(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コネクタケーブルが、遠位コネクタを含むとともに、遠位コネクタにおいて前記ガイドワイヤの近位端部に接続されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は様々な変更形態および代替形態を受け入れるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示しており、詳細に説明する。しかしながら、本発明は本発明を記載される特定の実施形態に限定するつもりはないことを理解すべきである。むしろ、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物を対象とするものである。
【0012】
以下の定義された用語については、本明細書の特許請求の範囲または他の箇所において異なる定義がなされない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本願において、すべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約(about)」という語によって修飾されるものと見なされる。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると見なす(すなわち、同じ機能または結果を有する)一連の数を指す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字に丸められる数を含み得る。
【0013】
終点による数の範囲の記述は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
本明細書および添付された特許請求の範囲においては、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他に規定していない限り、複数の指示対象を含む。
【0014】
本願および添付された特許請求の範囲においては、「または(or)」という語は、一般に、内容が明らかに他に規定していない限り、「および/または(and/or)」を含む意味で使用される。
【0015】
明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載される実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造および/または特性を含み得ることを示している。しかしながら、そのような詳説は、すべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味しない。さらに、特定の特徴、構造および/または特性が一つの実施形態に関連して記載される場合、当然のことながら、そのような特徴、構造および/または特性はまた、明らかに反対のことが述べられていないかぎり、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態と関連して用いられてもよい。
【0016】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、それらの図面では異なる図面において類似した要素は同一の番号が付されている。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、例証となる実施形態を表し、本発明の範囲を制限するようには意図されない。
【0017】
一部の医学的介入の間に、血管内の血圧を測定および/または監視することが望ましいことがある。例えば、いくつかの医療装置は、臨床医が血圧を監視することを可能にする圧力センサを備えてもよい。そのような装置は、狭窄前の圧力に対する狭窄後の圧力として理解される血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)を測定するために有用である。FFR測定は、血管形成術、ステント送達などのような医療処置が適当であるか否かを判定するために用いることが可能である。
【0018】
図1は、本医療装置システムにおいて用いられるガイドワイヤを示している。ガイドワイヤ10は、近位部分14と遠位部分16とを有する管状部材またはシャフト12を備える。遠位部分16はセンサ領域52と先端領域30とを含む。センサ領域52は、シャフト12の管腔内に配置された光ファイバ24の遠位端部に取り付けられた光学的圧力センサ20を備える。「光学的圧力センサ20」という用語は、本願では詳細な説明の全体にわたって「センサ20」と称される場合がある。センサ20は血管内の血圧を測定するために用いられる。いくつかの実施形態において、センサ20によってなされる圧力測定は、FFRを計算するために利用可能である。少なくともいくつかの実施形態において、センサ20はファブリーペロー型圧力センサである。
【0019】
光ファイバ24はその長さに沿って略一定の外径を有する。光ファイバ24の遠位部分は、ボンド26によってシャフト12の内壁に取り付けられている。そのような取り付けは、拡大領域22の近位側に位置する。拡大領域22は、シャフト12の残りの部分の内径より増大した内径を有する領域として定義される。そのような拡径した領域はセンサ20を収容するために用いられる。
【0020】
先端領域30はコイル34とチップ部材36とを備える。先端領域30はシャフト12の遠位端部に配置されている。コイル34の一端はチップ部材36に隣接して配置され、コイル34の別の端部はセンサ領域52に隣接して配置されている。コイル34は、チップ部材36に対して近位側に隣接して配置され、チップ部材36に可撓性を提供する。コイル34は、センサ領域52の遠位端部、および先端領域30内に配置されたシェイピング部材32の周囲に配置されている。チップ部材36はシェイピング部材32の遠位端部に配置されている。シェイピング部材32は、血管通過中に先端領域30が曲がるたびにチップ部材36の形状を変形させて保持することができるように、例えば、変形可能材料から製造されてもよい。シェイピング部材32はシャフト12の遠位端部に結合されており、かつ、ボンド46においてコイル34の近位端部に結合されている。これらは例に過ぎない。他の構造、特徴および構成が企図される。
【0021】
ガイドワイヤ10は多くの他の構造的特徴を含んでいてもよい。例えば、シャフト12の外面は多数のスロット18を備えていてもよい。スロット18は、周方向に、かつ、隣接したスロット18同士が離間されるようにシャフト12の長手軸線に沿って、配置されている。
図1に示すように、スロット18の密度は遠位方向において増大しており、シャフト12の遠位端部に向かってより可撓性を有することができる。シャフト12の遠位部分16は、いかなるスロット18も有さない中実領域50を含む。領域50は、血液とセンサ20の直接的な接触を避け、それによって血圧読取り値を変化させ得るセンサ20の側面のたわみを防止するために設けられている。
【0022】
一部の例では、異なる材料から製造されたガイドワイヤ10の近位部分14と遠位部分16とがコネクタ17によって接続されている。しかしながら、近位部分14および遠位部分16はまた単一の構造物であってもよい。シャフト12は、ガイドワイヤ10の外面の摩擦を低減させ、それにより血管を通るガイドワイヤ10の誘導を円滑にするために、親水性コーティング19で完全にまたは部分的に被覆されていてもよい。ガイドワイヤ10の上記の説明は単なる例に過ぎない。ガイドワイヤ10について他の構造物が企図される。
【0023】
上記で示唆したように、ガイドワイヤ10は、狭窄の上流および下流の部分の血圧を測定してFFRを求めるために用いられてもよく、その方法について
図2および
図3とともに説明する。
図2に示すように、ガイドワイヤ10は、血管54を通って、標的部位(例えば病変56)に到達する。ガイドワイヤ10は、病変56の前で血圧の第1読取り値を測定する。これに代わって、血圧、例えば大動脈血圧を測定するために別の医療装置が用いられてもよい。その後、
図3に示すように、ガイドワイヤ10は、病変56を通り越して遠位に進められ、病変56の後で血圧の第2読取り値を得る。2つの血圧の読み取り値(例えば病変の下流の圧力、および病変の上流の圧力または大動脈圧)の比はFFRを決定し、それにより血管形成術またはステント挿入を実施するべきか否かを評価するのを助ける。ガイドカテーテル58は、ステント、バルーンなどのような治療装置を所望の治療位置に送達したり、または進めたりするために提供されてもよい。
【0024】
また上記に示唆したように、ガイドワイヤ10は光学的圧力センサ20および光ファイバ24を備える。光ケーブルおよび/または光ファイバを用いるときには、光ファイバの整合が望ましいことがある。光ファイバの若干の整合不良(misalignment)でさえ、例えば、ファイバ間の通信を歪め(skew)得る信号損失をもたらし、圧力測定に影響を与えることがある。例えば、標準的な光ファイバは62.5μmのコアを有する。この開示において、コアとは、光を案内する光ファイバ24(および/または本願に開示する他の光ファイバ)の領域として理解される。光ファイバ接続において、接続の中心線からの偏倚は、信号の喪失を引き起こし、医療処置を中断させる可能性がある。例えば、15〜20以下μmの偏倚は信号損失をもたらすことがある。従って、堅牢な接続のためにファイバの容易で再現可能な整合を可能にする光ファイバを設計することが望ましい。本医療装置システムは、光ファイバ間の通信の向上を助ける1つ以上の構造的特徴を組み込んでいる。
【0025】
図4は、例示的な医療装置システム100を示す断面概略図である。医療装置システム100は、ガイドワイヤ10(例えば
図1〜
図3に示したようなもの)、コネクタケーブル102、および信号調整ユニット104を備える。コネクタケーブル102は遠位コネクタ106と近位コネクタ118とを備える。コネクタケーブル102は遠位コネクタ106によってガイドワイヤ10の近位端部60に取り付けられている。コネクタケーブル102は、信号調整ユニット104および近位コネクタ118に接続されている。コネクタケーブル102は、ガイドワイヤ10を信号調整ユニット104に接続するための仲介物として提供される。信号調整ユニット104は適当な表示装置(図示せず)に接続されていてもよい。
【0026】
コネクタケーブル102および信号調整ユニット104は、第2光ファイバ112および第3光ファイバ114をそれぞれ備える。光ファイバ24は外径および/またはコア外径を有する。例えば、光ファイバ24のコアの外径は、約40〜80μm、約50〜70μm、または約62.5μmであってもよい。これらは例に過ぎない。他の大きさが企図される。第2光ファイバ112は、
図4に示すように、該ファイバの近位端部と遠位端部との間でテーパーをなす外径を備えたコアを有する。例えば、第2光ファイバ112の一端は相対的に大きなコア外径を有し、もう一端はより大きなコア外径に比べて縮小されたコア外径を有する。少なくともいくつかの実施形態において、第2光ファイバ112の遠位端部は光ファイバ24のコア外径より大きいコア外径を有する。例えば、第2光ファイバ112の遠位端部は62.5μm超、または約75〜150μm、または約80〜120μm、または約100μmのコア外径を有してもよい。第2光ファイバ112の近位端部は、遠位端部におけるコア外径に比べて縮小されたコア外径を有する。いくつかの実施形態において、第2光ファイバ112の近位端部は、光ファイバ24のコア外径に近似しているか、または他の場合には前記コア外径と略同一であるコア外径を有してもよい。
【0027】
上記に示したように、光ファイバ24と第2光ファイバ112とが略同一のコア径を有する場合には、2本の光ファイバ間における若干の整合不良が信号損失を生じさせ得る。しかしながら、第2光ファイバ112が光ファイバ24のコア外径に比べて、より大きなコア外径を有する場合、第2光ファイバ112は光ファイバ24の近位端部を略完全に被覆する。結果として、ファイバ24,112の若干の整合不良が存在したとしても、光ファイバ24からの全信号が第2光ファイバ112において捕捉される。より詳細には、第2光ファイバ112から光ファイバ24へ遠位に通過する信号(例えばアウトバウンド信号)は、見込み損失または設計損失(designed loss)を有する。しかしながら、光ファイバ24から第2光ファイバ112へ遠位に通過する信号(例えば帰還信号)は最小限の信号損失を有するか、または本質的に信号損失を有さない。
【0028】
コネクタケーブル102内のテーパー状第2光ファイバ112の寸法は、接続が許容公差内となることを可能にするように定義されてもよい。また、テーパー状光ファイバは、光ファイバが光ファイバを通過する信号の略すべてを受信することができるような開口数を有するように設計されていてもよい。従って、テーパー状光ファイバは、少しの偏倚がある場合でさえ、良好な通信を可能にする。
【0029】
コネクタ106において、光ファイバ24と第2光ファイバ112とは、交接面(intersection surface)116において一体となっている。交接面116では、光ファイバ24と第2光ファイバ112との間で信号が通信される。光ファイバ24,112,114はマルチモードであってもよい。また、シースまたはスリーブのような保護被覆が光ファイバ24,112,114上に配置されてもよい。
【0030】
図4に示すように、光ファイバ24は、テーパー状第2光ファイバ112の遠位端部のコア径より小さいコア径を有し、テーパー状第2光ファイバ112の近位端部は第3光ファイバ114のコア径と同一のコア径を有する。第2光ファイバ112はテーパー状光ファイバであるが、光ファイバ24および第3光ファイバ114はそれらの長さの全体にわたって一様に同一のコア径を有する。これらは例に過ぎない。他の構成が企図される。例えば、
図4Aは、ガイドワイヤ10’がテーパー状コアを有する光ファイバ24’を備えた医療装置システム100’を示している。この例では、光ファイバ24’のコアは遠位方向にテーパーをなしている(例えば、遠位方向に小さくなっている)。コネクタケーブル102’は、光ファイバ24’のコアの直径と同じか、またはそれより大きな直径を備えたコアを有する光ファイバ112’を有する。
【0031】
図5は、別の例示的な医療装置システム200を示す断面概略図である。医療装置システム200は、ガイドワイヤ202、コネクタケーブル204および信号調整ユニット206を備える。ガイドワイヤ202、コネクタケーブル204、および信号調整ユニット206の各々は、光ファイバ208,210,212をそれぞれ有する。ガイドワイヤ202は、コネクタ214によって、コネクタケーブル204に接続されている。医療装置システム200の構造は医療装置システム100のそれに類似しているが、第1光ファイバ208は第2光ファイバ210のコア径と同一のコア径を有する。第1光ファイバ208および第2光ファイバ210の各々は、それらのそれぞれの長さに沿って略一定のコア外径を有する。しかしながら、第3光ファイバ212は、
図5に示すように、テーパー状コアを有する。
【0032】
いくつかの実施形態において、第3光ファイバ212は、コア外径が相対的に大きい第1端部と、その大きなコア外径と比べてコア外径が縮小されている第2端部とを有する。例えば、第3光ファイバ212の第1端部は62.5μm超、または約75〜150μm、または約80〜120μm、または約100μmであるコア径を有してもよい。第3光ファイバ212の他方の端部は、第2光ファイバ210のコア外径に近似しているか、または他の場合には前記コア外径と略同一であるコア径を有してもよい。第3光ファイバ212は、第2光ファイバ210を通過する信号の略すべてを受信することができる。少なくとも他のいくつかの実施形態では、第1光ファイバ208はその長さの全体にわたって均一の直径を有するが、第2光ファイバ210および第3光ファイバ212のうちの一方または双方はテーパー状のコア径を有してもよい。
【0033】
明示的に示されていないが、いくつかの実施形態において、第2光ファイバ210は光ファイバ208のコア径と比べて拡大されたコア径を有してもよい。例えば、光ファイバ208は、約40〜80μm、または約50〜70μm、または約62.5μmの外径を備えたコアを有してもよい。第2光ファイバ210は、62.5μm超、または約75〜150μm、または約80〜120μm、または約100μmのコア外径を有してもよい。いくつかの実施形態において、第2光ファイバ210のコアの外径は、その長さに沿って略一定である。第3光ファイバ212の遠位端部はテーパー状である。例えば、第3光ファイバ212の第1端部は62.5μm超、または約75〜150μm、または約80〜120μm、または約100μmであるコア径を有してもよく、一方、第3光ファイバ212の他方の端部は、光ファイバ208のコア外径に近似しているか、または他の場合には前記コア外径と略同一であるコア径を有してもよい。
【0034】
図6は、別の例示的な医療装置システム300を示す断面概略図である。医療装置システム300は、ガイドワイヤ302、コネクタケーブル304および信号調整ユニット306を備える。ガイドワイヤ302、コネクタケーブル304、および信号調整ユニット306の各々は、光ファイバ308,310,312をそれぞれ有する。ガイドワイヤ302は、コネクタ314によって、コネクタケーブル304に接続されている。第2光ファイバ310は、第1光ファイバ308のコアより大きい直径を備えたコアを有する。第3光ファイバ312はテーパー状であるコアを有する。第3光ファイバ312のより大きい端部(例えば、より遠位端部)は、第2光ファイバ310のコア径と同一の大きさか、またはそれより大きいコア径を有する。
【0035】
本開示のシステムの様々な構成要素に用いることができる材料としては、一般的に医療装置に関連した材料が挙げられる。簡潔にする目的で、以下の説明はガイドワイヤ10について述べる。しかしながら、その議論は本願に開示された他の同様の装置および/または装置およびシステムの構成要素に適用されるため、これは本願に記載する装置および方法を限定するようには意図されない。
【0036】
ガイドワイヤ10および/またはガイドワイヤ10の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例を以下に開示する)、金属−ポリマー複合材、セラミックス、それらの組合せ等、または他の適当な材料から製造されてもよい。適当な金属および合金の一部の例としては、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールのようなニッケル−チタン合金;ニッケル−クロム−モリブデン合金のような他のニッケル合金(例えば、インコネル(登録商標)625のようなUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C−22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)のようなUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル−銅合金(例えばMONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのようなUNS:N04400)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えばMP35−N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニッケル−モリブデン合金(例えばHASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)のようなUNS:N10665)、他のニッケル−クロム合金、他のニッケル−モリブデン合金、他のニッケル−コバルト合金、他のニッケル−鉄合金、他のニッケル−銅合金、他のニッケル−タングステン合金またはタングステン合金など;コバルト−クロム合金;コバルト−クロム−モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003);白金富化(platinum enriched)ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ;および同種のもの;または他の適当な材料が挙げられる。
【0037】
適当なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン(DuPont)から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル−エステル(例えばDSM エンジニアリング プラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルに基づいたコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはデュポンから入手可能なHYTREL(登録商標)のような他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えばバイエル(Bayer)から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ アトケム(Elf Atochem)から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)という商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばケブラー(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS アメリカン グリロンから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン−b−イソブチレン−b−スチレン)(例えばSIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、他の適当な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが挙げられ得る。一部の実施形態では、液晶ポリマー(LCP)をシースに混合することができる。例えば、前記混合物は約6%以内のLCPを含有し得る。
【0038】
本願において言及するように、市販のニッケル−チタンまたはニチノール合金群の中には、化学的性質においては従来の形状記憶および超弾性の類に類似しているが、独特で有用な機械的性質を示し得る「線形弾性」または「非超弾性」に指定される範疇がある。線形弾性および/または非超弾性材料ニチノールは、その応力−歪曲線において、超弾性ニチノールが示すような、実質的な「超弾性平坦域」または「旗領域」を示さないという点において、線形弾性および/または非超弾性材料ニチノールは超弾性ニチノールとは区別される。むしろ、線形弾性および/または非超弾性ニチノールでは、回復可能な歪みが増大するにつれ、応力は、実質的に線形で、または若干の、しかし必ずしも完全ではない線形関係で、塑性変形が開始するまで増大し続けるか、または少なくとも超弾性ニチノールで見られる超弾性平坦域および/または旗領域よりも線形である関係で増大し続ける。よって、この開示において、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは「実質的な」線形弾性および/または非超弾性ニチノールとも称される。
【0039】
一部の例において、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは(例えば塑性変形する前に)実質的に弾性を維持しながら、約2〜5%までの歪みを許容するが、超弾性ニチノールは塑性変形する前に約8%までの歪みを許容するという点においても、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、超弾性ニチノールと区別できる。これらの材料の双方は、塑性変形前に約0.2〜0.44パーセントの歪みしか許容し得ないステンレス鋼のような他の線形弾性材料と区別することができる(それらの材料はその組成に基づいても区別することができる)。
【0040】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル−チタン合金は、大きな温度範囲にわたって示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry:DSC)および動的金属熱分析(dynamic metal thermal analysis:DMTA)によって検出可能ないかなるマルテンサイト/オーステナイト相変化も示さない合金である。例えば、一部の実施形態において、DSCおよびDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化は、線形弾性および/または非超弾性ニッケル−チタン合金では、摂氏約−60度(℃)〜約120℃の範囲において存在しないことがある。従って、そのような材料の機械的屈曲特性は、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響に対して一般に不活性である。いくつかの実施形態において、周囲温度または室温における線形弾性および/または非超弾性材料ニッケル−チタン合金の機械的な曲げ特性は、例えば、それらが超弾性平坦域および/または旗領域を示さないという点において、体温における機械的性質と実質的に同じである。換言すると、広い温度範囲にわたって、線形弾性および/または非超弾性ニッケル−チタン合金はその線形弾性および/または非超弾性の特性および/または性質を維持する。
【0041】
一部の実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル−チタン合金は、ニッケルが約50〜約60重量パーセントの範囲にあってもよく、残量は本質的にチタンである。一部の特定の実施形態において、前記組成は、ニッケルが約54〜約57重量パーセントの範囲にある。適当なニッケル−チタン合金の一例は、日本の神奈川県所在の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP−NT合金である。ニッケル−チタン合金のいくつかの例は、米国特許第5,238,004号および同第6,508,803号に開示されている。前記特許文献は参照により本願に援用される。他の適当な材料としては、ULTANIUM(商標)(ネオ−メトリクス(Neo−Metrics)から入手可能)およびGUM METAL(商標)(トヨタから入手可能)が挙げられる。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態において、ガイドワイヤ10の一部またはすべてはまた、放射線不透過性物質でドープされているか、または放射線不透過性物質から製造されているか、または他の場合には放射線不透過性物質を含有していてもよい。放射線不透過性材料は、医学的処置の間に、蛍光透視法の画面上または別の撮像技術において、相対的に明るい画像を生成することができる材料であると理解される。この相対的に明るい画像は、ガイドワイヤ10の使用者がその位置を決定することを支援する。放射線不透過性物質のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。さらに、同じ結果を得るために、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルもガイドワイヤ10の設計に組み入れてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ10には、ある程度の核磁気共鳴映像法(MRI)適合性が与えられている。例えば、ガイドワイヤ10またはその一部は、実質的に画像を歪めず、実質的なアーチファクト(すなわち画像における空隙)を生成しない材料から製造されてもよい。例えば、特定の強磁性体は、それらがMRI画像中にアーチファクトを生成し得るので、適当ではない場合がある。ガイドワイヤ10またはその一部はまた、MRI装置が画像化できる材料から製造されてもよい。これらの特性を示すいくつかの物質としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(例えばMP35−N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニチノールなど、および他のものが挙げられる。
【0044】
上記に示唆したように、シャフト12は、スロット18が形成された1つ以上の管状部材を備えてもよい。スロット18の配置および構成の様々な実施形態が企図される。一部の実施形態では、スロットのうちのすべてではないにしても、少なくともいくつかは、シャフト12の長手軸線に対して同一または同様の角度で配置されている。示したように、スロット18は、シャフト12の長手軸線に直交するか、または略直交する角度で配置されることができ、かつ/または、シャフト12の長手軸線に直交する平面内に配置されると特徴付けることができる。しかしながら、他の実施形態では、スロット18は、シャフト12の長手軸線に直交しない角度で配置されることができ、かつ/または、シャフト12の長手軸線に直交しない平面内に配置されると特徴付けることができる。これに加えて、1つ以上のスロット18の群が、1つ以上のスロット18の別の群に対して異なる角度で配置されていてもよい。スロット18の配置および/または形態はまた、適用可能な範囲で、米国特許出願公開第2004/0181174号に開示されたもののいずれも含み得る。前記特許文献の開示全体は、参照により本願に援用される。
【0045】
スロット18は、依然として適当なトルク伝達特性を可能にしながら、シャフト12の可撓性を高めるために備えられる。スロット18は、1つ以上のリングおよび/または管セグメントが、シャフト12に形成される1つ以上のセグメントおよび/またはビームによって相互に連結されるように、形成されてもよく、そのような管セグメントおよびビームは、スロット18がシャフト18の本体に形成された後に残るシャフト12の部分を含んでもよい。そのような相互に接続した環構造は、所望レベルの側方方向の可撓性を維持しながら、比較的高度のねじり剛性を維持するように作用する。一部の実施形態では、いくつかの隣接するスロット18は、それらのスロットがシャフト12の周囲で互いに重複する部分を備えるように形成することができる。他の実施形態では、いくつかの隣接するスロット18は、それらのスロットが必ずしも互いに重複しないが、所望の程度の側方方向の可撓性を提供するパターンに配置されるように、形成することが可能である。
【0046】
加えて、スロット18は、所望の特性を得るために、シャフト12の長さに沿って、またはシャフト12の周囲に配列される。例えば、隣接したスロット18またはスロット18の群は、シャフト12の周面の反対側に略均等に配置されるような対称パターンに配列することもできるし、またはシャフト12の軸線のまわりで互いに対して一定の角度だけ回転させることもできる。さらに、隣接するスロット18、またはスロット18の群は、シャフト12の長さに沿って等しく離間されていてもよいし、または密度が増大もしくは減少するパターンに配列することもできるし、または非対称もしくは不規則なパターンに配列することもできる。可撓性または他の特性を変化させるために、スロット18の大きさ、スロット18の形状および/またはシャフト12の長手軸線に対するスロット18の角度のような他の特性をシャフト12の長さに沿って変化させることもできる。さらに、他の実施形態では、近位部分もしくは遠位部分のような管状部材の一部、またはシャフト12全体がそのようなスロット18を備えていなくてもよい。
【0047】
本願で示唆したように、スロット18は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のスロット18の群に形成されてもよく、それらはシャフト12の軸線に沿って略同一の位置に位置してもよい。これに代わって、単一のスロット18がこれらの位置のうちのいくつか、またはすべてに配置されてもよい。スロット18の群内には、大きさが等しい(すなわち、シャフト12のまわりに同じ周方向距離にわたって広がっている)スロット18が含まれていてもよい。これらの実施形態並びに他の実施形態の一部において、群内の少なくともいくつかのスロット18は、大きさが一様ではない(すなわち、シャフト12のまわりに異なる周方向距離にわたって広がっている)。スロット18の長手方向に隣接する群は、同一の形態を有してもよいし、または異なる形態を有してもよい。例えば、シャフト12のいくつかの実施形態は、大きさが等しい第1群のスロット18と、次いで、大きさが等しくない隣接する群のスロット18とを含む。大きさが等しく、かつ、管の周囲に対称的に配置された2つのスロット18を有する群において、一対のビーム(すなわちスロット18がシャフト12に形成された後に残るシャフト12の部分)の重心はシャフト12の中心軸線と一致する。反対に、大きさが等しくない2つのスロット18を有し、かつ、その重心が管の周面上で直接対向している群においては、対のビームの重心はシャフト12の中心軸線から偏倚される。シャフト12のいくつかの実施形態は、シャフト12の中心軸線と一致する重心を有するスロット18の群のみ、シャフト12の中心軸線から偏倚された重心を有するスロット18群のみ、または第1群ではシャフト12の中心軸線と一致し、別の群ではシャフト12の中心軸線から偏倚されている重心を有するスロット18の群を含む。偏倚の程度は、スロット18の深さ(または長さ)によって変化してもよく、他の適当な距離を含むことができる。
【0048】
例えば、スロット18は、マイクロマシニング、鋸切断(例えば、ダイヤモンド砂を埋設した半導体ダイシングブレードを用いる)、電子放電加工(electron discharge machining)、研削、フライス加工(milling)、鋳造、成形、化学エッチングもしくは化学処理のような方法、または他の既知の方法などによって形成することができる。いくつかのそのような実施形態において、シャフト12の構造は、管の一部を切断および/または除去してスロット18を形成することによって形成される。スロット18を備えた管状部材および管状部材を備えた医療装置のための適切なマイクロマシンニング法および他の切断方法、並びに構造のいくつかの実施形態例は、米国特許出願公開第2003/0069522号および同第2004/0181174号、並びに米国特許第6,766,720号および同第6,579,246号に開示されている。上記特許文献の全開示は、参照により本願に援用される。エッチング工程のいくつかの実施形態例は、米国特許第5,106,455号に記載されている。前記特許文献の開示全体は、参照により本願に援用される。ガイドワイヤ10を製造する方法は、これらまたは他の製造工程を用いて、シャフト12にスロット18を形成することを含んでもよい。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態において、スロット18はレーザ切断プロセスを用いて、管状部材に形成されてもよい。レーザ切断プロセスは、適当なレーザおよび/またはレーザ切断装置を含むことができる。例えば、レーザ切断プロセスはファイバレーザを用いてもよい。
【0050】
レーザ切断のようなプロセスを用いることは多くの理由から望ましい場合がある。例えば、レーザ切断プロセスは、シャフト12が正確に制御された方法で、多数の異なる切断パターンに切断されることを可能にする。これは、スロット18の幅、リング幅、ビームの高さおよび/または幅などの変化を含む。更に、切断器具(例えばブレード)を交換する必要なく、裁断パターンに対する変更を行うことができる。これはまた、より小さな(例えば、より小さな外径を有する)チューブが、最小の切断刃サイズによって制限されることなく、シャフト12を形成するために用いられることを可能にする。従って、シャフト12は、比較的小さなサイズが所望されることがある神経学的装置または他の装置において使用するために製造されてもよい。
【0051】
図面では明示的に示されていないが、光ファイバは、一般に、中心コアまたはモードフィールドと、外側ジャケットまたはクラッドとを備える。この開示のために、図面に示した様々な光ファイバは、完全な光ファイバ(例えば、中心コア、外側クラッドおよびファイバの他の構造を含む)か、または単なるファイバの中心コアもしくはモードフィールドのみを表わす。上記で言及したように、本願に開示した様々な光ファイバの「外径」は、完全な光ファイバ(例えば、中心コア、外側クラッドおよびファイバの他の構造を含む)の外径、または単にファイバの中心コアまたはモードフィールドの外径(例えば「モードフィールド径」(MFD))のいずれかを表わす。
【0052】
この開示は、多くの点において単なる実例である。本開示の範囲を超えることなく、詳細について、特に形状、大きさ、および工程の配列に関して、変更がなされてもよい。これは、それが適切である範囲で、他の実施形態において用いられている1つの実施形態の例の特徴のうちのいずれかの使用を含んでもよい。本発明の範囲は、もちろん、添付した特許請求の範囲が表現されている言語において定義される。