特許第6243025号(P6243025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243025
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電気液圧式アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20171127BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20171127BHJP
   F16D 28/00 20060101ALI20171127BHJP
   F16D 25/08 20060101ALI20171127BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20171127BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20171127BHJP
   F04B 9/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F16H25/20 F
   B60T13/138 Z
   F16D28/00 Z
   F16D25/08 C
   F16H25/24 A
   F16H25/20 E
   F16H1/16 Z
   F04B9/02 C
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-526514(P2016-526514)
(86)(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公表番号】特表2016-525661(P2016-525661A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2014064225
(87)【国際公開番号】WO2015007535
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】102013213888.1
(32)【優先日】2013年7月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コーラー
(72)【発明者】
【氏名】ハートムート クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】リュカ デュリ
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−184699(JP,A)
【文献】 特表2015−502886(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083039(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0176652(US,A1)
【文献】 米国特許第04850650(US,A)
【文献】 特開2002−070901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/16、19/00−37/16、48/00
B60T 13/00−13/74
F16D 25/08、28/00、49/00−71/04
F04B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気液圧式アクチュエータ(100)であって、
圧式のピストン(115)と、
ピンドル(145)及びナット(150)を備え、前記ピストン(115)を回転軸線(175)に沿って移動させるスピンドルドライブ(140)と、
記ナット(150)に同軸に取り付けられたウォームホイール(170)と、
記ウォームホイール(170)に噛み合うウォーム(165)を備える電気モータ(130)と、
記ナット(150)を支持するラジアル軸受(155)と、
記スピンドル(145)を回転不能に固定するための一腕式の回転防止装置(185)と
を備え、
記ウォームホイール(170)に接する前記ウォーム(165)の作用点(205)と、前記回転防止装置(185)の作用方向との間には、前記回転軸線(175)に関連する所定の角度(β)が形成されている
アクチュエータ(100)において、
記角度(β)は、前記ナット(150)に所定のトルクが作用した場合に前記ピストン(115)に作用する半径方向の力が最小化されるように選択されている
ことを特徴とする、アクチュエータ(100)。
【請求項2】
前記ラジアル軸受(155)は、前記回転軸線(175)に対する前記ナット(150)の所定の傾倒を許容する
請求項1記載のアクチュエータ(100)。
【請求項3】
前記ラジアル軸受(155)は、軸方向で、前記ナット(150)と前記回転防止装置(185)との間に配置されている
請求項1又は2記載のアクチュエータ(100)。
【請求項4】
前記角度(β)は、前記スピンドル(145)の所定の軸方向位置に関連して決定されている
請求項1から3のいずれか一項記載のアクチュエータ(100)。
【請求項5】
前記角度(β)は、前記ウォーム(165)と前記ウォームホイール(170)との間の所定の摩擦係数(μ)に関連して決定されている
請求項1から4のいずれか一項記載のアクチュエータ(100)。
【請求項6】
前記ナット(150)に作用する前記トルクは、前記ピストン(115)に軸方向(x,z)に作用する最大の力によって決定されている
請求項1から5のいずれか一項記載のアクチュエータ(100)。
【請求項7】
前記半径方向の力Fピストンは下記式によって表され、
【数1】
但し、
x_回転防止装置=F回転防止装置×sinα、
z_回転防止装置=F回転防止装置×cosα、
y_回転防止装置=F回転防止装置×μ、
μ=滑り摩擦係数、
y方向は、前記回転軸線(175)に対して平行な方向であり、z方向は、前記電気モータ(130)のシャフトに対して平行な方向であり、x方向は、y方向とz方向とに垂直な方向であり、
α=180−βであり、
半径方向の力Fピストンの最小化のため、以下の力及びモーメントの関係式を用い、すなわち、
ΣF=−Fx_ピストン−Fx_ねじ歯車−Fx_軸受+Fx_回転防止装置=0、
ΣF=−Fy_ピストン−Fy_ねじ歯車+Fy_軸受−Fy_回転防止装置=0、
ΣF=Fz_ピストン+Fz_ねじ歯車+Fz_軸受+Fz_回転防止装置=0、
ΣM=Fz_ピストン(a+b)+Fz_ねじ歯車b−Fz_軸受c+Fy_回転防止装置esinα=0、
ΣM=−Fz_ねじ歯車d+F回転防止装置e=0、
ΣM=Fx_ピストン(a+b)+Fx_ねじ歯車b−Fy_ねじ歯車d+Fx_回転防止装置c+Fy_回転防止装置ecosα=0、を用い、
但し、
aは、前記ピストン(115)に接する前記スピンドル(145)の作用点と、前記ウォームホイール(170)に接する前記ウォーム(165)の作用点との間の軸方向距離、
bは、前記ウォームホイール(170)に接する前記ウォーム(165)の作用点と、前記ラジアル軸受(155)との間の軸方向距離、
cは、前記ラジアル軸受(155)と、前記回転防止装置(185)との間の軸方向距離、
dは、前記ウォーム(165)と前記ウォームホイール(170)との間の作用点と、前記回転軸線(175)との半径方向距離、
eは、前記回転軸線(175)と、前記回転防止装置(185)の中間支持点との間の半径方向距離、をそれぞれ表し、
以下の大きさを既知として、すなわち、
最大で作用するピストン力Fy_ピストン
最大で作用する噛み合い力Fx_ねじ歯車、Fy_ねじ歯車、Fz_ねじ歯車
滑り摩擦係数μ、
構造空間比a,b,c,d,e、
を既知として、αを複数の異なる値に設定して、以下の大きさに関連して、すなわち、
x_ピストン
z_ピストン
回転防止装置
x_軸受
y_軸受
z_軸受
に関連して、上記力及びモーメントの関係式を解き、Fx_ピストン及びFz_ピストンが最小化されるαを選択する、
請求項1から6のいずれか一項記載のアクチュエータ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気液圧式アクチュエータに関する。本発明は、特に自動車に搭載された液圧システムを操作するためのアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されたシステム、例えばクラッチ装置又はブレーキ装置に搭載されたシステムは、液圧式に操作することができる。内燃機関によって駆動される通常の自動車の場合には、内燃機関に結合されたポンプによって液圧を供給することができる。往々にして、この液圧を内燃機関に依存せずとも供給できることが望まれる。例えば、電気自動車又はハイブリッド車の場合には、ポンプを駆動するために自動車用の駆動機器からトルクが供給されること、又は、負圧式ブレーキブースタを支援するために吸気管によって負圧が供給されることを、必ずしも前提にできるわけではない。
【0003】
電気液圧式アクチュエータは、電気駆動部及び液圧ポンプを含む。電気駆動部は、液圧ポンプに作用し、この液圧ポンプは、例えばクラッチ又はブレーキを操作するための流体の液圧を供給する。1つの実施形態では、ピストンを備える液圧シリンダを含む軸流ポンプが使用され、このピストンは、スピンドルドライブによって軸方向に操作することができる。スピンドルドライブは、スピンドル及びナットを含む。スピンドルは、回転防止装置によって回転不能に固定されており、ナットは、電気モータによって回転可能である。電気モータの回転運動をナットに伝達し、その際に減速するために、例えば、ウォームギヤを使用することができる。
【0004】
ナットとスピンドルとの間における不可避の摩擦や、ナットにおける噛み合い力により、電気モータの動作時にはトルクのみならず傾倒力もナットに作用する。これによって半径方向の力がピストンに伝達され、この半径方向の力によってピストンがシリンダ壁に押し付けられることがある。これにより、ピストン又はピストンシーリングの摩耗が増大するおそれがある。特に、ブレーキシステム用の電気液圧式アクチュエータのような安全上重要なシステムの場合には、アクチュエータの完全な性能を、長期の動作期間に亘っても保証することが重要となりうる。
【0005】
従って、本発明の課題は、ピストンの摩耗が低減された電気液圧式アクチュエータを提供することである。この課題は、本発明によれば、独立請求項に記載の特徴を有する電気液圧式アクチュエータによって解決される。従属請求項は、好ましい実施形態を示す。
【0006】
本発明の開示
電気液圧式アクチュエータは、液圧式のピストンと、スピンドル及びナットを備え、前記ピストンを回転軸線に沿って移動させるスピンドルドライブと、前記ナットに同軸に取り付けられたウォームホイールとを含む。さらには、前記ウォームホイールに噛み合うウォームを備える電気モータが設けられている。前記ナットは、軸受によって半径方向及び軸方向に支持されており、さらには、前記スピンドルを回転不能に固定するために一腕式の回転防止装置が設けられている。前記ウォームホイールに接する前記ウォームの作用点と、前記回転防止装置の作用方向との間には、前記回転軸線に関連する所定の角度が形成されている。前記角度は、前記ナットに所定のトルクが作用した場合に前記ピストンに作用する半径方向の力が最小化されるように選択されている。
【0007】
前記角度を適切に選択することにより、電気モータによって引き起こされるスピンドルに対する傾倒力を、部分的又は完全に補償することが可能となる。ピストンに作用する半径方向の力を最小化することにより、液圧シリンダに対するピストン又はピストンのシーリング材の摩耗を低減することが可能となる。従って、頻繁な操作の後でもアクチュエータの性能を保証することができる。ピストンとシリンダとの間での漏出を低減することができ、アクチュエータによって供給された液圧を、比較的長期の動作期間が経過した後でも保証することができる。
【0008】
ピストン又はスピンドルを半径方向に支持するために、第2の軸受を使用する必要はない。これによって重量及び構造空間を削減することができ、従って、アクチュエータをよりコンパクトかつ軽量に構成することができる。さらには、第2の軸受が不要であることによって製造コストを削減することができる。
【0009】
1つの実施形態では、前記ラジアル軸受は、前記回転軸線に対する前記ナットの所定の傾倒を許容する。回転軸線に対するスピンドルの傾倒角度は、軸受によって制限することができる。この傾倒角度によって、ピストンと場合によってはピストンを包囲するシリンダとを含む液圧ユニットと、スピンドルを備える伝動装置ユニットとの間の軸のずれ又は角度誤差を補償することができる。アクチュエータの個々の構成部品の許容公差を大きくすることができ、これによって製造コストを削減することができる。さらには、クリアランスが補償されることにより、アクチュエータの動作時における摩耗を低減することができる。ラジアル軸受は、例えば有利には転がり軸受として、特にラジアル深溝玉軸受として構成することができる。このようにして、スピンドルの傾倒可能性を制限するために、高性能かつ低摩耗の規格部品を使用することができる。
【0010】
別の1つの好ましい実施形態では、前記ラジアル軸受は、前記ナットと前記回転防止装置との間に軸方向に配置されている。これによって、アクチュエータの構造をコンパクトにすることができる。さらには、アクチュエータにおける複数の力をより良好に互いに調整して、互いに相殺することができる。
【0011】
さらには好ましくは、前記角度は、前記スピンドルの所定の軸方向位置に関連して決定されている。ピストンと、スピンドルの傾倒点との間の効果的なレバーは、ピストンにおける半径方向の力に影響を与えることができる。スピンドルの位置を考慮することにより、アクチュエータを所定の動作点に合わせることができる。スピンドルの位置は、例えば、アクチュエータが設けられている自動車に搭載されたクラッチ又はブレーキの操作に相応しうる。
【0012】
前記角度は、前記ウォームと前記ウォームホイールとの間の所定の摩擦係数に関連して決定することもできる。摩擦係数は、比較的精確に決定することができ、例えば潤滑剤の使用によって、相異なる動作条件下においても、また、比較的長期の動作時間に亘っても、決定することが可能である。
【0013】
さらに好ましくは、前記ナットに作用する前記トルクは、前記ピストンに軸方向に作用する最大の力によって決定されている。この力は、ピストンによって液圧流体に加えるべき動作圧力又は最大圧力に基づいて決定することができる。ピストンに対する軸方向の力に基づいてトルクを決定することにより、通常の又は最大のシステム負荷の場合に、ピストンにおける半径方向の力が低減されるように、アクチュエータをより良好に設計することができる。
【0014】
図面の簡単な説明
ここで、本発明を、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電気液圧式アクチュエータを示す図である。
図2図1のアクチュエータを別の方向から見た図である。
図3図1及び2のアクチュエータにおける力及びモーメントの線図である。
図4図1及び2のアクチュエータにおける力及びモーメントの別の線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態の詳細な説明
図1は、液圧を供給するための、特に自動車に搭載されたブレーキ又はクラッチを操作するための電気液圧式アクチュエータ100を示す。アクチュエータ100は、液圧モジュール105と、シリンダ110と、シリンダ内に収容されたピストン115とを含む。ピストン115をシリンダ110に対して封止するために、好ましくはピストンリング120又は別の半径方向シーリングが設けられている。シリンダ115内には作動流体125が収容されており、この作動流体125は、ピストン115がシリンダ110内に押し込まれると加圧される。
【0017】
アクチュエータ100はさらに、電気モータ130と、電気モータ130の動きを液圧モジュール105に変換するための伝動装置ユニット135とを含む。伝動装置ユニット135は、スピンドル145及びナット150を含むスピンドルドライブ140と、ラジアル軸受155と、ウォーム165及びウォームホイール170を含むウォームギヤ160とを含む。ウォーム165は、ウォームホイール170に噛み合う。電気モータ130の回転軸線は、図平面に対して所定の角度を形成しており、従って、ウォームホイール170に接するウォーム165の作用点は、図1では観察できない。ウォームホイール170は、ナット150に同軸に形状結合(形状による束縛)によって取り付けられており、これら2つの要素は、回転軸線175を中心に相対回動可能である。回転軸線175は、電気モータ130の回転軸線に対してねじれて延在している。ラジアル軸受155は、好ましくは、半径方向で、ナット150と、若しくはウォームホイール170に接するウォーム165の作用点と、回転防止装置185との間に配置されている。
【0018】
ナット150は、ウォームホイール170と共に、ラジアル軸受155を介して例えばケーシング180に対して支持されている。ラジアル軸受155は、好ましくは転がり軸受として、特に玉軸受として構成されている。ラジアル軸受155は、好ましくは、ピストン115の移動方向に対するナットの所定のある程度の傾倒を許容する。従って、回転軸線175は、ピストン115の移動方向に対して所定の最大傾倒角度を有することが可能となる。傾倒角度が許容されることにより、回転軸線175と、ピストン115の移動方向との間の軸のずれ又は角度誤差を補償することができる。
【0019】
ピストン115には、スピンドル145の第1端部が取り付けられている。図示した実施形態では、スピンドル145の第1端部は、ボールを有しており、ピストン115は、ボールに対応するボール状の凹みを支持している。これによって、スピンドル145とピストン115との間で軸方向の力を交換することが可能となっており、その一方で、ピストン115の傾倒は、スピンドル145によって阻止される。スピンドル145の反対側の第2端部には、回転防止装置185が取り付けられている。回転防止装置185は、半径方向に延在するレバーアーム190と、レバーアーム190の半径方向外側の端部を収容している軸方向の溝部195とを含む。ケーシング180に対するレバーアーム190の回転を阻止しつつ、それと同時に軸方向の移動を許可する別の実施形態、例えばスライドレールも、同じく実施可能である。ナット150の傾倒を支持するために、回転防止装置185が、半径方向の力又は傾倒力を吸収しないことが好ましい。
【0020】
図1の座標系は、部分的にのみ示されている。y方向は、回転軸線175に対して平行に延在しており、z方向は、電気モータ130のシャフトに対して平行に延在している。x方向は、y方向とz方向と共に右手座標系を形成している。
【0021】
図1ではさらに、以下の寸法が定義されている。
a ピストン115に接するスピンドル145の作用点と、ウォームホイール170に接するウォーム165の作用点との間の軸方向距離、
b ウォームホイール170に接するウォーム165の作用点と、ラジアル軸受155との間の軸方向距離、
c ラジアル軸受155と、回転防止装置185との間の軸方向距離、
d ウォーム165とウォームホイール170との間の作用点(観察できない)と、回転軸線175との半径方向距離
e 回転軸線175と、回転防止装置185の中間支持点との間の半径方向距離。
【0022】
図2は、アクチュエータ100を別の方向から見た図を示す。回転軸線175、又は、シリンダ110内のピストン115の移動軸線は、図平面に対して垂直に延在している。図平面において、水平方向に電気モータ130の回転軸線が延在しており、電気モータ130の回転軸線は、回転軸線175に対してねじれて延在している。互いに噛み合っているウォーム165とウォームホイール170とが、部分切断図で図示されている。作用点205は、ウォーム165とウォームホイール170との間で引張力又は押圧力が伝達される点を表している。作用点205は、回転軸線175に対する所定の間隔及び所定の方向性を有する。
【0023】
同様にして、回転防止装置185が部分破断図で図示されている。溝部195に接するレバーアーム190の支持点は、回転軸線175に対する所定の回転方向性及び所定の間隔を有する。この回転方向性は、作用方向とも呼ばれる。回転軸線175と作用点205とを結ぶ半径と、作用方向との間の角度は、βと呼ばれる。第2の角度αは、180°からβを引いた角度である。作用方向は、レバーアーム190の中心線に関連して示されている。これに代えてより精確に特定するために、作用方向は、レバーアーム190と溝部195との間の有効接触面と、回転軸線175とを通るようにして延在してよい。アクチュエータ100の通常の負荷の場合には、この有効接触面は、図2において右側に図示された面である。
【0024】
図3は、図1及び2のアクチュエータ100の力及びモーメントの線図を示す。方向性は、図1に一致する。図示された複数の力は、上から下に、ピストン115と、ねじ歯車170と、ラジカル軸受155と、回転防止装置185とに関連している。楕円形の破線で図示されている回転防止装置185の力は、図平面から角度αだけ回転されている。さらに説明するために、以下の参照符号が用いられる:
305 Fx_ピストン
310 Fy_ピストン
315 Fz_ピストン
320 Fx_ねじ歯車
325 Fy_ねじ歯車
330 Fz_ねじ歯車
335 Fx_軸受
340 Fy_軸受
345 Fz_軸受
350 Fx_回転防止装置
355 Fy_回転防止装置
360 Fz_回転防止装置
365 F回転防止装置
【0025】
図4は、図1及び2のアクチュエータ100における力及びモーメントの線図400を示す。この図は、別の視点から見た図3の図に相当する。選択された方向性は、図2に相当する。
【0026】
ピストン115に半径方向に作用する力を最小化するためには、Fピストンを最小化しなければならない。この際には、以下のことが当てはまる:
【数1】
x_回転防止装置=F回転防止装置×sinα
z_回転防止装置=F回転防止装置×cosα
y_回転防止装置=F回転防止装置×μ
μ=滑り摩擦係数
【0027】
力及びモーメントのバランス:
ΣF=−Fx_ピストン−Fx_ねじ歯車−Fx_軸受+Fx_回転防止装置=0
ΣF=−Fy_ピストン−Fy_ねじ歯車+Fy_軸受−Fy_回転防止装置=0
ΣF=Fz_ピストン+Fz_ねじ歯車+Fz_軸受+F_回転防止装置=0
ΣM=Fz_ピストン(a+b)+Fz_ねじ歯車b−Fz_軸受c+Fy_回転防止装置esinα=0
ΣM=−Fz_ねじ歯車d+F回転防止装置e=0
ΣM=Fx_ピストン(a+b)+Fx_ねじ歯車b−Fy_ねじ歯車d+Fx_回転防止装置c+Fy_回転防止装置ecosα=0
【0028】
所与の既知の大きさ:
・最大で作用するピストン力 Fy_ピストン
・最大で作用する噛み合い力 Fx_ねじ歯車、Fy_ねじ歯車、Fz_ねじ歯車
・構造空間比a,b,c,d,e
・滑り摩擦係数μは、例えば0.15と仮定される
【0029】
未知の大きさ:
x_ピストン
z_ピストン
回転防止装置
α
x_軸受
y_軸受
z_軸受
【0030】
力Fx_ピストン及びFz_ピストンは、大きさ制限として設定されている。特に、Fx_ピストン及びFz_ピストンから合成される、ピストン115に半径方向に作用する力の大きさは、設計規準値として制限することができる。この設計規準値は、ピストン115及びシリンダ110の摩耗耐性に関する経験値から求めることができる。例えば、アクチュエータ100が所定の動作点にある場合には半径方向のピストン力は所定の大きさを上回ってはならない、と設定することができる。この動作点は、例えば作動流体125の作動液圧によって、又は、回転軸線175に沿ったスピンドル145の位置によって与えられうる。
【0031】
半径方向のピストン力を最小化するためには、αを最適化すべきである。例えばαは、一連の試験において複数の異なる値に設定することができ、その一方で、残りの6つの未知の大きさに関連して、6つの方程式からなる上に挙げた方程式系が解かれる。従って、方程式系は決定されており、常に一義的な解が存在し、それからαは、Fx_ピストン及びFz_ピストンが最小化されるように、従ってピストン115に半径方向に作用する力も最小化されるように選択される。
図1
図2
図3
図4