(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243022
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/133 20060101AFI20171127BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20171127BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20171127BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20171127BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20171127BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20171127BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20171127BHJP
【FI】
G02F1/133 535
G02F1/13357
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 621E
G09G3/20 611E
F21S2/00 444
F21V23/00 140
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-524958(P2016-524958)
(86)(22)【出願日】2014年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2014064602
(87)【国際公開番号】WO2015186171
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】朝日 啓太
(72)【発明者】
【氏名】高畠 充宏
(72)【発明者】
【氏名】村田 敬
【審査官】
岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/063803(WO,A1)
【文献】
特開2003−131224(JP,A)
【文献】
特開2001−184034(JP,A)
【文献】
特開2013−246379(JP,A)
【文献】
特開2006−106605(JP,A)
【文献】
特開2011−085693(JP,A)
【文献】
特開2002−156950(JP,A)
【文献】
特開2008−268323(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0268238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1/13357
G09G 3/20,3/34,3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PWM調光によってバックライトの輝度制御を行う制御部を有する液晶表示装置であって、
前記バックライトは、互いに異なるタイミングで点灯される1次元的に配置されたn系統(n≧4)のバックライトブロックを備え、
前記n系統のバックライトブロックは、前記バックライトブロックの物理的な並び順とは異なる順序で且つ両端のバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される、液晶表示装置。
【請求項2】
前記n系統のバックライトブロックは、両端以外の隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
n≧5であり、前記n系統のバックライトブロックは、隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記n系統のバックライトブロックは、ブロックA,B,C,Dをこの順序で備え、ブロックA,B,C,Dは、A→B→D→C又はA→C→D→Bの順序で点灯される、請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記n系統のバックライトブロックは、ブロックA,B,C,D,Eをこの順序で備え、ブロックA,B,C,D,Eは、A→C→E→B→D、A→D→B→E→C、A→B→D→E→C、又はA→C→E→D→Bの順序で点灯される、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、高輝度領域ではDC調光のみによって前記バックライトの輝度制御を行い、前記高輝度領域よりも輝度設定値が小さい低輝度領域ではDC調光と前記PWM調光の組み合わせによって前記バックライトの輝度制御を行う、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の輝度制御は、通常、バックライトから出力される光の強度を変化させることによって行われる。バックライトからの出力光の強度は、一般に、バックライトに流れる電流をON/OFFするデューティ比を変化させることによって制御される。このような制御方法は、一般にPWM調光と称される。PWM調光は、簡易な回路構成で実現可能であるという利点がある反面、バックライトがON/OFFされるために、特にデューティ比が小さい場合には、画面がチカチカするいわゆるフリッカーが発生するという欠点を有している。
【0003】
このような欠点を補うために、特許文献1では、バックライトを5系統のバックライトブロックに分割し、点灯開始のタイミングをずらして各バックライトブロックを順次点灯させるという、いわゆるフェーズシフト制御を行うことによって、全てのバックライトが同時にON/OFFされる場合に比べてフリッカーを低減することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−225122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されているフェーズシフト制御を行っても、ある程度のフリッカーが残っており、眼精疲労の原因になっている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フリッカーを一層低減することが可能な液晶表示装置、特に、低輝度領域(とりわけ、バックライトブロックが1系統ごとにバラバラに光る領域(4系統の場合であればデューティ比25%未満の領域))でのフリッカー低減効果がより高い液晶表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、PWM調光によってバックライトの輝度制御を行う制御部を有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、互いに異なるタイミングで点灯されるn系統(n≧4)のバックライトブロックを備え、前記n系統のバックライトブロックは、前記バックライドブロックの物理的な並び順とは異なる順序で点灯される、液晶表示装置が提供される。
【0008】
従来技術のフェーズシフト制御では、複数系統のバックライトブロックが一列に並べられ、その並び順に沿って順に点灯させていた。本発明者は、フリッカー低減策を検討するために、バックライトブロックの点灯順序を変更させた場合にフリッカーがどのように変化するのかについての実験を行ったところ、バックライトブロックをその並び順に従って点灯させた場合の結果が最も悪く、それ以外の何れの並び順で点灯させた場合でもフリッカーが低減されるという驚きの結果が得られ、本発明の完成に到った。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記n系統のバックライトブロックは、両端のバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される。
好ましくは、前記n系統のバックライトブロックは、両端以外の隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される。
好ましくは、n≧5であり、前記n系統のバックライトブロックは、隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される。
好ましくは、前記n系統のバックライトブロックは、ブロックA,B,C,Dをこの順序で備え、ブロックA,B,C,Dは、A→B→D→C又はA→C→D→Bの順序で点灯される。
好ましくは、前記n系統のバックライトブロックは、ブロックA,B,C,D,Eをこの順序で備え、ブロックA,B,C,D,Eは、A→C→E→B→D、A→D→B→E→C、A→B→D→E→C、又はA→C→E→D→Bの順序で点灯される。
好ましくは、前記制御部は、高輝度領域ではDC調光のみによって前記バックライトの輝度制御を行い、前記高輝度領域よりも輝度設定値が小さい低輝度領域ではDC調光と前記PWM調光の組み合わせによって前記バックライトの輝度制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態の液晶表示装置のバックライトの構成を示し、(a)は4系統のバックライト、(b)は5系統のバックライトを示す。
【
図3】4系統のバックライトのバックライトブロックの点灯タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図4】4系統のバックライトをデューティ比20%で駆動した場合のフリッカーの測定値の分布を示し、(a)〜(f)は、それぞれパターンa〜fに対応する。
【
図5】5系統のバックライトをデューティ比20%で駆動した場合のフリッカーの測定値の分布を示し、(a)〜(l)は、それぞれパターンa〜lに対応する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0012】
図1を用いて、本発明の一実施形態の液晶表示装置3について説明する。液晶表示装置3は、液晶パネル9と、映像処理回路11と、バックライト13と、バックライト制御回路15と、制御部17と、記憶部19とを備える。
【0013】
映像処理回路11は、外部から入力された映像信号に基づいて、液晶パネル9に最適な信号への変換処理を行い、変換により得られた液晶パネル映像信号を出力する。バックライト制御回路15は、バックライトを駆動する電圧をバックライト13に印加し、制御部17から入力されたバックライト制御信号に従って、バックライト13に流れる電流を出力する。バックライト制御信号は、PWM調光の場合はバックライト13に流れる電流をON/OFFするデューティ比を制御する信号であり、DC調光とPWM調光の組み合わせの場合には、デューティ比及びバックライト13に流す電流量を制御する信号である。バックライト13は、バックライト制御回路15から出力されたバックライト駆動電流によって駆動されて可視光を出力する。ユーザーは、図示しない輝度設定値操作部を操作して設定した輝度設定値に応じて、バックライト制御回路15に出力電流を調整させて、バックライト13の輝度を調整することができる。液晶パネル9は、映像処理回路11から入力された液晶パネル映像信号と、バックライト13が出力した可視光により、映像を表示する。制御部17は、CPU及び各種メモリにより構成される。そして、制御部17の動作は、プログラムの形式で記録部19に記憶されており、このプログラムをCPUが読み出して実行することによって本実施形態の処理が行われる。
【0014】
バックライト13の種類は、特に限定されず、蛍光管タイプとLEDタイプのどちらであっても本発明の効果を得ることができるが、LEDタイプの場合は、残光時間が短いため、フリッカーが顕著に現れやすいので、本発明は、バックライト13がLEDタイプである場合に、より好適に適用される。また、本発明は、バックライト13の光源の配置が、エッジライト方式の場合に、好適に適用される。以下の説明では、LEDが表示画面の端部に配置されたエッジライト方式の液晶表示装置3を例に挙げて説明を進める。
【0015】
バックライト13は、
図2(a)〜(b)に示すように、ベース13a上に一列に並べて配置された多数のLED13bと、LED13bに隣接して配置された導光板13cとを備える。導光板13cは、液晶表示装置3の表示画面に対応した位置に配置され、LED13bからの光は、導光板13cによって表示画面全体に広げられる。
【0016】
バックライト13が
図2(a)に示すように4系統のブロックA,B,C,Dに分けられる場合、ブロックA,B,C,Dは、
図3(a)〜(d)に示すように、互いに異なるタイミングで点灯される。従来技術では、ブロックA,B,C,Dは、
図3(a)に示すように、その物理的な並び順と同じ順序で、つまり、A→B→C→Dの順序で点灯されていた。
図3(a)は、デューティ比が20%である例であるので、各ブロックは、1周期の20%の時間(図中のONで示す時間)だけ点灯し、残りの時間(図中のOFFで示す時間)は消灯している。また、あるブロックが点灯してから次のブロックが点灯するまでの時間は、4系統のバックライト13では、1/4周期(1周期の25%の時間)であるので、
図3(a)の例では、あるブロックが消灯してから次のブロックが点灯するまでの1周期の5%の時間は、何れのブロックも点灯していない状態となる。従って、
図3(a)に示す従来の点灯制御では、デューティ比が20%であるにも関わらず、1周期の80%の時間は何れかのブロックが点灯していることとなり、1周期における合計20%の消灯時間は、それぞれのブロックの点灯後に4回(5%)に分けて発生するため、フリッカーが抑制されている。
【0017】
本実施形態では、
図3(b)〜(d)に示すように、ブロックA,B,C,Dの点灯順序を制御することによって、フリッカーをさらに抑制している。具体的には、ブロックA,B,C,Dは、
図3(b)〜(d)に示すように、A→B→C→Dの順序以外の順序で点灯されており、後述する実施例で示すように、その全てにおいて、A→B→C→Dの順序で点灯した場合よりもフリッカーが抑制されるという驚きの結果が得られた。さらに、
図3(d)のように、両端のブロックA,Dが連続して点灯される場合よりも、
図3(b)〜(c)にように両端のバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される場合に、フリッカーがさらに抑制されるという結果が得られた。
【0018】
また、バックライト13が
図2(b)に示すように5系統のブロックA,B,C,D,Eに分けられる場合でも、4系統の場合と同様に、5系統のブロックA,B,C,D,Eの並び順以外の順序、つまりA→B→C→D→E以外の順序でブロックA,B,C,D,Eを点灯することによって、A→B→C→D→Eの順序で点灯した場合よりもフリッカーが抑制されるという結果が得られた。また、5系統の場合も、4系統の場合と同様に、両端のバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される場合に、フリッカーがさらに抑制されるという結果が得られた。また、両端以外の隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される場合に特にフリッカーが抑制されることが分かった。より詳しくは、両端以外のバックライトブロックは、ブロックB,C,Dであるので、B→C、C→B、C→D、D→Cの順序での点灯が含まれない点灯順序が好ましいことが分かった。このような点灯順序としては、A→C→E→B→D、A→D→B→E→C、A→B→D→E→C、及びA→C→E→D→Bが挙げられる。また、隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯される場合に特にフリッカーが抑制されることが分かった。つまり、A→B、B→A、D→E、E→Dの順序での点灯も含まれない点灯順序が好ましいことが分かった。このような点灯順序としては、A→C→E→B→D、及びA→D→B→E→Cが挙げられる。
【0019】
上記結果から、バックライト13が互いに異なるタイミングで点灯されるn系統(n≧4)のバックライトブロックを備える場合、これらn系統のブロックを、その物理的な並び順とは異なる順序で点灯することによってフリッカーが抑制され、両端のバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯することによってフリッカーがさらに抑制されることが分かった。さらに、n系統のブロックを、両端以外の隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯することによってフリッカーがさらに抑制されることが分かった。さらにn系統のブロックを、隣接するバックライトブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯することによってフリッカーがさらに抑制されることが分かった
【0020】
本実施形態でのPWM調光のデューティ比は、特に限定されないが、デューティ比が小さいほどフリッカーが目立ちやすいので、デューティ比が小さい場合ほど、本実施形態の効果も顕著に現れる。特に、全てのブロックが同時に消灯される瞬間がある場合(バックライトが1系統ずつバラバラに光る場合)に、フリッカーが特に目立ちやすいので、そのような場合に、本実施形態の効果が特に顕著に現れる。従って、バックライト13がn系統(n≧4)のバックライトブロックを備える場合、デューティ比が100/n(%)未満(4系統であれば25%未満、5系統であれば20%未満)の場合、好ましくは(100/n)×0.8(%)未満の場合に、本実施形態のPWM調光が好適に適用される。
【0021】
また、PWM調光の周波数は、特に限定されないが、例えば100Hz〜1000Hzであり、200〜1000Hzが好ましく、200〜500Hzがさらに好ましい。この周波数が小さすぎると、本実施形態を適応してもフリッカーが目立ちやすくなり、この周波数が大きすぎるとPWMの最小デューティが制限され、暗くしにくくなる、という問題が生じやすい。
【0022】
ところで、バックライト13に供給する電流量を変化させることによって輝度制御を行うDC調光では、原理上、フリッカーが発生しない。従って、フリッカー抑制という観点からはPWM調光よりもDC調光の方が好ましい。しかし、バックライト13に供給する電流量と、バックライト13から出力される光強度の関係は、供給電流量が多い場合には安定しているが、供給電流量の減少に伴って不安定になる。また、供給電流量の減少に伴って、色度が変化して、バックライトが白色から幾分ずれる(バックライトは常に白色でなければならない。)場合がある。バックライト13がLEDタイプの場合にはその傾向が顕著である。
【0023】
以上の観点から、DC調光の欠点を抑制しつつその利点を活用すべく、高輝度領域ではDC調光によってバックライト13の輝度制御を行い、高輝度領域よりも輝度設定値が小さい低輝度領域ではDC調光とPWM調光の組み合わせによってバックライト13の輝度制御を行い、該PWM調光において、本実施形態の点灯順序となるように制御部17を構成することが好ましい。例えば、高輝度領域と低輝度領域の閾値となる輝度設定値を20%とすると、輝度設定値が30%の場合は、DC調光のみによってバックライト13の輝度制御が行われる。一方、輝度設定値が10%の場合、例えば、DC調光によってバックライト13の出力を1/5にし、かつPWM調光でデューティ比を50%にすることによってバックライト13の出力をさらに1/2にすることによって輝度設定値に従った輝度が達成される。このように、DC調光と本実施形態を採用したPWM調光を組み合わせることによって、輝度設定値が小さい場合でも、PWM調光のデューティ比を比較的大きくすることができ、また、デューティ比を小さくせざるを得ない場合でも、デューティ比が100/n(%)未満の場合のフリッカー低減効果が特に高いので、フリッカーが一層抑制される。
【実施例】
【0024】
1.フリッカー計測実験(4系統)
図2(a)に示すような4系統のバックライト13のブロックA,B,C,Dを表1に示すパターンa〜fの点灯順序で点灯させ、
図2(a)中の測定点1〜9でフリッカーを測定した。測定点1〜9は、表示画面を上下方向及び左右方向にそれぞれ8等分したときの、1:左上、2:上端中央、3:右上、4:左端中央、5:中央、6:右端中央、7:左下、8:下端中央、9:右下、にある交点上の点である。フリッカーは、輝度・フリッカー計測器(コニカミノルタ製、型式:CA-210)、及びフリッカー測定プローブ(コニカミノルタ製、型式:CA-P12)を用いて測定した。PWM調光の周波数は、100Hzとした。温度及び湿度は、常温常湿とした。また、測定は、暗室ではない通常のオフィス環境で行った。
【0025】
パターンa,fでは、点灯順序がブロックの物理的な並び順に一致しているので、「並び順点灯」の列を○にしている。パターンa,c,e,fでは、A→D又はD→Aの順序で連続して点灯されているので、「両端連続」の列を○にしている。また、パターンa,c,e,fでは、B→C又はC→Bの順序で連続して点灯されているので、「両端以外の隣接ブロック連続点灯」の列を○にしている。
【0026】
【表1】
【0027】
フリッカー測定の結果を表2〜表4に示す。表2〜表4には、輝度・フリッカー計測器に表示された最高値を記載した。表2〜表4は、それぞれ、デューティ比80%、50%、20%の場合の結果を示す。また、表4の内容を図示したものを
図4に示す。表2〜表4中でAVEは、9点の測定値の平均値を示す。MINは、9点の測定値の最小値を示す。ΔAVE及びΔMINは、それぞれ、パターンaでのAVE,MINの値に対する相対値を示す。パターンaは、従来と同様の、バックライトブロックの物理的な並び順と同じ順序での点灯順序であるので、ΔAVE及びΔMINは、点灯順序変更によるフリッカー低減効果を示している。
【0028】
表2〜表4を参照すると、デューティ比80%、50%、20%の何れの場合であっても、パターンa,fの場合のAVEがそれ以外のパターンよりも大きかった。また、パターンb,c,d,eは、AVEの値は大きく異ならないが、パターンb,dでは、MINの値がパターンc,eよりもはるかに小さかった。以上より、ブロックの物理的な並び順以外の順序で点灯することによってフリッカーが抑制され、両端のブロックが連続して点灯されることがない順序で点灯することによってフリッカーがさらに抑制されることが分かった。また、
図4では、色が薄い部分のほどフリッカーの測定値が小さいことを示しており、パターンb,dにおいては、特に中央部近傍において色が薄くなっており、ユーザーが気になりやすい画面中央部において、フリッカーが顕著に低減されていることが分かる。
【0029】
また、表2〜表4のAVE及びMINの行を参照すると、デューティ比が小さくなるほど、フリッカーが大きくなる傾向があることが分かる。また、表2〜表4のΔAVE及びΔMINを参照すると、ΔAVE及びΔMINはデューティ比が小さい場合ほど大きな負の値になっていることから、デューティ比が小さい場合ほど、本発明によるフリッカー抑制効果が高いことが分かる。特に、デューティ比20%では、バックライトブロックが1系統ずつ点灯しているために、パターンaでのAVE及びMINが非常に大きな値となっており、かつパターンb〜eでのΔAVE及びΔMINが非常に大きな負の値になっていることからパターンb〜eを適用することによってフリッカーが顕著に抑制されていることが分かる。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
2.フリッカー計測実験(5系統)
図2(b)に示すような5系統のバックライト13のブロックA,B,C,D,Eを表5に示すパターンa〜lの点灯順序で点灯させ、
図2(b)中の測定点1〜9でフリッカーを測定した。測定点1〜9は、
図2(a)と同様の位置の点である。フリッカーの測定条件は、4系統の場合と同様である。
【0034】
パターンa〜lの中には、例えば、「A→E→D→C→B→A」という点灯順序が現れない。その理由は、「A→E→D→C→B→A」は、「E→D→C→B→A→E」と等価であり、この点灯順序は、5系統のブロックを右から順にA,B,C,D,Eと命名した場合、「A→B→C→D→E→A」となり、パターンaと同一になる。5系統のブロックを右から順に命名するか、左から順に命名するかで結果に影響はないので、評価を簡潔に行うために「A→E→D→C→B→A」のようにパターンa〜lの何れかと対称なパターンは表5に含めていない。
【0035】
パターンaでは、点灯順序がブロックの物理的な並び順に一致しているので、「並び順点灯」の列を○にしている。パターンa,c,g,i,k,lでは、A→E又はE→Aの順序で連続して点灯されているので、「両端連続」の列を○にしている。また、パターンd,j以外のパターンでは、B→C、C→B、C→D、D→Cの順序での点灯が含まれているので、「両端以外の隣接ブロック連続点灯」の列を○にしている。また、パターンdでは、A→BとD→Eの順序での点灯が含まれているので、「隣接ブロック連続点灯」の列を○にしている。
【0036】
【表5】
【0037】
フリッカー測定の結果を表6に示す。表6は、デューティ比20%の場合の結果を示す。また、表6の内容を図示したものを
図5に示す。
図5の各図の上下左右の方向は、
図4と同様である。表6中のAVE、MIN、ΔAVE、及びΔMINの意味は、4系統の場合と同様である。
【0038】
表6を参照すると、並び順点灯であるパターンaでは、AVEがそれ以外のパターンよりも大きかった。この結果は、5つのブロックをその物理的な並び順で点灯させないことによってフリッカーを抑制可能であることを示している。また、両端連続点灯であるパターンc,g,i,kでは、MINの値がその以外のパターンよりも大きく、両端連続点灯であるパターンlでは、一番目立ちやすい画面中央部でのフリッカーの値が非常に大きくなっている。これらの結果は、両端のブロックを連続して点灯させないことによってフリッカーを抑制可能であることを示している。さらに、パターンd,jでは、両端以外のブロックB,C,Dにおいて、隣接するブロックを連続点灯させていないために、MINの値が非常に小さくなった。さらにパターンjでは、隣接するブロックを連続点灯させていないために、MINの値が特に小さくなった。また、
図5では、色が薄い部分のほどフリッカーの測定値が小さいことを示しており、パターンd,jにおいては、特に中央部近傍において色が薄くなっており、ユーザーが気になりやすい画面中央部において、フリッカーが顕著に低減されていることが分かる。
なお、パターンdの点灯順序は、「A→C→E→D→B」と対称であり、パターンjの点灯順序は、「A→D→B→E→C」と対称である。従って、「A→C→E→D→B」は、パターンdと同様にフリッカーが抑制されることが期待され、「A→D→B→E→C」は、パターンjと同様にフリッカーが抑制されることが期待される。
【0039】
【表6】