードされたPCMサンプルおよび抽出されたメタデータの集合についての署名値を生成するよう構成されていてもよい。署名値は、HMAC-MD5またはHMAC-SHA256ハッシュ関数を使って生成されてもよい。結果として得られる値は、署名値を与えるために打ち切られてもよい。よって、デコーダは、署名値を与えるよう構成されていてもよく、それによりエンコーダが、デコードされたPCMサンプルおよび/またはメタデータが当該トランスコーダのデコーダとエンコーダの間で(デコーダの安全な鍵へのアクセスをもたない)権限のないエンティティによって修正されていないかどうかを検証できるようにする。
【0056】
トランスコーダのエンコーダは、PCMサンプルおよび関連付けられたメタデータの集合を受領するよう構成されていてもよい。PCMサンプルの受領された集合は典型的には、デコーダによって与えられるデコードされたPCMサンプルの集合に対応し、受領されたメタデータは典型的にはデコーダからの抽出されたメタデータに対応する。しかしながら、PCMサンプルおよび/またはメタデータは、修正されていて、PCMサンプルの受領された集合および/または受領されたメタデータがデコードされたPCMサンプルの集合および/または抽出されたメタデータと異なっていることがありうる。
【0057】
エンコーダは、署名値を受領するよう構成されていてもよい。受領された署名値は、デコーダによって生成された署名値に対応していることがあり、あるいはそれに等しいことがある。他方、受領された署名値がデコーダによって生成された署名値と異なることがありうる(たとえば、PCMサンプルおよび/またはメタデータの修正を受け権限のあるエンティティによって修正された場合)。エンコーダは、受領された署名値がPCMサンプルおよび関連付けられたメタデータの受領された集合について有効であるかどうかを、エンコーダの安全な鍵を使って検証するよう構成されていてもよい。さらに、エンコーダは、受領された署名が有効である場合に、PCMサンプルの受領された集合から出行ビットストリームの出行コンテンツ・フレームを生成し、受領されたメタデータから関連付けられた出行ビットストリームの出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。他方、エンコーダは、受領された署名が有効でない場合には、受領されたメタデータの出行ビットストリーム中への挿入を防止するよう構成されていてもよい。よって、トランスコーダのエンコーダは、メタデータまたはPCMサンプルが権限のないエンティティによって修正されている場合に、メタデータ・フレームの出行ビットストリーム中への挿入を防止するよう構成されていてもよい。
【0058】
トランスコーダ内で使われるデコーダおよびエンコーダは典型的にはそれぞれのオーディオ・コーデック・システムの開発者によって提供されることを注意しておくべきである。よって、デコーダおよびエンコーダの機能は、開発者によって制御されることができ、それによりオーディオ・コンテンツおよび関連付けられたメタデータの高い品質を保証する。他方、デコーダとエンコーダの間でPCMサンプルおよび/またはメタデータが権限のないエンティティによって修正されることがあり、それにより、オーディオ・コンテンツおよび/またはメタデータの品質が低下するリスクを呈する。署名値を生成するデコーダを提供することにより、かつ署名値を検証するエンコーダを提供することにより、PCMサンプルおよび/またはメタデータの権限のない修正を検出できることを保証できる。
【0059】
エンコーダは、デコーダの安全な鍵をエンコーダの安全な鍵として使うよう構成されていてもよい。よって、エンコーダが、受領されたPCMサンプルおよびメタデータが対応するデコーダによって提供されたPCMサンプルおよびメタデータに対応するかどうかを検証することができることが保証される。
【0060】
トランスコーダはさらに、デコードされたPCMサンプルの集合および/または抽出されたメタデータを修正し、それにより第二のPCMサンプルの集合および関連付けられた第二のメタデータを与えるよう構成されているPCM処理段を含んでいてもよい。第二のPCMサンプルの集合は、デコードされたPCMサンプルの集合または修正されたPCMサンプルの集合に対応しうる。同様に、第二のメタデータは抽出されたメタデータまたは修正された抽出されたメタデータに対応しうる。さらに、PCM処理段は、第二のPCMサンプルの集合および関連付けられた第二のメタデータをエンコーダに渡すよう構成されていてもよい。受領された署名値およびエンコーダの安全な鍵を使って、エンコーダは、デコードされたPCMサンプルおよび/または抽出されたメタデータがPCM処理段によって修正されたことを検出するよう構成されていてもよい。換言すれば、エンコーダは、(エンコーダによって受領された)第二のPCMサンプルおよび(エンコーダによって受領された)第二のメタデータが(デコーダによって提供された)デコードされたPCMサンプルおよび抽出されたメタデータに対応していないことを検出するよう構成されていてもよい。
【0061】
トランスコーダはさらに、再署名の安全な鍵を使って、第二のPCMサンプルの集合および関連付けられた第二のメタデータについて更新された署名値を決定するよう構成されている再署名ユニットを有していてもよい。さらに、再署名ユニットは、更新された署名値をエンコーダに渡すよう構成されていてもよい。再署名の安全な鍵は、デコーダの安全な鍵とは異なっていてもよい。エンコーダは、再署名の安全な鍵をエンコーダの安全な鍵として使うよう構成されていてもよい。よって、エンコーダは、PCMサンプルおよび/または関連付けられたメタデータが権限のあるPCM処理段によって修正されたことを検出するよう構成されていてもよい。本稿に記述される暗号学的値と同様に、署名値のための安全な鍵は、複数のあらかじめ決定された安全な鍵から選択されてもよい。例として、デコーダの安全な鍵は、高度に安全な鍵であってもよく、一方、再署名の安全な鍵は中程度に安全な鍵であってもよく、それによりトランスコーダのエンコーダにおいて受領されるPCMサンプルおよび/または関連付けられたメタデータについての異なる信頼レベルを提供する。
【0062】
トランスコーダのエンコーダは、受領されたPCMサンプルの集合および/または受領されたメタデータを修正するよう構成されたPCM処理段を有していてもよい。受領されたPCMサンプルの集合はデコードされたPCMサンプルの集合または第二のPCMサンプルの集合に対応しうる。同様に、受領されたメタデータは抽出されたメタデータまたは第二のメタデータに対応しうる。エンコーダは、エンコーダのPCM処理段によって修正された、受領されたPCMサンプルの修正された集合および/または修正された受領されたメタデータに基づいて、出行コンテンツ・フレームおよび/または出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。トランスコーダのエンコーダにPCM処理段を設けることによって、トランスコーダ内で信頼のチェーンが維持されることが保証できる(PCM処理がエンコーダの開発者によって提供されたエンコーダ内で実行されるため)。
【0063】
上記で示したように、PCM接続されたトランスコーダは、本稿に記述される特徴のいずれを有していてもよい。特に、トランスコーダのデコーダは、入来メタデータ・フレームからメタデータの入来ブロックを同定するよう構成されていてもよい。本稿で概説されるように、メタデータの入来ブロックは、メタデータの入来ブロック内に含まれるメタデータの一つまたは複数の属性を示す入来記述子に関連付けられていてもよい。前記一つまたは複数の属性は、本稿に記載される属性のどの一つまたは複数であってもよい。トランスコーダのエンコーダは、少なくとも入来記述子に基づいて入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。
【0064】
特に、前記一つまたは複数の属性は、PCMサンプルの集合および/または抽出されたメタデータの修正を受けた入来ブロックのメタデータがエンコーダによって破棄されるべきであるか否かを示すPCM処理パラメータを含んでいてもよい。そのような場合、トランスコーダのエンコーダは、PCM処理パラメータの値に基づいて、入来ブロックを出行メタデータ・フレームに含めたり含めなかったりするよう構成されていてもよい。特に、エンコーダは、PCM処理パラメータが、たとえPCMサンプルの集合および/または抽出されたメタデータが修正されていたとしても入来ブロックのメタデータが破棄されるべきでないことを示す場合に、入来ブロックのメタデータを出行メタデータ・フレーム中に含めるよう構成されていてもよい。これは、たとえば、入来ブロック内に含まれるメタデータがPCMサンプルの集合とは独立である(たとえば補助データまたはバイナリー・データについてそうであるように)状況において有用である。
【0065】
トランスコーダのPCM処理段は、トランスコーダのエンコーダに一つまたは複数のPCM処理条件の指標を提供するよう構成されていてもよい。一つまたは複数のPCM処理条件は、PCMサンプルの集合がどのようにおよび/または抽出されたメタデータがどのようにPCM処理段によって処理されたかを示してもよい。例として、一つまたは複数のPCM処理条件は:PCMサンプルの集合のサンプリング・レートの変換、PCMサンプルのシステム・サウンドとの混合、抽出されたメタデータの修正、PCMサンプルの集合のチャネル構成の修正(オーディオ信号の場合)、PCMサンプルの集合のラウドネスの平準化(leveling)の一つまたは複数を含んでいてもよい。すると、エンコーダは、前記一つまたは複数のPCM処理条件にも基づいて、入来メタデータ・フレームから出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。特に、エンコーダは、PCM処理パラメータの値に基づき、かつ前記一つまたは複数のPCM処理条件に基づいて、入来ブロックを出行メタデータ・フレーム中に含めるか含めないかについて決定するよう構成されていてもよい。特に、PCM処理パラメータは、一つまたは複数のPCM処理条件を受けた入来ブロックをどのように処理するかを示してもよい。
【0066】
あるさらなる側面によれば、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含む入来ビットストリームを出行ビットストリームにトランスコードする方法が記述される。入来ビットストリームは、信号のサンプルの集合を示していてもよい。本方法は、デコーダにおいて、入来コンテンツ・フレームを信号のデコードされたPCMサンプルの集合に変換することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、デコーダにおいて、入来メタデータ・フレームからメタデータを抽出することを含んでいてもよい。さらに、デコーダの安全な鍵を使って、デコードされたPCMサンプルの集合および抽出されたメタデータについての署名値が生成されてもよい。デコードされたPCMサンプルの集合、抽出されたメタデータおよび生成された署名値は対応するエンコーダに渡されてもよい。加えて、本方法は、エンコーダにおいて、PCMサンプルの集合および関連付けられたメタデータを受領し、署名値を受領することを含んでいてもよい。本方法は、受領された署名値がPCMサンプルの受領された集合および関連付けられたメタデータについて有効であるかどうかを、エンコーダの安全な鍵を使って判定することに進んでもよい。その後、受領された署名が有効であれば、PCMサンプルの受領された集合から出行ビットストリームの出行コンテンツ・フレームが生成されてもよく、受領されたメタデータから出行ビットストリームの関連付けられた出行メタデータ・フレームが生成されてもよい。
【0067】
さらなる諸側面によれば、PCM接続されたトランスコーダの上述したデコーダおよびエンコーダが単独で記述される。デコーダおよび/またはエンコーダは、本稿に記述されるデコーダおよび/またはエンコーダ関係の特徴のどの一つまたは複数を有していてもよい。デコーダおよび/またはエンコーダは(上記のように)トランスコーダにおいて使用されてもよい。代替的または追加的に、デコーダおよび/またはエンコーダは単独で使われてもよい。よって、あるさらなる側面によれば、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含む入来ビットストリームをデコードするよう構成されたデコーダが記述される。入来ビットストリームは、信号のサンプルの集合を示していてもよい。デコーダは、入来コンテンツ・フレームを信号のデコードされたPCMサンプルの集合に変換するよう構成されていてもよい。さらに、デコーダは、入来メタデータ・フレームからメタデータを抽出するよう構成されていてもよい。加えて、デコーダは、デコーダの安全な鍵を使って、デコードされたPCMサンプルの集合および抽出されたメタデータについての署名値を生成するよう構成されていてもよい。よって、デコードされたPCMサンプルの集合および関連付けられた抽出されたメタデータは、署名値を使って保護されてもよい。署名値は、デコードされたPCMサンプルの集合および関連付けられた抽出されたメタデータの受領者によって、デコードされたPCMサンプルの集合および/または関連付けられた抽出されたメタデータが許諾されない仕方で修正されているかどうかを検証するために使われてもよい。受領者は、デコードされたPCMサンプルの集合および関連付けられた抽出されたメタデータを出行ビットストリーム中にエンコードし直すよう構成されているエンコーダであってもよい。よって、デコーダは、デコードされたPCMサンプル、抽出されたメタデータおよび生成された署名値を再エンコードのためにエンコーダに送るよう構成されていてもよい。
【0068】
もう一つの側面によれば、出行コンテンツ・フレームおよび関連付けられた出行メタデータ・フレームを含む出行ビットストリームをエンコードするよう構成されたエンコーダが記述される。エンコーダは、PCMサンプルの集合および関連付けられたメタデータを受領し、PCMサンプルの集合および関連付けられたメタデータについての署名値を受領するよう構成されていてもよい。PCMサンプルの受領された集合は、デコードされたPCMサンプルの上述した集合に対応してもよい(あるいはそれから導出されたものであってもよい)。同様に、関連付けられたメタデータの受領された集合は、抽出されたメタデータの上述した集合に対応してもよい(あるいはそれから導出されたものであってもよい)。受領された署名値は、デコードされたPCMサンプルおよび抽出されたメタデータの上述した集合を使って(たとえばデコーダにおいて)決定されたものであってもよい。
【0069】
エンコーダは、受領された署名値がPCMサンプルおよび関連付けられたメタデータの受領された集合について有効であるかどうかを、エンコーダの安全な鍵を使って検証するよう構成されていてもよい。さらに、受領された署名が有効であれば、エンコーダは、PCMサンプルの受領された集合から出行ビットストリームの出行コンテンツ・フレームを生成し、受領されたメタデータから出行ビットストリームの関連付けられた出行メタデータ・フレームを生成するよう構成されていてもよい。
【0070】
もう一つの側面によれば、入来コンテンツ・フレームおよび関連付けられた入来メタデータ・フレームを含む入来ビットストリームをデコードする方法が記述される。入来ビットストリームは、信号のサンプルの集合を示していてもよい。本方法は、入来コンテンツ・フレームを信号のデコードされたPCMサンプルの集合に変換し、入来メタデータ・フレームからメタデータを抽出することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、デコーダの安全な鍵を使って、デコードされたPCMサンプルの集合および抽出されたメタデータについての署名値を生成することを含んでいてもよい。加えて、本方法は、デコードされたPCMサンプルの集合、抽出されたメタデータおよび生成された署名値を再エンコードのためにエンコーダに提供することを含んでいてもよい。
【0071】
あるさらなる側面によれば、出行コンテンツ・フレームおよび関連付けられた出行メタデータ・フレームを含む出行ビットストリームをエンコードする方法が記述される。本方法は、PCMサンプルの集合および関連付けられたメタデータを受領し、PCMサンプルの集合および関連付けられたメタデータについての署名値を受領することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、受領された署名値が、PCMサンプルの受領された集合および関連付けられたメタデータについて有効であるかどうかを、エンコーダの安全な鍵を使って検証することを含んでいてもよい。本方法は、受領された署名が有効であれば、PCMサンプルの受領された集合から出行ビットストリームの出行コンテンツ・フレームを生成し、受領されたメタデータから出行ビットストリームの関連付けられた出行メタデータ・フレームを生成することに進んでもよい。
【0072】
あるさらなる側面によれば、ソフトウェア・プログラムが記述される。ソフトウェア・プログラムは、プロセッサ上での実行のために、プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するよう適応されていてもよい。
【0073】
もう一つの側面によれば、記憶媒体が記述される。記憶媒体は、プロセッサ上での実行のために、プロセッサ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するよう適応されているソフトウェア・プログラムを有してもよい。
【0074】
あるさらなる側面によれば、コンピュータ・プログラム・プロダクトが記述される。コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに本稿で概説される方法段階を実行するための実行可能命令を有していてもよい。
【0075】
本特許出願において概説される好ましい実施形態を含む方法およびシステムが単独で、あるいは本稿で開示される他の方法およびシステムとの組み合わせにおいて使用されうることを注意しておくべきである。さらに、本特許出願において概説される方法およびシステムのすべての側面は任意に組み合わされうる。特に、請求項の特徴は、任意の仕方で互いに組み合わされうる。