【文献】
European Journal of Organic Chemistry,2009年,Vol.2009, No.20,p.3404-3412
【文献】
Bioorganic & Medicinal Chemistry,2008年,Vol.16, No.7,p.3661-3674
【文献】
Liebigs Annualen der Chemie,1982年,Vol.1982, No.12,p.2178-2188
【文献】
Chemistry -An Asian Journal,2010年,Vol.5, No.8,p.1918-1929
【文献】
Canadian Journal of Chemistry,2009年,Vol.87, No.9,p.1222-1229
【文献】
European Journal of Medicinal Chemistry,2009年,Vol.44, No.3,p.1303-1310
【文献】
Russian Journal of Organic Chemistry,1997年,Vol.33, No.11,p.1656-1665
【文献】
SHARMA, Chirag et al.,One-pot synthesis of 3,5-dimethyl-4-(4-substitutedphenyl)-8-(4-substituted phenyl)-1H, 4H, 7H, 8H-dipyrazolo(3,4-b:4'-3'-e)pyridines and their reaction with phthalimidoxyethyl bromide,Indian Journal of Heterocyclic Chemistry,2008年,Vol.18, No.2,p.153-156,CAplus(STN)[online], [retrieved on 3 March 2017], Accession No. 2009:134071
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0001】
本発明は、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンス素子に使用するための材料に関する。
【0002】
機能性材料として有機半導体が使用される、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の構造は、例えば、US4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。この場合に使用される発光材料は、次第に蛍光の代わりにリン光を示す有機金属錯体になっている(M.A.Baldoら、Appl.Phys.Lett.1999年、75巻、4〜6頁)。量子力学的理由のため、リン光発光材料として有機金属化合物を使用し、最大4倍のエネルギーおよび出力効率が可能である。一般に、例えば、効率、動作電圧および寿命に関して、OLED、やはり特に三重項発光(リン光)を示すOLEDの改善が依然として必要とされている。これは、比較的、短波長領域で発光するOLEDに、特に当てはまる。
【0003】
リン光OLEDの特性は、使用する三重項の発光材料によってのみ決まるものではない。特に、使用される他の材料、例えばマトリックス材料、正孔ブロッキング材料、電子輸送材料、正孔輸送材料、および電荷または励起子ブロッキング材料も、この場合、特に重要である。したがって、これらの材料の改善はまた、OLEDの特性の著しい改善をもたらすこともできる。蛍光OLED用にこれらの材料を改善することも必要である。
【0004】
従来技術によれば、とりわけケトン(例えば、WO2004/093207またはWO2010/006680による)またはホスフィンオキシド(例えば、WO2005/003253による)が、リン光発光材料用のマトリックス材料として使用されている。しかし、特に、素子の効率、寿命および動作電圧に関して、他のマトリックス材料の場合のように、これらのマトリックス材料の使用に関する改善が依然として必要とされている。
【0005】
本発明の目的は、蛍光またはリン光OLED、特にリン光OLEDにおいて、例えばマトリックス材料として、または正孔輸送材料/電荷ブロッキング材料もしくは励起子ブロッキング材料として、あるいは電子輸送材料もしくは正孔ブロッキング材料として使用するのに適した化合物を提供することである。特に、本発明の目的は、緑色、さらにまた場合により青色のリン光OLEDにも適したマトリックス材料を提供すること、ならびに新規な正孔輸送材料および電子輸送材料を提供することである。
【0006】
驚くべきことに、以下でより詳細に記載するある種の化合物が本目的を実現し、特に、寿命、効率および動作電圧に関して有機エレクトロルミネッセンス素子の改善をもたらすことが見出された。これは、とりわけ本発明による化合物のマトリックス材料としての使用に関するばかりか、該化合物の精密な置換基に応じて、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料または正孔ブロッキング材料としても該化合物を使用するための緑色および青色のリン光エレクトロルミネッセンス素子に特に当てはまる。したがって、本発明は、これらの材料、およびこのタイプの化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0007】
WO2007/031165は、本発明による化合物に基本構造が類似している、架橋トリフェニルアミン構造を開示している。しかし、フェニル基の代わりに5員ヘテロアリール環基を含有している化合物は、その明細書には開示されていない。さらに、これらの化合物は、単に発光材料または正孔輸送材料として記載されているだけであり、リン光発光材料用のマトリックス材料または電子輸送材料としては記載されていない。
【0008】
WO2010/050778は、本発明による化合物に基本構造が類似している、架橋トリフェニルアミンおよびフェニルカルバゾール構造を開示している。しかし、フェニル基の代わりに架橋5員ヘテロアリール環基を含有している化合物は、その明細書には開示されていない。
【0009】
DE102009053836.4は、公開されていないが、本発明による化合物に基本構造が類似した架橋トリアリールアミン構造を開示しており、ここで、窒素に結合している芳香族基の少なくとも1つは、6員ヘテロアリール環基を表わす。しかし、6員ヘテロアリール環基の代わりに架橋5員ヘテロアリール環基を含有している化合物は、その明細書には開示されていない。
【0010】
驚くべきことに、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス素子において本発明による化合物を使用すると、良好な電子特性がもたらされることを見出した。
【0011】
したがって、本発明は、以下の式(1)または式(2)の化合物であって、化3に示す化合物は、本発明から除外される、化合物に関する。
【化1】
【0012】
[式中、使用された記号および添え字には以下が適用され、Xは、出現する毎に同一または異なって、N、PまたはP=Oであり、Y
1、Y
2、Y
3は、出現する毎に同一または異なって、単結合またはC(R
1)
2、NR
1、O、S、C=O、C=NR
1、C=C(R
1)
2、Si(R
1)
2、BR
1、PR
1、P(=O)R
1、SO、SO
2であり、ただし、Y
1、Y
2およびY
3のすべてが同時に単結合を表わすことはなく、さらに、式(1)中のY
1は、n+m=0の場合、単結合またはC=Oを表わすことはなく、Ar
1は、出現する毎に同一または異なって、以下の式(3)、式(4)または式(5)の基であり、
【化2】
【0013】
(式中、上記の基は、
*によって示される2つの位置を介して、XおよびY
1に結合しており、また、上記の基は、さらなる隣接位を介してY
3に結合していてもよく、また、
Wは、出現する毎に同一または異なって、CまたはNであり、
Vは、W=Cの場合、出現する毎に同一または異なって、CR、N、NR、SまたはOであり、ただし、正確に1個の記号Vの1個は、NR、SまたはOを表わす、または、
W=Nの場合、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであり、
Qは、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであり、
VまたはQは、ここでは、基Y
3がこの基のVまたはQに結合している場合、Cを表わす)、Ar
2、Ar
3は、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜18個を有するアリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよく、Lは、C原子1〜40個を有する二、三、四、五または六価の直鎖アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基、またはC原子2〜40個を有するアルケニレンまたはアルキニレン基(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、−R
2C=CR
2−、−C≡C−、Si(R
2)
2、C=O、C=NR
2、P(=O)R
2、S=O、SO
2、−O−、−S−または−CONR
2−により置きかえられていてもよく、また、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2により置きかえられていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜40個を有する二、三、四、五もしくは六価の芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、あるいはP(R
2)
3-p、P(=O)(R
2)
3-p、C(R
2)
4-p、Si(R
2)
4-p、N(Ar)
3-p、あるいは2つ、3つ、4つもしくは5つのこれらの系の組合せであるか、あるいはLは化学結合であり(ここで、Lは、ラジカルRまたはR
1の代わりに、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Y
1、Y
2またはY
3の任意の望ましい位置に結合している)、R、R
1は、出現する毎に同一または異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、N(Ar)
2、N(R
2)
2、C(=O)Ar、C(=O)R
2、P(=O)(Ar)
2、C原子1〜40個を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子2〜40個を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2
)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SまたはCONR
2により置きかえられていてもよく、また1つ以上のH原子が、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2により置きかえられていてもよい)、芳香環原子5〜80個、好ましくは5〜60個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜60個を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つ以上の隣接している置換基Rまたは同じ基Y中で結合している2つの置換基R
1は、互いに一緒になって、単環式または多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)を場合により形成してもよく、R
2は、出現する毎に同一または異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、N(Ar)
2、N(R
3)
2、C(=O)Ar、C(=O)R
3、P(=O)(Ar)
2、C原子1〜40個を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子2〜40個を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
3C=CR
3、C≡C、Si(R
3)
2、Ge(R
3)
2、Sn(R
3)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
3、P(=O)(R
3)、SO、SO
2、NR
3、O、SまたはCONR
3により置きかえられていてもよく、また1つ以上のH原子が、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2により置きかえられていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これ
らは、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜60個を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基からなる群から選択され、ここで、2つ以上の隣接している置換基R
2は、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)を場合により形成してもよく、Arは、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜30個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上の非芳香族ラジカルR
3により置換されていてもよい)であり、ここで、同じN原子またはP原子に結合している2つのラジカルArはまた、単結合によって、またはN(R
3)、C(R
3)
2、OまたはSから選択される架橋によって、互いに架橋していてもよく、R
3は、H、D、F、CN、C原子1〜20個を有する脂肪族炭化水素ラジカル、芳香環原子5〜30個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(ここで、1つ以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IまたはCNにより置きかえられていてもよい)からなる群から選択され、2つ以上の隣接している置換基R
3は、互いに一緒になって、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成してもよく、m、nは、出現する毎に同一または異なって、0または1であり(ここで、m=0またはn=0とは、基Yが存在しないことを意味している)、pは、2、3、4、5または6であり、ただし、pは、Lの最大価数以下である]。
【化3】
【0014】
式(3)、式(4)および式(5)、ならびに以下に続く式中の円は、有機化学において一般に通常通り、芳香族またはヘテロ芳香族構造であることを示す。
【0015】
本発明の意味におけるアリール基は、C原子6〜60個を含有する。本発明の意味におけるヘテロアリール基は、C原子2〜60個および少なくとも1個のヘテロ原子を含有しているが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は、少なくとも5である。ヘテロ原子は、N、Oおよび/またはSから好ましくは選択される。この場合、アリール基またはヘテロアリール基とは、単純な芳香族環(すなわち、ベンゼン)もしくは単純なヘテロ芳香族環(例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェンなど)、または縮合(condensed)(縮合(fused))アリール基もしくはヘテロアリール基(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリンなど)の何れかと解釈される。単結合により互いに結合している芳香族環、例えば、ビフェニルなどは、対照的に、アリール基またはヘテロアリール基とは呼ばないで、代わりに芳香族環系と呼ぶ。
【0016】
本発明の意味における芳香族環系は、環系中に6〜80個のC原子を含有している。本発明の意味におけるヘテロ芳香族環系は、環系中に2〜60個のC原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有しているが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は、少なくとも5である。ヘテロ原子は、N、Oおよび/またはSから好ましくは選択される。本発明の意味における芳香族またはヘテロ芳香族環系は、必ずしも単にアリール基またはヘテロアリール基だけしか含有していない系と解釈されるとは限らないが、この場合、代わりに、さらに複数のアリール基またはヘテロアリール基が、非芳香族性単位(好ましくは、H以外の原子が10%未満)、例えばC、NまたはO原子などによって結合されていてもよい。したがって、2つ以上のアリール基が、例えば、短いアルキル基によって結合されている系のように、例えば系、例えばフルオレン、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベンなどもまた、本発明の意味における芳香族環系をとるものと意図される。さらに、単結合、例えばビフェニルなどによって互いに結合している芳香環は、本出願の意味において、芳香族環系と呼ぶ。
【0017】
本発明の目的のために、脂肪族炭化水素ラジカルまたはアルキル基、あるいはアルケニルまたはアルキニル基(これらは、通常C原子1〜40個、または1〜20個でも含有していてもよく、ここで、さらに、個々のH原子またはCH
2基は、上記の基により置換されていてもよい)は、以下のラジカル、すなわちメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルと解釈されるのが好ましい。C原子1〜40個を有するアルコキシ基は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n−ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシおよび2,2,2−トリフルオロエトキシと解釈されるのが好ましい。C原子1〜40個を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、s−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n−ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n−オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオと解釈される。一般に、本発明によるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはチオアルキル基は、直鎖、分枝または環式であってもよく、ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、前記の基により置きかえられていてもよく、さらに、1つ以上のH原子もまた、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2、好ましくはF、ClまたはCN、さらに好ましくはFまたはCN、特に好ましくはCNにより置きかえられていてもよい。
【0018】
芳香環原子5〜80個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系は、各場合において、やはり上記のラジカルR
2または炭化水素ラジカルにより置換されていてもよく、また、芳香族またはヘテロ芳香族基上の任意の望ましい位置を介して結合していてもよく、この環系は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−またはトランス−インデノフルオレン、シスまたはトランス−インデノカルバゾール、シス−またはトランス−インドロカルバゾール、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフチミダゾール(naphthimidazole)、フェナントリミダゾール(phenanthrimidazole)、ピリジミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ナフトキサゾール、アントロキサゾール(anthroxazole)、フェナントロキサゾール(phenanthroxazole)、イソキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナ
ントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールに由来する基、あるいはこれらの系の組合せに由来する基と解釈される。
【0019】
本発明の好ましい態様では、Ar
2およびAr
3は、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜10個を有するアリール基またはヘテロアリール基(これらは、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、特にベンゼン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾフランまたはナフタレンを表わす。Ar
2およびAr
3は、出現する毎に同一または異なって、特に好ましくはベンゼンまたはピリジン、特にベンゼンを表わす。
【0020】
本発明のさらに好ましい態様では、基Ar
1は、直接隣接している2個の原子を介して、すなわち互いに直接結合している2個の原子を介して、XおよびY
1に結合している。
【0021】
したがって、Ar
1は、好ましくは前記の式(3)または式(4)の基を表わす。
【0022】
Ar
1が式(5)の基を表わす場合、Y
1は単結合が好ましい。
【0023】
本発明のさらに好ましい態様では、Ar
1が式(3)の構造を表わし、かつ基VがNRを表わす場合、窒素に結合しているこのラジカルRは、さらなる環系の形成に関与することはない。特に好ましくは、基Ar
1上には、さらなる環は縮合していない。
【0024】
したがって、式(1)の好ましい態様は、以下の式(5)から式(11)の化合物(式中、使用された記号および添え字は、上記の意味を有しており、さらに、Aは、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであるか、あるいは隣接している2つの基Aが一緒になってNR、OまたはSを表わし、その結果、5員環を生じ、ここで、基Y
2またはY
3がこのAと結合している場合、AはCを表わす)、である。
【化4】
【0025】
さらに、式(7)中の基Vのうち正確に1つは、NR、OまたはSを表わす。さらに、式(10)および式(11)中のVは、NR、OまたはSを表わす。
【0026】
式(2)の化合物の好ましい態様では、式(5)から式(11)の2つ以上の化合物は、同一または異なっていてもよく、基Lを介して互いに対応して結合している。
【0027】
次に、本発明の態様では、m=1およびY
2は、単結合を表わすのが好ましい。
【0028】
したがって、式(5)から式(11)の化合物の特に好ましい態様は、以下の式(5a)から式(11a)の化合物(式中、使用された記号および添え字は、上記の意味を有している)である。
【化5】
【0029】
式(2)の化合物の特に好ましい態様では、式(5a)から式(11a)の2つ以上の化合物は、同一または異なっていてもよく、基Lを介して互いに対応して結合している。
【0030】
本発明の好ましい態様では、環あたり基Qの最大2つ、特に好ましくは基Qの最大1つがNを表わす。非常に特に好ましくは、基QのすべてがCRを表わす。
【0031】
本発明のさらに好ましい態様では、環あたり基Aの最大2つ、特に好ましくは基Aの最大1つがNを表わす。非常に特に好ましくは、基AのすべてがCRを表わす。
【0032】
したがって、本発明の非常に特に好ましい態様は、以下の化合物(5b)から(11b)(式中、使用された記号および添え字は、上記の意味を有している)、である。
【化6】
【0033】
式(2)の化合物の特に好ましい態様では、式(5b)から式(11b)の2つ以上の化合物は、同一または異なっていてもよく、基Lを介して互いに対応して結合している。
【0034】
本発明のさらに好ましい態様では、添え字はm=0およびn=0であり、また基Ar
3は、6員芳香族またはヘテロ芳香族環を表わす。したがって、好ましい態様は以下の式(5c)から式(11c)の化合物(式中、使用した記号および添え字は、前記の意味を有しており、またAr
3aは、6員アリール環基または6員ヘテロアリール環基を表わし、これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、である。
【化7】
【0035】
式(2)の化合物のさらに好ましい態様では、式(5c)から式(11c)の2つ以上の化合物は、同一または異なっていてもよく、基Lを介して互いに対応して結合している。
【0036】
好ましい基Ar
3aは、フェニル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、ピラジニル、3−または4−ピリダジニル、または1,3,5−トリアジン−2−イルから選択され、これらの基は、1つ以上のラジカルRによって各々置換されていてもよい。
【0037】
ここでは、好ましい基Ar
3aは、以下の式(Ar
3a−1)から(Ar
3a−8)の基(式中、Rは上記の意味を有し、また破線で示される結合はXに結合していることを示す)である。本発明の特に好ましい態様では、式(Ar
3a−1)中のRは、場合により置換トリアジン基またはピリミジン基を表わす。
【化8】
【0038】
式(1)から式(11)または式(5a)から式(11c)の化合物の好ましい態様、および示されたさらなる態様すべてにおいて、Xは窒素を表わす。
【0039】
式(1)から式(11)または式(5a)から式(11c)の化合物のさらなる好ましい態様、および示されたさらなる態様のすべてにおいて、Y
1、Y
2およびY
3は、出現する毎に同一または異なって、単結合、C(R
1)
2またはN(R
1)を表わす。特に、Y
1は、出現する毎に同一または異なって、C(R
1)
2またはN(R
1)を表わし、またY
2およびY
3は、出現する毎に同一または異なって、単結合、C(R
1)
2またはN(R
1)を表わす。非常に特に好ましくは、Y
1はC(R
1)
2を表わし、Y
2およびY
3は、出現する毎に同一または異なって、単結合またはC(R
1)
2を表わし、ここで、2つの基Y
2およびY
3の最大1つが単結合を表わす。
【0040】
式(5b)から式(11b)の化合物が、水素または重水素以外のラジカルRにより置換されている場合、これらのラジカルRは、基Xのパラ位でAr
2およびAr
3に相当する環に各々結合しているのが好ましい。したがって、好ましいのは、以下の式(5d)から式(11d)の化合物(式中、使用された記号および添え字は、上記の意味を有している)、である。
【化9】
【0041】
式(5)、(5a)、(5b)、(5c)および(5d)における5員複素環式環の好ましい構造は、以下の式(Ar
1−1)から式(Ar
1−6)の構造である。
【化10】
【0042】
この環からXおよびY
1への結合はまた、各場合において、ここで示されている。#によって示される位置は、Y
3への結合が可能な位置を示しており、ここで、ラジカルRは炭素原子に結合していない。
【0043】
式(6)、(6a)、(6b)、(6c)および(6d)における5員複素環式環の好ましい構造は、以下の式(Ar
1−7)から式(Ar
1−12)の構造である。
【化11】
【0044】
この環からXおよびY
1への結合はまた、各場合において、ここで示されている。#によって示される位置は、Y
3への結合が可能な位置を示しており、ここで、ラジカルRは炭素原子に結合していない。
【0045】
式(7)、(7a)、(7b)、(7c)および(7d)における5員複素環式環の好ましい構造は、以下の式(Ar
1−13)から式(Ar
1−27)の構造である。
【化12】
【0046】
この環からXおよびY
1への結合はまた、各場合において、ここで示されている。#によって示される位置は、Y
3への結合が可能な位置を示しており、ここで、ラジカルRは炭素原子に結合していない。
【0047】
本発明のさらに好ましい態様では、Lは、C原子1〜10個を有する二価もしくは多価の直鎖アルキレン基もしくはアルキリデン基、またはC原子3〜10個を有する分枝もしくは環式アルキレン基またはアルキリデン基(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(1つ以上のH原子が、DまたはFにより置きかえられていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜24個を有する少なくとも二価の芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)であるか、またはLは化学結合である。
【0048】
本発明による化合物中の可能な置換基Rは、該化合物の使用に応じて、様々な基となる。式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物の好ましい態様では、Rは、出現する毎に同一または異なって、H、D、F、CN、N(Ar)
2、C(=O)Ar、P(=O)(Ar)
2、C原子1〜10個を有する直鎖アルキル基、またはC原子3〜10個を有する分枝もしくは環式アルキル基、またはC原子2〜10個を有するアルケニル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(1つ以上の隣接していないCH
2基は、OまたはSにより置きかえられていてもよく、また、1つ以上のH原子は、DまたはFにより置きかえられていてもよい)、芳香環原子6〜30個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つ以上の隣接している置換基Rは、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)を場合により形成してもよい。式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物の特に好ましい態様では、Rは、出現する毎に同一または異なって、H、D、N(Ar)
2、C原子1〜4個を有する直鎖アルキル基、またはC原子3個もしくは4個を有する分枝アルキル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)(1つ以上のH原子は、Dにより置きかえられていてもよい)、または芳香環原子6〜18個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)からなる群から選択される。
【0049】
Y
1、Y
2および/またはY
3中で結合している置換基R
1は、H、C原子1〜10個を有するアルキル基、または芳香環原子5〜20個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)からなる群から好ましくは選択される。ここで、同じ基Y
1、Y
2またはY
3中で結合している2つのラジカルR
1はまた、互いに環系を形成し、こうして、スピロ系を形成してもよい。Y
1、Y
2またはY
3が、基N(R
1)を表わす場合、R
1は、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい芳香族またはヘテロ芳香族環系を表わすのが特に好ましい。Y
1、Y
2またはY
3が、基C(R
1)
2を表わす場合、R
1は、出現する毎に同一または異なって、H、C原子1〜10個を有するアルキル基、または芳香環原子5〜20個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)を表わすのが特に好ましい。ここで、同じ炭素原子に結合している2つのラジカルR
1はまた、互いに環系を形成し、こうして、芳香族または脂肪族スピロ系を形成してもよい。
【0050】
真空蒸着によって処理される化合物については、ラジカルRまたはR
1中のアルキル基は、4個以下のC原子を有するのが好ましく、1個以下のC原子を有するのが特に好ましい。溶液から処理される化合物については、特に適切な化合物はまた、最大10個のC原子を有するアルキル基により置換されているもの、あるいは、オリゴアリーレン基、例えば、オルト−、メタ−、パラ−もしくは分枝テルフェニル基またはクアテルフェニル基、あるいはオルト−、メタ−またはパラ−ビフェニル基により置換されているものである。
【0051】
本発明による化合物を、リン光発光材料用のマトリックス材料として、もしくは電子輸送材料として、または正孔ブロッキング材料として使用する場合、Ar
2および/またはAr
3は、好ましくは電子不足ヘテロ芳香族ラジカルである、および/または少なくとも1つの置換基R、R
1および/もしくはR
2、特にRが、以下の式(12)から式(15)の構造、から特に選択される電子不足基である、ならびに/あるいは、少なくとも1つの基Lが、以下の式(16)から式(18)の基(式中、R
2は上記の意味を有し、
*は式(12)から式(18)の基の結合位置を示しており、さらに、Zは、出現する毎に同一または異なって、CR
2またはNであり、ただし、基Zの1つ、基Zの2つまたは基Zの3つはNを表わし、Ar
4は、出現する毎に同一または異なって、C原子5〜18個を有する二価のアリールまたはヘテロアリール基であり、これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよく、qは、出現する毎に同一または異なって、0、1、2または3である)を表わすのが好ましい。
【化13】
【化14】
【0052】
電子不足ヘテロ芳香族ラジカルは、ここでは、少なくとも2個のヘテロ原子を有する5員ヘテロ芳香族環基、または少なくとも1個のヘテロ原子を有する6員ヘテロ芳香族環基と解釈される。
【0053】
本発明の特に好ましい態様では、少なくとも1つの置換基Rは、前記の式(12)の基を表わす、および/または少なくとも基Lは、前記の式(16)から式(18)の基を表わし、各場合において、2つまたは3つの記号ZはNを表わし、またその他の記号ZはCR
2を表わす。したがって、特に好ましい基Rは、以下の式(19)から式(25)の基であり、また、したがって、特に好ましい基Lは、以下の式(26)から式(33)の基である。
【化15】
【0054】
(式中、使用された記号および添え字は、上記の意味を有している)
Rが式(19)の基を表わす場合、この基の中のR
2は、芳香環原子5〜24個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)、特に、フェニル、オルト−、メタ−もしくはパラ−ビフェニル、オルト−、メタ−、パラ−もしくは分枝のテルフェニル、あるいはオルト−、メタ−、パラ−もしくは分枝のクアテルフェニルを表わす。
【0055】
Rが式(20)から式(33)の基を表わす場合、これらの基の中のR
2は、出現する毎に同一または異なって、H、D、または芳香環原子5〜24個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR
3により置換されていてもよい)、特に、フェニル、オルト−、メタ−もしくはパラ−ビフェニル、オルト−、メタ−、パラ−もしくは分枝のテルフェニル、またはオルト−、メタ−、パラ−もしくは分枝のクアテルフェニルを表わす。
【0056】
本発明による化合物を、リン光発光材料用のマトリックス材料として、または正孔輸送材料として使用する場合、少なくとも1つの置換基RまたはR
1、好ましくはRは、−NAr
2、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、インドール誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、またはジベンゾチオフェン誘導体からなる群から好ましくは選択され、これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい。これらの基は、以下の式(34)から式(47)の基(式中、使用された記号は、上記の意味を有しており、さらに、Eは、C(R
2)
2、NR
2、OまたはSからなる群から選択され、Gは、NR
2、OまたはSからなる群から選択される)から好ましくは選択される。
【化16-1】
【化16-2】
【0057】
本発明のさらに好ましい態様では、上記の式(12)から式(47)の基を表わさない本発明による化合物中の記号Rは、HまたはDを表わす。
【0058】
好ましいのは、さらに、上記の式(12)から式(33)から選択される、電子輸送性置換基(electron-transporting substituent)RまたはR
1と、さらにまた前記の式(34)から式(47)から選択される正孔輸送性置換基RまたはR
1の両方を同時に含有している化合物でもある。
【0059】
本発明のさらに好ましい態様では、添え字はp=2または3、特に好ましくは2である。
【0060】
本発明のさらに好ましい態様では、添え字はn=0である。
【0061】
さらに好ましい態様では、1つまたは2つの基RもしくはR
1、好ましくはR、特に好ましくは正確に1つの基Rは上記の式(12)から式(47)の基を表わし、またその他の基Rは、HまたはDを表わす。
【0062】
本発明の前記の態様は、所望に応じて、互いに組み合わせることができる。特に、上記の一般式(1)から式(11)および式(5a)から式(11d)は、所望に応じて、式(Ar
1−1)から式(Ar
1−27)と組み合わせることができ、またX、Y
1、Y
2、Y
3、R、R
1、R
2、mおよびnに関する上記の好ましい態様と組み合わせることができる。本発明の好ましい態様では、前記の好ましいものは同時に生じる。
【0063】
対応する状況は、式(2)の化合物に当てはまる。式(2)の化合物の特に好ましい態様は、前記の式(5a)から式(11d)の化合物に対応し、各場合において、2つ以上のこれらの単位が二価の基Lによって互いに架橋しており、この基Lは、各場合において、置換基Rの代わりにXのパラ位に結合しており、ここで、さらに、X、Y
1、Y
2、Y
3、R、R
1、R
2、L、m、nおよびpに関する上記の好ましいものが当てはまる。
【0064】
上記の態様による好ましい化合物、または有機電子デバイスにおいて好ましく使用されている化合物の例は、以下の化合物である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0065】
本発明による化合物の合成を、以下のスキームに示す。スキーム1aおよび1b、ならびにスキーム2は、Ar
2およびAr
3がフェニル基を表わし、かつY
2が単結合を表わす化合物の合成を示している。この目的のために使用される出発原料は、場合により置換カルバゾールであり、これは、Ullmannカップリング反応、Buchwaldカップリング反応または他のカップリング反応において、対応する5員の置換ヘテロ芳香族環化合物と反応させる。この方法で得られる本発明による化合物は、スキーム1およびスキーム2にも示されるように、以下の反応順序、例えば臭素化およびその次のC−CおよびC−Nカップリング反応によりさらに官能基化することができる。臭素置換の所望の位置に応じて、臭素化前(スキーム1)または臭素化後(スキーム2)に、第三アルコール中間体を経由して環化を行うことができる。酸の影響下での閉環により、芳香族置換基とカルバゾールとの間に二価の架橋が形成する。ここでは、例えばカルボキシレート基またはアセチル基が適しており、次に、これらの基は、閉環反応において、炭素架橋基(bridge)に変換することができる(スキーム1および2)。スキーム中のRは、上記で定義した置換基を表わす。
【化17】
【化18】
【0066】
架橋基Y上への芳香族置換基の導入は、以下のスキーム3における例によって示されている。ここで、カルボキシレートは、アルキル有機化合物の代わりに、アリール有機化合物、例えば芳香族グリニャール(Grignard)化合物と反応させる。
【化19】
【0067】
また、アリールアルコール基またはチオ基も適切であり、アルコール基は次に、閉環反応で酸素架橋基に、あるいはチオ基は次に、閉環反応で硫黄架橋基に変換することができる(スキーム4)。また、ニトロ基またはアミノ基も適切であり、これらはその後、閉環反応で窒素架橋基に変換することができる(スキーム5)。二価の架橋基は、さらなるラジカル、例えばアルキル基またはアリール基によってその後置換され得る。この方法で調製される架橋カルバゾール化合物は、次に、さらなる工程において、官能基化、例えばハロゲン化、好ましくは臭素化され得る。
【化20】
【化21】
【0068】
官能基化、特に臭素化した化合物は、スキーム1〜5で示される通り、さらなる官能基化を行うための中心的なビルディングブロックを示す。こうして、これらの架橋している官能基化化合物は、対応するボロン酸、および、例えば、ハロゲン化芳香族化合物へのSuzukiカップリングによって、本発明による式(1)のさらなる化合物に容易に変換することができる。同様に、他のカップリング反応(例えば、Stilleカップリング、Heckカップリング、Sonogashiraカップリングなど)を使用することができる。ジアリールアミンへのHartwig−Buchwaldカップリングにより、トリアリールアミン誘導体になる。同様に、脂肪族アミン、カルバゾールなどを置換基として導入することができる。官能基化として適切なものは、さらに、ホルミル、アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル基、またはそれらの保護類縁体、例えば対応するジオキソラン体である。臭素化化合物は、さらにリチオ化されて親電子体、例えばベンゾニトリルと反応させ、次いで酸加水分解することによりケトンに変換することができ、またはクロロジフェニルホスフィンと反応させてその後の酸化によりホスフィンオキシドが得られる。
【0069】
Y
2が単結合を表わす代わりに二価の基を表わす場合の化合物は、異なる基Y
2を含有しているカルバゾール化合物の代わりに、出発原料として同様に使用することにより、完全に同じように合成可能(accessible)である。
【0070】
したがって、本発明はさらに、以下の反応工程を含む式(1)または式(2)の化合物の調製方法に関する。すなわち、a)基Rの代わりに反応性脱離基を有する骨格の合成、および、b)好ましくは、カップリング反応、例えばSuzukiカップリングまたはHartwig−Buchwaldカップリングによる基Rの導入である。
【0071】
この場合、反応性脱離基は、Cl、Br、I、ボロン酸もしくはボロン酸誘導体、トリフレートもしくはトシレートから好ましくは選択されるか、またはYがNHを表わす、すなわち、NとRの間に結合が形成される場合、反応性脱離基は水素である。
【0072】
本発明は、さらに、本発明による少なくとも1つの化合物および少なくとも1つのさらなる化合物を含む混合物に関する。さらなる化合物は、本発明による化合物をマトリックス材料として使用する場合、例えば蛍光またはリン光ドーパントとすることができる。適切な蛍光およびリン光ドーパントは、有機エレクトロルミネッセンス素子に関連して以下に示されており、また本発明による混合物に関しても好ましい。本発明による化合物を正孔輸送化合物または電荷輸送化合物として使用する場合、さらなる化合物はまた、ドーパントとすることもできる。適切なドーパントは、有機エレクトロルミネッセンス素子に関連して以下に示されている。
【0073】
例えばスピンコーティングまたは印刷方法により、溶液からまたは液相から加工するためには、本発明による化合物もしくは混合物の溶液または配合物が必要である。それには、2種以上の溶媒混合物を使用するのが好ましいことがある。適切かつ好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o−、m−もしくはp−キシレン、安息香酸メチル、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル−THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0074】
したがって、本発明はさらに、少なくとも1つの本発明による化合物または混合物、および1種以上の溶媒、特に有機溶媒を含む配合物、特に溶液、懸濁液またはミニエマルションに関する。このタイプの溶液を調製することができる方法は、当業者に公知であり、また、例えばWO2002/072714、WO2003/019694およびこれらの引用文献に記載されている。
【0075】
本発明による化合物および混合物は、電子デバイスに使用するのに適している。電子デバイスとは、この場合、少なくとも1つの有機化合物を含む少なくとも1つの層を含むデバイスと解釈される。しかし、この構成は、この場合、無機材料、または無機材料から完全に積み上げられた層を含んでもよい。
【0076】
したがって、本発明はさらに、電子デバイス、特に有機エレクトロルミネッセンス素子における、本発明による上記の化合物または混合物の使用に関する。
【0077】
本発明はやはり、さらに、上記の本発明による化合物または混合物の少なくとも1つを含む電子デバイスに関する。本化合物について上で明記した好ましいものはまた、電子デバイスにも適用される。
【0078】
電子デバイスは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機色素増感太陽電池、有機光学検波器、有機光受容体、有機電場消光素子(O−FQD)、発光型電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)および「有機プラズモン発光デバイス」(D.M.Kollerら、Nature Photonics 2008年、1〜4頁)、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、特にリン光OLEDからなる群から好ましくは選択される。
【0079】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも1つの発光層を含む。これらの層とは別に、上記素子はさらなる層、例えば、各場合において、1つ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電荷輸送層、電荷注入層、励起子ブロッキング層、電荷ブロッキング層および/または電荷発生層も含んでもよい。中間層も同様に可能であり、この層は、例えば励起子ブロッキング機能を有しており、2つの発光層間に導入されることになる。しかし、これらの各層は、必ずしも存在しなければならないとは限らないことを指摘すべきである。有機エレクトロルミネッセンス素子は、この場合、1つの発光層または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在する場合、これらの層は、好ましくは全体で380nm〜750nmの複数の発光極大値を有し、全体として白色発光となる、すなわち、蛍光またはリン光となることが可能な様々な発光化合物が発光層に使用される。特に好ましいのは、3つの発光層を有するシステムであり、この3つの層は、青色、緑色、およびオレンジ色または赤色の発光を示すものである(基本構造に関しては、例えばWO2005/011013を参照されたい)。これらは、蛍光もしくはリン光の発光層またはハイブリッドシステムとすることができ、この場合、蛍光およびリン光の発光層が相互に組み合わされる。
【0080】
上に示した態様による本発明による化合物は、精密な構造に応じて、様々な層中で使用することができる。好ましいものは、蛍光またはリン光発光材料用、特にリン光発光材料用のマトリックス材料として、ならびに/あるいは、的確な置換に応じて、正孔ブロッキング層、および/もしくは電荷輸送層、ならびに/または電荷ブロッキング層もしくは励起子ブロッキング層、ならびに/あるいは正孔輸送層における、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。上に示した好ましい態様はまた、有機電子デバイス中の材料の使用にも当てはまる。
【0081】
本発明の好ましい態様では、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物が、発光層における蛍光またはリン光化合物用、特にリン光化合物用のマトリックス材料として使用される。この場合、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つの発光層または複数の発光層を含んでもよく、少なくとも1つの発光層は、本発明による少なくとも1つの化合物をマトリックス材料として含んでいる。
【0082】
式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物が、発光層における発光化合物用のマトリックス材料として使用される場合、1つ以上のリン光材料(三重項発光材料)と組み合わせて使用するのが好ましい。本発明の意味におけるリン光とは、比較的高いスピン多重度、すなわちスピン状態>1を有する励起状態から、特に励起三重項状態からの発光と解釈される。本出願の目的のために、すべての発光性遷移金属錯体および発光性ランタニド錯体、特にイリジウム、白金、および銅錯体のすべてをリン光化合物と見なすべきである。
【0083】
式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物を含む混合物、および発光化合物は、発光材料およびマトリックス材料を含む混合物全体を基準にして、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物を、99〜1体積%、好ましくは98〜10体積%、特に好ましくは97〜60体積%、特に95〜80体積%含む。同様に、本混合物は、発光材料およびマトリックス材料を含む混合物全体を基準にして、発光材料を1〜99体積%、好ましくは2〜90体積%、特に好ましくは3〜40体積%、特に5〜20体積%含む。
【0084】
本発明のさらに好ましい態様は、リン光発光材料用のマトリックス材料として、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物を、さらなるマトリックス材料と組み合わせて使用することである。式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物と組み合わせて使用することができる特に適切なマトリックス材料は、例えばWO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627またはWO2010/006680による、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド、または芳香族スルホキシドもしくはスルホン、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527またはWO2008/086851に記載されているトリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N−ビス−カルバゾリルビフェニル)またはカルバゾール誘導体、例えばWO2007/063754またはWO2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、例えばWO2010/136109およびWO2011/000455によるインデノカルバゾール誘導体、例えばEP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、例えばWO2007/137725による二極性マトリックス材料、例えばWO2005/111172によるシラン、例えばWO2006/117052によるアザボロールまたはボロン酸エステル、例えばWO2010/015306、WO2007/063754またはWO2008/056746によるトリアジン誘導体、例えばEP652273またはWO2009/062578による亜鉛錯体、例えばWO2010/054729によるジアザシロールまたはテトラアザシオール誘導体、例えばWO2010/054730によるジアザホスホール誘導体、あるいは例えばUS2009/0136779、WO2010/050778による、未公開出願DE102009048791.3またはDE102010005697.9による、架橋カルバゾール誘導体である。実際の発光材料よりも短い波長で発光する、さらなるリン光発光材料も同様に、共ホスト(co−host)として該混合物中に存在してもよい。
【0085】
適切なリン光化合物(=三重項発光材料)は、特に、適切な励起時に可視領域で発光する化合物が好ましく、さらに、原子番号が20より大きい、好ましくは38より大きく84未満である、特に好ましくは56よりも大きく80未満である少なくとも1個の原子、特に上記の原子番号を有する金属を含む化合物である。使用されるリン光発光材料は、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含有している化合物、特にイリジウムまたは白金を含有している化合物であることが好ましい。本発明の目的のために、前記の金属を含有している発光化合物すべてが、リン光化合物と見なされる。
【0086】
上記の発光材料の例は、以下の出願、すなわちWO00/70655、WO2001/41512、WO2002/02714、WO2002/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO05/033244、WO05/019373、US2005/0258742、WO2009/146770、WO2010/015307、WO2010/031485、WO2010/054731、WO2010/054728、WO2010/086089、WO2010/099852、WO2010/102709およびWO2011/032626によって明らかにされている。さらに、適切なものは、未公開出願DE102009057167.1、EP10006208.2およびDE102010027317.1による錯体である。一般に、リン光OLEDに関する従来技術に従って使用されており、また有機エレクトロルミネッセンスの分野における当業者に公知のすべてのリン光錯体が適切であり、また、当業者は、発明性のあるステップなしに、さらなるリン光錯体を使用することができよう。
【0087】
本発明のさらなる態様では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えばWO2005/053051に記載されている通り、個別の正孔注入層および/もしくは正孔輸送層ならびに/または正孔ブロッキング層、ならびに/あるいは電荷輸送層を含んでいない、すなわち、発光層が、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接している、および/あるいは発光層が、電荷輸送層もしくは電子注入層またはカソードに直接隣接している。例えば、WO2009/030981に記載されている通り、発光層に直接隣接している正孔輸送材料または正孔注入材料として、発光層中の金属錯体と同じまたは類似の金属錯体を使用することがさらに可能である。
【0088】
本発明のさらに好ましい態様では、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物は、電荷輸送層または電子注入層において、電子輸送材料として使用される。ここで、少なくとも1つの置換基RまたはR
1、特にRは、上で示した式(12)から式(33)の構造から選択されるのが好ましい。ここで、発光層は蛍光性であってもよく、リン光性であってもよい。本化合物が電子輸送材料として使用される場合、該化合物は、例えばアルカリ金属錯体、例えばLiq(リチウムヒドロキシキノリネート)などによってドープされているのが好ましいことがある。
【0089】
本発明のさらに好ましい態様では、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物は、正孔ブロッキング層中で使用される。ここで、少なくとも1つの置換基RまたはR
1、特にRは、上で示した式(12)から式(33)の構造から選択されるのが好ましい。正孔ブロッキング層とは、特にリン光エレクトロルミネッセンス素子における、カソード側にある発光層に直接隣接している層と解釈される。
【0090】
正孔ブロッキング層もしくは電荷輸送層中と、さらにまた発光層中のマトリックスとしての両方において、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物を使用することがさらに可能である。ここで、少なくとも1つの置換基RまたはR
1、特にRは、上で示した式(12)から式(33)の構造から選択されるのが好ましい。
【0091】
本発明のさらに好ましい態様では、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物は、正孔輸送層、または電荷ブロッキング層もしくは励起子ブロッキング層中で使用される。ここで、少なくとも1つの置換基RまたはR
1、特にRは、上で示した式(34)から式(47)の構造から選択されるのが好ましい。
【0092】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、従来技術によって通常使用されるすべての材料を使用することが可能である。したがって、当業者は、発明性のあるステップなしに、式(1)から式(11)または式(5a)から式(11d)の化合物と組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子に公知の材料をすべて使用することができよう。
【0093】
好ましいのは、昇華方法により1つ以上の層が被覆され、材料が初期圧10
-5mbar未満、好ましくは10
-6mbar未満の真空昇華単位で気相蒸着されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である。しかし、前記初期圧は、さらに低くするか高くすること、例えば10
-7mbar未満にすることも可能である。
【0094】
同様に、好ましいのは、OVPD(有機気相蒸着)法またはキャリアガスによる昇華の手助けにより1つ以上の層が被覆され、材料が10
-5mbar〜1barの圧で塗布されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である。この方法の特殊な場合は、OVJP(有機蒸気インクジェット印刷)法であり、この場合、材料はノズルによって直接塗布され、こうして構造化(structured)される(例えば、M.S.Arnoldら、Appl.Phys.Lett.2008年、92巻、053301頁)。
【0095】
好ましいのは、1つ以上の層を、例えば、スピンコーティングによって、または望ましい任意の印刷方法、例えばインクジェット印刷、LITI(光誘起熱画像化(light
induced thermal imaging)、熱転写印刷)、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷またはノズル印刷などによって、溶液から作製することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である。溶解性化合物は、例えば適切な置換によって得ることができ、本目的に必要なものである。これらの方法はまた、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーにも特に適している。
【0096】
例えば、1つ以上の層を溶液から塗布し、さらに1つ以上のさらなる層を気相蒸着によって塗布する、ハイブリッド法も可能である。したがって、例えば、発光層を溶液から塗布し、かつ気相蒸着によって電荷輸送層を塗布することが可能である。
【0097】
これらの方法は当業者に一般に公知であり、発明性のあるステップなしに、当業者によって、本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に適用することができる。
【0098】
本発明による化合物、および本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、以下の驚くほどの利点によって、従来技術と区別される。
【0099】
1.蛍光またはリン光発光材料用のマトリックス材料として使用される、本発明による化合物、または式(1)から式(11)もしくは式(5a)から式(11d)の化合物は、高効率および長寿命をもたらす。これは、本化合物がリン光発光材料用のマトリックス材料として使用される場合、特に当てはまる。
【0100】
2.本発明による化合物、または式(1)から式(11)もしくは式(5a)から式(11d)の化合物は、赤色および緑色のリン光化合物用のマトリックスとしてだけではなく、特に青色のリン光化合物としても適している。
【0101】
3.昇華中に一部または完全に熱分解を受ける従来技術による多くの化合物とは対照的に、本発明による化合物は高い熱安定性を有する。
【0102】
4.有機エレクトロルミネッセンス素子において使用される、本発明による化合物は、高効率、および低使用電圧を伴う急勾配な電流/電圧曲線をもたらす。
【0103】
5.本発明による化合物はまた、電子輸送材料または正孔輸送材料として使用する際にも、有機エレクトロルミネッセンス素子の効率、寿命および動作電圧に関して、良好な特性をもたらす。
【0104】
これらの上記利点は、他の電子特性の悪化を伴わない。
【0105】
以下の例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、それらにより本発明を制限することを望むものではない。当業者は、本説明に基づいて、開示されている範囲全体にわたる本発明を実施すること、および発明性のあるステップなしに本発明によるさらなる化合物を調製すること、ならびに電子デバイスにおいてこれらの化合物を使用するかまたは本発明による方法を使用することができよう。
【0106】
[実施例]
特に示さない限り、以下の合成は、保護ガス雰囲気下、乾燥溶媒中で行われる。使用した出発点(starting point)は、例えば、3−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチルとすることができる(Synlett 2004年、6巻、1113〜1116頁)。文献から公知の出発原料の場合の数字は、CAS番号に関する。
【0107】
例1a:10−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン(化合物1a)
【化22】
【0108】
ステップ1:3−カルバゾール−9−イルチオフェン−2−カルボン酸メチル
最初に、保護ガス下で、3−フェニル−9H−カルバゾール102g(420mmol)、3−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチル92g(420mmol)、銅粉24g(375mmol)、炭酸カリウム104g(757mmol)、および18−クラウン−6を11g(42mmol)をDMF1200mlに導入し、130℃で86時間加熱する。次に、この混合物を蒸発させ、熱ヘプタンと一緒に撹拌することにより洗浄し、クロマトグラフィー(ヘプタン、ジクロロメタン、1:1)によって精製する。生成物を熱ヘキサンと一緒に撹拌することによって洗浄し、固体を単離する。収量:121g(397mmol)、理論量の65%、
1H−NMRによる純度は約97%。
【0109】
ステップ2:2−(3−カルバゾール−9−イルチオフェン−2−イル)プロパン−2−オール
3−カルバゾール−9−イルチオフェン−2−カルボン酸メチル85g(277mmol)を乾燥THF1700ml中に溶解し、脱気する。この混合物を−78℃に冷却し、メチルリチウム740ml(1110mmol)を40分かけて添加する。この混合物を1時間かけて−40℃に温め、反応をTLCによってモニターする。反応が完了すると、−30℃でMeOHにより注意深くクエンチする。反応溶液を体積が1/3になるまで蒸発させる。塩化メチレン1lを加えてこの混合物を洗浄し、有機相をMgSO
4で脱水して蒸発させる。収量:96g(249mmol)、理論量の90%、
1H−NMRによる純度は約97%。
【0110】
ステップ3:8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン
2−(3−カルバゾール−9−イルチオフェン−2−イル)プロパン−2−オール20g(43.6mmol)を脱気したトルエン1.2lに溶解し、ポリリン酸52gおよびメタンスルホン酸36mlの懸濁物を加えて、この混合物を60℃で1時間加熱する。このバッチを冷却し、水を加える。固体が沈殿し、この固体を塩化メチレン/THF(1:1)に溶解する。20%NaOHを使用して、この溶液を注意深くアルカリ性にし、相を分離してMgSO
4で脱水する。ヘプタンを用いて撹拌することにより、得られた固体を洗浄する。収量:12g(41mmol)、理論量の80%、
1H−NMRによる純度は約93%。
【0111】
ステップ4:10−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン
DMF2l中の8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン60g(207mmol)を−10℃に冷却し、NBS37.3g(207mmol)を小分けにして加える。次に、この混合物を室温にし、この温度で6時間撹拌する。次に、水500mlをこの混合物に加えた後、CH
2Cl
2によって抽出する。有機相をMgSO
4で脱水し、溶媒を真空で除去する。生成物を熱トルエンと一緒に撹拌することにより洗浄し、固体を単離する。収量:73g(201mmol)、理論量の97%、
1H−NMRによる純度は約98%。
【0112】
化合物1b〜1nは、同様にして得られる。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0113】
例2a:3−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン(化合物2a)
【化23】
【0114】
ステップ1:3−(3−ブロモカルバゾール−9−イル)チオフェン−2−カルボン酸メチル
DMF2l中の8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン63.5g(207mmol)を−10℃に冷却し、NBS37.3g(207mmol)を小分けにして加える。次に、この混合物を室温にし、この温度で6時間撹拌する。次に、水500mlをこの混合物に加えた後、CH
2Cl
2によって抽出する。有機相をMgSO
4で脱水し、溶媒を真空で除去する。生成物を熱トルエンと一緒に撹拌することによって洗浄し、固体を単離する。収量:72g(186mmol)、理論量の90%、
1H−NMRによる純度は約97%。
【0115】
ステップ2:2−[3−(3−ブロモカルバゾール−9−イル)チオフェン−2−イル]プロパン−2−オール
3−(3−ブロモカルバゾール−9−イル)チオフェン−2−カルボン酸メチル106g(277mmol)を乾燥THF1700ml中に溶解し、脱気する。この混合物を−78℃に冷却し、メチルリチウム740ml(1110mmol)を40分かけて添加する。この混合物を1時間かけて−40℃に温め、反応をTLCによってモニターする。反応が完了すると、−30℃でMeOHにより注意深くクエンチする。反応溶液を体積が1/3になるまで蒸発させる。塩化メチレン1lを加えてこの混合物を洗浄し、有機相をMgSO
4で脱水して蒸発させる。収量:97g(251mmol)、理論量の91%、
1H−NMRによる純度は約97%。
【0116】
ステップ3:8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン
2−(3−ブロモカルバゾール−9−イルチオフェン−2−イル)プロパン−2−オール20g(43.6mmol)を脱気したトルエン1.2lに溶解し、ポリリン酸52gおよびメタンスルホン酸36mlの懸濁物を加えて、この混合物を60℃で1時間加熱する。このバッチを冷却し、水を加える。固体が沈殿し、この固体を塩化メチレン/THF(1:1)に溶解する。20%NaOHを使用して、この溶液を注意深くアルカリ性にし、相を分離してMgSO
4で脱水する。ヘプタンから撹拌することにより、得られた固体を洗浄する。収量:12g(41mmol)、理論量の80%、
1H−NMRによる純度は約93%。
【0117】
ステップ4:3−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン
DMF2l中の8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン80g(207mmol)を−10℃に冷却し、NBS37.3g(207mmol)を小分けにして加える。次に、この混合物を室温にし、この温度で6時間撹拌する。次に、水500mlをこの混合物に加えた後、CH
2Cl
2によって抽出する。有機相をMgSO
4で脱水し、溶媒を真空で除去する。生成物を熱トルエンと一緒に撹拌することによって洗浄し、固体を単離する。収量:70g(190mmol)、理論量の92%、
1H−NMRによる純度は約98%。
【0118】
化合物2b〜2eは、同様にして得られる。
【表3】
【0119】
例3a:8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−10−ボロン酸(化合物3a)
【化24】
【0120】
10−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン85g(233mmol)を乾燥THF1400mlに溶解し、n−ブチルリチウムの2.5Mシクロヘキサン溶液121ml(303mmol)を−70℃で滴下して加え、1時間後、ホウ酸トリメチル33ml(302mmol)を滴下して加え、この混合物を1時間かけて室温にして溶媒を除去し、残さ(
1H−NMRによれば1種のもの(uniform)である)を、さらに精製することなく次の反応に使用する。収量は69g(207mmol)であり、理論量の90%に相当する。
【0121】
化合物3b〜3oは、同様にして得られる。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0122】
例4a:10−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン(化合物4a)
【化25】
【0123】
トルエン500ml、ジオキサン500mlおよび水500ml中に、8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−10−ボロン酸36.6g(110.0mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン29.5g(110.0mmol)、およびリン酸三カリウム44.6g(210.0mmol)を懸濁する。この懸濁液に、トリ−o−トリルホスフィン913mg(3.0mmol)、次に酢酸パラジウム(II)112mg(0.5mmol)を加え、この反応混合物を16時間、還流下で加熱する。冷却後、有機相を分離してシリカゲルを通してろ過し、水200mlで3回洗浄した後、蒸発させて乾燥する。残さをトルエンから、およびジクロロメタン/イソプロパノールから再結晶し、最後に高真空で昇華し、純度は99.9%である。収量は45g(88mmol)であり、理論量の80%に相当する。
【0124】
化合物4b〜4rは、同様にして得られる。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0125】
例5:8,8−ジメチル−6−[4−(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル]−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン(化合物5)
【化26】
【0126】
ジオキサン7.5ml、トルエン15mlおよび水18mlの混合物中の6−ブロモ−8,8−ジメチル−8H−インドロ[3,2,1,−デ]アクリジン10.3g(28mmol)およびベンズイミダゾールボロン酸9.42g(30mmol)ならびにリン酸カリウム水和物7.8g(31.5mmol)の脱気した懸濁液に、激しく撹拌しながら、トリ−o−トリルホスフィン0.27g(0.9mmol)、次に酢酸パラジウム(II)33.5mg(0.15mmol)を加える。還流下で5時間加熱した後、混合物を冷却する。沈殿物を吸引ろ過し、エタノール/水(1:1、v:v)10mlで3回、およびエタノール5mlで3回洗浄し、その後、真空で乾燥し、ジオキサンから再結晶する。収量:12.7g(22.9mmol)、理論量の82%、
1H−NMRによる純度は約99.9%。
【0127】
例6a:8,8−ジメチル−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン(化合物6a)
【化27】
【0128】
トルエン350ml、ジオキサン350mlおよび水500ml中に、8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−3−ボロン酸36.6g(110mmol)、3−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール35g(110mmol)、および炭酸ナトリウム9.7g(92mmol)を懸濁する。この懸濁液に、トリ−o−トリルホスフィン913mg(3.0mmol)および酢酸パラジウム(II)112mg(0.5mmol)を加え、この反応混合物を16時間、還流下で加熱する。冷却後、有機相を分離してシリカゲルを通してろ過し、水200mlで3回洗浄した後、蒸発させて乾燥する。残さをトルエンから、およびCH
2Cl
2/イソプロパノールから再結晶し、最後に、高真空で昇華する。収量:52.4g(100mmol)、理論量の90%、HPLCによる純度は99.9%。
【0129】
化合物6b〜6jは、同様にして得られる。
【表6-1】
【表6-2】
【0130】
例7:ビフェニル−4−イル−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−3−イル)フェニル]アミン(化合物7)
【化28】
【0131】
ステップ1:ビフェニル−4−イル−(4−ブロモフェニル)−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミン
トルエン100ml中の塩化銅(I)490mg(0.16mmol)および1,10−フェナントロリン906mg(5mmol)の脱気溶液をN
2で1時間飽和させ、130℃に加熱する。次に、この溶液に、N−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン18g(50mmol)および1−ブロモ−4−ヨードベンゼン14g(50mmol)を加えて、この混合物を180℃で2時間加熱する。冷却後、この混合物に水180mlを加え、有機相を分離し、溶媒を真空で除去する。生成物は、n−ヘキサンから再結晶する。収量:15g(29mmol)、理論量の58%、
1H−NMRによる純度は約98%。
【0132】
ステップ2:ビフェニル−4−イル−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−[4−(8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−3−イル)フェニル]アミン
本化合物を、対応する8,8−ジメチル−8H−9−チア−11b−アザシクロペンタ[a]フルオランテン−3−ボロン酸とビフェニル−4−イル−(4−ブロモフェニル)−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミン56.8g(110mmol)との反応により、実施例6aと同じ手順に従って合成する。残さを酢酸エチル/ヘプタンから再結晶し、最後に高真空で昇華する。収量:57g(79mmol)、理論量の72%、HPLCによる純度は99.9%。
【0133】
例8:5−[3−(4,6−ジフェニルピリミジン−2−イル)フェニル]−10,10−ジメチル−5,5a,9a,10−テトラヒドロ−11−チア−5−アザベンゾ[b]フルオレン(化合物8)
【化29】
【0134】
ステップ1:2−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イルアミノ)安息香酸メチル
トルエン600ml中に、3−ブロモベンゾチオフェン40g(187.7mmol)、2−メチルアントラニレート24.25ml(187.7mmol)およびCs
2CO
3122g(375mmol)を懸濁する。この懸濁液に、酢酸パラジウム2.10g(9.38mmol)およびキサントホス(xantphos)3.69g(18.77mmol)を加える。還流下で24時間、反応混合物を加熱する。冷却後、この混合物を蒸発させた後、酢酸エチルと水の間に分配する。有機相を水で3回洗浄してNa
2SO
4で脱水し、ロータリーエバポレーター中で蒸発させた後、蒸発させて乾燥する。残さをヘプタンから再結晶する。収量:32g(60%)。
【0135】
ステップ2:10,10−ジメチル−5,5a,9a,10−テトラヒドロ−11−チア−5−アザベンゾ[b]フルオレン
最初に、乾燥THF400ml中に、無水塩化セリウム(III)25.9g(105mmol)を導入する。この溶液に、2−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イルアミノ)安息香酸メチル30g(105mmol)を計量して小分けで加え、この混合物を1時間撹拌する。この反応混合物を冷却し、塩化メチルマグネシウム溶液(THF中3mol/l)140ml(420mmol)を5℃で40分かけて滴下して加える。1時間後、この反応混合物を氷に注意深く注ぎ、ジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。残さをトルエンから再結晶する。収量:29.5g(95%)。
【0136】
最初に、CH
2Cl
2300mlに、ポリリン酸35.60g(309mmol)およびメタンスルホン酸20ml(309mmol)を導入する。この溶液に、2−[2−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イルアミノ)フェニル]プロパン−2−オール25g(88mmol)のCH
2Cl
2溶液(100ml)を30分かけて滴下して加え、この混合物を室温で1時間撹拌する。この反応混合物を冷却し、氷に注意深く注ぎ、ジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。残さをトルエンから再結晶する。収量:10,10−ジメチル−5,5a,9a,10−テトラヒドロ−11−チア−5−アザベンゾ[b]フルオレン20g(85%)。
【0137】
ステップ3:5−[3−(4,6−ジフェニルピリミジン−2−イル)フェニル]−10,10−ジメチル−5,5a,9a,10−テトラヒドロ−11−チア−5−アザベンゾ[b]フルオレン
p−キシレン500ml中に、10,10−ジメチル−5,5a,9a,10−テトラヒドロ−11−チア−5−アザベンゾ[b]フルオレン18g(68mmol)、2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジフェニルピリミジン28.9g(75mmol)およびNaOtBu19.6g(203mmol)を懸濁する。この懸濁液に、Pd(OAc)
20.3g(1.36mmol)および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液2.7mlを加える。この反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離して、水200mlで3回洗浄した後、蒸発させて乾燥する。残さを熱トルエンにより抽出してトルエンから再結晶し、最後に高真空で昇華し、純度は99.9%である。
【0138】
例9:5,10−ビスビフェニル−4−イル−11,11−ジメチル−10,11−ジヒドロ−5H−インドロ[3,2−b]キノリン(化合物9)ステップ1:2−(1−ビフェニル−4−イル−1H−インドール−3−イルアミノ)安息香酸メチル
【化30】
【0139】
トルエン1l中に、1H−インドール25g(213mmol)、モノヨードビフェニル89.6g(320mmol)およびK
3PO
4100gを懸濁した。この懸濁液に、CuI16.3g(85mmol)およびN,N’−ジメチレンジアミン7.5g(85mmol)を加える。この反応混合物を還流下で48時間加熱する。冷却後、ひだ付きろ紙により沈殿物をろ過する。次に、酢酸エチルと水の間に反応溶液を分配して有機相を水で3回洗浄し、Na
2SO
4で脱水してロータリーエバポレーター中で蒸発させ、有機相を分離して、水200mlで3回洗浄し、続いて蒸発させて乾燥した。黒緑色の残留オイルを、ヘプタンを使用しシリカゲルを通してろ過した:トルエン。蒸発させたろ液の残さは、メタノールから再結晶した。収量:1−ビフェニル−4−イル−1H−インドール41g(70%)。
【0140】
最初に、ジクロロメタン500mlに、1−ビフェニル−4−イル−1H−インドール40g(149mmol)を導入する。続いて、NBS26.4g(149mmol)のジクロロメタン200ml溶液を遮光しながら0℃で滴下して加え、この混合物を室温にしてさらに4時間撹拌する。次に、この混合物に水150mlを加え、次にCH
2Cl
2により抽出する。有機相をMgSO
4で脱水し、溶媒を真空で除去する。生成物を熱ヘキサンと一緒に撹拌することによって洗浄し、吸引ろ過する。収量:49.1g(95%)。
【0141】
トルエン800ml中で、1−ビフェニル−4−イル−3−ブロモ−1H−インドール49g(141mmol)、2−メチルアントラニレート18ml(141mmol)およびCs
2CO
391.7g(281mmol)を懸濁する。この懸濁液に、酢酸パラジウム0.8g(3.52mmol)およびキサントホス4g(7.04mmol)を加える。反応混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、この混合物を蒸発させた後、酢酸エチルと水の間に分配する。有機相を水で3回洗浄し、Na
2SO
4で脱水してロータリーエバポレーター中で蒸発させ、有機相を分離して、水200mlで3回洗浄し、続いて蒸発させて乾燥する。残さをヘプタンから再結晶する。収量:53g(90%)。
【0142】
ステップ2:10−ビフェニル−4−イル−11,11−ジメチル−10,11−ジヒドロ−5H−インドロ[3,2−b]キノリン
【化31】
【0143】
最初に、乾燥THF700mlに、無水塩化セリウム(III)22.8g(92mmol)を導入する。この溶液に、2−(1−ビフェニル−4−イル−1H−インドール−3−イルアミノ)安息香酸メチル35g(84mmol)を計量して小分けで加え、この混合物を1時間撹拌する。この反応混合物を冷却し、塩化メチルマグネシウム溶液(THF中3mol/l)117ml(351mmol)を、5℃で40分かけて滴下して加える。1時間後、この反応混合物を氷に注意深く注ぎ、ジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。残さをトルエンから再結晶する。収量:32.9g(94%)。
【0144】
最初に、CH
2Cl
2200mlに、ポリリン酸28.9g(250.9mmol)およびメタンスルホン酸16.5mlを導入する。この溶液に、2−[2−(1−ビフェニル−4−イル−1H−インドール−3−イルアミノ)フェニル]プロパン−2−オール30g(72mmol)のCH
2Cl
2溶液(50ml)を30分かけて滴下して加え、この混合物を50℃で1時間撹拌する。この時間の後、この反応混合物を冷却し、エタノール150mlを注意深く加え、混合物をジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。収量:10−ビフェニル−4−イル−11,11−ジメチル−10,11−ジヒドロ−5H−インドロ[3,2−b]キノリン24.4g(85%)。
【0145】
ステップ3:5,10−ビスビフェニル−4−イル−11,11−ジメチル−10,11−ジヒドロ−5H−インドロ[3,2−b]キノリン
【化32】
【0146】
トルエン500ml中に、インドロキノリン誘導体24g(60mmol)、ブロモビフェニル15.4g(66mmol)およびNaOtBu16.6g(191.7mmol)を懸濁する。この懸濁液に、Pd(OAc)
20.34g(1.5mmol)および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液3mlを加える。この反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離して水200mlで3回洗浄した後、蒸発させて乾燥する。残さを熱トルエンにより抽出してトルエンから再結晶し、最後に高真空で昇華し、純度は99.9%である。
【0147】
例10:化合物10ステップ1:1−フェニル−3−(ピレン−1−イルアミノ)−1H−インドール−2−カルボン酸メチル
【化33】
【0148】
最初に、ジクロロメタン400mlに、1−フェニル−1H−インドール−2−カルボン酸メチル25g(99mmol)を導入する。続いて、NBS17.7g(99mmol)のジクロロメタン100ml溶液を遮光しながら0℃で滴下して加え、この混合物を室温にし、さらに4時間撹拌する。この混合物に水150mlを加え、次にCH
2Cl
2により抽出する。有機相をMgSO
4で脱水し、溶媒を真空で除去する。生成物を熱ヘキサンと一緒に撹拌することによって洗浄し、吸引ろ過する。収量:32g(95%)。
【0149】
トルエン800ml中に、1−フェニル−3−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸メチル30g(91mmol)、アミノピレン10.7g(91mmol)およびCs
2CO
359.2g(181mmol)を懸濁する。この懸濁液に、酢酸パラジウム0.5g(2.27mmol)およびキサントホス2.6g(4.54mmol)を加える。反応混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、この混合物を蒸発させた後、酢酸エチルと水の間に分配する。有機相を水で3回洗浄し、Na
2SO
4で脱水してロータリーエバポレーター中で蒸発させ、有機相を分離して水200mlで3回洗浄し、続いて蒸発させて乾燥する。残さをヘプタンから再結晶する。収量:36g(85%)。
【0151】
最初に、乾燥THF700mlに、無水塩化セリウム(III)21.03g(84.9mmol)を導入する。この溶液に、1−フェニル−3−(ピレン−1−イルアミノ)−1H−インドール−2−カルボン酸メチル36g(84mmol)を計量して小分けで加え、この混合物を1時間撹拌する。この反応混合物を冷却し、塩化メチルマグネシウム溶液(THF中3mol/l)108ml(324mmol)を5℃で40分かけて滴下して加える。1時間後、この反応混合物を氷に注意深く注ぎ、ジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。残さをトルエンから再結晶する。収量:34.2g(95%)。
【0152】
最初に、CH
2Cl
2200mlに、ポリリン酸26g(225mmol)およびメタンスルホン酸14.8ml(225mmol)を導入する。この溶液に、2−[1−フェニル−3−(ピレン−1−イルアミノ)−1H−インドール−2−イル]プロパン−2−オール30g(54mmol)のCH
2Cl
2溶液(100ml)を30分かけて滴下して加え、この混合物を50℃で1時間撹拌する。この時間の後、反応混合物を冷却し、エタノール150mlを注意深く加え、混合物をジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相をNa
2SO
4で脱水し、蒸発させる。収量:27g(76%)。
【0154】
トルエン500ml中に、インドロキノリン誘導体25g(56mmol)、1−ブロモ−2,4−ジメチルフェニル11.3g(61mmol)およびNaOtBu175g(178.3mmol)を懸濁する。この懸濁液に、Pd(OAc)
20.31g(1.4mmol)および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液2.8mlを加える。この反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却後、有機相を分離して、水200mlで3回洗浄した後、蒸発させて乾燥する。残さを熱トルエンにより抽出してトルエンから再結晶し、最後に高真空で昇華し、純度は99.9%である。
【0155】
例11:OLEDの作製
本発明によるOLEDは、WO2004/058911に従って、一般的な方法により作製し、この明細書中に記載されている条件(circumstance)(層の厚み変動、材料)に適合させた。
【0156】
様々なOLEDに関するデータを、以下の例E1〜E28に示す(表1および表2を参照されたい)。厚さ150nmの構造(structured)ITO(インジウムスズ酸化物)で被覆したガラス製プレートに、加工改善のためにPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、水からのスピンコーティングによって塗布。H.C.Starck、Goslar、ドイツから購入)を20nm被覆する。これらの被覆済みガラス製プレートは、OLEDを塗布する基板を形成する。OLEDは、原則として以下の層構造を有する:基板/任意選択の正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/任意選択の中間層(IL)/電荷ブロッキング層(EBL)/発光層(EML)/任意選択の正孔ブロッキング層(HBL)/電荷輸送層(ETL)/任意選択の電子注入層(EIL)および最後にカソードである。カソードは、厚さ100nmを有するアルミニウム製カソードによって形成されている。OLEDの正確な構造を表1に示している。OLEDの作製に必要な材料を表3に示している。
【0157】
すべての材料は、真空チャンバー内で、熱気相蒸着によって塗布する。この場合、発光層は、常に少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)および発光ドーパント(発光材料)からなり、このドーパントは、ある体積比率で、マトリックス材料(単数または複数)と共蒸着によって混合される。表現、例えばST1:6b:TER1(65%:20%:15%)は、ここでは、材料ST1は体積比65%で層中に存在しており、材料6bは20%の比で層中に存在しており、かつ、材料TER1は15%の比で層中に存在していることを意味する。同様に、電荷輸送層も、2種の材料の混合物から構成されてもよい。
【0158】
OLEDは、標準方法によって特性を決定する。この目的のために、ランベルト(Lambert)発光特性と見なして、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)、出力効率(lm/Wで測定)、光束密度の関数として、電流/電圧/光束密度特性線(IUL特性線)から算出した外部量子効率(EQE、百分率で測定)を測定した。エレクトロルミネッセンススペクトルは、1000cd/m
2の光束密度で測定し、これからCIE1931xおよびy色座標を算出する。表2中の表現U1000とは、1000cd/m
2の光束密度に必要な電圧を意味する。CE1000およびPE1000とは、1000cd/m
2において達成した電流効率および出力効率を意味する。最後に、EQE1000とは、1000cd/m
2の動作光束密度における外部量子効率を意味する。
【0159】
様々なOLEDに関するデータを表2にまとめている。本発明による材料は、置換パターンに応じて、様々な層に使用することができる。効率および電圧に関して、非常に良好な値をここでは達成している。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表8-1】
【表8-2】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表9-4】
【表9-5】
以下に、本願の出願当初の請求項を、実施の態様として付記する。
[1] 式(1)または式(2)の化合物であって、化3に示す化合物が本発明から除外される、化合物。
【化36】
[式中、使用された記号および添え字には以下が適用され、
Xは、出現する毎に同一または異なって、N、PまたはP=Oであり、
Y1、Y2、Y3は、出現する毎に同一または異なって、単結合またはC(R1)2、NR1、O、S、C=O、C=NR1、C=C(R1)2、Si(R1)2、BR1、PR1、P(=O)R1、SO、SO2であり、ただし、Y1、Y2およびY3のすべてが同時に単結合を表わすことはなく、
さらに、式(1)中のY1は、n+m=0の場合、単結合またはC=Oを表わすことはなく、
Ar1は、出現する毎に同一または異なって、以下の式(3)、式(4)または式(5)の基であり、
【化37】
(式中、上記の基は、*によって示される2つの位置を介して、XおよびY1に結合しており、また、上記の基は、さらなる隣接位を介してY3に結合していてもよく、また、
Wは、出現する毎に同一または異なって、CまたはNであり、
Vは、W=Cの場合、出現する毎に同一または異なって、CR、N、NR、SまたはOであり、ただし、正確に1個の記号Vは、NR、SまたはOを表わす、または、
W=Nの場合、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであり、
Qは、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであり、
VまたはQは、ここでは、基Y3がこの基のVまたはQに結合している場合、Cを表わす)、
Ar2、Ar3は、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜18個を有するアリール基またはヘテロアリール基であり、これらの基は、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよく、
Lは、C原子1〜40個を有する二、三、四、五または六価の直鎖アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基、またはC原子2〜40個を有するアルケニレンまたはアルキニレン基(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH2基は、−R2C=CR2−、−C≡C−、Si(R2)2、C=O、C=NR2、P(=O)R2、S=O、SO2、−O−、−S−または−CONR2−により置きかえられていてもよく、また、1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2により置きかえられていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜40個を有する二、三、四、五もしくは六価の芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)、あるいはP(R2)3-p、P(=O)(R2)3-p、C(R2)4-p、Si(R2)4-p、N(Ar)3-p、あるいは2つ、3つ、4つもしくは5つのこれらの系の組合せであるか、あるいはLは化学結合であり(ここで、Lは、ラジカルRまたはR1の代わりに、Ar1、Ar2、Ar3、Y1、Y2またはY3の任意の望ましい位置に結合している)、
R、R1は、出現する毎に同一または異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2、N(Ar)2、N(R2)2、C(=O)Ar、C(=O)R2、P(=O)(Ar)2、C原子1〜40個を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子2〜40個を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH2基は、R2C=CR2、C≡C、Si(R2)2、Ge(R2)2、Sn(R2)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR2、P(=O)(R2)、SO、SO2、NR2、O、SまたはCONR2により置きかえられていてもよく、また1つ以上のH原子が、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO2により置きかえられていてもよい)、芳香環原子5〜80個、好ましくは5〜60個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜60個を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これらは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)からなる群から選択され、ここで、2つ以上の隣接している置換基Rまたは同じ基Y中で結合している2つの置換基R1は、互いに一緒になって、単環式または多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)を場合により形成してもよく、
R2は、出現する毎に同一または異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO2、N(Ar)2、N(R3)2、C(=O)Ar、C(=O)R3、P(=O)(Ar)2、C原子1〜40個を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子3〜40個を有する分枝もしくは環式アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、またはC原子2〜40個を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR3により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH2基は、R3C=CR3、C≡C、Si(R3)2、Ge(R3)2、Sn(R3)2、C=O、C=S、C=Se、C=NR3、P(=O)(R3)、SO、SO2、NR3、O、SまたはCONR3により置きかえられていてもよく、また1つ以上のH原子が、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO2により置きかえられていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR3により置換されていてもよい)、芳香環原子5〜60個を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR3により置換されていてもよい)、あるいは芳香環原子5〜60個を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基からなる群から選択され、ここで、2つ以上の隣接している置換基R2は、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上のラジカルR3により置換されていてもよい)を場合により形成してもよく、
Arは、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜30個を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1つ以上の非芳香族ラジカルR3により置換されていてもよい)であり、同じN原子またはP原子に結合している2つのラジカルArはまた、ここで、単結合によって、またはN(R3)、C(R3)2、OまたはSから選択される架橋によって、互いに架橋していてもよく、
R3は、H、D、F、CN、C原子1〜20個を有する脂肪族炭化水素ラジカル、芳香環原子5〜30個を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系(ここで、1つ以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IまたはCNにより置きかえられていてもよい)からなる群から選択され、2つ以上の隣接している置換基R3は、互いに一緒になって、単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族環系を形成してもよく、
m、nは、出現する毎に同一または異なって、0または1であり(ここで、m=0またはn=0とは、基Yが存在しないことを意味している)、
pは、2、3、4、5または6であり、ただし、pは、Lの最大価数以下である]。
【化38】
[2] Ar2およびAr3が、出現する毎に同一または異なって、芳香環原子5〜10個を有するアリールまたはヘテロアリール基(これらは、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、特にベンゼン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾフランまたはナフタレンを表わすことを特徴とする、[1]に記載の化合物。
[3] 式(5)から式(11)の化合物から選択されるか、または、式(5)から式(11)の2つ以上の化合物(これらは、同一でも異なっていてもよく、基Lを介して互いに結合している)から選択される、[1]または[2]に記載の化合物。
【化39】
(式中、使用された記号および添え字は、[1]で与えられた意味を有しており、さらに、
Aは、出現する毎に同一または異なって、CRまたはNであるか、あるいは隣接している2つの基Aが一緒になってNR、OまたはSを表わし、その結果、5員環を生じ、ここで、基Y2またはY3がこのAと結合している場合、AはCを表わす)。
[4] 式(5a)から式(11a)の化合物から選択されるか、または、式(5a)から式(11a)の2つ以上の化合物(これらは、同一でも異なっていてもよく、基Lを介して互いに結合している)から選択される、[1]〜[3]の何れか一項に記載の化合物。
【化40】
(式中、使用された記号および添え字は、[1]および[3]で与えられた意味を有している)。
[5] 式(5b)から式(11b)の化合物から選択されるか、または、式(5b)から式(11b)の2つ以上の化合物(これらは、同一でも異なっていてもよく、基Lを介して互いに結合している)から選択される、[1]〜[4]の何れか一項に記載の化合物。
【化41】
(式中、使用された記号および添え字は、[1]〜[3]で与えられた意味を有している)。
[6] 式(5c)から式(11c)の化合物から選択されるか、または、式(5c)から式(11c)の2つ以上の化合物(これらは、同一でも異なっていてもよく、基Lを介して互いに結合している)、から選択される、[1]〜[5]の何れか一項に記載の化合物。
【化42】
(式中、使用した記号および添え字は、[1]で与えられた意味を有しており、またAr3aは、6員アリール環基または6員ヘテロアリール環基を表わし、これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい)。
[7] Xが窒素を表わすことを特徴とする、[1]〜[6]の何れか一項に記載の化合物。
[8] Y1が、出現する毎に同一または異なって、C(R1)2またはN(R1)を表わし、またY2およびY3が、出現する毎に同一または異なって、単結合、C(R1)2またはN(R1)を表わすことを特徴とする、[1]〜[7]の何れか一項に記載の化合物。
[9] 前記化合物が、式(5d)から式(11d)の化合物から選択されるか、または、式(5d)から式(11d)の2つ以上の化合物(これらは、同一でも異なっていてもよく、基Lを介して互いに結合している)から選択される、ことを特徴とする、[1]〜[8]の何れか一項に記載の化合物。
【化43】
(式中、使用された記号および添え字は、[1]および[3]で与えられた意味を有している)。
[10] 少なくとも1つのラジカルRが、式(12)から式(15)の構造から選択される、および/または、少なくとも1つの基Lが、以下の式(16)から式(18)の基を表し、ならびに/あるいは、少なくとも1つの置換基Rが、−NAr2、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インデノカルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、インドール誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体またはジベンゾチオフェン誘導体(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよい)からなる群から選択される、
ことを特徴とする、[1]〜[9]に記載の何れか一項に記載の化合物。
【化44】
【化45】
(式中、R2は、上記の意味を有し、*は式(12)から式(18)の基の結合位置を示しており、さらに、
Zは、出現する毎に同一または異なって、CR2またはNであり、ただし、基Zの1つ、基Zの2つ、または基Zの3つがNを表わし、
Ar4は、出現する毎に同一または異なって、C原子5〜18個を有する二価のアリールまたはヘテロアリール基であり、これらは、1つ以上のラジカルR2により置換されていてもよく、
qは、出現する毎に同一または異なって、0、1、2または3である)。
[11] 以下の反応工程
a)基Rの代わりに反応性脱離基を有する骨格の合成、および、
b)カップリング反応による基Rの導入、
を含む、[1]〜[10]の何れか一項に記載の化合物の調製方法。
[12] [1]〜[10]の何れか一項に記載の少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのさらなる化合物を含む混合物。
[13] [1]〜[10]の何れか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または[12]に記載の混合物、および1種以上の溶媒を含む配合物。
[14] 電子デバイスにおける、[1]〜[10]の何れか一項に記載の1つ以上の化合物、または[12]に記載の混合物の使用。
[15] [1]〜[10]の何れか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または[12]に記載の混合物を含む電子デバイス。
[16] 有機エレクトロルミネッセンス素子であり、また、[1]〜[10]の何れか一項に記載の化合物または[12]に記載の混合物が、発光層中の蛍光もしくはリン光発光材料用のマトリックス材料として、および/または正孔ブロッキング層における正孔ブロッキング材料として、ならびに/あるいは電荷輸送層における電子輸送材料として、ならびに/あるいは電荷ブロッキングまたは励起子ブロッキング層における電荷ブロッキング材料もしくは励起子ブロッキング材料として、ならびに/あるいは正孔輸送層または正孔注入層における正孔輸送材料として使用されることを特徴とする、[15]に記載の電子デバイス。