(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
本発明に係る第1の実施形態について、
図1〜
図5に基づいて以下に説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置1の内部構成および外観を示す図である。この図の(a)に示すように、端末装置1は、外部筐体2、通信回路4、およびSIM(Subscriber Identify Module)スロット5、およびアンテナ6を備えている。
【0012】
端末装置1は、ユーザが手に持って操作することができ、かつ無線信号による通信機能を有した装置であり、携帯電話機、スマートフォン、またはタブレット型端末などとして実現される。端末装置1は、内蔵されたアンテナ6を通じて無線信号を送受信することによって、インターネットを介して他の通信装置(サーバ等)と無線通信することができる。
【0013】
外部筐体2は、開口部21が形成されている金属部22を有している。金属部22は金属材料によってできており、端末装置1の外周に沿って枠形状で設けられている。金属部22は、端末装置1の外表面に高い剛性を付与する役割を有する。端末装置1が地面に落下するなどして端末装置1に大きい外力が働いたとしても、外部筐体2がその外力を吸収してくれるおかげで、端末装置1の内部部品に対する衝撃を和らげることができる。
【0014】
端末装置1の内部には、端末装置1の各機能を担う各種の内部部品が配置されている。以下では、全ての内部部品のうち、本実施形態に係る端末装置1を説明するために必要ではないものの図示および説明は省略する。
図1には、内部部品の例として、通信回路4、SIMスロット5、およびアンテナ6のみを図示する。
【0015】
通信回路4は、端末装置1における無線通信を担当する電子回路である。通信回路4には、無線通信用のアンテナ6がアンテナ給電点を介して接続されており、通信回路4は、アンテナ6を通じて無線信号を送受信する。
【0016】
SIMスロット5(挿入部)は、端末装置1の内部にSIMカード(着脱可能な部品)を挿入するためのスロットであり、端末装置1の上端部に配置されている。
図1の(b)に示すように、SIMスロット5には、SIMカードを挿入するための挿入口51が設けられている。この挿入口51にSIMカードが挿入された状態において、端末装置1は、規定の通信キャリアを通じて無線通信を行うことができる。
【0017】
図1の(a)および(b)に示すように、金属部22には、SIMスロット5にSIMカードを挿入するための開口部21が形成されている。開口部21は、開口部21をその開口面(
図1の(b)に示す、開口部21の面)から平面視したときにアンテナ6により近い側に開けた凹形状を金属部22が有するように、金属部22に形成されている。開口部21の大きさは、SIMカードを抜き差しできるように、SIMスロット5の側面の大きさ以上である。開口部21は、金属部22における開口部21をその開口面から平面視したとき、端末装置1の内部においてSIMスロット5が配置されている位置に重なっている。
図1の(b)に示すように、ユーザは、開口部21を通じてSIMスロット5を視認することができる。
【0018】
アンテナ6は、
図1の(b)に示すように、端末装置1の内部において、SIMスロット5の上面(背面)に配置されている。すなわちアンテナ6は、開口部21を有する端末装置1の上端部に配置されている。アンテナ6の全体が、開口部21をその開口面から平面視したときに開口部21と重なる位置に配置されている。すなわちアンテナ6は、開口部21の幅内に完全に収まっている。アンテナ6の給電側は、配線を通じて通信回路4に接続されている。
【0019】
なお、以下において、「開口部21をその開口面から平面視したときに開口部21と重なる位置」のことを、単に「開口部21と重なる位置」と表記することもある。
【0020】
以上のように、本実施形態に係る端末装置1は金属製の金属部22を備えているので、充分な剛性を有している。また、アンテナ6は、端末装置1の内部における、SIMカードを抜き差しするための開口部21(すなわち金属部22の凹形状部分における金属が存在しない箇所)と重なる位置に配置されている。これによりアンテナ6と金属部22との間の距離を十分に確保することができるので、端末装置1の良好なアンテナ特性が得られる。すなわち端末装置1は、本体の十分な剛性と、アンテナ6の良好な特性とを兼ね備えている。
【0021】
また、端末装置1では、アンテナ6は、端末装置1を操作するための操作部の近くに配置されているわけではない。したがって、ユーザが端末装置1を操作しているとき、ユーザの指等によってアンテナ6が覆い隠されることがない。これにより端末装置1の剛性を確保しつつ、ユーザによる使用時にも良好なアンテナ6の特性が得られる。
【0022】
端末装置1では、開口部21は、SIMスロット5を設置するために元々必要なものであり、アンテナ6の特性を高めるために外部筐体2に追加で設けられたものではない。すなわち端末装置1では、アンテナ6の特性を高めるための特別な開口部を外部筐体2に設ける必要がないので、端末装置1のデザインを本来のものに維持することができる。
【0023】
図1に示すように、アンテナ6の先端および給電側を含めたその全体が、SIMスロット5上に設けられている。すなわちアンテナ6の全体が、開口部21と重なる位置に収まっている。これにより、アンテナ6の全体が金属部22による影響を受けにくくなる。したがって本実施形態に係る端末装置1では、アンテナ6の一部分のみが、開口部21と重なる位置に配置されている構成に比べて、アンテナ6の特性をより良好にすることができる。
【0024】
アンテナ6の給電側よりも先端側の方が、電波に対する感度が高い。したがって、アンテナ6の一部分を、開口部21と重なる位置に配置する場合、アンテナ6の給電側よりも先端側の方を、開口部21と重なる位置に配置する方が好ましい。開口部21と重なる位置には、アンテナ6の全長のλ÷8に相当する部分が配置されていることが望ましい。ここで、λとはアンテナ6の動作周波数に対応する波長のことである。
【0025】
アンテナ6が端末装置1の端部に近ければ近いほど、端末装置1内にある他の内部部品による影響を受けにくくなるので、アンテナ6の特性をより良好にすることができる。したがってアンテナ6は、できるだけ開口部21に近い位置に配置されていることが好ましい。特に、アンテナ6の先端側が、開口部21からλ÷16以下の位置に配置されていれば、アンテナ6に対する金属部22の影響がほぼなくなるので好ましい。
【0026】
端末装置1の内部においてアンテナ6が配置される位置は、必ずしも、開口部21と重なる位置に限定されない。アンテナ6は、端末装置1内に存在する、任意の着脱可能な部品を挿入するための任意の挿入部における任意の面に配置されていればよい。ただし、外部筐体2における、この挿入部に対応する位置に、金属部22の形状をよりアンテナに近い側に開いた凹形状にする開口部が設けられている必要がある。このような挿入部には、たとえば、ジャック部、SDカードスロット、またはUSBメモリスロットが含まれる。
【0027】
(カバー7の利用)
外部筐体2には、端末装置1の内部を保護するための、開口部21を開閉可能なカバー7を装着してもよい。
図2は、外部筐体2にカバー7が装着された端末装置1を示す図である。カバー7の材料は、たとえば樹脂などの絶縁性の物質である。
図2の(b)に示すように、カバー7におけるSIMスロット5の挿入口51に対応する位置には、挿入口71が設けられている。外部筐体2にカバー7が装着されていても、ユーザは、挿入口71を介してSIMカードをSIMスロット5の挿入口51に挿入することができる。
【0028】
カバー7が絶縁性であるで、開口部21がカバー7によって塞がれていたとしても、アンテナ6を通じて送受信される電波がカバー7によって阻害されることはない。したがって、カバー7が端末装置1に装着されていても、アンテナ6の特性は良好なままである。
【0029】
カバー7の材料は、たとえば金属などの導電性の物質であってもよい。導電性のカバー7は、外部筐体2への装着時に外部筐体2と直接接してはならない。たとえば、金属製のカバー7の周囲に樹脂性の枠を設け、この枠が外部筐体2に接する形でカバー7を外部筐体2の開口部21に装着すればよい。この構成でも、樹脂製の枠はアンテナ6を通じた電波の送受信を妨害しないので、アンテナ6の特性を良好な状態に維持することができる。
【0030】
カバー7の大きさを調整することによって、外部筐体2における開口部21の大きさを制御することができる。開口部21をSIMスロット5よりも大きくすることによって、すなわち、金属部22における凹形状部分に含まれている切り欠き(金属欠落部分)をSIMスロット5よりも大きくことによって、アンテナ6の特性をさらに良好にすることができと共に、大きな開口部21をカバー7によって隠せるので端末装置1のデザイン性を損なわずに済む。
【0031】
本実施形態に係る端末装置1におけるアンテナ6の配置は、
図1に示すものに限定されない。アンテナ6の少なくとも一部分でも、開口部21と重なる位置に配置されていれば、アンテナ6の特性を良好にすることができる。以下に、アンテナ6の異なる3つの配置例について、
図3〜
図6を参照してそれぞれ説明する。
【0032】
(アンテナ6の第2の配置例)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置1における、アンテナ6の第2の配置例を示す図である。この図に示す端末装置1では、開口部21と重なる位置に、アンテナ6の全体ではなくその一部分が配置されている。アンテナ6の先端および給電側はいずれも開口部21と重なる位置の外部にある。しかしアンテナ6の中央部分は、開口部21と重なる位置に配置されている。これにより、アンテナ6の中央部に対する金属部22による影響を低減できるので、アンテナ6の特性を良好にすることができる。
【0033】
(アンテナ6の第3の配置例)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置1における、アンテナ6の第3の配置例を示す図である。この図に示す端末装置1では、アンテナ6は、端末装置1の端部ではなく、当該端部から一定の距離を置いた端末装置1の内部領域に配置されている。アンテナ6の全体が開口部21と重なる位置に配置されている点は、
図1に示す構成と同様である。このような構成であっても、アンテナ6の近傍に開口部21(すなわち凹形状部分内の切り欠け)が存在することによって、アンテナ6と金属部22との距離を確保することができるので、アンテナ6の特性を良好にすることができる。
【0034】
(アンテナ6の第4の配置例)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置1における、アンテナ6の第4の配置例を示す図である。この図に示す端末装置1は、2つのアンテナ6a,6bを備えている。アンテナ6aおよびアンテナ6bは、それぞれ、たとえば800MHz帯用アンテナおよび2GHz帯用アンテナである。アンテナ6aの長さはアンテナ6bと異なる。
【0035】
アンテナ6aは、その先端部が端末装置1の上端部側になるように配置されている。また、アンテナ6aの先端部の一部分が、開口部21と重なる位置に配置されている。アンテナ6aは、アンテナ給電点を介しかつ回線を通じて通信回路4に接続されている。
【0036】
アンテナ6aと同様に、アンテナ6bは、その先端側が端末装置1の上端部側になるように配置されている。また、アンテナ6bの先端側の一部分が、開口部21と重なる位置に配置されている。アンテナ6bは、アンテナ給電点を介しかつ回線を通じて通信回路4に接続されている。
【0037】
以上のように、
図4に示す端末装置1では、アンテナ6aの少なくとも一部分と、アンテナ6bの少なくとも一部分とが、いずれも開口部21と重なる位置に配置されている。したがって第1の実施形態と同様に、アンテナ6a,6bの特性は両方とも良好である。
【0038】
端末装置1が備えるアンテナ6の数は、1つまたは2つに限定されない。端末装置1では、開口部21と重なる位置にその少なくとも一部分が配置されている3つ以上のアンテナ6を備えていてもよい。
【0039】
アンテナ6aおよびアンテナ6bは、
図5に示す800MHz帯用アンテナおよび2GHz帯用アンテナに限らず、別の帯域用のアンテナであってもよい。すなわち、端末装置1に備えられるアンテナは、無線通信用のアンテナであれば、どのような用途のものであってもよい。
【0040】
また、アンテナ6aおよびアンテナ6bは、同じ通信回路4ではなく、異なる通信回路にそれぞれ接続されていてもよい。
【0041】
〔実施形態2〕
本発明に係る第2の実施形態について、
図6に基づいて以下に説明する。なお、上述した第1の実施形態と共通する各部材には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0042】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る端末装置1の内部構成を示す図である。この図に示すように、本実施形態に係る端末装置1は、
図5に示す端末装置1が備える各部材に加えて、通信回路4とは異なる第2の通信回路41をも備えている。また、本実施形態の端末装置1では、金属部22がアンテナ6a,6bとは異なる第2のアンテナとして機能する点が、
図5に示す端末装置とは異なっている。金属部22が第2のアンテナとして機能することを示すために、
図6ではアンテナ6a,6bと同じ斜線のハッチングを金属部22に対して付している。
【0043】
本実施形態の端末装置1では、2つのアンテナ6a,6bが、第1のアンテナとして、配線を介して通信回路4に電気的に接続されている。一方、金属部22が、第2のアンテナとして動作するように、配線を介して第2の通信回路41に電気的に接続されている。アンテナ6a,6bが、金属部22における凹形状部分内の開口部21と重なる位置に配置されているので、アンテナ6a,6bと金属部22との間に一定の距離を確保できる。その結果、アンテナ6a,6b(第1のアンテナ)と金属部22(第2アンテナ)と間における電波の干渉を抑制することができる。したがって、本実施形態では、アンテナ6a,6bの特性、および、第2のアンテナとしての金属部22の特性の両方ともを良好にすることができる。
【0044】
なお、アンテナ6a,6bと金属部22(第2のアンテナ)とは、異なる通信回路ではなく、同じ通信回路4または41に接続されていてもよい。
【0045】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る端末装置は、
着脱可能な部品(SIMカード)を挿入するための挿入部(SIMスロット5)と、
上記挿入部に上記着脱可能な部品を挿入するための開口部が形成されている金属部を有する外部筐体と、
端末装置の内部における、上記開口部をその開口面から平面視したときに上記開口部と重なる位置に少なくとも一部分が配置されているアンテナとを備え、
上記開口部を上記開口面から平面視したときに上記アンテナにより近い側に開けた凹形状を上記金属部が有するように、上記開口部が上記金属部に形成されていることを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、端末装置は金属部を有する外部筐体を備えているので、充分な剛性を有している。また、端末装置では、アンテナの少なくとも一部分が、開口部と重なる位置に配置されているので、アンテナと金属部との間に一定の距離を確保できる。これにより端末装置のアンテナ特性を良好にすることができる。すなわち端末装置は、本体の充分な剛性とアンテナの良好な特性とを兼ね備えている。
【0047】
また、端末装置では、アンテナは、端末装置を操作するための操作部の近くに配置されているわけではない。したがって、ユーザが端末装置を操作しているとき、ユーザの指等によってアンテナが覆い隠されることがない。これにより端末装置の剛性を確保しつつ、ユーザによる使用時にもアンテナの良好な特性が得られる。
【0048】
本発明の態様2に係る端末装置では、上記態様1において、上記金属部は、上記端末装置の外周に沿って設けられていることが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、端末装置の剛性をより一層高めることができる。
【0050】
本発明の態様3に係る端末装置は、上記態様1または2において、上記開口部を開閉可能なカバーをさらに備えていることが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、端末装置の内部を保護することができる。
【0052】
本発明の態様4に係る端末装置では、上記態様1〜3のいずれかにおいて、上記アンテナの全体が、上記開口部と重なる位置に設けられていることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、アンテナに対する金属部の影響を最小限にできるので、アンテナの特性を最大限に良好にすることができる。`
本発明の態様5に係る端末装置は、上記態様1〜態様4のいずれかにおいて、上記金属部が第2のアンテナとして動作するように、上記第2のアンテナに接続される電子回路(通信回路4,通信回路41)を備えていることが好ましい。
【0054】
上記の構成によれば、アンテナと第2のアンテナとの間における電波の干渉を抑制することができる。したがって、アンテナの特性および第2のアンテナの特性の両方ともを良好にすることができる。
【0055】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0056】
たとえば、金属部22の材質は金属に制限されず、導電性を有する物質であれば何でもよい。
【0057】
また、金属部22のサイズおよび形状は特に制限されるものではない。
【0058】
金属部22は、上述した各実施形態では枠形状となっているが、端末装置1の外周に沿って全体が繋がっている形状に限らず、たとえばスリットなどの金属欠落箇所を有するようは、必ずしも全体が繋がっているわけではない形状であってもよい。また、金属部22は必ずしも枠形状に限らず、外部筐体2の全体が金属部22であってもよく、また、外部筐体の一部分が金属部22であってもよい。
【0059】
アンテナ6は、SIMスロット5の上面に限らず、SIMスロット5の側面など、端末装置1の内部における開口部21と重なる位置であれば、どの面に配置されていてもよい。また、アンテナ6は、セルラ通信用に限らず、GPS(Global Positioning System)、WiFi(Wireless Fidelity、登録商標)、およびDTV(Digital Television)などの無線通信用のアンテナであれば、どのようなものでもよい。
【0060】
SIMスロット5は、端末装置1の上端部に限らず、端末装置1の側面など、抜き差し用の開口部(金属部22の開口部21)を設けることができ、かつ、金属部22の開口部21と重なる位置にアンテナ6を配置することができる場所であれば、端末装置1におけるどの場所に設けられていてもよい。
【0061】
開口部21を設ける場所は、金属部22にアンテナ6により近い側に開けた凹形状部分を設けることができ、かつ、金属部22の開口部21と重なる位置にアンテナ6を配置することができる場所であれば、金属部22の側面に限られない。