(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のミキサーが、前記ループ内で前記第1のループ位置の下流であるがそれに近接して位置付けられ、前記第1のミキサーは、動的ミキサーである、請求項1に記載の方法。
前記第1のアニオン性界面活性剤を前記ループ内へ分注する前記工程は、第1の速度により、前記ゲル破壊剤を前記ループ内へ分注する前記工程は、第2の速度により、前記第1の速度の前記第2の速度に対する比率は、0.4:1〜8:1である、請求項1に記載の方法。
d)第3のループ位置において第3のループ構成成分を前記ループ内へ分注する工程、を更に含み、前記第3のループ構成成分は、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、香料マイクロカプセル、シリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第3のループ位置は、前記第1のループ位置の下流にある、請求項1に記載の方法。
e)バッチ構成成分を前記バッチ容器内に添加する工程、を更に含み、前記バッチ構成成分は、水、溶媒、ビルダー、キレート剤、防腐剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、pH調整剤、香油、染料、酵素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記第1のアニオン性界面活性剤は、AESであり、前記ゲル破壊剤は、LASであり、前記AESは、分注前に前記第1の分注器内のAES組成物に含有され、前記AES組成物の60重量%〜90重量%で存在し、
前記第1の分注器は、前記第1のループ位置において終端する、前記AESを分注するための同心状注入器を備え、
前記処理装置は、前記再循環ループ内で前記第1のループ位置の下流であるがそれに近接した、第1のミキサーを更に備え、前記第1のミキサーは、高剪断ミキサーである、請求項16に記載の処理装置。
第3のループ構成成分を第3のループ位置において前記ループ内へ分注するための、前記ループと流体連通する第3の分注器と、バッチ構成成分を前記バッチ容器へ分注するための、前記バッチ容器と流体連通するバッチ分注器とを備え、
前記第3のループ構成成分は、脂肪酸、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、香料マイクロカプセル、シリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記バッチ構成成分は、水、溶媒、ビルダー、キレート剤、ポリマー、防腐剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、pH調整剤、香油、染料、酵素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の方法によれば、第1のアニオン性界面活性剤は、高粘稠六方晶相を緩和しつつ、希釈される。具体的には、上流のゲル破壊剤は、再循環ループにおいて第1のアニオン性界面活性剤と合流し、第1のアニオン性界面活性剤を希釈するのを助ける。理論に束縛されるものではないが、ゲル破壊剤は、第1のアニオン性界面活性剤の相化学及び混合動態を変化させ、それにより第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相の範囲を狭小化すると思われる。したがって、希釈時に、第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相は、緩和され、又は第1のアニオン性界面活性剤の少なくとも六方晶相への転移時間は、短縮される。
【0014】
その上、本発明の再循環バッチ処理装置の特有の構造により、液体洗浄組成物中でゲル破壊剤として機能するもの以外の成分は、第1のアニオン性界面活性剤の相化学及び混合動態に影響を及ぼさない。以下において例示されるように、これらの成分は、ループに添加されるか(ループ構成成分)、又はバッチ容器に添加されるか(バッチ構成成分)のいずれかである。これらの成分が第1のループ位置に流れるとき、これらの濃度は、第1のアニオン性界面活性剤の相挙動に重大な影響を及ぼすにはあまりに限定的である。むしろ、ゲル破壊剤と第1のアニオン性界面活性剤とのループ内における相対位置を考えると、ゲル破壊剤が、第1のループ位置を通過する流体に影響を及ぼす。したがって、本発明は、組成物中の様々な成分が相挙動に及ぼす複雑な影響を完全に理解するための多大な努力、又は成分比率の正確な制御のいずれも必要としない。対照的に、単にゲル破壊剤を第1のアニオン性界面活性剤の上流でループ内へ分注することによって、本発明の方法は、組成物中に様々な成分を配合する際の最大限の柔軟性を可能にする。
【0015】
定義
本明細書で使用するとき、用語「液体洗浄組成物」は、布地ケア、ホームケア、スキンケア、及びヘアケアの分野において、布地、硬質若しくは軟質表面、皮膚、毛髪、又は任意のその他表面の洗浄又は処理に関する液体組成物を意味する。洗浄組成物としては、洗濯洗剤、洗濯洗剤添加剤、布地柔軟剤、カーペットクリーナー、床クリーナー、風呂場クリーナー、トイレクリーナー、シンククリーナー、食器洗浄洗剤、空気ケア、車ケア、皮膚保湿剤、皮膚洗浄剤、皮膚トリートメントエマルション、シェービングクリーム、毛髪用シャンプー、毛髪用コンディショナーなどが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、液体洗浄組成物は、液体洗濯洗剤組成物、液体布地柔軟剤組成物、液体食器洗浄洗剤組成物、又は毛髪用シャンプーであり、より好ましくは、液体洗濯洗剤組成物又は毛髪用シャンプーであり、最も好ましくは、液体洗濯洗剤組成物である。液体洗浄組成物は、水性であっても非水性であってよく、異方性、等方性、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「液体組成物前駆体」は、バッチ容器内で形成され、本発明の方法の間において液体洗浄組成物に先行する組成物を指す。液体組成物前駆体の少なくとも一部分は、再循環ループ内を再循環する。液体組成物前駆体は、本方法の間に添加されるバッチ構成成分及びループ構成成分によって改質される組成物を含む。例えば、第1のアニオン性界面活性剤は、液体組成物前駆体の第1の再循環パスにおいてループ内に添加されてもよく、それぞれのパスの後に更なる第1のアニオン性界面活性剤を液体組成物前駆体に添加し、それにより液体組成物前駆体中の第1のアニオン性界面活性剤の濃度を増大させてもよいが、この変化する処方は、それでも「液体組成物前駆体」と称される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「ゲル破壊剤」は、アニオン性界面活性剤の粘稠六方晶相をより低粘稠な等方相へ効率的に改質するために機能する、1つ又は2つ以上の化学化合物を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「バッチ構成成分」は、バッチ容器に添加される成分を指し、用語「ループ構成成分」は、再循環ループに添加される成分を指す。2つの用語は、成分が添加される位置によって区別され、すなわち、成分は、バッチ容器及びループの両方に添加される場合は、バッチ構成成分及びループ構成成分の両方になり得る。第1のアニオン性界面活性剤及びゲル破壊剤は、両方ともループ内に添加され、ループ構成成分である。第1のアニオン性界面活性剤及びゲル破壊剤に加えて、ループ内に添加される第3の成分は、「第3のループ構成成分」と称される。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「ラメラ相」及び「六方晶相」は、2つの主要な種類の液晶相を指す。ラメラ相(L
α相として知られる)では、界面活性剤は、極性頭部が外向きに配向される2分子層と、2つの2分子層の間の疎水性コアに向けて配向される脂肪酸部分との膜を形成する。六方晶相では、界面活性剤は、極性頭部が球の中心(H
2相として知られる)又は球の表面(H
1相として知られる)のいずれかへ向けて配向された、球状集合体を形成する。ラメラ相における界面活性剤の活性濃度は、典型的に、60重量%超であり、およそ30%〜60%である六方晶相における活性濃度よりも高い。ラメラ相及び六方晶相の両方は、偏光顕微鏡を介して観察することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「上流」は、再循環ループ内の地点であって、ループ内の別の地点からみて、ループ入口により近く(すなわち、ループ出口からより遠くに)位置付けられた地点を指す。用語「下流」は、「上流」の反義語である。本明細書に記載の用語「ループ入口」は、液体組成物前駆体がループ内へ流入する(バッチ容器から)地点を指し、本明細書に記載の用語「ループ出口」は、ループ内の液体組成物前駆体がループを出てバッチ容器内に流れ戻る地点を指す。ループ入口は、ループ内を流れる液体組成物前駆体の流れからみて、ループ出口の上流にあることが明確に理解される。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「再循環」は、液体組成物前駆体が本発明の再循環ループ内を流れることを意味する。ループ内を再循環する液体組成物前駆体は、1回パスにわたって、若しくは数回パスにわたって、又は更には多数回パスにわたってのいずれかで流れることができる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「分注器」は、成分を分注する装置を指す。分注器は、成分を収容する貯蔵容器と流体連通し得る。あるいは、分注器それ自体が、貯蔵容器(すなわち成分を収容及び分注するためのもの)としても機能し得る。分注器の非限定的な例としては、「T注入器」及び「同心状注入器」が挙げられる。本明細書に記載の用語「T注入器」は、「T」字に似た形状の注入装置を指し、1つのループ構成成分が液体組成物前駆体に供給され、「T」の交差地点で液体組成物前駆体と合流する。本明細書に記載の用語「同心状注入器」は、ループ内に位置付けられ、ループの少なくとも一部分に沿って長手方向に延在する、開放終端の同心状供給管を指す。同心状注入器では、典型的に、1つのループ構成成分が同心状供給管を通じて供給され、液体組成物前駆体は、中空管内を流れ、ループ構成成分と液体組成物前駆体とは、開放終端の同心状供給管が終端する地点(すなわち、第1のループ位置)で合流する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「混合」は、成分を共に添加し、均質性を得ることを指し、用語「混合物」は、成分の均質な混合物を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「組み合わせ」は、実質的な混合の有無にかかわらず、均質性を得るために共に添加した成分を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「滞留時間」は、流体が装置の所定の位置に滞留する又は所定の位置を流れる時間の長さ、例えば、ミキサーを通過する液体組成物前駆体の滞留時間又はバッチ容器に収容されている液体組成物前駆体の滞留時間、を意味する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、分岐鎖又は非分岐鎖、飽和又は不飽和であるヒドロカルビル部分を意味する。用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる。
【0027】
本明細書で使用するとき、組成物が特定の成分を「実質的に含まない」ときとは、その組成物が、微量に満たない、あるいは組成物の0.1重量%未満、あるいは0.01重量%未満、あるいは0.001重量%の特定成分を含むことを意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、本発明の方法における工程に関する用語「a)」、「b)」、及び「c)」は、順序を意味しない。例えば、工程a)は、工程b)の前若しくは工程b)の後に起こり得、工程b)及びc)は、同時に起こり、又は工程b)は、工程c)の後に起こる。
【0029】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲で使用されるとき、1以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」、「包含する(include、includes、including)」、「含有する(contain、contains、containing)」は、非限定的である、すなわち、最終結果に影響を及ぼすことのない他の工程及び他の成分を加えることができることを指す。上記用語には、「からなる」及び「から本質的になる」という用語が包含される。
【0031】
液体洗浄組成物
本発明の方法によって得られる液体洗浄組成物は、第1のアニオン性界面活性剤、ゲル破壊剤として機能することができる成分、及び好ましくは1つ又は2つ以上の補助成分を含む。
【0032】
ゲル破壊剤により、第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相は緩和され、それによりループ内を再循環する液体組成物前駆体を許容粘度値にする。好ましくは、ループ内の液体組成物前駆体は、10/秒の剪断速度及び30℃の温度において、約0.01〜10Pa−s、好ましくは約0.1〜8Pa−s、好ましくは約0.2〜6Pa−sの粘度を有する。
【0033】
本明細書に記載の液体洗浄組成物は、組成物に組み込まれる成分に応じて、酸性又はアルカリ性又はpH中性であってよい。液体洗浄組成物のpH範囲は、好ましくは約5〜11、あるいは約7〜9である。しかしながら、再循環ループ内を流れる液体組成物前駆体に関して、驚くべきことに、比較的低いpHが、六方晶相の界面活性剤の相転移時間を短縮することが見出された。好ましくは、ループ内の液体組成物前駆体は、約2〜8、あるいは約3〜7、あるいは約4〜6のpHを有する。ループ内の液体組成物前駆体のpHが2未満のとき、第1のアニオン性界面活性剤は、潜在的に劣化し得、一方で、比較的高いpH(例えば、pH 10)は、六方晶相の溶解を阻止し、したがって典型的に、この粘度の難題を克服するためにより高いエネルギーがループ内を流れる液体組成物前駆体に付与されることを必要とする。
【0034】
本発明の方法によって得られる液体洗浄組成物は、ユーザに販売される最終組成物である場合もあれば、そうでない場合もあることは、注目に値する。一実施形態では、本方法によって得られる組成物は、最終液体洗浄組成物である。代替的であるが好ましい一実施形態では、本方法によって得られる液体洗浄組成物は、最終組成物の主要部分を構成する成分を含み、単に仕上げ成分又は製品により異なる他の少量成分(例えば、染料、香油)を欠いている、「ホワイトベース」である。これらの仕上げ成分又は少量成分は、最終組成物を形成するために、本方法の後の工程においてホワイトベース中に添加され得る。これらの仕上げ成分又は少量成分は、バッチ法(本発明のバッチ再循環処理とは別個の)又は連続法を介して添加され得、好ましくは本発明の再循環バッチ処理装置と流体連通するインライン式の方法などの連続法を介して添加される。
【0035】
第1のアニオン性界面活性剤
本発明の第1のアニオン性界面活性剤は、AS、AES、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。AS及びAESの両方は、濃縮形態からの希釈時に、粘稠六方晶相を呈する。好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤は、AESである。
【0036】
一実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤は、分注前に第1のアニオン性界面活性剤組成物中に含有される。第1のアニオン性界面活性剤は、好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤組成物の約60重量%〜90重量%、あるいは約62重量%〜80重量%、あるいは約65重量%〜75重量%で存在する。このような濃度形態では、第1のアニオン性界面活性剤は、典型的に、第1のアニオン性界面活性剤組成物においてラメラ相を呈する。したがって、これは、第1のアニオン性界面活性剤が六方晶相にあるときよりも、低粘稠である。第1のアニオン性界面活性剤に加えて、第1のアニオン性界面活性剤組成物は、水及び/又はエタノールなどの溶媒、並びに水酸化ナトリウム及び/又はモノエタノールアミンなどの中和剤を含んでもよい。一実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤組成物は、AES組成物であり、AES組成物は、約60重量%〜90重量%のAES、並びに水及び水酸化ナトリウムを含む。別の実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤組成物は、AES組成物であり、AES組成物は、約65重量%〜75重量%のAES、並びに水、モノエタノールアミン、及び脂肪酸を含む。第1のアニオン性界面活性剤組成物中の成分の濃度は、当該技術分野で既知のように変化させることができる。pH値に関しては、AES組成物は、好ましくは約10〜13、より好ましくは約11〜13のpHを有する。
【0037】
第1のアニオン性界面活性剤は、典型的に、本発明の方法によって作製された液体洗浄組成物において等方相を呈し、すなわち、その活性濃度は、六方晶相と等方相との間の活性濃度境界を下回る。好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤は、液体洗浄組成物の28重量%未満、あるいは約1重量%〜28重量%、あるいは約2重量%〜25重量%、あるいは約5重量%〜20重量%、あるいは約10重量%〜18重量%で存在する。
【0038】
第1のアニオン性界面活性剤又は第1のアニオン性界面活性剤組成物は、任意の好適な温度を有し得、好ましくは周囲温度よりも高い温度を有するが、その理由は、より高い温度が第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相を「軟質化」又は破壊するのを助けるからである。一実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤は、分注前に約25℃〜70℃、好ましくは約30℃〜50℃の温度を有する。このような高温は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、加熱又は特定量の水蒸気との混合、により提供され得る。
【0039】
本明細書に記載のAS及びAESは、それぞれ式ROSO
3M及びRO(C
2H
4O)
xSO
3Mのものであり、式中、Rは、約8〜18個の炭素原子を有するアルキルであり、xは、1〜10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、及びモノエタノールアミンカチオンなどの水溶性カチオン、又は2価マグネシウムイオンとアニオン性界面活性剤の2つのアニオンとの塩である。AESは、エチレンオキシドと、約8〜18個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として作製されてもよい。アルコールは、例えばココヤシ油、パーム油、パーム核油、若しくはタローなどの脂肪から誘導され得るか、又は合成であり得る。
【0040】
本明細書において第1のアニオン性界面活性剤としての使用に好適であるアニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸塩モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸塩ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、メチルラウロイルタウリン酸ナトリウム、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい一実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤は、1分子当たり平均0.7〜3モル、好ましくは1〜3モルのエトキシ部分を有するラウレス硫酸ナトリウムである。
【0041】
ゲル破壊剤
本発明のゲル破壊剤は、ゲル破壊剤として機能することができる又はゲル破壊剤として意図的に添加された、液体洗浄組成物中の任意の成分であり得る。好ましくは、ゲル破壊剤は、ゲル破壊剤として機能することができる、組成物中の一般的な成分であり、したがって、その後に所望でないゲル破壊剤を除去する必要性がない。一実施形態では、本明細書に記載のゲル破壊剤は、第2のアニオン性界面活性剤、有機溶媒、ヒドロトロープ、疎水性修飾ポリマー、水蒸気、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、第2のアニオン性界面活性剤は、希釈時に六方晶相を呈しないことによって特徴付けられる。好ましくは、再循環ループ内への分注前に、ゲル破壊剤は、ゲル破壊剤組成物中に含有されている。
【0042】
一実施形態では、ゲル破壊剤は、希釈時に六方晶相を経験しないことによって特徴付けられる第2のアニオン性界面活性剤であり、好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)である。LASは、洗浄組成物において使用される一般的なアニオン性界面活性剤である。好ましくは、分注前に、LASは、LAS組成物中に含有されている。LASは、好ましくは、LAS組成物の約50重量%〜100重量%、あるいは約70重量%〜99重量%、あるいは約90重量%〜98重量%で存在する。LAS組成物は、酸性又はアルカリ性又はpH中性であってよい。一実施形態では、LAS組成物は、pH中性であり、すなわち、LASは、水酸化ナトリウム及び/又はモノエタノールアミンなどの中和剤によって予備中和されている。代替的であるが好ましい一実施形態では、LAS組成物は、酸性であり、それによりループ内の液体組成物前駆体について所望の低pHを可能にする。この酸性LAS組成物は、ループ内に添加され、液体組成物前駆体中に存在する中和剤(例えば、バッチ容器に添加される水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム)と合流するとき、中和されることになる。本方法によって作製される液体洗浄組成物において、LASは、組成物の約1重量%〜30重量%、あるいは約3重量%〜20重量%、あるいは約5重量%〜15重量%で存在する。しかしながら、ループ内へ注入されるLASの濃度は、ゲル破壊剤として機能するLASを最大限にするために、下流でループ内へ注入される第1のアニオン性界面活性剤の濃度に対して特定の重量比範囲にあることが好ましいので、再循環ループ内を再循環する液体組成物前駆体において、LASの濃度は、液体洗浄組成物における濃度と異なり得ることは、注目に値する。このゲル破壊剤の第1のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、以下に記載される。
【0043】
本明細書に記載のLASは、当該技術分野で既知の任意のLASクラスであってよい。しかしながら、C
10〜C
16のLASが好ましい。LASは、通常、アルキルベンゼンのスルホン化(SO
2又はSO
3を使用する)によって調製される。好適なアルキルベンゼンの供給原料は、硫酸及びHFに基づく方法を含む任意の好適なアルキル化スキームを使用して、オレフィン、パラフィン、又はこれらの混合物から作製することができる。的確にアルキル化触媒を変えることにより、ベンゼンの脂肪族炭化水素鎖への共有結合の位置を広く変えることが可能である。したがって、本明細書に記載のLASは、2−フェニル異性体及び/又は内部異性体含有量において広く変えることができる。
【0044】
別の実施形態では、ゲル破壊剤は、有機溶媒である。本明細書に記載の有機溶媒には、当該技術分野で有機溶媒として認識されている物質が包含される。有機溶媒は、アルコール、エーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得、好ましくはアルコールである。アルコールは、ジオール、トリオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アルコールは、短鎖アルコール又は長鎖アルコールのいずれかであってよい。一実施形態では、アルコールは、短鎖アルコールであり、より好ましくは、プロピレングリコール、エタノール、メタノール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。代替的な実施形態では、アルコールは、長鎖アルコールであり、より好ましくはポリエチレングリコールである。
【0045】
また別の実施形態では、ゲル破壊剤は、ヒドロトロープである。本明細書に記載のヒドロトロープには、当該技術分野でヒドロトロープとして認識されている物質が包含される。ヒドロトロープは、クメンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、尿素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。ヒドロトロープの非限定的な例は、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、及びジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムを含む。
【0046】
また別の実施形態では、ゲル破壊剤は、疎水性修飾ポリマーである。本明細書に記載の疎水性修飾ポリマーには、当該技術分野における疎水性修飾されたポリマーが包含される。疎水性修飾ポリマーの一例は、グラフトベースとしてのポリアルキレンオキシドと酢酸ビニルの重合によって形成される側鎖とから合成され、アルキレンオキシド単位50個当たり平均1個以下のグラフト部位、及び3000〜100000の平均モル質量Mwを有する、グラフトコポリマーである。
【0047】
更に別の実施形態では、ゲル破壊剤は、水蒸気である。水蒸気は、典型的に、100℃以上の温度を有する。水蒸気からの熱は、第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相を(所望の、より低粘稠な等方相へ)改質するのを助け得る。
【0048】
補助剤成分
本明細書に記載の液体洗浄組成物は、1つ以上の補助剤成分を含み得る。好適な補助物質としては、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、構造剤、溶媒、ビルダー、キレート剤、中和剤、防腐剤、pH調整剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成過酸、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、光漂白剤、香油、香料マイクロカプセル、シリコーン、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、色調剤、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。液体洗浄組成物中におけるこれら補助剤成分の正確な性質及びその濃度は、組成物の物理的形状、及び組成物が使用される洗浄操作の性質によって決まる。
【0049】
上記の補助剤成分は、液体洗浄組成物中の成分の濃度、組成物中における成分の他の成分との相溶性、成分を他の成分と組み合わせるために必要とされるエネルギーなどを含む要因に応じて、バッチ容器へ、若しくは再循環ループへ、又はバッチ容器及び本発明のループの両方に添加され得る。一実施形態では、一部の補助剤成分はループ内に添加される一方で、その他はバッチ容器に添加される。別の実施形態では、特定の成分は、バッチ容器及びループの両方に添加され、すなわち、成分は、2つ以上の部分に分割され、これらの2つ以上の部分は、バッチ容器及びループへ別個に添加される。
【0050】
バッチ構成成分は、好ましくは、水、溶媒、ビルダー、キレート剤、防腐剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、pH調整剤、香油、染料、酵素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分である。ループ内に添加される第1のアニオン性界面活性剤及びゲル破壊剤に加えて、ループ構成成分は、好ましくは、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、構造剤、香料マイクロカプセル、シリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分である。
【0051】
方法
本発明の方法は、
a)再循環バッチ処理装置を提供する工程であって、該再循環バッチ処理装置は、i)液体組成物前駆体を収容するバッチ容器と、ii)該液体組成物前駆体の少なくとも一部分を再循環させる、該バッチ容器と流体連通する再循環ループと、を備える、工程と、
b)該液体組成物前駆体の少なくとも一部分が再循環している間に、第1のアニオン性界面活性剤を第1のループ位置において該ループ内へ分注する工程であって、該第1のアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルエトキシ硫酸塩(AES)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
c)該液体組成物前駆体の少なくとも一部分が再循環している間に、ゲル破壊剤を第2のループ位置において該ループ内へ分注する工程であって、該第2のループ位置は、該第1のループ位置の上流にある、工程と、を含み、
それにより液体洗浄組成物を作製する。
【0052】
好ましくは、工程b)において、第1のアニオン性界面活性剤をループ内へ分注する工程は、第1の速度により、工程c)において、ゲル破壊剤をループ内へ分注する工程は、第2の速度による。本明細書に記載の用語「第1の速度」及び「第2の速度」は、単位時間当たりに添加される活性剤の量を指す。具体的には、第1の速度は、単位時間当たりに添加される第1のアニオン性界面活性剤の量(但し、添加される第1のアニオン性界面活性剤組成物の量ではない)を指し、第2の速度は、単位時間当たりの添加されるゲル破壊剤の量(但し、添加されるゲル破壊剤組成物の量ではない)を指す。一実施形態では、第1の速度は、約0.3〜8L/秒(1〜30m
3/時)、あるいは約0.8〜6L/秒(3〜20m
3/時)、あるいは約1〜5L/秒(5〜18m
3/時)であり、第2の速度は、約0.1〜11L/秒(0.5〜40m
3/時)、あるいは約0.3〜6.9L/秒(1〜25m
3/時)、あるいは約1〜4.2L/秒(5〜15m
3/時)である。第1の速度及び第2の速度はまた、方法のバッチサイクル時間(すなわち、所望の液体洗浄組成物を作製するための実行時間)、ループ内における液体組成物前駆体の流速、バッチ容器の容積、第1のアニオン性界面活性剤組成物における第1のアニオン性界面活性剤の濃度、ゲル破壊剤組成物におけるゲル破壊剤の濃度などに関係することが理解される。例えば、第1の速度及び第2の速度は、液体組成物前駆体の流速がより高速である場合は、より高速であり得る。
【0053】
驚くべきことに、第1の速度と第2の速度との好適な比率は、第1のアニオン性界面活性剤の溶解効果の最適化につながることが発見された。理論に束縛されるものではないが、第1の速度と第2の速度との好適な比率は、必要に応じて相化学を望ましいやり方で変化させ、したがって第1のアニオン性界面活性剤の六方晶相を著しく緩和すると思われる。第1の速度と第2の速度との比率は、ループ内を再循環する液体組成物前駆体中に存在する第1のアニオン性界面活性剤の量とゲル破壊剤の量の比率に概ね対応する(但し、液体洗浄組成物中に存在する第1のアニオン性界面活性剤の量とゲル破壊剤の量の比率には必ずしも対応しない)ことが理解される。一実施形態では、第1の速度と第2の速度との比率は、約0.4:1〜8:1、好ましくは約0.5:1〜7:1、より好ましくは約0.6:1〜6:1である。好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤はAESであり、ゲル破壊剤はLASであり、AESは、分注前にAES組成物に含有され、AES組成物の約60重量%〜90重量%、あるいは約62重量%〜80重量%、あるいは約65重量%〜75重量%で存在し、LASは、分注前にLAS組成物に含有され、LAS組成物の約50重量%〜100重量%、あるいは約70重量%〜99重量%、あるいは90重量%〜98重量%で存在する。一実施形態では、ループ内を再循環する液体組成物前駆体において、AESは液体組成物前駆体の約20重量%〜35重量%で存在し、LASは約1重量%〜25重量%で存在し、あるいはAESは液体組成物前駆体の約20重量%〜29重量%で存在し、LASは約1重量%〜20重量%で存在し、あるいはAESは液体組成物前駆体の約29重量%〜35重量%で存在し、LASは約10重量%〜20重量%で存在する。
【0054】
工程b)及びc)は、同時に開始する場合も、しない場合もある。一実施形態では、工程b)及びc)は、同時に開始する。代替的であるが好ましい実施形態では、工程b)は、ループ内における液体組成物前駆体の流速、第1のループ位置と第2のループ位置との間の距離などの要因に応じて、工程c)よりもわずかに遅れて開始する。一実施形態では、液体組成物前駆体は、約6〜14L/秒(20〜50m
3/時)の流速で約0.005〜0.02m
2の断面積を有するループ内を流れ、第2のループ位置は、第1のループ位置の約1〜5メートル上流に位置付けられ、工程b)は、工程c)より約0.3〜20秒遅れて開始する。また、工程b)及びc)は、同時に停止する場合も、しない場合もある。
【0055】
一実施形態では、第1のアニオン性界面活性剤は、第1の分注器を介して再循環ループ内へ分注される。この第1の分注器は、当該技術分野で既知の任意の分注器であってよい。好ましくは、第1のアニオン性界面活性剤は、T注入器又は同心状注入器を介して、より好ましくは同心状注入器を介して、ループ内へ分注される。同心状注入の実行において、同心状注入器の同心状供給管は、第1のアニオン性界面活性剤が液体組成物前駆体とループ内で合流する第1のループ位置で終端する(第1のループ位置を通過する液体組成物前駆体は、主にゲル破壊剤を含む)。
【0056】
一実施形態では、第1のミキサーが、再循環ループ内で第1のループ位置の下流であるが第1のループ位置に近接して位置付けられている。同心状注入の実行が本明細書では好ましいが、その理由は、同心状注入は、第1のアニオン性界面活性剤と液体組成物前駆体とを、実質的に相互に合流することなしに、直接第1のミキサーに誘導するからである。第1のミキサーは、当該技術分野で既知の任意の好適なミキサー、例えば静的ミキサー又は動的ミキサーであってよい。一実施形態では、第1のミキサーは、静的ミキサー(例えば、従来の静的ミキサー又は米国特許公開第2011/0172137A号に記載されているようなSONOLATOR(登録商標))である。代替的であるが好ましい実施形態では、第1のミキサーは、動的ミキサー(例えば、IKAロータ−ステータ粉砕機)である。
【0057】
第1のミキサーが利用されるとき、所望の均質性を達成するために必要とされるエネルギーの量は最小限であり、当業者は、この最小限の量のエネルギーが、使用されるミキサー及び研究対象の組成物によって決まることを理解する。エネルギー密度の計算方法は、以下に記載される。一実施形態では、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度は、約10〜100000kJ/m
3、あるいは約100〜10000kJ/m
3である。
【0058】
第2の態様では、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度は、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体の滞留時間に関係する。一般に、エネルギー密度が高いほど、必要とされる滞留時間は短くなる。一実施形態では、液体組成物前駆体は、1再循環パス当たり約0.001〜100秒の滞留時間で該第1のミキサーを通過し、約10〜100000kJ/m
3のエネルギー密度を付与される。好ましくは、液体組成物前駆体は、1再循環パス当たり約0.01〜30秒の滞留時間で該第1のミキサーを通過し、約100〜10000kJ/m
3のエネルギー密度を付与される。
【0059】
第3の態様では、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度は、バッチ容器内の液体組成物前駆体に加えられるエネルギー密度に関係する。具体的には、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度が高いほど、バッチ容器内の液体組成物前駆体に加えられる必要があるエネルギー密度は低くなる。また、バッチ容器内の成分を混合する必要性は常に存在する(すなわち、エネルギーは、バッチ容器内の成分を混合するために、バッチ容器に常に加えられることになる)ことを考えると、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度は、ある程度低減され得る。言い換えると、第1のミキサーを通過する液体組成物前駆体に付与されるエネルギー密度は、所望の均質性を十分に達成しなくてもよいが、その理由は、追加のエネルギーが、滞留時間が著しく長いバッチ容器内の液体組成物前駆体に最終的に加えられることになるからである。一実施形態では、液体組成物前駆体は、1再循環パス当たり約0.01〜30秒の滞留時間で該第1のミキサーを通過し、約100〜10000kJ/m
3のエネルギー密度を付与され、バッチ容器内の液体組成物前駆体は、約10〜30分の滞留時間で約10〜500kJ/m
3のエネルギー密度を付与される。好ましくは、液体組成物前駆体は、1再循環パス当たり約0.1〜30秒の滞留時間で該第1のミキサーを通過し、約100〜1000kJ/m
3のエネルギー密度を付与され、バッチ容器内の液体組成物前駆体は、約15〜30分の滞留時間で約100〜500kJ/m
3のエネルギー密度を付与される。
【0060】
第1のアニオン性界面活性剤と同様に、好ましくは、ゲル破壊剤は、第2の分注器を介して再循環ループ内へ分注される。この第2の分注器は、第2のループ位置が第1のループ位置の上流にある限り、当該技術分野で既知の任意の分注器(例えば、T注入器又は同心状注入器)であってよい。好ましくは、第2の分注器は、同心状注入器である。第2のミキサーは、第1のループ位置と第2のループ位置との間に位置付けられる場合も、そうでない場合もある。第2のミキサーが利用されるとき、好ましくは、第2のミキサーは、第2のループ位置の下流であるが第2のループ位置に近接して位置付けられる。第2のミキサーは、当該技術分野で既知の任意の好適なミキサー、例えば静的ミキサー又は動的ミキサーであってよい。
【0061】
好ましくは、ゲル破壊剤は、LASである。一実施形態では、結果として生じる液体洗浄組成物中に存在することになるLASは全て、再循環ループ(例えば、第2のループ位置)を介して液体組成物前駆体に添加される。しかし、酸性LAS組成物の実行において、好ましくは、LASは、2つの部分に分割され、LASの1つの部分は、ループ構成成分としてループ内に添加され、他方の部分は、バッチ構成成分としてバッチ容器に添加される。典型的に、未中和のLAS(すなわち、酸性LAS組成物からのLAS)がループ内の液体組成物前駆体に合流するとき、LASと中和剤(例えば、バッチ容器に添加される水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム)との間で中和反応が生じ、大量の熱を放出する。このような大量の熱放出は、組成物の変色、生産における安全性への懸念、器械腐食のような問題を引き起こすため、望ましくない。したがって、LASを別個に添加すること(すなわち、LASの一部分をループ内へ、他の部分をバッチ容器へ)が好ましい。
【0062】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、第3のループ構成成分を第3のループ位置においてループ内へ分注する工程d)を更に含む。第3のループ位置は、再循環ループ内の任意の位置、すなわち、第2のループ位置の上流、又は第1のループ位置と第2のループ位置との間、又は第1のループ位置の下流にあってよい。好ましくは、第3のループ位置は、第1のループ位置の下流にあり、それにより第1のアニオン性界面活性剤の相挙動を複雑化させない。一実施形態では、第3のループ構成成分は、第3のループ位置において第3の分注器(例えば、T注入器又は同心状注入器)を介してループ内へ分注される。第3のミキサーは、第3のループ位置の下流に位置付けられる場合も、そうでない場合もある。第3のミキサーが利用されるとき、好ましくは、第3のミキサーは、第3のループ位置の下流であるが第3のループ位置に近接して位置付けられる。第3のミキサーは、当該技術分野で既知の任意の好適なミキサー、例えば静的ミキサー又は動的ミキサーであってよい。3つ若しくは4つ又はそれ以上のループ構成成分が存在する場合、これらのループ構成成分は、同じ第3のループ位置又はループ内の異なるループ位置のいずれかにおいて分注され得る。
【0063】
一実施形態では、本明細書に記載の方法は、バッチ構成成分をバッチ容器内に添加する工程e)を更に含む。バッチ構成成分は、同時に又は一度に順次にのいずれかで添加され得る。
【0064】
ゲル破壊剤、第3のループ構成成分、及びバッチ構成成分は、必ずしも異なるものではない。例えば、上で触れたように、LASは、別個に添加され得、1つの部分は、第2のループ位置においてゲル破壊剤としてループ内に添加され、他方の部分は、バッチ構成成分としてバッチ容器内に添加される。また、LASの第3の部分は、第3のループ位置において第3のループ構成成分としてループ内に添加され得る。別の例、非イオン性界面活性剤(例えば、7モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたC
12〜C
15アルコール)は、第3のループ位置において第3のループ構成成分としてループ内へ、及びバッチ構成成分としてバッチ容器内へ、別個に添加され得る。更に、第1のアニオン性界面活性剤、特に30活性重量%未満の濃度を有する予備希釈された第1のアニオン性界面活性剤が、第3のループ位置において第3のループ構成成分としてループ内へ、及びバッチ構成成分としてバッチ容器内へ、添加され得ることが理解される。
【0065】
本発明の方法によれば、成分(第1のアニオン性界面活性剤、ゲル破壊剤、ループ構成成分、及びバッチ構成成分を含む)は、液体組成物前駆体の1回パスの間若しくは数回パスの間又は多数回パスの間のいずれかにおいて、ループ内に流れ込むことができる。ループは、バッチ容器と流体連通し、バッチ構成成分のうちの少なくとも一部分は、ループ内を再循環するので、全ての成分(ループ構成成分としてのものだけでなく)は、1回又は2回以上のパスにわたってループ内を流れ得ることが理解される。また、成分は、同じ回数又は異なる回数のいずれかにわたってループ内を流れ得る(例えば、特定のループ構成成分は、他の成分よりも遅れてループ内に添加され、したがってより早期に添加された成分よりも少ない回数にわたってループ内を再循環する)ことも理解される。好ましくは、成分は、複数回にわたってループ内を再循環し、好ましくはバッチ容器内の液体組成物前駆体が、それぞれの成分について液体洗浄組成物と同様の所望の濃度を達成する(そして好ましくは所望の均質性を達成する)まで再循環する。液体組成物前駆体においてそれぞれの成分について所望の濃度及び均質性が達成されると、組成物は、バッチ容器内へ回収され、その後処理装置排出口を介して再循環バッチ処理装置から流出する。
【0066】
本明細書に記載の方法は、使用されるミキサー、液体組成物前駆体の物理的特性、及び必要とされる生産能力などの要因に応じて、適切な圧力下で操作される。典型的に、本方法により必要とされる圧力は、成分比率を正確に制御するために高いポンピング能力を必要とし、したがって著しい圧力低下を生じる従来の連続法におけるほど高くない。一実施形態では、本方法の操作圧力(すなわち、ループ内の圧力)は、約0.2〜1MPa(2〜10バール)、好ましくは0.3〜0.6MPa(3〜6バール)である。
【0067】
液体組成物前駆体は、必要とされる生産能力、バッチサイクル時間、バッチ容器の容積、ループ構成成分をループ内へ分注する速度、液体組成物前駆体の物理的特性(例えば、粘度)などを含む要因に応じて、任意の好適な流速でループ中を流れる。特に、ループを通る液体組成物前駆体の流速は、方法のバッチサイクル時間及びバッチ容器の容積に関係する。例えば、再循環ループを通る流速が約1〜14L/秒(5〜50m
3/時)で、バッチが約5〜50m
3の容積を有する場合、バッチサイクル時間は、約10〜60分である。別の例、再循環ループを通る流速が約6〜14L/秒(20〜50m
3/時)で、バッチ容器が約10〜30m
3の容積を有する場合、バッチサイクル時間は、約20〜60分である。
【0068】
非常に好ましい実施形態において、本明細書に記載の方法は、
a)再循環バッチ処理装置を提供する工程であって、再循環バッチ処理装置は、i)液体組成物前駆体を収容するバッチ容器と、ii)液体組成物前駆体の少なくとも一部分を再循環させる、バッチ容器と流体連通する再循環ループと、を備える、工程と、
b)液体組成物前駆体の少なくとも一部分が再循環している間に、第1の速度でAESを第1のループ位置においてループ内へ分注する工程であって、AESは、分注前にAES組成物に含有され、AES組成物の約60重量%〜90重量%で存在する、工程と、
c)液体組成物前駆体の少なくとも一部分が再循環している間に、第2の速度でLASを第2のループ位置においてループ内へ分注する工程であって、LASは、分注前にLAS組成物に含有され、LAS組成物の約50重量%〜100重量%で存在する、工程と、を含み、
第2のループ位置は、第1のループ位置の上流にあり、第1の速度と第2の速度との比率は、約0.5:1〜7:1であり、
それにより、AESが組成物の約5重量%〜28重量%で存在する、液体洗浄組成物を作製する。
【0069】
更により好ましくは、本明細書に記載の方法は、
d)第3のループ構成成分を第3のループ位置においてループ内へ分注する工程であって、第3のループ位置は、第1のループ位置の下流にあり、第3のループ構成成分は、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、構造剤、香料マイクロカプセル、シリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、
e)バッチ構成成分をバッチ容器内に添加する工程であって、バッチ構成成分は、水、溶媒、ビルダー、キレート剤、防腐剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、pH調整剤、香油、染料、酵素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、工程と、を更に含む。
【0070】
六方晶相を緩和すること及び最大限の処方柔軟性を可能にすることに加えて、本発明の方法は、特に従来のバッチ法又は連続法と比較して、著しい利点を達成する。具体的には、従来のバッチ法は、バッチ容器内での混合工程が完了するまで後工程は遊休状態になければならないので、非効率的かつ時間がかかると一般に考えられている。また、バッチ容器サイズの範囲が限定されることにより、生産能力が限定されるので、スケールアップが困難をとなる。極めて対照的に、本発明の再循環バッチ法は、効率的な生産を可能にし、単にループ内の液体組成物前駆体の流速を加速することによって生産能力を拡張することを可能にする。その上、従来の連続法は、実際にはバッチ法よりも効率的であるが、先に述べたように、連続法は、典型的に、バッファの不在のために、注入される成分それぞれの正確な制御を必要とする。また、連続法は、添加の順序の変更に対して柔軟ではない。対照的に、本方法におけるバッチ容器は、バッファとしての役割を果たすので、本再循環バッチ法は、特にバッチ容器に添加されるものに関して、成分比率の正確な制御又は成分の添加順序の固定のいずれも必要としない。
【0071】
更に、洗浄組成物中に見られる一般的な成分をゲル破壊剤として使用し、第1のアニオン性界面活性剤をゲル破壊剤の流れに添加することによって、本発明の方法は、第1のアニオン性界面活性剤の処理可能な濃度範囲を増大させる。より重要なこととして、本方法は、別個の希釈操作及び所望でない物質又は過剰量の水を除去する後続工程を不要にする。
【0072】
再循環バッチ処理装置
別の態様では、本発明は、再循環バッチ処理装置に関し、この装置は、バッチ容器と、バッチ容器と流体連通する再循環ループと、第1のアニオン性界面活性剤を第1のループ位置においてループ内へ分注するための、ループと流体連通する第1の分注器と、ゲル破壊剤を第2のループ位置においてループ内へ分注するための、ループと流体連通する第2の分注器と、を備え、第2のループ位置は、第1のループ位置の上流にあり、第1のアニオン性界面活性剤は、AS、AES、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0073】
第2のループ位置は、第1のループ位置の上流にある。一実施形態では、第2のループ位置は、第1のループ位置の約0.1〜20メートル、あるいは約1〜10メートル、あるいは約2〜8メートル上流にある。別の実施形態では、第2のループ位置は、第1のループ位置の上流であるが第1のループ位置に近接して位置付けられている。
【0074】
一実施形態では、再循環ループは、2つの別々の位置、すなわちループ入口及びループ出口でバッチ容器と流体連通する。好ましくは、ループ入口は、ループ出口よりもバッチ容器の底部により近い位置に位置付けられ、こうすることにより、バッチ容器内に収容される成分の均質性を達成することが容易となる。一実施形態では、ループ入口は、バッチ容器の底部に位置付けられ、ループ出口は、ループ入口よりも高く、例えば、バッチ容器の頂部近傍に位置付けられる。
【0075】
再循環バッチ処理装置は、2つ以上のバッチ容器及び/又は2つ以上の再循環ループを備え得る。一実施形態では、再循環バッチ処理装置は、2つ以上のループを介して相互に接続された2つ以上のバッチ容器を備える。別の実施形態では、2つ以上のバッチ容器のそれぞれは、個々のループと流体連通するが、これら2つ以上のバッチ容器は、特定の装置(例えば、バッチ分注器)を共有する。あるいは、再循環バッチは、1つのバッチ容器と2つ以上のループとを備え得、2つ以上のループのそれぞれは、1つのバッチ容器と流体連通する。
【0076】
本明細書に記載の再循環バッチ処理装置は、好ましくは、形成された組成物が処理装置から流出するための処理装置排出口を有する。処理装置排出口は、本処理装置の任意の位置に、バッチ容器内又はループ内のいずれかに、位置付けられ得る。また、処理装置排出口は、ループ入口若しくはループ出口と同じ位置に、又はループ入口若しくはループ出口と異なる位置に、位置付けられ得る。一実施形態では、処理装置排出口は、バッチ容器の底部又は底部近くに位置付けられる。代替的な実施形態では、処理装置排出口は、ループ内、例えば、第2ループ位置の上流、第1のループ位置と第2のループ位置との間、又は第1のループ位置の下流にある。好ましくは、処理装置排出口は、第2のループ位置の上流に位置付けられる。
【0077】
本明細書に記載の再循環ループは、好ましくは、ループ中を流れるように液体組成物前駆体に力を作用させるためのポンプを有する。ポンプは、当該技術分野で既知の任意のポンプであってよく、その非制限的な例としては、インライン式垂直遠心ポンプなどの遠心ポンプ、容積移送式ポンプ、パワーピストン、スクリューポンプ、回転ポンプ、ジェットポンプ、及びエルボーポンプが挙げられる。ポンプは、本ループの任意の場所に、例えば、第2のループ位置の上流、第1のループ位置と第2のループ位置との間、又は第1のループ位置の下流に、位置付けられ得る。好ましくは、ポンプは、第2のループ位置の上流に、より好ましくはループ入口に近接して、位置付けられる。一実施形態では、ポンプは、第2のループ位置の上流に、かつループ入口に近接して位置付けられた容積移送式ポンプである。
【0078】
LAS実行(そのLASは、ゲル破壊剤として第2のループ位置において注入される)では、好ましくは、前に説明したように中和によって引き起こされる大量の熱の放出のため、熱交換器がループ内に位置付けられる。熱交換器は、第2のループ位置の上流又は下流に位置付けられ得るが、好ましくは、第2のループ位置の上流であるがポンプの下流にある。処理装置排出口の実行では、処理装置排出口は、熱交換器の上流又は下流のいずれかに、好ましくは熱交換器の上流に、位置付けられ得る。一実施形態では、ループ内には2つ以上の熱交換器が存在し、例えば、1つの熱交換器は、第2のループ位置の上流にあり、他方の熱交換器は、第2のループ位置の下流にある。
【0079】
一実施形態では、第1の分注器は、T注入器又は同心状注入器であるが、好ましくは同心状注入器である。好ましくは、再循環バッチ処理装置は、第1のアニオン性界面活性剤を分注するための、第1のループ位置で終端する同心状注入器と、ループ内で第1のループ位置の下流であるが好ましくは第1のループ位置に近接した第1のミキサーと、を備える。より好ましくは、第1のミキサーは、動的ミキサーである。同様に、第2の分注器は、好ましくはT注入器又は同心状注入器であるが、より好ましくは同心状注入器である。一実施形態では、第2のミキサーは、第1のループ位置と第2のループ位置との間に位置付けられる。
【0080】
一実施形態では、再循環バッチ処理装置は、第3のループ構成成分を第3のループ位置においてループ内へ分注するための、ループと流体連通する第3の分注器を備える。好ましくは、第3のループ構成成分は、脂肪酸、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、構造剤、香料マイクロカプセル、シリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
一実施形態では、再循環バッチ処理装置は、バッチ構成成分をバッチ容器へ分注するための、バッチ容器と流体連通するバッチ分注器を備える。好ましくは、バッチ構成成分は、水、溶媒、ビルダー、キレート剤、ポリマー、防腐剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、pH調整剤、香油、染料、酵素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0082】
液体組成物の粘度を判定する方法
特に指定のない限り、粘度は、AR G2レオメータ(TA Instrument Ltd.)を使用して測定し、切頭円錐スピンドルの角度は1°59’24”、ギャップは49マイクロメートルである。剪断速度は、1s
−1から500s
−1に増大し、レオロジーは、それぞれの剪断速度において測定が5%超の変動を達成したときに読み出される。全ての測定は、30℃で行われる。
【0083】
エネルギー密度の計算方法
静的ミキサーについては、エネルギー密度は、ミキサー全体の圧力損失として計算され得る。動的ミキサーについては、エネルギー密度は、パワードローを体積流量によって除算することによって、概算され得る。パワードローは、次の式1を用いて計算され得る。
P
f=P
T+P
F+P
L 式1
式中、P
Tは、液体に逆らってロータを回転させるのに必要とされる電力であり、P
Fは、圧力低下と流速との積によって表される、液体の流れからの更なる所要電力であり、P
Lは、例えば、軸受、振動、又は雑音による電力損失である。
【実施例】
【0084】
本明細書に記載の実施例は、本発明を例示することを意味するが、本発明の範囲を制限又は他の方法で定義するために使用するものではない。実施例1〜3は、本発明による液体洗濯洗剤組成物の例であり、実施例1A〜1Eは、本発明による方法の例であり、実施例1F〜1Hは、方法の比較例である。
【0085】
実施例1〜3:液体洗濯洗剤組成物の処方
列挙された成分を列挙された比率(重量%)で含む、表1に示す以下の液体洗濯洗剤組成物を作製する。
【0086】
【表1】
a Surfonic(登録商標)L24−9は、非イオン性界面活性剤としての、Huntsmanから入手可能な9モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたC
12〜14アルコール
b キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
【0087】
実施例1A:本発明による実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例1Aは、
a)再循環バッチ処理装置を提供する工程であって、再循環バッチ処理装置は、バッチ容器と、バッチ容器と流体連通する再循環ループとを備え、バッチ容器は、80リットルの容積を有し、ループは、約0.0005m
2の断面積を有する、工程と、
b)クエン酸、ホウ酸、Na−DTPA、グリセロール、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、NaOH、及び水をバッチ容器内に添加して、液体組成物前駆体を形成し、液体組成物前駆体を3.7kg/分の流速でループ内を再循環させる工程と、
c)液体組成物前駆体が再循環している間に、1.7kg/分の第1の速度で、C
12〜14AE
1〜3Sを第1のループ位置において約8.3分間にわたってループ内へ分注する工程であって、C
12〜14AE
1〜3Sは、分注前にAES組成物に含有され、AES組成物は、67重量%のC
12〜14AE
1〜3S及び33重量%の水を含む、工程と、
d)液体組成物前駆体が再循環している間に、0.4kg/分の第2の速度で、C
11〜13LASを第2のループ位置において約6.5分間にわたってループ内へ分注する工程であって、C
11〜13LASは、分注前にLAS組成物に含有され、LAS組成物は、97重量%のC
11〜13LAS及び3%の水を含み、第2のループ位置は、第1のループ位置の約1メートル上流にあり、工程c)及び工程d)は、工程b)後に同時に開始する、工程と、
e)第1のループ位置の下流であるが第1のループ位置に近接して位置付けられている動的ミキサー(Ytron process Technology Gmb & Co.KG製のYtron Z0)を使用して、動的ミキサーを通過する液体組成物前駆体に650kJ/m
3のエネルギー密度を付与する工程と、
f)バッチ容器へ200kJ/m
3のエネルギー密度を加えて、液体洗濯洗剤組成物を作製する工程と、を含み、
液体洗濯洗剤組成物中のそれぞれの成分は、表1の実施例1に関して指定された濃度で存在し、
再循環バッチ処理装置のバッチサイクル時間(すなわち、工程a)〜f)を実行する合計時間)は、約40分である。
【0088】
実施例1B:本発明による実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例1Bは、次のことを除いて、方法実施例1Aと同じである。液体組成物前駆体は、再循環ループ内を3.4kg/分の流速で流れ、工程c)においてC
12〜14AE
1〜3Sは、1.6kg/分の第1の速度で約8.9分間にわたってループ内へ分注され、工程d)においてC
11〜13LASは、0.9kg/分の第2の速度で約3.1分間にわたってループ内へ分注される。
【0089】
実施例1C:本発明による実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例1Cは、次のことを除いて、方法実施例1Aと同じである。液体組成物前駆体は、再循環ループ内を3.1kg/分の流速で流れ、工程c)においてC
12〜14AE
1〜3Sは、1.5kg/分の第1の速度で約9.7分間にわたってループ内へ分注され、工程d)においてC
11〜13LASは、1.3kg/分の第2の速度で約2.0分間にわたってループ内へ分注される。
【0090】
実施例1D:本発明による実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例1Dは、次のことを除いて、方法実施例1Aと同じである。液体組成物前駆体は、再循環ループ内を2.8kg/分の流速で流れ、工程c)においてC
12〜14AE
1〜3Sは、1.3kg/分の第1の速度で約10.8分間にわたってループ内へ分注され、工程d)においてC
11〜13LASは、1.8kg/分の第2の速度で約1.4分間にわたってループ内へ分注される。
【0091】
実施例1E:本発明による実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例1Eは、次のことを除いて、方法実施例1Aと同じである。液体組成物前駆体は、再循環ループ内を2.5kg/分の流速で流れ、工程c)においてC
12〜14AE
1〜3Sは、1.1kg/分の第1の速度で約12.3分間にわたってループ内へ分注され、工程d)においてC
11〜13LASは、2.4kg/分の第2の速度で約1.1分間にわたってループ内へ分注される。
【0092】
実施例2A〜3A:本発明による実施例2〜3の液体洗濯洗剤組成物を作製する方法
方法実施例2A〜3Aは、
a)再循環バッチ処理装置を提供する工程であって、再循環バッチ処理装置は、バッチ容器と、バッチ容器と流体連通する再循環ループとを備え、バッチ容器は、80リットルの容積を有し、ループは、約0.0005m
2の断面積を有する、工程と、
b)Surfonic(登録商標)L24−9、クエン酸、Na−DTPA、1,2プロパンジオール、モノエタノールアミン、エタノール(もしあれば)、亜硫酸カリウム(もしあれば)、NaOH、プロテアーゼ、アミラーゼ、染料、香油、及び水をバッチ容器内に添加して、液体組成物前駆体を形成し、液体組成物前駆体を4kg/分の流速でループ内を再循環させる、工程と、
c)液体組成物前駆体が再循環している間に、1.6kg/分の第1の速度で、C
12〜14AE
1〜3Sを第1のループ位置においてループ内へ分注する工程であって、C
12〜14AE
1〜3Sは、分注前にAES組成物に含有され、AES組成物は、67重量%のC
12〜14AE
1〜3S及び33重量%の水を含む、工程と、
d)液体組成物前駆体が再循環している間に、1.0kg/分の第2の速度で、C
11〜13LASを第2のループ位置においてループ内へ分注する工程であって、C
11〜13LASは、分注前にLAS組成物に含有され、LAS組成物は、97重量%のC
11〜13LAS及び3%の水を含み、第2のループ位置は、第1のループ位置の約1メートル上流にあり、工程c)及び工程d)は、同時に開始する、工程と、
e)C
12〜C
18脂肪酸を第3のループ位置において、香料マイクロカプセル(もしあれば)を第4のループ位置において、ループ内へ分注する工程であって、第3のループ位置は、第1のループ位置の下流にあり、第4のループ位置は、第3のループ位置の下流にある、工程と、
e)第1のループ位置の下流であるが第1のループ位置に近接して位置付けられている動的ミキサー(Ytron−Quadro(UK)LTDから入手可能なVMI Rayneri TRIMIX)を使用して、動的ミキサーを通過する液体組成物前駆体に650kJ/m
3のエネルギー密度を付与する工程と、
f)バッチ容器へ200kJ/m
3のエネルギー密度を加えて、ホワイトベースを形成する工程と、
g)工程f)で得られたホワイトベースが、第1のループ位置の上流に位置付けられた処理装置排出口を介して処理装置から流出し、別個の連続法を通じて流れる工程であって、プロテアーゼ、アミラーゼ、染料、及び香油は、別個の連続法の間にホワイトベースに添加され、これにより液体洗濯洗剤組成物を作製する、工程と、を含み、
液体洗濯洗剤組成物中のそれぞれの成分は、表1の実施例2〜3に関して指定された濃度で存在し、
再循環バッチ処理装置のバッチサイクル時間(すなわち、工程a)〜f)を実行する合計時間)は、約40分である。
【0093】
比較例1F:LASの添加がない比較用の方法
比較例1Fは、次のことを除いて、方法実施例1Aと同じである。LASは再循環ループ内へ分注されず(すなわち、比較例1Fは、実施例1Aに記載されている工程d)を含まない)、かつ形成された液体洗濯洗剤組成物中にも存在せず、液体組成物前駆体は、4kg/分の流速でループ内を流れ、工程c)においてC
12〜14AE
1〜3Sは、1.8kg/分の第1の速度で約8分間にわたってループ内へ分注される。
【0094】
比較例1G:実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する比較用のバッチ法
方法比較例1Gは、
a)NaOHと水との組み合わせを、200rpmの剪断力を加えることによって、バッチ容器内で混合する工程と、
b)クエン酸、ホウ酸、C
11〜13LAS、及びNaOHをバッチ容器内へ順次添加し、200rpmの剪断力を加えることによって混合し続ける工程と、
c)工程b)で得られた混合物の温度を25℃まで冷却する工程と、
d)グリセロールをバッチ容器内に添加する工程と、
e)C
12〜14AE
1〜3S及びNa−DTPAをバッチ容器内に添加し、250rpmの剪断力を加えることによって混合物が均質的に混合されるまで混合し、pHを8に調整する工程であって、C
12〜14AE
1〜3Sは、25活性重量%まで予備希釈された後でバッチ容器内に添加され、これにより液体洗濯洗剤組成物を形成する工程と、を含み、
組成物中のそれぞれの成分は、表1の実施例1に関して指定された濃度で存在する。
【0095】
比較例1H:実施例1の液体洗濯洗剤組成物を作製する比較用の連続法
方法比較例1Hは、NaOH、水、クエン酸、ホウ酸、C
11〜13LAS、グリセロール、C
12〜14AE
1〜3S、及びNa−DTPAを順次に連続生産ライン内に添加する工程を含み、C
12〜14AE
1〜3Sは、25活性重量%まで予備希釈された後で連続生産ライン内に添加される。組成物中のそれぞれの成分は、表1の実施例1に関して指定された濃度で存在する。
【0096】
方法実施例1A〜1Fの粘度に関する比較データ
実施例1A〜1Fに記載の方法による液体組成物の粘度を測定する比較実験が行われる。実施例1A〜1Eは、第1の速度(AESを分注する速度)と第2の速度(LASを分注する速度)との様々な比率を有し、比較例1Fは、LASの注入がない対照である。AES及びLASを所定の速度で同時に添加した10秒後に動的ミキサーのすぐ下流(第1のループ位置の下流)で採取された理論的試料の粘度が、評価される。理論的試料は、3つの部分を含む:実施例1A〜1Fの工程b)で添加された成分によって形成された液体組成物前駆体、ループ内に添加されたLAS組成物(97活性重量%及び3重量%の水を含む)、並びにループ内に添加されたAES組成物(67活性重量%及び33重量%の水を含む)である。理論的試料の3つの部分の濃度は、表2(重量%)に指定され、液体組成物前駆体を形成する成分は、表3(重量%)に列挙される濃度に指定される。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
a キレート剤としての、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩
【0099】
理論的試料は、本明細書に記載の仮定に基づいて実験室内で再現される。理論的試料の粘度は、上で本明細書に記載されているような、液体組成物の粘度を決定する方法にしたがって、10/秒の剪断速度及び30℃の温度において測定される。理論的試料の粘度値は、表4に示される。
【0100】
【表4】
1 再循環ループ内を流れる液体組成物前駆体の流速
【0101】
表4に示されるように、本方法1A〜1Eによる液体組成物前駆体の全ては、比較例1Fによる液体組成物前駆体よりも改善された粘度特性を示す。
【0102】
更に、比較例1G及び1Hと比較すると、本発明による方法(実施例1A〜1E)は、AESに対する別個の予備希釈操作を不要にする。
【0103】
全ての百分率、比率、及び割合は、特に断らない限り、全組成物の重量を基準とする。全ての温度は、特に断らない限り、摂氏温度(℃)である。構成成分又は組成物の濃度は全て、その構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0104】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい数値限定を、そのようなより小さい数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書全体を通して記載される全ての最小数値限定は、全てのより高い数値限定を、そのようなより高い数値限定が本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書全体を通して記載される全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭い全ての数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように含む。
【0105】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるとして理解されるべきではない。むしろ、特に指定のない限り、それぞれのかかる寸法は、記載された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0106】
全ての相互参照されるか又は関連する特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書において引用される全ての文書は、明示的に排除ないしは別様に限定されていない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の任意の参照文献との任意の組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書での用語の任意の意味又は定義の範囲が、参照により組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0107】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。