【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図2(A)に例示するように、シリンダブロック(1)と燃料噴射ケース(2)と燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)と連通路(5)とを備え、シリンダブロック(1)はクランクケース(6)とシリンダ部(9)とを備え、燃料噴射ケース(2)はシリンダブロック(1)と一体に形成され、燃料噴射ケース(2)には燃料噴射ポンプ(3)と燃料噴射カム軸(4)とが収容され、燃料噴射カム軸(4)は燃料噴射ポンプ(3)の下側に架設され、クランクケース(6)内と燃料噴射ケース(2)とが連通路(5)で連通され、連通路(5)は燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側に配置され、クランクケース(6)内のクランク軸(7)で跳ね上げられたエンジンオイルが連通路(5)を介して燃料噴射ケース(2)内に進入するように構成された、ディーゼルエンジンにおいて、
図2(A)(B)に例示するように、出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出し、
図1に例示するように、燃料噴射カム軸(4)の架設方向を前後方向とし、連通路(5)が燃料噴射ケース(2)の前後方向端部のシリンダ部(9)寄りに配置され、連通路(5)側を前側、反対側を後側として、
図1,
図4に例示するように、オイル溜(15)を備え、
オイル溜(15)は、燃料噴射カム軸(4)の下方に形成され、
出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)がオイル溜(15)に供給されるように構成され、
図3,
図4に例示するように、前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成され、
前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられている、ことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 オイルミストが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)(B)に例示するように、出口上方庇部(8)を備え、出口上方庇部(8)は、連通路(5)の上側に位置する連通路出口(5a)の上方で、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から突出しているので、エンジン回転数が高くなり、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルが増加しても、連通路出口(5a)から上方に跳ね上がるエンジンオイルは、出口上方庇部(8)で連通路出口(5a)に跳ね返され、燃料噴射ケース(2)内でのエンジンオイルの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0010】
《効果》 燃料噴射カムの磨耗を抑制することができる。
図1に例示するように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から進入したオイルミストが凝集され、凝集オイル(17)がオイル溜(15)に供給されるように構成されているので、
図3に例示するように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0011】
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1、
図3、
図4に例示するように、前部堰(18)を備え、前部堰(18)は、オイル溜(15)の前縁に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿う向きで配置され、オイル溜(15)に溜まる凝集オイル(17)が前部堰(18)からオーバーフローするように構成されているので、
図3に例示するように、オイル溜(15)に過剰な凝集オイル(17)が溜まるおそれがなく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0012】
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図3、
図4に例示するように、前部堰(18)のオーバーフロー面(18a)は、燃料噴射カム(4a)の真下を向いたカムノーズ(4b)の下端よりも低い位置に設けられているので、
図3に例示するように、オイル溜(15)の凝集オイル(17)がカムノーズ(4b)で跳ね上げられる不具合が起こりにくく、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0013】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1、
図2(A)に例示するように、オイル排出ガイド面(19)を備え、オイル排出ガイド面(19)は前部堰(18)の前側で、燃料噴射カム軸(4)の下方に配置され、連通路出口(5a)に向けて下り傾斜しているので、前部堰(18)からオーバーフローした凝集オイル(17)がオイル排出ガイド面(19)で速やかに連通路出口(5a)に排出され、凝集オイル(17)の拡散で燃料噴射ケース(2)内に過剰なオイルミストが発生する不具合が抑制され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0014】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)(B)に例示するように、出口上方立板部(10)を備え、出口上方立板部(10)は、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されているので、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが出口上方立板部(10)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0015】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1に例示するように、立壁部(11)を備え、立壁部(11)は、出口上方立板部(10)の後側で、
図4に例示するように、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)と燃料噴射カム軸(4)との間に、燃料噴射カム軸(4)の架設方向に沿う向きで配置されているので、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが立壁部(11)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0016】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 オイルミストが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図1に例示するように、延長庇部(12)を備え、この延長庇部(12)は、出口上方庇部(8)の後側に形成されるとともに、燃料噴射ケース(2)のシリンダ部(9)側のケース壁(2a)から立壁部(11)に向けて突出しているので、
図4に例示するように、出口上方庇部(8)の下方空間(8a)から後側に拡散したオイルミストが延長庇部(12)で遮られ、燃料噴射ケース(2)の上部へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0017】
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(A)に例示するように、入口庇部(25)を備え、入口庇部(25)は、連通路(5)の下側に位置する連通路入口(5b)で、連通路(5)の反シリンダ部側壁(5c)からシリンダ部(9)側に向けて突出されているので、クランク軸(7)で跳ね上げられるエンジンオイルは、入口庇部(25)で跳ね返され、連通路(5)に進入しにくく、燃料噴射ケース(2)内での拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。
【0018】
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 作動装置の潤滑を図ることができる。
図1、
図3に例示するように、後部オイル供給孔(21)は、燃料噴射ケース(2)のケース後壁(2b)に設けられ、後部オイル案内溝(16)から作動装置(20)に凝集オイル(17)を供給するように構成されているので、作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0019】
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明は、請求項7に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 作動装置のオイル切れが抑制される。
図1、
図3、
図5に例示するように、後部堰(22)を備え、後部堰(22)は、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)との境界に、燃料噴射ケース(2)の幅方向に沿って配置されているので、
図3に例示するように、エンジンの傾斜により燃料噴射ケース(2)が前方に下り傾斜しても、後部オイル案内溝(16)内の凝集オイル(17)は後部堰(22)で堰き止められるので、作動装置(20)への凝集オイル(17)の供給が継続され、作動装置(20)のオイル切れが抑制される。
【0020】
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃料噴射カムの潤滑を図ることができる。
図1、
図5に例示するように、連通隙間(23)を備え、連通隙間(23)は、後部堰(22)の反シリンダ部側の端部に形成され、後部オイル案内溝(16)とオイル溜(15)とを連通させているので、後部堰(22)があっても、後部オイル案内溝(16)の凝集オイル(17)は、連通隙間(23)を介してオイル溜(15)に供給され、オイル溜(15)の凝集オイル(17)で燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0021】
(請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン再始動時の作動装置の潤滑を図ることができる。
図6、
図7に例示するように、オイル溜(15)の内底面は、連通隙間(23)に向けて下り傾斜しているので、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)が前方下り傾斜状、或いはシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0022】
(請求項11に係る発明)
請求項11に係る発明は、請求項9または請求項10に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジン再始動時の作動装置の潤滑を図ることができる。
図5に例示するように、後部オイル案内溝(16)の内底面は、シリンダ部(9)側に向けて下り傾斜しているので、エンジンが傾斜したまま停止し、燃料噴射ケース(2)がシリンダ部(9)側下り傾斜状になっていても、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が自重で連通隙間(23)から後部オイル案内溝(16)と後部オイル供給孔(21)とを介して作動装置(20)に供給され、エンジン停止後の作動装置(20)のオイル切れが抑制され、エンジン再始動時の作動装置(20)の潤滑を図ることができる。
【0023】
(請求項12に係る発明)
請求項12に係る発明は、請求項1から請求項11のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 燃料噴射カムの潤滑を図ることができる。
図1、
図3に例示するように、軸流ファン(24)を備え、軸流ファン(24)は、燃料噴射カム軸(4)に取り付けられ、オイル溜(15)の凝集オイル(17)が回転する燃料噴射カム(4a)の風圧でオイルミスト化され、オイルミストが軸流ファン(24)の送風で下流側の燃料噴射カム(4a)に供給されるように構成されているので、燃料噴射カム(4a)の潤滑を図ることができる。
【0024】
(請求項13に係る発明)
請求項13に係る発明は、請求項1から請求項12のいずれかに係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》 エンジンオイルが燃料噴射ポンプに進入するのを抑制することができる。
図2(B)に例示するように、垂下片(8b)を備え、垂下片(8b)は、出口上方庇部(8)の突出端から連通路出口(5a)に向けて下向きに導出されているので、連通路出口(5a)から出口上方庇部(8)の下方空間(8a)に跳ね上がったエンジンオイルが垂下片(8b)で遮られ、燃料噴射カム軸(4)側へのオイルミストの拡散が抑制され、燃料噴射ケース(2)内でオイルミスト量が過剰になる不具合が回避され、エンジンオイルが燃料噴射ポンプ(3)に進入するのを抑制することができる。