(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6243035
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】量子ドット薄膜形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/06 20060101AFI20171127BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20171127BHJP
H01L 31/0352 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
H01L29/06 601D
B82Y40/00
H01L31/04 342A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-535235(P2016-535235)
(86)(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公表番号】特表2017-511969(P2017-511969A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】KR2014012071
(87)【国際公開番号】WO2015194721
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0075962
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514002352
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ マシーナリィ アンド マテリアルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム,ヒュン−チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ソ−ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウォン−ソク
【審査官】
綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−518468(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/074492(WO,A1)
【文献】
特表2011−528865(JP,A)
【文献】
特開2007−281406(JP,A)
【文献】
特開2007−242748(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0035919(US,A1)
【文献】
特開2012−064563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/20−208
H01L 29/06
H01L 29/66
H01L 31/0352
H01L 33/04−06
B82B 3/00
B82Y 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に引張力を提供して、前記基板を伸張するステップと、
次いで、前記基板の上に量子ドット粒子をコーティングして量子ドット薄膜を形成するステップと、
次いで、前記量子ドット粒子のリガンドを交換するステップと、
次いで、前記基板の引張力を除去するステップと、
を含むことを特徴とする、量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記基板は高分子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項3】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、またはポリウレタンを含むことを特徴とする、請求項2に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記量子ドット粒子は、13族−15族系化合物、12族−16族系化合物、または14族−16族系化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記量子ドット粒子は、前記リガンドを交換する前に第1リガンドを有し、前記リガンドを交換した後に前記第1リガンドより小さい炭素数を有する第2リガンドを有することを特徴とする、請求項4に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記量子ドット粒子のリガンドを交換するステップは、前記量子ドット粒子にアルカンチオール、ヒドラジン、またはヒドロキシルアミンを提供するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記基板の伸張率は0.1%〜10%であることを特徴とする、請求項1に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記量子ドット粒子のリガンドを交換した後、前記基板を40〜100℃で熱処理するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の量子ドット薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は量子ドット薄膜に関し、より詳しくは、薄膜の内部のクラック発生を防止することができる量子ドット薄膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットは半導体特性を有している数十ナノメートル以下のサイズを有するナノ粒子であって、量子制限効果によりバルク粒子とは異なる特性を有する。具体的に、量子ドットのサイズによってバンドギャップが変わるようになって吸収する波長を変化させることができ、小さなサイズによる量子制限効果はバルク物質で見られない新たな光学的、電気的、物理的特性を示す。したがって、このような量子ドットを用いてソーラーセル(太陽電池)、発光ダイオードのような光電変換素子を製造する技術に対する研究が活発になされている。
【0003】
前記量子ドットを素子に適用するために、量子ドットを薄膜形態に形成する必要がある。ところで、前記量子ドットは安定性のために、リガンドと結合された状態で形成され、前記量子ドットを(導電性を有する)薄膜形態に形成するために、量子ドット粒子を基板の上にコーティングした後、相対的に長さの短いリガンドに交換する過程を経るが、この過程で、薄膜体積の収縮によって内部にクラックが発生しやすいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】(特に無し)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題はこのような点から着目したものであって、クラック発生を防止/減少できる量子ドット薄膜形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の本発明の目的を実現するための一実施形態の量子ドット薄膜形成方法は、基板に引張力を提供して、前記基板を伸張するステップ、前記基板の上に量子ドット粒子をコーティングして量子ドット薄膜を形成するステップ、前記量子ドット粒子のリガンドを交換するステップ、及び前記基板の引張力を除去するステップを含む。
【0007】
一実施形態において、前記基板は高分子を含み、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、またはポリウレタンを含む。
【0008】
一実施形態において、前記量子ドット粒子は、13族−15族系化合物、12族−16族系化合物、または14族−16族系化合物を含む。
【0009】
一実施形態において、前記量子ドット粒子は、前記リガンドを交換する前に第1リガンドを有し、前記リガンドを交換した後に前記第1リガンドより小さな炭素数を有する第2リガンドを有する。前記量子ドット粒子のリガンドを交換するために、前記量子ドット粒子にアルカンチオール、ヒドラジン、またはヒドロキシルアミンが提供される。
【0010】
一実施形態において、前記基板の伸張率は0.1%〜10%である。
【0011】
一実施形態において、前記量子ドット粒子のリガンドを交換した後に、前記基板を40〜100℃で熱処理する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板に事前の引張力の印加または除去を通じた簡単な方法により量子ドット薄膜のクラックが防止/減少されて、量子ドット薄膜の電気的特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するための斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するための斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するための斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に従って製造される量子ドット薄膜の量子ドット粒子を拡大図示した断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に従って製造される量子ドット薄膜の量子ドット粒子を拡大図示した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するための斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従って製造される量子ドット薄膜の量子ドット粒子を拡大図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態をより詳しく説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、さまざまな形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようするものでなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。添付の図面において、構造物の寸法は本発明の明確性を期するために実際より拡大して図示したものである。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明することに使用できるが、前記構成要素は前記用語により限定されてはならない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名できる。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0015】
本出願において、“含む”または“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
図2〜
図4、及び
図7は、本発明の一実施形態に係る量子ドット薄膜形成方法を説明するための斜視図である。
図5、
図6、及び
図8は、本発明の一実施形態に従って製造される量子ドット薄膜の量子ドット粒子を拡大図示した断面図である。
【0017】
図1〜
図3を参照すると、基板10に引張力を加える(S10)。前記基板は好ましくは高分子を含む。前記高分子を含む基板はガラス、シリコンなどに比べて高い回復弾力性(resilience)を有する。したがって、以下に説明する復元ステップで有利でありうる。前記高分子には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリジメチルシロキサン、エコープレックス(登録商標)のようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリウレタンなどが使われることができ、伸縮性、耐化学性、耐熱性などを考慮した時、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステルなどが好ましい。
【0018】
前記基板には、前記基板と平行する方向に引張力が加えられる。例えば、前記基板には伸張率が0.1%〜10%になるように引張力が加えられることができる。前記基板の伸張率が大きすぎる場合、基板に加えられる引張力を除去した後、表面積の変化が大きくて前記基板の上に形成される量子ドット薄膜が損傷される虞があり、前記基板の伸張率が小さすぎる場合、量子ドット粒子の間のギャップを埋められなくて、クラック防止効果が小さいことがある。以下のステップで、前記引張力を除去するステップの前まで、前記基板には前記引張力が加えられた状態が維持される。
【0019】
前記基板に引張力を加えるために、引張装置が利用できる。例えば、前記引張装置は前記基板の両端を固定する固定部20を含むことができ、前記固定部は互いに遠ざかる方向に移動して、前記基板を伸張させることができる。
【0020】
図1及び
図4を参照すると、量子ドット粒子を前記引張された基板にコーティングする(S20)。これによって、量子ドット薄膜30が形成される。
【0021】
前記量子ドット粒子は、約1〜100nmの直径を有することができ、好ましくは約1〜20nmの直径を有することができる。
【0022】
前記量子ドットは14族−16族系化合物を含むことができる。具体的に、前記量子ドットは、スズオキサイド(SnO)、スズスルフィド(SnS)、スズセレナイド(SnSe)、スズテレナイド(SnTe)、リードスルフィド(PbS)、リードセレナイド(PbSe)、リードテレナイド(PbTe)、ゲルマニウムオキサイド(GeO)、ゲルマニウムスルフィド(GeS)、ゲルマニウムセレナイド(GeSe)、ゲルマニウムテレナイド(GeTe)、スズセレニウムスルフィド(SnSeS)、スズセレニウムテレナイド(SnSeTe)、スズスルフィドテレナイド(SnSTe)、リードセレニウムスルフィド(PbSeS)、リードセレニウムテレナイド(PbSeTe)、リードスルフィドテレナイド(PbSTe)、スズリードスルフィド(SnPbS)、スズリードセレナイド(SnPbSe)、スズリードテレナイド(SnPbTe)、スズオキサイドスルフィド(SnOS)、スズオキサイドセレナイド(SnOSe)、スズオキサイドテレナイド(SnOTe)、ゲルマニウムオキサイドスルフィド(GeOS)、ゲルマニウムオキサイドセレナイド(GeOSe)、ゲルマニウムオキサイドテレナイド(GeOTe)、スズリードスルフィドセレナイド(SnPbSSe)、スズリードセレニウムテレナイド(SnPbSeTe)、スズリードスルフィドテレナイド(SnPbSTe)などを含むことができる。これらは各々単独で、または混合して使用できる。
【0023】
他の実施形態において、前記量子ドットは12族−16族系化合物を含むことができる。具体的に、前記量子ドットは、カドミウムスルフィド(CdS)、カドミウムセレナイド(CdSe)、カドミウムテレナイド(CdTe)、亜鉛スルフィド(ZnS)、亜鉛セレナイド(ZnSe)、亜鉛テレナイド(ZnTe)、水銀スルフィド(HgS)、水銀セレナイド(HgSe)、水銀テレナイド(HgTe)、亜鉛オキサイド(ZnO)、カドミウムオキサイド(CdO)、水銀オキサイド(HgO)、カドミウムセレニウムスルフィド(CdSeS)、カドミウムセレニウムテレナイド(CdSeTe)、カドミウムスルフィドテレナイド(CdSTe)、カドミウム亜鉛スルフィド(CdZnS)、カドミウム亜鉛セレナイド(CdZnSe)、カドミウムスルフィドセレナイド(CdSSe)、カドミウム亜鉛テレナイド(CdZnTe)、カドミウム水銀スルフィド(CdHgS)、カドミウム水銀セレナイド(CdHgSe)、カドミウム水銀テレナイド(CdHgTe)、亜鉛セレニウムスルフィド(ZnSeS)、亜鉛セレニウムテレナイド(ZnSeTe)、亜鉛スルフィドテレナイド(ZnSTe)、水銀セレニウムスルフィド(HgSeS)、水銀セレニウムテレナイド(HgSeTe)、水銀スルフィドテレナイド(HgSTe)、水銀亜鉛スルフィド(HgZnS)、水銀亜鉛セレナイド(HgZnSe)、カドミウム亜鉛オキサイド(CdZnO)、カドミウム水銀オキサイド(CdHgO)、亜鉛水銀オキサイド(ZnHgO)、亜鉛セレニウムオキサイド(ZnSeO)、亜鉛テルニウムオキサイド(ZnTeO)、亜鉛スルフィドオキサイド(ZnSO)、カドミウムセレニウムオキサイド(CdSeO)、カドミウムテルニウムオキサイド(CdTeO)、カドミウムスルフィドオキサイド(CdSO)、水銀セレニウムオキサイド(HgSeO)、水銀テルニウムオキサイド(HgTeO)、水銀スルフィドオキサイド(HgSO)、カドミウム亜鉛セレニウムスルフィド(CdZnSeS)、カドミウム亜鉛セレニウムテレナイド(CdZnSeTe)、カドミウム亜鉛スルフィドテレナイド(CdZnSTe)、カドミウム水銀セレニウムスルフィド(CdHgSeS)、カドミウム水銀セレニウムテレナイド(CdHgSeTe)、カドミウム水銀スルフィドテレナイド(CdHgSTe)、水銀亜鉛セレニウムスルフィド(HgZnSeS)、水銀亜鉛セレニウムテレナイド(HgZnSeTe)、水銀亜鉛スルフィドテレナイド(HgZnSTe)、カドミウム亜鉛セレニウムオキサイド(CdZnSeO)、カドミウム亜鉛テルニウムオキサイド(CdZnTeO)、カドミウム亜鉛スルフィドオキサイド(CdZnSO)、カドミウム水銀セレニウムオキサイド(CdHgSeO)、カドミウム水銀テルニウムオキサイド(CdHgTeO)、カドミウム水銀スルフィドオキサイド(CdHgSO)、亜鉛水銀セレニウムオキサイド(ZnHgSeO)、亜鉛水銀テルニウムオキサイド(ZnHgTeO)、亜鉛水銀スルフィドオキサイド(ZnHgSO)などを含むことができる。これらは各々単独で、または混合して使用できる。
【0024】
他の実施形態において、前記量子ドットは13族−15族系化合物を含むことができる。具体的に、前記量子ドットは、ガリウムホスホラス(GaP)、ガリウムアーセナイド(GaAs)、ガリウムアンチモン(GaSb)、ガリウムナイトライド(GaN)、アルミニウムホスホラス(AlP)、アルミニウムアーセナイド(AlAs)、アルミニウムアンチモン(AlSb)、アルミニウムナイトライド(AlN)、インジウムホスホラス(InP)、インジウムアーセナイド(InAs)、インジウムアンチモン(InSb)、インジウムナイトライド(InN)、ガリウムホスホラスアーセナイド(GaPAs)、ガリウムホスホラスアンチモン(GaPSb)、ガリウムホスホラスナイトライド(GaPN)、ガリウムアーセナイドナイトライド(GaAsN)、ガリウムアンチモンナイトライド(GaSbN)、アルミニウムホスホラスアーセナイド(AlPAs)、アルミニウムホスホラスアンチモン(AlPSb)、アルミニウムホスホラスナイトライド(AlPN)、アルミニウムアーセナイドナイトライド(AlAsN)、アルミニウムアンチモンナイトライド(AlSbN)、インジウムホスホラスアーセナイド(InPAs)、インジウムホスホラスアンチモン(InPSb)、インジウムホスホラスナイトライド(InPN)、インジウムアーセナイドナイトライド(InAsN)、インジウムアンチモンナイトライド(InSbN)、アルミニウムガリウムホスホラス(AlGaP)、アルミニウムガリウムアーセナイド(AlGaAs)、アルミニウムガリウムアンチモン(AlGaSb)、アルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)、アルミニウムアーセナイドナイトライド(AlAsN)、アルミニウムアンチモンナイトライド(AlSbN)、インジウムガリウムホスホラス(InGaP)、インジウムガリウムアーセナイド(InGaAs)、インジウムガリウムアンチモン(InGaSb)、インジウムガリウムナイトライド(InGaN)、インジウムアーセナイドナイトライド(InAsN)、インジウムアンチモンナイトライド(InSbN)、アルミニウムインジウムホスホラス(AlInP)、アルミニウムインジウムアーセナイド(AlInAs)、アルミニウムインジウムアンチモン(AlInSb)、アルミニウムインジウムナイトライド(AlInN)、アルミニウムアーセナイドナイトライド(AlAsN)、アルミニウムアンチモンナイトライド(AlSbN)、アルミニウムホスホラスナイトライド(AlPN)、ガリウムアルミニウムホスホラスアーセナイド(GaAlPAs)、ガリウムアルミニウムホスホラスアンチモン(GaAlPSb)、ガリウムインジウムホスホラスアーセナイド(GaInPAs)、ガリウムインジウムアルミニウムアーセナイド(GaInAlAs)、ガリウムアルミニウムホスホラスナイトライド(GaAlPN)、ガリウムアルミニウムアーセナイドナイトライド(GaAlAsN)、ガリウムアルミニウムアンチモンナイトライド(GaAlSbN)、ガリウムインジウムホスホラスナイトライド(GaInPN)、ガリウムインジウムアーセナイドナイトライド(GaInAsN)、ガリウムインジウムアルミニウムナイトライド(GaInAlN)、ガリウムアンチモンホスホラスナイトライド(GaSbPN)、ガリウムアーセナイドホスホラスナイトライド(GaAsPN)、ガリウムアーセナイドアンチモンナイトライド(GaAsSbN)、ガリウムインジウムホスホラスアンチモン(GaInPSb)、ガリウムインジウムホスホラスナイトライド(GaInPN)、ガリウムインジウムアンチモンナイトライド(GaInSbN)、ガリウムホスホラスアンチモンナイトライド(GaPSbN)、インジウムアルミニウムホスホラスアーセナイド(InAlPAs)、インジウムアルミニウムホスホラスナイトライド(InAlPN)、インジウムホスホラスアーセナイドナイトライド(InPAsN)、インジウムアルミニウムアンチモンナイトライド(InAlSbN)、インジウムホスホラスアンチモンナイトライド(InPSbN)、インジウムアーセナイドアンチモンナイトライド(InAsSbN)、及びインジウムアルミニウムホスホラスアンチモン(InAlPSb)などを含むことができる。これらは各々単独で、または混合して使用できる。
【0025】
前記量子ドット粒子は従来に知られた量子ドット粒子製造方法により準備されることができ、例えば、鉛スルフィド量子ドット粒子は、オクタデカン(octadecene:ODE)に酢酸鉛三水和物(Pb(C
2H
3O
2)
2・3H
2O)とオレイン酸を混合し、真空状態で加熱し、オクタデカンを混合後、ビストリメチルシリルスルフィド(bis(trimethylsilyl)sulfide)を注入し、冷却されたトルエンで前記溶液を冷却し、前記冷却された溶液をブタノールとメタノールの混合溶液に注入して結晶化反応を誘導して得られることができる。
【0026】
また、鉛セレナイド量子ドット粒子は、オクタデカンに酢酸鉛三水和物(Pb(C
2H
3O
2)
2・3H
2O)とオレイン酸を混合し、真空状態で加熱し、1MTOP−Se(Trioctylphosphine-Se)を室温で混合し、1,2−ヘキサデカンジオール(1,2-hexadecanediol)とオクタデカンを混合後、前記溶液と混合し、冷却されたトルエンで前記溶液を冷却し、前記冷却された溶液をブタノールとメタノールの混合溶液に注入して結晶化反応を誘導して得られることができる。
【0027】
前記過程を通じて形成された量子ドット粒子35は、
図5に図示したように、第1リガンド37と結合された状態である。前記第1リガンドは有機分子である。例えば、前記量子ドット粒子35は、リガンドとしてオレイン酸と結合できる。前記量子ドット粒子は、ブタノール、メタノール、ヘキサン、またはこれらの混合物により分散された状態でありうる。
【0028】
前記量子ドット粒子のコーティングは、ディッピング(dipping)、スプレー(spraying)、ドロップキャスティング(drop casting)、自己組立(self-assembly)、スピンコーティング、ドクターブレード(doctor blade)、プリンティングなどによりなされることができ、本実施形態ではディッピング方法が好ましく使われる。ディッピングは追加的な装備が必要でない、かつ簡単であるという長所があり、単一量子ドット層または多数層の量子ドット層を形成する時、量子ドット濃度調節を通じて成膜が有利になる長所がある。ディッピングの以外の方法は、量子ドットフィルム製造ステップのうち、リガンド置換ステップで高濃度/長時間露出が必要であるので、ディッピング方法が最も好ましい。ディッピングを遂行する場合、LbL(Layer-by-Layer)組み立てによる量子ドットフィルムが形成されて量子ドット間の結晶臨界の問題などを解決できるので、電荷の移動時、量子ドットで発生する損失や歪曲を防止することができる。例えば、前記量子ドット粒子とアルコールとの混合溶液に前記基板を数秒〜数十秒浸漬させた後、取り出すことができる。
【0029】
次に、前記量子ドット粒子のリガンドを交換する(S30)。前記交換されるリガンド物質は量子ドットに強く結合されることができ、本来結合されていたリガンドより小さなサイズを有することが好ましい。例えば、前記リガンド物質は有機物質であって、炭素数が3個以下のものが好ましく、炭素数が1つまたは2つのものがより好ましい。具体的には、前記交換されるリガンド物質は、エタンチオール、エタンジチオールのようなアルカンジチオール、ヒドラジン、ヒドロキシルアミンなどでありうる。この際、前記リガンド物質は使われる量子ドットによって選択できる。具体的には、例えば、鉛スルフィド、鉛セレナイド、鉛の場合、チオール(thiol)を含むリガンドを使用することが好ましく、インジウムホスファイドはヒドロキシル(hydroxyl)を含むリガンドを使用することが好ましい。前記物質は長さが短く、量子ドットに強く結合できるという長所がある。
【0030】
これによって、
図6に図示したように、前記量子ドット粒子は第1リガンド37より小さな第2リガンド39と結合するようになり、この過程で量子ドット粒子の間にギャップが発生することがある。
【0031】
前記量子ドットのリガンドを交換するステップは、ディッピング、スプレー、ドロップキャスティング、自己組立、スピンコーティング、ドクターブレード、プリンティングなどによりなされることができ、本実施形態ではディッピング方法が好ましく使用できる。
【0032】
次に、前記量子ドット粒子のリガンドが交換された基板を熱処理する(S40)。前記熱処理は約40〜100℃でなされることができる。前記熱処理を通じて、量子ドット薄膜の電気的特性が向上できる。前記熱処理を行う間、量子ドット粒子同士が付着されて、量子ドット粒子の電子結合エネルギーは増加し、薄膜の体積は減少する。また、部分的に
図5に図示したように、量子ドット粒子の間の距離が増加することがある。
【0033】
次に、
図7に図示したように、基板10から引張装置を分離して、基板に加えられた引張力を除去する(S50)。前記引張力が除去されるにつれて、前記基板10は収縮する。したがって、
図8に図示したように、量子ドット粒子35の間の間隔が狭くなる。
【0034】
説明したように、前記リガンド交換ステップ(S30)と熱処理ステップ(S40)で、量子ドット粒子の間隔が狭くなることによって、相対的に、量子ドット粒子が群集をなすようになって、群集間の間隙がクラックとして作用することがある。しかしながら、本発明によれば、基板に引張力を加えた状態で量子ドット薄膜30を形成し、リガンド交換及び熱処理を進行した後、基板の引張力を除去することによって、量子ドット群集の間の間隙を除去することができる。したがって、量子ドット薄膜の電気的な特性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態では、前記基板の引張力を除去する前に低温の熱処理を進行したが、他の実施形態において、前記熱処理ステップは省略されることもある。
【0036】
また、他の実施形態において、前記基板の引張力を除去した後、または前記基板の引張力を除去する前に、リガンド復元ステップをさらに経ることもできる。前記熱処理ステップ(S40)が進行されるにつれて、前記量子ドット粒子のリガンド(第2リガンド)が除去される可能性がある。前記リガンドが除去される場合、量子ドット粒子の損傷が容易に発生することがあるので、リガンド復元ステップを通じて基板を再封止することができる。前記リガンド復元ステップは、前記基板10にリガンド物質(第2リガンド)を提供してなされることができ、前記リガンド物質の提供は、リガンド交換ステップと同様にディッピング方法などにより遂行できる。
【0037】
前記量子ドット薄膜30を有する基板10は、量子ドット薄膜を用いる各種の電子素子、例えば、太陽電池などに提供できる。他の方法に、前記量子ドット薄膜30は前記基板10から分離されて、他の物質からなる基板、例えば、ガラス基板などに付着されて用いられることもできる。
【0038】
本発明は、量子ドットを用いるトランジスタを含んだ各種の電子素子、光起電センサーまたは発電素子、表示装置、光源などの製造に利用できる。
【0039】
以上、実施形態を参照して説明したが、該当する技術分野の熟練した当業者は特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができるものと理解することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 基板
20 固定部
30 量子ドット薄膜
35 量子ドット粒子
37 第1リガンド
39 第2リガンド