特許第6242986号(P6242986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242986
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02F 1/20 20060101AFI20171127BHJP
   F02F 1/00 20060101ALI20171127BHJP
   F02M 59/44 20060101ALI20171127BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20171127BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20171127BHJP
   F01M 9/06 20060101ALI20171127BHJP
   F01M 9/10 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F02F1/20
   F02F1/00 S
   F02M59/44 J
   F02M59/44 U
   F02F7/00 301B
   F01M1/06 D
   F01M9/06 D
   F01M9/10 L
   F01M9/06 Z
   F01M1/06 L
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-200923(P2016-200923)
(22)【出願日】2016年10月12日
(62)【分割の表示】特願2013-203010(P2013-203010)の分割
【原出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-57854(P2017-57854A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 諭
(72)【発明者】
【氏名】森本 達也
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】山本 信裕
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−017047(JP,A)
【文献】 特開2012−184668(JP,A)
【文献】 特開2006−009726(JP,A)
【文献】 実開昭57−097162(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第0581315(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/20
F02F 1/00
F02F 7/00
F02M 59/44
F01M 1/06
F01M 9/06
F01M 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロック(1)と燃料噴射ケース(2)と燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)と連通路(5)とを備え、シリンダブロック(1)はクランクケース(6)とシリンダ部(9)とを備え、燃料噴射ケース(2)はシリンダブロック(1)と一体に形成され、燃料噴射ケース(2)には燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)とが収容され、燃料噴射カム軸(4)は燃料噴射ポンプ(3)の下側に架設され、クランクケース(6)内と燃料噴射ケース(2)とが連通路(5)で連通され、連通路(5)は燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側に配置され、クランクケース(6)内のクランク軸(7)で跳ね上げられたエンジンオイルが連通路(5)を介して燃料噴射ケース(2)内に進入するように構成された、ディーゼルエンジンにおいて、
出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出し、
燃料噴射カム軸(4)の架設方向を前後方向とし、連通路(5)が燃料噴射ケース(2)の前後方向端部のシリンダ部(9)寄りに配置され、連通路(5)側を前側、反対側を後側として、
オイル溜(15)を備え、
オイル溜(15)は、燃料噴射カム軸(4)の下方に形成され、
出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)がオイル溜(15)に供給されるように構成され、
前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成され、
前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
オイル排出ガイド面(19)を備え、オイル排出ガイド面(19)は前部堰(18)の前側で、燃料噴射カム軸(4)の下方に配置され、連通路出口(5a)に向けて下り傾斜している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項3】
請求項2に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
出口上方立板部(10)を備え、出口上方立板部(10)は、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置され、
オイル排出ガイド面(19)は、出口上方立板部(10)の下方をくぐり抜けて、連通路出口(5a)に至るように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項4】
請求項3に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
立壁部(11)を備え、立壁部(11)は、出口上方立板部(10)の後側で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項5】
請求項4に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
延長庇部(12)を備え、この延長庇部(12)は、出口上方庇部(8)の後側に形成されるとともに、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から立壁部(11)に向けて突出している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
入口庇部(25)を備え、入口庇部(25)は、連通路(5)の下側に位置する連通路入口(5b)で、連通路(5)の反シリンダ部側壁(5c)からシリンダ部(9)側に向けて突出されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
後部オイル案内溝(16)を備え、
後部オイル案内溝(16)は、オイル溜(15)の後側に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、
出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)が後部オイル案内溝(16)を介してオイル溜(15)に供給されるように構成され、
作動装置(20)と、後部オイル供給孔(21)とを備え、
作動装置(20)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に取り付けられ、燃料噴射カム軸(4)からの出力で作動され、
後部オイル供給孔(21)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に設けられ、後部オイル案内溝(16)から作動装置(20)に凝集オイル(17)を供給するように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項8】
請求項7に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
後部堰(22)を備え、後部堰(22)は、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)との境界に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿って配置されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項9】
請求項8に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
連通隙間(23)を備え、連通隙間(23)は、後部堰(22)の反シリンダ部側の端部に形成され、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)とを連通させている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項10】
請求項9に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
オイル溜(15)の内底面は、連通隙間(23)に向けて下り傾斜している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載されたディーゼルエンジンにおいて、
後部オイル案内溝(16)の内底面は、シリンダ部(9)側に向けて下り傾斜している、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
軸流ファン(24)を備え、軸流ファン(24)は、燃料噴射カム軸(4)に取り付けられ、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が回転する燃料噴射カム(4a)の風圧でオイルミスト化され、オイルミストが軸流ファン(24)の送風で送風下流側の燃料噴射カム(4a)に供給されるように構成されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載されたディーゼルエンジンにおいて、
垂下片(8b)を備え、垂下片(8b)は、出口上方庇部(8)の突出端から連通路出口(5a)に向けて下向きに導出されている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンに関し、詳しくは、エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができるディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンとして、シリンダブロックと燃料噴射ケースと燃料噴射ポンプと燃料噴射カム軸と連通路とを備え、シリンダブロックはクランクケースとシリンダ部とを備え、燃料噴射ケースはシリンダブロックと一体に形成され、燃料噴射ケースには燃料噴射ポンプと燃料噴射カム軸とが収容され、燃料噴射カム軸は燃料噴射ポンプの下側に架設され、クランクケース内と燃料噴射ケースとが連通路で連通され、連通路は燃料噴射ケースのシリンダ部側に配置され、クランクケース内のクランク軸で跳ね上げられたエンジンオイルが連通路を介して燃料噴射ケース内に進入するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のエンジンによれば、強制潤滑装置を設けることなく、燃料噴射カムの潤滑を図ることができる利点がある。
【0004】
しかし、特許文献1のものでは、燃料噴射ケース内のオイルミスト量を制限する手段がないため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−17047号公報(図1図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するおそれがある。
特許文献1のものでは、燃料噴射ケース内のオイルミスト量を制限する手段がないため、エンジン回転数が高くなり、クランク軸で跳ね上げられるエンジンオイルが増加すると、燃料噴射ケース内のオイルミスト量が過剰になり、エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するおそれがある。
この場合、燃料噴射ポンプのプランジャ室にオイルが進入し、エンジンオイルに含まれるカーボン等が燃料噴射ノズルで詰まる等の問題が生じる。
【0007】
本発明の課題は、エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができるディーゼルエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2(A)に例示するように、シリンダブロック(1)と燃料噴射ケース(2)と燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)と連通路(5)とを備え、シリンダブロック(1)はクランクケース(6)とシリンダ部(9)とを備え、燃料噴射ケース(2)はシリンダブロック(1)と一体に形成され、燃料噴射ケース(2)には燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)とが収容され、燃料噴射カム軸(4)は燃料噴射ポンプ(3)の下側に架設され、クランクケース(6)内と燃料噴射ケース(2)とが連通路(5)で連通され、連通路(5)は燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側に配置され、クランクケース(6)内のクランク軸(7)で跳ね上げられたエンジンオイルが連通路(5)を介して燃料噴射ケース(2)内に進入するように構成された、ディーゼルエンジンにおいて、
図2(A)(B)に例示するように、出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出し、
図1に例示するように、燃料噴射カム軸(4)の架設方向を前後方向とし、連通路(5)が燃料噴射ケース(2)の前後方向端部のシリンダ部(9)寄りに配置され、連通路(5)側を前側、反対側を後側として、
図1図4に例示するように、オイル溜(15)を備え、
オイル溜(15)は、燃料噴射カム軸(4)の下方に形成され、
出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)がオイル溜(15)に供給されるように構成され、
図3図4に例示するように、前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成され、
前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 オイルミストが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)(B)に例示するように、出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出しているので、エンジン回転数が高くなり、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルが増加しても、連通路出口(5a)から上方に跳ね上がるエンジンオイルは、出口上方庇部(8)で連通路出口(5a)に跳ね返され、燃料噴射ケース(2)内でのエンジンオイルの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0010】
《効果》 燃料噴射カムの磨耗を抑制することができる。
図1に例示するように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)がオイル溜(15)に供給されるように構成されているので、図3に例示するように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0011】
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1図3図4に例示するように、前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成されているので、図3に例示するように、オイル溜(15)に過剰な凝集オイル(17)が溜まるおそれがなく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0012】
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図3図4に例示するように、前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられているので、図3に例示するように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)がカムノーズ(4b)で跳ね上げられる不具合が起こりにくく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0013】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1図2(A)に例示するように、オイル排出ガイド面(19)を備え、オイル排出ガイド面(19)は前部堰(18)の前側で、燃料噴射カム軸(4)の下方に配置され、連通路出口(5a)に向けて下り傾斜しているので、前部堰(18)からオーバーフローした凝集オイル(17)がオイル排出ガイド面(19)で速やかに連通路出口(5a)に排出され、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0014】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)(B)に例示するように、出口上方立板部(10)を備え、出口上方立板部(10)は、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されているので、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが出口上方立板部(10)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0015】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1に例示するように、立壁部(11)を備え、立壁部(11)は、出口上方立板部(10)の後側で、図4に例示するように、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されているので、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが立壁部(11)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0016】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 オイルミストが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1に例示するように、延長庇部(12)を備え、この延長庇部(12)は、出口上方庇部(8)の後側に形成されるとともに、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から立壁部(11)に向けて突出しているので、図4に例示するように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが延長庇部(12)で遮られ、燃料噴射ケース(2)の上部へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0017】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)に例示するように、入口庇部(25)を備え、入口庇部(25)は、連通路(5)の下側に位置する連通路入口(5b)で、連通路(5)の反シリンダ部側壁(5c)からシリンダ部(9)側に向けて突出されているので、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルは、入口庇部(25)で跳ね返され、連通路(5)に進入しにくく、燃料噴射ケース(2)内での拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0018】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 作動装置の潤滑を図ることができる。
図1図3に例示するように、後部オイル供給孔(21)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に設けられ、後部オイル案内溝(16)から作動装置(20)に凝集オイル(17)を供給するように構成されているので、作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0019】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 作動装置のオイル切れが抑制される。
図1図3図5に例示するように、後部堰(22)を備え、後部堰(22)は、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)との境界に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿って配置されているので、図3に例示するように、エンジンの傾斜により燃料噴射ケース(2)が前方に下り傾斜しても、後部オイル案内溝(16)内の凝集オイル(17)は後部堰(22)で堰き止められるので、作動装置(20)への凝集オイル(17)の供給が継続され、作動装置(20)のオイル切れが抑制される。
【0020】
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃料噴射カムの潤滑を図ることができる。
図1図5に例示するように、連通隙間(23)を備え、連通隙間(23)は、後部堰(22)の反シリンダ部側の端部に形成され、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)とを連通させているので、後部堰(22)があっても、後部オイル案内溝(16)の凝集オイル(17)は、連通隙間(23)を介してオイル溜(15)に供給され、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0021】
(請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン再始動時の作動装置の潤滑を図ることができる。
図6図7に例示するように、オイル溜(15)の内底面は、連通隙間(23)に向けて下り傾斜しているので、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)が前方下り傾斜状、或いはシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0022】
(請求項11に係る発明)
請求項11に係る発明は、請求項9または請求項10に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン再始動時の作動装置の潤滑を図ることができる。
図5に例示するように、後部オイル案内溝(16)の内底面は、シリンダ部(9)側に向けて下り傾斜しているので、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)がシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0023】
(請求項12に係る発明)
請求項12に係る発明は、請求項1から請求項11のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃料噴射カムの潤滑を図ることができる。
図1図3に例示するように、軸流ファン(24)を備え、軸流ファン(24)は、燃料噴射カム軸(4)に取り付けられ、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が回転する燃料噴射カム(4a)の風圧でオイルミスト化され、オイルミストが軸流ファン(24)の送風で下流側の燃料噴射カム(4a)に供給されるように構成されているので、燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0024】
(請求項13に係る発明)
請求項13に係る発明は、請求項1から請求項12のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(B)に例示するように、垂下片(8b)を備え、垂下片(8b)は、出口上方庇部(8)の突出端から連通路出口(5a)に向けて下向きに導出されているので、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが垂下片(8b)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンを説明する要部横断平面図である。
図2図2(A)は図1のII−II線断面図、図2(B)は出口上方庇部の変形例の縦断面である。
図3図1のIII−III線断面図である。
図4図1のIV−IV線断面図である。
図5図1のV−V線断面図である。
図6図1のエンジンで用いる燃料噴射ケースを右前部から斜め下向きに見下ろした一部切断斜視図である。
図7図1のエンジンで用いる燃料噴射ケースを右後部から斜め下向きに見下ろした一部切断斜視図である。
図8図1のエンジンで用いるシリンダブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図8は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンを説明する図であり、この実施形態では、立形の直列多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0027】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図8に示すように、シリンダブロック(1)に燃料噴射ケース(2)が一体に形成されている。シリンダブロック(1)には、シリンダ部(9)に複数のシリンダボア(30)が直列に配置され、シリンダ部(9)の下側はクランクケース(6)が形成されている。
シリンダブロック(1)の前部には、図3に示すように、調時伝動ケース(26)が取り付けられ、調時伝動ケース(26)内には調時伝動装置(27)が収容されている。調時伝動装置(27)は調時伝動ギヤ列で、クランク軸(7)から燃料噴射カム軸(4)や動弁カム軸(図外)に動力を伝達する。調時伝動ケース(26)内にはメカニカルガバナ(28)も収容されている。メカニカルガバナ(28)は、調速レバー(29)と燃料噴射ポンプ(3)との間に介在し、調速レバー(29)で設定されたエンジン回転速度を維持するよう、燃料噴射ポンプ(3)を調量制御する。
【0028】
このエンジンの主要な構成は、次の通りである。
図2(A)に示すように、シリンダブロック(1)と燃料噴射ケース(2)と燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)と連通路(5)とを備え、シリンダブロック(1)はクランクケース(6)とシリンダ部(9)とを備え、燃料噴射ケース(2)はシリンダブロック(1)と一体に形成され、燃料噴射ケース(2)には燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)とが収容され、燃料噴射カム軸(4)は燃料噴射ポンプ(3)の下側に架設され、クランクケース(6)内と燃料噴射ケース(2)とが連通路(5)で連通され、連通路(5)は燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側に配置され、クランクケース(6)内のクランク軸(7)で跳ね上げられたエンジンオイルが連通路(5)を介して燃料噴射ケース(2)内に進入するように構成されている。
これにより、強制潤滑装置を設けることなく、燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0029】
図2(A)(B)に示すように、出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出している。
このため、エンジン回転数が高くなり、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルが増加しても、連通路出口(5a)から上方に跳ね上がるエンジンオイルは、出口上方庇部(8)で連通路出口(5a)に跳ね返され、燃料噴射ケース(2)内でのエンジンオイルの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0030】
図2(A)に示すように、出口上方立板部(10)を備え、出口上方立板部(10)は、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されている。
このため、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが出口上方立板部(10)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
図1図2(A)に示すように、オイル排出ガイド面(19)は、出口上方立板部(10)の下方をくぐり抜けて、連通路出口(5a)に至るように構成されている。
【0031】
図1に示すように、燃料噴射カム軸(4)の架設方向を前後方向とし、連通路(5)が燃料噴射ケース(2)の前後方向端部のシリンダ部(9)寄りに配置され、連通路(5)側を前側、反対側を後側として、次のように構成されている。
図1に示すように、立壁部(11)を備え、立壁部(11)は、出口上方立板部(10)の後側で、図4に示すように、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されている。
このため、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが立壁部(11)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0032】
図1に示すように、延長庇部(12)を備え、この延長庇部(12)は、出口上方庇部(8)の後側に形成されるとともに、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から立壁部(11)に向けて突出している。
このため、図4に示すように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが延長庇部(12)で遮られ、燃料噴射ケース(2)の上部へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0033】
図1に示すように、オイル凝集通路(13)と凝集オイル受溝(14)とオイル溜(15)と後部オイル案内溝(16)とを備えている。
図4に示すように、オイル凝集通路(13)は、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)と立壁部(11)に挟まれた空間で形成され、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)と連通されている。
凝集オイル受溝(14)は、オイル凝集通路(13)の内底部に形成されている。
オイル溜(15)は、燃料噴射カム軸(4)の下方に形成され、凝集オイル受溝(14)とは立壁部(11)で区画されている。
図5に示すように、後部オイル案内溝(16)は、オイル溜(15)の後側に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置されている。
図1に示すように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)からオイル凝集通路(13)に進入したオイルミストがオイル凝集通路(13)で凝集され、凝集オイル(17)が凝集オイル受溝(14)から後部オイル案内溝(16)を介してオイル溜(15)に供給されるように構成されている。
このため、図3に示すように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0034】
図1図3図4に示すように、前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成されている。
このため、図3に示すように、オイル溜(15)に過剰な凝集オイル(17)が溜まるおそれがなく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0035】
図3図4に示すように、前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられている。
このため、図3に例示するように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)がカムノーズ(4b)で跳ね上げられる不具合が起こりにくく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0036】
図1図2(A)に示すように、オイル排出ガイド面(19)を備え、オイル排出ガイド面(19)は前部堰(18)の前側で、燃料噴射カム軸(4)の下方に配置され、連通路出口(5a)に向けて下り傾斜している。
このため、前部堰(18)からオーバーフローした凝集オイル(17)がオイル排出ガイド面(19)で速やかに連通路出口(5a)に排出され、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0037】
図1図3に示すように、作動装置(20)と、後部オイル供給孔(21)とを備えている。
作動装置(20)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に取り付けられ、燃料噴射カム軸(4)からの出力で作動される。
後部オイル供給孔(21)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に設けられ、後部オイル案内溝(16)から作動装置(20)に凝集オイル(17)を供給するように構成されている。
このため、作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0038】
図1図3図5に示すように、後部堰(22)を備え、後部堰(22)は、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)との境界に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿って配置されている。
図3に示すように、エンジンの傾斜により燃料噴射ケース(2)が前方に下り傾斜しても、後部オイル案内溝(16)内の凝集オイル(17)は後部堰(22)で堰き止められるので、作動装置(20)への凝集オイル(17)の供給が継続され、作動装置(20)のオイル切れが抑制される。
【0039】
図1図5に示すように、連通隙間(23)を備え、連通隙間(23)は、後部堰(22)の反シリンダ部側の端部に形成され、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)とを連通させている。
このため、後部堰(22)があっても、後部オイル案内溝(16)の凝集オイル(17)は、連通隙間(23)を介してオイル溜(15)に供給され、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0040】
図6図7に示すように、オイル溜(15)の内底面は、連通隙間(23)に向けて下り傾斜している。
このため、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)が前方下り傾斜状、或いはシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
図6図7の凝集オイル(17)の矢印は、エンジン停止後の凝集オイル(17)の自重による流れの方向を示しており、エンジン運転中の凝集オイル(17)の流れは、図1に示す通りである。
【0041】
図5に示すように、後部オイル案内溝(16)の内底面は、シリンダ部(9)側に向けて下り傾斜している。
このため、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)がシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
図5の凝集オイル(17)の矢印は、エンジン停止後の凝集オイル(17)の自重による流れの方向を示している。
【0042】
図1図3に示すように、軸流ファン(24)を備え、軸流ファン(24)は、燃料噴射カム軸(4)に取り付けられ、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が回転する燃料噴射カム(4a)の風圧でオイルミスト化され、オイルミストが軸流ファン(24)の送風で送風下流側の燃料噴射カム(4a)に供給されるように構成されている。
このため、燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0043】
図2(A)の出口上方庇部(8)は、単なる平板形状であるが、出口上方庇部(8)は、図2(B)に示すように変形させてもよい。
図2(B)のものは、垂下片(8b)を備え、垂下片(8b)は、出口上方庇部(8)の突出端から連通路出口(5a)に向けて下向きに導出されている。
この変形例の場合、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが垂下片(8b)と出口上方立板部(10)とで二重に遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0044】
図2(A)に示すように、入口庇部(25)を備え、入口庇部(25)は、連通路(5)の下側に位置する連通路入口(5b)で、連通路(5)の反シリンダ部側壁(5c)からシリンダ部(9)側に向けて突出されている。
このため、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルは、入口庇部(25)で跳ね返され、連通路(5)に進入しにくく、燃料噴射ケース(2)内での拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
(1) シリンダブロック
(2) 燃料噴射ケース
(2a) シリンダ部側のケース壁
(2b) ケース後壁
(3) 燃料噴射ポンプ
(4) 燃料噴射カム軸
(4a) 燃料噴射カム
(4b) カムノーズ
(5) 連通路
(5a) 連通路出口
(5b) 連通路入口
(5c) 反シリンダ部側壁
(6) クランクケース
(7) クランク軸
(8) 出口上方庇部
(8a) 下方空間
(8b) 垂下片
(9) シリンダ部
(10) 出口上方立板部
(11) 立壁部
(12) 延長庇部
(15) オイル溜
(16) 後部オイル案内溝
(17) 凝集オイル
(18) 前部堰
(18a) オーバーフロー面
(19) オイル排出ガイド面
(20) 作動装置
(21) 後部オイル供給孔
(22) 後部堰
(23) 連通隙間
(24) 軸流ファン
(25) 入口庇部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8