(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242948
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】相対位置の測定
(51)【国際特許分類】
F01D 17/02 20060101AFI20171127BHJP
F02K 3/06 20060101ALI20171127BHJP
F02C 9/22 20060101ALI20171127BHJP
F02C 7/042 20060101ALI20171127BHJP
F02C 7/057 20060101ALI20171127BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20171127BHJP
F02C 9/00 20060101ALI20171127BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
F01D17/02
F02K3/06
F02C9/22
F02C7/042
F02C7/057
F02C7/00 A
F02C9/00 A
G01B7/30 M
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-119478(P2016-119478)
(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-8935(P2017-8935A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】14/747,114
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】イアン・フランシス・プレンティス
【審査官】
高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−306898(JP,A)
【文献】
特開昭62−006897(JP,A)
【文献】
特開昭49−107758(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0375312(US,A1)
【文献】
特開2001−099680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 17/02
F02C 7/00
F02C 7/042
F02C 7/057
F02C 9/00
F02C 9/22
F02K 3/06
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向(A)の周りに回転可能な第1のリング(108)であって、1つまたは複数の第1のリング要素(116)を有する表面(114)を含む第1のリング(108)と、
前記軸方向(A)の周りに回転可能な第2のリング(110)であって、1つまたは複数の第2のリング要素(120)を有する表面(118)を含む第2のリング(110)と、
前記第1のリング(108)の前記表面(114)に向けられて、前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)、および前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)によって影響を受けるパラメータを検知して、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定するセンサ(112)と
を備え、
前記第2のリング(110)の前記表面(118)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向内側に配置され、
前記センサ(112)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向外側に配置される、
フィードバックセンサシステム(100)。
【請求項2】
前記パラメータが磁束である、請求項1記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)に沿って離間した複数の歯であり、前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)が、前記第2のリング(110)の前記表面(118)に沿って離間した複数の歯であり、かつ前記フィードバックセンサシステム(100)が、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の角度位置を決定するように構成された、請求項1または2に記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項4】
前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)に沿って離間した複数の歯であり、前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)が、前記第2のリング(110)の前記表面(118)から延在した複数の螺旋状の隆起であり、かつ前記フィードバックセンサシステム(100)が、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の軸方向位置を決定するように構成された、請求項1または2に記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項5】
前記第1のリング(108)の前記表面(114)が、前記複数の第1のリング要素(116)とは異なる幾何形状を有する標識(124)をさらに含んで前記第1のリング(108)の新たな周期を示し、
前記標識(124)と前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)とが、前記第1のリング(108)の前記表面(114)に沿って均等に離間し、かつ前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)が、前記第2のリング(110)の前記表面(118)に沿って均等に離間している、請求項1乃至4のいずれかに記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項6】
前記フィードバックセンサシステム(100)がガスタービンエンジンで使用するために構成され、前記第1のリング(108)が、前記ガスタービンエンジンの回転シャフトに取り付けられるように構成され、前記第2のリング(110)が、前記ガスタービンエンジンの作動部材(46)に取り付けられるように構成され、前記作動部材(46)が、前記ガスタービンエンジンのファンブレード(40)のピッチを変えるように構成され、かつ前記センサ(112)が前記ガスタービンの静止構成部品に取り付けられるように構成された、請求項1乃至5のいずれかに記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項7】
前記第2のリング(110)の前記表面(118)にある第2のリング要素(120)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)にある第1のリング要素(116)より少なくとも2つ少なく、
前記第2のリング(110)の前記表面(118)にある第2のリング要素(120)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)にある第1のリング要素(116)より少なくとも4つ少ない、請求項1乃至6のいずれかに記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項8】
前記第1のリング(108)が、各隣接する第1のリング要素(116)の間の半径方向の厚さより厚い、前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)のそれぞれにおける半径方向の厚さを定める連続したリングであり、かつ前記第2のリング(110)もまた、各隣接する第2のリング要素(120)の間の半径方向の厚さより厚い、前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)の半径方向の厚さを定める連続したリングであり、
前記センサ(112)がセンシング軸(122)を定め、かつ前記センシング軸(122)が前記第1のリング(108)の前記表面(114)、および前記第2のリング(110)の前記表面(118)を通って延在するように前記センサ(112)が配置される、請求項1乃至7のいずれかに記載のフィードバックセンサシステム(100)。
【請求項9】
ガスタービンエンジン内での第2のリング(110)に対する第1のリング(108)の位置を決定するための方法(200)であって、前記第1のリング(108)が、1つまたは複数の第1のリング要素(116)を有する表面(114)を含み、前記第2のリング(110)が、1つまたは複数の第2のリング要素(120)を有する表面(118)
を含み、
センサ(112)を前記第1のリング(108)の前記表面(114)の方へ向けることと、
前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)、および前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)によって影響を受けるパラメータを前記センサ(112)で検知することと、
前記センサ(112)で検知された前記パラメータに基づいて、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定することと
を含み、
前記第2のリング(110)の前記表面(118)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向内側に配置され、
前記センサ(112)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向外側に配置される、方法(200)。
【請求項10】
前記センサ(112)で検知された前記パラメータに基づいて、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定することが、
パラメータの値の変化過程を検知することと、
前記第1のリング(108)の前記表面(114)に含まれる標識(124)を検知することと、
前記検知されたパラメータの値の変化過程における前記標識(124)の位置に基づいて、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定することと
を含み、
前記パラメータが磁束であり、前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)が前記第1のリング(108)の前記表面(114)の隆起した歯であり、かつ前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)が前記第2のリング(110)の前記表面(118)の隆起した歯であり、
前記センサ(112)で検知された前記パラメータに基づいて、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定することが、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の角度位置を決定することとを含む、請求項9記載の方法(200)。
【請求項11】
軸方向(A)を定めるガスタービンエンジンであって、
シャフトによって圧縮機セクションに機械的に結合されたタービンセクションと、
前記シャフトによって駆動され、複数のファンブレード(40)を含むファン(38)と、
前記複数のファンブレード(40)のピッチを変えるように前記複数のファンブレード(40)と機械的に連通した作動部材(46)と、
フィードバックセンサシステム(100)であって、
前記ガスタービンエンジンの前記シャフトとともに回転可能な第1のリング(108)であって、1つまたは複数の第1のリング要素(116)を有する表面(114)を含む第1のリング(108)と、
前記ガスタービンエンジンの前記作動部材(46)とともに回転可能な第2のリング(110)であって、1つまたは複数の第2のリング要素(120)を有する表面(118)を含む第2のリング(110)と、
前記第1のリング(108)の前記表面(114)に向けられて、前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)、および前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)によって影響を受けるパラメータを検知して、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の位置を決定するセンサ(112)と
を含むフィードバックセンサシステム(100)と
を備え、
前記第2のリング(110)の前記表面(118)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向内側に配置され、
前記センサ(112)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)よりも半径方向外側に配置される、ガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記1つまたは複数の第1のリング要素(116)が、前記第1のリング(108)の前記表面(114)に沿って離間した複数の歯であり、前記1つまたは複数の第2のリング要素(120)が、前記第2のリング(110)の前記表面(118)に沿って離間した複数の歯であり、かつ前記フィードバックセンサシステム(100)が、前記第2のリング(110)に対する前記第1のリング(108)の角度位置を検知するように構成された、請求項11記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は一般に、1つのリングの別のリングに対する位置を決定するためのフィードバックセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは一般に、互いに機械的に連通して配置されたファンおよびコアを含む。さらに、ガスタービンエンジンのコアは一般に、直列流れ順に、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、および排気セクションを含む。作動時、空気は圧縮機セクションの入口を通って流れ、圧縮機セクションで、1つまたは複数の軸流圧縮機が空気を漸進的に圧縮した後、空気は燃焼セクションに達する。燃料は圧縮空気と混合され、燃焼セクション内で燃焼して燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは燃焼セクションからタービンセクションへ送られる。燃焼セクションを通った燃焼ガスの流れは、タービンセクションを駆動し、その後、排気セクションを通って、例えば大気へ流れる。特定の構成では、タービンセクションは、ガスタービンエンジンの軸方向に沿って延在する1つまたは複数のシャフトによって、圧縮機セクションに機械的に結合される。
【0003】
ファンは、ガスタービンエンジンのコアよりも大きな半径の複数のブレードを含み、ファンおよび複数のブレードは1つまたは複数のシャフトによって駆動される、または1つまたは複数のシャフトとともに回転可能である。特定のガスタービンエンジンでは、ファンは、複数のブレードがそれぞれ、ピッチ変更機構によって各ピッチ軸の周りに回転可能となるような可変ピッチファンである。ピッチ変更機構は、複数のブレードおよび1つまたは複数のシャフトに対するその角度位置を変えることによって、複数のブレードのそれぞれをそれらの各ピッチ軸周りに回転させることができる。
【0004】
特定の実施形態では、複数のブレードに対するピッチ変更機構の位置を測定して複数のブレードのピッチを測定するためにフィードバックセンサを備えることは有益となり得る。典型的には、ピッチ変更機構は、1つまたは複数のシャフト内に、または1つまたは複数のシャフトに隣接して少なくとも部分的に配置される。したがって、複数のブレード、および1つまたは複数のシャフトに対するピッチ変更機構の位置を測定するために、センサがピッチ変更機構を見通すための細長いスロットまたは開口を1つまたは複数のシャフトは含まなければならない。しかしながら、このような構成では、1つまたは複数のシャフトの強度を下げる可能性がある、または細長いスロットまたは開口を入れるために1つまたは複数のシャフトの強度をさらに上げる必要がある。これに代えて、センサを1つまたは複数のシャフト内に配置して、例えば無線通信ネットワークを使ってセンサをガスタービンエンジンのコントローラに接続することができる。しかしながら、このような構成は信頼性が低くなり得る。
【0005】
したがって、細長いスロットまたは開口を必要としないで、1つまたは複数のシャフトに対するピッチ変更機構の位置を測定することができるセンサは有用となろう。より具体的には、1つまたは複数のシャフトに対するピッチ変更機構の位置を1つまたは複数のシャフトを通して測定することができるセンサは特に有用となろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0288865号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様および利点は、以下の説明で部分的に明らかにされ、またはその説明から理解することができ、または本発明の実施を通じて学ぶことができる。
【0008】
本開示の1つの例示的な実施形態では、フィードバックセンサシステムが提供される。フィードバックセンサシステムは、軸方向の周りに回転可能な第1のリングを含む。第1のリングは、1つまたは複数の第1のリング要素を有する表面を含む。フィードバックセンサシステムはまた、軸方向の周りに回転可能な第2のリングを含む。第2のリングは、1つまたは複数の第2のリング要素を有する表面を含む。フィードバックセンサシステムはまた、第1のリングの表面に向けられて、1つまたは複数の第1のリング要素、および1つまたは複数の第2のリング要素によって影響を受けるパラメータを検知して、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定するセンサを含む。
【0009】
本開示の別の例示的な態様では、ガスタービンエンジン内での第2のリングに対する第1のリングの位置を決定するための方法が提供される。第1のリングは、1つまたは複数の第1のリング要素を有する表面を含み、第2のリングは、1つまたは複数の第2のリング要素を有する表面を含む。本方法は、センサを第1のリングの表面の方へ向けることと、1つまたは複数の第1のリング要素、および1つまたは複数の第2のリング要素によって影響を受けるパラメータをセンサで検知することと、センサで検知されたパラメータに基づいて、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することと含む。
【0010】
本開示のさらに別の例示的な実施形態では、軸方向を定めるガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、シャフトによって圧縮機セクションに機械的に結合されたタービンセクションと、シャフトによって駆動されるファンとを含む。ファンは複数のファンブレードを含む。ガスタービンエンジンはまた、複数のファンブレードのピッチを変えるように複数のファンブレードと機械的に連通した作動部材を含む。ガスタービンエンジンはまた、フィードバックセンサシステムを含む。フィードバックセンサシステムは、ガスタービンエンジンのシャフトとともに回転可能な第1のリングを含む。第1のリングは、1つまたは複数の第1のリング要素を有する表面を含む。フィードバックセンサシステムはまた、ガスタービンエンジンの作動部材とともに回転可能な第2のリングを含む。第2のリングは、1つまたは複数の第2のリング要素を有する表面を含む。フィードバックセンサシステムはまた、第1のリングの表面に向けられて、1つまたは複数の第1のリング要素、および1つまたは複数の第2のリング要素によって影響を受けるパラメータを検知して、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定するセンサを含む。
【0011】
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照すればよりよく理解できるであろう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成するものであり、本記述と併せて本発明の実施形態を例示して本発明の原理を説明する働きをしている。
【0012】
当業者を対象として、最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示を、添付の図を参照して本明細書で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本主題の様々な実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンの前方端の概略図である。
【
図3】本開示の例示的なガスタービンによるフィードバックセンサシステムを含む、
図2の例示的なガスタービンエンジンの前方端の拡大概略図である。
【
図4】
図3の例示的なフィードバックセンサシステムの断面図である。
【
図5】
図3の例示的なフィードバックセンサシステムによって検知されたパラメータの値を示すグラフである。
【
図6】本開示の別の例示的な実施形態によるフィードバックセンサシステムの概略断面図である。
【
図7】本開示の例示的な態様によるガスタービンエンジン内での第2のリングに対する第1のリングの位置を決定するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照するが、それらのうちの1つまたは複数の例を添付図面に示す。詳細な説明では、図面内の要素を指すために数字表示および文字表示を使用する。図面および記述における類似または同様の表示は、本発明の類似または同様の部品を指すために使用されている。本明細書で使用するとき、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、1つの構成部品を別の構成部品と区別するために交換可能に使用される場合があり、個々の構成部品の位置または重要性を意味することを意図していない。
【0015】
次に、図面を参照するが、これらの図面では、図面全体を通して同一の数字は同じ要素を示している。
図1は、本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図である。より具体的には、
図1の実施形態では、ガスタービンエンジンは高バイパスターボファンジェットエンジン10であり、本明細書では、これを「ターボファンエンジン10」と称する。
図1に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参考のために示した長手方向中心線12に平行に延在する)、半径方向R、および周方向(符号なし)を定める。一般に、ターボファン10は、ファンセクション14、およびファンセクション14の下流に配置されたコアタービンエンジン16を含む。
【0016】
図示の例示的なコアタービンエンジン16は一般に、環状の入口20を画定する実質的に管状の外側ケーシング18を含む。外側ケーシング18内には、直列流れ関係で、ブースタまたは低圧(LP:low pressure)圧縮機22および高圧(HP:high pressure)圧縮機24を含む圧縮機セクション、燃焼セクション26、高圧(HP)タービン28および低圧(LP)タービン30を含むタービンセクション、ならびにジェット排気ノズルセクション32が収まっている。高圧(HP)シャフトまたはスプール34は、HPタービン28をHP圧縮機24に駆動可能に接続する。低圧(LP)シャフトまたはスプール36は、LPタービン30をLP圧縮機22に駆動可能に接続する。
【0017】
図示の実施形態では、ファンセクション14は、間隔を置くようにしてディスク42に結合された複数のファンブレード40を有する可変ピッチファン38を含む。図示のように、ファンブレード40は、半径方向Rに概ね沿ってディスク42から外向きに延在する。ファンブレード40およびディスク42は、動力歯車装置44を通るLPシャフト36によって、長手方向軸12の周りを周方向に一緒に回転することができる。動力歯車装置44は複数の歯車を含んで、LPシャフト36の回転速度をより効率的なファンの回転速度に下げる。さらに、ファンブレード40が適切な作動部材46に動作可能に結合されることによって、各ファンブレード40は、ディスク42に対してピッチ軸Pの周りを回転することができる。作動部材46は、ファンブレード40のピッチを同時にまとめて変えるように構成される。さらに、図示の実施形態では、作動部材46はまた、長手方向軸12の周りを周方向に回転することができる。作動部材46は、その角度位置を複数のブレード40およびLPシャフト36に対して変えることによって、各ファンブレード40のピッチをある程度変える。例えば、作動中、作動部材46の少なくとも一部分は複数のブレード40およびLPシャフト36に対して一時的に速度を上げて、または下げて、複数のファンブレード40およびLPシャフト36に対するその角度位置を変えて、複数のブレード40のそれぞれのピッチを変えることができる。
【0018】
図1の例示的な実施形態をさらに参照すると、ディスク42は、空気流が複数のファンブレード40を通りやすくなるように空気力学的な輪郭をもつ回転可能な前面スピナ48によって覆われる。さらに、例示的なファンセクション14は、ファン38、および/またはコアタービンエンジン16の少なくとも一部分を周方向に取り囲む環状のファンケーシングまたは外側ナセル50を含む。当業者であれば、ナセル50は、周方向に離間した複数の出口案内翼52によって、コアタービンエンジン16に対して支持されるように構成することができることを理解されたい。さらに、ナセル50の下流セクション54は、コアタービンエンジン16の外側部分を覆って延在して、それらの間にバイパス空気流通路56を画定することができる。
【0019】
ターボファンエンジン10の作動中、ある量の空気58が、ナセル50および/またはファンセクション14に付随する入口60を通ってターボファン10に入る。その量の空気58がファンブレード40を通りすぎると、矢印62で示す空気58の第1の部分はバイパス空気流通路56内に向けられ、または送られ、矢印64で示す空気58の第2の部分はLP圧縮機22内に向けられ、または送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64との比は通常、バイパス比として知られる。次いで、空気の第2の部分64は、高圧(HP)圧縮機24を通るように送られて、その圧力を増大させられ、さらに燃焼セクション26内に送られて、そこで燃料と混合されて燃焼して燃焼ガス66が発生する。
【0020】
燃焼ガス66はHPタービン28を通るように送られ、そこで、燃焼ガス66から、エネルギーおよび/または運動エネルギーの一部分が、外側ケーシング18に結合されたHPタービンステータベーン68と、HPシャフトまたはスプール34に結合されたHPタービンロータブレード70との連続した段によって取り出され、したがって、HPシャフトまたはスプール34が回転させられ、それによって、HP圧縮機24の作動が維持される。次いで、燃焼ガス66はLPタービン30を通るように送られ、そこで、燃焼ガス66から、熱エネルギーおよび運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング18に結合されたLPタービンステータベーン72と、LPシャフトまたはスプール36に結合されたLPタービンロータブレード74との連続した段によって取り出され、したがって、LPシャフトまたはスプール36が回転させられ、それによって、LP圧縮機22の作動および/またはファン38の回転が維持される。
【0021】
続いて、燃焼ガス66はコアタービンエンジン16のジェット排気ノズルセクション32を通るように送られて推進力を与える。同時に、空気の第1の部分62がバイパス空気流通路56を通るように送られると、空気の第1の部分62の圧力が実質的に上昇し、その後、ターボファン10のファンノズル排気セクション76から排出されてこれもまた推進力を与える。HPタービン28、LPタービン30、およびジェット排気ノズルセクション32は、燃焼ガス66をコアタービンエンジン16を通って送るための高温ガス通路78を少なくとも部分的に画定する。
【0022】
図示していないが、ターボファンエンジン10の動作は、圧縮機セクション、タービンセクション、燃焼セクション26、および/または周囲環境などの様々な状態を検出する圧力および温度センサなどのいくつかのセンサによって監視することができる。これに加えて、下記でより詳細に論じるように、ターボファンエンジン10はさらにフィードバックセンサシステム100(
図2参照)を備えて、LPシャフト36に対する作動部材46の位置を測定して複数のファンブレード40のピッチを決定することができる。フィードバックセンサシステム100を含むセンサは、ターボファンエンジン10の特定の態様を制御するために備えられたコントローラ(図示せず)と動作可能に連通することができる。コントローラは、概ね、タービンエンジンを本明細書で説明するように制御および/または操作することができる当技術分野で知られた任意のタービンエンジン制御システムとすることができる。一般に、コントローラは、コンピュータで実施する様々な機能を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサおよび関連する記憶装置を有する任意のコンピュータシステムを含んでターボファンエンジン10を制御することができる。例えば、コントローラは、特定の航空機エンジンの制御で使用される全デジタル電子式制御(FADEC:full−authority digital electronic control)制御システムを含むことができる。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「プロセッサ」は、コンピュータに含まれるものとして当技術分野で言及される集積回路を指すだけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:programmable logic controller)、特定用途向け集積回路、および他のプログラム可能な回路も指すことを理解されたい。さらに、記憶装置は一般に、限定するものではないが、コンピュータ読取可能な媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory))、コンピュータ読取可能な非揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピーディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM:compact disc−read only memory)、光磁気ディスク(MOD:magneto−optical disk)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc)、および/または他の適切な記憶素子を含む記憶素子を含むことができる。記憶装置は、プロセッサによって実行されるとき、所望の機能を実行するソフトウェアまたは他の制御命令を含むことができる。
【0024】
図1に示したターボファンエンジン10は単なる一例であり、他の例示的な実施形態では、任意の他の適切なガスタービンエンジンが提供される場合があることを理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態では、ターボファンエンジン10はアンダクテッドターボファンエンジンの場合があり、動力歯車装置44を含む場合も含まない場合もあり、かつ/または可変ピッチファン38を含む場合も含まない場合もある。本明細書で使用するとき、用語「ファン」は、ターボファンエンジン10などのダクテッドターボファンエンジンのファン38、アンダクテッドターボファンエンジンのファン構成部品、および/またはターボプロップエンジンのプロペラ構成部品を指す場合がある。
【0025】
次に、
図2を参照すると、本開示の例示的な実施形態によるターボファンエンジン10の前方端の拡大図が示されている。具体的には、
図2の拡大図は、本開示の例示的な実施形態によるフィードバックセンサシステム100を含むターボファンエンジン10の前方端のファン38の一部分を示している。図示の例示的な実施形態では、LPシャフト36はファン38のディスク42に取り付けられ、ファン38はLPシャフト36によって駆動される。次に、複数のファンブレード40のそれぞれは、複数の各トラニオン機構102を通じてディスク42に取り付けられる。トラニオン機構102によって、各ファンブレード40は各ピッチ軸Pの周りに回転することができる。
【0026】
さらに、作動部材46は、半径方向Rに沿ってファン38のディスク42およびトラニオン機構102の内側に配置される。作動部材46は、複数のファンブレード40のそれぞれのピッチを変えるために、中心線12の周りを周方向C(
図4参照)にファン38とともに回転する。図示の実施形態では、作動部材46は角度作動部材46である。より具体的には、作動部材46は複数の延長部104を含み、各延長部104は、概ね半径方向Rに沿って外向きに各トラニオン機構102へ延在する。延長部104は、ディスク42内の各トラニオン機構102およびファンブレード40を回転させて、このようなファンブレード40のピッチを変える。延長部104が回転すると、作動部材46のアーム106の角度位置は、LPシャフト36、ディスク42、および複数のファンブレード40に対し変化する。
【0027】
したがって、図示の実施形態では、複数のファンブレード40の各ファンブレード40のピッチは、LPシャフト36に対する作動部材46の角度位置、より具体的には、作動部材46のアーム106の角度位置を測定することによって測定することができる。フィードバックセンサシステム100は、このような測定を行うために備えられる。より具体的には、フィードバックセンサシステム100は、センサが作動部材46を物理的に見通すためにLPシャフト36に孔、スロット、開口などを何ら必要とすることなくこのような測定を行うために備えられる。したがって、このような実施形態では、LPシャフト36の強度を下げて、LPシャフト36に対する作動部材46の位置を測定する必要がない。
【0028】
次に、
図2のフィードバックセンサシステム100の拡大図を示す
図3も参照すると、フィードバックセンサシステム100は全体として、ターボファンエンジン10の軸方向Aの周りを回転可能な第1のリング108、これもまたターボファンエンジン10の軸方向Aの周りを回転可能な第2のリング110、およびセンサ112を含む。図示の実施形態では、第1のリング108は、LPシャフト36とともに回転可能である、すなわち、より具体的には、LPシャフト36に取り付けられ、第2のリング110は、作動部材46とともに回転可能である、すなわち、より具体的には、作動部材46のアーム106に固定して取り付けられ、かつ、センサ112は、静止構成部品、すなわち、非回転構成部品に取り付けられて、第1のリング108に近接した固定位置にある。図示の実施形態では、第1のリング108は、第2のリング110の表面118と実質的に平行に延在する表面114を画定し、その結果、第2のリング110は、第1のリング108内に入れ子状になっている。さらに、第1および第2のリング108、110の表面114、118は、ターボファンエンジン10の軸方向Aに対してゼロより大きな角度になっている。
【0029】
第1および第2のリング108、110はそれぞれ、実質的に永続して環状の形状を有する剛性の高い材料で形成することができ、任意の適切な取付手段を用いてターボファンエンジン10内に取り付けることができる。例えば、第1および第2のリング108、110の一方または両方は、構成部品およびターボファンエンジン10と、例えば、溶接によって一体で形成することができ、さもなければ、ターボファンエンジン10内の構成部品に1つまたは複数の適切な機械的締結具を用いて取り付けることができる。これに加えて、またはこれに代えて、第1および第2のリング108、110の一方または両方は、1つまたは複数の可撓性の材料で形成して、各構成部品に取り付けることによって「リング状」または「環状」にすることができる。
【0030】
次に、
図4もまた参照すると、
図2のフィードバックセンサシステム100のターボファンエンジン10の軸方向に沿った断面図が示されている。図示のように、第1のリング108の表面114は、1つまたは複数の第1のリング要素116を含み、第2のリング110の表面118は同様に、1つまたは複数の第2のリング要素120を含む。センサ112は、第1のリング108の表面114に向けられて、1つまたは複数の第1のリング要素116、1つまたは複数の第2のリング要素120、およびセンサ112と第1および第2のリング108、110との間の離隔距離によって影響を受けるパラメータを検知して、第2のリング110に対する第1のリング108の位置を決定する。より具体的には、センサ112はセンシング軸122を定める。センサ112は、センシング軸122に沿って第1および第2のリング108、110から所定の離隔距離だけ離れて配置され、かつ、センシング軸122が第1のリング108の表面114を通り、さらに第2のリング110の表面118を通って延在するように配置される。
【0031】
図示の実施形態では、1つまたは複数の第1のリング要素116は、第1のリング108の表面114に沿って離間した複数の第1のリングの歯であり、1つまたは複数の第2のリング要素120は、第2のリング110の表面118に沿って離間した複数の第2のリングの歯である。図示の実施形態では、第1のリングの歯のそれぞれ、および第2のリングの歯のそれぞれは実質的に同じ四角の幾何形状(外形)を有することに留意されたい。しかしながら、他の例示的な実施形態では、1つまたは複数の第1のリング要素116、および1つまたは複数の第2のリング要素120は任意の他の適切な幾何形状を有することができることを理解されたい。さらに、本明細書で使用するとき、「実質的に」または「約」などの近似の用語は、10パーセント(10%)の誤差内であることを指すことを理解されたい。
【0032】
第1のリング108は、周方向Cの周りに連続したリングであり、第2のリング110もまた周方向Cの周りに連続したリングである。第1のリング108は、隣接する第1のリング108の各要素間の厚さより厚い1つまたは複数の第1のリング要素116のそれぞれにおける厚さを定める。同様に、第2のリング110は、隣接する第2のリング110の各要素間の厚さより厚い1つまたは複数の第2のリング要素120のそれぞれにおける厚さを定める。本明細書で使用するとき、第1および第2のリング108、110の厚さは、センシング軸122に沿った厚さを指す。
【0033】
第1のリング108はさらに、複数の第1のリング要素116とは異なる幾何形状を有する標識124を含む。より具体的には、図示の実施形態では、第1のリング108は、1つまたは複数の第1のリング要素116の厚さより厚い標識124における厚さを定める。しかしながら、他の実施形態では、標識124は、1つまたは複数の第1のリング要素116からそれ自体を識別するための任意の他の幾何形状を有することができることを理解されたい。下記で論じるように、標識124は第1のリング108の新たな周期を示す。さらに、標識124と1つまたは複数の第1のリング要素116とは、周方向Cの周りを第1のリング108の表面114に沿って均等に離間している。同様に、1つまたは複数の第2のリング要素120もまた、周方向Cの周りを第2のリング110の表面118上を均等に離間している。
【0034】
第2のリング110の表面118には、第1のリング108の表面114にある第1のリング要素116とは異なる数の第2のリング要素120があることに留意されたい。例えば、図示の実施形態では、第2のリング110の表面118にある第2のリング要素120は、第1のリング108の表面114にある第1のリング要素116より6つ少ない。しかしながら、他の例示的な実施形態では、第2のリング110の表面118は任意の他の適切な数の第2のリング要素120を有することができることを理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態では、第2のリング110の表面118にある第2のリング要素120は、第1のリング108の表面114にある第1のリング要素116より少なくとも4つ少なくすることができる、または、第1のリング108の表面114にある第1のリング要素116より少なくとも2つ少なくすることができる。しかしながら、これに代えて、他の例示的な実施形態では、第2のリング110の表面118にある第2のリング要素120は、第1のリング108の表面114にある第1のリング要素116より多くすることができる。
【0035】
図示の実施形態では、第1のリング要素116が、第2のリング要素120と周方向Cに沿って完全に重なっているのは数か所だけである。これは、標識124と第1のリング要素116とが第1のリング108の表面114に均等な間隔で配置されていること、第2のリング要素120が第2のリング110の表面118に均等な間隔で配置されていること、および第1のリング要素116と第2のリング要素120の数が異なることの結果である。上述のように、図示の実施形態では、第2のリング110にある第2のリング要素120は、第1のリング108にある第1のリング要素116より6つ少ない。したがって、図示の実施形態では、第1のリング要素116と第2のリング要素120とは、周方向Cに沿って6か所の最高点126で完全に重なる。
【0036】
さらに、フィードバックセンサシステム100は、第1のリング要素116と第2のリング要素120との重なり量に基づいて、第2のリング110に対する第1のリング108の角度位置を決定するように構成される。より具体的には、図示の実施形態では、1つまたは複数の第1のリング要素116、および1つまたは複数の第2のリング要素120によって影響を受ける、センサ112によって検知されるパラメータは、磁束である。したがって、第1のリング108、または少なくとも第1のリング要素116を鉄鋼材料で形成することができ、かつ、第2のリング110、または少なくとも第2のリング要素120を同様に鉄鋼材料で形成することができる。したがって、最高点126においては、第1のリング108の要素は第2のリング110の要素と完全に重なっており、センサ112によって検知される磁束の量は比較的高い。対照的に、最高点126と最高点126との間では、すなわち最低点128では、第1のリング108の要素は、隣接する第2のリング要素120の間に位置しており、センサ112によって検知される磁束の量は比較的低い。さらに、標識124が第1のリング要素116とは異なる幾何形状の場合、標識124がセンサ112の下を通るときにセンサ112によって検知される磁束の量は、最高点126でセンサ112が検知する磁束の量よりもさらに高い。このような構成によって、フィードバックセンサシステム100は、第1のリング108の1回転を決定することができる。このような構成によってまた、センサ112は、検知された最高点126および最低点128に対する検知された標識124の位置に基づいて、第2のリング110に対する第1のリング108の角度位置を決定することができる。
【0037】
しかしながら、他の例示的な実施形態では、1つまたは複数の第1および第2のリング要素116、120は、任意の他の適切な態様で磁化することができることを理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態では、第1および第2のリング108、110の一方または両方を電磁石として構成することができる。このような構成では、第1および第2のリング108、110の一方または両方は、第1および第2のリング108、110の各表面に突き出て延在する要素を含まないようにできることに留意されたい。例えば、第1および第2のリング要素116、120は電荷を有するコイルまたは他の電線構成体を含むことができて、その結果、第1および第2のリング108、110は磁場を有する離散した領域を画定する。
【0038】
次に、
図5を参照すると、
図2の例示的なフィードバックセンサシステム100の作動中に、センサ112によって検知された例示的なパラメータの値のグラフが示されている。グラフには、X軸に回転角度、およびY軸に検知されたパラメータの値の単位(ゼロで正規化されている)が含まれる。図示のように、センサ112は、最高点126と最低点128との間を振動するパラメータの変化過程を検知する。センサ112はまた、標識124がセンサ112の下を通ることに応答した外れ値130を検知する。外れ値130は、第1および第2のリング108、110の新たな周期を示す。さらに、前述したように、センサ112は、検知したパラメータの値の変化過程に対する標識124/外れ値130の位置に基づいて、第2のリング110に対する第1のリング108の角度位置を決定することができる。
【0039】
前述したように、第2のリング110の表面118には、第1のリング108の表面114に含まれる第1のリング要素116より6つ少ない第2のリング要素120が含まれることに留意されたい。したがって、検知されたパラメータの変化過程は、1回転当たり(すなわち、360度の回転当たり)6回繰り返す。このような構成では、フィードバックセンサシステム100は、最大60度の全範囲に対して−30度と+30度との間で相対角度位置を決定することができる。上記の
図2の例示的な実施形態に対する作動部材46では、複数のファンブレード40のそれぞれに対するピッチの変化の全範囲になる相対角度の動きが60度より小さいことが必要であることに留意されたい。しかしながら、他の例示的な実施形態では、作動部材46が、複数のファンブレード40のそれぞれに対するピッチの変化の全範囲になる相対角度の動きが60度より大きいことを必要とする場合がある。第1のリング108の表面114の第1のリング要素116の数、および第2のリング110の表面118の第2のリング要素120の数を修正することによって、フィードバックセンサシステム100は、360度までの相対的な動きを測定するように構成することができる。例えば、フィードバックセンサシステム100は、第1のリング要素116より1つだけ少ない第2のリング要素120を備えることによって、360度までの相対角度の動きを測定することができる。その上、さらに他の例示的な実施形態では、センサ112は、例えば、標識124が360度の印を超えて通る回数を数えることによって、360度より大きな相対的な動きを検知するように構成することができる。
【0040】
したがって、本開示によるフィードバックセンサシステムは、第2のリングを直接の見通すことを必要とせずに、第2のリングに対する第1のリングの位置をより容易に検知することができる。なお、例示的なフィードバックセンサシステムは、作動部材とともに使用されるように描かれているが、他の実施形態では、例示的なフィードバックセンサシステムは、その代わりに、軸方向Aの周りに回転可能で、センサが構成部品のうちの1つを直接見通すことが困難となる場合がある入れ子になった任意の他の構成部品とともに使用することができることを理解されたい。
【0041】
次に、
図6を参照すると、本開示の別の例示的な実施形態によるフィードバックセンサシステム100の断面図が示されている。図示の実施形態では、第1のリング108は、
図2から4に示した第1のリング108と実質的に同じ態様で構成される。例えば、第1のリング108は環状の形状を画定し、標識124(図示せず)および1つまたは複数の第1のリング要素116を有する表面114を含む。1つまたは複数の第1のリング要素116は、第1のリング108の表面114上の離間した複数の歯である。
図6の実施形態は、1つまたは複数の第2のリング要素120を備える表面118を有する第2のリング110をさらに含む。しかしながら、
図6の実施形態では、1つまたは複数の第2のリング要素120は、第2のリング110の表面118から、第2のリング110の長さに沿って(すなわち、軸方向Aに沿って)渦巻き状に延在した複数の螺旋状の隆起120である。より具体的には、図示の実施形態では、第2のリング110は、円筒として構成され、第1および第2のリング108、110の表面114、118は、軸方向Aに実質的に平行である。図示の例示的な実施形態では、第2のリング110に対する第1のリング108の角度位置は変化しないことに留意されたい。しかしながら、第2のリング110に対する第1のリング108の軸方向位置は変化する。したがって、
図6の例示的なフィードバックセンサシステム100は、第2のリング110に対する第1のリング108の軸方向位置を決定するように構成される。
【0042】
さらに具体的には、図示の実施形態では、第2のリング110が、第1のリング108に対して軸方向Aに沿って動くと、第2のリング要素120は、第1のリング要素116と異なった態様で並ぶことになる。
図6の例示的な実施形態の軸方向断面は、
図4に示した断面と実質的に同じに見えることに留意されたい。さらに、
図6の例示的なフィードバックセンサシステム100の作動中にセンサ112によって検知されるパラメータの値は、
図5のグラフに示された値と実質的に同じに見える。
【0043】
図2から4、および/または
図6の例示的な実施形態は、第2のリングに対して第1のリングの位置を測定することが望ましい任意の機械に組み込むことができる。例えば、特定の実施形態では、フィードバックセンサシステム100は、LPシャフト36および複数のファンブレード40に対して軸方向Aに沿って動かすことによって、複数のファンブレード40のピッチを変える作動部材46を含むターボファンエンジン10などのガスタービンエンジン内に組み込むことができる。これに加えて、またはこれに代えて、
図6の例示的な実施形態は、例えば、互いの中に入れ子状になったガスタービンエンジンの2つの構成部品の間の相対的な熱膨張を測定するために使用することができる。さらに、
図2から4、および/または
図6の例示的な実施形態は、本明細書では、ガスタービンエンジン内に組み込むように説明したが、他の実施形態では、その代わりに、任意の他の適切な機械内に組み込むことができる。
【0044】
しかしながら、さらに他の例示的な実施形態では、第1のリング108に対する第2のリング110の位置を検知するために、任意の他の適切な手段を提供することができることもまた理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態では、センサ112によって検知されるパラメータは、磁束ではなくて、その代わりに、例えば光学的な値とすることができる。例えば、そのような例示的な実施形態では、第1および第2のリング108、110は透明または半透明な材料で形成することができ、1つまたは複数の第1のリング要素116および1つまたは複数の第2のリング要素120はそれぞれ、第1のリング108および第2のリング110の残りの部分より透明度が大きい、または小さい第1および第2のリング108、110の部分とすることができる。さらに、このような例示的な実施形態では、光源もまた第1のリング108および第2のリング110内に配置することができ、光の強度をセンサ112(光学センサ112とすることができる)によって検知し、第2のリング110に対する第1のリング108の位置を決定することができる。
【0045】
次に、
図7を参照すると、ガスタービンエンジン内での第2のリングに対する第1のリングの位置を決定するための方法(200)が提供される。特定の例示的な実施形態では、
図7の例示的な方法(200)は、
図2から5を参照して、または
図6および7を参照して上記で説明したフィードバックセンサシステム100とともに使用することができる。したがって、第1のリングは、1つまたは複数の第1のリング要素を含む表面を有することができ、第2のリングは、1つまたは複数の第2のリング要素を含む表面を有することができる。
【0046】
例示的な方法(200)は、(202)において、センサを第1のリングの表面の方へ向けること、ならびに、(204)において、1つまたは複数の第1のリング要素、および1つまたは複数の第2のリング要素によって影響を受けるパラメータをセンサで検知することを含む。例えば、特定の例示的な実施形態では、パラメータは磁束とすることができる。さらに、例示的な方法(200)は、これに加えて、(206)において、センサで検知されたパラメータに基づいて、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することを含む。例示的な方法(200)が
図2から5のフィードバックセンサシステムとともに使用されるとき、(206)において、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することは、第2のリングに対する第1のリングの角度位置を決定することを含むことができる。対照的に、例示的な方法(200)が
図6および7のフィードバックセンサシステムとともに使用されるとき、(206)において、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することは、第2のリングに対する第1のリングの軸方向位置を決定することを含むことができる。
【0047】
さらに、
図7に示した方法(200)の特定の例示的な態様では、(206)において、センサで検知されたパラメータに基づいて、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することは、(208)において、パラメータの値の変化過程を検知すること、(210)において、第1のリングの表面に含まれる標識を検知すること、および、(212)において、検知されたパラメータの値の変化過程における標識の位置に基づいて、第2のリングに対する第1のリングの位置を決定することをさらに含むことができる。
【0048】
図7に示した例示的な態様による方法によって、第2のリングを見通すことを必要とせずに、第2のリングに対する第1のリングの位置を検知することができる。したがって、このような例示的な態様による方法によって、第1のリングに、または第1のリングが取り付けられた構成部品にいかなる孔、スロット、または他の開口を有することなく、第2のリングに対する第1のリングの角度位置または軸方向位置を検知することができる。
【0049】
本明細書では、最良の態様を含む例を用いて本発明を開示し、また、任意の装置またはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み入れられた方法の実施を含め、当業者が本発明を実施できるように本発明を開示している。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と相違ない構成要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に相違ない等価の構成要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図されている。
【符号の説明】
【0050】
10 ターボファンエンジン
12 長手方向または軸方向中心線
14 ファンセクション
16 コアタービンエンジン
18 外側ケーシング
20 入口
22 低圧(LP)圧縮機
24 高圧(HP)圧縮機
26 燃焼セクション
28 高圧(HP)タービン
30 低圧(LP)タービン
32 ジェット排気セクション
34 高圧(HP)シャフト/スプール
36 低圧(LP)シャフト/スプール
38 ファン
40 ブレード
42 ディスク
44 動力歯車装置
46 作動部材
48 スピナ
50 ファンケーシングまたはナセル
52 出口案内翼
54 下流セクション
56 バイパス空気流通路
58 空気
60 入口
62 空気の第1の部分
64 空気の第2の部分
66 燃焼ガス
68 ステータベーン
70 タービンロータブレード
72 ステータベーン
74 タービンロータブレード
76 ファンノズル排気セクション
78 高温ガス通路
100 フィードバックセンサシステム
102 トラニオン機構
104 延長部
106 アーム
108 第1のリング
110 第2のリング
112 センサ
114 第1のリングの表面
116 第1のリング要素
118 第2のリングの表面
120 第2のリング要素
122 センシング軸
124 標識
126 最高点
128 最低点
130 外れ値