(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、パッケージ収納型エンジン発電機として、エンジンの吸排気部品をパッケージの上部に設けたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、吸気サイレンサを設けた吸気室、排気消音器を設けた排気室およびラジエータを設けたラジエータ室の3上部室と、エンジン等を含むエンジン室および機器収納室の下部室とが、中段壁により上下に区画されている。すなわち、3上部室は、ラジエータ室と吸排気室とが、隔壁で区画され、さらに、吸排気室は、隔壁により吸気室と排気室とに区画されている。
【0003】
そして、中段壁の排気室の底部分に当たる箇所に、エンジン室に開口する換気口が設けられており、エンジン室からの換気風が前記換気口を介して排気室に入る。排気室に入った換気風は、隔壁に設けられたギャラリを介してラジエータ室へ流れるようになっている。
【0004】
また、エンジン室の上方に、上面に換気出口を有するラジエータ室を設けてラジエータファンで換気する構成を開示するパッケージ収納型エンジン発電機も公知である(例えば、特許文献2参照)。特許文献2は、下部のエンジン室と上部のラジエータ室とを区画する中段壁には、エンジン室とラジエータ室とを連通する換気口が設けられている。換気口の部分には、換気管が上下に立設されており、この換気管を取り囲むようにして防水部材が、中段壁に固定されており、換気管と防水部材とから換気通路が構成されている。このように、換気管と防水部材とから換気通路を構成することにより、パッケージの上部に設けられた換気出口を介してラジエータ室に雨水が入る場合でも、エンジン室内に直接に雨水が侵入するのを防止する構成としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、ラジエータ室のラジエータファンで換気する場合、エンジン室からの換気風が、前記換気口を介して排気室に入り、排気室に入った換気風は、隔壁に設けられたギャラリを介してラジエータ室へ流れる構成であるため、換気風の流通抵抗が大きくなり、換気風の圧損が大きくなる問題がある。
【0007】
特許文献2は、下部のエンジン室から上部のラジエータ室に直接連通する構成であるが、雨水等の吹き込み防止のために換気口下流に、換気管と防水部材とから換気通路を構成している。換気口から雨水等の吹き込み防止のためには、換気管と防水部材との間にシ−ル機能を備えるようにラビリンス構造とする必要があるため、特許文献1と同様に換気風の圧損が大きくなる問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、エンジンの吸排気部品を上方区画に設けるパッケージ収納型エンジン作業機において、エンジン室からラジエータ室に至る換気経路の圧損を低減するパッケージ収納型エンジン発電機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、パッケージを上下に区画し、上方区画にラジエータおよびラジエータファンを設け、下方区画にエンジンおよび発電機を設けたパッケージ収納型エンジン発電機において、
前記エンジンおよび前記発電機を設けるエンジン室からラジエータ室に連通する換気口を設け、前記換気口の上方および周囲を換気フードで覆い、前記換気フードの出口開口を前記換気口に対してずらして設け、前記ラジエータを水平に配置し、前記ラジエータファンを前記ラジエータ上方で対向して設け、前記ラジエータと前記パッケージの上下区画部材の前記ラジエータとの対向部分で挟まれる空間に面する前記パッケージの正面、背面または側面にラジエータ換気口を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は
、エンジン室からラジエータ室に至る換気経路の圧損を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1から
図5は、本実施形態に係るコージェネレーション装置1の正面図、背面図、右側面図、左側面図および平面図である。なお、
図1(a)から
図5(a)は、その内部構造図を示しており、
図1(b)から
図5(b)は、その外観図を示している。
【0013】
本実施形態は、本発明をコージェネレーション装置1に採用した場合について説明する。なお、コージェネレーション装置1とは、電力消費機器(負荷)への送電系統に、外部商用電源の商用電力系統と発電機12の発電電力系統とを電気的に接続し、該負荷の需要電力を賄い、かつ、発電に伴い生じる廃熱を回収し、回収した廃熱を利用するシステムである。すなわち、コージェネレーション装置1は、エンジン11により駆動された発電機12からの発電電力を出力する発電機能に加えて、エンジン冷却水回路13により循環されてエンジン11の廃熱との熱交換により加熱された冷却水の廃熱をエンジン廃熱回収器23によって回収する機能(この例では冷却水の廃熱を回収して給湯に利用する機能)を有している。
【0014】
図1から
図5に示すように、本実施形態に係るコージェネレーション装置1は、略直方体に形成された筺体としてのパッケージ2を備えている。パッケージ2は、パッケージ2の上下方向Zの中央より上側寄りにおいて上下に区画する上下区画部材32を境として、上下に2分割可能とされている。パッケージ2の下側(下方区画)には、エンジン室3および機器収納室4が設けられ、上側(上方区画)には吸気室5およびラジエータ・排気室6が設けられている。エンジン室3および機器収納室4は、隔壁7により左右に区画されている。
【0015】
(エンジン室)
エンジン室3は、パッケージ2の長手方向Xにおける一方側(本実施例では、
図1(a)の左側、
図1(b)の右側)に位置している。エンジン室3において、エンジン11を中心にして、長手方向Xにおける一方側には、エンジン11の回転駆動により駆動される発電機12が配置されている。
【0016】
エンジン11は、例えばガスエンジンが採用され、燃料ガスと空気が混合されることによって起動される。そして、エンジン11が回転駆動することによって、エンジン11を連設される発電機12が連動される。エンジン11の上側周辺には、
図1(a)、
図2(a)、
図4(a)に示すように、冷却水を循環させてエンジンを冷却するエンジン冷却水回路13と、エンジン11から排出される排気ガスとエンジン11からの冷却水との間で熱交換を行う排気ガス熱交換器14とが配置されている。
【0017】
(機器収納室)
機器収納室4は、パッケージ2の長手方向Xにおける他方側(
図1(a)における右側)に位置している。機器収納室4において、パッケージ2の短手方向(前後方向)Yにおける一方側(この例では正面側)には、エンジン駆動系機器およびエンジン廃熱回収系機器を制御する制御装置15等を含むコントローラボックス17や電装機器系の操作部18が配置されている(
図1(a)参照)。また、パッケージ2の右側面2cのコントローラボックス17に対応する位置には、コントローラボックス17に向けて外気を取り入れるコントローラボックス換気口17aが設けられ(
図3(b)参照)、パッケージ2の正面2aの操作部18に対応する位置には、操作部18を操作するための操作部扉18aが設けられている(
図1(b)参照)。
【0018】
パッケージ2の長手方向Xにおける他方側には、インバータ19が配置されている(
図3(a)参照)。また、パッケージ2の右側面2cのインバータ19に対応する位置には、インバータ19に向けて外気を取り入れるインバータ換気口19aが設けられている(
図3(b)参照)。
【0019】
パッケージ2の短手方向Yにおける他方側には、電装機器系を配線するターミナルユニット16(端子台)が配置され、パッケージ2の長手方向Xにおける他方側の下部には、外気をエンジン室3内に吸引する換気ファン21が配置されている(
図2(a)参照)。また、パッケージ2の右側面2cには、エンジン室3内に外気を取り入れるエンジン室換気口21aが設けられている(
図3(b)参照)。
【0020】
パッケージ2の長手方向Xにおける中央部で短手方向Yにおける一方側には、サブオイルタンク25と、リザーブオイルタンク26が配置されている(
図1(a)参照)。また、パッケージ2の長手方向Xにおける中央部で短手方向Yにおける他方側には、排気ガス熱交換器14から流出される冷却水の廃熱を回収するエンジン廃熱回収器23が配置されている(
図2(a)参照)。
【0021】
次に、吸気室5およびラジエータ・排気室6を有する上部構造体30について説明する。
図6は、上部構造体30の斜視図、
図7は、
図6のA―A線矢視の断面図、
図8は、上部構造体30の要部を示す拡大断面図、
図9は、上部構造体の上下区画部材および換気フードの分解斜視図、
図10は、上下区画部材および換気フードの断面図、
図11は、上下区画部材の断面図である。
【0022】
上部構造体30は、直方体形状のフレーム体31と、フレーム体31の取り付けられるパッケージ構成板とを備えている。フレーム体31は、床板を構成する板金からなる上下区画部材32と、上下区画部材32の長手方向Xの両側に立設された門形の支柱部材35、35と、左右の支柱部材35、35間に架設された前後水平部材33、34と、前後水平部材33、34の中間に設けられた中間支柱36とを備えている。吸気室5とラジエータ・排気室6とは、例えば金属製板からなる隔壁37で区画形成されている。
【0023】
(吸気室)
吸気室5は、上部構造体30の長手方向Xの一方側に配置されている。吸気室5において、上部には外部から吸入される空気を浄化するエアクリーナ40が配置され、下部にはエンジン11の騒音を低減する吸気サイレンサ41が配置されている。パッケージ2の左側面2dのエアクリーナ40に対応する位置には、エアクリーナ40に向けて外気を取り入れるエンジン吸気口40aが設けられている(
図4(b)参照)。
【0024】
(ラジエータ・排気室)
ラジエータ・排気室6は、吸気室5よりも上部構造体30の長手方向Xの他方側に配置されている。すなわち、ラジエータ・排気室6は、エンジン室3の上部に位置する排気室6Aと、機器収納室4の上部に位置するラジエータ室6Bとのそれぞれの空間が一体となったものであり、排気室6Aとラジエータ室6Bとの間には、区画する隔壁は設けられていない。吸気室5、排気室6Aおよびラジエータ室6Bは、上部構造体30の長手方向Xの一方側から他方側に向けて一列に配置されている。
【0025】
ラジエータ・排気室6において、上下方向Zにおける中央部には、排気ガス熱交換器14から流出される冷却水の廃熱を放熱するラジエータ42が水平に配置されている。ラジエータ42の4隅は支柱部材35と中間支柱36とに架設されている。パッケージ2の正面2a、背面2b、右側面2cのラジエータ42に対応する位置には、ラジエータ42に向けて外気を取り入れるラジエータ換気口42a、42b、42cがそれぞれ設けられている(
図1(b)、
図2(b)、
図3(b)参照)。
【0026】
また、ラジエータ42の上方には、制御装置15により駆動制御されることによりラジエータ・排気室6内の空気を外部に排出してラジエータ42を放熱するラジエータファン43が配置されている。ラジエータファン43は、U字状のフレーム部材44に固定された状態で、前後水平部材33、34に取り付けられている。パッケージ2の上面2eのラジエータファン43に対応する位置には、換気出口43aが設けられている(
図5(b)参照)。
【0027】
また、パッケージ2の短手方向Yにおける一方側には、エンジン冷却水回路13に冷却水を補給するリザーブ冷却水タンク47が配置されている。パッケージ2の短手方向Yにおける他方側には、排気ガスが外部へ排出される際の排気音を低減する排気サイレンサ45が配置されている(
図1(a)、
図2(a)、
図5(a)および
図6参照)。パッケージ2の上面2eの排気サイレンサ45に対応する位置には、排気出口開口45aが設けられている(
図5(b)参照)。
【0028】
上下区画部材32におけるリザーブ冷却水タンク47と排気サイレンサ45との間には、間隔が設けられており、この間隔に、エンジン室3とラジエータ・排気室6とを連通する換気口48が形成されている。換気口48はラジエータファン43からパッケージ2の長手方向Xにずらして設けられている。換気口48の上部には、換気フード50が設けられている。
【0029】
換気フード50は、換気口48の上方および開口周囲を覆い、換気フード50の出口開口50aを換気口48に対して対向しパッケージ2の短手方向Yにずらして設けている。これにより、エンジン室3からラジエータ室6B(ラジエータ・排気室6)に直接連通する換気口48が設けられている。
【0030】
換気フード50は、下面が開口された箱体からなり、前後壁部51、52と、前後壁部51、52に接続された両側壁部53、53と、天壁部55とを備えている。天壁部55は前面側に向けて下向きに傾斜して設けられている。
【0031】
後壁部52および両側壁部53、53の下縁部は、換気口48の縁部から立設されている凸部48aに嵌合固定されている。前壁部51は換気口48よりも前側に臨んでおり、前壁部51の下端は、上下区画部材32の上面と所定間隔を有している。
【0032】
換気口48の前縁部から上向きに仕切り板56が立設されている。仕切り板56は、換気フード50内部を前後に区画し、仕切り板56の上端は、天壁部55内面と所定間隔を有している。ここで、換気フード50と仕切り板56とにより、換気口48とラジエータ・排気室6とに連通する換気通路58が構成されている。換気通路58は、換気口48と連通する第1換気通路58aと、ラジエータ・排気室6に開口する第2換気通路58bとを備えている。
【0033】
換気口48はラジエータファン43からパッケージ2の長手方向Xにずらして設けられているとともに、換気フード50は、換気口48の上方および開口周囲を覆っているので、換気出口43aから侵入する雨水が換気口48に侵入し難くなる。このため、換気通路58の開口を通気するのに十分な大きさとすることができる。
【0034】
上下区画部材32におけるラジエータ42に対向する部分には、雨水はけ部60が設けられている。雨水はけ部60は、パッケージ2の中央部から外縁辺部にかけて下降傾斜する形状としたものである。具体的には、雨水はけ部60は、上下区画部材32の一部を機械加工により上方に凸部となるように成形したもので、長手方向Xの他方側に向けて次第に低くなるように傾斜する天傾斜壁61と、天傾斜壁61の前後縁から延設された前後傾斜壁62、63と、天傾斜壁61の最高縁から下方に延設された側壁64とから構成されている。なお、上下区画部材32の同等高さ位置に、ラジエータ換気口42a、42b、42cがそれぞれ設けられている。
【0035】
以上説明したコージェネレーション装置1では、運転を開始するにあたり、先ず、燃料ガスが、エンジン11に供給されるとともに、吸気室5内に吸い込まれた空気が、エアクリーナ40および吸気サイレンサ41を介してエンジン11に送られ、エンジン11が起動する。エンジン11が起動すると、エンジン11から排気される排気ガスは、排気ガス熱交換器14を経過し、排気サイレンサ45にて消音された後に、パッケージ2の上方から外部へ排出される。
【0036】
一方、エンジン冷却水回路13では、エンジン11を冷却した冷却水は、ラジエータ42および/またはエンジン廃熱回収器23へ送られる。ラジエータ42に送られた冷却水の廃熱は、ラジエータ42によって放熱され、エンジン廃熱回収器23に送られた冷却水の廃熱は、エンジン廃熱回収器23によって回収される。そして、エンジン廃熱回収器23および/またはラジエータ42を通過したエンジン冷却水は、エンジン11へ戻される。
【0037】
また、換気ファン21およびラジエータファン43の駆動により、パッケージ2内が換気される。すなわち、エンジン室3よび機器収納室4側において、エンジン室換気口21aを介してパッケージ2の内に吸入された空気(換気風)は、機器収納室4およびエンジン室3を流れ、エンジン室3からの換気風が、上方に流れて換気口48を介して換気フード50内に入る。換気フード50内に入った換気風は、換気通路58の第1換気通路58a内を上方に流れた後に、天壁部55に案内され第2換気通路58bを下向きに流れて、出口開口50aから出て上下区画部材32に落とされてラジエータ・排気室6に入る。ラジエータ・排気室6内の換気風は、ラジエータ42を冷却した後に、換気出口43aから外気に排出される。
【0038】
本実施形態は、エンジン室3からラジエータ・排気室6に連通する換気口48を設けることにより、エンジン室3とラジエータ室6Bとを直接に連通させ、しかも、換気フード50により換気通路58を形成しているので、エンジン室3内の換気風は、換気通路58内を流れてスムーズにラジエータ室に入る。このため、換気風の流通抵抗を可及的に低下させることができ、換気風の圧損が少なくなる。
【0039】
このように、本実施形態では、換気口48をラジエータファン43からパッケージ2の長手方向Xにずらして設け、換気口48の上方および周囲を換気フード50で覆い、換気フード50の出口開口50aを換気口48に対して対向し、パッケージ2の短手方向Yにずらして設けているので、パッケージ2にラジエータファン43上方から雨水がラジエータ室6Bに侵入した場合であっても、雨水が直接換気口48に侵入するのを防止できるとともに、換気フード50により通気路を確保することができる。この結果、エンジン室3内の換気風は、換気通路58内を流れてスムーズにラジエータ室6Bに入るため、換気風の流通抵抗を可及的に低下させることができ、エンジン室3からラジエータ室6Bに至る換気経路を流れる換気風の圧損を低減できる。
【0040】
また、雨水が換気出口43aからパッケージ2内部に入った場合、ラジエータファン43およびラジエータ42を通過した雨水は、雨水はけ部60上面に落下する。雨水はけ部60上面に落下した雨水は、雨水はけ部60の天傾斜壁61、前後傾斜壁62、63および側壁64を流れ、パッケージ2の中央部から外縁辺部に流れることとなる。さらに、雨水は、パッケージ2の正背面2a、2bおよび側面2cに設けられたラジエータ換気口42a、42b、42cを介して外部に流出することとなる。