特許第6243007号(P6243007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6243007強磁性体インレイを有するバランスウェイト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243007
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】強磁性体インレイを有するバランスウェイト
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/32 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   F16F15/32 R
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-506978(P2016-506978)
(86)(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公表番号】特表2016-514819(P2016-514819A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2014057330
(87)【国際公開番号】WO2014167079
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】13163600.3
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514192402
【氏名又は名称】ヴェークマン アウトモーティブ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WEGMANN automotive GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マークス フォーグラー
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−144503(JP,U)
【文献】 特開平11−257433(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/034399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力によってバランスウェイトを保持するための強磁性体インレイ(95)と、非強磁性材料のバランスウェイト本体部(92)とを有するバランスウェイトにおいて、
前記強磁性体インレイ(95)は、前記バランスウェイト本体部の少なくとも1つの面に少なくとも1つの接触面(94)を有し、
前記強磁性体インレイは、円筒形ロッドである、
ことを特徴とするバランスウェイト。
【請求項2】
前記強磁性体インレイ(95)は、前記バランスウェイト本体部の1つの面に1つの接触面(94)を有する、
請求項1に記載のバランスウェイト。
【請求項3】
前記強磁性体インレイ(95)は、前記バランスウェイト本体部の装着面に対して平行である、
請求項1または2に記載のバランスウェイト。
【請求項4】
前記バランスウェイト本体部は、前記バランスウェイトの質量の大きい方の部分を有し、前記強磁性体インレイは、前記バランスウェイトの質量の小さい方の部分を有する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載のバランスウェイト。
【請求項5】
前記バランスウェイトは、当該バランスウェイトをリムに装着するための金属クリップを有しており、
前記強磁性体インレイは、前記クリップから離隔されて配置されている、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のバランスウェイト。
【請求項6】
前記強磁性体インレイは、前記バランスウェイトの前記本体部における切欠き部内に保持されている、
請求項1から5までのいずれか1項に記載のバランスウェイト。
【請求項7】
前記強磁性体インレイは、前記バランスウェイト内に埋め込まれている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載のバランスウェイト。
【請求項8】
前記切欠き部は、プラスチック、エポキシまたは染料のようなシーリング材料によってシーリングされている、
請求項6に記載のバランスウェイト。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のバランスウェイトを取り扱う方法において、
バランスウェイトの近傍に取付ヘッドを移動するステップと、
磁力によって前記バランスウェイトを前記取付ヘッドに保持するステップと、
前記バランスウェイトと共に前記取付ヘッドリムに移動するステップと、
前記取付ヘッドから前記バランスウェイトを取り外すステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
さらに、
前記取付ヘッドをバランスウェイトの近傍に移動した後、前記取付ヘッド内の電磁石を使用可能にするステップと、
前記バランスウェイトを前記リムに移動した後、前記取付ヘッド内の電磁石を使用不可にするステップとが含まれる、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取扱システムにおいて取り扱い可能でありかつ車両のホイールをバランシングするためにホイールのリムに装着可能なバランスウェイトに関する。本発明はまた、バランスウェイトを取り扱うため、自動取扱システムの一部とすることが可能なバランスウェイト取付装置に関する。本発明はさらに、バランスウェイトを自動的に取り扱う方法に関する。
【0002】
関連する技術の説明
米国特許第4728154号明細書に開示されているクリップオン式バランスウェイトは、質量体と、ホイールのリムにバランスウェイトを保持するためのクリップとを備えた金属製本体部を有する。
【0003】
米国特許第7478659号明細書には、ホイール用のステッカ式ウェイト加圧機が開示されている。この加圧機は、バランスウェイトをホイールのリムに押し付けるための2つの加圧ブロックを有する。これらのバランスウェイトは、第1ステップにおいて作業者によって手動で取り付けられ、第2ステップにおいて加圧器によってリムにしっかりと押し付けられる。
【0004】
米国特許第8182639号明細書には、ホイール用のウェイト取付装置が開示されている。このウェイト取付装置は、接着剤によってホイールに装着されるバランスウェイトを保持するための概略弓形の外面を有する。このため、対向する面に接着剤を有するバランスウェイトが必要である。
【0005】
バランスウェイト用分配装置およびバランスウェイト分配方法は、国際公開第2013/034399号に開示されている。ここでは、鋼鉄球が組み込まれたプラスチック製バランスウェイトが開示されている。
【0006】
米国特許第5134766号明細書には、強磁性体クリップによってバランスウェイトを保持する自動ウェイト取付機械が開示されている。
【0007】
国際公開第2010/143322号にはバランスウェイトが開示されている。
【0008】
発明の要約
本発明によって解決すべき課題は、バランスウェイトと、バランスウェイト用の取付装置とを改良して、リムへの取り付け中にバランスウェイトの取り扱いを容易することである。さらに、バランスウェイトがあらかじめ設定された位置に正確に取り付けることができれば好都合である。別の目的は、取付装置によるバランスウェイトの取り扱いのコストを低減し、改善されたバランスウェイトの取り扱い方法を提供することである。
【0009】
この課題の解決手段は、独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明のさらなる改良に関するものである。
【0010】
複数のテストによって示されたのは、従来技術から公知のバランスウェイトに対して設定可能な磁力は、今日の取扱装置においてバランスウェイトを保持するのに十分でないことである。サイクル時間が極めて短いことに起因して、高い移動速度および大きな加速度が必要である。これにしたがい、取扱装置に対するバランスウェイトの正確な位置決めおよび大きな保持力が必要である。
【0011】
第1実施形態において、バランスウェイトは、強磁性材料のインレイを備えたバランスウェイト本体部を有しており、この強磁性材料のインレイは好適には長形部材として成形されている。強磁性体インレイは、バランスウェイト本体部の一方の面に配置される接触面を有する。この接触面により、比較的小さな空隙を有する外部磁石と磁気回路を構成することができる。ここで空隙という語は、非磁性材料または空気のような透磁率の小さい任意の材料から構成されることによって比較的に高い磁気抵抗を示す任意の材料からなる間隙のことをいう。接触面にアクセス可能であることに起因して、高い磁束密度を容易に形成することができる。1つの接触面だけを有することが望ましいが、2つまたはそれ以上の接触面を、好適にはバランスウェイトの反対側の面に有することが可能である。1つの接触面で十分であることが示されている。バランスウェイトの設計および機械的安定性に対して生じる影響はごくわずかであるため、これは最善の選択である。
【0012】
有利であるのは、防食のため、および/または、強磁性体インレイを覆うためにバランスウェイトがコーティングされることである。2つの小凹状のコーティングの厚さは数マイクロメートルの範囲であるため、磁束には全くまたはほとんど影響を及ぼさない。
【0013】
別の実施形態において、バランスウェイトは、少なくとも1つの強磁性体インレイを備えた本体部を有する。このバランスウェイトは、チタン、クロム、ニッケル、モリブデン、スズ、亜鉛、タングステン、アルミニウムのうちの少なくとも1つからなる本体部を有する。この本体部はまた、これらの材料のうちの少なくとも1つからなる質量粒子を含有するポリマ、プラスチックまたは合成材料とすることが可能である。この本体部の目的は、バランスウェイトの全質量の大部分を有することである。したがって(インレイを除いた)この本体部は、バランスウェイトの全質量の大部分をなすのに対し、インレイは、バランスウェイトの全質量の小部分をなす。インレイの質量は、本体部の質量よりも小さい。強磁性体インレイにより、強磁性特性が得られ、かつ、取付ヘッドの別の強磁性材料または磁石と相互作用を及ぼし合うことが可能である。インレイは、少なくとも1つの強磁性材料を有する。このような強磁性材料は、鉄、または任意の鉄の合金、混合物または化合物をベースとする金属とすることが可能である。インレイは有利には、バランスウェイトの全質量の50%未満、最も有利には20%未満の質量を有する。さらに有利であるのは、インレイの質量が、バランスウェイトの全質量の10%未満、最も有利には5%未満である場合である。
【0014】
バランスウェイトには、バランスウェイトをホイールのリムに保持するための金属クリップを有するタイプがある。このクリップは鉄または鋼鉄製であることが多く、このため強磁性特性を有する。バランスウェイトを保持するためにこのクリップを使用すると、高い再現性は得られない。その代わりに本発明によれば、バランスウェイト内には、クリップから分離されている強磁性体インレイが設けられる。この強磁性体インレイは、クリップとは機械的な接続も磁気的な接続も有しないようにする。むしろ磁束がクリップによって破断されないかまたは偏向されない箇所に強磁性体インレイを配置する。最も好適にはこの強磁性体インレイは、リムへの取り付け中にバランスウェイトを保持する目的のためだけに設けられる。
【0015】
強磁性体インレイが軟磁性材料であると有利であるが、これは永久磁石材料とすることも可能である。これは、鉄の他にサマリウム、コバルト、ニッケルのうちの少なくとも1つの材料を有し得る。強磁性体インレイは有利には、バランスウェイト本体部内に完全に埋め込まれる。択一的な実施形態において、強磁性体インレイは、バランスウェイト本体における切欠き部を通してまたは切欠き部内に挿入される。この切欠き部は、バランスウェイトにおけるパンチング、ドリル、またはモールディングされた孔とすることが可能である。別の実施形態では、強磁性体インレイを通る磁束を制御するためにこの強磁性体インレイの近傍の、プラスチックのような反磁性材料、または空気または窒素のようなガスをここに設けることができる。強磁性体インレイは、接着剤、グルー、プラスチック材料を用い、形状結合または圧入嵌めまたはこれらの組み合わせによってバランスウェイト内に保持することができる。強磁性体インレイが円筒形またはロッドの短い部分であると有利である。択一的に実施形態において、強磁性体インレイは、円筒形またはロッドの長形部分とすることができる。
【0016】
バランスウェイト本体部内には1つまたは複数の強磁性体インレイを設けることができる。有利にはバランスウェイトの中央部に強磁性体インレイを設ける。択一的な実施形態では、バランスウェイトの外側端部および複数の部分に少なくとも2つの強磁性体インレイを設ける。チェーン式のバランスウェイトでは、各バランスウェイトが強磁性体インレットを有しない。その代わりに2つもしくは4つまたは任意の個数毎のバランスウェイトが強磁性体インレイを有し得る。
【0017】
別の実施形態によれば、ウェイト取付ヘッドは、強磁性体インレイを有するバランスウェイトを保持するための磁石を有する。この取付ヘッドは、永久磁石または電気的な磁石(電磁石)を有し得る。取付ヘッドは、コイルを有することでき、このコイルには、バランスウェイトの強磁性体インレイを保持し、これによってバランスウェイトを保持するための磁場を形成するために電流を流すことができる。
【0018】
別の実施形態によれば、バランスウェイトの取扱方法には、バランスウェイトの近傍に取付ヘッドを移動するステップと、磁力によってバランスウェイトを取付ヘッドに保持するステップと、バランスウェイトと共に取付ヘッドをリムに移動するステップと、取付ヘッドからバランスウェイトを取り外すステップとを有する。
【0019】
別の実施形態において、バランスウェイトの取扱方法にはさらに、バランスウェイトの近傍に取付ヘッドを移動した後、取付ヘッド内の電磁石を使用可能にし、バランスウェイトをリムに移動させた後、取付ヘッド内の電磁石を使用不可にする2つのステップが含まれている。電磁石は、この電磁石のコイルを流れる電流をスイッチオンすることによって使用可能にされる。電磁石は、この電流をスイッチオフすることによって使用不可にされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バランスウェイトの第1実施形態を示す断面図である。
図2】バランスウェイトを上側から見た断面図である。
図3】バランスウェイトのチェーン示す側面図である。
図4】クリップオン式バランスウェイトの別の実施形態を示す図である。
図5】クリップオン式バランスウェイトのさらに別の実施形態を示す図である。
図6】クリップを除いたクリップオン式バランスウェイトの別の実施形態を示す図である。
図7】強磁性体インレイを有するバランスウェイトの断面図である。
図8】強磁性体インレイが埋め込まれたバランスウェイトを示す図である。
図9】強磁性体インレイを保持する切欠き部を底面に有するバランスウェイトを示す図である。
図10】接着式バランスウェイトからなるチェーンを示す図である。
図11】単一の接着式バランスウェイトを示す図である。
図12】バランスウェイトの別の実施形態の側面図である。
図13】変形型切欠き部を有するバランスウェイトの実施形態を示す図である。
図14】さらに別の変形型切欠き部を有するバランスウェイトの実施形態を示す図である。
図15】長形型強磁性体インレイを有するバランスウェイトの平面図である。
図16】長形型強磁性体インレイを有するバランスウェイトの側面図である。
図17】磁石が組み込まれた接着式バランスウェイトを示す図である。
図18】バランスウェイトを保持する取付ヘッドを示す図である。
図19】バランスウェイトを保持する、電磁石を備えた取付ヘッドを示す図である。
図20】バランスウェイトを保持する取付ヘッドの別の実施形態を示す図である。
図21】バランスウェイトを保持する、電磁石を有する取付ヘッドの別の実施形態を示す図である。
図22】バランスウェイトを保持する、電磁石を有する取付ヘッドのさらに別の実施形態を示す図である。
【0021】
図面の説明
以下では、発明の一般的な概念を制限することなく、図面を参照し、複数の実施例に基づいて本発明を例示的に説明する。
【0022】
図1には、バランスウェイトの第1実施形態が、一方の側からの断面図で示されている。このバランスウェイトは、バランシングを行うホイールのリムに接触するように設計された底面を有する。この実施形態において、接触面には接着テープ99が取り付けられている。クリップオン式バランスウェイトの場合には接着テープはない。接触面の反対側は、マークが記載された上面である。おおよそ矩形のバランスウェイトの場合、他に4つの面がある。バランスウェイト本体部92は、好適には長形部材として成形された強磁性材料のインレイ95を有する。最も好適には、このインレイは、上記接触面とほぼ平行である。強磁性体インレイ95は、バランスウェイト本体部の一方の面に配置された接触面94を有する。この接触面により、比較的小さい空隙を有する外部磁石と磁気回路を形成することができる。
【0023】
図2では上の実施形態が、上から見た別の断面図で示されている。
【0024】
図3には、チェーンまたはベルトを構成する複数のバランスウェイトが示されている。これらのバランスウェイトは、共通の1つの接着テープ99に取り付けられている。組み立ての前、その接着テープ部は維持しながら、所要個数のバランスウェイトを上記ベルトから切断または切り離すことができる。ここではまだ複数の強磁性体インレイ95が見える。防食のため、および/または、強磁性体インレイを覆うため、これらのバランスウェイトをコーティングすると有利である。2つの小凹状のコーティングの厚さは、数マイクロメールの範囲であり、これは磁束にまったく影響しないかまたはほとんど影響しない。
【0025】
図4にはクリップオン式バランスウェイトが示されている。バランスウェイト10は、中央部13と、第1翼状部11と、第2翼状部12とを有する。バランスウェイトをホイールのリムに取り付けるためのクリップ16は、バランスウェイトの中央部13に取り付けられている。クリップ16は有利には中央部13に埋め込まれる。取付装置によってバランスウェイトを保持するため、第1強磁性体インレイ14および第2強磁性体インレイ15が設けられている。これらの強磁性体インレイは有利には、鉄、鋼鉄のような強磁性材料が含まれ、または強磁性体粒子が埋め込まれたプラスチックも含まれる。ここで示した強磁性体インレイは、図に示したように上面に向かって配向され、これによって磁石式ウェイト取付装置に対する磁力が改善される。択一的には強磁性体インレイは、ウェイト材料によって、または染料、保護フィルまたは別の任意のコーティングのような別の任意の被覆材料によって覆うこともできる。2つまたはそれ以上の強磁性体インレイを使用することにより、取付ヘッドを基準にしたバランスウェイトの位置を正確に定めることできる。バランスウェイトを安定化させて機械的にガイドを行うための付加的な手段を設けることが可能である。
【0026】
図5にはクリップオン式バランスウェイト10の別の実施形態が示されている。ここでは、有利にはバランスウェイトの中央部に、第1強磁性体インレイ14だけが設けられている。不所望の作用を避けるため、クリップが強磁性特性を有する場合、強磁性体インレイを分離する必要があり、有利には磁気的にクリップ16から分離する必要がある。プラスチッククリップを使用する場合には、このような分離は不要である。
【0027】
図6では、クリップを除いたクリップオン式バランスウェイト20が示されている。ここで示したこのバランスウェイトは、上で示したバランスウェイトに類似している。大きな違いは、クリップが設けられていないことである。リムへのバランスウェイトの取り付けプロセス中、独立したクリップがバランスウェイトおよびリムの上に押し付けられ、これによってバランスウェイトがリムに固定される。クリップを保持するため、凹部21が、有利にはバランスウェイトの中央部に設けられている。ここでも第1強磁性体インレイ14および第2強磁性体インレイ15が設けられている。2つの強磁性体インレイを有する対称的な配置が好ましいが、1つの強磁性体インレイでも機能する。
【0028】
図7には、上で示した複数の実施形態のうちの任意の1つによるバランスウェイト20の断面が示されている。バランスウェイトの上部には第1切り抜き部25を設けることができ、ここには第2強磁性体インレイ15が保持される。この切り抜き部25は、バランスウェイト20のモールディング中に作製することができるか、バランスウェイトに打ち込まれるか、またはドリルで穴開けされるか、別の任意の適当な方法でバランスウェイト20に作製される。この切り抜き部は、強磁性体インレイ15の挿入を容易にするため、面取りされたまたは丸められたエッジを有することができる。第1強磁性体インレイおよび/または別の任意の複数の強磁性体インレイに対して同様の切り抜き部を設けることができる。
【0029】
図8には、強磁性体インレイ15が埋め込まれた別のバランスウェイト30が示されている。この強磁性体インレイは、バランスウェイトの本体にモールディングによって埋め込むことができる。
【0030】
図9には、底面側に切り抜き部45を有するバランスウェイト40が示されている。この切り抜き部には強磁性体インレイが保持される。この切り抜き部には、上で説明したように作製することができ、バランスウェイトは、前に説明したように覆うことができる。
【0031】
図10には、複数の粘着式バランスウェイトからなるチェーン50が示されている。これらのバランスウェイト51,52および53は、好適には、例えばバランスウェイトの下にある共通の1つの粘着テープによってまたはバランスウェイト間の金属製の結合部によって互いに繋がれている。所要の長さの部分が切り取られるバランスウェイトの長いチェーンも考えられる。これらのバランスウェイトはそれぞれ、有利には強磁性体インレイ54,55および56を有する。例えば3片のバランスウェイト51,52および53からなる、繋がれたバランスウェイトの複数の区画が考えられ、これらは互いに固定的に接続される。この場合、これらのバランスウェイトのうちの1つまたは2つのバランスウェイトだけに強磁性体インレイを使用するのが有利である。例えば、隣接する3つの、または隣接するバランスウェイトの別の任意の個数のバランスウェイトの中央のバランスウェイト52だけに1つの磁気インレイを使用することができる。択一的な実施形態では、バランスウェイトのチェーンの最も外側のバランスウェイトに2つの強磁性体インレイを使用することができる。この実施形態においてこれらの最も外側のバランスウェイトは、51および53とすることが可能である。
【0032】
図11には1つの接着式バランスウェイト60が示されている。その中央には強磁性体インレイ65が設けられている。このバランスウェイトには別の任意の個数の強磁性体インレイを設けることができる。
【0033】
図12には、バランスウェイト60の別の実施形態が示されている。ここでは強磁性体インレイは、リムに近いバランスウェイトの底面に配置されている。バランスウェイト60をリムに保持するため、粘着テープ69を設けることができる。強磁性体インレイ65は、切り抜き部64内に配置される。強磁性体インレイとバランスウェイト60本体部との間に間隙66が存在し得る。最も好適な実施形態において、強磁性体インレイは、接着テープ69によってこの切り抜き部内に保持される。別の実施形態では、間隙66内にはグルーまたはセメントのような充填剤があり、これによって強磁性体インレイは、バランスウェイト60本体部にさらに強く保持される。さらに有利であるのは、この間隙が少なくとも1つのフェリ磁性体材料を含むことである。このようなフェリ磁性体材料は、空気、プラスチックまたはこれに類する材料とすることが可能である。強磁性体インレイと直列に少なくとも少量のフェリ磁性材料を有することによって明確な磁束が得られ、したがってバランスウェイトと取付ヘッドとの間の過剰な保持力を回避することができる。これにより、バランスウェイトが取付ヘッドに付着してしまうことを回避することができる。
【0034】
図13には、変形型切り抜き部64を有する別の接着式バランスウェイト60が示されている。ここでは切り抜き部は有利には円錐形であり、有利には適合した円錐形を同様に有する強磁性体インレイが上記切り抜き部に押し込まれる。これにより、強磁性体インレイと接着式バランスウェイトとの間に形状結合が得られる。さらにここには間隙66が存在し得る。有利にはこの間隙の厚さは、3mmと0.1mmとの間である。最も有利にはこの厚さは0.5mmと0.1mmとの間である。
【0035】
図14には、逆円錐形の変形型切り抜き部64を有する別の接着式バランスウェイト60が示されている。これは圧入によって保持される。
【0036】
図15には、長形強磁性体インレイ75を有する粘着式バランスウェイト70が平面図で示されている。
【0037】
図16には、接着テープ79を有する粘着式バランスウェイト70が示されている。このバランスウェイトには、長形強磁性体インレイ75が含まれている。このインレイは、円筒形ロッドの形状を有し得る。この強磁性体インレイは、上で示した実施形態に類似して上面または下面から取り付けることができる。最も有利には、バランスウェイト本体部に埋め込まれる。有利にはバランスウェイトをリムに保持するための接着テープ79が設けられている。
【0038】
図17には、磁石76が組み込まれたバランスウェイト71が示されている。この磁石は、上で示した実施形態に類似して上面または下面から取り付けることができる。最も有利には、バランスウェイト本体部に埋め込まれる。文字NおよびSは、磁石のN極およびS極をそれぞれ示している。これらはその向きを変更することができる。
【0039】
図18には、バランスウェイトは91を保持する取付ヘッド80が示されている。この取付ヘッドは、磁石82を保持する本体部81を有する。ここでは永久磁石が示されている。永久磁石の代わりに磁気コイルを使用することができる。取付ヘッドにおいて磁石82によって形成される磁場により、バランスウェイト91内の長形強磁性体インレイ95を貫通する磁束83が形成される。この磁束は、アーマチュア84によって案内される。この磁束により、強磁性体インレイ75が、したがってバランスウェイト91が取付ヘッド80に保持される。この取付ヘッドを基準にした所定の位置においてバランスウェイトを機械的に保持するための機械的な固定手段89をさらに設けて、このバランスウェイトが取付ヘッドによって保持される場合にこれが回転または傾かないにようにすることができる。固定手段89に依存してまたは固定手段89と共に、取付ヘッドを基準にしたバランスウェイトの配向を磁束の方向によって定めることができる。この実施形態において示した磁束は、長形強磁性体インレイが磁石82に対して強制的に平行になるように試みる。したがってバランスウェイトの明瞭に定められた方向がつねに得られるようになる。
【0040】
図19には、電磁石を有する取付ヘッド80が示されている。この電磁石は、複数の巻線を有するコイル86を有する。これらの巻線は有利には巻型85によって保持される。磁束を一層良好に制御するため、コイル内にアーマチュア84を設けるのが有利である。このアーマチュアは有利には、前の図と同じようにバランスウェイトの両側まで延在している。この場合、上記の永久磁石は、内部のアーマチュア部分によって置き換えられる。磁束83は、前の図に示したように、永久磁石によって形成される磁束と同様である。磁力は、コイルを通る電流を制御することによって制御することができる。これにより、磁力を増大または低減することができる。例えば、バランスウェイトを拾い上げるためには、比較的大きな磁力を使用することができる。搬送中にはこの磁力を低減することができる。バランスウェイトをリムに取り付けた後、取付ヘッドからバランスウェイトを取り外すため、この磁力をゼロに設定することができる。
【0041】
図20には、上に示したようにバランスウェイト60を保持する取付ヘッド80の別の実施形態が示されている。小型かつ長形でない強磁性体インレイだけが設けられる場合、図示のように強磁性体インレイに向かう磁石82の配向を変更するのが有利である。これにしたがい、前の実施形態と比べて磁束83はその配向が変化している。複数の強磁性体インレイがある場合、複数の磁石を使用することができる。
【0042】
図21には、バランスウェイト60を保持するための、電磁石を有する取付ヘッド80の実施形態が示されている。電磁石は、巻型85によって保持される巻線86を有しており、かつ、アーマチュア84によってセンタリングされている。磁束83は、前の実施形態の磁束と同様である。
【0043】
図22には、バランスウェイト90を保持するための、電磁石を有する取付ヘッド80の有利な実施形態が示されている。この電磁石は、巻型85によって保持される少なくとも1つの巻線86を有することができ、かつ、アーマチュア84によってセンタリングされている。磁束83は、アーマチュアから強磁性体インレイに入り、接触面94によってこの強磁性体インレイを離れてアーマチュア84に入る。
【符号の説明】
【0044】
10 クリップオン式バランスウェイト、 11 第1翼状部、 12 第2翼状部、 13 中央部、 14 第1強磁性体インレイ、 15 第2強磁性体インレイ、 16 クリップ、 20 クリップオン式バランスウェイト、 21 凹部、 25 切り抜き部、 30 クリップオン式バランスウェイト、 40 クリップオン式バランスウェイト、 40 切り抜き部、 50 接着式バランスウェイトからなるチェーン、 51,52,53 接着式バランスウェイト、 54,55,56 強磁性体インレイ、 60 接着式バランスウェイト、 64 切り抜き部、 65 強磁性体インレイ、 66 間隙、 69 接着テープ、 70 接着式バランスウェイト、 71 接着式バランスウェイト、 75 長形強磁性体インレイ、 76 磁石、 79 接着テープ
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